JP2005087338A - シート用パッドおよびその製造方法 - Google Patents

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裕隆 杉山
Takaaki Hirao
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Abstract

【課題】成形型内に構造を利用して、物性の異なる2種類の発泡体を区切る部材を配置して2種類の発泡体を層状に一体成形し、夫々の発泡体の厚さ等を制御して意図した物性を安定的に発現させるシート用パッドと、これを製造する方法を提供する。
【解決手段】溝部12aを形成するの突条54を設けた成形型50のキャビティ内に、第1の発泡体16となる第1の発泡原料と、該第1の発泡体16とは物性の異なる第2の発泡体18となる第2の発泡原料とを分別的に注入し、物性の異なる2種類の発泡体16、18を層状に一体成形するシート用パッドを、突条54上に関係的に位置し、キャビティ内に展延して、第1の発泡体16および第2の発泡体18の境界となるシート状区画部材20と、この部材20によって区切られたキャビティの内側・外側に夫々成形される第1の発泡体16および第2の発泡体18とから構成する。
【選択図】図1

Description

この発明はシート用パッドの製造方法に関し、更に詳細には、部分的に硬度等の物性が異なる発泡体を積層させることで、座り心地等を良好とした座席用パッドに好適に使用し得るシート用パッドの製造方法に関するものである。
例えば乗用車等の乗員室内に設置されるシート10は、図11に示す如く、乗員の下半身のホールドを図る座部30と、この座部30の後部に傾動可能に設置されて乗員の上半身のホールドを図る背もたれ32と、この背もたれ32の上部に設置されて乗員の頭部を保護するヘッドレスト33とから基本的に構成されている。このうち座部30は、例えば図12(a)に示す形状に発泡成形されたポリウレタン系発泡体のシート用パッド12にファブリックや合成皮革または皮革等の表皮14を貼込んで形成され、また背もたれ32は、図12(b)に示す形状に発泡成形された同じくポリウレタン系発泡体のシート用パッド12にファブリックや合成皮革または皮革の表皮14を貼込んで形成されている。そして座部30のシート用パッド12は、前部サポート部34,後部サポート部36(センターサポート部)および左右のサイドサポート部38,38とに大別され、夫々のサポート部34,36,38の境界部分には表皮14を裏側へ引張固定するための溝部12a,12a,12aが形成されている。また背もたれ32は、上部サポート部40と下部サポート部(「ランバーサポート」と云う)42(センターサポート部)および左右のサイドサポート部44,44とに大別され、夫々のサポート部40,42,44の境界部分には表皮14を裏側へ引張固定するための溝12a,12a,12aが形成されている。
このように座部30と背もたれ32は、その基本的な構造が類似しており、従ってこれらを製造する成形型についても構造は類似しているため、座部30をなすシート用パッド12を製造する成形型50を例に挙げて、好適に使用される成形型について図13を用いて以下説明する。この図13は、座部30をなすシート用パッド12を成形するための発泡成形型の下型を示す平面図(図13(a))と、この下型52および上型53からなる発泡成形型の側断面図(図13(b))である。そして下型52には、シート用パッド12の表面側、すなわち前部サポート部34,後部サポート部36および左右のサイドサポート部38,38との形状に合致するキャビティ51が形成してあり、また溝12a,12a,12aを形成するための突条54,54,54が上方へ突出形成されている。従ってキャビティ51の底面は、これら突条54,54,54により前部サポート部34に対応した前部領域56Aと、後部サポート部36に対応した後部領域56Bと、両側のサイドサポート部28に対応した側部領域56C、56Cに区分形成されている。そして発泡原料を注入した後、下型52および上型53を閉成し、各領域56A、56Bおよび56Cにおいて発泡原料を発泡させることでシート用バッド12が製造される。
このようなシート用パッド12においては、乗員のホールド性、乗り降り容易性その他各種要望等の点から、シート用パッド12の硬度等の物性を、その厚さ方向において部分的に異なるように構成する方法が好適に採用されている。そしてこのように部分的に硬度等の物性の異なるシート用パッド12を製造する手段として、以下の方法が挙げられる。
(1)下記の[特許文献1]に記載の発明「クッション材の製造方法」の如く、成形型内に物性の異なる2種類のポリウレタン系発泡体となる2種類の発泡原料を異なる部位から夫々分けて注入し、これらから形成される異なる物性を有するポリウレタン系発泡体を一体的に発泡成形させてシート用パッドを製造する。
