JP2006219748A - 表面処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大気圧下でプラズマを生成し基材を撥液化する表面処理方法において、ランニングコストを低減し、環境への悪影響も緩和される表面処理方法を提供すること。
【解決手段】 所定の間隔をあけて設置された互いに対向する電極間に、気体を充満させる工程と、前記対向電極間に電界を付与してプラズマを発生させる工程と、前記プラズマにより前記電極上に設置された基板表面を撥液化する工程と、を包含する表面処理方法であって、前記気体は、フッ素含有化合物ガス、ヘリウムガスおよび窒素ガスからなることを特徴とする表面処理方法を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラズマを生成し、これを制御することを応用して、基材表面に撥液性を発現させる表面処理方法に関する。
従来、主に防水や防汚を目的とする撥液処理としてはフッ素やシリコーンの湿式コーティングが用いられてきた。
またこの方法とは別に、減圧下で発生させたプラズマを作用させることで基材の表面エネルギーを制御する方法も公知であるが、この方法は処理速度が遅かったり真空チャンバが必要になったりという問題があり、実用性の面で課題があった。
しかしながら近年の目覚しい技術開発により大気圧下でも安定したプラズマ生成が可能となると、比較的簡易な装置において均一性の高い処理が可能であることから、プラズマによる処理が急速に注目を集め、LCD、PDP、ELなどのフラットパネルディスプレイ分野への展開が盛んに試みられるようになった。
特に、これらを製造する前半工程においては、プロセスに応じ基板表面の親疎水性制御を要求される場面があり、ダスト抑制の観点からも非接触でクリーンなプラズマ処理に対する期待は高い。また最近では安価なガスを用いることでランニングコストを低減するような方法なども提案されている。
このような大気圧プラズマを用いた撥液処理の代表的な例が、下記特許文献1に開示されている。これについて以下に説明する。
図8は、下記特許文献1に記載されたグロー放電プラズマ処理装置の一例である。同図において、高電圧パルス電源(交流電源)101が上部電極104に接続され、また、直流電源102が下部電極105に接続されている。パイレックス(登録商標)製ガラス容器110中において、当該下部電極105上に、固体誘電体106および基材107が設けられている。また、上部電極104と下部電極105との間には放電プラズマ発生空間103が設けられている。また、パイレックス(登録商標)製ガラス容器110には、ガス導入管108と希釈ガス導入管109が設けられ、さらに、ガス排出口111および排気口112が設けられている。
当該特許文献1における表面処理方法は、一対の対向電極104,105を有し、当該電極の対向面の少なくとも一方に固体誘電体106が設置されている装置において、上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合は固体誘電体と電極の間の空間、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合は固体誘電体同士の空間に基材を設置し、当該空間中に発生する放電プラズマにより基材表面を処理するものであると開示されている。
また上記表面処理においては、上記放電プラズマ発生空間に存在する気体(以下、処理用ガスという。)の選択により任意の処理が可能であるとあり、上記処理用ガスとしてフッ素含有化合物ガスを用いることによって、基材表面にフッ素含有基を形成させて表面エネルギーを低くし、撥液性表面を得ることができるとある。
また上記フッ素元素含有化合物としては、4フッ化炭素(CF)、6フッ化炭素(C)、6フッ化プロピレン(CFCFCF)、8フッ化シクロブタン(C)等のフッ素−炭素化合物、1塩素3フッ化炭素(CCLF)等のハロゲン−炭素化合物、6フッ化硫黄(SF)等のフッ素−硫黄化合物が開示されている。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水素を生成しない4フッ化炭素、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いることが好ましいとある。
また特許文献1において、経済性および安全性の観点から、上記処理用ガス単独雰囲気よりも、以下に挙げるような希釈ガスによって希釈された雰囲気中で処理を行うことが好ましい。希釈ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス、窒素気体等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。また、希釈ガスを用いる場合、処理用ガスの割合は1〜10体積%であることが好ましいとある。
