JP2005089424A - シグナル伝達物質産生抑制剤 - Google Patents

シグナル伝達物質産生抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】様々なシグナル伝達物質の産生を効果的に抑制するシグナル伝達物質産生抑制剤を提供し、更に、当該産生抑制剤を有効成分とする医薬組成物を提供する。
【解決手段】生体における様々な機能を制御している細胞内シグナル伝達機構に関与する種々のシグナル伝達物質、特にリン酸化プロテインキナーゼC及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼの産生を抑制する作用を示すケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体より成るシグナル伝達物質産生抑制剤及び当該産生抑制剤を有効成分とする医薬組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生体内での細胞内シグナル伝達機構におけるシグナル伝達物質の産生抑制剤および当該抑制剤を有効成分とする医薬組成物に関する。
近年、生体における様々な機能を制御している細胞内シグナル伝達機構のメカニズムについて研究されており、当該伝達機構に関与する数々のシグナル伝達物質及びその機能が報告されてきている。シグナル伝達物質としては、セリン/トレオニンキナーゼ系であるプロテインキナーゼC、イノシトールリン脂質代謝酵素であるホスファチジルイノシトール3キナーゼ、MAP−キナーゼスーパーファミリーに属する細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)、Jun−N末端キナーゼ(JNK)、p38、及び、転写因子に属するNF−κBなどが報告されている。
例えば、セリン/トレオニンキナーゼ系であるプロテインキナーゼCは、タンパク質を可逆的にリン酸化・脱リン酸化することにより、転写調節、細胞増殖や分化の制御などの様々な細胞機能の調節を行っており、ホスファチジルイノシトール3キナーゼはイノシトールリン脂質を代謝する酵素の1つであり、種々の細胞外からの刺激により活性化され、核へのシグナル伝達、細胞の運動性、形態の変化、物質の輸送、分泌の調節等に関与するという多様な役割が示唆されている。また、これらは、糖尿病性腎症、自己免疫疾患、炎症などに関与している事が報告されている。
この様に、種々のシグナル伝達物質については、生体を維持するホメオスタシスを制御する1つの因子として作用しており、これらの因子の生体内での役割の解明及び当該因子の制御を行う事による各種疾患の治療について研究されている。
シグナル伝達物質を制御する物質としては、Bisindolylmaleimide I、Wortmannin、SB203580、SB 202190等が報告されている。これらのインヒビターは、それぞれ単一のシグナル伝達物質を抑制するものであり、複数のシグナル伝達物質を抑制するものではない(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。
一方、ケラタン硫酸オリゴ糖の投与による生体の様々な機能への作用についても研究されており、特許文献1にはケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体によりインターロイキン−12の産生を抑制すると報告されている。
Thelen M et al. 1994. Proc Natl Acad Sci U.S.A. 91, 4960 Toullec, D., et al. 1991. J. Biol. Chem. 266, 15771 Lee, J. C., et al. 1994. Nature 372, 739 特開2001−89493
上記で述べた様に、近年、社会的に問題となっている様々な疾病の発症メカニズムにおいてシグナル伝達物質の関与が報告されており、それら疾病の治療や予防、症状の緩和などを目的とする当該シグナル伝達物質の調節方法の提供が期待されている。
本発明は、様々なシグナル伝達物質の産生を効果的に抑制するシグナル伝達物質産生抑制剤を提供することを目的とし、更に当該産生抑制剤を有効成分とする医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、ケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体に、種々のシグナル伝達物質の産生を抑制する作用があることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は以下である。
(1)本発明は、ケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体を有効成分とするシグナル伝達物質産生抑制剤(以下、本発明産生抑制剤とも言う)である。
