JP2005091707A - トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも、スチレン系共重合体樹脂から成るバインダー樹脂と、着色剤と、ポリオレフィンワックスと、ワックス分散剤としてα‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物とを含むトナーである。その共重合物中の無水マレイン酸の含有量は5〜15重量%であり、ポリオレフィンワックスの含有量はバインダー樹脂を構成する全単量体量に対し10〜25%であり、かつワックス分散剤の含有量はポリオレフィンワックスの全量に対し10〜60%である。
【選択図】なし
Description
また無水マレイン酸モノエステルはマレイン酸のモノアルキルエステルである。アルキルは、ワックスの脱離防止効果とワックスの均一分散促進効果が達成される限り特に制限されず、例えば、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基であってよい。好ましい無水マレイン酸モノエステルの具体例としては、例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノプロピルエステル、マレイン酸モノブチルエステル等が挙げられ、特にマレイン酸モノプロピルエステルが好ましい。無水マレイン酸モノエステルは2種類以上組み合わせて使用することができる。
またワックス分散剤のエステル価は30〜60KOHmg/g、好ましくは30〜55KOHmg/g、特に35〜55KOHmg/gであることが望ましい。エステル価は試料1gに含まれているエステルを完全にケン化するために必要な水酸化カリウムのmg数をいい、本発明においてはケン化価と上記酸価との差であらわしている。ワックス分散剤のケン化価はBWM3.02Aに基づいて測定された値を使用している。
また数平均分子量(Mn)は通常、600〜8,000、特に2,000〜4,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は通常、1.0〜1.5、特に1.1〜1.3であることが好ましい。MnおよびMwはゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された値を使用している。
また、種類が異なる2種類のワックスを使用することもできる。ここで、「種類が異なる」とは材質、融点のうち少なくとも1つが異なることを意味する。2種類のワックスはいずれもポリオレフィン系ワックスであることがさらに好ましく、特にポリエチレンワックスとポリプロピレンワックスとを組み合わせて使用することが好ましい。トナー特性がより有効に向上するためである。2種類のワックスは異なる融点を有することが好ましく、特に融点70〜100℃の低融点ワックスと融点120〜150℃の高融点ワックスとを組み合わせて使用することが好ましい。融点の異なる2種類のワックスを使用する場合、融点が比較的低いワックスとしてポリエチレンワックス、融点が比較的高いワックスとしてポリプロピレンワックスを使用することが特に好ましい。
樹脂粒子を得るために使用する重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
バインダー樹脂を合成するためのラジカル重合性単量体としては、スチレンを含有する芳香族系ビニル単量体を必須の構成成分とし、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を組合せて用いることができる。
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることができる。
スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
また、樹脂粒子の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素およびα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
また、本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
また、前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
また、樹脂粒子は軟化点が100〜130℃、好ましくは110〜120℃であることが望ましい。100℃未満ではワックスの分散が低下して定着分離性が悪化する。130℃より大きいと、所望の光沢度が得られにくく、無光沢な画像となる恐れがある。
本発明で使用される着色剤としては、従来から静電潜像現像用トナーの着色剤として使用されている公知の顔料及び染料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を挙げることができる。
本発明のトナーには帯電制御剤や磁性粉等の添加剤を含有させてもよい。
帯電制御剤としては、従来から静電潜像現像用トナーの分野で帯電性を制御するために添加されている公知の帯電制御剤が使用可能である。例えば、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体、アゾ系金属化合物のような含金属染料、マレイン酸を単量体成分として含む共重合体の如き高分子酸、カリックスアレーン化合物、有機ホウ素化合物等を使用することができる。
(1)ワックスとワックス分散剤を単量体に溶解して単量体溶液を調製する溶解工程、
(2)得られた単量体溶液を水系媒体中に分散する分散工程、
(3)得られた単量体溶液の水系分散系を重合することにより、ワックスを含有する樹脂粒子の分散液を調製する重合工程、
(4)得られた樹脂粒子と、着色剤粒子とを水系媒体中で凝集/融着させてトナー粒子を得る凝集/融着工程
(5)得られたトナー粒子を水系媒体中より濾別し、そのトナー粒子から界面活性剤などを洗浄除去する濾過・洗浄工程、
(6)洗浄処理されたトナー粒子の乾燥工程から構成され、そして必要により乾燥処理されたトナー粒子に外部添加剤を添加する外部添加剤添加工程を含む方法を挙げることができる。
ワックスとワックス分散剤を重合性単量体中に溶解する方法としては特に限定されるものではない。なお、この単量体溶液中に、油溶性重合開始剤および他の油溶性の成分を添加することもできる。
単量体溶液を水系媒体中に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、機械的エネルギーにより分散させる方法が好ましく、特に、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、機械的エネルギーを利用して単量体溶液を油滴分散させることが好ましい。ここに、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば「クレアミックス」、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは30〜300nmとされる。