また、雰囲気ガスとしては電子を多く有する化合物のほうがプラズマ密度を高め高速処理を行う上で有利である。よって入手の容易さと経済性、処理速度を考慮した上で最も望ましい選択は、アルゴンおよび/または窒素を希釈ガスとして含有する雰囲気であると開示されている。
また従来、大気圧近傍の圧力下においては、ヘリウムが大過剰に存在する雰囲気下で処理が行われてきたが、特許文献1の方法によれば、ヘリウムに比較して安価なアルゴン、窒素気体中における安定した処理が可能であり、さらに、これらの分子量の大きい、電子をより多く有するガスの存在下で処理を行うことにより、高密度プラズマ状態を実現し、処理速度を上げることが出来るため、工業上大きな優位性を有すると開示されている。
しかしながら、上述した特許文献1に記載の表面処理では次に示すような課題があった。すなわち、たとえ安価な希釈ガスを用いたとしても高価なフッ素含有化合物ガスを多く使用しないと十分な撥液効果が得られず、ランニングコストの削減が難しい問題があった。また、フッ素含有化合物ガスを使用した場合には、例え毒性がなかったとしても地球温暖化防止の観点から使用の多少に係わらず使用済みガスの分解/除害が必要となる。フッ素含有化合物ガスを多く使用すると必然的に分解/除害設備の負担は増加するし、当然ながら同設備から分解/除害後に排出されるCO量も増えると同時にCO負荷も大きくなり、結果、環境に悪い影響を及ぼすことが問題となった。
特開平10−154598号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、大気圧下でプラズマを生成し基材を撥液化する表面処理方法において、ランニングコストを低減し、環境への悪影響も緩和される表面処理方法を提供することである。
本発明の1つの局面によれば、所定の間隔をあけて設置された互いに対向する電極間に、気体を充満させる工程と、前記対向電極間に電界を付与してプラズマを発生させる工程と、前記プラズマにより前記電極上に設置された基板表面を撥液化する工程と、を包含する表面処理方法であって、前記気体は、フッ素含有化合物ガス、ヘリウムガスおよび窒素ガスからなることを特徴とする表面処理方法が提供される。
好ましくは、本発明の表面処理方法は大気圧近傍の圧力下で行われる。
好ましくは、前記電極のうち少なくとも一方に、固体誘電体が設けられている。
好ましくは、前記気体は、窒素ガスを1〜80体積%の範囲内で含み、ヘリウムガスを20〜99体積%の範囲内で含む。
好ましくは、前記プラズマを発生させる工程において、前記電極に付与する電力が30〜100W/cmの範囲内である。
好ましくは、前記気体は、フッ素含有化合物ガスを、20体積%以下の範囲内で含有する。
本発明の表面処理方法によれば、フッ素含有化合物ガスの使用量を低減でき、ランニングコストを低減でき、さらに環境への影響もほとんどなくすことができる。
本発明の表面処理方法は、所定の間隔をあけて設置された互いに対向する電極間に、気体を充満させる工程と、前記対向電極間に電界を付与してプラズマを発生させる工程と、前記プラズマにより前記電極上に設置された基板表面を撥液化する工程と、を包含する表面処理方法であって、前記気体は、フッ素含有化合物ガス、ヘリウムガスおよび窒素ガスからなることを特徴とする。
本発明の表面処理方法においては、特に、気体として、フッ素含有化合物ガス、ヘリウムガスおよび窒素ガスを合せて用いることにより、フッ素含有化合物ガスの使用量を低減させて、ランニングコストを低減させ、さらに、環境への悪影響を低減することができるものである。これらの3種のガスを用いることにより、フッ素含有化合物ガスの使用量が低減される理由は後述する。
以下、本発明の表面処理方法について詳細に説明するが、まず本発明を実施する表面処理装置の基本動作について説明した後に、具体的な実施例について説明する。
図1は、本発明の表面処理方法に用いることができる大気圧プラズマ装置の一例であり、装置全体を基材の流れる川幅方向に垂直な面で切った時の側面断面図である。図2はその要部拡大図である。
図1に示す大気圧プラズマ装置において、上部電極ユニット3と下部電極ユニット4は所定の間隔をあけて互いに対向させて配置されている。上部電極ユニット3には高周波電源18が電力伝送路27,28により接続され、また、下部電極ユニット4には高周波電源18とは周波数が同じで位相の異なる高周波電源33が電力伝送路29,20により接続されている。