(2)一方の発泡原料から予め所定形状に発泡成形された一種類のポリウレタン系発泡体を成形型内の所定位置に配置した後、その成形型内に異なる物性を発現する他方の発泡原料を注入・発泡させて、異なる物性を有するポリウレタン系発泡体をポリウレタン系発泡体に一体的に成形してシート用パッドとする。
(3)所要の成形型等を使用して2種類の発泡原料から予め2種類のポリウレタン系発泡体所定形状に発泡成形し、これを接着剤等によって一体化してシート用パッドとする。
(4)本願出願人が案出した[特許文献2]に記載の発明「異硬度クッション体の成形型および異硬度クッション体の製造方法」の如く、成形体内に設けた棒状体によって、上方が開口してその縁に孔部の形成され、その端を成形型のパーティング面で挟持しないようにキャビティ内に保持されているプラスチックフィルム製の袋の内部および外部に、異なる発泡原料を注入することで、異なる物性を有するポリウレタン系発泡体からなるシート用パッドを成形する。
特開2002−52550号公報 特開平9−509118号公報
しかし、前述の(1)〜(4)の各製造方法の場合、以下の問題が指摘される。すなわち、
(1)2種類の発泡原料が略同時に注入されるため工程に煩雑さはないが、注入直後における発泡原料の低い粘度故に双方の発泡原料が混合してしまう。このため、2種類の発泡原料から夫々得られる2種類のポリウレタン系発泡体の境界を設定し得ず、また発泡させるべき容積および発泡倍率から予め注入量を制御した場合であっても、明確な境界を形成できない。このような状態においては、異なる物性を発現する2種類のポリウレタン系発泡体の厚さ等を制御し得ないため、製造されるシート用パッドの物性が部位によってぱらついてしまう問題が発生する。
(2)予め発泡成形され、成形型内に配置された一方のポリウレタン系発泡体の表面に対して、他方のポリウレタン系発泡体となるべく注入された他方の発泡原料が含浸してしまい、シート用パッドを構成する2種類のポリウレタン系発泡体の間にソリッド状態の硬い層が形成されてしまう。このため、得られるシート用パッドは乗員に違和感を与えてしまう。また予め成形型内に配置されたポリウレタン系発泡体を、別途に製造すしておく必要があるため製造工程が煩雑になる。
(3)予め発泡成形された2種類のポリウレタン系発泡体を接着する接着剤が、これら2種類のポリウレタン系発泡体に対して含浸して、その間でソリッド状態の硬い層を形成してしまうため、前述の(2)と同様の問題を内在することになる。また(2)と同様に、2種類のポリウレタン系発泡体を個別に製造するため、製造工程が煩雑になる。
(4)異なる物性を発現する2つのポリウレタン系発泡体の配置位置については好適な制御が可能であるが、プラスチックフィルム製の袋の内部に注入される発泡原料が発泡硬化する以前に異なる発泡原料が注入された場合には前述の(1)と同様の問題が、発泡硬化後に注入された場合には前述の(2)と同様の硬い層の問題が夫々顕在化してしまう。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係るシート用パッドは、シート用パッドに所要の溝部を形成するための突条を設けた成形型のキャビティ内に、第1の発泡体となる第1の発泡原料と、該第1の発泡体とは物性の異なる第2の発泡体となる第2の発泡原料とを分別的に注入することで、物性の異なる2種類の発泡体を層状に一体成形してなるシート用パッドにおいて、
前記突条上に関係的に位置し、前記キャビティ内に展延して、前記第1の発泡体および第2の発泡体の境界となるシート状区画部材と、
前記シート状区画部材によって区切られたキャビティの内側に画成される第1領域に注入した第1の発泡原料からなる第1の発泡体と、
前記シート状区画部材によって区切られたキャビティの外側に画成される第2領域に注入した第2の発泡原料からなる第2の発泡体とから構成したことを特徴とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願の別の発明に係るシート用パッドの製造方法は、シート用パッドに所要の溝部を形成するための突条を設けた成形型のキャビティ内に、第1の発泡体となる第1の発泡原料と、該第1の発泡体とは物性の異なる第2の発泡体となる第2の発泡原料とを分別的に注入することで、物性の異なる2種類の発泡体を層状に一体成形するようにしたシート用パッドの製造方法において、
前記突条上に所要の素材からなるシート状区画部材を関係的に位置させて、該シート状区画部材を前記キャビティ内に展延させ、
前記キャビティにおけるシート状区画部材の内側に画成される第1領域に第1の発泡原料を注入・発泡させると共に、該シート状区画部材の外側に画成される第2領域に第2の発泡原料を注入・発泡させるようにしたことを特徴とする。
