JP2005096646A - サンルーフ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ウインドスロッブ音及び風きり音の両者に対応可能なこと。
【解決手段】 ルーフ4に設けられた開口部2に起倒自在に配設された可変デフレクタ3と、車速センサと、車両1の室内に生ずる振動を検出する振動センサ11と、電子制御回路20を具備し、前記電子制御回路20によって、車速センサの車速出力と振動センサ11から流体共鳴音となるウインドスロッブ音を検出する出力と車両1の室内に生ずる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力を基に、人体が感じる官能評価から可変デフレクタ3の起倒を2個以上の閾値を用いて制御するものである。
【選択図】 図1
【解決手段】 ルーフ4に設けられた開口部2に起倒自在に配設された可変デフレクタ3と、車速センサと、車両1の室内に生ずる振動を検出する振動センサ11と、電子制御回路20を具備し、前記電子制御回路20によって、車速センサの車速出力と振動センサ11から流体共鳴音となるウインドスロッブ音を検出する出力と車両1の室内に生ずる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力を基に、人体が感じる官能評価から可変デフレクタ3の起倒を2個以上の閾値を用いて制御するものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両のルーフに設けられた開口部を必要に応じて開閉する可動式パネルを有するサンルーフ装置に関するもので、特に、前記ルーフの開口部に設けられた起倒自在の可変デフレクタの起倒を制御するサンルーフ装置に関するものである。
従来のサンルーフ装置は、車体の屋根(ルーフ)に形成されたサンルーフ用開口の前端に、上下に起倒自在なデフレクタを取付け、走行時において、ウインドスロッブ音発生状態を検知し、当該ウインドスロッブ音を検知したとき、デフレクタの駆動手段が、デフレクタを起立させるように構成したものである。
ここで、ウインドスロッブ音の発生状態とは、サンルーフのウインドスロッブ音が所定値以上に大きくなった状態であり、ウインドスロッブ音を検出する手段としては、マイクロホンで直接検出するものがある。特許文献1においては、ウインドスロッブ音を検出するマイクロホンは車両の後部シートに内蔵されている。また、ウインドスロッブ音の大きさは、車室内の容積及び形状が同一であれば、車速(V)とサンルーフの開口面積(h)の関数として把握できるのでこれら車速(V)とサンルーフの開口面積(h)を検出している。
このように、従来のサンルーフ装置では、サンルーフを開放した走行中に、ウインドスロッブ音発生状態を検知し、ウインドスロッブ音の発生を検知したときのみウインドスロッブ音を低下させるように、デフレクタを起立させるように制御するものである。
特開昭61−169319号公報
前述した特許文献1のサンルーフ可変デフレクタ装置では、走行時に車室内のウインドスロッブ音の発生を検知したときのみデフレクタを起立させるものであり、一旦、デフレクタを起立させると、ウインドスロッブ音が低減されてウインドスロッブ音の発生が抑制されるので、デフレクタを倒伏する制御が行われる。即ち、これらの動作は、デフレクタの起立・倒伏動作を繰り返す制御となるため、ユーザーにとってはウインドスロッブ音が大きくなったり、小さくなったりして不快感を与えるものであった。一般に起立状態におけるデフレクタの高さは、車両設計時に決定される。しかし、設計されたデフレクタの起立状態の高さによっても、量産時に、車両の気密性が向上していてウインドスロッブ音が問題となる場合もある。
また、特許文献1においては、車両の後部シートに内蔵されるマイクロホンと、トランクルーム内に配置される制御装置と、デフレクタを動作させるモータとが別々の場所に配置されており、これらを接続する配線が長くなるので、配線に不要なノイズがのりやすくなるという不都合が生じていた。
そこで、本発明は、ウインドスロッブ音を低減抑制可能となるサンルーフ装置の提供を課題とするものである。
請求項1にかかるサンルーフ装置は、車両のルーフに設けられた開口部を開閉自在な可動式パネルと、前記開口部に起倒自在に配設された可変デフレクタと、前記車両の速度を検出する車速センサと、前記車両の室内に生ずる振動を検出する振動センサと、前記開口部が前記可動式パネルによって開放されているとき、前記車速センサの出力及び前記振動センサの所定周波数以下の出力に基づき、前記可動式パネルの開閉及び/または前記可変デフレクタの起倒を制御する制御回路とを具備するものである。
