JP2005095737A - 含水物の固化処理方法 - Google Patents
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Abstract
アクリル酸ソーダなどのような水溶性ポリマーを橋かけして得られる吸水ゲルは、使い捨てオムツなどの衛生用品に広く使われているが、濡れたオムツなどを焼却炉に入れると、燃焼温度が低下しダイオキシンの発生にもつながり、土壌中に埋設処理した場合は分解せず、長い期間滞留する。
デンプンやキチン・キトサンのような天然材料の化学橋かけによる吸水剤は、毒性が強く作業現場の環境汚染と吸水剤中への残留といった問題がある。
【解決手段】
セルロース誘導体及びデンプン誘導体を、水とよく練り高濃度ペースト(糊)状にして、電離性放射線を照射して得られる生分解性の高吸水性ハイドロゲル、その生乾きのゲル及び乾燥ゲルを糞尿、汚泥、食品残渣、酒の抽出残渣に添加することにより水分を吸水し固形化するため、運搬の作業性が良くなり、飼料化及び堆肥化を可能にするものである。
【選択図】 なし
Description
ペースト状橋かけにより得られたCMC、CMSハイドロゲル、半乾燥ゲル及び乾燥ゲルは、糞尿、汚泥、ヘドロ、食品残渣、酒の抽出残渣の水分を吸収することにより運搬の作業性の改善と堆肥化及び飼料化が容易になることから本発明を完成した。
半乾燥ゲル及び乾燥ゲルはペースト状照射により得たハイドロゲルをサイコロ状、又はスライス状に裁断し、100℃を越えない乾燥器を用い乾燥したものである。
CMC及びCMSゲルの添加濃度は、含水物の含水率により異なるが、食品残渣で最高90%の含水率の場合、発酵を可能にする含水率を30%低減するには、自重の100倍吸水するゲルであれば、含水物に対し0.3%の乾燥ゲル、水分100%を吸水するには0.9%の乾燥ゲルの添加となる。したがって、発酵を可能にする水分率にするための好ましい濃度は、含水物の素性と発酵時の固化物の硬さにより影響される。添加濃度範囲は、0.05〜20%であり、好ましい添加濃度0.1〜5%である。
牛舎から採取した糞尿では、流動性を抑制するため、糞尿にオガ粉を加え固形化を行っている。糞尿の同量から3倍のオガ粉を添加している。容量が増大し処理に困っている。しかし、これが現在の糞尿処理の固形化に用いられている技術である。
(実施例1)
用いた乾燥ゲルは、置換度1.3のCMCを20%のペースト状で5kGy照射により得たハイドロゲルを乾燥したものである。牛舎から採取した糞尿200グラムに粒子状乾燥ゲル2グラム添加した。18時間後には、乾燥ゲルが水分を吸収し固化し流動性がなくなった。
(実施例2)
牛舎から採取した糞尿200グラムに実施例1と同じ手法で得た粒子状乾燥CMCゲルを2グラム添加し、オガ粉を16グラム添加した。実施例1より硬く全く流動性のなくなった固化した糞尿が得られた。
(実施例3)
牛舎から採取した糞尿200グラムに実施例1と同じ手法で得たCMCハイドロゲルの20グラムと半乾燥ゲル8グラムを添加した。いずれのゲルも乾燥ゲルとしては4グラムに相当する。いずれもゲルが水を吸収し流動性のない固化糞尿が得られた。
(実施例4)
牛舎から採取した糞尿200グラムに実施例1と同じ手法で得たCMCハイドロゲルの乾燥しないもの20グラムと半乾燥ゲル8グラム(乾燥ゲル4グラムに相当)を添加した。ここにオガ粉を16グラム(糞尿1トンに対し0.33 m3)を添加した。実施例3よりも硬い固化糞尿が得られた。
(比較例2)
食品残渣の発酵処理では、細かく裁断した後遠心分離により含水率を70〜75%に下げ発酵処理を行っている。
(実施例5)
野菜屑をミキサーで裁断した200グラムにCMC濃度20%のペースト状で15kGy照射により得たハイドロゲルを乾燥したゲル2グラムを添加した。3時間後には、ゲルが野菜から遊離した水分を吸収し、固形化し10時間後には試験トレーを傾けても流れないプリン状に固化した。