以上説明した如く、本発明に係るシート用パッドおよびその製造方法によれば、シート用パッドを製造する成形型内に構造上存在する突条等を用いると共に、シート状区画部材を使用してキャビティ内を層状に区分し、区分された部分に異なる発泡原料を注入して異なる物性を発現する発泡体を夫々成形するようにしたので、この発泡体の物性および形状を制御下において、意図する物性を発現し得るシート用パッドを安定的かつ容易に製造し得る。またシート状区画部材を境界として利用することで、物性の異なる発泡体間に硬度等に悪影響を与える層の形成をなくし、より安定した物性を発現するシート用パッドの製造が可能となっている。更に成形型を傾斜させることにより、異なる発泡原料の注入を同時にかつ効率的になし得るため、製造コストの低減の効果も奏する。
次に本発明に係るシート用パッドおよびその製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、図11〜図13を参照して説明した従来技術で既出の同一部材については、同じ符号を付して示し、その詳細説明は省略する。また前述の如く、シート10において座部30または背もたれ32を構成するシート用パッド12の構造は類似しているので、座部30をなすシート用パッド12を例に挙げて説明するものとする。
実施例に係るシート用パッド12は、図1に示す如く、シート用パッド12において乗員が着座する側をなす第1の発泡体16と、この第1の発泡体16の下側に所要の素材からなるシート状区画部材20を境界Pとして積層的に一体化した第2の発泡体18とから構成される。図1は、シート用パッド12を示す斜視図(図1(a))と、このパッド12の側断面図(図1(b))である。ここで第1の発泡体16および第2の発泡体18としては、通常のシート用パッド12の製造に好適に採用されるポリウレタン系発泡体の使用が好適であり、製造されるシート用パッド12の用途によって、例えば硬度、反発弾性率その他諸物性が異なる発泡体となるように組成等が設計されている。
図2および図3に示したシート用パッド12を成形する成形型50は、基本的に図11に示した成形型50と同様であり、シート用パッド12の外形を成形する下型52と、この下型52を制御下に密閉する上型53とから構成される。ここで図2は、座部30をなすシート用パッド12を成形するための成形型50の下型52に、シート状区画部材20を配置した状態を示す斜視図であり、図3は、下型52にシート状区画部材20を配置した状態の平面図(図3(a))と、この下型52および上型53からなる成形型50内にシート状区画部材20を配置した状態の側断面図(図3(b))である。そして溝12a,12a,12aを形成する突条54,54,54の上にシート状区画部材20を関係的に位置させる。ここで関係的に位置させるとは、突条54,54,54で囲繞され、かつ突条54の高さより低い部分をその他の部分から区分して第1領域22を画成するようにシート状区画部材20が配置されていることを意味する。従って第1領域22は、後部サポート部36に対応した後部領域56Bにおいてシート状区画部材20が配置された下側の領域に相当し、それ以外の後部領域56Bと、前部サポート部34に対応した前部領域56Aと、左右のサイドサポート部28に対応した2つの側部領域56C、56Cとを併せた部分が第2領域24と呼称されている。なお本発明において、第1領域22が画成されるシート状区画部材20の内側とは、後述する突条54と、成形型50の内表面50aと、シート状区画部材20とによって画成される領域を指し、また第2領域24が画成されるシート状区画部材20の外側とは、キャビティ51における第1領域22以外の領域を指している。
シート状区画部材20は、第1領域22と第2領域24との間、すなわち第1の発泡体16および第2の発泡体18の境界Pを設定し、かつ保持するための部材である。そして本発明においてシート状区画部材20は、シート用パッド12を成形する成形型50における下型52に、溝12aを形成するため突出形成されている突条54上に位置するように、キャビティ51内に展延されている。そして本実施例においてシート状区画部材20は、後部領域56Bを区分するように三方に突出形成されている突条54,54,54によって形成される略コ字状部分を上方から覆って第1領域22を画成するように構成され、かつ第1の発泡体16および第2の発泡体18を区切る境界Pが平坦面となるよう、すなわちシート状区画部材20がキャビティ51に対して水平に展延するように配置されている。なおシート状区画部材20および突条54には、シート状区画部材20を突条54上に固定的に配置し得るように、夫々に複数の固定孔20aおよび複数の突起54aが対応的に設けられている。
