JP4676049B2 - Il−12産生抑制剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インターロイキン12(IL−12)産生抑制剤およびIL−12産生抑制剤の有効成分として有用なケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
IL−12は、35kDおよび40kDの二つのポリペプチド鎖が結合してなる70kDの糖タンパク質(p70)からなるサイトカインであり、生体の免疫機能の調節において中心的役割を果たしていることが知られている(笠倉新平編、「サイトカイン」、第2版改定新版、第207〜225頁、株式会社日本医学館発行、1997年6月29日)。
【0003】
IL−12は、ヘルパーT細胞のTヘルパー1細胞サブセット(Th1)の分化誘導に働くため、Th1の活性化が関連する自己免疫疾患では、病態の進行に促進的に働くことが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、IL−12の産生を効果的に抑制できるIL−12産生抑制剤を提供することを目的とする。
また本発明は、IL−12産生抑制剤の有効成分を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ケラタン硫酸オリゴ糖およびその誘導体にIL−12産生を抑制する作用があることを見い出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、ケラタン硫酸オリゴ糖またはその誘導体を有効成分とする、IL−12産生抑制剤(以下、本発明抑制剤ともいう)を提供する。
【0007】
本発明抑制剤におけるケラタン硫酸オリゴ糖は、好ましくは、下記式で表される二糖のいずれかを繰返し構成単位として少なくとも1単位以上含む。
Gal(6S)-GlcNAc(6S) および Gal(6S)-GlcNAc
(式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6-O-硫酸エステルとなっていることを、-はグリコシド結合をそれぞれ表す)
【0008】
さらに好ましくは、ケラタン硫酸オリゴ糖は、下記式(1)〜(3)で表されるものから選ばれるものである。
【0009】
【化4】
Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(1)
Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(2)
Gal(6S)β1-4GlcNAc 式(3)
(式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6-O-硫酸エステルとなっていることを、β1-4はβ1,4グリコシド結合を、β1-3はβ1,3グリコシド結合をそれぞれ表す)
【0010】
本発明抑制剤において、ケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体は、好ましくは、ヒドロキシル基におけるアシル化誘導体であり、より好ましくは、式(4)で示されるものである。
【0011】
【化5】
Figure 0004676049
(式中、X1〜X5は、それぞれ独立して、水素原子またはアシル基であり、X1〜X5の少なくとも一つはアシル基であり、Yは水素原子またはSO3Mであり、Mは、それぞれ独立して、水素原子、又は電離していてもよい1価〜3価の金属もしくは1価〜3価の塩基であり、波線で示した結合はα−グリコシド配位またはβ−グリコシド配位を示す。)
【0012】
一般式(4)において、好ましくは、X1〜X5がいずれも炭素数1〜10のアシル基であり、Mがアルカリ金属である。
【0013】
また本発明は、上記一般式(4)で示される、ケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体(以下、本発明誘導体ともいう)を提供する。
【0014】
本発明誘導体は、好ましくは、一般式(4)において、X1〜X5がいずれも炭素数1〜10のアシル基であり、Mはアルカリ金属である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明抑制剤において用いる「ケラタン硫酸オリゴ糖」は、ケラタン硫酸の基本構造(ガラクトース残基またはガラクトース−6−O−硫酸残基と、N−アセチルグルコサミン残基またはN−アセチルグルコサミン−6−O−硫酸残基とが交互にグリコシド結合した構造)を少なくとも含む二糖以上のオリゴ糖である限りにおいて特に限定されない。ケラタン硫酸オリゴ糖は、例えばケラタン硫酸を分解して得られる生成物であってもよく、また例えばN−アセチルラクトサミンが2単位以上結合してなるオリゴ糖等を硫酸化して得られる生成物であってもよい。
【0016】
このようなケラタン硫酸オリゴ糖の中でも、ケラタン硫酸を分解して得られるオリゴ糖(ケラタン硫酸由来のオリゴ糖)が好ましく、ケラタン硫酸をエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ型ケラタン硫酸分解酵素で分解して得られる分解生成物がより好ましい。