したがって、サンルーフ用の開口部が開放されているとき、車速センサの出力によって可変デフレクタの起倒状態を特定し、振動センサからウインドスロッブ音及び車両の室内に生ずる所定周波数以下の機械的振動周波数を検出し、人体に影響する低周波振動周波数の出力を、前記車速センサの出力と前記車両の室内に生ずる低周波振動周波数を検出する出力を基に、可変デフレクタの起倒を制御するものである。
ところで、上記可動式パネルは、当該可動するパネルが複数層からなる場合、車両の最外側に位置するルーフプレートを意味する。また、上記可変デフレクタは、ルーフに設けられた開口部の前縁または後縁に起倒自在に配設されたデフレクタであればよい。また、上記振動センサは、車両の室内に生ずる流体共鳴音となるウインドスロッブ音を検出する周波数特性を有する振動または音響を検出できるものであればよい。更に、上記制御回路は、前記可動式パネル(ルーフプレート)が開放されているとき、前記車速状態に応じて、前記振動センサから車両の室内に生ずる所定周波数以下、例えば、数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力により可変デフレクタの起倒を制御するものであればよい。
請求項2にかかるサンルーフ装置の前記振動センサは、ウインドスロッブ音及び前記車両の室内に生ずる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出するものである。
したがって、サンルーフ用の開口部が開放されているとき、車速センサの出力によって可変デフレクタの起倒状態を特定し、かつ、振動センサから車両の室内に生ずる数100Hz以下の機械的振動周波数を検出することにより、ウインドスロッブ音を所定の値に設定できる。
請求項3にかかるサンルーフ装置の前記制御回路は、前記車両の速度に対応して複数の閾値を用いて制御するものである。したがって、一般的に高速域においてはウインドスロッブ音が発生せず、低速域でその影響が大きくなるが、その他のさまざまな要因(風速、風向き等)により、ウインドスロッブ音が発生する場合であっても、車速域に応じてウインドスロッブ音の値が大きくならないレベルに閾値を変更することにより、ウインドスロッブ音の発生を最小限度に抑えることができる。
請求項4にかかるサンルーフ装置の前記制御回路は、前記ウインドスロッブ音を検出する出力及び前記数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力の絶対値の差または該絶対値の比を基に制御するものであるから、ウインドスロッブ音及び風きり音の両者を検出するセンサを単一にでき、しかも、ラジオの音声、人の会話の影響を殆んどなくすことがで、車室内で人体に不快感を与える振動領域の検出を行うことができる。
請求項5にかかるサンルーフ装置の前記振動センサ及び制御回路は、可変デフレクタを駆動する機構部に一体に組み込んだものであるから、可変デフレクタを制御する機構とそれを制御する回路をコンパクトに一体化できる。
請求項1にかかるサンルーフ装置は、車速センサの出力によって可変デフレクタの起倒状態を特定し、振動センサからウインドスロッブ音及び車両の室内に生ずる所定周波数以下の機械的振動周波数を検出し、前記車速センサの出力と前記車両の室内に生ずる所定周波数以下の低周波振動周波数を検出する出力を基に、可変デフレクタの起倒を制御するものである。
したがって、サンルーフ用の開口部が開放されているとき、可動式パネル及び/または可変デフレクタは、車速センサの出力及び振動センサの出力が所定周波数以下の出力に基づき制御され、人体に影響する低周波振動周波数の出力を低減することができる。一般的には、車速が高速である場合では、ウインドスロッブ音は発生しない。そのため、車速センサの出力に基づいて制御がなされるのが好ましい。更に、可変デフレクタの起立状態におけるウインドスロッブ音の低減効果が認められない場合には、可動式パネルを動かして、開口部の開口面積を変更し、最適位置まで閉じる制御を行うことができる。このような制御が行なわれることで、特許文献1では可変デフレクタの起倒動作のハンチングを生じた不具合についても改善される。
よって、サンルーフ用の開口部が開放されているとき、車速センサの出力によって可変デフレクタの大きな起倒状態を特定し、振動センサからウインドスロッブ音及び車両の室内に生ずる低周波振動周波数、例えば、数100Hz以下の機械的振動周波数を検出し、人体に影響するスロッブ音及び風きり音の支配力を任意に制限できる。
請求項2にかかるサンルーフ装置の前記振動センサは、ウインドスロッブ音及び前記車両の室内に生ずる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出するものであるから、請求項1の効果に加えて、車速センサの出力と前記振動センサから流体共鳴音となるウインドスロッブ音及び車両の室内に生ずる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力を基に可変デフレクタの起倒状態を制御することにより、人体に影響するウインドスロッブ音及び風きり音の支配力を任意に制限できる。