ここでシート状区画部材20は、後部領域56Bの後方部分が開口するように配置されている。この開口部分において発泡途上の第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2が混じり合ってしまう虞があるが、この部分は座部30を構成するシート用パッド12の最後部近傍に位置するため、座り心地等に影響を与えることはない。また反対に、第1領域22を完全に密封するようにしてもよく、そして密封する配置の場合、密封された第1領域22に第1の発泡原料M1の注入により排出される空気の抜孔を別途成形型50に設ける必要がある。
シート状区画部材20は、前述の如く、シート用パッド12を構成する第1の発泡体16および第2の発泡体18が、境界Pにおいて形成すべき外部輪郭形状を規定する部材でもある。このため第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の発泡による体積膨張によって変形しない剛性と、発泡中の原料M1およびM2が透過させない透過性とが求められる。従って所定の形状を保持し得る剛性を、素材(材質)的に達成するまたは張力を掛ける等することで構造的に達成すると共に、透過性を殆ど有さない、例えば各種織布、フェルト等の不織布や、所謂ブラスチックダンボール等を素材としたシート状物が好適に使用される。殊にシート状区画部材20の素材として、所定の形状を保持し得る剛性を素材(材質)的に発現し得る物質を採用する場合、その形状を突条54上に水平に展延する平坦な板状以外の様々な形状、例えば所要の波状とすることも可能である。これは、シート用パッド12を構成する第1の発泡体16および第2の発泡体18の境界Pの形状を水平以外の任意の形状に設定し得ることを意味し、第1の発泡体16および第2の発泡体18の物性の違いを利用したシート用パッド12の機能性を大きく拡大し得るものである。なお、所定の形状を保持し得る剛性を、素材(材質)的に達成し得る物質は、基本的にその硬度も高い場合が多いため、シート状区画部材20の厚さについては第1の発泡体16および第2の発泡体18の異なる物性の発現を阻害しないように、必要とされる剛性を発現し得る条件の下で最大限薄くすることが好ましい。
またシート状区画部材20に所定の形状を保持し得る剛性を持たせる手段として、シート状区画部材20に対して充分な張力を掛けた状態で、突条54上に位置させる方法も有効である。具体的には図4に示す如く、シート状区画部材20として、発泡中の原料M1およびM2が透過しない程度の透過性を発現するメッシュ構造のシート(図4(a)参照)や、厚さが薄く所要の伸びを発現し得るソリッドシート(図4(b)参照)等を使用し、かつ突起54aとしてその先端が尖ったピン状部材を利用してシート状区画部材20を引っ掛ければよい。これは、素材的または厚さが薄く充分な剛性を発現し得ない物質であっても、シート状区画部材20として採用し得ることを意味する。そしてこの場合、シート状区画部材20に充分な張力を掛けるようにして突起54aに引っ掛けることで、シート状区画部材20の配置が完了するため、シート状区画部材20の材料コストや重量の低減、更には製造時における煩雑さも解消し得る利点がある。
なおシート状区画部材20の素材としては、第1の発泡体16および第2の発泡体18の双方に接触しつつ、かつ双方の発泡体16および18を強固に固定して一体化させる必要性もあるため、これら双方の発泡体16および18をなす発泡体素材との接着性が高いものが好適である。例えば第1の発泡体16および第2の発泡体18として、ポリウレタン系発泡体が採用される場合には、同系統のポリウレタン系樹脂等が好適である。反対にポリウレタン系発泡体に対して、ホリプロピレン(PP)等のプラスチックダンポールを用いた場合は非接着性を発現するため、第1の発泡体16および第2の発泡体18の積層一体化を強固になしえるといった観点からは好ましくない。この場合、シート状区画部材20に対して、接着性を高めるためのプライマー処理や、表面粗さを高める等の表面処理が実施される。
(製造方法について)
次に本実施例に係るシート用パッドの製造方法を以下に説明する。なお、シート用パッド12を製造する成形型50、この成形型50に注入されて第1の発泡体16および第2の発泡体18をなす第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2は準備され、成形型50を構成する下型52および上型53は開放状態にあり、キャビティ51は開放されているものとする。
実施例に係るシート用パッド12の製造工程は、図5に示す如く、シート状区画部材配置工程S1、発泡原料注入・発泡工程S2および脱型工程S3とから基本的に構成される。ここでシート状区画部材配置工程S1は、開放状態にあるキャビティ51内の突条54上に第1領域22を画成すべくシート状区画部材20を配置する工程である。そして発泡原料注入・発泡工程S2は、第1領域22および第2領域24に分別的に第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2を注入し、成形型50を閉成して発泡させる工程である。最後に実施される脱型工程S3は、第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2から得られた第1の発泡体16および第2の発泡体18からなるシート用パッド12を、成形型50内から脱型する工程である。
