JP2005091707A - トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 オイルレス定着システムにおいても充分な定着分離性能を発揮でき、かつ画質性(画像上のキメ、カブリ)、クリーニング性に優れた静電荷像現像用のトナーを提供すること。
【解決手段】 少なくとも、スチレン系共重合体樹脂から成るバインダー樹脂と、着色剤と、ポリオレフィンワックスと、ワックス分散剤としてα‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物とを含むトナーである。その共重合物中の無水マレイン酸の含有量は5〜15重量%であり、ポリオレフィンワックスの含有量はバインダー樹脂を構成する全単量体量に対し10〜25%であり、かつワックス分散剤の含有量はポリオレフィンワックスの全量に対し10〜60%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等により形成された静電潜像を現像するためのトナーに関する。
従来、静電潜像現像用のトナーを重合法によって製造する技術は公知であり、例えば懸濁重合法によってトナー粒子を得ることが行われている。しかしながら、懸濁重合法で得られるトナー粒子は球形であり、クリーニング性に劣るという欠点がある。このため、乳化重合会合法により得られる微粒子を会合させて球形度合いを制御するトナー粒子を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
一方、熱ローラなどの加熱部材を使用して行われる接触加熱方式による定着工程において、加熱部材に対するトナー粒子の離型性(以下、単に「耐オフセット性」という。)および加熱部材に対する画像支持体の巻き付き防止特性(以下、単に「定着分離性」という。)が要求される。ここに、耐オフセット性は、トナー粒子表面にワックスを存在させることにより向上させることができ、定着分離性は、特許文献1に見られるようにトナー粒子表面に高分子樹脂を存在させることにより向上させることができる。しかし近年、定着システムにおける定着温度の低温化が進められており、樹脂成分の低粘度化により定着分離性能が不十分となってきている。
そこで、最近ではワックスをさらに高充填した系で定着分離性を確保する提案が多くなされている。例えば、ポリオレフィンを有するワックス分散剤を含有するトナー(例えば、特許文献2)、スチレン系単量体を用いて合成された共重合体とポリオレフインとを有するワックス分散剤を含有するトナー(例えば、特許文献3)、ワックス分散剤としてアルキレン−グリシジルメタクリレートを使用したトナー(例えば、特許文献4)、ワックス分散剤としてエチレン及びエチレンオキサイドのブロックポリマー(例えば、ユニソックス550(ペトロライト社製))および/またはポリエチレン又はポリプロピレンとプロピレンオキサイド、アクリル酸、カプロラクトン、カプロラクタム、アルキルオキサゾリン又は塩化ビニルとのブロックコポリマー;ポリエチレンブロックポリエステル;ポリエチレンブロックポリ塩化ビニル;ポリエチレンブロックポリフッ化ビニリデンを使用したトナー(例えば、特許文献5)が提案されている。
特開2000−292978号公報 特開2001−255690号公報 特開2001−249485号公報 特開平7−199542号公報 特開平6−250432号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているように特定のエステル化合物をワックスとして用いる場合、高分子量樹脂成分がある一定の範囲に入っていないと良好な定着分離性能を維持することは難しい。従って低温定着や省エネ定着を前提として低軟化点樹脂を主成分として用いた場合、ワックス分散径はかなり小さくなり、定着瞬時におけるワックスの染み出し速度が遅くなり、ひいてはオイルを塗布しない定着器において紙との分離性を充分に満足することができないという問題がある。また、比較的定着分離性能が良好とされるポリオレフィンワックスについてはバインダー樹脂を構成するスチレン単量体との溶解性が芳しくなく、均一なラテックスを形成することが困難であるという問題もある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、樹脂の粘性に影響を受けにくく、オイルレス定着システムにおいても充分な定着分離性能を発揮でき、かつ画質性(画像上のキメ、カブリ)、クリーニング性に優れた静電荷像現像用のトナーを提供することを目的とした。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の共重合物をポリオレフィンワックスに加えることにより、ポリオレフィンワックスを高充填した系でもスチレン単量体との溶解性が良好で、ポリオレフィンワックスが均一に分散されたラテックスを完成するに至った。すなわち、本発明のトナーは、 少なくとも、スチレン系共重合体樹脂から成るバインダー樹脂と、着色剤と、ポリオレフィンワックスと、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物とを含有して成り、該共重合物中の無水マレイン酸の含有量が5〜15重量%であり、ポリオレフィンワックスの含有量がバインダー樹脂を構成する全単量体量に対し10〜25%であり、かつ上記共重合物の含有量がポリオレフィンワックスの全量に対し10〜60%であることを特徴とする。
本発明によれば、スチレン系共重合体樹脂から成るバインダー樹脂を含むトナーに、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物を含有させることにより、ポリオレフィンワックスの脱離を防止する効果と均一分散を促進する効果とを付与することができる。これにより、低温定着のためバインダー樹脂を低粘度化した場合においても、ワックスの充填量を確保し、かつ分散径を大きくして染み出し速度を速くすることにより、定着分離性を確保することが可能となる。詳しい機構は明かではないが、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物はポリオレフィンワックスの分散剤として作用するが、その無水マレイン酸部位が、バインダー樹脂のスチレン部位とポリオレフィンワックスとの相溶化剤として働くものと考えられる。
