JP2001089493A - Il−12産生抑制剤 - Google Patents

Il−12産生抑制剤

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JP2001089493A JP2000221366A JP2000221366A JP2001089493A JP 2001089493 A JP2001089493 A JP 2001089493A JP 2000221366 A JP2000221366 A JP 2000221366A JP 2000221366 A JP2000221366 A JP 2000221366A JP 2001089493 A JP2001089493 A JP 2001089493A
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仁 栗原
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聡 宮内
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明美 生沼
Toshikazu Minamizawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 IL−12の産生を効果的に抑制できるIL
−12産生抑制剤を提供する。 【解決手段】 ケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体を
有効成分とする。ケラタン硫酸オリゴ糖は、好ましく
は、少なくとも下記式で表される二糖を繰返し構成単位
として含むことを特徴とする。 Gal(6S)-GlcNAc(6S) (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
-O-硫酸エステルとなっていることを、-はグリコシド結
合をそれぞれ表す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インターロイキン
12(IL−12)産生抑制剤およびIL−12産生抑
制剤の有効成分として有用なケラタン硫酸オリゴ糖の誘
導体に関する。
【0002】
【従来の技術】IL−12は、35kDおよび40kD
の二つのポリペプチド鎖が結合してなる70kDの糖タ
ンパク質(p70)からなるサイトカインであり、生体
の免疫機能の調節において中心的役割を果たしているこ
とが知られている(笠倉新平編、「サイトカイン」、第
2版改定新版、第207〜225頁、株式会社日本医学館発
行、1997年6月29日)。
【0003】IL−12は、ヘルパーT細胞のTヘルパ
ー1細胞サブセット(Th1)の分化誘導に働くため、
Th1の活性化が関連する自己免疫疾患では、病態の進
行に促進的に働くことが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、IL−12
の産生を効果的に抑制できるIL−12産生抑制剤を提
供することを目的とする。また本発明は、IL−12産
生抑制剤の有効成分を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ケラタン
硫酸オリゴ糖およびその誘導体にIL−12産生を抑制
する作用があることを見い出し、本発明を完成した。
【0006】本発明は、ケラタン硫酸オリゴ糖またはそ
の誘導体を有効成分とする、IL−12産生抑制剤(以
下、本発明抑制剤ともいう)を提供する。
【0007】本発明抑制剤におけるケラタン硫酸オリゴ
糖は、好ましくは、下記式で表される二糖のいずれかを
繰返し構成単位として少なくとも1単位以上含む。 Gal(6S)-GlcNAc(6S) および Gal(6S)-GlcNAc (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
-O-硫酸エステルとなっていることを、-はグリコシド結
合をそれぞれ表す)
【0008】さらに好ましくは、ケラタン硫酸オリゴ糖
は、下記式(1)〜(3)で表されるものから選ばれるもので
ある。
【0009】
【化4】 Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(1) Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(2) Gal(6S)β1-4GlcNAc 式(3) (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
-O-硫酸エステルとなっていることを、β1-4はβ1,4グ
リコシド結合を、β1-3はβ1,3グリコシド結合をそれぞ
れ表す)
【0010】本発明抑制剤において、ケラタン硫酸オリ
ゴ糖の誘導体は、好ましくは、ヒドロキシル基における
アシル化誘導体であり、より好ましくは、式(4)で示さ
れるものである。
【0011】
【化5】 (式中、X1〜X5は、それぞれ独立して、水素原子また
はアシル基であり、X1〜X5の少なくとも一つはアシル
基であり、Yは水素原子またはSO3Mであり、Mは、
それぞれ独立して、水素原子、又は電離していてもよい
1価〜3価の金属もしくは1価〜3価の塩基であり、波
線で示した結合はα−グリコシド配位またはβ−グリコ
シド配位を示す。)
【0012】一般式(4)において、好ましくは、X1〜X
5がいずれも炭素数1〜10のアシル基であり、Mがア
ルカリ金属である。
【0013】また本発明は、上記一般式(4)で示され
る、ケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体(以下、本発明誘導
体ともいう)を提供する。
【0014】本発明誘導体は、好ましくは、一般式(4)
において、X1〜X5がいずれも炭素数1〜10のアシル