【0017】
なお、このケラタン硫酸オリゴ糖は、シアル酸残基及び/又はフコース残基を含んでいてもよい。通常には、シアル酸残基は、α2,3又はα2,6グリコシド結合でガラクトース残基に結合し、フコース残基は、α1,3グリコシド結合でN−アセチルグルコサミン残基に結合する。
【0018】
通常には、ケラタン硫酸オリゴ糖は、N−アセチルグルコサミン残基を還元末端に有する二〜十糖のオリゴ糖であり、N−アセチルグルコサミン残基の6位のヒドロキシル基は硫酸化されていてもされていなくてもよく、ガラクトース残基の6位のヒドロキシル基は硫酸化されているものがより好ましい。
【0019】
さらに好ましくは、ケラタン硫酸オリゴ糖は、Gal(6S)-GlcNAc(6S)またはGal(6S)-GlcNAc(式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6-O-硫酸エステルとなっていることを、-はグリコシド結合をそれぞれ表す)で表される二糖を繰返し構成単位として少なくとも1単位以上含むケラタン硫酸オリゴ糖である。
【0020】
さらに好ましくは、前記ケラタン硫酸オリゴ糖は、式(1)で表されるオリゴ糖(以下、L4L4ともいう)、式(2)で表されるオリゴ糖(以下、L4ともいう)及び式(3)で表されるオリゴ糖(以下、L3ともいう)から選ばれる。
【0021】
【化6】
Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(1)
Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(2)
Gal(6S)β1-4GlcNAc 式(3)
(式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6-O-硫酸エステルとなっていることを、β1-4はβ1,4グリコシド結合を、β1-3はβ1,3グリコシド結合をそれぞれ表す)
【0022】
本発明に用いられるケラタン硫酸オリゴ糖は、電離した状態のもの、プロトンが付加した構造のものを包含する。またケラタン硫酸オリゴ糖の薬学的に許容される塩も包含する。
【0023】
本明細書において、ケラタン硫酸オリゴ糖の「誘導体」とは、通常には、ケラタン硫酸オリゴ糖のヒドロキシル基の水素原子の少なくとも一つ(好ましくは全ヒドロキシル基の10%以上)が、アシル基、好ましくはO−アシル基により置換されたもの(部分または完全O−アシル化誘導体)であり、その薬学的に許容される塩も包含する。
【0024】
薬学的に許容される塩とは、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩、またはジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との塩のうち、薬学的に許容されるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
ケラタン硫酸オリゴ糖のヒドロキシル基の水素原子を置換するアシル基は、好ましくは炭素数1〜10のアシル基、より好ましくは炭素数1〜10の脂肪族又は芳香族のアシル基、すなわちヘテロ原子を含むこともあるアルカノイル基又はアロイル基であり、その例としては、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、プロピオニル、n−ブチリル、(E)−2−メチルブテノイル、イソブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル、o−(ジブロモメチル)ベンゾイル、o−(メトキシカルボニル)ベンゾイル、2,4,6−トリメチルベンゾイル、p−トルオイル、p−アニソイル、p−クロロベンゾイル、p−ニトロベンゾイルなどの基が挙げられる。ケラタン硫酸オリゴ糖が複数のアシル基を有する場合には、それらのアシル基は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0026】
ケラタン硫酸オリゴ糖の還元末端糖の1位のヒドロキシル基の水素原子がアシル基により置換されている場合、そのO−アシル基の配位は、α−グリコシド配位またはβ−グリコシド配位のいずれでもよいが、α−グリコシド配位であることが好ましい。
【0027】
アシル化されたケラタン硫酸オリゴ糖は、有機溶媒、脂質に対する溶解性の向上、生体膜透過性の増大、経口投与した場合の消化管吸収量の増大等の利点を有する。
【0028】
本発明抑制剤において、ケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体は、好ましくは、上記式(4)で示されるものである。なお、上記式(4)においてMは、それぞれ独立して、水素原子、又は電離していてもよい1価〜3価の金属もしくは1価〜3価の塩基であり、電離している場合は、スルホン酸基はマイナスイオンの状態になる。さらに好ましくは、X1〜X5のすべてがアセチル基である。特に好ましいものは、下記式(5)で示される誘導体である。
【0029】
【化7】
Figure 0004676049