(2)シグナル伝達物質がリン酸化プロテインキナーゼC及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼである上記(1)記載の産生抑制剤。
(3)ケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体が、下記式で表されるいずれかの二糖、又は、下記式で表される二糖の何れか若しくは両方を繰り返し構成単位として含む三糖以上のオリゴ糖であることを特徴とする、上記(1)又は(2)記載の産生抑制剤。
Gal(6S)−GlcNAc(6S) および Gal(6S)−GlcNAc
(式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が-O-硫酸エステルとなっていることを、−はグリコシド結合をそれぞれ表す。)
(4)ケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体が下記一般式<1>で表されることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の産生抑制剤。
Figure 2005089424
(式中、X〜Xは、それぞれ独立して、水素原子又はアシル基であり、Yは水素原子又はSOMであり、Mは水素原子又は1価〜3価の金属カチオン若しくは1価〜3価の塩基であり、波線で示した結合はα−グリコシド配位又はβ−グリコシド配位の単結合を示す。)
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の産生抑制剤を有効成分として含有する医薬組成物。
(6)疾病の起因がシグナル伝達物質の産生亢進である疾病の処置に用いられるための上記(5)記載の医薬組成物。
本発明により、ケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体を有効成分とするシグナル伝達物質産生抑制剤が提供される。また、当該産生抑制剤を有効成分とする医薬組成物も提供される。
本発明産生抑制剤は、ケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体を有効成分とするシグナル伝達物質産生抑制剤である。
本発明産生抑制剤において用いる「ケラタン硫酸オリゴ糖」(以下、KSオリゴ糖とも言う)は、ケラタン硫酸の基本構造(ガラクトース残基又はガラクトース−6−O−硫酸残基と、N−アセチルグルコサミン残基又はN−アセチルグルコサミン−6−O−硫酸残基とが交互にグリコシド結合した構造)を少なくとも含む二糖以上のオリゴ糖である限りにおいて特に限定されない。また、KSオリゴ糖は、シアル酸(ノイラミン酸のアシル誘導体)残基及び/又はフコース残基を含んでいても良い。通常には、シアル酸残基は、α2,3又はα2,6グリコシド結合でガラクトース残基に結合し、フコース残基は、α1,3グリコシド結合でN−アセチルグルコサミン残基に結合する。
本発明に於けるオリゴ糖とは、通常、多糖の分野においてオリゴ糖と称される範囲の構成糖物質を含むが、2〜10糖から成る糖ポリマーが好ましく、2〜6糖から成るものがより好ましく、2〜4糖から成るものが更に好ましい。中でも特に2糖から成るものが好ましい。
KSオリゴ糖は、例えばケラタン硫酸を酵素的又は化学的に分解して得られる生成物であっても良く、また例えばN−アセチルラクトサミンが1単位以上結合してなるオリゴ糖などを硫酸化して得られる化合物であっても良い。この様なケラタン硫酸オリゴ糖の中でも、ケラタン硫酸を分解して得られるオリゴ糖(ケラタン硫酸由来のオリゴ糖)が好ましく、ケラタン硫酸をエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ型ケラタン硫酸分解酵素で分解して得られる分解生成物がより好ましい。
天然より得られるケラタン硫酸は、N−アセチルグルコサミン残基の6位のヒドロキシル基の多くが硫酸化されており、ガラクトース残基の6位のヒドロキシル基は一部硫酸化されていることが多い。KSオリゴ糖は、このケラタン硫酸を上述の様に分解して得られるケラタン硫酸オリゴ糖でも構わないが、本発明のKSオリゴ糖としては、N−アセチルグルコサミン残基の6位のヒドロキシル基は硫酸化されていてもされていなくても良く、ガラクトース残基の6位のヒドロキシル基は硫酸化されているものがより好ましい。
つまり、KSオリゴ糖は、Gal(6S)−GlcNAc(6S)、又は、Gal(6S)−GlcNAc(式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6−O−硫酸エステルとなっていることを、−はグリコシド結合をそれぞれ表す)で表される二糖の何れかであるか、又は、当該二糖の何れか若しくは両方を繰り返し構成単位として含む三糖以上のオリゴ糖がより好ましい。
更に、KSオリゴ糖は、Gal(6S)−GlcNAc(6S)、又は、Gal(6S)−GlcNAc(式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6−O−硫酸エステルとなっていることを、−はグリコシド結合をそれぞれ表す)で表される二糖の何れかであるか、又は、当該二糖の何れか若しくは両方を繰り返し構成単位として含む偶数糖から成るオリゴ糖が一層好ましい。