基であり、Mはアルカリ金属である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明抑制剤において用いる「ケ
ラタン硫酸オリゴ糖」は、ケラタン硫酸の基本構造(ガ
ラクトース残基またはガラクトース−6−O−硫酸残基
と、N−アセチルグルコサミン残基またはN−アセチル
グルコサミン−6−O−硫酸残基とが交互にグリコシド
結合した構造)を少なくとも含む二糖以上のオリゴ糖で
ある限りにおいて特に限定されない。ケラタン硫酸オリ
ゴ糖は、例えばケラタン硫酸を分解して得られる生成物
であってもよく、また例えばN−アセチルラクトサミン
が2単位以上結合してなるオリゴ糖等を硫酸化して得ら
れる生成物であってもよい。
【0016】このようなケラタン硫酸オリゴ糖の中で
も、ケラタン硫酸を分解して得られるオリゴ糖(ケラタ
ン硫酸由来のオリゴ糖)が好ましく、ケラタン硫酸をエ
ンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ型ケラタン
硫酸分解酵素で分解して得られる分解生成物がより好ま
しい。
【0017】なお、このケラタン硫酸オリゴ糖は、シア
ル酸残基及び/又はフコース残基を含んでいてもよい。
通常には、シアル酸残基は、α2,3又はα2,6グリ
コシド結合でガラクトース残基に結合し、フコース残基
は、α1,3グリコシド結合でN−アセチルグルコサミ
ン残基に結合する。
【0018】通常には、ケラタン硫酸オリゴ糖は、N−
アセチルグルコサミン残基を還元末端に有する二〜十糖
のオリゴ糖であり、N−アセチルグルコサミン残基の6
位のヒドロキシル基は硫酸化されていてもされていなく
てもよく、ガラクトース残基の6位のヒドロキシル基は
硫酸化されているものがより好ましい。
【0019】さらに好ましくは、ケラタン硫酸オリゴ糖
は、Gal(6S)-GlcNAc(6S)またはGal(6S)-GlcNAc(式中、
Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセチルグル
コサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6-O-硫酸
エステルとなっていることを、-はグリコシド結合をそ
れぞれ表す)で表される二糖を繰返し構成単位として少
なくとも1単位以上含むケラタン硫酸オリゴ糖である。
【0020】さらに好ましくは、前記ケラタン硫酸オリ
ゴ糖は、式(1)で表されるオリゴ糖(以下、L4L4と
もいう)、式(2)で表されるオリゴ糖(以下、L4とも
いう)及び式(3)で表されるオリゴ糖(以下、L3とも
いう)から選ばれる。
【0021】
【化6】 Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(1) Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(2) Gal(6S)β1-4GlcNAc 式(3) (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
-O-硫酸エステルとなっていることを、β1-4はβ1,4グ
リコシド結合を、β1-3はβ1,3グリコシド結合をそれぞ
れ表す)
【0022】本発明に用いられるケラタン硫酸オリゴ糖
は、電離した状態のもの、プロトンが付加した構造のも
のを包含する。またケラタン硫酸オリゴ糖の薬学的に許
容される塩も包含する。
【0023】本明細書において、ケラタン硫酸オリゴ糖
の「誘導体」とは、通常には、ケラタン硫酸オリゴ糖の
ヒドロキシル基の水素原子の少なくとも一つ(好ましく
は全ヒドロキシル基の10%以上)が、アシル基、好ま
しくはO−アシル基により置換されたもの(部分または
完全O−アシル化誘導体)であり、その薬学的に許容さ
れる塩も包含する。
【0024】薬学的に許容される塩とは、例えば、ナト
リウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属
塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウ
ム塩等の無機塩基との塩、またはジエタノールアミン
塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基
との塩のうち、薬学的に許容されるものであるが、これ
らに限定されるものではない。
【0025】ケラタン硫酸オリゴ糖のヒドロキシル基の
水素原子を置換するアシル基は、好ましくは炭素数1〜
10のアシル基、より好ましくは炭素数1〜10の脂肪
族又は芳香族のアシル基、すなわちヘテロ原子を含むこ
ともあるアルカノイル基又はアロイル基であり、その例
としては、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチ
ル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、プロピ
オニル、n−ブチリル、(E)−2−メチルブテノイ
ル、イソブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル、o−
(ジブロモメチル)ベンゾイル、o−(メトキシカルボ
ニル)ベンゾイル、2,4,6−トリメチルベンゾイ
ル、p−トルオイル、p−アニソイル、p−クロロベン
ゾイル、p−ニトロベンゾイルなどの基が挙げられる。
ケラタン硫酸オリゴ糖が複数のアシル基を有する場合に
は、それらのアシル基は互いに同一でも異なっていても
よい。
【0026】ケラタン硫酸オリゴ糖の還元末端糖の1位
のヒドロキシル基の水素原子がアシル基により置換され
ている場合、そのO−アシル基の配位は、α−グリコシ
ド配位またはβ−グリコシド配位のいずれでもよいが、
α−グリコシド配位であることが好ましい。