重合工程においては、基本的には公知の重合方法(乳化重合、懸濁重合、シード重合、ミニエマルション重合等の造粒重合法)を採用することができるが、ミニエマルション重合が好ましい。また、この重合工程においては、重合反応を多段階的に分けて行うことにより形成される異なる分子量分布を有する樹脂によって構成され、その粒子の表層に向かって分子量勾配が形成されてなる複合樹脂微粒子を得るための、いわゆる多段重合法を用いることが好ましい。
多段重合法を用いる場合、本発明のトナーの製造方法は、以下に示す工程より構成されることが好ましい。
多段重合工程とは、オフセット発生防止したトナーを得るべく樹脂粒子の分子量分布を拡大させるために行う重合方法である。すなわち、1つの樹脂粒子において異なる分子量分布を有する相を形成するために重合反応を多段階に分けて行うものであって、得られた樹脂粒子がその粒子の中心より表層に向かって分子量勾配を形成させる様に意図して行うものである。例えば、はじめに高分子量の樹脂粒子分散液を得た後、新たに単量体と連鎖移動剤を加えることによって低分子量の表層を形成する方法が採られている。本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。この様な多段階重合反応によって得られたトナーでは破砕強度の観点から表層程低分子量のものが好ましい。
塩析/融着工程においては、上記の重合工程により得られる樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を添加し、前記樹脂粒子と、前記着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させ、着色粒子(トナー粒子)を得る。
塩析/融着法は、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩およ/またはアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
塩析/融着工程に使用される着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行うことが好ましい。
さらに、前記水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等があげられるが、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
塩析剤を添加する温度は特に限定されないが、樹脂粒子のガラス転移温度以下であることが好ましい。また、塩析/融着工程においては、加熱により速やかに昇温させる必要があり、昇温速度としては、1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な塩析/融着の進行による粗大着色粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。
さらに、樹脂粒子および着色剤粒子の分散液が前記ガラス転移温度以上の温度に到達した後、当該分散液の温度を一定時間保持することにより、塩析/融着を継続させることが肝要である。これにより、着色粒子(トナー粒子)の成長(樹脂粒子および着色剤粒子の凝集)と、融着(粒子間の界面消失)とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナーの耐久性を向上することができる。
また、会合着色粒子の成長を停止させた後に、加熱による融着を継続させてもよい。
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られた着色粒子(トナー粒子)の分散液から当該着色粒子を濾別する濾過処理と、濾別された着色粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここで、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
この工程は、洗浄処理された着色粒子(トナー粒子)を乾燥処理する工程である。
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
乾燥処理された着色粒子(トナー粒子)の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下である。
なお、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
この工程は、乾燥処理された着色粒子(トナー粒子)に外添剤を添加する工程である。外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、かつ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
以下の表1にトナーを構成するラテックス(樹脂粒子)及びワックス分散剤の配合量等を示し、表2には用いたワックス分散剤の物性を示す。なお、以下の実施例では、ポリエチレンワックスには、東洋ぺトライト社製のPW400(融点81℃)、PW500(融点88℃)及びPW655(融点97℃)を用いた。比較のため、エステル化合物から成るワックスであるWEP-5(日本油脂社製)も用いた。また、ワックス分散剤は、東洋ぺトライト社製のセラマー1608とセラマー1251、そしてセラマー67を用いた。
(複合ラテックスの調製)
(1)核粒子の調製(第一段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに下記に示すアニオン系界面活性剤7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、フラスコ内の温度を80℃に昇温させた。
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に、ポリエチレンワックスとして、PW400 98.0g、ワックス分散剤(セラマー1608)32.5gを添加し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
上記の様にして得られたラテックス(B)に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層にポリエチレンワックスが含有されている複合樹脂粒子の分散液を得た。このラテックスを「ラテックス(C)」とする。
(着色粒子の調製)
このラテックス(C)を構成する複合樹脂粒子は、138,000、80,000および13,000にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の重量平均粒径は120nmであった。
分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
ワックスをPW500に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
ワックスの添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
分散剤をセラマー1251に、そしてマレイン酸無水物の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