(比較例3)
酒の抽出残渣では、水分を除去するための遠心分離を行い発酵処理を行っているが、一部ドロドロ状のものからは遠心分離を行っても発酵可能まで含水率を下げるのが困難である。
(実施例6)
アルコール濃度25%と35%の焼酎200グラムに実施例5で用いたのと同じCMC乾燥ゲルを2グラム添加した。15時間後には吸水し寒天状に固形化し流動性がなくなった。
(実施例7)
湖水中から採取したヘドロ200グラムに実施例5で用いたのと同じCMC乾燥ゲルを2グラム添加した。10時間後には水分を吸収し固形化し流動性がなくなった。
(比較例4)
汚泥は発酵し易くするため、バッキ処理等を行った後遠心分離により水分を除去する。
(実施例8)
汚水処理場から入手した汚泥200グラムに実施例5で用いたのと同じCMC乾燥ゲルを4グラム添加した。10時間後にはゲルが水を吸収し、完全に固形化し流動性がなくなった。
(実施例9)
汚水処理場から入手した汚泥200グラムに実施例5で用いたのと同じCMC乾燥ゲルを4グラム添加した。同時に固化処理後の運搬中や保存中の固化体の分解による流動性を防ぐため、汚泥200グラムに対し0.1%の木酢を添加した。4日間経過後も流動性を帯びず、また、カビの発生も抑制された。
Claims (9)
- セルロース誘導体及び/又はデンプン誘導体のペースト状物に放射線橋かけによって得られるハイドロゲル、その生乾きの半乾燥ゲル及び乾燥ゲルの少なくとも1種を含水物に添加し寒天状に固化させ堆肥化及び/又は飼料化を可能にすることからなる含水物の固化処理方法。
- セルロース誘導体及びデンプン誘導体には、水酸基の一部をメチル、エチル及び/又はカルボキシメチル基により置換した水溶性の誘導体が使用される請求項1記載の方法。
- 用いたセルロース誘導体及びデンプン誘導体はカルボキシメチルセルロース(CMC) 及びカルボキシメチルデンプン(CMS)であり、CMCの置換度は0.3〜2.2であり、CMSの置換度は0.1〜1.0である請求項1又は2記載の方法。
- ハイドロゲルを得るための橋かけに用いる電離性放射線はγ線、電子線又はX線であり、その線量は 0.1〜1,000 kGyである請求項1に記載の方法。
- 上記ゲルは、セルロース誘導体及び/又はデンプン誘導体を水と良く練り、5%以上のペースト状で電離性放射線を照射し得られるハイドロゲル、まだ水分を含んでいる生乾きの半乾燥ゲル及び乾燥ゲルの少なくとも1種であり、対象となる含水物によっては生乾きのゲルであっても良い請求項1又は4記載の方法。
- セルロース誘導体及びデンプン誘導体は、含水物の水分量により任意の量で混合して使用することができる請求項1記載の方法。
- 対象となる含水物は、家畜から排出される糞尿、食品残渣、汚泥、ヘドロ、又は酒、お茶若しくはコーヒーの抽出残渣であり、これにハイドロゲル、半乾燥ゲル及び乾燥ゲルの少なくとも1種を添加し、水分を寒天状に凝集させ、これを堆肥化装置により発酵させる請求項1記載の方法。
- 添加するハイドロゲル、半乾燥ゲル及び乾燥ゲルは、乾燥ゲルとして含水物の0.1〜20%であり、含水物の含水量によりその添加濃度は異なり、好ましい濃度は0.5〜5%である請求項1記載の方法。
- セルロース誘導体及び/又はデンプン誘導体のペースト状物に放射線橋かけによって得られるハイドロゲル、半乾燥ゲル及び乾燥ゲルは生分解性であるため、雑多の微生物が存在する糞尿、食品残渣、汚泥、ヘドロでは、固形化の後微生物分解により固形化物が流動性を帯びる場合は、木酢、キトサン、パラオキシ安息香酸エステル類の抗菌剤を使用することができる請求項1又は7記載の方法。
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