また、本発明のトナーは、上記共重合物に、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体に無水マレイン酸モノエステルをグラフト化したグラフト重合物を用いることができる。
また、本発明のトナーは、ポリオレフィンワックスと上記共重合物の融点の差が10℃以内であるものを用いることができる。
また、本発明のトナーは、ポリオレフィンワックスに、70℃〜90℃の融点を有する無極性のワックスを用いることができる。
また、本発明のトナーは、上記共重合物の含有量がバインダー樹脂を構成する全単量体量に対して1〜10%であるものを用いることができる。
また、本発明のトナーは、バインダー樹脂にさらにポリエステル樹脂を含むものを用いることができる。
また、本発明のトナーは、少なくとも、バインダー樹脂から成る樹脂粒子と着色剤とを水系媒体中で凝集及び融着して成るトナーであって、上記樹脂粒子は、コア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成り、該被覆層の最外層以外の層にポリオレフィンワックスと上記共重合物を含有して成るものを用いることができる。
本発明のトナーは、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、多段階重合によりコア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成る樹脂粒子を調製し、該樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で凝集・融着させるトナーの製造方法であって、上記樹脂粒子はスチレン系共重合体樹脂から成るバインダー樹脂であり、最外層以外の被覆層を形成するに際し、ポリオレフィンワックスと、無水マレイン酸の含有量が5〜15重量%である、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物とをスチレンを含有する単量体溶液に溶解してミニエマルション重合を行う製造方法である。
また、上記の製造方法において、ポリオレフィンワックスを樹脂粒子を構成する全単量体に対し10〜25%となるように添加し、かつ上記共重合物をポリオレフィンワックスの全量に対し10〜60%となるように添加することができる。
本発明によれば、上記のグラフト重合物から成る分散剤は、ポリオレフィンワックスのトナー粒子からの脱離を防止するとともに、ポリオレフィンワックスの均一分散を促進し、オイルレスの定着システムにおいても適用可能な良好な定着分離性を有する静電潜像現像用のトナーを提供することができる。
本発明のトナーは、特定のワックス分散剤を含有させることにより、ポリオレフィンワックスを比較的多量に含有する場合でも、ワックスのトナー粒子からの脱離を有効に防止しながらワックスをより均一に分散させることができる。
本発明において使用されるワックス分散剤はα-オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物、すなわち「α-オレフィンと無水マレイン酸との共重合体」と「無水マレイン酸モノエステル」との共重合物であり、好ましくは「α-オレフィンと無水マレイン酸との共重合体」に「無水マレイン酸モノエステル」を導入してなるグラフト共重合物である。
本発明において好ましく使用されるグラフト共重合物は詳しくは、主鎖としての「α-オレフィンと無水マレイン酸との共重合体」に無水マレイン酸モノエステル(マレイン酸モノエステル)をグラフト共重合させてなるものである。グラフト共重合の方法は、上記グラフト共重合物が得られる限り、特に制限されず、例えば、「α-オレフィンと無水マレイン酸との共重合体」への連鎖移動反応を利用する方法、上記共重合体に遊離基に分裂し得る官能基を導入し、そこから重合を開始する方法、上記共重合体からイオン重合を開始せしめる方法等が挙げられる。
ワックス分散剤を構成するα-オレフィンは、当該ワックス分散剤の添加によってトナーに、ワックスの脱離防止効果とワックスの均一分散を促進する効果とを付与できる限り特に制限されず、例えば、炭素数2〜10、好ましくは2〜4のα-オレフィンが使用可能である。好ましい具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられ、特にエチレン、プロピレンが好ましい。α-オレフィンは2種類以上組み合わせて使用することができる。
また無水マレイン酸モノエステルはマレイン酸のモノアルキルエステルである。アルキルは、ワックスの脱離防止効果とワックスの均一分散促進効果が達成される限り特に制限されず、例えば、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基であってよい。好ましい無水マレイン酸モノエステルの具体例としては、例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノプロピルエステル、マレイン酸モノブチルエステル等が挙げられ、特にマレイン酸モノプロピルエステルが好ましい。無水マレイン酸モノエステルは2種類以上組み合わせて使用することができる。
本発明において、ワックス分散剤は、共重合物中の無水マレイン酸の含有量が該共重合物を構成する全単量体に対して5〜15重量%であり、特に8〜13重量%であることが好ましい。無水マレイン酸の含有量が5重量%未満だと、当該ワックス分散剤がポリエステル系樹脂とワックス、特にポリオレフィンワックスとの相溶化剤としての機能を有さなくなり、ワックスの均一な分散性の維持が困難になる。また、含有量が15重量%を超えると酸単量体臭が強くなり高温での定着時にトナー臭気の問題が発生するからである。
そのようなワックス分散剤の酸価は80〜170KOHmg/gであり、特に120〜165KOHmg/gであることが好ましい。ワックス分散剤の酸価はBWM3.01Aに基づいて測定された値を使用している。
