JP2005090718A - 玉軸受及び軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 組み付け前の状態で玉軸受13aにラジアル方向の正の内部隙間を設けると共に、この玉軸受13aに接触角を持たせつつ予圧を付与した状態で使用した場合に、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑える。
【解決手段】 外輪軌道11aの曲率半径re の各玉12、12の直径Da に対する比re /Da を、0.55〜0.57とし、内輪軌道9aの曲率半径ri の各玉12、12の直径Da に対する比ri /Da を、0.52〜0.54とする。又、40℃での基油の動粘度が18〜100mm2 /sであるグリースにより内部を潤滑する。又、組み付け前の状態でのラジアル方向の内部隙間cを、Da とre との関係で適切に規制する。
【選択図】 図1

Description

本発明の玉軸受及び軸受装置は、ハードディスクドライブ装置(HDD)やビデオテープレコーダ(VTR)、レーザビームプリンタ(LBP)用のスピンドルモータ、ロータリアクチュエータ、ロータリエンコーダ等、各種精密回転部分や精密工作機械の回転部分に組み込んでこの回転部分を支持する為に利用する。
コンピュータ等の記憶装置として使用するHDDは、例えば特許文献1に記載されている様に、図9に示す様な構造を有する。HDDの使用時にハードディスク1は、ダイレクトドライブ型のスピンドルモータにより高速で回転する。又、先端部にヘッド2を設けたスイングアーム3の基端部は、例えば図10に示す様な複列玉軸受ユニット4により、基板5上に植設した、上記ハードディスク1(図9)の回転軸と平行な支持軸6に対し、揺動変位自在に支持している。
上記複列玉軸受ユニット4を構成する為に、内側部材である円筒状の内筒7の外周面のうちで軸方向に離隔した2個所位置に内輪8、8を、締り嵌めで外嵌固定している。又、これら各内輪8、8の外周面には、それぞれ深溝型若しくはアンギュラ型の内輪軌道9、9を形成している。又、上記各内輪8、8の周囲に外輪10、10を、これら各内輪8、8と同心に配置している。これら各外輪10、10の内周面には、それぞれ深溝型若しくはアンギュラ型の外輪軌道11、11を形成している。そして、上記各内輪軌道9、9とこれら各外輪軌道11、11との間に、それぞれ複数個ずつの玉12、12を転動自在に設けて、1対の玉軸受13、13としている。
又、上記各外輪10、10の両端部内周面には、それぞれ円輪状のシールド板14、14の外周縁を係止し、これら両シールド板14、14によって、上記玉12、12設置部分に存在するグリースが外部に漏洩したり、或は外部に浮遊する塵芥がこの設置部分に進入したりするのを防止している。又、上記各玉12、12は、円環状に形成した保持器15、15により転動自在に保持している。尚、密封装置として、上記非接触型のシールド板14、14に代えて、接触型や非接触型のシール板を使用する場合もある。
上記各保持器15、15としては、例えば、図11に示す様に、冠型保持器と呼ばれるものを使用する。この図11に示した保持器15は、円環状の主部16と、この主部16の軸方向片面に等間隔に設けられた複数のポケット17、17とを備える。これら各ポケット17、17は、互いに間隔をあけて配置した1対の弾性片18、18と、上記主部16の片面(図11の上面)でこの1対の弾性片18、18の間部分に設けた凹面部19とから構成する。そして、各ポケット17に玉12(図10)を1個ずつ、転動自在に保持する。この様に構成する各ポケット17、17の内周面は、その全体を球状凹面としている。この球状凹面の曲率半径は、上記玉12の転動面の曲率半径よりも僅かに大きくしている。この様な保持器15は、例えば合成樹脂を射出成形する事により、一体に形成している。
上記各玉12、12は、各ポケット17、17を構成する1対ずつの弾性片18、18の先端部同士の間隔を弾性的に押し広げつつ、これら1対の弾性片18、18の間に押し込む。そして、上記各玉12、12を各ポケット17、17の内側に、転動自在に保持する。この状態で、上記各玉12、12の転動面と上記各ポケット17、17の内周面との間には、微小な隙間が存在する。従って、上記各玉12、12を上記各ポケット17、17に保持した状態では、上記保持器15がこれら各玉12、12を円周方向に亙って等間隔に保持すると共に、各玉12、12によって上記保持器15のラジアル方向位置を規制する。又、上記微小な隙間の存在により、これら各玉12、12の転動を円滑に行なえる。
それぞれが上述の様に構成する1対の保持器15、15により玉12、12を保持した1対の玉軸受13、13により複列玉軸受ユニット4(図10)を構成するには、前記1対の外輪10、10を、互いに対向する端面同士を間座20(図10)を介して突き合わせると共に、前記1対の内輪8、8を前記内筒7(図10)の軸方向両端部に、締まり嵌め或は接着により外嵌固定する。この様に構成した複列玉軸受ユニット4により前記スイングアーム3(図9)の基端部を、前記支持軸6に対して揺動自在に支持するには、この支持軸6の周囲に上記内筒7を配置する。そして、この内筒7を、上記支持軸6の基端部に設けた段部21と、上記支持軸6の先端面にねじ22により結合固定した抑え板23との間で挟持する。図示の例では、上記1対の内輪8、8を、上記段部21と上記抑え板23とにより互いに近づき合う方向に押圧して、上記1対の玉軸受13、13に所定の接触角を持たせつつ、所定の予圧を付与している。又、これら各玉軸受13、13を組み付ける前の状態では、これら各玉軸受13、13にラジアル方向の正の内部隙間を設けている。
又、上記各外輪10、10及び間座20の外周面に、上記スイングアーム3の基端部を構成するEブロック24を、締り嵌め或は接着により外嵌固定する。そして、このEブロック24の一部分に、前記スイングアーム3を駆動する(揺動させる)為の、ボイスコイルモータ(VCM)25を取り付けている。
