JP2004002239A - TNF−α産生抑制剤 - Google Patents

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Jun Takeuchi
竹内 潤
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Abstract

【課題】有効かつ安全性の高いTNF−α産生抑制剤を提供する。
【解決手段】硫酸基を有するオリゴ糖、特に下記一般式(1)又は(2)で示されるオリゴ糖を有効成分とする、TNF−α産生抑制剤。
(Hex−HexN)n                    ・・・(1)
(HexN−Hex)n                    ・・・(2)
(式中、Hexはヘキソース残基を、HexNはN−アセチル化又はN−硫酸化されていてもよいヘキソサミン残基を示す。HexとHexNの少なくとも1つのヒドロキシル基又はアミノ基は硫酸化されており、nは1〜5の整数を、−はグリコシド結合を示す。また非還元末端側にさらにシアル酸が結合していてもよい。)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、TNF−α産生抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、本明細書において用いる略号の意味を説明する。
【0003】
「TNF−α」は「腫瘍壊死因子α」を、「Hex」は「ヘキソース残基」を、「HexN」は「N−アセチル化又はN−硫酸化されていてもよいヘキソサミン残基」を、「Gal」は「ガラクトース残基」を、「GlcNAc」は「N−アセチルグルコサミン残基」を、「ManNAc」は「N−アセチルマンノサミン残基」を、「NeuAc」は「N−アセチルノイラミン酸残基」を、「6S」は「6−O−硫酸エステル」を、「β1−4」は「β1,4グリコシド結合」をそれぞれ意味する。
TNF−αは、マクロファージなどから生産されるサイトカインの一種である。TNF−αはグラム陰性菌、ウイルス、マイトジェンなどの刺激によって、in vivoで誘導される。TNF−αが受容体に結合すると、シグナルが細胞内に伝達され、タンパク質のチロシンホスファターゼ、ホスホリパーゼA、プロテインキナーゼC、ホスファチジルコリン特異的ホスホリパーゼC、スフィンゴミエリナーゼなどの活性化といったシグナル伝達機構が働く。その結果転写因子NFκBの活性化などが引き起こされることから、炎症に関与しているということができる。またTNF−αには、HIVウイルスの増殖を促進させる活性や、自己免疫疾患であるリウマチを悪化させる活性等があることが知られている。したがって、TNF−αの産生を抑制する薬剤が提供されれば、実験試薬用途のみならず、炎症の抑制、HIVウイルスの増殖抑制及びリウマチ等の自己免疫疾患の改善等への応用も期待できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、炎症の抑制、HIVウイルスの増殖抑制及び自己免疫疾患等の改善等に応用しうる、有効かつ安全性の高いTNF−α産生抑制剤を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、硫酸基を有するオリゴ糖がTNF−αの産生を抑制する活性を有することを見い出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、硫酸基を有するオリゴ糖を有効成分とするTNF−α産生抑制剤(以下、本発明抑制剤という)を提供する。
【0007】
本発明抑制剤の有効成分である「硫酸基を有するオリゴ糖」は、下記一般式(1)又は(2)で示されるものが好ましい。
【0008】
(Hex−HexN)n                    ・・・(1)
(HexN−Hex)n                    ・・・(2)
(式中、HexとHexNの少なくとも1つのヒドロキシル基又はアミノ基は硫酸化されており、nは1〜5の整数を、−はグリコシド結合を示す。また非還元末端側にさらにシアル酸が結合していてもよい。)
【0009】
この「ヘキソース残基」は、ガラクトース残基、グルコース残基、マンノース残基又はフコース残基であることが好ましい。また「ヘキソサミン残基」は、N−アセチル化又はN−硫酸化されていてもよいグルコサミン残基、ガラクトサミン残基又はマンノサミン残基であることが好ましい。
【0010】
また「ヘキソサミン残基」はN−アセチル化されているものが好ましい。
【0011】
また「ヘキソース残基」はガラクトース残基であることが好ましい。
【0012】
また「ヘキソサミン残基」はN−アセチルグルコサミン残基であることが好ましい。
【0013】
またヘキソース残基及びヘキソサミン残基の両方について、それぞれ1以上のヒドロキシル基が硫酸化されていることが好ましい。
【0014】
また前記一般式(1)において−で示されるグリコシド結合がβ1,4グリコシド結合であり、一般式(2)において−で示されるグリコシド結合がβ1,3グリコシド結合であるものが好ましい。
