JP2005093770A - 金属箔及び離型層付きフィルムキャリア、金属張り板の製造方法及び金属張り板 - Google Patents

金属箔及び離型層付きフィルムキャリア、金属張り板の製造方法及び金属張り板 Download PDF

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Abstract

【課題】微細回路基板の形成に不可欠な極薄金属箔を用いた金属張り板形成において、金属箔にシワ・歪み等が発生するするのを防ぐ。
【解決手段】耐熱性フィルム上に、離型層、および主として銅からなる金属箔をこの順で形成されている金属箔付きポリイミドフィルムキャリア、この金属箔付きフィルムキャリアを用い、金属箔を転写する金属張り板の製造方法およびこの方法で得られた金属張り板。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属箔付きフィルムキャリア、金属張り板の製造方法及び金属張り板に関するものであり、特に、極薄の金属箔をシワや歪みを発生させることなく取り扱うことができる金属箔付きフィルムキャリアに関するものである。
従来、回路基板用金属箔としては、主として厚み12μm〜35μmの銅箔が使用され、回路基板上に形成される配線幅は75μm以上が一般的であった。しかしながら、電子機器の高機能化・軽薄短小化に伴い、回路基板にも高集積化や高密度化の要求が高まりつつあり、より高密度で微細な配線幅の設計が求められている。
回路基板の配線幅の高密度化及び微細化実現には、回路基板を形成するための金属張り板に用いられる金属箔を極薄、すなわち厚さが12μm以下にすることが不可欠だが、極薄の金属箔を単体で取り扱うとシワや歪みが発生しやすく、取り扱いが極めて困難である。そのため、支持体として金属キャリアを用い、この金属キャリアの上に離型層を形成し、その上に極薄の金属箔を形成する方法が特許文献1やエレクトロニクス実装学会誌Vol.4No.2(2001年)などに開示されており、これを用いて金属張り板を製造する方法が特許文献2、特許文献3などに開示されている。
しかしながら、金属キャリアを使用した場合、キャリアと一緒に扱っている間は極薄金属箔にシワや歪みが発生しないが、極薄金属箔との剥離性が不十分であるため、剥離の際にシワや歪みを発生させてしまう問題を有していた。また、金属をキャリアとして使用するためには、使用する金属に一定の厚みが要求されるので、重量が増加し、取り扱い性が著しく悪化する問題も有していた。
このような問題を解決するため、金属キャリアの代わりにポリエステルフィルムなどの汎用フィルムをキャリアを用いる方法が(福田金属箔分工業(株)・パナック(株)プリント配線板用フィルムキャリア付極薄銅箔CKPFカタログ(2003年4月1日付)などで開示されている。しかしながら、通常の汎用フィルムは耐熱性が不十分であり、フィルム強度も不十分であるため、加熱して金属箔を転写する際にフィルムが変形し、その結果として金属箔にシワや歪みが発生するという問題を有していた。更に、環境問題(鉛フリー化やハロゲンフリー化)や長期信頼性等問題などから、回路基板には従来以上の耐熱性も求められており、そのため回路基板を形成するための金属張り板にも耐熱性が要求されつつある。金属張り板は基材(通常はポリイミドフィルム)と金属箔とを接着剤で張り合わせた3層タイプのものが主流であるが、金属張り板の耐熱性を向上させるため、接着剤の硬化温度が徐々に高温化している。故に金属箔と一緒に取り扱われるキャリアにも耐熱性が必要となってきているが、通常フィルムキャリアに使用されているポリエステルフィルムなどは耐熱性が不十分であった。
特開2002−204049号公報 特開2003−71984号公報 特開2002−316386号公報
本発明は、上記の問題点を解決するものであり、耐熱性フィルムを金属箔付きフィルムキャリアのキャリアとして使用することで、極薄金属箔の取り扱いが容易であり、極薄金属箔の剥離も容易であり、重量増加が少なく、耐熱性も良好な金属箔付きフィルムキャリアを提供することにある。
本発明の金属箔付きフィルムキャリアは、耐熱性フィルム上に離型層、金属箔がこの順で形成されている。