即ち、請求項1の制御においても、風速、風向きなどのさまざまな要因によって、ウインドスロッブ音が発生する場合がある。このような場合であっても、ウインドスロッブ音そのものを検出する出力及び車両の室内に生じる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力を基に、可動式パネルの開閉制御及び可変デフレクタの起倒制御が行なわれるので、可変デフレクタのみの起倒制御が行われた従来の方法よりもさらに細やかな制御が可能となる。
請求項3にかかるサンルーフ装置の前記制御回路は、前記車両の速度に対応して複数の閾値を用いて制御するものであるから、前記請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、例えば、車速は、高速であればあるほど、エンジン音、タイヤからのノイズ、或いはミッション音等の車両騒音が増す。更に、車速と関連して風きり音なども含まれた騒音となるので、制御を行いたいウインドスロッブ音以外の騒音のベースレベルが車速とともに変化する。そのため、車速に対応して複数の閾値を用いて、可動式パネルを閉じる制御並びに可変デフレクタの起倒制御を行うことによって、それらの騒音の影響を抑制することができる。
請求項4にかかるサンルーフ装置の前記制御回路は、前記ウインドスロッブ音を検出する出力及び前記数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力の絶対値の差または該絶対値の比を基に制御するものである。このように、ウインドスロッブ音を検出する出力及び数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力の絶対値の差、或いは、絶対値の比を基に制御することによって、ウインドスロッブ音である100Hz以下の低周波と、その他の車両騒音である数100Hz以下の低周波振動周波数とを、それらの絶対値の差或いは絶対値の比を基に制御することにより、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、騒音のベースレベルを除去した制御が容易となる。
請求項5にかかるサンルーフ装置は、前記振動センサ及び制御回路を、可変デフレクタを駆動する機構部に一体に組み込んだものである。通常、サンルーフ装置のスイッチボックスや可変デフレクタを駆動する機構部は、サンルーフ装置の開口部付近で車両のルーフとルーフを構成する内装材との間の空間に配置されている。ウインドスロッブ音の周波数は、100Hz以下の低周波であるので、内装材を透過しやすい。このことから、ウインドスロッブ音を検出する振動センサ及び制御回路は、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、可変デフレクタを駆動する機構部に一体に組み込むことが可能となり、コンパクト化が可能となる。
次に、本発明にかかる実施の形態のサンルーフ装置について、図を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態のサンルーフ装置を搭載した車両の全体構成回路図であり、図2は本発明の実施の形態の車両に設けられたサンルーフ装置の開口部付近の要部構成図である。また、図3は本発明の実施の形態の車両に設けられたサンルーフ装置の要部を示す側面図である。
図2,3に示のように、車両1のサンルーフ装置の開口部2付近には、起倒自在である可変デフレクタ3が進行方向前方(図示左側)位置に設置されており、また、開口部2の開口面積を変更させるように移動自在な本実施の形態の可動式パネルであるルーフプレート31が、車両1のルーフ4の下部に収納可能となるように設置されている。
振動センサ11は、数100Hz以下の低周波振動を検出するマイクロホンであり、その出力をプリアンプ12に入力している。プリアンプ12は所定の増幅率を有する。プリアンプ12の出力は、バンドパスフィルタ14とバンドパスフィルタ16に入力している。バンドパスフィルタ14は5〜40Hzの周波数を取り出す帯域フィルタであり、2ドアのクーペタイプからワンボックスタイプまでの車両1の固有振動周波数がカバーされるよう設定されている。その理由は、エンジン音、タイヤからのノイズ、またはミッション音等のウインドスロッブ音以外の騒音のベースレベルを除去するためである。そして、そのバンドパスフィルタ14の出力を絶対値回路15に入力している。絶対値回路15では、バンドパスフィルタ14の出力の絶対値を取るものである。また、バンドパスフィルタ16は5〜200Hzの周波数を取り出す帯域フィルタであり、車室内のエアコン騒音、ラジオやテレビ等のメディア情報、または乗員の声等の影響を受け難い周波数帯域に設定されている。更に、バンドパスフィルタ16は、バンドパスフィイルタ14よりも広い周波数帯域が必要とされる。絶対値回路17はバンドパスフィルタ16の出力の絶対値を取るものである。対数差動アンプ18は5〜40Hzの周波数を取り出すバンドパスフィルタ14の絶対値と5〜200Hzの周波数を取り出すバンドパスフィルタ16の絶対値を入力し、例えば、両者を所定の比率(1:1を含む)として、その比を増幅するものである。また、別に、絶対値回路15と絶対値回路17との出力値の差を取ってもよい。