【0015】
また、ヘキソース残基のC6位及びC4位並びにヘキソサミン残基のC3位及びC6位から選ばれる炭素原子に結合したヒドロキシル基、またはアミノ基が硫酸化されているものが好ましい。
【0016】
また本発明抑制剤の有効成分である「硫酸基を有するオリゴ糖」は、少なくとも下記式(3)で示される2糖を繰り返し構成単位として1単位以上含むものであることが好ましい。
【0017】
Gal(6S)−GlcNAc(6S)                  ・・・(3)
(式中、−はグリコシド結合を表す)
そのなかでも、「硫酸基を有するオリゴ糖」は下記式(4)で示されるものが好ましい。
【0018】
Gal(6S)β1−4GlcNAc(6S)              ・・・(4)
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の抑制剤に用いられる硫酸基を有するオリゴ糖は、硫酸基を有しているオリゴ糖である限りにおいて特に限定されない。例えば、天然物、天然物を分解して得られた物、化学的にあるいは酵素的に合成した物等のいずれでもよい。なお、硫酸基を有するオリゴ糖の調製方法の一例を後述の実施例に示す。
【0020】
硫酸基を有するオリゴ糖は、中でも下記一般式(1)又は(2)で示されるものであることが好ましい。
【0021】
(Hex−HexN)n   ・・・(1)
(HexN−Hex)n   ・・・(2)
(式中、HexとHexNの少なくとも1つのヒドロキシル基又はアミノ基は硫酸化されており、nは1〜5の整数を、−はグリコシド結合を表す。また非還元末端側にさらにシアル酸が結合していてもよい)
上記式(1)、(2)中のヘキソース残基は、ガラクトース残基、グルコース残基、マンノース残基又はフコース残基であることが好ましく、ガラクトース残基であることがより好ましい。
【0022】
また、上記式(1)、(2)中のヘキソサミン残基は、N−アセチル化又はN−硫酸化されていてもよいグルコサミン残基、ガラクトサミン残基又はマンノサミン残基であることが好ましい。
【0023】
上記ヘキソサミン残基はN−アセチル化されているものがより好ましい。最も好ましいヘキソサミン残基は、N−アセチルグルコサミン残基である。
【0024】
また、上記ヘキソース残基及び上記ヘキソサミン残基の両方について、それぞれ1以上のヒドロキシル基が硫酸化されているものが好ましい。
【0025】
また、上記一般式(1)において−で示されるグリコシド結合がβ1,4グリコシド結合であり、上記一般式(2)において−で示されるグリコシド結合がβ1,3グリコシド結合であるものが好ましい。
【0026】
さらに、本発明における硫酸基を有するオリゴ糖は、上記一般式(1)または(2)において、ヘキソース残基のC6位及びC4位並びにヘキソサミン残基のC3位及びC6位から選ばれる炭素原子に結合したヒドロキシル基、またはアミノ基が硫酸化されたものであることが好ましい。
【0027】
このような硫酸基を有するオリゴ糖としては、ケラタン硫酸の基本構造(ガラクトース残基またはガラクトース−6−O−硫酸残基と、N−アセチルグルコサミン−6−O−硫酸残基とが交互にグリコシド結合した構造)を少なくとも含む2糖以上のオリゴ糖であることが特に好ましい。本発明に好ましく用いられるオリゴ糖は、通常には、硫酸化されたN−アセチルグルコサミン残基を還元末端に有する2〜10糖のオリゴ糖であり、N−アセチルグルコサミン残基の6位のヒドロキシル基が硫酸化されているものが好ましく、ガラクトース残基の6位のヒドロキシル基およびN−アセチルグルコサミン残基の6位の両方が硫酸化されているものがより好ましい。また、本発明で用いられる硫酸基を有するオリゴ糖は、2〜4糖のオリゴ糖であることが特に好ましい。
【0028】
本発明で用いられる硫酸基を有するオリゴ糖は、シアル酸残基及び/又はフコース残基を含んでいてもよい。通常には、シアル酸残基は、α2,3又はα2,6グリコシド結合で、非還元末端のガラクトース残基に結合し、フコース残基は、α1,3グリコシド結合でN−アセチルグルコサミン−6−O−硫酸残基に結合する。
【0029】
また、本発明で用いられるオリゴ糖の糖鎖部分が保持されている限り、例えば、その還元末端に他の分子が結合していてもよい。他の分子としては、脂質分子、タンパク質分子等が挙げられる。
【0030】
本発明で用いられる硫酸基を有するオリゴ糖は、さらに好ましくは、少なくとも、Gal(6S)−GlcNAc(6S)(式中、−はグリコシド結合を表す)で示される2糖を繰り返し構成単位として1単位以上含むケラタン硫酸オリゴ糖である。
【0031】
さらに、上記硫酸基を有するオリゴ糖として、下記式(4)で示される二硫酸化N−アセチルラクトサミン2糖(以下、「L4」ともいう)が好適な例として挙げられる。
【0032】
Gal(6S)β1−4GlcNAc(6S)      ・・・(3)