上述の様に組み立てた状態で、上記スイングアーム3の先端部に支持した前記ヘッド2(図9)は、このスイングアーム3の揺動に伴って、前記ハードディスク1(図9)の表面に近接した状態のまま、この表面を倣う様に移動しつつ、信号の読み取り並びに書き込みを行なう。尚、HDDやFDD等の磁気ディスクドライブ装置やVTR等の各種AV機器の回転支持部を構成するのにも、ほぼ同様の複列玉軸受ユニットが使用されている。
近年、HDD等の記憶装置の高密度化が進み、ハードディスク1やフレキシブルディスクに信号を記録するトラックの幅が益々狭くなっている。又、磁気記録の読み取り並びに書き込みの高速化も図られている。そして、この様に極端に幅が狭くなっているトラックを、ヘッド2により忠実に、しかも高速でトレースする必要上、上記スイングアーム3の揺動変位に伴う位置決め精度並びに揺動速度の向上、及び、ハードディスク1を高速で回転するスピンドルモータの回転精度の向上が求められている。そして、この様な要求に応じるべく、上記複列玉軸受ユニット4として、高い回転精度を有するものが求められている。又、この複列玉軸受ユニット4は、室内で使用される事が多く、高い静粛性を有する事も求められている。ところが、図9に示した従来の複列玉軸受ユニット4の場合には、この様な要求に応える事が難しい。
即ち、上述した複列玉軸受ユニット4を構成する玉軸受13、13の場合、各玉12、12の転動を円滑に行なわせる為に、これら各玉12、12の転動面と各保持器15、15を構成するポケット17、17の内面との間に存在する隙間を、或る程度大きくしている。但し、この隙間の存在に基づいてこれら各保持器15、15が、ラジアル方向に亙って変位する事が避けられない。この様な変位が発生すると、所謂保持器音と呼ばれる騒音を伴う振動が発生する。この保持器15、15の振動は、各玉12、12に対する各保持器15、15の動き量が大きくなる事に起因して、これら各玉12、12と保持器15、15との間の滑り摩擦に基づいて発生する。又、これら各保持器15、15に対する各玉12、12の動き量が大きくなる為、これら各玉12、12の円周方向に亙る不等配(円周方向に亙る配置のばらつき)が大きくなる。そして、この様に各玉12、12の円周方向に亙る不等配が大きくなる事に起因して、上記玉軸受13、13に、回転非同期振れ(Non Repeatable Run-out=NRRO)と呼ばれる、1回転毎に繰り返されないラジアル方向の微小変位が発生する事が知られている。HDD等の高精度機器の回転支持部に組み込む玉軸受13、13にこの様な微小変位が発生すると、この高精度機器の性能を悪化させる原因となる。特に、上記回転非同期振れのうちでも、保持器回転成分NRR−fC がこの性能に及ぼす影響は大きい。
これに対して、従来から、上記各玉12、12の転動面と上記各ポケット17、17の内面との間の隙間を小さくする事により、上記保持器音及び回転非同期振れの保持器回転成分NRR−fC を抑える事が考えられている。但し、この隙間を小さくし過ぎると、軸受トルクが増大したり、潤滑不良により音響特性が悪化し易くなる。この為、この隙間を小さくする事には限界がある。
一方、本発明者が、外輪軌道11及び内輪軌道9の断面形状の曲率半径が種々に異なる玉軸受13を使用して、保持器音の測定を行なったところ、各玉12の転動面と各内輪、外輪軌道9、11との面圧を大きくした場合には、保持器を小さくできる事が分かった。
又、本発明者が、上記保持器15のラジアル方向の振れと回転回数との関係を計算により求めたところ、図12に示す様な計算結果が得られた。この図12から明らかな様に、保持器15のラジアル方向の振れ量は、回転回数の増大に伴って周期的に大きくなる。又、本発明者が各玉12と保持器15との衝突力を求めたところ、保持器15の振れ量が最も大きくなる場合にこの衝突力が最も大きくなる事が分かった。この衝突力が大きくなると、保持器音及び回転非同期振れが発生し易くなる。そこで、本発明者は、保持器15と玉12との衝突力を小さくし、当該衝突による不安定な振動に基づく保持器音及び回転非同期振れを小さくする為には、上記各玉12、12と各内輪、外輪軌道9、11との接触部での面圧を大きくする事により、保持器15の振れ量を小さくする事が重要であると考えた。一方、この面圧が過大になった場合には、軸受寿命及び耐衝撃性が低下する為、この面圧が過大にならない様にする事を考慮する必要がある。
更に、前述の図10に示した様に、組み付け前の状態、即ち、各玉12、12を単列のみ設けた状態で、ラジアル方向の内部隙間を有する玉軸受13、13とし、各玉12、12に予圧を付与して(0ではない)接触角を持つ状態で使用する玉軸受13、13の場合には、上記保持器音及び回転非同期振れが大きくなり易い事が分かった。この理由を、本発明者は次の様に考えた。即ち、前述の図10に示した様に予圧を付与して接触角を持たせた構造の場合、各玉12、12の転動面と各内輪、外輪軌道9、11との接触部は、ヘルツの弾性接触により弾性変形する。このとき、接触角が存在すると、この接触角に対応して、上記各玉12、12と各内輪、外輪軌道9、11との接触点に作用する分力が小さくなり、上記接触部での面圧が小さくなる。この様に、前述の図10に示した構造の場合には、この接触部での面圧が小さくなる為、この接触部に存在する油膜での滑りが大きくなり、この接触部に作用するトラクション力が小さくなる。この為、上記各玉12、12が保持器15に押される事により、これら各玉12、12の円周方向に亙る不等配が著しくなり易い。この様に前述の図10に示した構造の場合には、この不等配が著しくなる為、図13に示す様に、上記保持器15がラジアル方向に大きく変位して、保持器15の回転非同期振れ成分NRR−fC と、保持器音とが大きくなり易い。
又、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1の他に、特許文献2〜8及び非特許文献1〜2がある。