上部電極ユニット3と下部電極ユニット4との間には、基材14が設置され、基材搬送用ローラ13により基材14が所定の方向に所定の速度で搬送されるようになっている。また、上記2つの電極ユニット3,4および処理に供される基材14は、上部チャンバ1、下部チャンバ2および上部電極カバー12によって囲まれる空間の内部にある。また、上部チャンバ1と下部チャンバ2との間には、基材14が通過可能な基材搬出入口17が設けられている。
上部電極カバー12および下部チャンバ2には、ガス供給口21が設けられ処理に要する気体が当該ガス供給口21から供給される。また、下部チャンバ2には、排気口22が設けられ、ガス溜20にある気体が排出可能とされている。
図2において、上部電極ユニット3は、電圧印加側電極5、グランド側電極6、電圧印加側誘電体7およびグランド側誘電体8を含み、グランド側電極6は電力伝送路28により高周波電源18に接続され、電圧印加側電極5は、電力伝送路27により高周波電源18に接続されている。
電圧印加側電極5は電圧印加側誘電体7により囲まれ、また、グランド側電極6の一部にはグランド側誘電体8が設けられ、これらの誘電体間には気体が通過可能な間隔16が設けられ、当該間隔16において予備放電を行うことができる。
また、電圧印加側電極5と上部電極カバー12との間には、ガス溜9が設けれ、ガス供給口21から供給された気体は、ガス溜9に一旦溜められた後、ガス流路26を通ってガス噴出口11から間隔16を通過してプラズマ処理空間15に供給される。
図2において、上部電極ユニット3と同様に、下部電極ユニット4は、電圧印加側電極31、グランド側電極32、電圧印加側誘電体42およびグランド側誘電体43を含み、電圧印加側電極31は電力伝送路29により高周波電源33に接続され、グランド側電極32は電力伝送路30により高周波電源33に接続されている。
電圧印加側電極31は電圧印加側誘電体42により囲まれ、また、グランド側電極32の一部にはグランド側誘電体43が設けられ、これらの誘電体間には気体が通過可能な間隔44が設けられ、当該間隔44において予備放電を行うことができる。
また、電圧印加側電極31と下部チャンバ2との間には、ガス溜45が設けれ、ガス供給口21から供給された気体は、ガス溜45に一旦溜められた後、ガス流路46を通ってガス噴出口47から間隔44を通過してプラズマ処理空間15に供給される。
なお、図2において、電圧印加側電極5,31およびグランド側電極6,32には、冷媒10がそれぞれ設けられている。また、図中において矢印は気体の流れの方向を示している。また、上記の図1、2では基材の搬送に基材搬送用ローラ13を示しているが、これは一例を示したものであり搬送方法を限定するものではない。これ以外に例えばベルトコンベア方式であっても構わないし、専用の基材ホルダを利用して搬送しても構わない。
次に、図1および2に示す装置の動作について説明する。図示しないガス供給ボンベまたはガス供給タンクから、図示しないマスフローおよびミキサーにより反応用ガスと不活性ガスとの混合ガス(以下、プロセスガス)が、ガス供給口21から供給され、ガス溜9,45で紙面に対して垂直な方向に広がり、ガス溜より十分小さい断面積を持つスリット状またはシャワー状のガス流路26,46を通過する際に流速を上げ、ガス噴出口11,47から間隔16,44を経て基材14に向けて噴き出される。
高周波電源18から出力された高周波電力は電力伝送路27を経由し、電極5に与えられる。他方、高周波電源18と周波数は同じで位相の異なる高周波電源33から出力された高周波電力は電力伝送路29を経由し、電極31に与えられ、電極5との間で電界を形成する。ガス噴出口11,47から噴出したプロセスガスは、電圧印加側誘電体7とグランド側誘電体8の間隔16、および、電圧印加側誘電体42とグランド側誘電体43の間隔44を通過しこの電界により、大気圧下でプラズマ処理空間15においてプラズマ化される。なおここで大気圧とは圧力範囲が0.1気圧以上、2気圧以下を指すものとする。
この時、同じく接地された電極6と電極5との間、並びに電極32と電極31との間にも電界が形成され、プロセスガスが通過する誘電体7と誘電体8間の距離および誘電体42と誘電体43間の距離を適切に決めることで、間隔16および44において予備放電によりプロセスガスがプラズマ化される。この距離は与える電力や周波数、プロセスガスの種類や流量、誘電体の電気的特性や二次電子放出係数や厚みや温度などにより適宜設定することができる。
プラズマ処理空間15を通過したプロセスガスはガス溜(排気側)20に一旦溜まり、排気口22を通って図示しない排気ポンプまたはブロア、場合によっては除害装置で分解された後、系外へと排出される構造となっている。