硫酸基を有するオリゴ糖としては、下記式(4)〜(9)で示されるものも挙げられる。以下、(4)で示されるオリゴ糖を「L4L4」、(5)で示されるオリゴ糖を「SL2L4」、(6)で示されるオリゴ糖を「K4」、(7)で示されるオリゴ糖を「G4L4」、(8)で示されるオリゴ糖を「K2」、(9)で示されるオリゴ糖を「M4」ともいう。
【0033】
Gal(6S)β1−4GlcNAc(6S)β1−3Gal(6S)β1−4GlcNAc(6S)  ・・・(4)
NeuAc〜Galβ1−4GlcNAc(6S)β1−3Gal(6S)β1−4GlcNAc(6S) ・・・(5)
GlcNAc(6S)β1−3Gal(6S)                  ・・・(6)
GlcNAc(6S)β1−3Gal(6S)β1−4GlcNAc(6S)                 ・・・(7)
GlcNAc(6S)β1−3Gal                      ・・・(8)
Gal(6S)β1−4ManNAc(6S)                                ・・・(9)
(式中、〜はα2,3又はα2,6グリコシド結合を表す。)
【0034】
また、本発明に用いられる硫酸基を有するオリゴ糖は、電離した状態のもの、プロトンが付加した構造のものをも包含する。また硫酸基を有するオリゴ糖の薬学的に許容される塩をも包含する。
【0035】
薬学的に許容される塩とは、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)、アルカリ土類金属(カルシウム等)、アンモニウム等の無機塩基との間で形成された塩、またはジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との間で形成された塩のうち、薬学的に許容されるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
なお、本発明で用いられる硫酸基を有するオリゴ糖は、上記した各オリゴ糖のうちの単一の種からなっていても、複数種の混合物であってもよい。
【0037】
本発明で用いられる硫酸基を有するオリゴ糖の由来や製造方法も特に限定されず、例えばケラタン硫酸を分解して得られる生成物であってもよく、また、例えばN−アセチルラクトサミンや、N−アセチルラクトサミンが2単位以上結合してなるオリゴ糖等を硫酸化して得られる生成物であってもよい。また、化学合成により得られる生成物であってもよい。
【0038】
このような硫酸基を有するオリゴ糖の中でも、ケラタン硫酸、好ましくは後述する高硫酸化ケラタン硫酸を分解して得られるオリゴ糖(ケラタン硫酸由来のオリゴ糖)が好ましい。このようなケラタン硫酸オリゴ糖は、例えばケラタン硫酸(好ましくは高硫酸化ケラタン硫酸)の緩衝溶液にエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ型ケラタン硫酸分解酵素、例えばバチルス属細菌由来のケラタナーゼII(特開平2−57182号公報)、またはバチルス・サーキュランスKsT202株由来のケラタン硫酸分解酵素(国際公開第WO96/16166号)を作用させて分解した後、得られた分解物を分画することにより得ることができる。得られたオリゴ糖は通常の分離精製方法、例えば、エタノール沈殿による分画、ゲル濾過および陰イオン交換クロマトグラフィーによる分離精製法により、目的のオリゴ糖を分離精製することができる。このような製造方法の例は、国際公開第WO96/16973号に記載されている。
【0039】
なお、原料となるケラタン硫酸は、主としてガラクトースまたはガラクトース−6−O−硫酸とN−アセチルグルコサミン−6−O−硫酸との2糖の繰り返し構造で構成され、動物種および器官などによって硫酸含量が異なっているが、通常はサメなどの軟骨魚類、クジラ、ウシなどの哺乳動物の軟骨、骨や角膜などの生原料から製造されるものを用いることができる。
【0040】
原料として使用されるケラタン硫酸は、通常入手できるものであればよく、特に限定されないが、構成糖であるガラクトース残基が硫酸化された高硫酸化ケラタン硫酸(構成2糖あたり1.5〜2分子の硫酸基を含む高硫酸化ケラタン硫酸をケラタンポリ硫酸ということもある)を用いることが好ましい。また、ガラクトース残基の硫酸基の位置として、6位が好ましい。このような高硫酸化ケラタン硫酸は、たとえば、サメなどの軟骨魚類のプロテオグリカンから取得できる。また、市販されているものを使用することもできる。
【0041】
例えば、L4、L4L4及びSL2L4については国際公開第WO96/16973号に記載の方法で製造することができる。またK4、G4L4及びK2については特開2000−256385号公報に記載の方法で製造することができる。またM4については特開2002−29974号公報に記載の方法で製造することができる。
【0042】