またワックス分散剤のエステル価は30〜60KOHmg/g、好ましくは30〜55KOHmg/g、特に35〜55KOHmg/gであることが望ましい。エステル価は試料1gに含まれているエステルを完全にケン化するために必要な水酸化カリウムのmg数をいい、本発明においてはケン化価と上記酸価との差であらわしている。ワックス分散剤のケン化価はBWM3.02Aに基づいて測定された値を使用している。
ワックス分散剤の融点は通常、60〜90℃、特に70〜80℃であることが好ましい。ワックス分散剤の融点はASTMD36に基づいて測定された値を使用している。
また数平均分子量(Mn)は通常、600〜8,000、特に2,000〜4,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は通常、1.0〜1.5、特に1.1〜1.3であることが好ましい。MnおよびMwはゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された値を使用している。
上記のようなワックス分散剤の市販品として、例えば、ペトロライト社製のセラマーシリーズが入手可能である。具体例として、セラマー1608、セラマー1251等が挙げられ、特にセラマー1608を使用することがトナー特性をより有効に向上させる観点から最も好ましい。セラマー1608は「プロピレンと無水マレイン酸との共重合体」に「無水マレイン酸モノイソプロピルエステル」を導入してなるグラフト共重合物である。
また、トナー組成物中におけるワックス分散剤の含有量は、該ワックス分散剤の添加によってトナーに、ワックスの脱離防止効果とワックスの均一分散を促進する効果とを付与でき、かつ臭気の問題を生じない限り特に制限されず、通常、後述のバインダー樹脂を構成する全単量体に対し、1〜10%、好ましくは2〜7%である。
また、ワックス分散剤の含有量はワックス総添加量に対して10〜60%、特に20〜50%であることが好ましい。ワックスの脱離防止効果とワックスの均一分散を促進する効果とをより有効に得ることができるためである。
また、ワックス分散剤とワックスとの融点の差は、10℃以内であることが好ましい。その差が10℃よりも大きくなると、分散剤とワックスが別々に溶融してトナー中でワックスが分離し易くなるからである。
また、ワックス分散剤は、トナー組成物の製造に際して、より小粒径で使用されることが好ましい。ワックス分散剤は例えば、平均粒径1,000μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、最も好ましくは50μm以下、特に10μm以下に粉砕して使用されることが、ワックスの脱離防止効果とワックスの分散液中での均一分散を促進する効果の観点から望ましい。
本発明に用いるワックスには、ポリエチレンワックスおよびポリプロピレンワックス等のポリオレフィン系ワックス、酸化型ポリエチレンワックスおよび酸化型ポリプロピレンワックス等の酸変性ワックス、を挙げることができる。
酸変性ワックスはポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィンに、カルボキシル基を有し、かつ重合性二重結合を有する酸単量体を付加反応させることによって得ることができる。酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸からなる群から選択される1種またはそれ以上の単量体が使用可能である。酸変性ワックスの酸価は1〜60KOHmg/g、好ましくは1〜30KOHmg/gが好適である。
本発明においては、融点が70℃〜90℃で無極性であるポリエチレンワックスを好適に用いることができる。
また、種類が異なる2種類のワックスを使用することもできる。ここで、「種類が異なる」とは材質、融点のうち少なくとも1つが異なることを意味する。2種類のワックスはいずれもポリオレフィン系ワックスであることがさらに好ましく、特にポリエチレンワックスとポリプロピレンワックスとを組み合わせて使用することが好ましい。トナー特性がより有効に向上するためである。2種類のワックスは異なる融点を有することが好ましく、特に融点70〜100℃の低融点ワックスと融点120〜150℃の高融点ワックスとを組み合わせて使用することが好ましい。融点の異なる2種類のワックスを使用する場合、融点が比較的低いワックスとしてポリエチレンワックス、融点が比較的高いワックスとしてポリプロピレンワックスを使用することが特に好ましい。
ワックスの融点はDSC曲線におけるピークの温度である。本発明においてDSC曲線は示差走査熱量計(DSC-200:セイコー電子社製)を用いて、リファレンスをアルミナとし、10mgの試料を昇温速度10℃/minの条件で20〜200℃の間で測定した値を使用しているが、上記装置によって測定されなければならないというわけではなく、DSC曲線を測定可能であればいかなる装置によって測定されてよい。
本発明はワックスの脱離防止効果とワックスの均一分散を促進する効果を発揮するため、比較的多量のワックスをトナーに含有させる場合に特に有効である。すなわち、トナー組成物中におけるワックスの合計含有量はバインダー樹脂を構成する全単量体に対し10〜25%、好ましくは5.5〜10%である。2種類のワックスとして融点の異なるワックスを使用する場合、融点が比較的低いワックスの含有量は融点が比較的高いワックスより多いことが好ましい。特に融点が比較的低いワックスの含有量はバインダー樹脂を構成する全単量体に対し4〜10%、融点が比較的高いワックスの含有量は0.1〜2%であることが好ましい。
本発明は「種類が異なる」3種類以上のワックスの使用を妨げるものではない。その場合、全ワックスの合計含有量が上記範囲内であればよい。
使用される2種類またはそれ以上のワックスはバインダー樹脂や着色剤等のトナー材料を混合するときに添加されてよいが、上記「2種類のワックス」のうちの一方のワックス、好ましくは融点が比較的低いワックスがバインダー樹脂の合成時に内添されることが好ましい。これによってワックスが予め樹脂中に予備分散されることでワックスの高充填化が可能となり、トナーの離型性がより有効に向上するためである。
