JP2005088790A - 車両前方視認装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フロントウインドウを通して直接得られる前方視界を遮ることなく車両前方の死角を間接的に視認することができる車両前方視認装置であって、その視認性が高く、且つ、製造コストの低い車両前方視認装置を提供すること。
【解決手段】 車両前方視認装置を、インナーミラーMに配設された主鏡1と、インストルメントパネルPに配設された副鏡2とを備えて構成する。主鏡1を副鏡2よりも後方且つ上方に位置させ、その反射面1aを車両前方斜め下方に向ける。また、副鏡2の反射面2aを車両後方斜め上方に向ける。そして、主鏡1で車両前方からの光線L1を副鏡2方向へ反射させ、副鏡2で主鏡1からの光線L2を運転者HのアイポイントE方向へ反射させる。
【選択図】 図2
【解決手段】 車両前方視認装置を、インナーミラーMに配設された主鏡1と、インストルメントパネルPに配設された副鏡2とを備えて構成する。主鏡1を副鏡2よりも後方且つ上方に位置させ、その反射面1aを車両前方斜め下方に向ける。また、副鏡2の反射面2aを車両後方斜め上方に向ける。そして、主鏡1で車両前方からの光線L1を副鏡2方向へ反射させ、副鏡2で主鏡1からの光線L2を運転者HのアイポイントE方向へ反射させる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、車両前方の死角を間接的に視認するための車両前方視認装置に関する。
自動車その他の車両の前方には、その運転者が直接視認できない領域(死角)が存在することから、とくに車庫入れ時や発進時において安全確認の妨げとなっている。例えば、図3に示す自動車の場合であれば、運転者HのアイポイントEとボンネットA1やインストルメントパネル等とを結んだ直線S(以下、「見切線S」という)よりも下方にある領域(死角S1)は、たとえ自動車の直前であったとしても運転者Hが直接視認することはできない。すなわち、運転者Hは、死角S1にある障害物A2や縁石A3を直接視認することができない。
このような車両前方の死角を解消あるいは低減するための車両前方視認装置として、フロントウインドウ上方に設けられたサンバイザーにフレネルプリズムを装着したものが非特許文献1に開示されている。この車両前方視認装置は、フレネルプリズムを用いて光線を屈折させることで、運転者が直接視認できない領域を間接的に視認するものである。
なお、車両後方を間接的に視認する車両後方視認装置としては、例えば、リアウインドウにプリズムを装着したもの(特許文献1及び特許文献2参照)、リアスポイラーにフレネルレンズを装着したもの(特許文献3参照)、リアスポイラーとリアウインドウとに反射鏡を装着したもの(特許文献4参照)などが知られている。
ベンディングライト社(Bending Light Limited)、"我社の技術(our technology)"、[online]、[平成15年9月3日検索]、インターネット<URL:http://www.bendinglight.co.uk/technology/index.html>
特開平8−2329号公報(第14図)
特開平08−104177号公報(段落[0007]、図1〜図3)
特開平10−194043号公報(段落[0010]〜[0014]、図1〜図4)
特開平9−66772号公報(段落[0012]〜[0026]、図1〜図12)
ところが、非特許文献1に記載された車両前方視認装置は、フレネルプリズムに形成された細かな溝により所望の方向以外から入射した光線が散乱することがあり、その結果、フレネルプリズムの映像にフレアーが発生したり、あるいはフレネルプリズム全体が真っ白になる等、その視認性を著しく悪化させてしまうことがある。なお、入射する光線が散乱して視認性を著しく悪化させるという問題は、フレネルレンズを利用する視認装置にも共通して当てはまる。
また、特許文献1乃至特許文献4に記載された車両後方視認装置を転用して車両前方視認装置とすることも考えられるが、この場合には、当該車両前方視認装置により新たな死角が生じてしまい、フロントウインドウを通して直接得られる前方視界を遮ることになるので妥当でない。