特開平7−111053号公報 特開2000−65069号公報 特開平11−125259号公報 特開平10−159843号公報 特開2002−235739号公報 特開2001−12464号公報 特開平6−221326号公報 特開2000−97243号公報 転がり軸受工学編集委員会編「転がり軸受工学」株式会社養賢堂発行、1975年7月10日、p.82〜84 日本精工株式会社編「NSK Technical Journal No.656」、1993年、p.15〜21
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、組み付け前の状態で玉軸受にラジアル方向の正の内部隙間を設けると共に、この玉軸受に接触角を持たせつつ予圧を付与した状態で使用するのにも拘らず、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑えるべく発明したものである。
本発明の玉軸受は、内周面に外輪軌道を有する外輪相当部材と、外周面に内輪軌道を有する内輪相当部材と、これら外輪軌道と内輪軌道との間にそれぞれ転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各玉を転動自在に保持する保持器とを備える。又、この保持器は、全体が円環状若しくは円筒状で、複数のポケットを円周方向に亙り間欠的に形成したものである。又、上記外輪軌道の中心軸を含む仮想平面に関するこの外輪軌道の断面形状の曲率半径をre とし、上記内輪軌道の中心軸を含む仮想平面に関するこの内輪軌道の断面形状の曲率半径をri とし、上記各玉の直径をDa とした場合に、0.55≦re /Da ≦0.57、且つ、0.52≦ri /Da ≦0.54である。又、上記各玉を単列のみ設けた状態でラジアル方向の正の内部隙間を設けており、内部を潤滑剤により潤滑すると共に、上記各玉と上記外輪軌道及び内輪軌道とを所定の大きさの接触角で接触させつつ、これら各玉に予圧を付与した状態で使用する。
又、請求項4に記載した、本発明の軸受装置は、上述の玉軸受を備え、各玉と外輪軌道及び内輪軌道とを所定の大きさの接触角で接触させつつ、これら各玉に予圧を付与している。
上述の様に構成する本発明の玉軸受及びこの玉軸受を組み込んだ軸受装置によれば、組み付け前の状態で玉軸受にラジアル方向の正の内部隙間を設けると共に、この玉軸受に接触角を持たせつつ予圧を付与した状態で使用するのにも拘らず、各玉と各内輪、外輪軌道との接触部に適切な大きさの面圧を加える事ができる。この為、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑える事ができる。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、潤滑剤を、40℃での基油の動粘度が18〜100mm2 /sであるグリースとすると共に、各玉を単列のみ設けた状態でのラジアル方向の内部隙間をcとした場合に、c≦Da {0.00834+0.417(re /Da −0.55)}とする。
この好ましい構成によれば、玉軸受の内部を、所定の動粘度を有する基油を用いたグリースにより潤滑できると共に、各玉と各内輪、外輪軌道との接触部に、より適切な大きさの面圧を加える事ができる。この為、これら各玉の動きを拘束し易くでき、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑えると言った効果を、より効果的に得る事ができる。
又、好ましくは、請求項3に記載した様に、潤滑剤を、40℃での基油の動粘度が18〜100mm2 /sであるグリースとすると共に、0.56≦re /Da ≦0.57、且つ、0.525≦ri /Da ≦0.54とする。
この好ましい構成によれば、玉軸受の内部を所定の動粘度を有する基油を用いたグリースにより潤滑できると共に、各玉と各内輪、外輪軌道との接触部に、より適切な大きさの面圧を加える事ができる。この為、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑えると言った効果を、より効果的に得る事ができる。
又、本発明の軸受装置を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した様に、外輪相当部材又はこの外輪相当部材を内嵌固定する外側部材を構成する材料の線膨張係数を、内輪相当部材又はこの内輪相当部材を外嵌固定する内側部材を構成する材料の線膨張係数よりも大きくすると共に、各玉に定位置予圧法により予圧を付与する。より好ましくは、上記外側部材を構成する材料の線膨張係数を、(20〜50)×10-6{更に好ましくは(20〜25)×10-6}とし、上記内側部材を構成する材料の線膨張係数を、(10.1〜16.8)×10-6とする。更に好ましくは、玉軸受の外輪相当部材及び内輪相当部材を構成する材料の線膨張係数を、(10.1〜16.8)×10-6{更に好ましくは(10.1〜13.5)×10-6}とする。
この好ましい構成によれば、温度変化により玉軸受に付与される予圧が変動しても、各内輪、外輪軌道の断面形状の曲率半径を、各玉の直径との関係で適切に規制する事により、前記予圧の変動の影響を緩和し、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑える事ができると言った効果が顕著になる。
図1は、本発明の実施例1の玉軸受13aを示している。この玉軸受13aは、深溝型又はアンギュラ型のラジアル玉軸受で、内周面に外輪軌道11aを有する外輪相当部材である、外輪10と、外周面に内輪軌道9aを有する内輪相当部材である、内輪8と、これら外輪軌道11aと内輪軌道9aとの間にそれぞれ転動自在に設けられた複数個の玉12、12と、これら各玉12、12を転動自在に保持する保持器15とを備える。又、この保持器15は、全体を円環状に形成しており、複数のポケット17を円周方向に亙り間欠的に形成している。尚、この保持器15の具体的な構造に就いては、前述の図11に示した従来構造の場合と同様である為、重複する説明は省略する。