本発明のトナーの製造には、バインダー樹脂、ワックス及び着色剤等のトナー材料を溶融混練し、混練物を冷却、粉砕及び分級する乾式造粒法を用いることもできるが、バインダー樹脂から成る樹脂粒子と着色剤等を水系媒体中で造粒する湿式造粒法を好適に用いることができる。
以下、湿式造粒法に用いる樹脂粒子(バインダー樹脂)の調製に使用する材料について説明する。
樹脂粒子を得るために使用する重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
(ラジカル重合性単量体)
バインダー樹脂を合成するためのラジカル重合性単量体としては、スチレンを含有する芳香族系ビニル単量体を必須の構成成分とし、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を組合せて用いることができる。
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
また、ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
(架橋剤)
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
(酸性基または塩基性基を有するラジカル重合性単量体)
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることができる。
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物が挙げられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN-エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15質量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
(連鎖移動剤)
また、樹脂粒子の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素およびα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
(重合開始剤)
また、本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
(界面活性剤)
また、前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
また、低温定着性を向上させるために、バインダー樹脂にポリエステル系樹脂を添加することもできる。ポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させることにより得られたポリエステル樹脂が使用可能である。
多価アルコール成分のうち2価アルコール成分としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
また、多価カルボン酸成分のうち2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物あるいは低級アルキルエステルが挙げられる。
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸,1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
樹脂粒子は酸価が5〜50KOHmg/g、好ましくは10〜40KOHmg/gであることが望ましい。このような酸価を有する樹脂を用いることによって、カーボンブラックや各種着色剤等の分散性を向上させるとともに、十分な帯電量を有するトナーとすることができる。
また、樹脂粒子は軟化点が100〜130℃、好ましくは110〜120℃であることが望ましい。100℃未満ではワックスの分散が低下して定着分離性が悪化する。130℃より大きいと、所望の光沢度が得られにくく、無光沢な画像となる恐れがある。
(着色剤)
本発明で使用される着色剤としては、従来から静電潜像現像用トナーの着色剤として使用されている公知の顔料及び染料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を挙げることができる。
(帯電制御剤)
本発明のトナーには帯電制御剤や磁性粉等の添加剤を含有させてもよい。
帯電制御剤としては、従来から静電潜像現像用トナーの分野で帯電性を制御するために添加されている公知の帯電制御剤が使用可能である。例えば、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体、アゾ系金属化合物のような含金属染料、マレイン酸を単量体成分として含む共重合体の如き高分子酸、カリックスアレーン化合物、有機ホウ素化合物等を使用することができる。
本発明においては、得られたトナー粒子をさらに無機微粒子の混合処理に供した後、瞬間的加熱処理(表面改質処理)に供することが好ましい。本発明のトナーはワックス粒子の離脱(遊離)が有効に防止されているため、瞬間的加熱処理に供することによって、合一粒子の発生をほとんど伴うことなく、トナー粒子の球形化を有効に行うことができ、結果として高精細画像を有効に提供できる。
瞬間加熱処理の前にトナー粒子に無機微粒子を混合処理すること(以下、無機微粒子の前処理と略す)によって、トナー粒子の流動性が向上し、瞬間加熱処理を行う際の均一分散性が向上する。また、熱処理の際にトナー粒子同士が凝集することを防止できる。