KSオリゴ糖は、特に好ましくは、下記式<2>〜式<4>で表されるオリゴ糖から選択される。
Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式<2>
Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式<3>
Gal(6S)β1-4GlcNAc 式<4>
(式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6−O−硫酸エステルとなっていることを、β1-4はβ1-4グリコシド結合を、β1-3はβ1-3グリコシド結合をそれぞれ表す。)
尚、式<2>で表されるオリゴ糖をL4L4、式<3>で表されるオリゴ糖をL4、式<4>で表されるオリゴ糖をL3とも言う。前述の様に式<2>〜式<4>で表されるオリゴ糖にN−アセチルノイラミン酸などのシアル酸残基が結合していても良く、この様なシアル酸含有ケラタン硫酸オリゴ糖としては、SA−Gal(6S)−GlcNAc(6S)及びSA−Gal(6S)−GlcNAc(6S)−Gal(6S)−GlcNAc(6S)が例示される(式中、SAはシアル酸残基を、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6−O−硫酸エステルとなっていることを、−はグリコシド結合をそれぞれ表す。)。
本明細書において、ケラタン硫酸オリゴ糖の「誘導体」とは(以下、KSオリゴ糖誘導体とも言う)、通常には、KSオリゴ糖のヒドロキシル基の水素原子の少なくとも1つ(好ましくは全ヒドロキシル基の10%以上)が、アシル基により置換されたもの(部分又は完全O−アシル化誘導体)であり、その薬学的に許容されうる塩も包含する。
尚、KSオリゴ糖及びKSオリゴ糖誘導体は、電離した状態のもの、プロトン又はカチオンが付加した構造のものを包含する。従って、カチオンが付加したKSオリゴ糖及びKSオリゴ糖誘導体には、その薬学的に許容されうる塩も包含する。
薬学的に許容されうる塩とは、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩、またはジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との塩のうち、薬学的に許容されるものであるが、これらに限定されるものでは無い。
KSオリゴ糖誘導体において、KSオリゴ糖のヒドロキシル基の水素原子を置換するアシル基は、好ましくは炭素数1〜10のアシル基、より好ましくは炭素数1〜10の脂肪族又は芳香族のアシル基、すなわちヘテロ原子を含むこともあるアルカノイル基又はアロイル基であり、その例としては、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、プロピオニル、n−ブチリル、(E)−2−メチルブテノイル、イソブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル、o−(ジブロモメチル)ベンゾイル、o−(メトキシカルボニル)ベンゾイル、2,4,6−トリメチルベンゾイル、p−トルオイル、p−アニソイル、p−クロロベンゾイル、p−ニトロベンゾイルなどの基が挙げられる。KSオリゴ糖誘導体が複数のアシル基を有する場合には、それらのアシル基は互いに同一でも異なっていても良い。尚、KSオリゴ糖の還元末端糖の1位のヒドロキシル基の水素原子がアシル基により置換されている場合、そのO−アシル基の配位は、α−グリコシド配位又はβ−グリコシド配位のいずれでもよいが、α−グリコシド配位であることが好ましい。
アシル化されたKSオリゴ糖は、有機溶媒、脂質に対する溶解性の向上、生体膜透過性の増大、経口投与した場合の消化管吸収量の増大等の利点を有する。
本発明産生抑制剤において、KSオリゴ糖又はKSオリゴ糖誘導体は、好ましくは、上記一般式<1>で示される化合物である。なお、上記一般式<1>においてMは、水素原子又は1価〜3価の金属カチオン若しくは1価〜3価の塩基である。一般式<1>において便宜上、Mが付加している構造を記載したが、溶液中では電離している場合があり、この様に電離している場合は、スルホン酸基はマイナスイオンの状態になる。
アシル基が置換したKSオリゴ糖誘導体は、好ましくは、上記一般式<1>においてX〜Xの全てがアセチル基である。特に好ましくは、下記一般式<5>で示される誘導体である。
Figure 2005089424
(式中、Acはアセチル基、Yは水素原子又はSONa、波線で示した結合は、α−グリコシド配位又はβ−グリコシド配位の単結合を示す。)
本発明産生抑制剤中に含有されるKSオリゴ糖又はその誘導体は、単一の種からなっていても、混合物であってもよい。例えば上記一般式<1>中の波線で示した部分がα−グリコシド配位である物質であってもよく、β−グリコシド配位である物質であってもよく、これらの混合物であってもよい。