特に、本例の玉軸受13aは、上記外輪軌道11aの中心軸を含む仮想平面に関するこの外輪軌道11aの断面形状の曲率半径をre とし、上記内輪軌道9aの中心軸を含む仮想平面に関するこの内輪軌道9aの断面形状の曲率半径をri とし、上記各玉12、12の直径をDa とした場合に、0.55≦re /Da ≦0.57、且つ、0.52≦ri /Da ≦0.54を満たす様に、各部の寸法を規制している。より好ましくは、0.56≦re /Da ≦0.57、且つ、0.525≦ri /Da ≦0.54を満たす様に各部の寸法を規制する。又、本例の玉軸受13aは、使用時に、外側部材であるEブロック24(図10参照)の内周面と、内側部材である内筒7(図10参照)の外周面との間に組み付ける。そして、上記玉軸受13aを上記Eブロック24の内周面とこの内筒7の外周面との間に組み付ける前の状態、即ち、上記各玉12、12を単列のみ設けた状態で、この玉軸受13aに、ラジアル方向の正の内部隙間を設けている。この内部隙間は、この玉軸受13aの組立性の向上を図る面から、0.003mm(3μm)以上、より好ましくは、0.005mm(5μm)以上とする。そして、この玉軸受13aの使用時に、この玉軸受13aの内部を潤滑剤であるグリースにより潤滑すると共に、上記各玉12、12と上記各内輪、外輪軌道9a、11aとを所定の(0ではない)大きさの接触角で接触させつつ、これら各玉12、12に予圧を付与する。この所定の大きさの接触角は、5〜30度が好ましい。この接触角が5度よりも小さいと、アキシアル剛性が小さくなり、回転精度に影響を及ぼし、逆に接触角が30度よりも大きいと、スピンが大きくなり、発熱等の問題を生じる。より好ましくは、この接触角を、10〜22度とする。
又、本例の場合には、上記グリースの40℃での基油の動粘度を、18〜100mm2 /sとしている。又、上記Eブロック24の内周面と内筒7の外周面との間に玉軸受13aを組み付ける前の状態での、この玉軸受13aのラジアル方向の内部隙間をcとした場合に、c≦Da {0.00834+0.417(re /Da −0.55)}の関係を満たす様に、この内部隙間cを規制している。
それぞれが上述の様に構成する本例の玉軸受13aは、前述の図10に示した様に、上記Eブロック24の内周面と内筒7の外周面との間に1対組み込んで、軸受装置である、複列玉軸受ユニット4を構成した状態で使用する。又、この複列玉軸受ユニット4は、上記各玉軸受13aを構成する外輪10の軸方向一端面を、間座20を介して突き合わせると共に、各内輪8を、基板5に設けた段部21及び抑え板23とにより、互いに近づき合う方向に押圧する。そして、上記各玉軸受13aを構成する各玉12、12に、定位置予圧法により、所定の予圧を付与する。
又、本例の場合には、上記Eブロック24を構成する材料の線膨張係数を、上記内筒7を構成する材料の線膨張係数よりも大きくしている。具体的には、上記Eブロック24を構成する材料の線膨張係数を、(20〜50)×10-6とし、上記内筒7を構成する材料の線膨張係数を、(10.1〜16.8)×10-6としている。より好ましくは、上記玉軸受13aの外輪10及び内輪8を構成する材料の線膨張係数を(10.1〜16.8)×10-6{更に好ましくは(10.1〜13.5)×10-6}とする。例えば、上記Eブロック24を構成する材料として、線膨張係数が(20〜25)×10-6であるアルミニウム合金、線膨張係数が20.5×10-6である銅合金、線膨張係数が(20〜50)×10-6である合成樹脂等を使用する。又、このうちのアルミニウム合金は、最も汎用性が高い。この為、上記Eブロック24を構成する材料のより好ましい線膨張係数は、このアルミニウム合金の線膨張係数と同じ範囲である、(20〜25)×10-6とする。
又、上記内筒7と外輪10及び内輪8とを構成する材料として、線膨張係数が10.1×10-6であるマルテンサイトステンレス鋼、線膨張係数が12.5×10-6である軸受鋼、線膨張係数が13.5×10-6である中炭素鋼、線膨張係数が16.8×10-6であるオーステナイトステンレス鋼等を使用する。但し、上記外輪10及び内輪8を構成する材料として、オーステナイトステンレス鋼を使用する事は実際上少ない。この為、この外輪10及び内輪8を構成する材料の、より好ましい線膨張係数は、上記マルテンサイトステンレス鋼と、軸受鋼と、中炭素鋼との線膨張係数を含み、上記オーステナイトステンレス鋼の線膨張係数を除いた範囲である、(10.1〜13.5)×10-6とする。又、前記各玉12を構成する材料として、上記外輪10及び内輪8を構成する材料と同じものを使用できる他、線膨張係数が2.6×10-6である窒化珪素Si3N 4等も使用できる。
又、本例の玉軸受及びこの玉軸受を組み込んだ軸受装置は、疲労限度荷重以下の大きさのラジアル荷重を付与する状態で使用する。ここで、「疲労限度荷重」とは、非特許文献2等に記載されて従来から知られている様に、L10寿命が1011サイクル(応力繰り返し数)に達する場合での最大のラジアル荷重を言う。特に、本例の玉軸受及び軸受装置は、上記「疲労限度荷重」を、各内輪、外輪軌道9a、11aと各玉12との接触部での最大接触面圧が1850MPaとなる場合でのラジアル荷重とする。
上述の様に構成する本例の玉軸受とこれを組み込んだ軸受装置の場合には、玉軸受13aを構成する外輪軌道11aの中心軸を含む仮想平面に関するこの外輪軌道13aの断面形状の曲率半径をre とし、内輪軌道9aの中心軸を含む仮想平面に関するこの内輪軌道9aの断面形状の曲率半径をri とし、各玉12、12の直径をDa とした場合に、0.55≦re /Da ≦0.57、且つ、0.52≦ri /Da ≦0.54を満たす様に各部の寸法を規制している。この為、組み付け前の状態で玉軸受13aにラジアル方向の正の内部隙間を設けると共に、この玉軸受13aに接触角を持たせつつ予圧を付与した状態で使用する場合に、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑える事ができる。次に、この理由に就いて詳しく説明する。