上記無機微粒子としては、炭化けい素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム、ダイヤモンドカーボンラクタム等の各種炭化物、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物、ホウ化ジルコニウム等のホウ化物、酸化物、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物、二硫化モリブデン等の硫化物、フッ化マグネシウム、フッ化炭素等のフッ化物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸、滑石、ベントナイト等の各種非磁性無機微粒子を単独であるいは組み合わせて用いることができる。このような無機微粒子としてはBET比表面積が10〜350m/gのものが使用可能である。
本発明のトナーを製造する方法の一例としては、
(1)ワックスとワックス分散剤を単量体に溶解して単量体溶液を調製する溶解工程、
(2)得られた単量体溶液を水系媒体中に分散する分散工程、
(3)得られた単量体溶液の水系分散系を重合することにより、ワックスを含有する樹脂粒子の分散液を調製する重合工程、
(4)得られた樹脂粒子と、着色剤粒子とを水系媒体中で凝集/融着させてトナー粒子を得る凝集/融着工程
(5)得られたトナー粒子を水系媒体中より濾別し、そのトナー粒子から界面活性剤などを洗浄除去する濾過・洗浄工程、
(6)洗浄処理されたトナー粒子の乾燥工程から構成され、そして必要により乾燥処理されたトナー粒子に外部添加剤を添加する外部添加剤添加工程を含む方法を挙げることができる。
(1)溶解工程
ワックスとワックス分散剤を重合性単量体中に溶解する方法としては特に限定されるものではない。なお、この単量体溶液中に、油溶性重合開始剤および他の油溶性の成分を添加することもできる。
(2)分散工程
単量体溶液を水系媒体中に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、機械的エネルギーにより分散させる方法が好ましく、特に、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、機械的エネルギーを利用して単量体溶液を油滴分散させることが好ましい。ここに、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば「クレアミックス」、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは30〜300nmとされる。
(3)重合工程
重合工程においては、基本的には公知の重合方法(乳化重合、懸濁重合、シード重合、ミニエマルション重合等の造粒重合法)を採用することができるが、ミニエマルション重合が好ましい。また、この重合工程においては、重合反応を多段階的に分けて行うことにより形成される異なる分子量分布を有する樹脂によって構成され、その粒子の表層に向かって分子量勾配が形成されてなる複合樹脂微粒子を得るための、いわゆる多段重合法を用いることが好ましい。
ここで、多段重合法について以下に説明する。
多段重合法を用いる場合、本発明のトナーの製造方法は、以下に示す工程より構成されることが好ましい。
多段重合工程とは、オフセット発生防止したトナーを得るべく樹脂粒子の分子量分布を拡大させるために行う重合方法である。すなわち、1つの樹脂粒子において異なる分子量分布を有する相を形成するために重合反応を多段階に分けて行うものであって、得られた樹脂粒子がその粒子の中心より表層に向かって分子量勾配を形成させる様に意図して行うものである。例えば、はじめに高分子量の樹脂粒子分散液を得た後、新たに単量体と連鎖移動剤を加えることによって低分子量の表層を形成する方法が採られている。本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。この様な多段階重合反応によって得られたトナーでは破砕強度の観点から表層程低分子量のものが好ましい。
三段重合法によって得られるトナー粒子によって構成されるトナーにおいては、ワックスを中間分子量樹脂よりなる中間層のみに含有させることにより、ワックスを微細かつ均一に分散することができると共に、最終的に得られるトナーには非磁性一成分現像剤として好適に用いることのできる十分な耐久性が得られる。更に三段重合法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂粒子(H)の分散液を、水系媒体(界面活性剤の水溶液)に添加すると共に、当該水系媒体中に、ワックスを重合性単量体(M)に溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第2段重合)することにより、当該樹脂粒子(H)(核粒子)の表面に、ワックスを含有する樹脂(重合性単量体(M)の重合体)からなる被覆層(M)(中間層)を形成してなる複合樹脂粒子〔高分子量樹脂(H)−中間分子量樹脂(M)〕の分散液を調製する。次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と、低分子量樹脂を得るための重合性単量体(L)とを添加し、当該複合樹脂粒子の存在下に重合性単量体(L)を重合処理(第3段重合)することにより、当該複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(重合性単量体(L)の重合体)からなる被覆層(L)を形成する。このようにして、高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、ワックスを含有する中間層と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造することができる。
(4)塩析/融着工程
塩析/融着工程においては、上記の重合工程により得られる樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を添加し、前記樹脂粒子と、前記着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させ、着色粒子(トナー粒子)を得る。
塩析/融着法は、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩およ/またはアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