(式中、Acはアセチル基、Yは水素原子又はSO3Na、波線で示した結合は、α−グリコシド配位またはβ−グリコシド配位を示す。)
【0030】
本発明抑制剤中に含有されるケラタン硫酸オリゴ糖またはその誘導体は、単一の種からなっていても、混合物であってもよい。例えば上記式(5)中の波線で示した部分がα−グリコシド配位である物質の精製品であってもよく、β−グリコシド配位である物質の精製品であってもよく、これらの混合物であってもよい。
【0031】
本発明に使用されるケラタン硫酸オリゴ糖は、例えばケラタン硫酸、好ましくは高硫酸化ケラタン硫酸の緩衝溶液にエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ型ケラタン硫酸分解酵素、例えばバチルス属細菌由来のケラタナーゼ(II)(特開平2−57182号公報)、またはバチルス・サーキュランスKsT202株由来のケラタン硫酸分解酵素(国際公開第WO96/16166号)を作用させて分解した後、得られた分解物を分画することにより得ることができる。得られたオリゴ糖は通常の分離精製方法、例えば、エタノール沈殿、ゲル濾過および陰イオン交換クロマトグラフィーにより、目的のオリゴ糖を分離精製することができる。このような製造方法の例は、国際公開第WO96/16973号に記載されている。なお、原料となるケラタン硫酸は、主としてガラクトースまたはガラクトース−6−O−硫酸とN−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルグルコサミン−6−O−硫酸との二糖の繰り返し構造で構成され、動物種および器官などによって硫酸含量が異なっているが、通常はサメなどの軟骨魚類、クジラ、ウシなどの哺乳動物の軟骨、骨や角膜などの生原料から製造されるものを用いることができる。
【0032】
原料として使用されるケラタン硫酸は、通常入手できるものであればよく、特に限定されないが、構成糖であるガラクトース残基が硫酸化された高硫酸化ケラタン硫酸(構成二糖あたり1.5〜2分子の硫酸基を含む高硫酸化ケラタン硫酸をケラタンポリ硫酸ということもある)を用いることが好ましい。また、ガラクトース残基の硫酸基の位置として、6位が好ましい。このような高硫酸化ケラタン硫酸は、たとえば、サメなどの軟骨魚類のプロテオグリカンから取得できる。また、市販されているものを使用することもできる。
【0033】
また、このようにして得られたケラタン硫酸オリゴ糖の硫酸基含量を、糖鎖の公知の脱硫酸化法や硫酸化法によって適宜調整したものを、本発明に使用されるケラタン硫酸オリゴ糖として用いてもよい。
【0034】
ケラタン硫酸オリゴ糖のヒドロキシル基の水素原子のアシル基による置換は、糖のヒドロキシル基の保護のために通常に行われるアシル化方法に従って行うことができる。例えば、導入すべきアシル基の反応性誘導体(アシル基に対応するカルボン酸の無水物(例えば、アセチル基を導入する場合は、無水酢酸、プロパノイル基を導入する場合は、無水プロピオン酸)、ハロゲン化物など)と、適当な反応溶媒(ピリジン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、水、およびこれらの混合物など)中でケラタン硫酸オリゴ糖を常法によって反応させることによってアシル基を導入することができる。必要に応じて、ピリジン等の塩基触媒の存在下で反応させることもできる。
【0035】
必要により、アシル化の程度を調整してもよく、この調整は、上記のアシル化方法において部分的にアシル化を行うか、または、アシル化されたケラタン硫酸オリゴ糖からアシル基を部分的に除去することによって行うことができる。
【0036】
アシル基の除去は、メタノール性アンモニア、濃アンモニア水、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いて加水分解することによって行うことができる。得られた誘導体は、逆相高速液体クロマトグラフィー等で精製することができる。
【0037】
本発明抑制剤の有効成分であるケラタン硫酸オリゴ糖またはその誘導体は、医薬として使用できる程度に精製され、医薬として混入が許されない物質を含まないものであることが好ましい。
【0038】
本発明抑制剤は、IL−12産生を抑制するのに有効であるので、IL−12産生の抑制を目的とする限り、適用可能な疾患は限定されない。IL−12産生の抑制が有効な疾患の例としては、IL−12がその病勢の進行に促進的に働く、Th1の活性化が病因となる疾患がある。このような疾患として、具体的には、接触性皮膚炎、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、アレルギー性脳脊髄膜炎、インスリン依存性糖尿病、糖尿病、橋本氏病、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、シェーグレン症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、サルコイドーシス、乾癬、リポ多糖誘発肝壊死、半月体形成性腎炎、全身性エリテマトーデスなどが挙げられる。従って本発明抑制剤は、これらの疾患の処置剤としての思想も包含する。
【0039】
