JP3914336B2 - 鉄道等車両用の騒音追従制御型放送装置 - Google Patents

鉄道等車両用の騒音追従制御型放送装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明は鉄道車両、船舶、航空機等における車内放送に関するものであり、詳しくは車両の騒音の大きさ及び種類に応じて放送音量と周波数帯域を制御する騒音制御型の放送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車内放送装置としては、例えば図2から図4に示すような騒音制御型放送装置(実用新案登録第2515825号)が開示されている。この放送装置は、車両内に設けられたスピーカーに供給する音声信号を発生する音声信号発生手段と上記音声信号を上記スピーカに供給すると共に利得が利得制御信号に基づいて制御される利得可変手段と、上記利得制御信号を上記スピーカから入力した騒音信号に基づいて生成する利得決定手段と、上記スピーカを上記利得可変手段の出力側と上記利得決定手段の入力側とのいずれかに切替え接続する切替え手段とを具備し、上記利得決定手段が上記車両の振動の周波数成分を除去するハイパスフィルターを備えているものであり、その特徴は車内スピーカを切替えることによって騒音検出用のマイクロフォンを代用させて騒音を検出して利得制御回路の利得を自動的に決定するところにある。
【0003】
この場合、放送音声が車内スピーカから音声が出ているときは利得制御回路は放送音声の出力される直前の車両騒音によりサンプルホールド回路に固定されて利得制御されており、放送音声出力中は利得の可変はなされていないため音声出力中の騒音変化に追従できない欠点がある。また、車両騒音レベルだけで電力増幅器の利得制御をするため、騒音に対して車内スピーカの音量と変化するだけで音声の明瞭度の調整ができなかった。
【0004】
また最近の車内放送装置としては、例えば図5及び図6に示すような騒音制御型放送装置が開発されている。この放送装置はマイクロフォン、電子制御型電力増幅器及び車内スピーカで放送された音声を騒音検出用マイクロフォンにて検出して電気増幅器の利得を自動的に決定するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来方式による放送装置では、放送用電力増幅器の利得を調整するため騒音検出用のマイクロフォンが必要であり車両内の配線が複雑となる問題点があった。このような問題点を解決するために騒音検出用のマイクロフォンと車内スピーカとを切り替えるためのスイッチを使って、放送中はスピーカとして放送していないときは騒音検出のマイクロフォンとして兼用使用しているため、車内スピーカを車内騒音検出用のマイクロフォンの代用して使う場合には特性が高域で感度が低くなって主に低域の信号を拾ってしまうことになる。その結果、高域と低域のバランスの取れていない信号によって電力増幅器の利得を決めることは好ましくない。また、騒音制御型の放送装置は放送音声が出ているときは放送音声が出る直前に騒音を検出してサンプルアンドホールド回路でホールドして利得制御回路の利得を決定しているため、放送音声が出されているときの騒音変化に対して追従することができない。
【0006】
また、車両内の騒音は乗客の騒音・車両運行時の振動騒音があるが通常は振動騒音と走行騒音が支配的になる。この振動騒音は低周波数の成分が多く、一方高域の周波数成分が低くなるので乗務員室から放送された音声信号は低周波成分の騒音が強調されるために客室では放送音声の明瞭度が悪くなる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の如き課題を解決するために開発したものであって、鉄道等車両用の分散式車内放送機構における騒音の大きさ及び種類に応じて放送音量と周波数帯域を制御する鉄道車両用の騒音追従制御型放送装置であって、車両騒音の検出用マイクロフォンと、車内放送の音声周波数帯域を可変にするローパスフィルターとハイパスフィルターと、車両放送の音量を調整する音量調整手素子と、車両騒音の検出用マイクロフォンで検出した騒音に基づいて、該ローパスフィルター、該ハイパスフィルター及び該音量調整素子を制御する騒音制御回路とを内蔵する車両放送用増幅器を有し、車両騒音の検出用マイクロフォンにより車両の床下等で車両内音声の放送音声を除く車両の振動騒音ないしは走行騒音のみを検出し、該検出した騒音に含めれる高域周波数成分のレベル変化により音量調整手素子を制御することで放送音量を可変に制御し、該検出した騒音に含まれる低域周波数成分のレベル変化によりハイパスフィルター素子の遮断周波数を連続的かつ階段的に高い方に変化させて徐々に音声の低周波領域を遮断し、更にハイパスフィルター素子の低域遮断周波数を50Hz〜600Hzとし、かつローパスフィルターの高域遮断周波数もハイパスフィルター素子の低域遮断周波数(kHz)とローパスフィルター素子の高域遮断周波数((kHz)の積が0.7 〜1.5 を満足させる数値にすることを特徴とする鉄道車両用の騒音追従制御型放送装置の提供にある。