塩析/融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
塩析/融着工程に使用される着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行うことが好ましい。
着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは、「クレアミックス」、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。また、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
なお、着色剤(粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄ろ過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
さらに、前記水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等があげられるが、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
塩析/融着工程においては、塩析剤を添加した後に放置する時間(加熱を開始するまでの時間)をできるだけ短くすることが好ましい。すなわち、塩析剤を添加した後、樹脂粒子および着色剤粒子の分散液の加熱をできるだけ速やかに開始し、樹脂粒子のガラス転移温度以上とすることが好ましい。この理由としては明確ではないが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。加熱を開始するまでの時間(放置時間)は、通常30分以内とされ、好ましくは10分以内である。
塩析剤を添加する温度は特に限定されないが、樹脂粒子のガラス転移温度以下であることが好ましい。また、塩析/融着工程においては、加熱により速やかに昇温させる必要があり、昇温速度としては、1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な塩析/融着の進行による粗大着色粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。
さらに、樹脂粒子および着色剤粒子の分散液が前記ガラス転移温度以上の温度に到達した後、当該分散液の温度を一定時間保持することにより、塩析/融着を継続させることが肝要である。これにより、着色粒子(トナー粒子)の成長(樹脂粒子および着色剤粒子の凝集)と、融着(粒子間の界面消失)とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナーの耐久性を向上することができる。
また、会合着色粒子の成長を停止させた後に、加熱による融着を継続させてもよい。
(5)濾過/洗浄工程
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られた着色粒子(トナー粒子)の分散液から当該着色粒子を濾別する濾過処理と、濾別された着色粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここで、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
(6)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された着色粒子(トナー粒子)を乾燥処理する工程である。
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
乾燥処理された着色粒子(トナー粒子)の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下である。
なお、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(7)外添剤の添加工程
この工程は、乾燥処理された着色粒子(トナー粒子)に外添剤を添加する工程である。外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
本発明のトナー粒子は、着色剤、ワックス、以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、かつ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の表1にトナーを構成するラテックス(樹脂粒子)及びワックス分散剤の配合量等を示し、表2には用いたワックス分散剤の物性を示す。なお、以下の実施例では、ポリエチレンワックスには、東洋ぺトライト社製のPW400(融点81℃)、PW500(融点88℃)及びPW655(融点97℃)を用いた。比較のため、エステル化合物から成るワックスであるWEP-5(日本油脂社製)も用いた。また、ワックス分散剤は、東洋ぺトライト社製のセラマー1608とセラマー1251、そしてセラマー67を用いた。
Figure 2005091707
表中、Wax量は、ラテックスの調製に用いた全単量体の仕込量に対するワックス添加量の割合を示す。また、ワックス分散剤の添加量は、ラテックスの調製に用いた全単量体の仕込量に対するワックス分散剤の添加量の割合を示す。また、分散剤量比は、用いたワックス量に対するワックス分散剤の添加量の割合を示す。
Figure 2005091707
<ラテックスの調製>
(複合ラテックスの調製)
(1)核粒子の調製(第一段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに下記に示すアニオン系界面活性剤7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、フラスコ内の温度を80℃に昇温させた。
1021(OCHCH)OSONa
