JP4085942B2 - トナー用樹脂粒子及びトナー並びにその製造方法 - Google Patents

トナー用樹脂粒子及びトナー並びにその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等により形成された静電潜像を現像するためのトナーに関する。
トナーの定着方式としては、加熱ロール方式が広く採用されている。加熱ロール方式では、トナー像は加熱溶融状態で加熱ロール表面と圧接触する。このため、トナー像の一部が加熱ロール表面に付着して転移し、次の被定着シート上に汚れを生じさせる現象、いわゆるオフセット現象の防止が課題となっている。また、加熱ロール方式では、ロール部に分離爪等の分離機構を設けて、紙等の被定着シートがロール部を通過した後にロールに巻き付く分離不良を防止している。しかし、複写機/プリンターの高速化によってストレスが増加する場合や被定着シート先端部にソリッド等がある場合は、分離不良や分離爪傷が発生するという問題が生じる。
このような加熱定着方法においては、トナーに用いる樹脂の分子量分布を制御することが必要とされている。すなわち、耐オフセット性を向上させるには、トナーの弾性率を増加させるため高分子量の樹脂を用いる必要があり、また、定着性を向上させるには、低分子量の樹脂を用いて被定着シートに対する接着性を向上させる必要がある。そのため、高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の両者を含有する樹脂粒子を用い、その樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集・融着させたトナーが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2000−292974号公報
一方、最近における複写機の小型化および低消費電力化などの要請から、従来のものより一層低温で定着可能なトナーが望まれている。このため、トナーには、定着可能な最低温度と、オフセット現象が発生しない最高温度の範囲(定着可能温度範囲)が広いことが要求される。しかしながら、低温定着性を向上させるため樹脂の分子量を小さくすると、溶融粘度の低い樹脂成分に起因して耐オフセット性が低下し、かつ分離不良が発生し易くなり、広い定着可能温度範囲を得ることができない。そのため、低温定着性と、耐オフセット性、そして分離性のすべてを十分に満足させるようなトナーは得られていないのが現状である。
また、分子量を小さくすると、トナーの機械強度が低下し、例えば現像器内等で破砕されて微粉が発生し、画像ノイズの原因となる。
そこで、本発明は、耐オフセット性や分離性を低下させることなく低温定着性を有し、かつ耐破砕性に優れたトナーに用いるトナー用樹脂粒子及びトナー並びにその製造方法を提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明のトナー用樹脂粒子は、樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で凝集及び融着して成るトナーの製造に用いるトナー用樹脂粒子であって、上記樹脂粒子が、コア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成り、該コア層に接する被覆層が、マトリックスとなる第1の樹脂と、該第1の樹脂よりも分子量の大きい第2の樹脂とを含有して成ることを特徴とする。
本発明のトナー用樹脂粒子は、コア層に接する被覆層が、マトリックスを構成する第1の樹脂と、第1の樹脂よりも分子量の大きい第2の樹脂とを含有するようにしたので、定着時には第1の樹脂が溶融して低粘度化する一方、第2の樹脂はトナーに弾性を付与することにより定着時のトナー内部凝集力を高め高温オフセットを防ぐことができる。これにより、耐オフセット性及び分離性を低下させることなく、低温定着性を向上させることが可能となる。
また、本発明のトナー用樹脂粒子を着色剤粒子と凝集・融着させることにより、トナー粒子間の組成、分子量、そして表面特性のバラツキが極めて少ないトナーを得ることができる。この組成、分子量、そして表面特性の均一なトナーは、定着性や耐オフセット性、そして分離性をさらに向上させることが可能となる。
また、本発明のトナー用樹脂粒子は、第2の樹脂に、第1の樹脂よりもGPCにより測定された重量平均分子量が1×10以上大きいものを用いることができる。
また、本発明のトナー用樹脂粒子には、コア層から被覆層にかけてマトリックスとなる樹脂の分子量が小さくなる分子量勾配を有するものを用いることができる。
また、本発明のトナー用樹脂粒子には、被覆層が、コア層に接する中間層と、その中間層に接する外層の2層から成るものを用いることができる。
また、本発明のトナー用樹脂粒子を用いて製造したトナーは、少なくとも結着剤樹脂と着色剤粒子とを含有するトナーであって、上記結着剤樹脂が、コア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成り、該コア層に接する被覆層が、マトリックスを構成する第1の樹脂と、該第1の樹脂よりも分子量の大きい第2の樹脂とを含有して成るトナー用樹脂粒子から成り、該樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で凝集及び融着して成ることを特徴とする。
本発明のトナーは、以下の方法を用いて製造することができる。すなわち、本発明のトナーの製造方法は、多段階重合によりコア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成る樹脂粒子を調製し、該樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で凝集・融着させるトナーの製造方法であって、上記コア層に接する被覆層を形成するに際し、該被覆層のマトリックスを構成する第1の樹脂となる単量体組成物と、第1の樹脂よりも分子量の大きい第2の樹脂とを含む単量体溶液を界面活性剤水溶液に分散させてミニエマルション重合を行うことを特徴とする。