さらに、通常のプリズムを利用した視認装置は、プリズム自体の厚さや重量が嵩むうえに、光線経路設計の制約もあることから、車内の限られたスペースにおいて運転者から見易い位置に設置するのには相当な困難を伴う。
さらに、いずれの視認装置においても運転者の体格や姿勢の違いに対応すべくプリズム等の位置を調整する機構が必要になる上に、通常のプリズムであればその表面の研磨等に手間を要し、フレネルレンズやフレネルプリズムにあってはその加工自体が非常に難しいことから、結局のところ製造コストが非常に高くなってしまい、安価な製品を望む消費者のニーズに対応できないという問題もある。
そこで、本発明は、フロントウインドウを通して直接得られる前方視界を遮ることなく車両前方の死角を間接的に視認することができる車両前方視認装置であって、その視認性が高く、且つ、製造コストの低い車両前方視認装置を提供することを課題とする。
このような課題を解決するためになされた請求項1の発明は、インナーミラーに配設された主鏡と、インストルメントパネルに配設された副鏡とを備える車両前方視認装置であって、前記主鏡は、前記副鏡よりも上方に位置し、その反射面が車両前方斜め下方を向いており、前記副鏡は、その反射面が車両後方斜め上方を向いており、前記主鏡で車両前方からの光線を前記副鏡方向へ反射させ、前記副鏡で前記主鏡からの光線を運転者のアイポイント方向へ反射させることを特徴とする。
かかる車両前方視認装置によると、車両前方からの光線が主鏡と副鏡とを介して運転者のアイポイントへ導かれることになるが、主鏡が運転者の見切線よりも上方に位置するインナーミラーに配設されていることから、車両前方であって運転者の見切線よりも下方にある領域(死角)を間接的に視認することが可能となる。また、インナーミラーに主鏡を配設し、インストルメントパネルに副鏡を配設したので、これらが存在することにより発生する新たな死角が極めて小さい。すなわち、この車両前方視認装置を車室内に設けても、フロントウインドウを通して直接得られる車両前方の視界が遮られることもない。さらに、この車両前方視認装置は、主鏡及び副鏡として通常の反射鏡を用いることができるので、製造コストを低く抑えることが可能であり、また、主鏡及び副鏡を通常の反射鏡で構成した場合には、フレネルレンズやフレネルプリズムで構成したものと異なり、所望の方向以外から入射する光線が散乱することがないので、常に高い視認性を発揮することになる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両前方視認装置であって、前記主鏡は、凸面鏡からなることを特徴とする。
かかる車両前方視認装置によると、主鏡を平面鏡とした場合に比べて、視認可能な領域が大きくなる。すなわち、主鏡を凸面鏡とすれば、その大きさを運転者から見てインナーミラーに隠される程度にした場合であっても、広い視野を確保することが可能となる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の車両前方視認装置であって、前記副鏡は、凸面鏡からなることを特徴とする。
かかる車両前方視認装置によると、副鏡の小型化を図ることが可能となる。また、副鏡を凸面鏡とすると、その結像倍率が小さくなるので、運転者の姿勢や着座位置が変化しても、さらには他の運転者に交代した場合であっても、視野のケラレが生じ難くなる。
請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載の車両前方視認装置であって、前記副鏡の反射面の曲率半径が前記主鏡の反射面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする。
かかる車両前方視認装置によると、広い視野を確保しつつ、高い視認性を実現することが可能となる。すなわち、主鏡の反射面の曲率半径は、広い視野を確保するという観点から小さい方がよく、一方、副鏡の反射面の曲率半径は、主鏡に映り込んだ映像以外のものを映し出さないようにするという観点から大きい方がよいところ、少なくとも副鏡の反射面の曲率半径を主鏡のそれよりも大きくしておけば、広い視野と高い視認性を兼ね備えた視認装置とすることができる。
請求項5の発明は、請求項1または請求項2に記載の車両前方視認装置であって、前記副鏡は、平面鏡からなることを特徴とする。