本発明抑制剤は、純然とした治療目的のみならず、疾患の予防、維持(悪化防止)、軽減(症状の改善)等を目的として適用することができる。
【0040】
本発明においては、対象となる疾患の性質や進行状況、投与方法などに応じて、任意の剤形を適宜選択することができる。
【0041】
すなわち、本発明抑制剤は注射(静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内等)、経鼻、経口、経皮、吸入などにより投与することができ、これらの投与方法に応じて適宜製剤化することができる。選択し得る剤形も特に限定されず、例えば注射剤(溶液、懸濁液、乳濁液、用時溶解用固形剤等)、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、リポ化剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、貼付剤、ゲル剤、坐剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散剤等から広く選択することができる。また、これらの製剤調製にあたり、慣用の賦形剤、安定化剤、結合剤、滑沢剤、乳化剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、その他着色剤、崩壊剤等、通常医薬に用いられる成分を使用することができる。
【0042】
本発明抑制剤中の有効成分であるケラタン硫酸オリゴ糖またはその誘導体の配合量ならびに本発明抑制剤の投与量は、その製剤の投与方法、投与形態、使用目的、患者の具体的症状、患者の体重、年齢、性別等に応じて個別的に決定されるべき事項であり、特に限定されないが、ケラタン硫酸オリゴ糖の臨床量としては成人1日1回あたり50〜5000mgが例示される。
【0043】
なお本発明抑制剤の有効成分であるケラタン硫酸オリゴ糖の安全性については、国際公開第WO96/16973号において示されており、またその誘導体についても後述の実施例から安全性が推定される。
【0044】
【実施例】
以下に本発明を、実施例により具体的に説明する。しかしながら、これらにより本発明の技術的範囲が限定されるべきものではない。
【0045】
【実施例1】
L4のアセチル化物の合成
L4の二ナトリウム塩(WO96/16973に記載の方法で製造したもの)を脱イオン水に溶解し、カチオン交換樹脂(Dowex 50W-X4、H+-form;ダウケミカル製)カラムに通して酸遊離型とし、直ちに氷冷した。これに対して、引き続き氷冷下におき、10倍脱イオン水希釈した水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムを1.1倍 L4-硫酸基当量滴下した。約1時間攪拌後、溶液を低温下にて減圧濃縮し、Sephadex-LH20カラム(ファルマシア社)に通して粗精製後、水溶液から凍結乾燥し、L4−ジ(テトラ−n−ブチルアンモニウム)塩を得た。
【0046】
乾燥したL4−ジ(テトラ−n−ブチルアンモニウム)塩を100mg/mlの濃度でピリジンに溶解し、室温にて攪拌しながら無水酢酸(L4-総ヒドロキシル基量に対して1.5倍当量)を滴下して添加した。室温にて24時間攪拌後、溶媒を低温下で減圧留去し、メタノール/ジエチルエーテル溶媒系にて繰り返し再沈殿して粗L4アセチル化物−ジ(テトラ−n−ブチルアンモニウム)塩を得た。これを陰イオン交換カラムクロマトグラフィー(LiChroprep NH2;メルク社製)にてナトリウム塩に交換し、引き続きゲル濾過クロマトグラフィー(Cellulofine GCL-25;生化学工業株式会社販売)にて精製後凍結乾燥して、式(5)で示されるL4のペンタ−O−アセチル化物(以下、AcL4ともいう)を、α−グリコシド配位体とβ−グリコシド配位体の混合物として得た。またα-グリコシド配位体とβ-グリコシド配位体の分離は陰イオン交換クロマトグラフィー(LiChroprep RP-18;メルク社製)で行い、α−グリコシド配位体を取得した。AcL4(α−グリコシド配位体)の1H-NMRスペクトルおよび13C-NMR(DEPT)スペクトルを以下に示す。
【0047】
1H-NMRスペクトル
1H-NMR(400MHz、D2O、TSP(δH=0.00ppm))
δH=1.97ppm(s,3H,COCH 3 )、2.02(s,3H,COCH 3 )、2.17(s,3H,COCH 3 )、2.18(s,3H,COCH 3 )、2.217(s,3H,COCH 3 )、2.220(s,3H,COCH 3 )、4.07-4.17(m,4H,H-4A,H-5A,H-6B,H-6'B)、4.22-4.28(m,3H,H-5B,H-6A,H-6'A)、4.40-4.44(dd,1H,H-2A)、4.91-4.93(d,1H,H-1B)、5.00-5.04(dd,1H,H-2B)、5.20-5.23(dd,1H,H-3B)、5.26-5.31(dd,1H,H-3A)、5.485-5.493(d,1H,H-4B)、6.09-6.10(d,1H,H-1A)
【0048】
13C-NMR(DEPT)スペクトル
13C-NMR(100MHz、D2O、TSP(δC=0.00ppm))