本発明抑制剤の有効成分である「硫酸基を有するオリゴ糖」は、その使用の目的に応じて適宜精製されたものを用いることができる。例えば本発明抑制剤を実験等の試薬として用いる場合には、TNF−α産生抑制作用の阻害物質を実質的に含有しない程度に精製されたものであることが好ましい。本発明抑制剤を医薬として用いる場合には、TNF−α産生抑制作用の阻害物質を実質的に含有しないことはもとより、医薬として使用できる程度に精製され、医薬として混入が許されない物質を含まないものであることが好ましい。
【0043】
本発明抑制剤を医薬として利用する場合について、以下に説明する。
本発明抑制剤は、TNF−αの産生の抑制が求められる疾患に対して用いることができ、その限りにおいて、適用可能な具体的疾患は限定されない。
【0044】
TNF−αの産生の抑制が求められる疾患の一例としては、炎症、HIVウイルス感染(AIDS)、リウマチ等の自己免疫疾患等が挙げられる。これら疾患のいずれにも本発明抑制剤を適用することができる。
【0045】
本発明抑制剤は、TNF−αの産生の抑制が求められる疾患に対してあらゆる目的で適用することができる。例えば、純然とした治療目的のみならず、疾患の予防、維持(悪化防止)、軽減(症状の改善)等を目的として適用することができる。
【0046】
本発明抑制剤は、対象となる疾患の性質や進行状況、投与方法などに応じて、任意の剤形を適宜選択することができる。
【0047】
すなわち、本発明抑制剤は注射(静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内等)、経鼻、経口、経皮、吸入などにより投与することができ、これらの投与方法に応じて適宜製剤化することができる。選択し得る剤形も特に限定されず、例えば注射剤(溶液、懸濁液、乳濁液、用時溶解用固形剤等)、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、リポ化剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、貼付剤、ゲル剤、坐剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散剤等から広く選択することができる。また、これらの製剤調製にあたり、慣用の賦形剤、安定化剤、結合剤、滑沢剤、乳化剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、その他着色剤、崩壊剤等、通常医薬に用いられる成分を使用することができる。
【0048】
本発明抑制剤の有効成分である硫酸基を有するオリゴ糖の配合量ならびに本発明抑制剤の投与量は、この抑制剤の投与方法、投与形態、使用目的、患者の具体的症状、患者の体重、年齢、性別等に応じて個別的に決定されるべき事項であり、特に限定されないが、硫酸基を有するオリゴ糖の臨床量としては成人1日1回あたり50〜5000mgが例示される。
【0049】
なお、本発明抑制剤の有効成分である硫酸基を有するこれらのオリゴ糖の安全性については、国際公開第WO96/16973号、特開2000−256385号公報、特開2002−29974号公報等に示されている。
【0050】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0051】
【実施例】
ラットの腹腔内から採取したマクロファージを用いて、硫酸基を有するオリゴ糖(L4)によるTNF−α産生に対する効果を試験した。
【0052】
マクロファージを採取する5日前に、4%のチオグリコレート・ブロス(ThioglycollateBroth;DIFCO社製)を6週齢のルイス系ラット(雌)の腹腔に10ml投与した。
【0053】
RPMI1640液体培地を麻酔したラットの腹腔に25ml注入し、しばらく放置した後培地を回収した。この操作を3回繰り返して腹腔内のマクロファージを採取した。
【0054】
検鏡したマクロファージの細胞数を計測し、10%仔ウシ胎仔血清を含有するRPMI1640液体培地を用いて細胞を洗浄し、同液体培地に細胞を懸濁して、2x10個/ウエルとなるように96穴の平底プレートにまいた。
【0055】
37℃、5%COの条件下で3時間培養し、同液体培地で洗浄して浮遊細胞を除き、プレートに付着した細胞を腹腔内マクロファージとして試験に用いた。
【0056】
同液体培地を洗浄後のプレートに200μl/ウエル入れ、リポ多糖(LPS)(シグマ社製)を終濃度0.1ng/mlとなるように添加した。
【0057】
LPSの添加と同時に、1pg/ml、10pg/ml、100pg/ml、1ng/ml、10ng/ml又は100ng/mlとなるようにL4を添加した。各濃度ともn=6とした。
【0058】
また、TNF−αの産生抑制作用が知られているプレドニゾロン(Prednisolone;塩野義製薬株式会社製)についてもL4と同様に試験した。添加濃度は1ng/ml、10ng/ml、100ng/ml又は1μg/mlとし、各濃度ともn=4とした。
【0059】