即ち、前述した様に、本発明者が行なった保持器音の測定結果及び計算結果から、上記内輪軌道9a及び外輪軌道11aと各玉12、12との接触部での面圧を大きくすれば、各玉1の円周方向に亙る不等配を生じにくくでき、保持器15の振れ量を小さくでき、保持器音及び回転非同期振れを小さくできる事が分かった。又、この振れ量を小さくできる理由として、各玉12、12の自転滑り及び公転滑りや円周方向の進み遅れの違いに基づく各玉12、12の円周方向に亙る不等配を生じにくくできる事が考えられる。又、上記各内輪、外輪軌道9a、11aの断面形状の曲率半径ri 、re の、上記各玉12、12の直径Da に対する比ri /Da 、re /Da を大きくする事により、上記面圧は大きくできる。即ち、従来から一般的に使用されている玉軸受に於いて、各玉の直径Da に対する内輪軌道(又は外輪軌道)の断面形状の曲率半径ri (又はre )の比ri /Da (又はre /Da )と、この内輪軌道(又は外輪軌道)と玉との接触部での面圧との関係は、図2に示す様になる。即ち、上記比ri /Da (又は比re /Da )が大きくなる程、この面圧は大きくなる。尚、上記図2に示す関係は、例えば、従来から知られている非特許文献1に記載された計算式を用いた計算により求められる。
一方、内輪軌道9aは円周方向に関して凸に湾曲しているのに対して、外輪軌道11aは円周方向に関して凹に湾曲していると共に、内輪軌道9aの直径は外輪軌道11aの直径よりも小さい。この為、各玉12、12の直径Da に対する上記内輪、外輪各軌道9a、11aの断面形状の曲率半径の比ri /Da 、re /Da を互いに等しくした場合には、上記各玉12、12と内輪軌道9aとの接触部での面圧が、各玉12、12と外輪軌道11aとの接触部での面圧よりも大きくなる。従って、上記内輪軌道9aの断面形状に関する比ri /Da を、この外輪軌道11aの断面形状に関する比re /Da よりも小さくすれば{(ri /Da )<(re /Da )}、上記各接触部での面圧を適切に規制し易くできる。
一方、従来から一般的に使用されている玉軸受で、ラジアル方向の内部隙間と、内輪軌道(又は外輪軌道)と各玉との接触部での面圧との関係は、図3に示す様になる。即ち、上記内部隙間が大きくなる程、この面圧は小さくなる。本発明の場合には、正の内部隙間を設けている為、この面圧が小さくなり易い。これに対して、本発明の場合には、各内輪、外輪軌道9a、11aの断面形状に関する比ri /Da 、re /Da を、ri /Da ≧0.52、且つ、re /Da ≧0.55と大きくすると共に、この内輪軌道9aの断面形状に関する比ri /Da を、この外輪軌道11aの断面形状に関する比re /Da よりも小さくしている{(ri /Da )<(re /Da )}。この為、本例の玉軸受によれば、組み付け前の状態で玉軸受13aにラジアル方向の正の内部隙間を設けると共に、この玉軸受13aに接触角を持たせつつ予圧を付与した状態で使用する場合に、上記各玉12、12と各内輪、外輪軌道9a、11aとの接触部に作用する面圧を大きくできる。従って、この接触部の油膜での滑りを小さくでき、この接触部に作用するトラクション力を大きくでき、上記保持器15から各玉12、12に大きな力が加わった場合でも、これら各玉12、12の円周方向に亙る不等配を生じにくくできる。この結果、保持器音及び回転非同期振れを抑える事ができる。又、上記外輪軌道11aに関する比re /Da を0.57以下とすると共に、上記内輪軌道9aに関する比ri /Da を0.54以下としている為、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保できる。
尚、特許文献2〜3には、各内輪、外輪軌道の断面形状の曲率半径と、これら各軌道と各玉との接触部での面圧との関係に着目し、これら曲率半径の大きさを所定の範囲に規制した技術が記載されている。但し、この技術は、転がり疲れ寿命の最適化を図るべく考えられたものであり、上記面圧が低くなり易い条件の下で、軸受寿命及び耐衝撃性を確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑える本発明の場合とは、目的が大きく異なる。そして、この目的の相違に基づいて、特許文献2〜3に記載された技術と、本発明とでは、上記曲率半径の大きさを規制する範囲が異なる。
又、本例の場合には、前記玉軸受13aの内部を潤滑するグリースとして、40℃での基油の動粘度が18〜100mm2 /sであるものを使用している。又、前記Eブロック24の内周面と内筒7の外周面との間に組み付ける前の状態での、ラジアル方向の正の内部隙間をcとした場合に、c≦Da {0.0834+0.417(re /Da −0.55)}の関係を満たす様に、この内部隙間cを規制している。この為、玉軸受13aの内部を、各玉12、12と各内輪、外輪軌道9a、11aとの接触部に、より適切な大きさの面圧を加える事ができる。これらの結果、上記各玉12、12の動きを拘束し易くでき、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑えると言った効果を、より効果的に得る事ができる。尚、上記基油の動粘度は大きい程、上記各玉12、12の動きを拘束し易くできる。又、この動粘度が18mm2 /s未満の場合には、上記グリースによりこの動きを拘束できる効果が小さい。逆に、この動粘度が100mm2 /sを越えると、デジタルビデオテープレコーダ等の精密機器の回転支持部分に本例の玉軸受13aを組み込んだ場合に、この玉軸受13aのトルクが大きくなる為、この精密機器の消費電力が大きくなり、電池寿命が短くなる。そこで、本例の場合には、上記動粘度を、18〜100mm2 /sとした。より好ましくは、この動粘度を、25〜60mm2 /sとする。この好ましい構成によれば、前記保持器音及び回転非同期振れをより抑える事ができると共に、精密機器の消費電力をより低減できる。