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第一段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「ラテックス(A)」とする。
(2)中間層の形成(第二段重合)
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に、ポリエチレンワックスとして、PW400 98.0g、ワックス分散剤(セラマー1608)32.5gを添加し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
一方、上記のアニオン系界面活性剤1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記ラテックス(A)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、前記ワックス含有単量体溶液を8時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス(B)」とする。
(3)外層の形成(第三段重合)
上記の様にして得られたラテックス(B)に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層にポリエチレンワックスが含有されている複合樹脂粒子の分散液を得た。このラテックスを「ラテックス(C)」とする。
<トナー着色粒子の調製>
(着色粒子の調製)
このラテックス(C)を構成する複合樹脂粒子は、138,000、80,000および13,000にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の重量平均粒径は120nmであった。
次に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)59.0gをイオン交換水1600mlに攪拌溶解し、この溶液を攪拌しながら、C.I.Pigment red 122 420.0gを徐々に添加し、次いで「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下「着色剤分散液1」という。)を調製した。この着色剤分散液における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒径で90nmであった。
このラテックス(C)420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、166gの着色剤分散液1とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜10.0に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を6〜60分間かけて90℃まで昇温し、会合粒子の生成を行った。その状態で、「コールターカウンター TA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が6μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長をいったん停止し、着色粒子1を得た。更に上記で得られた着色粒子1を、熟成処理として液温度95℃にて2〜4時間にわたり加熱攪拌することにより、粒子の融着を継続させた(熟成工程)。
その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、攪拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄を行い、その後、40℃の温風で乾燥し、疎水性シリカ0.8質量部、疎水性酸化チタン1.0質量部を添加し、10リットルのヘンシェルミキサーの回転翼の周速を30m/sに設定し25分間混合し実施例1のトナーを得た。
(実施例2、3)
分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(実施例4)
ワックスをPW500に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(実施例5、6)
ワックスの添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(実施例7)
分散剤をセラマー1251に、そしてマレイン酸無水物の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(実施例8)
中間層形成時に、ポリエステル樹脂エマルション(ES-1、中京油脂社製)を、全単量体に対してポリエステル樹脂が5%になるように単量体溶液に添加して中間層を形成した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(実施例9)
ワックスをPW655に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例1)
分散剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。本比較例では、ゲル状の凝集物が発生し、ワックスの分散性が不均一となり定着特性が著しく低下した。
(比較例2)
ワックスにWEP-5を用い、かつ分散剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例3)
ワックスにWEP-5を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例4、5)
ワックスの添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例6)
分散剤をセラマー67に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
(比較例7、8)
分散剤の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法によりトナーを製造した。
《トナー評価》
得られたトナーについて、以下の評価試験を行った。結果を表3に示す。