KSオリゴ糖は、例えばケラタン硫酸、好ましくは高硫酸化ケラタン硫酸の緩衝溶液にエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ型ケラタン硫酸分解酵素、例えばバチルス属細菌由来のケラタナーゼ(II)(特開平2−57182号公報)、またはバチルス・サーキュランスKsT202株由来のケラタン硫酸分解酵素(国際公開第WO96/16166号)を作用させて分解した後、得られた分解物を分画することにより得ることが出来る。得られたオリゴ糖は通常の分離精製方法、例えばエタノール沈殿、ゲル濾過および陰イオン交換クロマトグラフィーにより、目的のオリゴ糖を分離精製することが出来る。
この様な製造方法の例は、国際公開第WO96/16973号に記載されている。尚、原料となるケラタン硫酸は、主としてガラクトース又はガラクトース−6−O−硫酸とN−アセチルグルコサミン又はN−アセチルグルコサミン−6−O−硫酸との二糖の繰り返し構造で構成され、動物種及び器官などによって硫酸含量が異なっているが、通常はサメなどの軟骨魚類、クジラ、ウシなどの哺乳動物の軟骨、骨や角膜などの生原料から製造されるものを用いることが出来る。
原料として使用されるケラタン硫酸は、通常入手出来るものであればよく、特に制限されないが、構成糖であるガラクトース残基が硫酸化された高硫酸化ケラタン硫酸(構成二糖あたり1.5〜2分子の硫酸基を含む高硫酸化ケラタン硫酸をケラタンポリ硫酸と言うこともある)を用いることが好ましい。また、ガラクトース残基の硫酸基の位置として6位が好ましい。この様な高硫酸化ケラタン硫酸は、例えば、サメなどの軟骨魚類のプロテオグリカンから取得出来る。また市販されているものを使用することも出来る。
この様にして得られたKSオリゴ糖の硫酸基含量を、糖鎖の公知の脱硫酸化方法や硫酸化方法によって適宜調整したものを、本発明に使用されるKSオリゴ糖として用いても良い。
KSオリゴ糖誘導体を作るに際し、KSオリゴ糖のヒドロキシル基の水素原子のアシル基による置換は、糖のヒドロキシル基の保護のために通常に行われるアシル化方法に従って行うことが出来る。例えば、導入すべきアシル基の反応性誘導体(アシル基に対応するカルボン酸の無水物(例えば、アセチル基を導入する場合は、無水酢酸、プロパノイル基を導入する場合は、無水プロピオン酸)、カルボン酸、ハロゲン化物など)と、適当な反応溶媒(ピリジン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、水、およびこれらの混合物など)中でKSオリゴ糖を常法によって反応させることによってアシル基を導入することが出来る。必要に応じて、ピリジン等の塩基触媒の存在下で反応させることも出来る。
また、必要により、アシル化の程度を調整してもよく、この調整は、上記のアシル化方法において部分的にアシル化を行うか、又は、アシル化されたKSオリゴ糖からアシル基を部分的に除去することによって行うことが出来る。アシル基の除去は、メタノール性アンモニア、濃アンモニア水、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いて加水分解することによって行うことが出来る。得られた誘導体は、逆相高速液体クロマトグラフィー等で精製することが出来る。
本発明産生抑制剤の有効成分であるKSオリゴ糖又はその誘導体は、医薬として使用出来る程度に精製され、医薬として混入が許されない物質を含まないものであることが好ましい。
本発明におけるシグナル伝達物質とは、生体内の細胞内シグナル伝達機構に関与しているシグナル伝達物質を指し、セリン/トレオニンキナーゼ系、イノシトールリン脂質代謝酵素、及び、MAP−キナーゼスーパーファミリーに属するシグナル伝達物質等が好ましい。特に、リン酸化プロテインキナーゼC(以下、リン酸化PKC又はp−PKCとも言う)及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(以下、PI3Kとも言う)から選択されるシグナル伝達物質がより好ましい。
リン酸化PKCは、シグナル伝達物質の1種であるプロテインキナーゼC(以下、PKCとも言う)がリン酸化され活性化されたものである。活性化されたリン酸化PKCは、タンパク質をリン酸化し、当該タンパク質を活性化させ機能タンパクに変換する作用を有しており、当該機能タンパクが生体内にて種々の作用を示す。また、PI3Kは、ホスファチジルイノシトール2−リン酸をセカンドメッセンジャーであるホスファチジルイノシトール3−リン酸に変換し、様々なシグナル伝達をする。リン酸化PKC(又はPKC)及びPI3K共に、これらの作用により多くの生理現象や疾患の発症等に関与している事が知られている。例えば、これらシグナル伝達物質は、インターロイキン−12の産生にも関与しており、これらシグナル伝達物質の活性化、不活性化によりIL−12の産生も左右され、リン酸化PKC及び/又はPI3Kの産生抑制に伴いIL−12の産生も抑制される。