シート状区画部材配置工程S1は、成形型50における前方および左右方向を塞いで後部領域56Bを画成している突条54、54、54上にシート状区画部材20を配置して第1領域22の画成を実施する工程である。実施例では、上方から観察した際に突条54が、所謂H字状に存在し、前部領域56A、後部領域56Bおよび2つの側部領域56C、56Cを夫々画成する例を挙げているが、以下のような態様も考えられる。すなわち、(1)図6に示す如く、突条54が、成形型50の前後方向に延在し、成形型50を左右に区切るように2つ存在し、前部領域56Aおよび後部領域56Bからなる中央領域56ABと、2つの側部領域56C、56Cとが画成されている。シート状区画部材20は、突条54に対して前述の実施例と同様の方法で固定され、これにより第1領域2が画成される。この場合、成形型50内にシート状区画部材20が配置されると、中央領域56ABの前方部分および後方部分が開口し、この部分で発泡途上の第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2が混じり合ってしまう虞があるが、この部分は座部30を構成するシート用パッド12の最前部および最後部近傍に位置するため、座り心地等に影響を与えることはない。
(2)図7に示す如く、突条54が、成形型50の左右方向に延在し、成形型50を前後に区切るように存在し、前部領域56Aおよび後部領域56Bだけが画成されている。シート状区画部材20を、突条54に対して前述の実施例と同様の方法で固定すると共に、成形型50の内表面50aの所定部位に対して、シールまたはヒモ等の固定部材20bにより貼着するまたは対応的に設けた部分等(図示せず)に引っ掛ける等の手段で固定し、これにより第1領域22を画成する。この場合、成形型50内にシート状区画部材20が配置されると、後部領域56Bの後方部分だけでなく後部領域56Bの両側方部分においても、発泡途上の第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2が混じり合ってしまう虞があるが、この部分は座部30を構成するシート用パッド12においては、直接着座する部分ではないため、座り心地等に影響を与えることはない。なお固定部材20bについては、シート状区画部材20と一体的に配した形態でも、別体とした形態の何れでも問題はない。
発泡原料注入・発泡工程S2において成形型50は、図8に示す如く、第1の発泡体16および第2の発泡体18の発泡方向を考えて、すなわちシート状区画部材20の配置により開口している後部領域56Bの後方部分が上方側に位置するように、所定角度傾斜させた状態に維持される。そして第1領域22においては、傾斜された成形型50で上方側に位置する後部領域56Bの後方部分から第1の発泡原料M1が注入される(図8(a)参照)。このようにされることで、第1の発泡原料M1は、第1領域22内に空気を残留させることなく好適にかつ効率的に注入され、すなわち第1の発泡原料M1の注入前に第1領域22内に存在した空気は効率的に成形型50の外部に排出されることになる(図8(b)参照)。また第2領域24への第2の発泡原料M2の注入は、上型53を介して傾斜した成形型50における下方部から実施される(図8(a)参照)。これは第2の発泡原料M2が発泡するに従って、下方から上方にライズするため、注入や第2領域24に存在する空気の排出の点で効率がより高くなるためである。しかし、第1の発泡原料M1と違い、第2領域24の上方であれば、何れの部位からでも注入は可能である。
そして閉成された成形型50には、所定の条件下で加熱等が実施され、第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の発泡・硬化がなされ、シート状区画部材20を介して層状に一体化した第1の発泡体16および第2の発泡体18とされる。このとき、第1の発泡体16および第2の発泡体18がポリウレタン系発泡体等である場合、接着剤としての側面も有するため、シート状区画部材20との一体化については含浸による弊害が発生することもなく好適になされる。また第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の発泡によって、シート状区画部材20、すなわち境界Pは変動することなく保持されるため、厚さは安定した状態で第1の発泡体16および第2の発泡体18が成形され、これにより意図した物性を安定的に達成し得る。なお、注入される第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の注入量については、第1の発泡体16および第2の発泡体18が夫々成形される第1領域22および第2領域24の体積と、第1の発泡体16および第2の発泡体18の発泡倍率等とによって予め計算された最適となるように設定される。また第1の発泡原料M1および第2の発泡原料M2の注入速度等の条件は、従来のシート用パッドの製造方法に準じる。