δC=22.86ppm(2C,OCOCH3)、23.04(OCOCH3)、23.08(OCOCH3)、23.43(OCOCH3)、24.47(NHCOCH3)、53.09(C-2A)、67.98(C-6B)、68.36(C-6A)、70.61(C-4B)、72.62(C-2B)、73.34(C-5B)、73.56(2C,C-3A,C-5A)、74.27(C-3B)、77.80(C-4A)、93.38(C-1A)、102.96(C-1B)
【0049】
なお、上記データ中、「A」はN−アセチルグルコサミン残基を、「B」はガラクトース残基を示す。
【0050】
Amberlite IR-120カラム(シグマ社)を0.1M HClで洗浄した後、蒸留水で平衡化した。蒸留水50mlに溶解した5gのL4をカラムにアプライし、蒸留水で溶出した。15mlずつ分取した溶出画分のpHを測定し、酸性を示す画分を集めた。ピリジンを加えてpH 6.5に調整し、ロータリーエバポレーターで過剰のピリジンを除去した後、凍結乾燥した。
【0051】
以下の実施例で用いたL4(二ナトリウム塩)およびL4L4(四ナトリウム塩)はいずれも国際公開第WO96/16973号に記載の方法で製造したものを用いた。また、L3(一ナトリウム塩)は以下の方法で製造したものを用いた。
【0052】
L4のジピリジニウム塩5gを塩化アセチルとメタノールの混合溶液中で反応させ、脱硫酸化した。反応後の溶液を蒸留水で平衡化したムロマックカラム(室町化学工業)(3×21cm)にアプライした。0 M(1L)から2.0 M(1L)のNaCl濃度勾配をカラムに負荷し、溶出液を16mlずつ分取した。溶出画分のヘキソース含量を測定し、部分脱硫酸化L4の溶出位置を確認した。
【0053】
部分脱硫酸化L4を含む画分を集めて減圧濃縮し、蒸留水で平衡化したSephadex G-10カラム(アマシャムファルマシアバイオテク)により脱塩した。脱塩標品を凍結乾燥した後、β-ガラクトシダーゼ(生化学工業株式会社)45単位を含む100mMのクエン酸リン酸緩衝液に溶解させ、37℃で45時間保温することにより、混入するGalβ1-4GlcNAc(6S)を分解した。
【0054】
反応溶液を蒸留水で平衡化したムロマックカラム(3×32cm)にアプライした。0 M (1L)から1.5 M(1L)のNaCl濃度勾配をカラムに負荷し、溶出液を19mlずつ分取した。溶出画分のヘキソース含量を測定し、L3の溶出位置を確認した。
【0055】
L3を含む画分を集めて減圧濃縮し、Sephadex G-10カラムにより脱塩した。脱塩したL3溶液は、Dowex 59wx4カラム(ダウケミカル)を用いてナトリウム塩に交換し、再びムロマックカラム(2.2×52cm)にアプライした。0 M(1L)〜0.75 M(1L)のNaCl濃度勾配をカラムに負荷し、溶出液を15mlずつ分取した。溶出画分をキャピラリー電気泳動で分析し、L3の溶出位置を確認した。
【0056】
L3を含む画分を集め、電気透析装置(Micro Acilyzer、旭化成工業株式会社)によりNaClを除去した後、5mlに減圧濃縮した。濃縮溶液は400μl(L3約20mg)ずつ数回に分けて、3MNaClで平衡化した高速液体クロマトグラフィーDAISO Pakカラム(ダイソー)(2×50cm)にアプライした後、3MNaClで溶出した。
【0057】
L3を含む溶出画分を分取して減圧濃縮し、蒸留水で平衡化したSephadex G-10カラム(2.2×114cm)により脱塩し、再び減圧濃縮した。濃縮溶液を分子量カット1万の限外ろ過膜でろ過してエンドトキシンを除去した後、凍結乾燥して、以下の実施例で用いた。
【0058】
【実施例2】
L4の投与による血漿IL−12の減少
血漿IL−12量を、L4で処置したまたは処置しないMRL lpr/lprマウスを用いて調べた。MRL lpr/lprマウス由来のマクロファージは顕著にIL−12を産生することが知られており、また、その血清IL−12量は高い(J. Exp. Med., 183, pp.1447-1459(1996))。
【0059】
MRL lpr/lpr系マウス、並びに、正常コントロールとしてC57BL/6系マウスおよびICR系マウスを日本チャールスリバー株式会社から入手し、数週間予備飼育を行った後、群分けを行った。眼窩静脈叢より採血し、血漿中クレアチニン値(CRE)を第一の指標として、その平均値および標準偏差が群間で差がないように割り付けた。また、血漿中尿素窒素値(BUN)、白血球数(WBC)、血小板数(PLT)および体重についてもなるべく群間で差がないように割り付けた。
群構成は以下の通りとした。
【0060】
【表1】
Figure 0004676049
【0061】
試験物質の投与は群分けの翌日から行った。蒸留水に試験物質を所定の投与濃度で溶解し、この溶液を投与した。投与回数および期間は3回/週の間歇投与で4週間(計12回)とした。
【0062】
経口投与は、滅菌済の1 mlディスポーザブル注射筒および滅菌済み経口ゾンデを用いて常法により行った。経鼻投与は、マイクロピペットおよび滅菌済みのチップを用いて常法により行った。
観察および測定は以下のように行った。
【0063】
(1)一般状態
投与開始から剖検までの29日間の観察期間中、毎日、1日1回以上、一般状態および死亡状況について観察した。