【0027】アシル化されたケラタン硫酸オリゴ糖は、
有機溶媒、脂質に対する溶解性の向上、生体膜透過性の
増大、経口投与した場合の消化管吸収量の増大等の利点
を有する。
【0028】本発明抑制剤において、ケラタン硫酸オリ
ゴ糖の誘導体は、好ましくは、上記式(4)で示されるも
のである。なお、上記式(4)においてMは、それぞれ独
立して、水素原子、又は電離していてもよい1価〜3価
の金属もしくは1価〜3価の塩基であり、電離している
場合は、スルホン酸基はマイナスイオンの状態になる。
さらに好ましくは、X1〜X5のすべてがアセチル基であ
る。特に好ましいものは、下記式(5)で示される誘導体
である。
【0029】
【化7】 (式中、Acはアセチル基、Yは水素原子又はSO3
a、波線で示した結合は、α−グリコシド配位またはβ
−グリコシド配位を示す。)
【0030】本発明抑制剤中に含有されるケラタン硫酸
オリゴ糖またはその誘導体は、単一の種からなっていて
も、混合物であってもよい。例えば上記式(5)中の波線
で示した部分がα−グリコシド配位である物質の精製品
であってもよく、β−グリコシド配位である物質の精製
品であってもよく、これらの混合物であってもよい。
【0031】本発明に使用されるケラタン硫酸オリゴ糖
は、例えばケラタン硫酸、好ましくは高硫酸化ケラタン
硫酸の緩衝溶液にエンド-β-N-アセチルグルコサミニダ
ーゼ型ケラタン硫酸分解酵素、例えばバチルス属細菌由
来のケラタナーゼ(II)(特開平2−57182号公
報)、またはバチルス・サーキュランスKsT202株
由来のケラタン硫酸分解酵素(国際公開第WO96/16166
号)を作用させて分解した後、得られた分解物を分画す
ることにより得ることができる。得られたオリゴ糖は通
常の分離精製方法、例えば、エタノール沈殿、ゲル濾過
および陰イオン交換クロマトグラフィーにより、目的の
オリゴ糖を分離精製することができる。このような製造
方法の例は、国際公開第WO96/16973号に記載されてい
る。なお、原料となるケラタン硫酸は、主としてガラク
トースまたはガラクトース−6−O−硫酸とN−アセチ
ルグルコサミンまたはN−アセチルグルコサミン−6−
O−硫酸との二糖の繰り返し構造で構成され、動物種お
よび器官などによって硫酸含量が異なっているが、通常
はサメなどの軟骨魚類、クジラ、ウシなどの哺乳動物の
軟骨、骨や角膜などの生原料から製造されるものを用い
ることができる。
【0032】原料として使用されるケラタン硫酸は、通
常入手できるものであればよく、特に限定されないが、
構成糖であるガラクトース残基が硫酸化された高硫酸化
ケラタン硫酸(構成二糖あたり1.5〜2分子の硫酸基
を含む高硫酸化ケラタン硫酸をケラタンポリ硫酸という
こともある)を用いることが好ましい。また、ガラクト
ース残基の硫酸基の位置として、6位が好ましい。この
ような高硫酸化ケラタン硫酸は、たとえば、サメなどの
軟骨魚類のプロテオグリカンから取得できる。また、市
販されているものを使用することもできる。
【0033】また、このようにして得られたケラタン硫
酸オリゴ糖の硫酸基含量を、糖鎖の公知の脱硫酸化法や
硫酸化法によって適宜調整したものを、本発明に使用さ
れるケラタン硫酸オリゴ糖として用いてもよい。
【0034】ケラタン硫酸オリゴ糖のヒドロキシル基の
水素原子のアシル基による置換は、糖のヒドロキシル基
の保護のために通常に行われるアシル化方法に従って行
うことができる。例えば、導入すべきアシル基の反応性
誘導体(アシル基に対応するカルボン酸の無水物(例え
ば、アセチル基を導入する場合は、無水酢酸、プロパノ
イル基を導入する場合は、無水プロピオン酸)、ハロゲ
ン化物など)と、適当な反応溶媒(ピリジン、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド(DMF)、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロ
ロメタン、メタノール、エタノール、水、およびこれら
の混合物など)中でケラタン硫酸オリゴ糖を常法によっ
て反応させることによってアシル基を導入することがで
きる。必要に応じて、ピリジン等の塩基触媒の存在下で
反応させることもできる。
【0035】必要により、アシル化の程度を調整しても
よく、この調整は、上記のアシル化方法において部分的
にアシル化を行うか、または、アシル化されたケラタン
硫酸オリゴ糖からアシル基を部分的に除去することによ
って行うことができる。
【0036】アシル基の除去は、メタノール性アンモニ
ア、濃アンモニア水、ナトリウムメトキシド、ナトリウ
ムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど
を用いて加水分解することによって行うことができる。
得られた誘導体は、逆相高速液体クロマトグラフィー等
で精製することができる。
【0037】本発明抑制剤の有効成分であるケラタン硫
酸オリゴ糖またはその誘導体は、医薬として使用できる
程度に精製され、医薬として混入が許されない物質を含
まないものであることが好ましい。
【0038】本発明抑制剤は、IL−12産生を抑制す
るのに有効であるので、IL−12産生の抑制を目的と
する限り、適用可能な疾患は限定されない。IL−12
産生の抑制が有効な疾患の例としては、IL−12がそ
の病勢の進行に促進的に働く、Th1の活性化が病因と
なる疾患がある。このような疾患として、具体的には、
接触性皮膚炎、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、アレルギー
性脳脊髄膜炎、インスリン依存性糖尿病、糖尿病、橋本
氏病、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、シェーグレン
症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、サルコイドーシ