対数差動アンプ18の出力は、マイクロコンピュータからなる電子制御回路20のA−D変換回路19に入力される。また、当該電子制御回路20にはホストコンピュータ23から車速信号を入力している。そして、電子制御回路20には、図2及び図3に示す車両1のルーフ4に設けられた開口部2を必要に応じて開閉するルーフプレート31を開・閉、アップ・ダウンさせるルーフスイッチ21が接続されている。切替回路24は、デフレクタルーフモータ22の回転方向の切替えを行う回路であり、電子制御回路20の出力に接続されている。デフレクタルーフモータ22の回転方向によって、ルーフプレート31の開閉、デフレクタ3の起倒制御がなされる。このとき、デフレクタルーフモータ22は、図示されない回転角度センサで可変デフレクタ3が所定位置に保持されるように制御される。ルーフプレート31は、可動するパネルが複数層からなる場合、車両の最外側に位置するルーフプレートを意味する。
デフレクタルーフモータ22によって、ルーフプレート31の開閉、デフレクタ3の起倒制御は公知である。
これら、プリアンプ12、バンドパスフィルタ14、絶対値回路15、バンドパスフィルタ16、絶対値回路17、対数差動アンプ18、電子制御回路20は、所定のプリント基板に搭載された制御回路25を構成している。また、バンドパスフィルタ14、絶対値回路15、バンドパスフィルタ16、絶対値回路17、対数差動アンプ18は、ウインドスロッブ音を検出する出力及び前記数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力の該絶対値の比を基に制御するアナログ演算回路13を構成し、このアナログ演算回路13は、ウインドスロッブ音を検出する出力及び前記数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力の該絶対値の差を基に制御する回路とすることもできる。
図4(a)には本発明の別の実施の形態のブロック図を、また、その具体的な電子回路の構成例を図4(b)に示す。これらは図1におけるアナログ演算回路13をローパスフィルタ42及び対のハイパスフィルタ43,44及び差分アンプ45で構成している。なお、プリアンプ41は、プリアンプ12と実質的に同じである。
このようにローパスフィルタ42及び複数のハイパスフィルタ43,44で構成されることで、所定の周波数帯域のみを有する信号が対数アンプ(対数検波アンプ)46に入力される。言い換えると、始めのローパスフィルタ42で200Hzよりも高い周波数がカットされ、更に、対のハイパスフィルタ43,44の出力信号の低い周波数を除去することで、所定の周波数帯域のみを取り出すように機能する。また、対数アンプ46の出力側に接続される切片調整回路47では図1のA−D変換回路19に取り込まれる信号電圧のオフセツトット調整が行われる。この構成により、図1の構成におけるように絶対値回路15及び絶対値回路16の信号の絶対値の比を取らなくても、マイクロホン11に入力される不要な周波数帯域の信号の除去が簡易な回路で効率よく行われる。
差分アンプ45は、5〜200Hzの周波数を取り出すバンドパスフィルタ(ローパスフィルタ42とハイパスフィルタ44)と5〜40Hzの周波数を取り出すバンドパスフィルタ(ローパスフィルタ42とハイパスフィルタ43)の出力を入力し、所定の入力比率または両者の差をとり、また、対数アンプ46は、差分アンプ45の出力の絶対値を取り、その出力は図1の電子制御回路20のA−D変換回路19に入力される。
図5は本発明の実施の形態のサンルーフ装置の信号処理回路図のバンドパスフィルタの変形例である。この回路は、通常、発振回路として使用される回路であるが、バンドパスフィルタとして機能する回路として使用することができる。
アッテネータ51はバイアス電圧を設定して入力され、2倍同相増幅回路52及び10倍反転増幅回路53を介して、発信回路54に入力している。発信回路54には20Hz正帰還フィルタ54a及び発振臨界点を設定する抵抗器54bを有している。整流回路55は絶対値回路として機能する回路である。
図5の回路では、発振臨界点を設定する抵抗器54bで設定した周波数領域の出力を増幅して得ることができる。この回路では発振臨界点を設定する抵抗器54bで設定した周波数領域がバンドパスフィルタとして機能する。