【0064】
(2)体重
群分け時、投与開始日および投与開始日より1週間毎に測定した。
【0065】
(3)血液学的検査
多項目自動血球計数装置(Sysmex K-2000; 東亜医用電子)を用い、白血球数(WBC)を、群分け時および剖検前日に眼窩静脈叢から採血し測定した。
【0066】
(4)剖検
最終観察終了時に剖検し、主要諸器官について異常の有無を肉眼的に観察した。また、肝臓、腎臓、脾臓、腸間膜・頸部リンパ節の重量を測定した。途中死亡例についても同様に剖検した。
【0067】
(5)血中サイトカイン
群分け時および剖検前日に眼窩静脈叢から採血し、IL−12の血漿中濃度を、IL-12 p70 ELISAキット(Endogen,Inc.)を用いて測定した。
【0068】
上記で得られた測定値については、平均値および標準偏差を算出し、ウィリアムズの多重比較検定法によって、統計学的有意性を検討した。
結果は以下の通りであった。
【0069】
(1)一般状態
変化は認められなかった。
【0070】
(2)体重
いずれの群においても順調な推移が認められた。
【0071】
(3)血液学的検査
低用量のL4投与群で、WBCの有意な増加抑制が認められた。群1、2、3および4の剖検前日の結果を図1に示す。図中、*はp<0.05の水準で有意であることを示す。
【0072】
(4)剖検
異常は認められなかった。器官重量にも有意な相違は認められなかった。
【0073】
(5)血中サイトカイン
L4投与群においてIL−12の増加抑制が認められた。群1、2、3および5の剖検前日の結果を図2に示す。図中、*および**は、それぞれp<0.05およびp<0.01の水準で有意であることを示す。なお群5(C57BL/6)は、正常なマウスのレベルを示すものである。
【0074】
この結果から、L4はIL−12産生を抑制する作用を有することが示された。
【0075】
【実施例3】
L4アセチル化物の投与による効果
9週齢のMRL lpr/lpr系マウス、C57BL/6系マウスおよびICR系マウスを日本チャールスリバー株式会社から入手した。予備飼育期間を6週間とし、群構成は以下の通りとした。
【0076】
【表2】
Figure 0004676049
【0077】
蒸留水に試験物質を所定の投与濃度で溶解し、この溶液を投与した。投与回数および期間は3回/週の間歇投与で6週間(計19回)とした。観察は投与開始から剖検までの45日間とした。他の条件・方法等は実施例2と同様とした。
結果は以下の通りであった。
【0078】
(1)一般状態
変化は認められなかった。
【0079】
(2)体重
いずれの群においても順調な推移が認められた。
【0080】
(3)血液学的検査
L4経鼻投与群、およびL4アセチル化物投与群で、WBCの増加抑制が認められた。群1〜6の剖検前日の結果を図3に示す。図中、*はp<0.05の水準で有意であることを示す。
【0081】
(4)血液生化学的検査
臨床化学自動分析装置(COBAS MIRA S; 日本ロシュ)を用いて、血漿中クレアチニン値(CRE)および血漿中尿素窒素値(BUN)について群分け時および剖検前日に眼窩静脈叢から採血し測定した。
【0082】
その結果、低用量のL4アセチル化物投与群及びL4投与群で、CREおよびBUNの有意な低下が認められた。群1〜6の剖検前日の結果を図4に示す。図中、*および**は、それぞれp<0.05およびp<0.01の水準で有意であることを示す。
【0083】
この結果から、L4、L4アセチル化物は、腎疾患(例えば腎炎(糸球体腎炎等)、腎症(ループス腎症等))の治療剤、予防剤としても有用であることが示された。
【0084】
(5)剖検
異常は認められなかった。器官重量にも有意な相違は認められなかった。
【0085】
(6)血中サイトカイン
L4経鼻投与群においてIL−12の増加抑制が認められた。群1、5および6の剖検前日の結果を図5に示す。図中、**は、p<0.01の水準で有意であることを示す。
【0086】
この結果からも、L4はIL−12産生を抑制する作用を有することが確認された。
【0087】
【実施例4】
マクロファージにおけるL4処理によるIL−12 p70産生の減少
8〜39週齢のMRL lpr/lpr系マウスの腹腔に5〜7mlの氷冷ハンクス液を注入し、5分後に回収することにより常在性腹腔細胞を採取した。採取した細胞を、96穴平底プレートで、RPMI培地により、37℃、5%CO2の条件下一晩培養した。培養後、浮遊細胞を除き、付着細胞を腹腔マクロファージとして実験に用いた。
【0088】
リポ多糖(LPS)(List Biological Laboratories, Inc.)により細胞を24時間処理することでIL−12産生を刺激した。細胞培養上清のIL−12のp70の濃度を、IL-12 p70 ELISAキット(Endogen,Inc.)を用いて測定することにより、IL−12の産生を評価した。測定値については、平均値および標準偏差を算出し、特にことわらない限りウィリアムズの多重比較検定法によって統計学的有意性の検討を行った。
実験は以下の通りである。
【0089】
(1)LPSおよびL4で同時に処理