ス、乾癬、リポ多糖誘発肝壊死、半月体形成性腎炎、全
身性エリテマトーデスなどが挙げられる。従って本発明
抑制剤は、これらの疾患の処置剤としての思想も包含す
る。
【0039】本発明抑制剤は、純然とした治療目的のみ
ならず、疾患の予防、維持(悪化防止)、軽減(症状の
改善)等を目的として適用することができる。
【0040】本発明においては、対象となる疾患の性質
や進行状況、投与方法などに応じて、任意の剤形を適宜
選択することができる。
【0041】すなわち、本発明抑制剤は注射(静脈内、
筋肉内、皮下、皮内、腹腔内等)、経鼻、経口、経皮、
吸入などにより投与することができ、これらの投与方法
に応じて適宜製剤化することができる。選択し得る剤形
も特に限定されず、例えば注射剤(溶液、懸濁液、乳濁
液、用時溶解用固形剤等)、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤、液剤、リポ化剤、軟膏剤、硬膏剤、ローショ
ン剤、パスタ剤、貼付剤、ゲル剤、坐剤、外用散剤、ス
プレー剤、吸入散剤等から広く選択することができる。
また、これらの製剤調製にあたり、慣用の賦形剤、安定
化剤、結合剤、滑沢剤、乳化剤、浸透圧調整剤、pH調整
剤、その他着色剤、崩壊剤等、通常医薬に用いられる成
分を使用することができる。
【0042】本発明抑制剤中の有効成分であるケラタン
硫酸オリゴ糖またはその誘導体の配合量ならびに本発明
抑制剤の投与量は、その製剤の投与方法、投与形態、使
用目的、患者の具体的症状、患者の体重、年齢、性別等
に応じて個別的に決定されるべき事項であり、特に限定
されないが、ケラタン硫酸オリゴ糖の臨床量としては成
人1日1回あたり50〜5000mgが例示される。
【0043】なお本発明抑制剤の有効成分であるケラタ
ン硫酸オリゴ糖の安全性については、国際公開第WO96/1
6973号において示されており、またその誘導体について
も後述の実施例から安全性が推定される。
【0044】
【実施例】以下に本発明を、実施例により具体的に説明
する。しかしながら、これらにより本発明の技術的範囲
が限定されるべきものではない。
【0045】
【実施例1】 L4のアセチル化物の合成 L4の二ナトリウム塩(WO96/16973に記載の方法で製造
したもの)を脱イオン水に溶解し、カチオン交換樹脂(D
owex 50W-X4、H+-form;ダウケミカル製)カラムに通し
て酸遊離型とし、直ちに氷冷した。これに対して、引き
続き氷冷下におき、10倍脱イオン水希釈した水酸化テト
ラ−n−ブチルアンモニウムを1.1倍 L4-硫酸基当量
滴下した。約1時間攪拌後、溶液を低温下にて減圧濃縮
し、Sephadex-LH20カラム(ファルマシア社)に通して粗
精製後、水溶液から凍結乾燥し、L4−ジ(テトラ−n
−ブチルアンモニウム)塩を得た。
【0046】乾燥したL4−ジ(テトラ−n−ブチルア
ンモニウム)塩を100mg/mlの濃度でピリジンに溶解し、
室温にて攪拌しながら無水酢酸(L4-総ヒドロキシル基量
に対して1.5倍当量)を滴下して添加した。室温にて24
時間攪拌後、溶媒を低温下で減圧留去し、メタノール/
ジエチルエーテル溶媒系にて繰り返し再沈殿して粗L4
アセチル化物−ジ(テトラ−n−ブチルアンモニウム)
塩を得た。これを陰イオン交換カラムクロマトグラフィ
ー(LiChroprep NH2;メルク社製)にてナトリウム塩に交
換し、引き続きゲル濾過クロマトグラフィー(Cellulofi
ne GCL-25;生化学工業株式会社販売)にて精製後凍結乾
燥して、式(5)で示されるL4のペンタ−O−アセチル
化物(以下、AcL4ともいう)を、α−グリコシド配位体
とβ−グリコシド配位体の混合物として得た。またα-
グリコシド配位体とβ-グリコシド配位体の分離は陰イ
オン交換クロマトグラフィー(LiChroprep RP-18;メル
ク社製)で行い、α−グリコシド配位体を取得した。AcL
4(α−グリコシド配位体)の1H-NMRスペクトルおよび
13C-NMR(DEPT)スペクトルを以下に示す。
【0047】1 H-NMRスペクトル1 H-NMR(400MHz、D2O、TSP(δH=0.00ppm)) δH=1.97ppm(s,3H,COCH3 )、2.02(s,3H,COCH3 )、2.
17(s,3H,COCH3 )、2.18(s,3H,COCH3 )、2.217(s,3H,
COCH3 )、2.220(s,3H,COCH3 )、4.07-4.17(m,4H,H-4
A,H-5A,H-6B,H-6'B)、4.22-4.28(m,3H,H-5B,H-6A,H-
6'A)、4.40-4.44(dd,1H,H-2A)、4.91-4.93(d,1H,H-
1B)、5.00-5.04(dd,1H,H-2B)、5.20-5.23(dd,1H,H-
3B)、5.26-5.31(dd,1H,H-3A)、5.485-5.493(d,1H,H
-4B)、6.09-6.10(d,1H,H-1A)
【0048】13 C-NMR(DEPT)スペクトル13 C-NMR(100MHz、D2O、TSP(δC=0.00ppm)) δC=22.86ppm(2C,OCOCH3)、23.04(OCOCH3)、23.08
(OCOCH3)、23.43(OCOCH3)、24.47(NHCOCH3)、53.
09(C-2A)、67.98(C-6B)、68.36(C-6A)、70.61(C
-4B)、72.62(C-2B)、73.34(C-5B)、73.56(2C,C-3
A,C-5A)、74.27(C-3B)、77.80(C-4A)、93.38(C-1
A)、102.96(C-1B)
【0049】なお、上記データ中、「A」はN−アセチ
ルグルコサミン残基を、「B」はガラクトース残基を示
す。
【0050】Amberlite IR-120カラム(シグマ社)を0.