【0008】
すなわち、本発明は騒音検出用のマイクロフォンを放送用電力増幅器の内部に設置し、車両内配線の煩雑をなくすと共に低域で高域の周波数特性の良い騒音制御信号で車内放送用の電力増幅器の利得制御を行ない、しかも車両の走行時の振動騒音や走行騒音の大きい車両中においても明瞭度の高い放送が聞けるように構成した車内放送装置を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
一般的な車両の騒音は、主に車両自体の振動騒音・走行の騒音・乗客の騒音などがあるが支配的な騒音は車両自体の振動騒音と走行騒音である。したがって、これらの騒音を検出して明瞭度の高い放送装置を構成する必要がある。この目的を達成するため、本発明は各車両に設けられている車内放送用増幅器の内部に騒音検出用マイクロフォンを設置して放送音声を除く車両騒音と走行騒音を検出し、その車両騒音信号を車内放送増幅器内の騒音制御回路にてローパスフィルターとハイパスフィルターとによって複数の周波数帯域に分割すると共に、騒音信号を整流器によって直流信号に変換して放送用電力増幅器の光電抵抗素子の抵抗値を変化させ、更に構成される音量調整素子、ハイパスフィルター素子及びローパスフィルター素子を制御して放送用電力増幅器の利得を可変してスピーカの出力音量を調整する。
【0010】
また、前記の放送電力増幅器内に設けられたハイパスフィルター素子とローパスフィルター素子はバンドパスファルターを構成しており、騒音検出マイクロフォンによって車両騒音信号のローパフィルターで得られた信号が大きくなるので、それにつれてハイパスフィルター素子の遮断周波数を連続的にしかも段階的に高い方に変化させて徐々に音声の低周波領域を遮断させることができる。この場合、低周波領域を遮断しただけでは音声のバランスが悪くなるためにローパスフィルター素子の高域遮断周波数を可変する必要がある。この場合のハイパスフィルター素子の低域遮断周波数は、50Hzから600Hzとすることができると共にローパスフィルターの高域遮断周波数もハイパスフィルター素子の低域遮断周波数(KHz)とローパスフィルター素子の高域遮断周波数(KHz)の積が0.7〜1.5を満足する値にすることが望ましい。
【0011】
更に、ハイパスフィルターで得られた騒音信号は音量調整素子を制御して放送用電力増幅器の放送音量を可変すると共に騒音信号の周波数帯域成分の相違によって放送音量周波数帯域を可変することにより、車両騒音の中で明瞭度の高い放送を提供することができる。
【0012】
【実施例】
以下、図面に従って本発明の実施例について説明する。
図1は本発明からなる騒音追従制御型の放送装置を示したものである。本図からも明らかのように乗務員室の放送制御増幅器31で放送起動スイッチ1を押すことにより、放送起動線5を介して乗客車両の放送増幅器28が放送増幅器の起動用リレー7により起動されるので、車内スピーカ23を接続すれば放送状態となる。一方、放送音声は放送マイクロフォン2で得られるので放送音声回線6を介して放送増幅器28に出力されて放送用の車内スピーカ23に出力される。 また、車両の騒音は騒音検出用マイクロフォン22で検出されローパスフィルター19とハイパスフィルター20により周波数分割される。この周波数を分割するためのローパスフィルター19とハイパスフィルター20の遮断周波数は、車両によって異なるが200Hzから800Hzの間で設定することができる。そして、ローパスフィルター19で得られた騒音信号は整流器21で直流に変換されて放送用電力増幅器25の光電抵抗素子15,17の抵抗値を可変させ、更にローパスフィルター素子12とハイパスフィルター素子11の遮断周波数を可変させて、放送音声の明瞭度が高くなるように周波数帯域を制限する。この場合、ハイパスフィルター素子11の遮断周波数は50Hzから600Hzとし、ローパスフィルター素子12の遮断周波数は両者の遮断周波数がKHz単位での積の値が0.7〜1.5を満足する値にすることが望ましい。
【0013】
更に、ハイパスフィルター20で得られた騒音信号は、整流器21で直流に変換されて放送用電力増幅器25の光電抵抗素子15の抵抗値を可変させることができるので、放送増幅器28の利得を可変させて車内スピーカ23からの放送音量を可変することが可能となる。