金属箔厚みが10nm以上35μm以下であること、離型層が2種類以上の離型剤を積層した構成であること、フィルムがポリイミドフィルムであること、フィルムがビフェニルテトラカルボン酸骨格あるいはピロメリット酸骨格を有するポリイミドフィルムであること、フィルムがフェニレンジアミン骨格あるいはジアミノジフェニルエーテル骨格を有するポリイミドフィルムであること、金属箔が銅を主たる成分とした金属箔であること、離型層の上に電解銅箔あるいは圧延銅箔を形成していること、離型層の上にラミネート、鍍金、スパッタ、蒸着のいずれかの方法で金属箔を形成していることは、それぞれ好ましい態様である。
本発明の金属張り板の製造方法は、上記金属箔付きフィルムキャリアを用い、金属箔を転写することを特徴とする。
50℃以上500℃以下で転写すること、金属箔を転写した後すぐにキャリアを除去せず、150℃以上の高温環境下の工程まで付随させることは好ましい態様である。
本発明の金属張り板は、上記方法で得られた金属張り板である。
本発明の金属箔付きフィルムキャリアを用いることで、極薄金属箔の取り扱いが容易となり、極薄金属箔の剥離も容易であり、重量増加が少なく、耐熱性も良好な金属箔付きフィルムキャリアを提供することができる。
本発明は耐熱性フィルム上に離型層、金属箔がこの順で形成されている金属箔付きフィルムキャリアであることを特徴としている。耐熱性フィルムをキャリアに用いることで、金属箔が極薄であっても取り扱いが容易であり、極薄金属箔の剥離も容易であり、重量増加が少なく、耐熱性も良好となる。
本発明における耐熱性フィルムとしては、ポリフェニレンサルファイド、アラミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホンなどが挙げられるがこれらに限定されない。これらの中ではポリイミドが好ましい。ポリイミドの具体例としては、以下の酸成分とジアミン成分とを用いて得られるポリイミドが挙げられる
(1)酸成分
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−デカヒドロナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,5,6−ヘキサヒドロナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等。
(2)ジアミン成分
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、ベンチジン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、3,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、3,3’−ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,6−ジアミノピリジン、ビス−(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、3,3’−ジクロロベンチジン、ビス−(4−アミノフェニル)エチルホスフィノキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)フェニルホスフィノキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、ビス−(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジメチル−3’,4−ジアミノビフェニル3,3’−ジメトキシベンチジン、2,4−ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス−(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ジアミノアダマンタン、3,3’−ジアミノ−1,1’−ジアミノアダマンタン、3,3’−ジアミノメチル1,1’−ジアダマンタン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4’−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサエチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾール、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、N−(3−アミノフェニル)−4−アミノベンズアミド、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート等。