1M HClで洗浄した後、蒸留水で平衡化した。蒸留水50ml
に溶解した5gのL4をカラムにアプライし、蒸留水で
溶出した。15mlずつ分取した溶出画分のpHを測定し、酸
性を示す画分を集めた。ピリジンを加えてpH 6.5に調整
し、ロータリーエバポレーターで過剰のピリジンを除去
した後、凍結乾燥した。
【0051】以下の実施例で用いたL4(二ナトリウム
塩)およびL4L4(四ナトリウム塩)はいずれも国際
公開第WO96/16973号に記載の方法で製造したものを用い
た。また、L3(一ナトリウム塩)は以下の方法で製造
したものを用いた。
【0052】L4のジピリジニウム塩5gを塩化アセチ
ルとメタノールの混合溶液中で反応させ、脱硫酸化し
た。反応後の溶液を蒸留水で平衡化したムロマックカラ
ム(室町化学工業)(3×21cm)にアプライした。0 M(1
L)から2.0 M(1L)のNaCl濃度勾配をカラムに負荷し、溶
出液を16mlずつ分取した。溶出画分のヘキソース含量を
測定し、部分脱硫酸化L4の溶出位置を確認した。
【0053】部分脱硫酸化L4を含む画分を集めて減圧
濃縮し、蒸留水で平衡化したSephadex G-10カラム(ア
マシャムファルマシアバイオテク)により脱塩した。脱
塩標品を凍結乾燥した後、β-ガラクトシダーゼ(生化
学工業株式会社)45単位を含む100mMのクエン酸リン酸
緩衝液に溶解させ、37℃で45時間保温することにより、
混入するGalβ1-4GlcNAc(6S)を分解した。
【0054】反応溶液を蒸留水で平衡化したムロマック
カラム(3×32cm)にアプライした。0M (1L)から1.5 M(1
L)のNaCl濃度勾配をカラムに負荷し、溶出液を19mlずつ
分取した。溶出画分のヘキソース含量を測定し、L3の
溶出位置を確認した。
【0055】L3を含む画分を集めて減圧濃縮し、Seph
adex G-10カラムにより脱塩した。脱塩したL3溶液
は、Dowex 59wx4カラム(ダウケミカル)を用いてナト
リウム塩に交換し、再びムロマックカラム(2.2×52c
m)にアプライした。0 M(1L)〜0.75 M(1L)のNaCl濃度勾
配をカラムに負荷し、溶出液を15mlずつ分取した。溶出
画分をキャピラリー電気泳動で分析し、L3の溶出位置
を確認した。
【0056】L3を含む画分を集め、電気透析装置(Mi
cro Acilyzer、旭化成工業株式会社)によりNaClを除去
した後、5mlに減圧濃縮した。濃縮溶液は400μl(L3
約20mg)ずつ数回に分けて、3MNaClで平衡化した高速
液体クロマトグラフィーDAISOPakカラム(ダイソー)(2
×50cm)にアプライした後、3MNaClで溶出した。
【0057】L3を含む溶出画分を分取して減圧濃縮
し、蒸留水で平衡化したSephadex G-10カラム(2.2×11
4cm)により脱塩し、再び減圧濃縮した。濃縮溶液を分
子量カット1万の限外ろ過膜でろ過してエンドトキシン
を除去した後、凍結乾燥して、以下の実施例で用いた。
【0058】
【実施例2】 L4の投与による血漿IL−12の減少 血漿IL−12量を、L4で処置したまたは処置しない
MRL lpr/lprマウスを用いて調べた。MRL lpr/lpr
マウス由来のマクロファージは顕著にIL−12を産生
することが知られており、また、その血清IL−12量
は高い(J. Exp. Med., 183, pp.1447-1459(1996))。
【0059】MRL lpr/lpr系マウス、並びに、正常コ
ントロールとしてC57BL/6系マウスおよびICR
系マウスを日本チャールスリバー株式会社から入手し、
数週間予備飼育を行った後、群分けを行った。眼窩静脈
叢より採血し、血漿中クレアチニン値(CRE)を第一
の指標として、その平均値および標準偏差が群間で差が
ないように割り付けた。また、血漿中尿素窒素値(BU
N)、白血球数(WBC)、血小板数(PLT)および
体重についてもなるべく群間で差がないように割り付け
た。群構成は以下の通りとした。
【0060】
【表1】 ──────────────────────────────────── 群 動物 試験物質 投与量 投与濃度 投与液量 投与経路 動物数 投与期間 (mg/kg) (mg/ml) (ml/kg) 雄 ──────────────────────────────────── 1 MRL DW − − 5.0 p.o. 9 4週間 2 MRL L4 1.6 16 0.1 i.n. 9 4週間 3 MRL L4 80 16 5.0 p.o. 9 4週間 4 MRL L4 160 32 5.0 p.o. 9 4週間 5 C57BL/6 無処置 − − − − 6 − 6 ICR 無処置 − − − − 6 − ──────────────────────────────────── DW=蒸留水、p.o.=経口投与、i.n.=経鼻(鼻粘膜)投与
【0061】試験物質の投与は群分けの翌日から行っ
た。蒸留水に試験物質を所定の投与濃度で溶解し、この
溶液を投与した。投与回数および期間は3回/週の間歇
投与で4週間(計12回)とした。
【0062】経口投与は、滅菌済の1 mlディスポーザブ
ル注射筒および滅菌済み経口ゾンデを用いて常法により
行った。経鼻投与は、マイクロピペットおよび滅菌済み
のチップを用いて常法により行った。観察および測定は
以下のように行った。
【0063】(1)一般状態 投与開始から剖検までの29日間の観察期間中、毎日、
1日1回以上、一般状態および死亡状況について観察し
た。
【0064】(2)体重 群分け時、投与開始日および投与開始日より1週間毎に
測定した。
【0065】(3)血液学的検査 多項目自動血球計数装置(Sysmex K-2000; 東亜医用電
子)を用い、白血球数(WBC)を、群分け時および剖
検前日に眼窩静脈叢から採血し測定した。
【0066】(4)剖検 最終観察終了時に剖検し、主要諸器官について異常の有