また、本発明の製造方法は、第2の樹脂に、第1の樹脂よりもGPCにより測定された重量平均分子量が1×10以上大きいものを用いることができる。
また、本発明の製造方法は、水系媒体中にワックスを分散させて、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集及び融着させて製造することができる。
本発明によれば、樹脂粒子の被覆層にマトリックスを構成する第1の樹脂より分子量の大きい第2の樹脂を含有しているので、耐オフセット性及び分離性を低下させることなく、低温定着性を向上させたトナーを提供することが可能となる。さらに、第2の樹脂の組成、分子量、そして含有率を選択することにより、樹脂粒子のマトリックスとなる樹脂の合成条件に変更を加えることなく、トナーの溶融粘度等の熱特性や弾性率等の機械的特性を所望の範囲に調整できるので、製造プロセスを簡略化することも可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<トナーの構造及び製造方法>
本発明のトナーは、多段階重合により調製した樹脂粒子と、着色剤粒子とを水系媒体中で凝集・融着して成るトナーであり、その樹脂粒子は、コア層と、そのコア層を覆う1層以上の被覆層から構成されている。さらに、樹脂粒子は、コア層に接する被覆層が、マトリックスを構成する第1の樹脂と、その第1の樹脂よりも分子量の大きい第2の樹脂とを含有している。
なお、本発明において、「塩析/融着」とは、塩析(微粒子の凝集)と融着(微粒子間の界面消失)とが同時あるいは段階的に起こること、または、塩析と融着とを同時あるいは段階的に起こさせる行為をいう。このような塩析・融着の方法として、例えば特開2002−116574号公報に記載の製造方法を用いることができる。
以下、本発明のトナーの構成材料および調製方法について説明する。
(第2の樹脂)
コア層に接する被覆層に含有させる第2の樹脂は、例えば、特開2002−049180号公報に記載されたミニエマルション重合法を用いて被覆層に含有させることができる。ミニエマルション重合法は、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解するとともに、コア層を構成する樹脂粒子を分散させた水系媒体中に、第2の樹脂を単量体中に溶解した単量体溶液を機械的エネルギーを利用して油滴(10〜1,000nm)を形成させて分散させ、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、ラジカル重合させる方法である。このミニエマルション重合法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、単量体に溶解させた第2の樹脂の脱離が少なく、コア層を被覆する被覆層に十分な量の第2の樹脂を含有させることができる。
なお、水溶性重合開始剤を添加することに代えて、または、その水溶性重合開始剤を添加するとともに、油溶性の重合開始剤を前記の単量体溶液中に添加してもよい。
第2の樹脂は、樹脂粒子を構成する樹脂の重合に使用される単量体に溶解または分散するものであれば特に種類を限定するものではないが、以下のものが挙げられる。
ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、PVA、ポリエチレン、ポリプロピレンやスチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸共重合体、エチレン−スチレン共重合体などのビニル重合ポリマー、(テレフタル酸―ビスフェノールA)のポリエステル、(テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、エチレングリコール、ビスフェノールAF)のポリエステルなどのポリエステル類、6−ナイロン、6,6−ナイロン、(イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジアミン)のポリアミドなどのポリアミド、(m−キシリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジオール)のポリウレタン、(m−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA)のポリウレタンなどのポリウレタン、(m−キシリレンジイソシアネート、2,5−ヘキサンジアミン)のポリウレア、(イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジアミン、2,5−ヘキサンジアミン)のポリウレアなどのポリウレア、(ピロメリット酸二無水物、2,5−ヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン)のポリアミック酸またはポリイミド、(トリカルボキシルシクロブタン酢酸二無水物、ジアミノフェニルエーテル)のポリアミック酸またはポリイミドなどのポリアミック酸またはポリイミド、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテル、ポリフェニレンエーテルなどのポリエーテル、ポリフェニルスルホン、ポリエチレンスルホンなどのポリスルホン、ポリフェニルスルフィド、ポリエチレンスルフィドなどのポリスルフィド、またはこれらポリマーの共重合体(ポリエステルーアミド、ポリウレタンーウレア、ポリエステルーウレタン、ポリエーテルーウレタン、ポリエステルーエーテルーウレタンなど)などが挙げられる。
これら樹脂の分子量としては、ポリスチレン換算で重量平均分子量がミニエマルション重合で得られるポリマーの分子量より10,000以上大きい範囲で選択されるが、好ましくは20,000から500,000、さらに好ましくは20,000から300,000である。
ここで、第2の樹脂の分子量を選定するには、例えば、後述のGPCを用いて行うことができる。まず、コア層のみからなる樹脂粒子1を調製し、その分子量分布をGPCにより測定して分子量分布パターン1を得る。次いで樹脂粒子1の表面に第1の樹脂を重合して被覆層を有する樹脂粒子2を調製し、その分子量分布をGPCにより測定して分子量分布パターン2を得る。分子量分布パターン2から重複する分子量分布パターン1を差し引くことにより、被覆層を構成する樹脂の分子量を算出する。これにより、得られた第1の樹脂の分子量に基いて、第2の樹脂の分子量を選定することができる。