尚、本発明産生抑制剤により、これらシグナル伝達物質は同時に抑制されても、又は、各々独立して抑制されても構わない。
本発明産生抑制剤は、シグナル伝達物質の産生を抑制するのに有効であり、従って、本発明産生抑制剤は医薬組成物の有効成分として使用される。つまり、本発明産生抑制剤を有効成分として含有する医薬組成物はシグナル伝達物質の産生亢進が疾病の起因である疾病の処置に用いられる。更に、本発明産生抑制剤は、シグナル伝達物質の中でも特にリン酸化PKC及び/又はPI3Kの産生を抑制するので、上記医薬組成物はリン酸化PKC及び/又はPI3Kの亢進が病勢の進行に促進的に働く疾病に対し、当該疾病の処置、すなわち当該疾病の治療及び病勢の軽減、悪化防止、予防などの為、上記シグナル伝達物質の産生の抑制を目的として用いる事が可能である。本発明の医薬組成物を用いることが可能である疾患の例としては、糖尿病、糖尿病性腎症、癌、自己免疫疾患、炎症、神経障害、脳卒中、脊髄損傷などが挙げられる。
本発明においては、対象となる疾患の性質や進行状況、投与方法などに応じて、任意の剤形を適宜選択することが出来る。すなわち、本発明の医薬組成物は、注射(静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内など)、経鼻、経口、経皮、吸入などにより投与することができ、これらの投与方法に応じて適宜製剤化することが出来る。選択しうる剤形も特に限定されず、例えば、注射剤(溶液、懸濁液、乳濁液、用時溶解用固形剤など)、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、リポ化剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、貼付剤、ゲル剤、坐剤、外用散剤、スプレー剤、吸入剤などから広く選択することが出来る。また、これらの製剤調製にあたり、慣用の賦形剤、安定化剤、結合剤、滑沢剤、乳化剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、その他着色剤、崩壊剤など、通常医薬に用いられる成分を使用することが出来る。
本発明の医薬組成物中の有効成分であるKSオリゴ糖又はその誘導体の配合量並びに投与量は、その製剤の投与方法、投与形態、使用目的、患者の具体的症状、患者の体重、年齢、性別などに応じて個別に決定されるべき事項であり、特に限定されないが、KSオリゴ糖の臨床量としては成人1人1日1回あたり50〜5000mgが例示される。
本発明の医薬組成物の有効成分であるKSオリゴ糖の安全性については、国際公開第WO96/16973号において示されており、その誘導体については、特開2001−89493に記載の実施例から安全性が推定される。
尚、本発明産生抑制剤は、以上の医薬組成物の有効成分としてだけでなく、培養細胞を添加してシグナル伝達物質の産生を抑制したり、実験動物に投与して疾病のメカニズム等を研究する病理学的又は生化学研究に使用することが出来る。
以下に本発明を、実施例により具体的に説明する。しかしながら、これにより本発明の技術的範囲が限定されるべきものでは無い。
下記実施例で用いたKSオリゴ糖二ナトリウム塩(L4の二ナトリウム塩)は、いずれも国際公開第WO96/16973号に記載の方法で製造したものを用いた。
<実施例1> マクロファージ及び樹状細胞におけるL4処理によるリン酸化プロテインキナーゼC及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼへの影響
20週齢のMRL−lpr/lpr系マウスを2グループに分け、1つのグループにはL4二ナトリウム塩(5mg/kg)を週5回、4週間、筋肉内投与し、残りのグループにはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を同様に筋肉内投与した。
最終投与から24時間後に腸管膜リンパ節を摘出し、切片を採取し、凍結切片を作製した。
当該凍結切片について、マクロファージや樹状細胞のマーカーとして知られているCD14とリン酸化プロテインキナーゼC、あるいは、CD14とホスファチジルイノシトール3キナーゼとの免疫染色(2重染色)を行った。
染色方法は、以下の手順で実施した。作製した凍結切片を10%中性緩衝ホルマリン液に室温にて30分間浸し固定した後、PBSによる5分間の洗浄を3回行った。次に、0.3%の過酸化水素水/メタノール混合溶液に4℃にて30分間浸し、同様にPBSによる5分間の洗浄を3回行った。その後、0.1モル/Lのリン酸バッファー(pH7.4)に溶解した10%ロバ血清(Jackson社製)により切片をブロッキングした。p−PKC(リン酸化PKC)やPI3Kに対する各種抗体(各々upstate社製)を0.1モル/Lのリン酸バッファー(pH7.4)に溶解した1%ウシ血清アルブミン(BSA)にて100倍に希釈し、1次抗体液を作製した。作製した1次抗体液に先にブロッキングした切片を浸し、4℃にて一晩放置した後、PBSによる5分間の洗浄を3回行った。引き続き、西洋ワサビペルオキシダーゼにて標識したウサギIgGに対する二次抗体(Jackson社製)を0.1モル/Lのリン酸バッファー(pH7.4)に溶解した1%BSAにて100倍に希釈し、2次抗体液を作製した。作製した2次抗体液に切片を室温にて1時間浸した後、PBSにより5分間の洗浄を3回行い、ジアミノベンチジン(DAB、DOJINDO社製)により発色した。