無を肉眼的に観察した。また、肝臓、腎臓、脾臓、腸間
膜・頸部リンパ節の重量を測定した。途中死亡例につい
ても同様に剖検した。
【0067】(5)血中サイトカイン 群分け時および剖検前日に眼窩静脈叢から採血し、IL
−12の血漿中濃度を、IL-12 p70 ELISAキット(Endog
en,Inc.)を用いて測定した。
【0068】上記で得られた測定値については、平均値
および標準偏差を算出し、ウィリアムズの多重比較検定
法によって、統計学的有意性を検討した。結果は以下の
通りであった。
【0069】(1)一般状態 変化は認められなかった。
【0070】(2)体重 いずれの群においても順調な推移が認められた。
【0071】(3)血液学的検査 低用量のL4投与群で、WBCの有意な増加抑制が認め
られた。群1、2、3および4の剖検前日の結果を図1
に示す。図中、*はp<0.05の水準で有意であるこ
とを示す。
【0072】(4)剖検 異常は認められなかった。器官重量にも有意な相違は認
められなかった。
【0073】(5)血中サイトカイン L4投与群においてIL−12の増加抑制が認められ
た。群1、2、3および5の剖検前日の結果を図2に示
す。図中、*および**は、それぞれp<0.05およ
びp<0.01の水準で有意であることを示す。なお群
5(C57BL/6)は、正常なマウスのレベルを示すものであ
る。
【0074】この結果から、L4はIL−12産生を抑
制する作用を有することが示された。
【0075】
【実施例3】 L4アセチル化物の投与による効果 9週齢のMRL lpr/lpr系マウス、C57BL/6系マ
ウスおよびICR系マウスを日本チャールスリバー株式
会社から入手した。予備飼育期間を6週間とし、群構成
は以下の通りとした。
【0076】
【表2】 ──────────────────────────────────── 群 動物 試験物質 投与量 投与濃度 投与液量 投与経路 動物数 投与期間 (mg/kg) (mg/ml) (ml/kg) 雌 ──────────────────────────────────── 1 MRL DW − − 5.0 p.o. 9 6週間 2 MRL AcL4 2.0 0.4 5.0 p.o. 9 6週間 3 MRL AcL4 4.0 0.8 5.0 p.o. 9 6週間 4 MRL AcL4 8.0 1.6 5.0 p.o. 9 6週間 5 MRL L4 3.2 32.0 0.1 i.n. 9 6週間 6 C57BL/6 無処置 − − − − 6 − 7 ICR 無処置 − − − − 6 − ──────────────────────────────────── DW=蒸留水、AcL4=L4アセチル化物、p.o.=経口投与、i.n.=経鼻(鼻粘 膜)投与
【0077】蒸留水に試験物質を所定の投与濃度で溶解
し、この溶液を投与した。投与回数および期間は3回/
週の間歇投与で6週間(計19回)とした。観察は投与
開始から剖検までの45日間とした。他の条件・方法等
は実施例2と同様とした。結果は以下の通りであった。
【0078】(1)一般状態 変化は認められなかった。
【0079】(2)体重 いずれの群においても順調な推移が認められた。
【0080】(3)血液学的検査 L4経鼻投与群、およびL4アセチル化物投与群で、W
BCの増加抑制が認められた。群1〜6の剖検前日の結
果を図3に示す。図中、*はp<0.05の水準で有意
であることを示す。
【0081】(4)血液生化学的検査 臨床化学自動分析装置(COBAS MIRA S; 日本ロシュ)を
用いて、血漿中クレアチニン値(CRE)および血漿中
尿素窒素値(BUN)について群分け時および剖検前日
に眼窩静脈叢から採血し測定した。
【0082】その結果、低用量のL4アセチル化物投与
群及びL4投与群で、CREおよびBUNの有意な低下
が認められた。群1〜6の剖検前日の結果を図4に示
す。図中、*および**は、それぞれp<0.05およ
びp<0.01の水準で有意であることを示す。
【0083】この結果から、L4、L4アセチル化物
は、腎疾患(例えば腎炎(糸球体腎炎等)、腎症(ルー
プス腎症等))の治療剤、予防剤としても有用であるこ
とが示された。
【0084】(5)剖検 異常は認められなかった。器官重量にも有意な相違は認
められなかった。
【0085】(6)血中サイトカイン L4経鼻投与群においてIL−12の増加抑制が認めら
れた。群1、5および6の剖検前日の結果を図5に示
す。図中、**は、p<0.01の水準で有意であるこ
とを示す。
【0086】この結果からも、L4はIL−12産生を
抑制する作用を有することが確認された。
【0087】
【実施例4】 マクロファージにおけるL4処理による
IL−12 p70産生の減少 8〜39週齢のMRL lpr/lpr系マウスの腹腔に5〜7
mlの氷冷ハンクス液を注入し、5分後に回収すること
により常在性腹腔細胞を採取した。採取した細胞を、9
6穴平底プレートで、RPMI培地により、37℃、5
%CO2の条件下一晩培養した。培養後、浮遊細胞を除
き、付着細胞を腹腔マクロファージとして実験に用い
た。
【0088】リポ多糖(LPS)(List Biological La
boratories, Inc.)により細胞を24時間処理すること
でIL−12産生を刺激した。細胞培養上清のIL−1
2のp70の濃度を、IL-12 p70 ELISAキット(Endoge
n,Inc.)を用いて測定することにより、IL−12の産
生を評価した。測定値については、平均値および標準偏
差を算出し、特にことわらない限りウィリアムズの多重
比較検定法によって統計学的有意性の検討を行った。実
験は以下の通りである。
【0089】(1)LPSおよびL4で同時に処理 種々の濃度のL4およびLPS(100 ng/ml)を含む培
地中で24時間刺激し、IL−12産生を評価した。
【0090】(2)予めLPSで刺激した後にL4で処