また、第2の樹脂の含有量は、第1の樹脂100重量部に対し、2〜30重量部の範囲が好ましい。2重量部より小さいと、トナーに十分な弾性を付与することができず、30重量部より大きいと樹脂粒子の軟化点が高くなるからである。
樹脂粒子のコア層や被覆層を構成するマトリックスとなる樹脂を得るために使用する重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
(ラジカル重合性単量体)
ラジカル重合性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
(架橋剤)
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
(酸性基または塩基性基を有するラジカル重合性単量体)
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることができる。
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物が挙げられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN-エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15質量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
(連鎖移動剤)
樹脂粒子の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素およびα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
(重合開始剤)
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
(界面活性剤)
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
(ワックス)
本発明のトナーを構成するトナー粒子中には、離型剤としてワックスが含有されていてもよい。ワックスをトナーに含有させる方法としては、ワックスの乳化分散液を凝集工程で樹脂粒子と一緒に集める方法やワックス乳化液に樹脂をシード重合させたものを用いる方法、あるいはモノマー中にワックスを溶解させて水系中に乳化分散させてミニエマルション重合させたものを用いるなどの方法を例示することができる。好適にはモノマー中にワックスを溶解させて水系中に乳化分散させてミニエマルション重合させたものがワックスの非離脱性の観点からもより好ましい。ワックス分散体を製造する方法は、例えば1995年3月樹脂学会発行の反応工学研究界レポート−1『乳化・分散技術と樹脂微粒子の粒子径制御 第三章』に記載のように、乳化・分散機器等を用いた従来公知のいずれかの方法を用いることができる。
また、このワックス分散体あるいは樹脂で被覆されたワックス分散体は2μm以下の分散粒径を有することが好ましく、より好ましくは100〜1500nmの範囲である。
ここに、離型剤としては、種々の公知のもので、かつ水中に分散することができるものを例示することができる。このようなワックスの具体例としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、グラフト化ポリエチレン、グラフト化ポリプロピレン、等のオレフィン系ワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル、等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル基、フェニル基を有するシリコーン系ワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、等の高級脂肪酸アミド、長鎖脂肪酸アルコール、ペンタエリスリトール等の長鎖脂肪酸多価アルコール、及びその部分エステル体、パラフィン系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、等が例示される。
これらのワックスの中で定着性を改善するためにより好ましいのは、融点が100℃以下のワックスであり、更に好ましいワックスの融点は40〜100℃の範囲、特に好ましいのは60〜90℃の範囲である。融点が100℃を越えると定着温度低減の効果が乏しくなる。本発明で用いるワックス微粒子あるいは樹脂で被覆された複合粒子は、上記ワックスを前述のカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤の中から選ばれる少なくとも一種の乳化剤の存在下で乳化して得られる。これらの界面活性剤は二種以上を併用してもよい。この中で特にアニオン系界面活性剤を主として用いることが好ましい。
(着色剤)
本発明のトナーを構成する着色剤としては無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。
これらの有機顔料及び染料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
(外添剤)
本発明のトナーには、前記した塩析/融着させて得られた着色粒子に流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタン、アルミナ微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては疎水性のものが好ましい。具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜20,000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。このものとしては、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