<耐熱保管性>
トナー20gを50mlガラス瓶に入れ、50℃の高温下に24hr放置後、そのトナーを目視で確認することにより行なった。
○:凝集トナーがなく、全く問題なし。
△:軽い軟凝集が存在するが、軽い力ですぐ解れ、実用上問題ないもの。
×:強い凝集塊が存在し、容易には解れないもので実用上問題あり。
<フィルミング性(BS含む)>
カラーレーザープリンタmagicolor 2300 DL(ミノルタキューエムエス社製)にてL/L(低温低湿環境)の初期およびN/Nの初期及び2000枚連続複写後(耐久後)にそれぞれ感光体上、中間転写体上を目視で評価した。
なお、連続複写は所定のプリントパターンでB/W比が6%の条件で行った。
○:フィルミングおよびBSの発生がなく問題のないもの。
△:どちらか片方でフィルミングおよびBSの発生がみられるが画像上には見えない。
×:フィルミングおよびBSの発生があり画像上でも確認できる。
〈トナー臭気〉
トナーの臭気官能評価により、試験を行う。
評価サンプル作成方法
トナーをガラス製のサンプル瓶に3g採取し、密閉後150℃のホットプレートに載せて1時間加熱状態で静置する。1時間後、自然放冷し、更に一晩放置した後、蓋を外し、臭気を評価する。
○;臭うが不快感はない。
△;臭いがあり、若干不快感はあるが、実用上問題ない。
×;臭くて不快感があり、実用上問題がある。
〈定着性〉
温度制御を任意に変更できるよう改造した定着器magicolor 2300 DL(ミノルタキューエムエス社製)を用いて、評価を行った。
(オフセット、定着分離性)
定着ローラの温度を変化させ、低温側は合計付着量15g/mの3層を重ね合わせたベタ画像を画だしし、高温側は付着量0〜5.0g/mの単色のグラデーション画像を各色で画だしし、定着ローラ通過後の紙上の画像を観察した。いずれの画像においても低温オフセットおよび高温オフセットが発生しない定着温度幅によって評価を行った。
紙はCF900用標準紙のCFペーパー(坪量80g/m)を用いた。オフセットがわずかでも確認できるものは不良とした。
○:上記定着温度幅が40℃より広いもの
△:上記定着温度幅が30℃〜40℃のもの
×:上記定着温度幅が30℃未満のもの
(ワックス分散性評価)
ワックスを単量体へ溶解した時のワックス分散溶液の分散状態を目視で確認することにより行なった。
○;完全溶解しており、全く問題なし
△;ほんのわずかに濁りが見られるものの実用上問題ないレベル
×;完全に白濁しており明らかな分散不良
Figure 2005091707
(結果)
本発明のトナーは、表3の結果から明かなように、実機試験において、とワックス分散剤としてα‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物を用いることにより、ポリオレフィンワックスを用いた場合においても、優れた定着分離性を与えることを確認した。さらに、耐熱保管性も良好で、フィルミングの発生もなく、トナー臭気についても実用上の問題はなかった。


Claims (9)

  1. 少なくとも、スチレン系共重合体樹脂から成るバインダー樹脂と、着色剤と、ポリオレフィンワックスと、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物とを含有して成り、該共重合物中の無水マレイン酸の含有量が5〜15重量%であり、ポリオレフィンワックスの含有量がバインダー樹脂を構成する全単量体量に対し10〜25%であり、かつ上記共重合物の含有量がポリオレフィンワックスの全量に対し10〜60%であるトナー。
  2. 上記共重合物が、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体に無水マレイン酸モノエステルをグラフト化したグラフト重合物である請求項1記載のトナー。
  3. 上記ポリオレフィンワックスと上記共重合物の融点の差が10℃以内である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 上記ポリオレフィンワックスが、70℃〜90℃の融点を有する無極性のワックスである請求項1から3のいずれか一つに記載のトナー。
  5. 上記共重合物の含有量が、上記バインダー樹脂を構成する全単量体量に対して1〜10%である請求項1から4のいずれか一つに記載のトナー。
  6. 上記バインダー樹脂がポリエステル樹脂を含む請求項1から5のいずれか一つに記載のトナー。
  7. 上記トナーが、少なくとも、上記バインダー樹脂から成る樹脂粒子と上記着色剤とを水系媒体中で凝集及び融着して成るトナーであって、上記樹脂粒子は、コア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成り、該被覆層の最外層以外の層にポリオレフィンワックスと上記共重合物を含有して成る請求項1から6のいずれか一つに記載のトナー。
  8. 多段階重合によりコア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成る樹脂粒子を調製し、該樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で凝集・融着させるトナーの製造方法であって、
    上記樹脂粒子はスチレン系共重合体樹脂から成るバインダー樹脂であり、
    最外層以外の被覆層を形成するに際し、ポリオレフィンワックスと、無水マレイン酸の含有量が5〜15重量%である、α‐オレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノエステルの共重合物とをスチレンを含有する単量体溶液に溶解してミニエマルション重合を行うトナーの製造方法。
  9. 上記ポリオレフィンワックスを上記樹脂粒子を構成する全単量体に対し10〜25%となるように添加し、かつ上記共重合物をポリオレフィンワックスの全量に対し10〜60%となるように添加する請求項8記載の製造方法。

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