種々の濃度のL4およびLPS(100 ng/ml)を含む培地中で24時間刺激し、IL−12産生を評価した。
【0090】
(2)予めLPSで刺激した後にL4で処理
100 ng/mlのLPSで、0、2または6時間マクロファージを処理した後、1000 ng/mlのL4を含む新しい培地または新しい培地のみ(L4(-))に交換し(これにより前処理により産生されたIL−12が除かれる)、培地交換の24時間後にIL−12産生を評価した。
【0091】
(3)予めL4で処理した後にLPSで刺激
先ず、種々の濃度のL4によりマクロファージを24時間処理した後、100 ng/mlのLPSを含む培地に交換し、培地交換の24時間後にIL−12産生を評価した。
【0092】
LPSおよびL4で同時に処理した場合の結果を図6に示す。L4は100 ng/mlのLPSで刺激した群において用量依存的なIL−12産生の抑制効果を示した。この結果は、8週齢のマウスを用いても39週齢のマウスを用いても同様であった(図6)。また、別の系のマウス(C57BL/6系マウス)を用いても同様であった(図7)。図6及び図7において、*および**はそれぞれp<0.05およびp<0.01の水準で有意であることを示す。
【0093】
予めLPSで刺激した後、L4で処理した場合の結果を図8に示す。図中、#は検出不能であること、*はスチューデントのt検定によりp<0.05の水準で有意であることを示す。LPSで2時間および6時間の前処理を行ったマクロファージでも、L4によるIL−12産生の抑制が認められた。
【0094】
これらの結果から、LPSによる刺激の後であっても、L4がIL−12産生を抑制できることが示された。
【0095】
予めL4で処理した後にLPSで刺激した場合の結果を図9に示す。図中、*はp<0.05の水準で有意であることを示す。L4の前処理によりIL−12産生が抑制されることが明らかである。高用量(100 ng/ml以上)では、ほぼ完全にIL−12産生が抑制された。また、正常マウス(C57BL/6系マウス)を用いても(但し、L4による前処理を36時間とした)同様であった(図10)。図10中、*はp<0.05の水準で有意であることを示す。
【0096】
1000 ng/mlのL4で24時間前処理したマクロファージまたはL4で前処理しないマクロファージを、100 ng/mlのLPSで24時間処理した場合(L4前処理)のIL−12産生と、1000 ng/mlのL4と共に、または、L4なしで100 ng/mlのLPSで処理した場合(同時処理)のIL−12産生とを比較した。結果を図11に示す。図11中、*および**はスチューデントのt検定においてそれぞれp<0.05およびp<0.01の水準で有意であることを示す。
【0097】
図11のデータから、同時投与に比して、L4前処理の方がより効率的にIL−12産生を抑制していること分かる。
【0098】
また、L4L4(四ナトリウム塩)をL4の代わりに用いても同様の結果が得られた。種々の濃度のL4L4の存在下、100 ng/mlのLPSで24時間刺激した結果を図12に示す。
【0099】
【実施例5】
慢性関節リウマチ患者の滑膜細胞におけるL4処理によるIL−12 p70産生の減少
ヒト慢性関節リウマチ患者から採取した滑膜細胞を、500ng/mlのLPS、50単位/mlのリコンビナント マウスインターフェロン(IFN)-γ(recombinant mouse IFN-γ)および10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI1640培地(SIGMA社)に1x106個/mlとなるように懸濁し、細胞液を調製した。
【0100】
96穴平底プレートに上記細胞液100μlを添加し、さらにRPMI1640培地中の、最終濃度の2倍となるように濃度を調整したL4溶液を100μl添加し、37℃、5% CO2の条件下で24時間培養した。
【0101】
その後、プレートを遠心して培養上清を回収し、上清中のIL-12濃度を前記と同様に測定した。結果を図13に示す。
【0102】
図13から、L4の添加によってIL−12の産生が抑制される傾向が見られ、1000ng/mlのL4によって滑膜細胞のIL−12産生は約1/2となった。
【0103】
【実施例6】
マクロファージにおけるL3処理によるIL−12 p40産生の減少
C3H/HeNマウス腹腔中に、氷冷したリン酸緩衝生理食塩液(PBS)を注入した。マウスの腹部をマッサージした後、PBSを回収して遠心してマクロファージを得た。得られたマクロファージを、200ng/mlのLPS、2単位/mlのリコンビナント マウスインターフェロン(IFN)-γ(recombinant mouse IFN-γ)および10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI1640培地(SIGMA社)に1x106個/mlとなるように懸濁し、細胞液を調製した。
【0104】
96穴平底プレートに上記細胞液100μlを添加し、さらにRPMI1640培地中の、最終濃度の2倍となるように濃度を調整したL3溶液を100μl添加し、37℃、5% CO2の条件下で24時間培養した。
【0105】