本発明のトナーを製造する方法の一例としては、第2の樹脂を重合性単量体に溶解して単量体溶液を調製する溶解工程、得られる単量体溶液を水系媒体中に分散する分散工程、得られる単量体溶液の水系分散系を重合処理することにより、第2の樹脂を含有する樹脂粒子の分散液を調製する重合工程、得られる樹脂粒子と、前記の着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させてトナー粒子を得る塩析/融着工程、得られるトナー粒子を水系媒体中より濾別し、トナー粒子から界面活性剤などを洗浄除去する濾過・洗浄工程、洗浄処理されたトナー粒子の乾燥工程から構成される。また、乾燥処理されたトナー粒子に外部添加剤を添加する外部添加剤添加工程が含まれていてもよい。
(1)溶解工程
第2の樹脂を重合性単量体中に溶解する方法としては特に限定されるものではない。なお、この単量体溶液中に、油溶性重合開始剤および他の油溶性の成分を添加することもできる。
(2)分散工程
単量体溶液を水系媒体中に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、機械的エネルギーにより分散させる方法が好ましく、特に、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、機械的エネルギーを利用して単量体溶液を油滴分散させることが好ましい。ここに、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば「クレアミックス」、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは30〜300nmとされる。
(3)重合工程
重合工程においては、基本的には従来公知の重合法(乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの造粒重合法)を採用することができる。好ましい重合法の一例としては、ミニエマルション重合法を挙げることができる。また、かかる重合工程においては、重合反応を多段階的に分けて行うことによって異なる分子量分布を有する樹脂によって形成され、その粒子の表層に向かって分子量勾配が形成されてなる複合樹脂微粒子を得るための、いわゆる多段重合法を用いることが好ましい。
ここで、多段重合法について以下に説明する。多段重合法を用いる場合、本発明のトナーの製造方法は、以下に示す工程より構成されることが好ましい。
多段重合工程とは、オフセット発生防止したトナーを得るべく樹脂粒子の分子量分布を拡大させるために行う重合方法である。すなわち、1つの樹脂粒子において異なる分子量分布を有する相を形成するために重合反応を多段階に分けて行うものであって、得られた樹脂粒子がその粒子の中心より表層に向かって分子量勾配を形成させる様に意図して行うものである。例えば、はじめに樹脂量の樹脂粒子分散液を得た後、新たに重合性単量体と連鎖移動剤を加えることによって低分子量の表層を形成する方法が採られている。本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。この様な多段階重合反応によって得られたトナーでは破砕強度の観点から表層程低分子量のものが好ましい。
三段重合法によって得られるトナー粒子によって構成されるトナーにおいては、離型剤を中間分子量樹脂よりなる中間層のみに含有させることにより、離型剤を微細かつ均一に分散することができると共に、最終的に得られるトナーには非磁性一成分現像剤として好適に用いることのできる十分な耐久性が得られる。更に三段重合法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂粒子(H)の分散液を、水系媒体(界面活性剤の水溶液)に添加すると共に、当該水系媒体中に、離型剤を重合性単量体(M)に溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第2段重合)することにより、当該樹脂粒子(H)(核粒子)の表面に、離型剤を含有する樹脂(重合性単量体(M)の重合体)からなる被覆層(M)(中間層)を形成してなる複合樹脂粒子〔樹脂量樹脂(H)−中間分子量樹脂(M)〕の分散液を調製する。次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と、低分子量樹脂を得るための重合性単量体(L)とを添加し、当該複合樹脂粒子の存在下に重合性単量体(L)を重合処理(第3段重合)することにより、当該複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(重合性単量体(L)の重合体)からなる被覆層(L)を形成する。このようにして、樹脂量樹脂から形成される中心部(核)と、離型剤を含有する中間層と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子が製造される。
(4)塩析/融着工程
塩析/融着工程においては、上記の重合工程により得られる樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を添加し、前記樹脂粒子と、前記着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させ、着色粒子(トナー粒子)を得る。
塩析/融着法は、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩およ/またはアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
塩析/融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
塩析/融着工程に使用される着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。