図6及び図7は本発明の実施の形態のサンルーフ装置の可動パネル及び可変デフレクタの制御を示すフローチャートである。
上記電子制御回路20は、予め別のルーチンでプログラムの初期設定がなされており、このルーチンは、所定の時間間隔で、例えば、500mS間隔で割り込み処理されるか或いはコールされるものである。
まず、ステップS1でルーフスイッチ21の状態から、サンルーフの開口部2が開放状態にあるか否かを判断する。この開放状態の判断は、ルーフプレート31の閉じた状態を検出する図示しないリミットスイッチで検出してもよい。ルーフスイッチ21の状態を見てルーフプレート31が開放されていないとき、このルーチンを脱する。
ステップS1でルーフスイッチ21の状態を見てルーフプレート31が開放されていると認定したとき、ステップS2で予め別のルーチンで設定されている初期値に基づいて、ルーフプレート31の開動作が行われる。この初期値は、前回のルーフスイッチ21の開動作が行われた際に、ウインドスロッブ音に基づく制御が行われ、ルーフプレート31が閉動作で停止した位置として記憶されている。ステップS3で振動センサ11の振動出力Sを入力する。また、ステップS4で車速出力Vを図示しないスピードメータの出力を入力しているホストコンピュータ23から入力する。ステップS5で車速出力Vが0km/h以上、20km/h以下であるか判断し、0km/h以上、20km/h以下であると判断したとき、ステップS6で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1、例えば、90dbより大きいか判断する。振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さいとき、ステップS9では可変デフレクタ3は起立せず初期格納位置とする。
ステップS6で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より大きいと判断したとき、ステップS7で可変デフレクタ3を徐々に起立させ、ステップS8で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなるように、ステップS10で可変デフレクタ位置がMAX、即ち、最も起立した状態であるか判断する。可変デフレクタ位置がMAXでないとき、ステップS7及びステップS8のルーチンを繰り返し実行する。ステップS7で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなったとき、このルーチンを脱する。
また、ステップS10で可変デフレクタ位置がMAXであると判断されたとき、ステップS11で可動パネル31を徐々に閉じる動作を行い、ステップS12で振動センサ12の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなるのをステップS11の実行により待ち、ステップS12で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなったのが確認されたとき、ステップS13でその可動パネル31の閉位置を記憶し、このルーチンを脱する。
即ち、車速出力Vが0≦V≦20km/hのときには、人体が感じる閾値振動St1(90db)を制御可能な高い値として制御する。しかし、この場合でも、可変デフレクタ3の起立制御では対応できないときには、可動パネル31の閉位置制御として、人体が感じる官能評価をよくするものである。
ステップS5で車速出力Vが20km/h以下でないと判断したとき、ステップS14で車速出力Vが20km/hより大きく、90km/h以下であるか判断し、この速度範囲のときには、ステップS15で可変デフレクタ位置がMAXであるか判断し、可変デフレクタ位置がMAXでないとき、ステップS16で可変デフレクタ3を徐々に起立させ、ステップS15及びステップS16のルーチンを繰り返し実行する。
ステップS15で可変デフレクタ位置がMAXと判断したとき、ステップS17で可動パネル31を徐々に閉じる動作を行う。ステップS18で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなるのをステップS17及びステップS18の実行により待ち、ステップS18で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなったのが確認されたとき、ステップS19でその可動パネル31の閉位置を記憶し、このルーチンを脱する。
即ち、車速出力Vが20<V≦90km/hのときには、人体が感じる閾値振動St1(90db)を制御可能な高い値として制御する。しかし、この場合でも、可変デフレクタ3の起立制御では対応できないときには、可動パネル31の閉位置制御として、人体が感じる官能評価をよくするものである。