電力供給については高周波電源18の他にパルス電源19、または両者のスイッチング、または両者の重畳する方法が考えられ、周波数や、繰り返し周波数の他にプロセスに要求される諸条件、使用ガスの制限、要求される処理能力、ダメージの発生有無の観点から決定する必要がある。ここでいう高周波電源とは周波数が1kHz以上100MHz以下のものを指し、パルス電源とは繰り返し周波数が1MHz以下、波形の立ち上がり時間が100μsec以下、パルス印加時間が1msec以下であるものを指す。
図3に高周波電力の電圧波形の一例を示す。図3において縦軸は電圧であり、横軸は時間を示す。同図は電極5に与える電圧波形36と電極31に与える電圧波形37を示しており、互いの位相差はπとしている。この場合電極5と電極31の間に生じる電位差は(V1+V2)となり、電極5と電極6間に生じる電位差はV1となる。同様に、電極31と電極32間に生じる電位差はV2となる。
図4および図5は、それぞれDCパルス、パルスの場合の電圧波形を示し、図4において、電極5には電圧波形38により電圧が付与され、電極31には電圧波形39により電圧が付与される。また同様に、図5において、電極5には電圧波形40により電圧が付与され、電極31には電圧波形41により電圧が付与される。
なお、図4および図5において、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示し、電圧波形38と39、および電圧波形40と41とは位相がπずれている。しかし、これは一例であって、これ以外の位相のずれであってもよい。
続いて、本発明の表面処理方法に用いることができる材料について説明する。本発明において、プラズマを発生させるための気体としては、フッ素含有化合物ガス、ヘリウムガスおよび窒素ガスからなることに特徴を有する。
ここで、フッ素含有化合物ガスとしては、4フッ化炭素(CF)、6フッ化炭素(C)、6フッ化プロピレン(CFCFCF)、8フッ化シクロブタン(C)等のフッ素−炭素化合物や、1塩素3フッ化炭素(CClF)等のハロゲン−炭素化合物、6フッ化硫黄(SF)等のフッ素−硫黄化合物が挙げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水素を生成しない4フッ化炭素、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いることが好ましい。
また、本発明において、気体は、窒素ガスを1〜80体積%の範囲内で含み、ヘリウムガスを20〜99体積%の範囲内で含む。窒素ガスが1体積%未満では、窒素ガスによっておこる基材表面の反応が少なくなり十分な撥液効果を得ることが難しく、一方80体積%を超えると、窒素ガス以外によっておこる基材表面の反応が少なくなり十分な撥液効果を得ることが難しい。好ましくは、10〜80体積%の範囲内である。
また、ヘリウムガスが20体積%未満であると、ヘリウムによって促進されるフッ素含有化合物ガスの分解が進まず、フッ素含有化合物ガスの利用効率が低下するおそれがあり、99体積%を超えると、ヘリウム以外のガスの絶対量が足りず、十分な撥液効果を得ることが難しいおそれがある。好ましくは、20〜80体積%の範囲内である。
また、本発明において、基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂のプラスチック、ガラス、セラミック、金属等が挙げられる。基材の形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
また、本発明において、プラズマを発生させる際に、電極に付与する電力を30〜100W/cmの範囲内にする。当該電力が30W/cm未満であると、十分な撥液効果を得ることが難しいおそれがあり、100W/cmを超えると、処理の均一性が低下したり、基材にダメージが発生するおそれがある。より好ましくは、40〜90W/cmの範囲内である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されることを意図しない。
(実施例1〜7、比較例1〜5)
図1,2の装置において、基材14としてカーボンブラック(以下、CB)を含有した有機膜が形成された厚さ0.7mmのガラス基板を用いた。また、プラズマ処理空間15の間隔を1.7mm、予備放電領域としての間隔16,44を1.5mmとした。電力はDCパルスの形態で電極5および31に対しそれぞれV1=3.50kV、V2=3.50kVを付与し、互いの位相差をπとした。また、繰り返し周波数を10kHz、デューティ比6%となるように与えた。また上記CB含有有機膜付ガラス基板14は1000mm/minの速度で搬送した。この時、電極間に供給するプロセスガスを4フッ化炭素/ヘリウム/窒素の混合ガスとし、その組成比を表1に示すように変化させて処理を行った。