着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは、「クレアミックス」、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。また、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
なお、着色剤(粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄ろ過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。さらに、前記水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等があげられるが、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
塩析/融着工程においては、塩析剤を添加した後に放置する時間(加熱を開始するまでの時間)をできるだけ短くすることが好ましい。すなわち、塩析剤を添加した後、樹脂粒子および着色剤粒子の分散液の加熱をできるだけ速やかに開始し、樹脂粒子のガラス転移温度以上とすることが好ましい。この理由としては明確ではないが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。加熱を開始するまでの時間(放置時間)は、通常30分以内とされ、好ましくは10分以内である。
塩析剤を添加する温度は特に限定されないが、樹脂粒子のガラス転移温度以下であることが好ましい。また、塩析/融着工程においては、加熱により速やかに昇温させる必要があり、昇温速度としては、1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な塩析/融着の進行による粗大着色粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。
さらに、樹脂粒子および着色剤粒子の分散液が前記ガラス転移温度以上の温度に到達した後、当該分散液の温度を一定時間保持することにより、塩析/融着を継続させることが肝要である。これにより、着色粒子(トナー粒子)の成長(樹脂粒子および着色剤粒子の凝集)と、融着(粒子間の界面消失)とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナーの耐久性を向上することができる。
また、会合着色粒子の成長を停止させた後に、加熱による融着を継続させてもよい。
(5)濾過/洗浄工程
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られた着色粒子(トナー粒子)の分散液から当該着色粒子を濾別する濾過処理と、濾別された着色粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここで、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
(6)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された着色粒子(トナー粒子)を乾燥処理する工程である。
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
乾燥処理された着色粒子(トナー粒子)の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下である。
なお、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(7)外添剤の添加工程
この工程は、乾燥処理された着色粒子(トナー粒子)に外添剤を添加する工程である。外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
本発明のトナー粒子は、着色剤、離型剤、以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、かつ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
なお、本発明に用いる樹脂の分子量はGPCを用いて測定することができる。具体的には、測定試料0.5〜5.0mg(具体的には1mg)に対してTHFを1ml加え、マグネチックスターラーなどを用いて室温にて攪拌を行って十分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後にGPCへ注入する。GPCの測定条件としては、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H,G3000H,G4000H,G5000H,G6000H,G7000H,TSK guard columnの組合せなどを挙げることができる。また、検出器としては、屈折率検出器(RI検出器)またはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
以下、本発明のトナー粒子の概要について説明する。
<トナー粒径>
本発明のトナーの粒径は、体積平均粒径で3〜9μmであることが好ましく、更に好ましくは3〜8μmとされる。この粒径は、凝集剤(塩析剤)の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
トナーの体積平均粒径はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)で測定されるものである。本発明においては、コールターマルチサイザーIIを用い、粒度分布を出力するインターフェース(ベックマンコールター製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーIIにおけるアパーチャーとしては50μmのものを用いて、0.99μm以上(例えば2〜40μm)のトナーの体積分布を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:50μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON−II−pc(ベックマンコールター社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