ステップS14で車速出力Vが20km/hより大きく、90km/h以下であるか判断し、車速出力Vがその範囲内にないと判断されたとき、ステップS20で車速出力Vが上昇中であるか判定し、上昇中のとき、ステップS21で可変デフレクタ3を徐々に傾斜させ、ステップS22で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St2(70db)より小さくなるように、ステップS21及びステップS22のルーチンを繰り返し実行する。ステップS22で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St2(70db)より小さくなったとき、このルーチンを脱する。
即ち、車速出力Vが20<V≦90km/hであっても加速中であることが判明すると、可変デフレクタ3を徐々に傾斜させて、サンルーフのウインドスロッブ音の低下に対応させ、速度増加によって風きり音が大きくなることに対応させる。しかし、通常であれば、車速出力Vが90km/hを超えれば、ウインドスロッブ音が小さくなり、風きり音が大きくなることから、人体が感じる官能評価をよくするため、閾値振動St2を低減させている。
即ち、車速出力Vが90km/hを超え、更に加速中のときには、ウインドスロッブ音が発生しない確率が高くなるから、人体が感じる閾値振動St2(70db)を、より官能評価を高くする低い値として制御する。
なお、ここで、閾値振動St1と閾値振動St2は、St1>St2であり、通常、10db乃至30dbの差を設けた低い値とする。即ち、車速出力Vが90km/hを超えているときには、ウインドスロッブ音が低くなっているのが一般的であるから、人体が感じる官能評価をよくするため、その閾値も低く設定し、それを実行させている。
ステップS20で車速出力Vが上昇中でないと判定したとき、ステップS23で車速出力Vが減速中であるか判定し、減速中のとき、ステップS24で可変デフレクタ位置がMAXであるか判断し、可変デフレクタ位置がMAXでないとき、ステップS25で可変デフレクタ3を徐々に起立させ、ステップS26で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなるのをステップS25及びステップS26の実行により待ち、ステップS26で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなったのが確認されたとき、このルーチンを脱する。
ステップS24で可変デフレクタ位置がMAXと判断したとき、ステップS27で可動パネル31を徐々に閉じる動作を行う。ステップS28で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなるのをステップS27及びステップS28の実行により待ち、ステップS28で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなったのが確認されたとき、ステップS29でその可動パネル31の閉位置を記憶し、このルーチンを脱する。
即ち、車速出力Vが90km/hを超えていても、減速中のときには、ウインドスロッブ音が増加する可能性があるので、人体が感じる閾値振動St1(90db)を制御可能な値として制御する。しかし、この場合でも、可変デフレクタ3の起立制御では対応できないときには、可動パネル31の閉位置制御として、人体が車内で感じる官能評価をよくするものである。
ステップS20で車速出力Vが上昇中でないと、ステップS23で車速出力Vが減速中でないと判定したとき、車速出力Vが定速走行を意味するから、ステップS30で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St2(70db)以下か判断し、振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St2(70db)以下と判断したとき、ステップS31で可変デフレクタ3を初期格納位置とする。また、ステップS30で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St2(70db)以下でなく、ステップS32で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より大きいと判断したとき、ステップS33で可変デフレクタ位置がMAXであるか判断し、可変デフレクタ位置がMAXでないとき、ステップS34で可変デフレクタ3を徐々に起立させ、ステップS35で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなるのをステップS34及びステップS35の実行により待ち、ステップS35で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなったのが確認されたとき、このルーチンを脱する。