更に、前記外輪軌道11aの中心軸を含む仮想平面に関するこの外輪軌道11aの断面形状の曲率半径をre とし、上記内輪軌道9aの中心軸を含む仮想平面に関するこの内輪軌道9aの断面形状の曲率半径をri とし、上記各玉12、12の直径をDa とした場合に、0.56≦re /Da ≦0.57で、0.525≦ri /Da ≦0.54の関係を満たす様に各部の寸法を規制した場合には、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑えると言った効果を、より効果的に得る事ができる。
又、本例の軸受装置の場合には、前記Eブロック24を構成する材料の線膨張係数を、前記内筒7を構成する材料の線膨張係数よりも大きくすると共に、上記各玉12、12に定位置予圧法により予圧を付与している。この為、温度変化により玉軸受13aの予圧抜けが生じ易くなっても、上記各内輪、外輪軌道9a、11aの断面形状の曲率半径ri 、re を、各玉12、12の直径Da との関係で適切に規制する事により、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑える事ができると言った効果が顕著になる。
次に、本例の効果を確認すべく行なった第一〜第二の実験に就いて説明する。これら各実験は、上述の図1に示した構造と同様の構造を有する玉軸受13aで、各内輪、外輪軌道9a、11aの断面形状の曲率半径を種々に異ならせたものを用いて、保持器音を評価した。又、この玉軸受13aの内径d13a を3mmとし、外径D13a を6.2mmとし、各玉12、12の直径Da を1.2mmとし、玉数を6個とした。又、この玉軸受13aの基本動定格荷重Cr を300Nとし、2.9Nのアキシアル荷重を加えて、上記各玉12、12に予圧を付与した。このとき、これら各玉12、12と各内輪、外輪軌道9a、11aとの接触部での最大接触面圧Pmax は、900〜1200MPaとなる。又、上記保持器15を玉案内とすると共に、この保持器15に設けた各ポケット17の内面と各玉12、12の転動面との間のポケット隙間を、0.035mmとした。
又、上記外輪軌道11aの中心軸を含む仮想平面に関するこの外輪軌道11aの断面形状の曲率半径をre とし、上記内輪軌道9aの中心軸を含む仮想平面に関するこの内輪軌道9aの断面形状の曲率半径をri とし、上記各玉12、12の直径をDa とした場合に、re /Da が0.52〜0.57の範囲で変化し、ri /Da が0.51〜0.54の範囲で変化する様に、上記各内輪、外輪軌道9a、11aの形状を種々に異ならせた。
又、上記保持器15として、各玉軸受13a同士でほぼ同形状のものを使用した。又、第一の実験では、各玉軸受13aの内部を、同一の寸法を有する玉軸受13a毎に、40℃での基油の動粘度が18mm2 /sであるグリースにより潤滑する実験を行なった。又、これらのグリースの基油としてエステル油を、同じく増ちょう剤としてリチウム石けんを、それぞれ使用した。又、グリースの全量に対しこの増ちょう剤を20質量%含有した。そして、第一の実験では、玉軸受13aのラジアル方向の内部隙間cを、0.008〜0.010mmとし、内側部材である図示しない軸に内輪8を固定し、外側部材である図示しないハウジングに外輪10を固定した状態で、このハウジングを9000min-1 の速度で回転させて、保持器音の大きさを評価した。又、この保持器音の評価は、人の聴覚により行なった。
図4は、この様にして行なった第一の実験での保持器音の評価結果を示している。この図4に於いて、◎印は保持器音が小さかったか、又は全く聞こえなかった事を、×印は保持器音が大きかった事を、それぞれ表している。図4に示した実験結果から明らかな様に、グリースの基油の動粘度が18mm2 /sであれば、本発明の範囲である、図4に実線で示す枠内の領域で、玉軸受13aの保持器音を小さくするか又はなくす事ができた。尚、後述の様に、グリースの基油の動粘度が大きくなると、トラクション力が大きくなり、保持器音を小さくする事ができるので、グリースの基油の動粘度が18mm2 /s以上であれば、本発明の範囲である、図4の実線で示す枠内の領域で、玉軸受13aの保持器音を小さくできるか又はなくす事ができる。
又、第二の実験では、上述した第一の実験で使用した玉軸受13aと同様の構造を有するもので、ラジアル方向の内部隙間cを、0.018〜0.020mmと、上述した第一の実験の場合よりも大きくしたものを使用した。そして、この第一の実験と同様に実験を行ない、保持器音を評価した。又、各玉軸受13aの内部を、同一の寸法を有する玉軸受13a毎に、40℃での基油の動粘度が18mm2 /sと25mm2 /sと36mm2 /sとである、3種類のグリースによりそれぞれ潤滑する、3回ずつの実験を行なった。図5は、この様にして行なった第二の実験の実験結果を示している。この図5に於いて、◎印は、基油の動粘度が18mm2 /sであるグリースを使用した場合で、保持器音を小さくできたか、又は全くなくす事ができた事を表している。又、○印は、基油の動粘度が18mm2 /sであるグリースを使用した場合に保持器音が大きくなったのに対し、この動粘度が25mm2 /sであるグリースを使用した場合には保持器音を小さくできたか、又は全くなくす事ができた事を表している。又、●印は、基油の動粘度が18mm2 /s及び25mm2 /sであるグリースを使用した場合に保持器音が大きくなったのに対し、この動粘度が36mm2 /sであるグリースを使用した場合には保持器音を小さくできたか、又は全くなくす事ができた事を表している。又、×印は、基油の動粘度が18mm2 /s、25mm2 /s、36mm2 /sである何れのグリースを使用した場合でも、保持器音が大きくなった事を表している。
図5に示した評価結果から明らかな様に、本発明の範囲である、図5に実線で示す枠内