中間層形成時に、ポリエステル樹脂エマルション(ES-1、中京油脂社製)を、全単量体に対してポリエステル樹脂が5%になるように単量体溶液に添加して中間層を形成した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
ワックスをPW655に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
分散剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。本比較例では、ゲル状の凝集物が発生し、ワックスの分散性が不均一となり定着特性が著しく低下した。
ワックスにWEP-5を用い、かつ分散剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
ワックスにWEP-5を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
ワックスの添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
分散剤をセラマー67に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
得られたトナーについて、以下の評価試験を行った。結果を表3に示す。
<耐熱保管性>
トナー20gを50mlガラス瓶に入れ、50℃の高温下に24hr放置後、そのトナーを目視で確認することにより行なった。
○:凝集トナーがなく、全く問題なし。
△:軽い軟凝集が存在するが、軽い力ですぐ解れ、実用上問題ないもの。
×:強い凝集塊が存在し、容易には解れないもので実用上問題あり。
カラーレーザープリンタmagicolor 2300 DL(ミノルタキューエムエス社製)にてL/L(低温低湿環境)の初期およびN/Nの初期及び2000枚連続複写後(耐久後)にそれぞれ感光体上、中間転写体上を目視で評価した。
なお、連続複写は所定のプリントパターンでB/W比が6%の条件で行った。
○:フィルミングおよびBSの発生がなく問題のないもの。
△:どちらか片方でフィルミングおよびBSの発生がみられるが画像上には見えない。
×:フィルミングおよびBSの発生があり画像上でも確認できる。
トナーの臭気官能評価により、試験を行う。
評価サンプル作成方法
トナーをガラス製のサンプル瓶に3g採取し、密閉後150℃のホットプレートに載せて1時間加熱状態で静置する。1時間後、自然放冷し、更に一晩放置した後、蓋を外し、臭気を評価する。
○;臭うが不快感はない。
△;臭いがあり、若干不快感はあるが、実用上問題ない。
×;臭くて不快感があり、実用上問題がある。
温度制御を任意に変更できるよう改造した定着器magicolor 2300 DL(ミノルタキューエムエス社製)を用いて、評価を行った。
(オフセット、定着分離性)
定着ローラの温度を変化させ、低温側は合計付着量15g/m2の3層を重ね合わせたベタ画像を画だしし、高温側は付着量0〜5.0g/m2の単色のグラデーション画像を各色で画だしし、定着ローラ通過後の紙上の画像を観察した。いずれの画像においても低温オフセットおよび高温オフセットが発生しない定着温度幅によって評価を行った。
紙はCF900用標準紙のCFペーパー(坪量80g/m2)を用いた。オフセットがわずかでも確認できるものは不良とした。
○:上記定着温度幅が40℃より広いもの
△:上記定着温度幅が30℃〜40℃のもの
×:上記定着温度幅が30℃未満のもの
ワックスを単量体へ溶解した時のワックス分散溶液の分散状態を目視で確認することにより行なった。
○;完全溶解しており、全く問題なし
△;ほんのわずかに濁りが見られるものの実用上問題ないレベル
×;完全に白濁しており明らかな分散不良
本発明のトナーは、表3の結果から明かなように、実機試験において、とワックス分散剤としてα‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物を用いることにより、ポリオレフィンワックスを用いた場合においても、優れた定着分離性を与えることを確認した。さらに、耐熱保管性も良好で、フィルミングの発生もなく、トナー臭気についても実用上の問題はなかった。
Claims (9)
- 少なくとも、スチレン系共重合体樹脂から成るバインダー樹脂と、着色剤と、ポリオレフィンワックスと、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物とを含有して成り、該共重合物中の無水マレイン酸の含有量が5〜15重量%であり、ポリオレフィンワックスの含有量がバインダー樹脂を構成する全単量体量に対し10〜25%であり、かつ上記共重合物の含有量がポリオレフィンワックスの全量に対し10〜60%であるトナー。
- 上記共重合物が、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体に無水マレイン酸モノエステルをグラフト化したグラフト重合物である請求項1記載のトナー。
- 上記ポリオレフィンワックスと上記共重合物の融点の差が10℃以内である請求項1又は2に記載のトナー。
- 上記ポリオレフィンワックスが、70℃〜90℃の融点を有する無極性のワックスである請求項1から3のいずれか一つに記載のトナー。
- 上記共重合物の含有量が、上記バインダー樹脂を構成する全単量体量に対して1〜10%である請求項1から4のいずれか一つに記載のトナー。
- 上記バインダー樹脂がポリエステル樹脂を含む請求項1から5のいずれか一つに記載のトナー。
- 上記トナーが、少なくとも、上記バインダー樹脂から成る樹脂粒子と上記着色剤とを水系媒体中で凝集及び融着して成るトナーであって、上記樹脂粒子は、コア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成り、該被覆層の最外層以外の層にポリオレフィンワックスと上記共重合物を含有して成る請求項1から6のいずれか一つに記載のトナー。
- 多段階重合によりコア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成る樹脂粒子を調製し、該樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で凝集・融着させるトナーの製造方法であって、
上記樹脂粒子はスチレン系共重合体樹脂から成るバインダー樹脂であり、
最外層以外の被覆層を形成するに際し、ポリオレフィンワックスと、無水マレイン酸の含有量が5〜15重量%である、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物とをスチレンを含有する単量体溶液に溶解してミニエマルション重合を行うトナーの製造方法。 - 上記ポリオレフィンワックスを上記樹脂粒子を構成する全単量体に対し10〜25%となるように添加し、かつ上記共重合物をポリオレフィンワックスの全量に対し10〜60%となるように添加する請求項8記載の製造方法。
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