さらに、本発明のトナーとしては、3μm以下のトナー粒子の割合が20個数%以下であることが好ましく、2μm以下のトナー粒子の割合が10個数%以下であることが更に好ましい。
<トナー形状>
本発明のトナー粒子の形状としては、平均円形度(下記式で示される円形度の平均値)が0.930〜0.990であることが好ましく、更に好ましくは0.950〜0.980とされる。
円形度=(円相当径から求めた円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
この範囲よりも円形度が高い場合、感光体や転写ベルトなどのプロセスにおけるクリーニング性が著しく悪化し好ましくなく、この範囲よりも円形度が低い場合はトナーがいびつな形状となり現像の規制部での耐ストレス性が著しく悪化する。
また、円形度の分布がシャープであることが好ましく、円形度の標準偏差は0.10以下であることが好ましく、下記式で算出されるCV値は20%未満であることが好ましく、さらに好ましくは10%未満である。
CV値=(円形度の標準偏差/平均円形度)×100
円形度の標準偏差を0.10以下とすることで、形状が揃ったトナーとすることができ、トナー間での規制部での耐ストレス性やクリーニング性の差を少なくすることができる。また、CV値を20%未満とすることで、同様にシャープな形状分布とすることができ、上記の効果をより顕著に発揮することができる。平均円形度の測定方法は限定されるものではないが、例えばトナー粒子を電子顕微鏡で500倍に拡大した写真を撮影し、画像解析装置を使用し、500個以上のトナーについて円形度を測定し、その算術平均値を求めることで、平均円形度を算出することができる。また、簡便な測定方法としては、「FPIA−1000」(東亜医用電子株式会社製)により測定することができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。なお、本文中の「部」とは「重量部」を表す。
表1と化1に実施例及び比較例に用いた第2の樹脂の種類と分子量、そして添加量を示す。ここで、樹脂A〜Dは、以下の方法により合成したものを用いた。
(樹脂A〜Dの合成)
樹脂Aは、スチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸共重合体であり、以下の方法で合成した。
攪拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けたセパラブルフラスコに、ドデシル硫酸ナトリウム3部、イオン交換水2000部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、フラスコ内の温度を80℃に昇温させた。この活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム)4部をイオン交換水100部に溶解させた開始剤溶液を添加し、スチレン350部、ブチルアクリレート335部、メタクリル酸48部、n−オクチルメルカプタンの単量体溶液を90分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間にわたり加熱、攪拌した後、イオン交換水を加熱除去し樹脂Aを得た。ここで、樹脂Aの分子量の調整は、n−オクチルメルカプタンの量を0から10部の範囲で添加することにより行った。
樹脂Bはテレフタル酸−ビスフェノールAのポリエステルであり、以下の方法で合成した。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220部、テレフタル酸218部、イソフタル酸48部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で220℃で15時間反応させ、さらに10〜15mmHgの減圧下で反応させ、樹脂Bを得た。
樹脂Cはポリウレタンであり、以下の方法で合成した。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、m−キシリレンジイソシアネート475部、1,3−ベンゼンジオールPO2モル付加体340部、2,2−ビス(4−ハイドロキシフェニル)パーフルオロプロパン)340部を窒素雰囲気下及び常圧で220℃で12時間反応させ、樹脂Cを得た。
樹脂Dはポリアミドであり、以下の方法で合成した。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)パーフルオロプロパン400部、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン140部と、触媒として次亜リン酸ナトリウム0.1部と、イオン交換水200部とを投入し、窒素雰囲気下250℃、35kg/cmで1時間反応を行った。反応終了後、反応器より約10kg/cm低くした圧力の受け器へ抜き出し、樹脂Dを得た。
(実施例1)
本実施例では、第2の樹脂にスチレン−ブチルアクリレート−メタクリル酸共重合体を用い、ワックス(WEP−5、日本油脂社製)の分散体を樹脂粒子の中間層形成時に共存させた。
《着色剤分散液》
・シアン着色剤分散液C1
顔料C.I.ピグメントブルー 15:3 50部
ドデシル硫酸ナトリウム 10部
イオン交換水 200部
上記をサンドグラインダーミルで分散させ、体積平均粒子径(D50)が170nmの顔料微粒子分散液を得た。
《ラテックスの調製》
(ラテックス1HMLの調製)
(分散媒1)
ドデシル硫酸ナトリウム 4.05g
イオン交換水 2500.00g
(1)核粒子の調製(第一段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、上記分散媒1を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、フラスコ内の温度を80℃に昇温させた。
(単量体溶液1)
スチレン 568.00g
n−ブチルアクリレート 164.00g