なお撥液性の評価には微小領域接触角計を用い接触角を測定した。なお接触角を測る際の滴下液としてはエーテル系溶剤を用いた。測定条件としては、先端直径が30μmのキャピラリー(毛細管)によって当該溶剤を滴下し、3点平均を求めることとした。また、接触角が大きくなると、撥液効果が高いことを意味し、逆に小さくなると、撥液効果が低いことを意味する。
表1に処理条件と接触角の測定結果を示す。混合ガスの流量は基材の川幅1cm当たり250ml/minとしており、処理前の接触角は何れも10°以下であった。
Figure 2006219748
上記は4フッ化炭素の比率を1〜33体積%の間で変化させたものである。実施例1〜7は、気体として4フッ化炭素/ヘリウム/窒素を同時に用いた場合を示し、比較例1〜5は、気体のうちヘリウムを全く混合しなかった場合を示す。表1に示す条件以外に4フッ化炭素/ヘリウムの混合ガスについても検討したがこの場合には全く撥液化されなかった。これより窒素は単に希釈ガスとしての働きだけでなく詳細は定かではないが撥液処理に必要なことが明らかとなった。
表1の結果を元に、図6において、接触角と4フッ化炭素の比率の関係をグラフとして示す。ここで記号□は実施例1〜7のヘリウムあり条件を、記号○は比較例1〜5のヘリウムなし条件を示している。なお、図6において、横軸はCFの比率(体積%)を示し、縦軸は接触角(°)を示す。
図6から実施例1〜7のヘリウムあり条件の方が、4フッ化炭素の比率が小さくても撥液化され易い傾向があることがわかる。ランニングコストや除害といった観点からはCFの削減が重要な要素である。仮に、接触角50°をひとつの目安と仮定すれば、比較例1〜5のヘリウムなし条件では少なくとも20体積%の4フッ化炭素が必要となるのに対し、実施例1〜7のヘリウムあり条件では4フッ化炭素の比率3体積%以上で到達可能であった。このような差異が生じた要因としては混合された電離し易いヘリウムが最初に励起され、これまで分解されないまま排出されていたCFの分解を促進したためと考えられる。
(実施例8〜13、比較例6,7)
本実施例において、上記実施例1〜7のうち、電極間に供給するプロセスガスとして4フッ化炭素/ヘリウム/窒素の混合ガスとし、その組成を表2のように設定した以外は、すべて同様に行った。
Figure 2006219748
上記は4フッ化炭素の比率を3体積%(実施例5,8,9,10および比較例6)または6.7体積%(実施例3,11,12,13および比較例7)として、ヘリウムの比率を変化させたものである。4フッ化炭素の比率が異なる場合にヘリウムの比率がどれだけ接触角に影響を与えるかをみるための条件である。
図7は接触角とヘリウムの比率の関係をグラフとして示しているものである。ここで記号△は実施例5,8,9,10および比較例6の4フッ化炭素の比率3体積%の条件を、記号◇は実施例3,11,12,13および比較例7の4フッ化炭素の比率6.7体積%の条件を示している。同図から4フッ化炭素の比率が低いほどヘリウムの比率が高くないと撥液化し難い傾向があることがわかる。ランニングコストの観点からはヘリウムの削減も重要なポイントである。接触角50°をひとつの目安と仮定すれば、4フッ化炭素の比率が3体積%の条件では50体積%以上のヘリウムが必要となるのに対し、4フッ化炭素の比率が6.7体積%の条件では20体積%以上で到達可能であった。
上記表1および2の結果ならびに図6および図7の結果から大気圧プラズマにより基材表面を撥液化する場合に使用するガスとして窒素と、4フッ化炭素3〜20体積%、ヘリウム50〜20体積%の範囲の混合ガスで用いることがランニングコスト、除害の両面から好ましいと考えられる。なお、比較例6および7については、ヘリウムを含有する場合と比べて大幅に接触角が低下していることから、撥液効果がかなり小さいことがわかる。
(実施例14、15)
本実施例において、電極5に付与する電力V1および電極31に付与する電力V2を表3のようにし、気体の組成比を、4フッ化炭素/ヘリウム/窒素=6.7/46.7/46.7とした以外は、すべて実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
Figure 2006219748