の領域では、グリースの基油の動粘度が36mm2 /s以上で、玉軸受13aの保持器音を小さくできたか又は全くなくす事ができた。これに対して、グリースとして、40℃での基油の動粘度が18mm2 /s又は25mm2 /sであるものを使用した場合には、本発明の範囲である図5の実線枠内の領域でも、必ずしも保持器音を小さくできなかった。この事から内部隙間cを大きくした場合には、グリースとして基油の動粘度が高いものを使用する事により保持器音を小さくできる事が分かった。
又、図5に示した第二の実験結果から明らかな様に、潤滑剤として40℃での基油の動粘度が25mm2 /s以上の動粘度を有するグリースを使用すると共に、0.56≦re /Da ≦0.57で、0.525≦ri /Da ≦0.54である玉軸受13aを使用した場合には、上記内部隙間を0.018〜0.020mmと大きくした場合でも、保持器音を小さくできたか、又はなくす事ができた。
又、前述の図4に示した第一の実験結果から、玉軸受13aでのラジアル方向の内部隙間cが0.008〜0.010mmである場合には、40℃での基油の動粘度が18mm2 /sであるグリースを使用した場合でも、外輪軌道11aの断面形状に関する比re /Da が0.55以上(re /Da ≧0.55)で、内輪軌道9aの断面形状に関する比ri /Da が0.52以上(ri /Da ≧0.52)であれば、上記保持器音を小さくできるか、又は全くなくす事ができる事が分かった。又、上述の図5に示した第二の実験結果から、上記内部隙間cが0.018〜0.020mmである場合には、40℃での基油の動粘度が25mm2 /sであるグリースを使用した場合でも、上記外輪軌道11aの断面形状に関する比re /Da が0.555以上(re /Da ≧0.555)で上記内輪軌道9aの断面形状に関する比ri /Da が0.525以上(ri /Da ≧0.525)であれば、上記保持器音を小さくできるか、又はなくす事ができる事が分かった。
又、前述の図4に示した第一の実験から明らかな様に、玉軸受13aでのラジアル方向の内部隙間cが約0.010mmである場合で、且つ、40℃での基油の動粘度が18mm2 /sであるグリースを使用した場合で、外輪軌道11aに関する比re /Da を0.55以上とすれば、上記保持器音を小さくできるか、又はなくす事ができる可能性がある。又、上述の図5に示した第二の実験結果から明らかな様に、上記内部隙間が約0.020mmである場合で、且つ、40℃での基油の動粘度が18mmであるグリースを使用した場合で、上記外輪軌道11aに関する比re /Da を0.57以上とすれば、上記保持器音を小さくできるか、又はなくす事ができる可能性がある。又、re /Da =0.55で上記ラジアル方向の内部隙間cが0.010mmである事と、re /Da =0.57でこの内部隙間cが0.020mmである事とに基づく線形捕間により、c≦{0.01+0.5(re /Da −0.55)}の関係式が得られる。又、この関係式から、上記各玉12、12の直径Da とこの内部隙間cとの関係を考慮した一般式として、c≦Da {0.00834+0.417(re /Da −0.55)}が得られる。従って、この一般式を満たす場合で、0.55≦re /Da ≦0.57と、0.52≦ri /Da ≦0.54との関係を満たす場合に、グリースの40℃での基油の動粘度を18〜100mm2 /sとすれば、玉軸受13aの内部を、高い動粘度を有するグリースにより潤滑できると共に、各玉12、12と各内輪、外輪軌道9a、11aとの接触部に、より適切な大きさの面圧を加える事ができる。この為、これら各玉12、12の動きを拘束し易くでき、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑えると言った効果を、より効果的に得る事ができる。
又、本例の軸受装置の場合には、請求項5に係る発明として、前記Eブロック24を構成する材料の線膨張係数を、前記内筒7を構成する材料の線膨張係数よりも大きくすると共に、上記各玉12、12に定位置予圧法により予圧を付与している。但し、上記Eブロック24の代わりに、玉軸受13aを構成する外輪10を嵌合する為の別の外側部材も使用でき、上記内筒7の代わりに、内輪10を嵌合する為の別の内側部材も使用できる。又、図6に示す様に、外周面に1対の内輪軌道9a、9aを形成した内輪相当部材である、軸26と、内周面に1対の外輪軌道11a、11aを形成した外輪相当部材である、外輪27とを、複数の玉12、12を介して組み合わせると共に、これら複数の玉12、12に予圧を付与した軸受装置である、複列玉軸受28に、請求項5に係る発明を適用する事もできる。
又、図7に示す様に、軸26aの片半部(図7の右半部)に設けた小径部30に内輪29を外嵌固定すると共に、外輪27の内側にこの軸26a及び内輪29を、複数の玉12、12を介して組み合わせて成る軸受装置である、複列玉軸受28aに、請求項5に係る発明を適用する事もできる。即ち、この複列玉軸受28aは、軸26aが、小径部30と大径部31とを段部32により連続させており、この大径部31の外周面に1対の内輪軌道9a、9aのうちの一方の内輪軌道9aを形成している。又、内輪29は、自由状態に於いて上記小径部30の外径よりも少し小さな内径を有する。又、この内輪29は外周面に、上記1対の内輪軌道9a、9aのうちの他方の内輪軌道9aを形成している。そして、上記小径部30にこの内輪29を外嵌した後に、上記軸26a及びこの内輪29を上記外輪27の内側に挿入し、次いで、上記各内輪軌道9a、9aと各外輪軌道11a、11aとの間に玉12、12を転動自在に組み付けている。そして、この様に組み付けた後に、上記内輪29を上記段部32に向け、軸方向に変位させる事により、上記1対の内輪軌道9a、9aのピッチP1 を短くして、上記各玉12、12に所定の予圧を付与している。請求項5に係る発明は、この様な構造に適用する事もできる。