メタクリル酸 68.00g
n−オクチルメルカプタン 16.51g
この活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム)9.62gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、上記の単量体溶液を90分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第一段重合)を行い、ラテックスを調整した。これを「ラテックス(1H)」とする。ラテックス(1H)の重量平均粒径は68nmであった。
(2)中間層の形成(第二段重合)
(単量体溶液2)
スチレン 123.81g
n−ブチルアクリレート 39.51g
メタクリル酸 12.29g
n−オクチルメルカプタン 0.72g
WEP−5 94.00g
25万の樹脂(モル比St/BA/MAA=51.4/40/8.6) 12.00g
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、上記の単量体溶液2を仕込み、80℃に加熱し溶解させて単量体溶液を調整した。
(分散媒2)
1021(OCHCHOSONa 0.60g
イオン交換水 1000.00g
次いで1.8Lマヨネーズ瓶内で分散媒2を80℃に加熱し、上記単量体溶液2を加え循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により80℃で1時間混合分散させ分散液(ミニエマルション)を調整した。そして、攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコにラテックス(1H)140gとイオン交換水1700gからなる80℃の乳化液に、上記単量体溶液2からなる分散液(ミニエマルション)を分散後速やかに加え、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、フラスコ内の液温度82℃の混合液を調製した。
次いで、この混合液に、重合開始剤(過硫酸カリウム)6.12gをイオン交換水250mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス(ラテックス(1H)粒子の表面が被膜された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス(1HM)」をする。尚、この1HMラテックスをGPCにて分子量測定したところ、この第二段重合で生成した樹脂成分の重量平均分子量は5万であった。
(3)外層の形成(第三段重合)
(単量体溶液3)
スチレン 343.64g
n−ブチルアクリレート 59.40g
n−オクチルメルカプタン 5.97g
上記の様にして得られたラテックス(1HM)に、重合開始剤(KPS)8.3gをイオン交換水350mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、82℃の温度条件下に、上記単量体溶液3を一時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(ラテックス(1H)からなる中心部と、第二段重合樹脂からなる中間層と、第三段重合樹脂からなる外層とを有し、前記第二段重合樹脂層にワックスとしてWEP−5が含有されている複合樹脂の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(1HML)」とする。
このラテックス(1HML)を構成する樹脂微粒子は、THF可溶分が18,000に主ピーク分子量を有するものであり、また、この樹脂微粒子の重量平均粒径は180nmであった。
《着色粒子の調製》
ラテックス(1HML)を420.0g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、シアン着色剤分散液C1 150gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜10.0に調製した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物65.0gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に92℃まで昇温し、会合粒子の生成を行った。その状態で、「コールターカウンター TA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が6.1μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に熟成処理として液温度94℃にて加熱攪拌することにより、粒子の融着及び結晶性物質の相分離を継続させた(熟成工程)。その状態で、「FPIA−2000」にて会合粒子の形状を測定し、形状係数が0.960になった時点で30℃まで冷却し、攪拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄を行い、その後、40℃の温風で乾燥することにより、着色粒子1を得た。着色粒子の個数平均粒径と形状係数を再度測定したところ、それぞれ6.0μm、0.962であった。
《トナーの製造例》
疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1.0質量%となる割合で添加するとともに、疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%となる割合でそれぞれ添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、シアントナー1を製造した。なお、この着色粒子について、疎水性シリカおよび疎水性酸化チタンの添加によっては、その形状および粒径は変化しない。
(実施例2、3)
中間層の形成(第二段重合)の際に添加する樹脂の分子量と添加量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の方法でトナー粒子を調製した。