これらの中では、とりわけビフェニルテトラカルボン酸骨格、ピロメリット酸骨格、フェニレンジアミン骨格、ジアミノジフェニルエーテル骨格を有するポリイミドが好ましい。このような骨格を有するポリイミドフィルムとしては、東レ・デュポン(株)製“カプトン”H、“カプトン”EN、“カプトン”K、鐘淵化学工業(株)製“アピカル”AH、“アピカル”NPI、“アピカル”HP、宇部興産(株)製“ユーピレックス”S、“ユーピレックス”Rなどが挙げられるが、これらに限定されない。
フィルムの物性としては、熱収縮率が0.05%以下、熱膨張係数が銅箔と近似の9〜28ppm/℃であることが好ましく、熱膨張係数が12〜18ppm/℃であることがより好ましい。フィルム厚みとして好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜225μm、更に好ましくは5〜175μmである。フィルムが薄すぎると金属箔を十分に支持できず、金属箔にシワや歪みを発生させてしまうので好ましくない。またフィルムが厚すぎると金属箔をうまく積層できないのでやはり好ましくない。
耐熱性フィルム上に形成する離型層としては、1種類の離型剤から形成してもよいが、好ましくは2種類以上の離型剤を積層した構成がよい。2種類以上の離型剤を積層することでを、様々な金属箔に対応することが可能となり、金属箔を銅張り板上に転写するのも容易となり、銅張り板の各種接着剤硬化温度にも対応することができる。離型層に用いられる離型剤の種類については特に限定されないが、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アルキルカーバメート樹脂、水添テルペン樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂などが選ばれる。これらの樹脂は単独または2種類以上混合して用いられ、更にポリエチレンやポリプロピレンなどの他の樹脂と適宜混合して用いることもできる。
上記のようなフィルムキャリアに積層される金属箔としては、極薄の金属箔が選ばれる。このような極薄金属箔の厚みとしては、10nm以上35μm以下であるものが用いられ、より好ましくは厚みが100nm以上12μm以下であるものが用いられ、更に好ましくは500nm以上9μm以下であるものが用いられる。金属箔が極度に薄すぎるとうまく転写できず、またせっかくキャリアでシワや歪みが発生するのは防いでも転写後にシワや歪みが発生する。逆に金属箔が厚すぎると微細配線形成に不利となるので上記範囲が選ばれる。金属箔の種類としては、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、鉛、スズ、銀、金、ステンレスなどが挙げられるが、回路基板の配線として用いられることから、主として銅からなる金属箔であることが好ましい。金属箔形成の方法としては、離型層の上に電解銅箔あるいは圧延銅箔をラミネートする方法、離型層の上に鍍金、スパッタ、蒸着のいずれかの方法で形成する方法が挙げられる。また、場合によっては鍍金やスパッタ、蒸着などを適宜組み合わせて形成してもよい。ここで、鍍金としては無電解鍍金、電解鍍金のいずれでもよい。
上記のような構成で得られる金属箔付きキャリアフィルムを用い、金属箔を転写することで金属張り板を形成する。金属箔転写の温度、方法については特に限定されないが、50℃以上500℃以下で転写するのが好ましく、100℃以上400℃以下で転写することがより好ましい。転写温度が低すぎると金属箔の剥離が不十分でうまく転写できず、転写温度が高すぎると金属箔やフィルムキャリアが熱劣化を起こすので上記範囲が選ばれる。
また、金属箔転写後すぐにフィルムキャリアを除去せず、その後の150℃以上の高温環境化でのキュアリング工程まで付随させることも有用である。この場合、フィルムキャリアは金属箔の保護フィルムとしての役割も果たし、ロールキュア時の巻き締まりおよび搬送工程で発生する金属箔への傷や、熱劣化を防ぐのにも有効に働く。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