かかる車両前方視認装置によると、副鏡が平面鏡であるが故にその反射面の映像が主鏡の映像よりも小さくなることがなく、その結果、高い視認性を実現することが可能となる。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両前方視認装置であって、前記主鏡が傾動可能であることを特徴とする。
かかる車両前方視認装置によると、主鏡の反射面の向きを調節することができるので、運転者の姿勢や着座位置が変化しても、さらには他の運転者に交代した場合であっても、常に広い視野と高い視認性を確保することが可能となる。
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の車両前方視認装置であって、前記副鏡が傾動可能であることを特徴とする。
かかる車両前方視認装置によると、副鏡の反射面の向きを調節することができるので、運転者の姿勢や着座位置が変化しても、さらには他の運転者に交代した場合であっても、常に広い視野と高い視認性を確保することが可能となる。
本発明の車両前方視認装置によると、フロントウインドウを通して直接得られる前方視界を遮ることなく車両前方の死角を間接的に視認することができる。さらに、この車両前方視認装置は、主鏡及び副鏡として通常の反射鏡を用いることができるので、製造コストを低く抑えることが可能であり、また、主鏡及び副鏡を通常の反射鏡で構成した場合には、フレネルレンズやフレネルプリズムで構成したものと異なり、所望の方向以外から入射する光線が散乱することがないので、常に高い視認性を発揮することになる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係る車両前方視認装置は、図1に示すように、後方視界を視認するためのインナーミラーMに配設された主鏡1と、インストルメントパネルPに配設された副鏡2とを備えて構成されており、図2に示すように、主鏡1で車両前方からの光線L1を副鏡2方向へ反射させ、副鏡2で主鏡1からの光線L2を運転者HのアイポイントE方向へ反射させるものである。
主鏡1は、図2に示すように、副鏡2よりも後方且つ上方であって運転者Hの見切線Sよりも上方に位置し、その反射面1aが車両前方斜め下方を向いている。主鏡1は、本実施形態では凸面鏡であり、その反射面1aが球面になっている。凸面鏡は、ガラス基板の表面(又は裏面)に反射膜を成膜して形成される。
反射面1aの曲率半径、表面積、光軸方向等は、視野範囲、副鏡2との位置関係、車両の外形等に応じて適宜設定することになるが、少なくとも、副鏡2から反射面1aを見たときに、運転者Hの直接視野の見切線S(図3参照)よりも下方の領域が反射面1aに映り込むように設定する必要がある。また、図4に示すように、より好適には、主鏡1の幅方向の視野範囲V1の中に車両最前部の車幅全体が入るように反射面1aの曲率半径等を設定することが望ましい。このように、反射面1aに車両最前部の車幅全体が映り込むようにしておけば、運転者Hが副鏡2を介して反射面1aを見たときに、この反射面1aに映った障害物等の位置を容易に把握することが可能となる。
また、反射面1aの曲率半径は、広い視野を確保するという観点からすると小さい方がよいが、小さくし過ぎると、反射面1aに映る像が小さくなって視認性が悪化するので、好適には、300〜400(mm)程度とするのがよい。
なお、本実施形態では、主鏡1を凸面鏡で構成し、その反射面1aを球面としたが、これに限定されることはなく、副鏡2から主鏡1の反射面を見たときに、当該反射面に少なくとも見切線S(図3参照)よりも下方の領域が映り込むものであれば、反射面を非球面(放物面、楕円面、その他曲率を連続的に変化させた曲面)としてもよく、さらには、主鏡1を凸面鏡で構成せずに、平面鏡で構成してもよい。
また、図5に示すように、本実施形態に係る主鏡1は、主鏡ハウジング11の前面開口部に嵌め込まれており、主鏡ハウジング11を介してインナーミラーMに傾動自在に取り付けられている。
ここで、インナーミラーMは、フロントウインドウWの上部に接着固定される台座31と、この台座31に突設されたステー32と、このステー32の突端に回動自在に取り付けられたミラーハウジング33と、このミラーハウジング33に保持された後方視認用のミラー34とを備えて構成されている。また、ステー32の基端部分には、車両前方斜め下方に突出する継手32aが形成されている。