更に、図8に示す様に、外周面に1対の内輪軌道9a、9aを形成した軸26と、それぞれの内周面に外輪軌道11a、11aを形成した1対の外輪10、10とを複数の玉12、12を介して組み合わせると共に、これら各外輪10、10の間にばね33を設け、更に、これら各外輪10、10を図示しないハウジングに内嵌固定した複列玉軸受28bに、請求項5に係る発明を適用する事もできる。このばね33の両端部は、これら各外輪10、10の端部内周面に形成した係止溝34、34に係止したばね座35、35の側面に当接させている。そして、上記ばね33の弾力により、各玉12、12に所定の予圧を付与する為の位置決めを行なっている。尚、上記ハウジングが請求項5に記載した外側部材に相当する。図8に示す複列玉軸受28bは、外側部材に相当する、図示しないハウジングの内側に組み付けた状態で、定位置予圧法により上記各玉12、12に所定の予圧を付与する。即ち、図8の複列玉軸受28bを定位置予圧法により所定の予圧を付与した状態で使用する場合には、上記ハウジングの内側に組み付ける以前の状態で、上記ばね33により、所定の接触角を持たせた状態で、上記各玉12、12に所定の予圧を付与しておく。そして、上記ハウジングに上記各外輪10、10を、所定の位置に圧入若しくは接着等により内嵌する事により、上記各玉12、12に所定の予圧を付与している。請求項5に係る発明は、この様な定位置予圧法により各玉12、12に予圧を付与した状態で使用する複列玉軸受28bに適用した場合でも、各内輪、外輪軌道9a、11aの断面形状の曲率半径を、各玉12、12の直径との関係で適切に規制する事により、軸受寿命及び耐衝撃性を十分に確保しつつ、保持器音及び回転非同期振れを抑える事ができると言った効果が顕著になる。尚、上記図8に示す複列玉軸受28bを組み立てた状態で、この複列玉軸受28bを構成する各玉軸受13b、13bの内部には、ラジアル方向の内部隙間が存在しないが、ばね33を装着する以前の、軸26と玉12、12と外輪10、10とを組み合わせた状態では、ラジアル方向の正の内部隙間が存在する。
本発明の実施例1の玉軸受を示す断面図。 一般的な構造に於ける、内輪軌道(又は外輪軌道)の断面形状の曲率半径に関する比ri /Da (又はre /Da )と、内輪軌道(又は外輪軌道)と各玉との接触部に於ける面圧との関係を示す線図。 一般的な構造に於ける、玉軸受のラジアル方向の内部隙間と上記面圧との関係を示す線図。 玉軸受のラジアル方向の内部隙間が0.008〜0.010mmである場合での、各外輪、内輪軌道に関する比re /Da 、ri /Da と保持器音の評価結果との関係を示すグラフ。 同じく0.018〜0.020mmである場合での、各外輪、内輪軌道に関する比re /Da 、ri /Da と保持器音の評価結果との関係を示すグラフ。 本発明の対象となる軸受装置の第1例を示す断面図。 同第2例を示す断面図。 同第3例を示す断面図。 本発明の対象となる玉軸受により支承するスイングアームを組み込んだHDDの1例を、カバーを外した状態で示す斜視図。 従来構造の1例の軸受装置を示す断面図。 図10から保持器のみを取り出して示す斜視図。 玉軸受に於いて、各玉の円周方向に亙る不等配が大きくなった場合で、保持器の回転数とこの保持器のラジアル方向の振れとの関係を求めた計算結果を示す図。 玉軸受で各玉の円周方向に亙る不等配が大きくなった状態を示す断面図。
符号の説明
1 ハードディスク
2 ヘッド
3 スイングアーム
4 複列玉軸受ユニット
5 基板
6 支持軸
7 内筒
8 内輪
9、9a 内輪軌道
10 外輪
11、11a 外輪軌道
12 玉
13、13a、13b 玉軸受
14 シールド板
15 保持器
16 主部
17 ポケット
18 弾性片
19 凹面部
20 間座
21 段部
22 ねじ
23 抑え板
24 Eブロック
25 ボイスコイルモータ
26、26a 軸
27 外輪
28、28a、28b 複列玉軸受
29 内輪
30 小径部
31 大径部
32 段部
33 ばね
34 係止溝
35 ばね座

Claims (5)

  1. 内周面に外輪軌道を有する外輪相当部材と、外周面に内輪軌道を有する内輪相当部材と、これら外輪軌道と内輪軌道との間にそれぞれ転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各玉を転動自在に保持する保持器とを備え、この保持器は、全体が円環状若しくは円筒状で、複数のポケットを円周方向に亙り間欠的に形成したものであり、上記外輪軌道の中心軸を含む仮想平面に関するこの外輪軌道の断面形状の曲率半径をre とし、上記内輪軌道の中心軸を含む仮想平面に関するこの内輪軌道の断面形状の曲率半径をri とし、上記各玉の直径をDa とした場合に、0.55≦re /Da ≦0.57、且つ、0.52≦ri /Da ≦0.54であり、上記各玉を単列のみ設けた状態でラジアル方向の正の内部隙間を設けており、内部を潤滑剤により潤滑すると共に、上記各玉と上記外輪軌道及び内輪軌道とを所定の大きさの接触角で接触させつつ、これら各玉に予圧を付与した状態で使用する玉軸受。
  2. 潤滑剤が、40℃での基油の動粘度が18〜100mm2 /sであるグリースであり、各玉を単列のみ設けた状態でのラジアル方向の内部隙間をcとした場合に、c≦Da {0.00834+0.417(re /Da −0.55)}である、請求項1に記載した玉軸受。
  3. 潤滑剤が、40℃での基油の動粘度が18〜100mm2 /sであるグリースであり、0.56≦re /Da ≦0.57、且つ、0.525≦ri /Da ≦0.54である、請求項1に記載した玉軸受。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載した玉軸受を備え、各玉と外輪軌道及び内輪軌道とを所定の大きさの接触角で接触させつつ、これら各玉に予圧を付与した軸受装置。
  5. 外輪相当部材又はこの外輪相当部材を内嵌固定する外側部材を構成する材料の線膨張係数を、内輪相当部材又はこの内輪相当部材を外嵌固定する内側部材を構成する材料の線膨張係数よりも大きくすると共に、各玉に定位置予圧法により予圧を付与した、請求項4に記載した軸受装置。
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