耐熱性フィルムとして、ピロメリット酸骨格とジアミノジフェニルエーテル骨格を有する東レ・デュポン(株)製ポリイミドフィルム”カプトン”150EN(37.5μm厚)を用いた。この耐熱性フィルムの上に、接着強度の異なる2種類のシリコーン系離型剤を使用し、相対的に接着強度の強い(接着強度1N/cmの)シリコーン系離型剤Aを耐熱性フィルム側に厚み1μmで形成し、次に接着強度の弱い(接着強度0.1N/cmの)離型剤Bを離型剤Aの上に厚み1μmで積層した。
得られた離型層(ピール強度が相対的に弱い離型剤B層)の上にNi/Cr=90/10合金を100nm厚になるようにスパッタし、その後に銅を1000nm厚になるようにスパッタし、その後に電解銅鍍金により総厚みが2μmである金属箔を形成し、金属箔付きフィルムキャリアを得た。
回路基板のベース基材として東レ・デュポン(株)製ポリイミドフィルム”カプトン”50EN(12.5μm厚)を用い、この片面に三井化学(株)製エポキシ樹脂系接着剤EPOX−AH357を乾燥厚み15μmで塗布して形成した。上記で得られた金属箔付きキャリアフィルムを使用し、金属箔をこのエポキシ樹脂系接着剤が塗布されたポリイミドフィルムの接着剤側に70℃×10秒(2MPa加圧下)で転写し、金属箔・接着剤・ポリイミドフィルムの3層構造からなる金属張り板を得た。その後、金属張り板を200℃×60分(2MPa加圧下)で処理し、接着剤を硬化させた。
得られた金属張り板の外観を検査したところ、2μm厚という極薄の金属箔にもかかわらず、シワや歪みは観察されなかった。また、フィルムキャリアの離型層の転写も観察されず、高密度回路基板に適した金属張り板であった。
[実施例2]
耐熱性フィルムとして、ピロメリット酸骨格とジアミノジフェニルエーテル骨格を有する東レ・デュポン(株)製ポリイミドフィルム”カプトン”200H(50μm厚)を用いた。この耐熱性フィルムの上に、アルキルカーバイド系離型剤を厚み5μmで形成した。離型層の上に、電極ドラム上で形成した厚みが1μmの電解銅箔を200℃×10秒(2MPa加圧下)で転写することで金属箔付きフィルムキャリアを得た。
このようにして得られた金属箔付きフィルムキャリアを用い、実施例1と同様の方法で金属張り板を得た。
得られた金属張り板の外観を検査したところ、1μm厚という極薄の金属箔にもかかわらず、シワや歪みは観察されなかった。また、フィルムキャリアの離型層の転写も観察されず、高密度回路基板に適した金属張り板であった。
[実施例3]
耐熱性フィルムとして、鐘淵化学工業(株)製ポリイミドフィルム”アピカル”25NPI(25μm厚)を用いた。この耐熱性フィルムの上に、テルペンフェノール樹脂系離型剤を厚み10μmで形成した。離型層の上に、パラジウム核付け、活性化処理、無電解銅鍍金、電解銅鍍金、無電解錫鍍金をこの順に施し、全体厚みが5μmである金属箔を形成し、金属箔付きフィルムキャリアを得た。
回路基板のベース基材として鐘淵化学工業(株)製ポリイミドフィルム”アピカル”25NPI(25μm厚)を用い、この両面にエポキシ樹脂系接着剤をコーティングした。上記で得られた金属箔付きキャリアフィルムを使用し、金属箔をこのエポキシ樹脂系接着剤が塗布されたポリイミドフィルムの両方の接着剤上に150℃×10秒(2MPa加圧下)で転写し、金属箔・接着剤・ポリイミドフィルム・接着剤・金属箔の5層構造からなる両面金属張り板を得た。その後、金属張り板を200℃×60分(2MPa加圧下)で処理し、接着剤を硬化させた。
得られた金属張り板の外観を検査したところ、5μm厚という極薄の金属箔にもかかわらず、シワや歪みは観察されなかった。また、フィルムキャリアの離型層の転写も観察されず、高密度回路基板に適した金属張り板であった。
[実施例4]
耐熱性フィルムとして、ビフェニルテトラカルボン酸骨格とフェニレンジアミン骨格を有する宇部興産(株)製ポリイミドフィルム“ユーピレックス”25S(50μm厚)を用いた。この耐熱性フィルムの上に、水添テルペン樹脂系離型剤を厚み2μmで形成した。離型層の上に、Niを100nm厚になるようにスパッタし、その後に銅を1000nm厚になるようにスパッタし、その後に無電解銅鍍金を0.5μm厚、電解銅鍍金を3μm施し、金属箔付きフィルムキャリアを得た。
このようにして得られた金属箔付きフィルムキャリアを用い、実施例3と同様の方法で金属張り板を得た。