主鏡ハウジング11は、インナーミラーMの継手32aに回動自在に取り付けられている。より詳細に説明すると、継手32aは、その突端部分の外面が球面形を呈しており、一方、主鏡ハウジング11の内部には、球面形の内面を有する受座11aが設けられており、この受座11aに継手32aの突端部分を嵌入して結合すると、主鏡ハウジング11が継手32aに対して回動(摺動)自在となり、この主鏡ハウジング11を把持して継手32aを中心として回動(摺動)させると、主鏡1が傾動し、その反射面1aの向きが調節されることになる。
また、図2に示すように、主鏡ハウジング11の外形は、運転者Hから見たときにインナーミラーMの背面に隠れるようなものであることが望ましく、本実施形態では、インナーミラーMのミラーハウジング33の外形よりもやや小さくされている。このようにしておけば、フロントウインドウWを通して直接得られる車両前方の視界が遮られることがなく、さらには、運転者Hに主鏡1の存在を意識させることがないので、車両前方視認装置のない自動車から乗り換えた場合であっても、運転者Hに違和感を与えることがない。
なお、主鏡1の設置位置等は、前記したものに限定されることはなく、適宜変更しても差し支えない。例えば、図6(a)に示すように、インナーミラーMの下部に主鏡1’を配設してもよく、あるいは図6(b)に示すように、インナーミラーMの側部に主鏡1”を配設してもよい。
副鏡2は、図2に示すように、主鏡1よりも前方且つ下方に位置し、その反射面2aが車両後方斜め上方を向いている。副鏡2は、本実施形態では凸面鏡であり、その反射面2aが球面になっている。凸面鏡は、ガラス基板の表面(又は裏面)に反射膜を成膜して形成される。
反射面2aの曲率半径、表面積、光軸方向等は、主鏡1の反射面1aの曲率半径、主鏡1との位置関係、運転者Hとの位置関係等に応じて適宜設定することになるが、図7に示すように、少なくとも、運転者Hから反射面2aを見たときの視野範囲V3の中に主鏡1が入るようにその曲率半径等を設定する必要がある。すなわち、運転者Hから副鏡2の反射面2aを見たときに、反射面2aに主鏡1の反射面1aが映るようにその曲率半径等を設定する必要がある。
また、好適には、運転者Hから副鏡2の反射面2aを見たときの視野範囲V3内に主鏡1の一部が入るように主鏡1の反射面1aおよび副鏡2の反射面2aの曲率半径等を設定し、主鏡1のみかけ上の視野範囲V2’を実際の視野範囲V2よりも狭くするのが望ましい。このようにすると、運転者HのアイポイントEが多少移動しても、副鏡2の反射面2aに主鏡1の反射面1aのみが映し出されることになるので、視野のケラレの発生を防止することができる。
図8(a)を参照してより詳細に説明する。ここで、図8(a)は主鏡1の反射面1aに映り込んだ車両前方の映像を図示したものであり、図中、符号Xは、副鏡2の視野範囲を示している。また、符号A1’はボンネットA1(図3参照)の映像、符号A2’は障害物A2(図3参照)の映像、符号A3’は縁石A3(図3参照)の映像を示している。運転者HのアイポイントE(図7参照)が移動すると、副鏡2の視野範囲Xも上下左右に移動することになるが、副鏡2の視野範囲Xを主鏡1の反射面1aよりも小さくしておけば、運転者HのアイポイントEが多少移動したとしても、副鏡2の反射面2aには主鏡1の反射面1aのみが映し出されることになるので、視野のケラレが生じることがなく、さらには、太陽光等が運転者HのアイポイントE(図7参照)に届くことがない。
また、より好適には、副鏡2の反射面2aに車両最前部の10(m)程度前方までの領域が映るように主鏡1の反射面1aあるいは副鏡2の反射面2aの曲率半径、表面積、光軸方向等を設定することが望ましい。副鏡2の反射面2aに車両最前部の前方10(m)よりも遠方にある領域が映り込まないようにしておけば、対向車のヘッドライトや前方車両のブレーキランプ等が反射面2aへ映り込こんで運転者Hの視界を妨げることがない。例えば、主鏡1の反射面1aに車両最前部の前方10(m)よりも遠方にある領域が映り込まないように反射面1aの曲率半径、表面積、光軸方向等を設定しておけば、副鏡2の反射面2aに車両最前部の前方10(m)よりも遠方にある領域が映り込むことはない。また、主鏡1の反射面1aに車両最前部の前方10(m)よりも遠方にある領域の映像が映っている場合であっても、当該映像が副鏡2の反射面2aに映り込まないように反射面2aの曲率半径、表面積、光軸方向等を設定しておけば、反射面2aに車両最前部の前方10(m)よりも遠方にある領域が映り込むことはない。