(実施例4〜6)
中間層の形成(第二段重合)の際に添加する樹脂の種類を表1のように別の樹脂に変更した以外は、実施例1と同様の方法でトナー粒子を調製した。
(実施例7〜10)
中間層の形成(第二段重合)の際に添加する樹脂を表1のように2種に変更した以外は、実施例1と同様の方法でトナー粒子を調製した。
(比較例1)
中間層の形成(第二段重合)の際に添加する樹脂の分子量を、ラテックス粒子の分子量を同じにした以外は、実施例1と同様の方法でトナー粒子を調製した。
(比較例2)
中間層の形成(第二段重合)の際に添加する樹脂の分子量を、ラテックス粒子の分子量より小さくした以外は、実施例1と同様の方法でトナー粒子を調製した。
(比較例3)
中間層の形成(第二段重合)の際に樹脂を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法でトナー粒子を調製した。
Figure 0004085942
Figure 0004085942
<実機耐久性(耐破砕性)評価方法>
評価は、L/L環境下(10℃/15%RH)において、カラーレーザープリンタmagicolor2300DL(ミノルタ・キューエムエス社製)により白紙で2000枚の連続耐久試験を行った後、現像スリーブ上から評価トナーを採取して、走査型電子顕微鏡を用いて、1000倍の倍率で視野を変えて観察を5回行い、トナー500個中の破砕トナーの平均個数で行った。評価基準を以下に示す。
◎:破砕トナーが全くなく(1個未満)で、実用上問題ないもの。
○:破砕トナーが1〜2個存在するが、実用上問題ないもの。
△:破砕トナーが3〜9個存在し、実用上問題あるもの。
×:破砕トナーが10個以上存在し、実用上問題あるもの。
ここで、耐破砕性について説明すると、機械強度の小さいトナーは、実機の規制部(現像スリーブと規制ブレード間)の大きい圧力(線圧20g重/cm)により、割れが生じたり、ヒビが入ったりする。その結果、トナーの微紛が増え、現像時の飛び散りや感光体へのフィルミングなどの問題が発生しやすくなる。
<低温定着性評価方法>
評価定着器は、magicolor2300DL(ミノルタキューエムエス社製)の定着器の温度制御を任意に変更できるよう改造した改造機を用い、以下の評価を行った。CF900用標準紙のCFペーパー(坪量80g/m)に、合計付着量15g/mになるように3層を重ね合わせたベタ画像を画だしし、定着ローラの温度を150℃に設定し複写紙上に定着された複写画像を真中から2つに折り曲げてその剥離性を目視にて判断した。
○:実用上問題なし;
△:若干剥離が生じるが、実用上問題がない;
×:実用上問題あり。
評価結果を以下の表2に示す。
Figure 0004085942
(結果)
表2の結果から明かなように、実機試験において、樹脂粒子の中間層に、マトリックスの樹脂よりも重量平均分子量が1万以上大きい樹脂を含有させることにより、優れた耐破砕性と低温定着性が得られ、実用上問題はなかった。一方、中間層に樹脂を添加しない場合や、マトリックスの樹脂との重量平均分子量の差が1万より小さいあるいは同じ場合には、耐破砕性も低温定着性も劣っていた。これにより、本発明のトナー用樹脂粒子を用いたトナーは、耐破砕性、低温定着性及び耐オフセット性並びに分離性に優れることを確認した。

Claims (9)

  1. 樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で凝集及び融着して成るトナーの製造に用いるトナー用樹脂粒子であって、
    上記樹脂粒子が、コア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成り、該コア層に接する被覆層が、該被覆層のマトリックスとなる第1の樹脂と、該第1の樹脂よりも分子量の大きい少なくとも1種の第2の樹脂とを含有して成るトナー用樹脂粒子。
  2. 上記第2の樹脂は、上記第1の樹脂よりもGPCにより測定された重量平均分子量が1×10以上大きい請求項1記載のトナー用樹脂粒子。
  3. 上記コア層から上記被覆層にかけてマトリックスとなる樹脂の分子量が小さくなる分子量勾配を有する請求項1又は2に記載のトナー用樹脂粒子。
  4. 上記被覆層が、コア層に接する中間層と、該中間層に接する外層の2層から成る請求項1から3のいずれか一つに記載のトナー用樹脂粒子。
  5. 上記第1の樹脂が、ミニエマルション重合により合成されて成る請求項1から4のいずれか一つに記載のトナー用樹脂粒子。
  6. 少なくとも結着剤樹脂と着色剤粒子とを含有するトナーであって、
    上記結着剤樹脂が、コア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成り、該コア層に接する被覆層が、該被覆層のマトリックスを構成する第1の樹脂と、該第1の樹脂よりも分子量の大きい少なくとも1種の第2の樹脂とを含有して成るトナー用樹脂粒子から成り、該樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で凝集及び融着して成るトナー。
  7. 多段階重合によりコア層と、該コア層を覆う1層以上の被覆層から成る樹脂粒子を調製し、該樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で凝集・融着させるトナーの製造方法であって、
    上記コア層に接する被覆層を形成するに際し、該被覆層のマトリックスを構成する第1の樹脂となる単量体組成物と、第1の樹脂よりも分子量の大きい少なくとも1種の第2の樹脂とを含む単量体溶液を界面活性剤溶液に分散させてミニエマルション重合を行うトナーの製造方法。
  8. 上記第2の樹脂は、上記第1の樹脂よりもGPCにより測定された重量平均分子量が1×10以上大きい請求項7記載の製造方法。
  9. 上記水系媒体中にワックスを分散させて、上記樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集・融着させる請求項7又は8に記載の製造方法。

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