表3から電力密度が30.0W/cmを下回ると撥液化し難くなることがわかる。また実施例3から更に電力を上げていくと100W/cmを超えた辺りから徐々に放電が集中し始めることも本発明者らの検討からわかっており、この場合には処理の不均一性や基材に対するダメージといった問題が懸念される。
従って大気圧プラズマにより基材表面を撥液化する場合に電極間に与える電力は電力密度で30.0W/cm以上、100W/cm以下とすることが好ましいと考えられる。
なお今回の実施例ではCB含有有機膜表面の撥液性について評価したが、これは本発明の適用範囲を限定するものではなく、これ以外にも染料や顔料を含有した有機膜、プラスチックなどに対してもその基本的な効果に変わりはない。また基材の形状についてもプラズマ処理空間に置くことができれば任意とすることが可能であることはいうまでもない。さらに何れの実施例においてもエーテル系の溶剤を用いて撥液性の評価を行ったが、これも本発明の適用範囲を限定するものではなく、本質的に液体であれば水であろうと、アルコールであろうとその程度には差があるものの撥液効果に変わりはない。加えて表面処理装置に関しても本実施例で示したような電極形態に限定するものではなく、例えば平行平板型であってもリモート型であっても本手法の示す本質的な効果については何ら変わりがない。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の表面処理方法に用いることができる装置の概略断面図である。 図1に記載の装置の要部拡大図である。 図1の装置の電極に付与する電圧と時間との関係を、グラフを用いて表す図である。 図1の装置の電極に付与する電圧と時間との関係を、グラフを用いて表す図である。 図1の装置の電極に付与する電圧と時間との関係を、グラフを用いて表す図である。 CFの比率と接触角との関係を、He存在と不在との場合について、グラフを用いて表す図である。 Heの比率と接触角との関係を、CFの比率を変化させて場合について、グラフを用いて表す図である。 従来の表面処理方法に用いる装置の概略断面図である。
符号の説明
1 上部チャンバ、2 下部チャンバ、3 上部電極ユニット、4 下部電極ユニット、5 電圧印加側電極、6 グランド側電極、7 電圧印加側誘電体、8 グランド側誘電体、10 冷媒、11 ガス噴出口、12 上部電極カバー、13 基材搬送用ローラ、14 基材、15 プラズマ処理空間、16 間隔、17 基材搬出入口、18 高周波電源、19 パルス電源、20 ガス溜、21 ガス供給口、22 排気口、26 ガス流路、27,28,29,30 電力伝送路、31 電圧印加側電極、32 グランド側電極、33 高周波電源、36,37,38,39,40,41 電圧波形、42 電圧印加側誘電体、43 グランド側誘電体、44 間隔、45 ガス溜、46 ガス流路、47 ガス噴出口、101 高電圧パルス電源、102 直流電源、103 放電プラズマ発生空間、104 上部電極、105 下部電極、106 固体誘電体、107 基材、108 ガス導入管、109 希釈ガス導入管、110 パイレックス(登録商標)製ガラス容器、111 ガス排出口、112 排気口。

Claims (6)

  1. 所定の間隔をあけて設置された互いに対向する電極間に、気体を充満させる工程と、
    前記対向電極間に電界を付与してプラズマを発生させる工程と、
    前記プラズマにより前記電極上に設置された基板表面を撥液化する工程と、を包含する表面処理方法であって、
    前記気体は、フッ素含有化合物ガス、ヘリウムガスおよび窒素ガスからなることを特徴とする、表面処理方法。
  2. 大気圧近傍の圧力下で行われることを特徴とする、請求項1に記載の表面処理方法。
  3. 前記電極のうち少なくとも一方に、固体誘電体が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の表面処理方法。
  4. 前記気体は、窒素ガスを1〜80体積%の範囲内で含み、ヘリウムガスを20〜99体積%の範囲内で含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理方法。
  5. 前記プラズマを発生させる工程において、前記電極に付与する電力が30〜100W/cmの範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理方法。
  6. 前記気体は、フッ素含有化合物ガスを、20体積%以下の範囲内で含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の表面処理方法。
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