理 100 ng/mlのLPSで、0、2または6時間マクロファ
ージを処理した後、1000 ng/mlのL4を含む新しい培地
または新しい培地のみ(L4(-))に交換し(これによ
り前処理により産生されたIL−12が除かれる)、培
地交換の24時間後にIL−12産生を評価した。
【0091】(3)予めL4で処理した後にLPSで刺
激 先ず、種々の濃度のL4によりマクロファージを24時
間処理した後、100 ng/mlのLPSを含む培地に交換
し、培地交換の24時間後にIL−12産生を評価し
た。
【0092】LPSおよびL4で同時に処理した場合の
結果を図6に示す。L4は100 ng/mlのLPSで刺激し
た群において用量依存的なIL−12産生の抑制効果を
示した。この結果は、8週齢のマウスを用いても39週
齢のマウスを用いても同様であった(図6)。また、別
の系のマウス(C57BL/6系マウス)を用いても同
様であった(図7)。図6及び図7において、*および
**はそれぞれp<0.05およびp<0.01の水準
で有意であることを示す。
【0093】予めLPSで刺激した後、L4で処理した
場合の結果を図8に示す。図中、#は検出不能であるこ
と、*はスチューデントのt検定によりp<0.05の
水準で有意であることを示す。LPSで2時間および6
時間の前処理を行ったマクロファージでも、L4による
IL−12産生の抑制が認められた。
【0094】これらの結果から、LPSによる刺激の後
であっても、L4がIL−12産生を抑制できることが
示された。
【0095】予めL4で処理した後にLPSで刺激した
場合の結果を図9に示す。図中、*はp<0.05の水
準で有意であることを示す。L4の前処理によりIL−
12産生が抑制されることが明らかである。高用量(10
0 ng/ml以上)では、ほぼ完全にIL−12産生が抑制
された。また、正常マウス(C57BL/6系マウス)
を用いても(但し、L4による前処理を36時間とし
た)同様であった(図10)。図10中、*はp<0.
05の水準で有意であることを示す。
【0096】1000 ng/mlのL4で24時間前処理したマ
クロファージまたはL4で前処理しないマクロファージ
を、100 ng/mlのLPSで24時間処理した場合(L4
前処理)のIL−12産生と、1000 ng/mlのL4と共
に、または、L4なしで100 ng/mlのLPSで処理した
場合(同時処理)のIL−12産生とを比較した。結果
を図11に示す。図11中、*および**はスチューデ
ントのt検定においてそれぞれp<0.05およびp<
0.01の水準で有意であることを示す。
【0097】図11のデータから、同時投与に比して、
L4前処理の方がより効率的にIL−12産生を抑制し
ていること分かる。
【0098】また、L4L4(四ナトリウム塩)をL4
の代わりに用いても同様の結果が得られた。種々の濃度
のL4L4の存在下、100 ng/mlのLPSで24時間刺
激した結果を図12に示す。
【0099】
【実施例5】 慢性関節リウマチ患者の滑膜細胞におけ
るL4処理によるIL−12 p70産生の減少 ヒト慢性関節リウマチ患者から採取した滑膜細胞を、50
0ng/mlのLPS、50単位/mlのリコンビナント マウスイ
ンターフェロン(IFN)-γ(recombinant mouse IFN-γ)お
よび10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI1640培地
(SIGMA社)に1x106個/mlとなるように懸濁し、細胞液を
調製した。
【0100】96穴平底プレートに上記細胞液100μlを
添加し、さらにRPMI1640培地中の、最終濃度の
2倍となるように濃度を調整したL4溶液を100μl添加
し、37℃、5% CO2の条件下で24時間培養した。
【0101】その後、プレートを遠心して培養上清を回
収し、上清中のIL-12濃度を前記と同様に測定した。結
果を図13に示す。
【0102】図13から、L4の添加によってIL−1
2の産生が抑制される傾向が見られ、1000ng/mlのL4
によって滑膜細胞のIL−12産生は約1/2となっ
た。
【0103】
【実施例6】 マクロファージにおけるL3処理による
IL−12 p40産生の減少 C3H/HeNマウス腹腔中に、氷冷したリン酸緩衝生理食塩
液(PBS)を注入した。マウスの腹部をマッサージした
後、PBSを回収して遠心してマクロファージを得た。得
られたマクロファージを、200ng/mlのLPS、2単位/m
lのリコンビナントマウスインターフェロン(IFN)-γ(re
combinant mouse IFN-γ)および10%ウシ胎仔血清を含
有するRPMI1640培地(SIGMA社)に1x106個/mlと
なるように懸濁し、細胞液を調製した。
【0104】96穴平底プレートに上記細胞液100μlを
添加し、さらにRPMI1640培地中の、最終濃度の
2倍となるように濃度を調整したL3溶液を100μl添加
し、37℃、5% CO2の条件下で24時間培養した。
【0105】その後、プレートを遠心して培養上清を回
収し、上清中のIL-12濃度を前記と同様に測定した。結
果を図15に示す。
【0106】図15から明らかな通り、L3は用量依存
的にマクロファージのIL−12産生を抑制した。
【0107】実施例2〜6のデータから、ケラタン硫酸
オリゴ糖またはその誘導体がIL−12産生を抑制でき
ることが明らかである。特に、予め投与しておくこと
で、その後のIL−12産生を抑制できること(予防効
果があること)が明らかである。
【0108】
【発明の効果】IL−12産生抑制剤は、生体の免疫機
能の調節におけるIL−12の役割を研究するための研
究用試薬として有用である。また、IL−12がその病
勢の進行に促進的に働く疾患の治療や予防のための医薬
として使用できる。本発明のIL−12産生抑制剤は、