また、副鏡2を凸面鏡とした場合に、その反射面2aの曲率半径を小さくすると、視野範囲が広がることから副鏡2の小型化を図ることが可能になるが、その一方で、視野範囲が広がるが故に主鏡1以外のものを映し出す恐れがある。また、反射面2aの曲率半径を小さくすると、その結像倍率が小さくなることから運転者Hの姿勢や着座位置が変化しても、あるいは他の運転者に交代した場合であっても、視野のケラレが生じ難くなるが、その一方で、副鏡2の反射面2aの映像が小さくなることから、視認性を悪化させる恐れがある。したがって、かかる長所短所を考慮して副鏡2の反射面2aの曲率半径を設定する必要があるが、好適には、副鏡2の反射面2aの曲率半径を主鏡1の反射面1aの曲率半径よりも大きくすれば、広い視野範囲と高い視認性を兼ね備えた車両前方視認装置を実現することができる。例えば、主鏡1の反射面1aの曲率半径を300〜400(mm)に設定した場合には、副鏡2の反射面2aの曲率半径を500(mm)以上に設定するのがよく、より好適には、1500〜1800(mm)程度に設定するのがよい。
なお、本実施形態では、副鏡2を凸面鏡で構成し、その反射面2aを球面としたが、これに限定されることはなく、運転者Hから副鏡2の反射面2aを見たときに、反射面2aに少なくとも主鏡1の反射面1aの映像が映るものであれば、反射面2aを非球面(放物面、楕円面、その他曲率を連続的に変化させた曲面)としてもよく、さらには、副鏡2を凸面鏡で構成せずに、平面鏡あるいは凹面鏡で構成してもよい。
また、図9に示すように、本実施形態に係る副鏡2は、副鏡ハウジング21の後面開口部に嵌め込まれており、副鏡ハウジング21を介してインストルメントパネルPに傾動自在に取り付けられている。
ここで、インストルメントパネルPには、その上面に台座41が固定されており、この台座41にはステー42が突設されている。また、ステー42の突端には、継手42aが形成されている。
副鏡ハウジング21は、ステー42の継手42aに回動自在に取り付けられている。より詳細に説明すると、継手42aは、その突端部分の外面が球面形を呈しており、一方、副鏡ハウジング21の内部には、球面形の内面を有する受座21aが設けられており、この受座21aに継手42aの突端部分を嵌入して結合すると、副鏡ハウジング21が継手42aに対して回動(摺動)自在となり、この副鏡ハウジング21を把持して継手42aを中心として回動(摺動)させると、副鏡2が傾動し、その反射面2aの向きが調節されることになる。
そして、以上のように主鏡1および副鏡2を配設すると、図2および図3に示すように、車両前方からの光線L1が主鏡1と副鏡2とを介して運転者HのアイポイントEへ導かれることになる。そして、主鏡1が運転者Hの見切線Sよりも上方に位置するインナーミラーMに配設されていることから、車両前方であって運転者Hの見切線Sよりも下方にある領域(図3中、斜線を付した領域)を間接的に視認することが可能となる。すなわち、運転者Hが副鏡2を視認すると、図8(b)に示すように、運転者Hが直接視認することができない車両前方の障害物A2(図3参照)の映像A2’や縁石A3の映像A3’が副鏡2の反射面2aに映ることになる。
このように、本実施形態に係る車両前方視認装置によると、フロントウインドウWを通して直接得られる前方視界を遮ることなく車両前方の死角S1(図3参照)を間接的に視認することが可能となる。
また、インナーミラーMに主鏡1を配設し(図3参照)、インストルメントパネルPに副鏡2を配設したので、これらが存在することにより発生する新たな死角が極めて小さい。すなわち、この車両前方視認装置を車室内に設けても、フロントウインドウWを通して直接得られる車両前方の視界が遮られることもない。
さらに、この車両前方視認装置は、主鏡1及び副鏡2として通常の反射鏡を用いているので、製造コストを低く抑えることが可能であり、また、フレネルレンズやフレネルプリズムで構成したものと異なり、所望の方向以外から入射する光線が散乱することがない。すなわち、安価でありながらも、常に高い視認性を発揮することができる。