ステップS33で可変デフレクタ位置がMAXと判断したとき、ステップS36で可動パネル31を徐々に閉じる動作を行う。ステップS37で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなるのをステップS36及びステップS37の実行により待ち、ステップS37で振動センサ11の振動出力Sが所定の閾値振動St1(90db)より小さくなったのが確認されたとき、ステップS38でその可動パネル31の閉位置を記憶し、このルーチンを脱する。
即ち、車速出力Vが加速中でも、減速中でもないときには、定速走行状態であり、人体が感じる閾値振動St1(90db)を制御可能な値として制御し、この場合でも、可変デフレクタ3の起立制御では対応できないときには、可動パネル31の閉位置制御として、人体が車内で感じる官能評価をよくするものである。
なお、以上の可変デフレクタ3の起立動作は連続してもよいし、所定位置毎にステップで段階的に動かしてもよい。
図8は従来のサンルーフ装置と上記実施の形態のサンルーフ装置による車速と振動出力の出力結果を示す説明図、図9は従来のサンルーフ装置と上記実施の形態のサンルーフ装置による車速と官能評価の結果を示す説明図である。
図8において、□印は可変デフレクタを標準の所定の一定の高さとし、サンルーフを全開した状態の振動出力、×印は可変デフレクタを収納状態とし、サンルーフを全開した状態の振動出力、△印は可変デフレクタを標準の高さから5mm下げて、サンルーフを全開した状態の振動出力、○印は本実施の形態の振動出力であり、図9においても同様である。図8は振動出力をデシベル表示した出力で、図9は振動出力を官能評価値で表示したものである。
このように、本実施の形態のサンルーフ装置は、車両1のルーフ4に設けられた開口部2を必要に応じて開閉するルーフプレート31と、ルーフ4に設けられた開口部2に起倒自在に配設された可変デフレクタ3と、車両1の速度を検出する図示しない車速センサと、車両1の室内に生ずる振動を検出する振動センサ11、前記車速センサの車速出力と振動センサ11から流体共鳴音となるウインドスロッブ音を検出する出力と車両1の室内に生ずる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力を基に、人体が感じる官能評価から導いた閾値振動St1(90db)及び閾値振動St2(70db)の2個の閾値を用いて可変デフレクタ3の起倒を制御するマイクロコンピュータからなる電子制御回路20を有する制御回路25とを具備するものである。
したがって、サンルーフ用の開口部2が開放されているとき、車速センサの出力によって可変デフレクタ3の大きな起倒状態を特定し、振動センサ11からウインドスロッブ音及び車両1の室内に生ずる数100Hz以下の機械的振動周波数を検出し、人体に影響する低周波振動周波数の出力を、車速センサの出力と、振動センサ11から流体共鳴音となるウインドスロッブ音を検出する出力と車両11の室内に生ずる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力を基に可変デフレクタ3の起倒を制御するものであるから、ウインドスロッブ音及び風きり音が人体に与える影響力を最小にすることができる。即ち、一般的に高速域においては、ウインドスロッブ音が発生せず、風きり音の影響が大きくなるが、さまざまな要因(風速、風向き等)により、ウインドスロッブ音が発生する場合がある。このような場合であっても、ウインドスロッブ音の値が大きくならないレベルまで可変デフレクタ3を起倒制御することができる。よって、サンルーフの可変デフレクタ3の制御により、ウインドスロッブ音及び風きり音の両者に対応可能となる。
ところで、振動センサ11は、車両の室内に生ずる流体共鳴音となるウインドスロッブ音を検出する周波数特性を有する振動または音響を検出できるものであればよい。更に、マイクロコンピュータからなる電子制御回路20を有する制御回路25は、ルーフプレート31が開放されているとき、車速状態に応じて、振動センサ11から流体共鳴音となるウインドスロッブ音を検出する出力と車両1の室内に生ずる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力を基に可変デフレクタ3の起倒を制御するものであればよい。
また、本実施の形態のサンルーフ装置の制御回路25は、サンルーフ用の開口部2がルーフプレート31によって開放されているとき、図示しない車速センサの車速出力と、振動センサ11から流体共鳴音となるウインドスロッブ音を検出する出力と車両1の室内に生ずる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力の絶対値の差を基に可変デフレクタ3の起倒を制御するものである。