37℃、5%COの条件下で20時間培養し、培養上清を回収して、培養上清中のTNFα濃度をラット−TNFαELISAキット(BIOSOURCE社製)を用いてを測定した。平均値および標準誤差を算出し、パラメトリックなDunnettの多重比較検定を用いて統計学的有意性の検討を行った。結果を図1に示す。なお、図中の**はp<0.01で有意な差があることを、*はp<0.05で有意な差があることをそれぞれ示す。また図中の「無添加」は、LPSを添加しなかったものを示す。
【0060】
図1から、硫酸基を有するオリゴ糖(L4)によって、マクロファージによるTNFαの産生が抑制されることが示された。特に、L4を10ng/ml添加した場合及び100ng/ml添加した場合において、有意な産生抑制効果が見られた。
【0061】
また図1から、L4はプレドニゾロンの1/100〜1/1000量で同等のTNFα産生抑制能を発揮することが示された。すなわち、L4のTNFα産生抑制能は、プレドニゾロンに比して顕著に高い(約100〜1000倍)ことが示された。
【0062】
【発明の効果】
本発明抑制剤は、TNFαの産生を顕著に抑制できることから極めて有用である。また本発明抑制剤は、実験用試薬のみならず医薬として利用することもでき、しかもその安全性も高いことから極めて有用である。
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】硫酸基を有するオリゴ糖(L4)による、TNFαの産生抑制作用を示す図である。

Claims (12)

  1. 硫酸基を有するオリゴ糖を有効成分とするTNF−α産生抑制剤。
  2. 硫酸基を有するオリゴ糖が、下記一般式(1)又は(2)で示されることを特徴とする、請求項1に記載のTNF−α産生抑制剤。
    (Hex−HexN)n                    ・・・(1)
    (HexN−Hex)n                    ・・・(2)
    (式中、Hexはヘキソース残基を、HexNはN−アセチル化又はN−硫酸化されていてもよいヘキソサミン残基を示す。HexとHexNの少なくとも1つのヒドロキシル基又はアミノ基は硫酸化されており、nは1〜5の整数を、−はグリコシド結合を示す。また非還元末端側にさらにシアル酸が結合していてもよい。)
  3. ヘキソース残基が、ガラクトース残基、グルコース残基、マンノース残基又はフコース残基である、請求項2に記載のTNF−α産生抑制剤。
  4. ヘキソサミン残基が、N−アセチル化又はN−硫酸化されていてもよいグルコサミン残基、ガラクトサミン残基又はマンノサミン残基である、請求項2又は3に記載のTNF−α産生抑制剤。
  5. ヘキソサミン残基がN−アセチル化されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載のTNF−α産生抑制剤。
  6. ヘキソース残基がガラクトース残基である、請求項2〜5のいずれか一項に記載のTNF−α産生抑制剤。
  7. ヘキソサミン残基がN−アセチルグルコサミン残基である、請求項2〜6のいずれか一項に記載のTNF−α産生抑制剤。
  8. ヘキソース残基及びヘキソサミン残基の両方について、それぞれ1以上のヒドロキシル基が硫酸化されている、請求項2〜7のいずれか一項に記載のTNF−α産生抑制剤。
  9. 一般式(1)において−で示されるグリコシド結合がβ1,4グリコシド結合であり、一般式(2)において−で示されるグリコシド結合がβ1,3グリコシド結合である、請求項2〜8のいずれか一項に記載のTNF−α産生抑制剤。
  10. ヘキソース残基のC6位及びC4位並びにヘキソサミン残基のC3位及びC6位から選ばれる炭素原子に結合したヒドロキシル基、またはアミノ基が硫酸化されている、請求項2〜9のいずれか一項に記載のTNF−α産生抑制剤。
  11. 硫酸基を有するオリゴ糖が、少なくとも下記式(3)で示される2糖を繰り返し構成単位として1単位以上含むことを特徴とする、請求項10に記載のTNF−α産生抑制剤。
    Gal(6S)−GlcNAc(6S)                  ・・・(3)
    (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6−O−硫酸エステルを、−はグリコシド結合をそれぞれ表す)
  12. 硫酸基を有するオリゴ糖が、下記式(4)で示されることを特徴とする、請求項11に記載のTNF−α産生抑制剤。
    Gal(6S)β1−4GlcNAc(6S)              ・・・(4)
    (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6−O−硫酸エステルを、β1−4はβ1,4グリコシド結合をそれぞれ表す)
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JP2007131548A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Hirosaki Univ プロテオグリカンの新規医薬用途

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