なお、副鏡2の設置位置や取付構造等は、前記したものに限定されることはなく、適宜変更しても差し支えない。例えば、図10および図11に示すように、インストルメントパネルPの前面の傾斜を利用して副鏡2’を配設するとともに、副鏡2’をインストルメントパネルPの内部に格納可能であるように構成してもよい。
ここで、インストルメントパネルPには、副鏡2’を格納する格納凹部P1が形成されており、格納凹部P1の縁部に板状の台座51が回動可能に取り付けられている。また、副鏡ハウジング21’は、台座51に突設されたステー52の継手52aに回動自在に取り付けられている。そして、副鏡2’が使用状態にあるときに台座51(あるいは副鏡ハウジング21’)を把持して車両後方向に回動させると、副鏡2’(副鏡ハウジング21’)が格納凹部P1に格納され、副鏡2’が格納状態にあるときに台座51を把持して車両前方向に回動させて起立させると、副鏡2’(副鏡ハウジング21’)が使用状態に復帰することになる。また、使用状態にあるときに副鏡ハウジング21’を把持して継手52aを中心として回動させると、副鏡2’が傾動し、その反射面2a’の向きが調節される。なお、副鏡2’を台座51に直接固定する構成であってもよい。この場合には、台座51の回動動作により副鏡2’が傾動することになる。
このように副鏡2’をインストルメントパネルPの内部へ格納可能に構成しておけば、通常走行時など車両前方視認装置を使用しないときには、車室内がすっきりとし、さらには、運転者Hに副鏡2’の存在を意識させることがないので、車両前方視認装置のない自動車から乗り換えた場合であっても、運転者Hに違和感を与えることがない。
なお、副鏡2’は、平面鏡で構成してある。このようにすると、その反射面2a’の映像が主鏡1の映像よりも小さくなることがなく、その結果、高い視認性を実現することが可能となる。
また、図示は省略するが、台座51の回動軸にモータを装着し、副鏡2の起立・格納動作を電動としてもよい。さらに、このモータを車速に応じて作動させる構成としてもよい。すなわち、図示しない車速センサを設けておき、当該車速センサで感知された車速が所定の速度以下になったときにモータを作動させて台座51を起立させ、所定の速度以上になったときにモータを逆方向に作動させて台座51を格納させるように構成してもよい。
また、主鏡1および副鏡2の取付構造および傾動機構等も図示のものに限定されることはなく、適宜変更しても差し支えない。
1 主鏡
1a 反射面
2 副鏡
2a 反射面
M インナーミラー
P インストルメントパネル
H 運転者
E アイポイント
S 見切線
1a 反射面
2 副鏡
2a 反射面
M インナーミラー
P インストルメントパネル
H 運転者
E アイポイント
S 見切線
Claims (7)
- インナーミラーに配設された主鏡と、
インストルメントパネルに配設された副鏡とを備える車両前方視認装置であって、
前記主鏡は、前記副鏡よりも上方に位置し、その反射面が車両前方斜め下方を向いており、
前記副鏡は、その反射面が車両後方斜め上方を向いており、
前記主鏡で車両前方からの光線を前記副鏡方向へ反射させ、前記副鏡で前記主鏡からの光線を運転者のアイポイント方向へ反射させることを特徴とする車両前方視認装置。 - 前記主鏡は、凸面鏡からなることを特徴とする請求項1に記載の車両前方視認装置。
- 前記副鏡は、凸面鏡からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両前方視認装置。
- 前記副鏡の反射面の曲率半径が前記主鏡の反射面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両前方視認装置。
- 前記副鏡は、平面鏡からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両前方視認装置。
- 前記主鏡が傾動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両前方視認装置。
- 前記副鏡が傾動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の車両前方視認装置。
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