したがって、サンルーフ用の開口部2が開放されているとき、車速出力によって可変デフレクタ3の大きな起倒状態を特定し、振動センサ11からウインドスロッブ音及び車両1の室内に生ずる数100Hz以下の機械的振動周波数を検出し、人体に影響する低周波振動周波数の出力をウインドスロッブ音及び風きり音の制御を任意に設定できる。
そして、上記実施の形態のサンルーフ装置の振動センサ11及び制御回路25を、可変デフレクタ3を駆動する機構部に一体に組み込んだものにおいては、可変デフレクタ3を制御する機構とそれを制御する回路をコンパクトに一体化できる。
更に、上記実施の形態のサンルーフ装置においては、バンドパスフィルタ16は、例えば、5〜200Hzとして帯域を設定したが、人の音声の場合は200Hz以上の周波数も有する。そこで、本発明においては、数100Hz以下の低周波振動周波数と、ウインドスロッブ音の両者を検出できるセンサを用いれば、センサを単一にでき、しかも、車両1自体の振動源からの可変デフレクタ3の起倒を信号を抽出でき、ラジオの音声、人の会話の影響を殆んどなくすことがで、車室内で人体に不快感を与える振動領域の検出を行うことができる。
更にまた、上記実施の形態のサンルーフ装置は、人体が感じる官能評価から可変デフレクタ3の起倒を閾値振動St1(90db)及び閾値振動St2(70db)の2個の閾値を用いて制御するマイクロコンピュータからなる電子制御回路20を有する制御回路25とを具備するものであるが、本発明を実施する場合には、2個の閾値、即ち、閾値振動St1(90db)及び閾値振動St2(70db)に限定されるものではなく、車速に応じた及び/または可変デフレクタ3の傾度に応じた3個以上の閾値を用いてもよい。
本発明は、サンルーフ装置として使用するものであるが、本発明を実施する場合には、基準とする車速を所定の領域とし、当該車速領域に応じて、サンルーフの可変デフレクタ3の制御により、ウインドスロッブ音及び風きり音の両者に対応可能とすることができる。
1 車両
2 開口部
3 可変デフレクタ
4 ルーフ
11 振動センサ
20 電子制御回路
25 制御回路
31 ルーフプレート(可動式パネル)
2 開口部
3 可変デフレクタ
4 ルーフ
11 振動センサ
20 電子制御回路
25 制御回路
31 ルーフプレート(可動式パネル)
Claims (5)
- 車両のルーフに設けられた開口部を開閉自在な可動式パネルと、
前記開口部に起倒自在に配設された可変デフレクタと、
前記車両の速度を検出する車速センサと、
前記車両の室内に生ずる振動を検出する振動センサと、
前記開口部が前記可動式パネルによって開放されているとき、前記車速センサの出力及び前記振動センサの所定周波数以下の出力に基づき、前記可動式パネルの開閉及び/または前記可変デフレクタの起倒を制御する制御回路と
を具備することを特徴とするサンルーフ装置。 - 前記振動センサは、ウインドスロッブ音及び前記車両の室内に生ずる数100Hz以下の低周波振動周波数を検出することを特徴とする請求項1に記載のサンルーフ装置。
- 前記制御回路は、前記車両の速度に対応して複数の閾値を用いて制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサンルーフ装置。
- 前記制御回路は、前記ウインドスロッブ音を検出する出力及び前記数100Hz以下の低周波振動周波数を検出する出力の絶対値の差または該絶対値の比を基に制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のサンルーフ装置。
- 前記振動センサ及び制御回路は、可変デフレクタを駆動する機構部に一体に組み込んだことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載のサンルーフ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003334015A JP2005096646A (ja) | 2003-09-25 | 2003-09-25 | サンルーフ装置 |
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-
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- 2003-09-25 JP JP2003334015A patent/JP2005096646A/ja active Pending
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