さらに同組織切片を抗CD14抗体にて二重染色するため、DABで発色させた切片をPBSによる5分間の洗浄を3回行い、0.1モル/Lのリン酸バッファー(pH7.4)に溶解した10%ウサギ血清(Jackson社製)により切片をブロッキングした。CD14に対する抗体(SantaCruz社製)を0.1モル/Lのリン酸バッファー(pH7.4)に溶解した1%ウシ血清アルブミン(BSA)にて100倍に希釈し、1次抗体液を作製した。作製した1次抗体液に先にブロッキングした切片を浸し、4℃にて一晩放置した後、PBSによる5分間の洗浄を3回行った。引き続き、フルオロイソチオシアネート(FITC)にて標識したヤギIgGに対する二次抗体(Jackson社製)を0.1モル/Lのリン酸バッファー(pH7.4)に溶解した1%BSAにて100倍に希釈し、2次抗体液を作製した。作製した2次抗体液に切片を室温にて1時間浸した後、PBSによる5回の洗浄を3回行い、染色状況をレーザー顕微鏡で観察した(図1のレーザー顕微鏡写真)。
CD14陽性細胞におけるp−PKC或いはPI3K陽性細胞の数を顕微鏡下で計測し、CD14陽性細胞におけるp−PKC或いはPI3K陽性細胞の割合を算出した(表1)。
Figure 2005089424
結果より、PBS投与群ではCD14陽性細胞のほとんどがリン酸化PKC或いはPI3Kを発現している。しかし、L4二ナトリウム塩投与群では、リン酸化PKC或いはPI3Kを発現しているCD14陽性細胞は少ない。つまり、L4によりマクロファージや樹状細胞におけるリン酸化PKC或いはPI3Kの産生が顕著に抑制されることが明らかとなった。
実施例1における、CD14とリン酸化プロテインキナーゼC、あるいは、CD14とホスファチジルイノシトール3キナーゼとの免疫染色(2重染色)を観察したレーザー顕微鏡写真(生物の形態を示す、図面代用写真)。a、eはPBS投与群のCD14を染色したもの、bはPBS投与群のリン酸化プロテインキナーゼCを染色したもの、fはPBS投与群のホスファチジルイノシトール3キナーゼを染色したものである。また、c、gはL4二ナトリウム塩投与群のCD14を染色したもの、dはL4二ナトリウム塩投与群のリン酸化プロテインキナーゼCを染色したもの、hはL4二ナトリウム塩投与群のホスファチジルイノシトール3キナーゼを染色したものである。尚、aの左下の白線は20μmである。

Claims (6)

  1. ケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体を有効成分とするシグナル伝達物質産生抑制剤。
  2. シグナル伝達物質がリン酸化プロテインキナーゼC及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼである請求項1記載の産生抑制剤。
  3. ケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体が下記式で表される何れかの二糖、又は、下記式で表される二糖の何れか若しくは両方を繰り返し構成単位として含む三糖以上のオリゴ糖であることを特徴とする、請求項1又は2記載の産生抑制剤。
    Gal(6S)−GlcNAc(6S) および Gal(6S)−GlcNAc
    (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が-O-硫酸エステルとなっていることを、−はグリコシド結合をそれぞれ表す。)
  4. ケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体が下記一般式<1>で示されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の産生抑制剤。
    Figure 2005089424
    (式中、X〜Xは、それぞれ独立して、水素原子又はアシル基であり、Yは水素原子又はSOMであり、Mは水素原子又は1価〜3価の金属カチオン若しくは1価〜3価の塩基であり、波線で示した結合はα−グリコシド配位又はβ−グリコシド配位の単結合を示す。)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の産生抑制剤を有効成分として含有する医薬組成物。
  6. 疾病の起因がシグナル伝達物質の産生亢進である疾病の処置に用いられるための請求項5記載の医薬組成物。
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