なお、この装置では放送の音声を拾わない場所に騒音検出マイクロフォン22が設置されるため、放送音声の出力中であっても騒音を検出して放送用電力増幅器25の利得制御ができるので騒音追従型の放送装置を形成することができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、鉄道等車両用の分散式車内放送機構における騒音の大きさ及び種類に応じて放送音量と周波数帯域を制御する鉄道車両用の騒音追従制御型放送装置であって、車両騒音の検出用マイクロフォンと、車内放送の音声周波数帯域を可変にするローパスフィルターとハイパスフィルターと、車両放送の音量を調整する音量調整手素子と、車両騒音の検出用マイクロフォンで検出した騒音に基づいて、該ローパスフィルター、該ハイパスフィルター及び該音量調整素子を制御する騒音制御回路とを内蔵する車両放送用増幅器を有し、車両騒音の検出用マイクロフォンにより車両の床下等で車両内音声の放送音声を除く車両の振動騒音ないしは走行騒音のみを検出し、該検出した騒音に含めれる高域周波数成分のレベル変化により音量調整手素子を制御することで放送音量を可変に制御し、該検出した騒音に含まれる低域周波数成分のレベル変化によりハイパスフィルター素子の遮断周波数を連続的かつ階段的に高い方に変化させて徐々に音声の低周波領域を遮断し、更にハイパスフィルター素子の低域遮断周波数を50Hz〜600Hzとし、かつローパスフィルターの高域遮断周波数もハイパスフィルター素子の低域遮断周波数(kHz)とローパスフィルター素子の高域遮断周波数((kHz)の積が0.7 〜1.5 を満足させる数値にすることを特徴とする鉄道車両用の騒音追従制御型放送装置であるから車両内配線の煩雑をなくして低域と高域の周波数特性の良い騒音制御信号で車内放送用の電力増幅器の利得制御を行ない、しかも車両走行時の振動騒音や走行騒音の大きい車両中においても明瞭度の高い放送を提供することができる。
【0015】
また本発明は、前記車内放送用電力増幅器が車内放送の音声周波数帯域を可変するローパスフィルターとハイパスフィルターとから構成されるバンドパスフィルターが具備されると共に前記ローパスフィルターとハイパスフィルターとの遮断周波数が200Hzから800Hz程度でありかつ該遮断周波数がKHzの単位での積が0.7〜1.5位の数値からなる騒音追従制御型放送装置であるから、車両内配線の煩雑をなくして低域と高域の周波数特性の良い騒音制御信号で車内放送用の電力増幅器の利得制御を行ない、しかも車両走行時の振動騒音や走行騒音の大きい車両中においても明瞭度の高い放送を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明からなる騒音追従制御型放送装置を示した概要ブロック図。
【図2】従来の騒音制御型放送装置を示した概要ブロック図。
【図3】従来の騒音制御型放送装置を示した概要ブロック図。
【図4】従来の騒音制御型放送装置を示した概要ブロック図。
【図5】従来の騒音制御型放送装置を示した概要ブロック図。
【図6】従来の騒音制御型放送装置を示した概要ブロック図。
【符号の説明】
1 放送起動用スイッチ 2 放送用マイクロフォン
3 放送起動用リレー 4 放送起動用リレー接点
5 放送起動線 6 放送音声線
7 放送増幅器起動リレー 9 放送増幅器起動リレー接点
10 音量調整素子 11 ハイパスフィルタ素子
12 ローパスフィルタ素子 13 音量調整用光電抵抗素子
14 音量調整抵抗 15 ハイパスフィルタ用光電抵抗素子16ハイパスフィルタ用コンデンサ
17 ローパスフィルタ用光電抵抗素子
18 ローパスフィルム用コンデンサ
19 ローパスフィルタ 20 ハイパスフィルター
21 整流器 22 騒音検知用マイクロフォン
23 車内スピーカ 24 利得制御回路
25 放送用電力増幅器 26 整流回路
27 サンプルアンドホールド回路 28放送増幅器 29 放送制御増幅器

Claims (1)

  1. 鉄道等車両用の分散式車内放送機構における騒音の大きさ及び種類に応じて放送音量と周波数帯域を制御する鉄道車両用の騒音追従制御型放送装置であって、車両騒音の検出用マイクロフォンと、車内放送の音声周波数帯域を可変にするローパスフィルターとハイパスフィルターと、車両放送の音量を調整する音量調整手素子と、車両騒音の検出用マイクロフォンで検出した騒音に基づいて、該ローパスフィルター、該ハイパスフィルター及び該音量調整素子を制御する騒音制御回路とを内蔵する車両放送用増幅器を有し、車両騒音の検出用マイクロフォンにより車両の床下等で車両内音声の放送音声を除く車両の振動騒音ないしは走行騒音のみを検出し、該検出した騒音に含めれる高域周波数成分のレベル変化により音量調整手素子を制御することで放送音量を可変に制御し、該検出した騒音に含まれる低域周波数成分のレベル変化によりハイパスフィルター素子の遮断周波数を連続的かつ階段的に高い方に変化させて徐々に音声の低周波領域を遮断し、更にハイパスフィルター素子の低域遮断周波数を50Hz〜600Hzとし、かつローパスフィルターの高域遮断周波数もハイパスフィルター素子の低域遮断周波数(kHz)とローパスフィルター素子の高域遮断周波数(kHz)の積が0.7 〜1.5 を満足させる数値にすることを特徴とする鉄道車両用の騒音追従制御型放送装置。
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