天然物由来の物質を素材としており、その安全性も高
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 L4の投与後のMRL lpr/lprマウスの血中
の白血球(WBC)数を示す。
【図2】 L4の投与後のMRL lpr/lprマウスの血漿
中のIL−12量を示す。
【図3】 L4の投与後のMRL lpr/lprマウスの血中
のWBC数を示す。
【図4】 L4の投与後のMRL lpr/lprマウスの血漿
CREおよびBUN量を示す。
【図5】 L4の投与後のMRL lpr/lprマウスの血漿
中のIL−12量を示す。
【図6】 8週齢および39週齢のMRLマウス由来の
腹腔マクロファージにおける、L4のIL−12 p7
0産生抑制効果を示す。
【図7】 C57BL6/7マウス由来の腹腔マクロフ
ァージにおける、L4のIL−12 p70産生抑制効
果を示す。
【図8】 MRLマウス由来の腹腔マクロファージにお
ける、L4のIL−12 p70産生抑制効果を示す。
【図9】 MRLマウス由来腹腔マクロファージにおけ
る、L4のIL−12p70産生抑制効果を示す。
【図10】 C57BL6/7マウス由来腹腔マクロフ
ァージにおける、L4のIL−12 p70産生抑制効
果を示す。
【図11】 MRLマウス由来腹腔マクロファージにお
ける、L4のIL−12 p70産生抑制効果を示す。
【図12】 MRLマウス由来腹腔マクロファージにお
ける、L4L4のIL−12 p70産生抑制効果を示
す。
【図13】 ヒト慢性関節リウマチ患者由来滑膜細胞に
おける、L4のIL−12 p70産生抑制効果を示
す。
【図14】 C3H/HeNマウス由来腹腔マクロファージに
おける、L3のIL−12産生抑制効果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徐 和平 イギリス国 スコットランド アバーディ ーン エービー24 1ティーエックス 25 エフ スクール・ロード (72)発明者 宮内 聡 東京都武蔵村山市中央1−122−14 (72)発明者 生沼 明美 東京都日野市程久保2−24−22 (72)発明者 南澤 俊和 埼玉県所沢市東所沢2−8−11 コーポク レマチス2−102

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケラタン硫酸オリゴ糖又はその誘導体を
    有効成分とする、IL−12産生抑制剤。
  2. 【請求項2】 ケラタン硫酸オリゴ糖が、下記式で表さ
    れる二糖のいずれかを繰返し構成単位として少なくとも
    1単位以上含むことを特徴とする、請求項1記載の抑制
    剤。 Gal(6S)-GlcNAc(6S) および Gal(6S)-GlcNAc (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
    チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
    -O-硫酸エステルとなっていることを、-はグリコシド結
    合をそれぞれ表す)
  3. 【請求項3】 ケラタン硫酸オリゴ糖が、下記式(1)〜
    (3)で表されるものから選ばれることを特徴とする、請
    求項2記載の抑制剤。 【化1】 Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S)β1-3Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(1) Gal(6S)β1-4GlcNAc(6S) 式(2) Gal(6S)β1-4GlcNAc 式(3) (式中、Galはガラクトース残基を、GlcNAcはN−アセ
    チルグルコサミン残基を、6Sは6位のヒドロキシル基が6
    -O-硫酸エステルとなっていることを、β1-4はβ1,4グ
    リコシド結合を、β1-3はβ1,3グリコシド結合をそれぞ
    れ表す)
  4. 【請求項4】 ケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体が、ヒド
    ロキシル基におけるアシル化誘導体である、請求項1記
    載の抑制剤。
  5. 【請求項5】 ケラタン硫酸オリゴ糖の誘導体が下記式
    (4)で示されることを特徴とする、請求項1記載の抑制
    剤。 【化2】 (式中、X1〜X5は、それぞれ独立して、水素原子また
    はアシル基であり、X1〜X5の少なくとも一つはアシル
    基であり、Yは水素原子またはSO3Mであり、Mは、
    それぞれ独立して、水素原子、又は電離していてもよい
    1価〜3価の金属もしくは1価〜3価の塩基であり、波
    線で示した結合はα−グリコシド配位またはβ−グリコ
    シド配位を示す。)
  6. 【請求項6】 X1〜X5がいずれも炭素数1〜10のア
    シル基であり、Mがアルカリ金属であることを特徴とす
    る請求項5記載の抑制剤。
  7. 【請求項7】 下記式(4)で示される、ケラタン硫酸オ
    リゴ糖の誘導体。 【化3】 (式中、X1〜X5は、それぞれ独立して、水素原子また
    はアシル基であり、X1〜X5の少なくとも一つはアシル
    基であり、Yは水素原子またはSO3Mであり、Mは、
    それぞれ独立して、水素原子、又は電離していてもよい
    1価〜3価の金属もしくは1価〜3価の塩基であり、波
    線で示した結合はα−グリコシド配位またはβ−グリコ
    シド配位を示す。)
  8. 【請求項8】 X1〜X5がいずれも炭素数1〜10のア
    シル基であり、Mがアルカリ金属であることを特徴とす
    る請求項7記載の誘導体。
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