得られた金属張り板の外観を検査したところ、極薄の金属箔にもかかわらず、シワや歪みは観察されなかった。また、フィルムキャリアの離型層の転写も観察されず、高密度回路基板に適した金属張り板であった。
[比較例1]
実施例1において、耐熱性フィルムであるポリイミドフィルム”カプトン”150ENの代わりに厚さ0.15mmのアルミニウム板を用いる以外は全て実施例1と同様にして金属箔付きキャリアを形成した。
形成した金属箔付きキャリアを用い、実施例1と同じように金属箔を転写して3層金属張り板を作成しようとしたが、アルミニウムキャリアから金属箔うまく剥離できず、ところどころにシワの発生が見られた。
更に、得られた金属張り板の外観を検査したところ、金属箔にはところどころに歪みも観察され、高密度回路基板に使用できる状態ではなかった。
[比較例2]
実施例2において、耐熱性フィルムである東レ・デュポン(株)製ポリイミドフィルム”カプトン”200Hの代わりに厚さ25μmの東レ(株)製ポリエステルフィルム“ルミラー”を用いる以外は全て実施例2と同様にして金属箔付きキャリアを形成した。
形成した金属箔付きキャリアを用い、実施例2と同じように金属箔を転写して3層金属張り板を作成しようとしたが、転写の際にポリエステルフィルムに熱による歪みが発生し、その影響で金属箔にも歪みが発生した。
更に、得られた金属張り板の外観を検査したところ、金属箔にはところどころにシワも観察され、高密度回路基板に使用できる状態ではなかった。
[実施例5〜8]
実施例1〜4において、金属箔を転写する際、すぐにフィルムキャリアを剥離せず、フィルムキャリア毎ロール状に巻き取った。この状態で200℃×60分(2MPa加圧下)で処理し、接着剤を硬化させた。接着剤硬化後、フィルムキャリアを剥がして外観を観察したところ、接着剤硬化による巻き締まりが大幅に緩和されており、熱による金属箔の損傷も回避されていた。
本発明の金属箔付きフィルムキャリアは通常の回路基板はもとより、高密度回路基板に使用可能である。

Claims (13)

  1. 耐熱性フィルム上に離型層、金属箔がこの順で形成されている金属箔付きフィルムキャリア。
  2. 金属箔厚みが10nm以上35μm以下であることを特徴とする請求項1記載の金属箔付きフィルムキャリア。
  3. 離型層が2種類以上の離型剤を積層した構成であることを特徴とする請求項1記載の金属箔付きフィルムキャリア。
  4. フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1記載の金属箔付きフィルムキャリア。
  5. フィルムがビフェニルテトラカルボン酸骨格あるいはピロメリット酸骨格を有するポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1記載の金属箔付きフィルムキャリア。
  6. フィルムがフェニレンジアミン骨格あるいはジアミノジフェニルエーテル骨格を有するポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1記載の金属箔付きフィルムキャリア。
  7. 金属箔が銅を主たる成分とした金属箔であることを特徴とする請求項1記載の金属箔付きフィルムキャリア。
  8. 離型層の上に電解銅箔あるいは圧延銅箔を形成していることを特徴とする請求項1記載の金属箔付きフィルムキャリア。
  9. 離型層の上にラミネート、鍍金、スパッタ、蒸着のいずれかの方法で金属箔を形成していることを特徴とする請求項1記載の金属箔付きフィルムキャリア。
  10. 請求項1記載の金属箔付きフィルムキャリアを用い、金属箔を転写することを特徴とする金属張り板の製造方法。
  11. 50℃以上500℃以下で転写することを特徴とする請求項10記載の金属張り板の製造方法。
  12. 金属箔を転写した後すぐにキャリアを除去せず、150℃以上の高温環境下の工程まで付随させることを特徴とする請求項10記載の金属張り板の製造方法。
  13. 請求項10〜12いずれか記載の方法で得られた金属張り板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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