その後、プレートを遠心して培養上清を回収し、上清中のIL-12濃度を前記と同様に測定した。結果を図15に示す。
【0106】
図15から明らかな通り、L3は用量依存的にマクロファージのIL−12産生を抑制した。
【0107】
実施例2〜6のデータから、ケラタン硫酸オリゴ糖またはその誘導体がIL−12産生を抑制できることが明らかである。特に、予め投与しておくことで、その後のIL−12産生を抑制できること(予防効果があること)が明らかである。
【0108】
【発明の効果】
IL−12産生抑制剤は、生体の免疫機能の調節におけるIL−12の役割を研究するための研究用試薬として有用である。また、IL−12がその病勢の進行に促進的に働く疾患の治療や予防のための医薬として使用できる。本発明のIL−12産生抑制剤は、天然物由来の物質を素材としており、その安全性も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 L4の投与後のMRL lpr/lprマウスの血中の白血球(WBC)数を示す。
【図2】 L4の投与後のMRL lpr/lprマウスの血漿中のIL−12量を示す。
【図3】 L4の投与後のMRL lpr/lprマウスの血中のWBC数を示す。
【図4】 L4の投与後のMRL lpr/lprマウスの血漿CREおよびBUN量を示す。
【図5】 L4の投与後のMRL lpr/lprマウスの血漿中のIL−12量を示す。
【図6】 8週齢および39週齢のMRLマウス由来の腹腔マクロファージにおける、L4のIL−12 p70産生抑制効果を示す。
【図7】 C57BL6/7マウス由来の腹腔マクロファージにおける、L4のIL−12 p70産生抑制効果を示す。
【図8】 MRLマウス由来の腹腔マクロファージにおける、L4のIL−12 p70産生抑制効果を示す。
【図9】 MRLマウス由来腹腔マクロファージにおける、L4のIL−12p70産生抑制効果を示す。
【図10】 C57BL6/7マウス由来腹腔マクロファージにおける、L4のIL−12 p70産生抑制効果を示す。
【図11】 MRLマウス由来腹腔マクロファージにおける、L4のIL−12 p70産生抑制効果を示す。
【図12】 MRLマウス由来腹腔マクロファージにおける、L4L4のIL−12 p70産生抑制効果を示す。
【図13】 ヒト慢性関節リウマチ患者由来滑膜細胞における、L4のIL−12 p70産生抑制効果を示す。
【図14】 C3H/HeNマウス由来腹腔マクロファージにおける、L3のIL−12産生抑制効果を示す。

Claims (5)

  1. 下記式(3)で示されるケラタン硫酸オリゴ糖、又は式(4)で表されるケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体を有効成分とする、IL−12産生抑制剤。
    Gal(6S)β1-4GlcNAc 式(3)
    (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6−O−硫酸エステルとなっていることを、β1−4はβ1,4グリコシド結合をそれぞれ表す)
    Figure 0004676049
    (式中、X 1 〜X 5 は、それぞれ独立して、水素原子またはアシル基であり、X 1 〜X 5 の少なくとも一つはアシル基であり、Yは水素原子またはSO 3 Mであり、Mは、それぞれ独立して、水素原子、又は電離していてもよい1価〜3価の金属もしくは1価〜3価の塩基であり、波線で示した結合はα−グリコシド配位またはβ−グリコシド配位を示す。)
  2. 1〜X5がいずれも炭素数1〜10のアシル基であり、Mがアルカリ金属であることを特徴とする請求項1に記載の抑制剤。
  3. 下記式(1)又は(2)で示されるケラタン硫酸オリゴ糖を有効成分とする、IL−12産生抑制剤。
    Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(1)
    Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(2)
    (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6−O−硫酸エステルとなっていることを、β1−4はβ1,4グリコシド結合を、β1−3はβ1,3グリコシド結合をそれぞれ表す)
  4. 下記式(4)で示される、ケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体。
    Figure 0004676049
    (式中、X1〜X5は、それぞれ独立して、水素原子またはアシル基であり、X1〜X5の少なくとも一つはアシル基であり、Yは水素原子またはSO3 Mであり、Mは、それぞれ独立して、水素原子、又は電離していてもよい1価〜3価の金属もしくは1価〜3価の塩基であり、波線で示した結合はα−グリコシド配位またはβ−グリコシド配位を示す。)
  5. 1〜X5がいずれも炭素数1〜10のアシル基であり、Mがアルカリ金属であることを特徴とする請求項記載の誘導体。
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