このようにして製造されるシート用パッド12は、厚さ方向に物性の異なる2種類の発泡体が層状に一体化した構造となっているので、一種類の発泡体だけでは発現させ得ない特徴ある物性を獲得し得る。例えば第1の発泡体16の硬度を低くし、かつ第2の発泡体18の硬度を高く設定した場合、所謂初期乗り心地を向上させた高級車に好適なシート用パッド12の製造が可能となり、第1の発泡体16の反発弾性率を低くし、かつ第2の発泡体18の反発弾性率を高く設定した場合、初期反発が抑制されホールド性が向上したスポーツ車に好適なシート用パッド12の製造が可能となる。この他、シート状区画部材20の配置位置を適宜設定し、必要とされる部位以外の密度を低く設定することで、シート用パッド12の軽量化や原価低減も可能である。
(別の実施例)
前述の実施例では、第1領域22を単一の部材で覆うシート状区画部材20を使用した例を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば図9に示す如く、その一部が重複するように配置される少なくとも2つ以上の分割部材21、21から構成されるシート状区画部材20を採用することも可能である(図9(a)参照)。この場合、分割部材21、21が重複する部分Sを強制的に開口させることで、この部分Sから第1の発泡原料M1の注入が可能となる(図9(b)参照)。このため前述の実施例のように、第1の発泡原料M1の注入位置が限定される、成形型50における突条54の配置位置、すなわちシート用パッド12の各領域配置や、工程設計等の自由度を向上させる効果が期待できる。また、このような分割部材21、21からなるシート状区画部材20を使用した場合、その重複部分Sは第1の発泡原料M1の発泡の体積膨張に伴って強制的に閉成した状態に移行させられるため、第1の発泡原料M1が重複部分Sから漏出することもない(図9(c)参照)。なお図9において、成形型50は水平状態とされ、また第1の発泡原料M1の注入の様子だけを示すようにしている。この他、図10に示す如く、第1の発泡原料M1を注入する部分だけが、例えば円形に重複するようになっている分割部材21、21からなるシート状区画部材20も採用可能である。
この発明は、従来技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、シート用パッドを製造する成形型内に構造を利用して、異なる物性を備える2種類の発泡体を区切る区画部材を配置し、これにより2種類の発泡体を層状に一体成形するようにしたので、夫々の発泡体の厚さ等の形状を制御して意図した物性を安定的に発現させるシート用パッドと、このシート用パッドを好適に製造する方法を提供できる。
本発明の好適な実施例に係るシート用パッドを示す図であって、(a)は一部切り欠いて概略的に示す斜視図であり、(b)は(a)のb−b線断面図である。 実施例に係るシート用パッドを好適に成形する成形型を開放状態で示す斜視図である。 実施例に係るシート用パッドを成形する成形型の概略図であって、(a)は下型を平面状態で示す図であり、(b)は(a)のb−b線断面図である。 シート状区画部材を表す図であって、(a)はメッシュ構造のシートを採用した場合を示す概略斜視図であり、(b)はソリッドシートを採用した場合を示す概略斜視図である。 実施例に係るシート用パッドの製造方法を示す工程図である。 突条により、中央領域と、2つの側部領域とが画成されている成形型を使用する場合におけるシート状区画部材の配置状態を示す斜視図である。 突条により、前部領域および後部領域だけが画成されている成形型を使用する場合におけるシート状区画部材の配置状態を示す斜視図である。 実施例に係るシート用パッドの製造方法を段階的に示す状態図である。 別の実施例に係るシート用パッドを成形する成形型と、シート状区画部材との状態を示す断面図である。 重複する部分が円形となっているシート状区画部材を示す概略斜視図である。 一般的な車両用シートの概略斜視図である。 従来のシート用パッドの説明図であって、(a)は座部に係る概略斜視図であり、(b)は背もたれに係る概略斜視図である。 従来技術に係るシート用パッドを成形する成形型の概略図であって、(a)は下型を平面状態で示す図であり、(b)は(a)のb−b線断面図である。
符号の説明
12 シート用パッド
12a 溝部
16 第1の発泡体
18 第2の発泡体
20 シート状区画部材
22 第1領域
24 第2領域
21 分割部材
50 成形型
50a 内表面
51 キャビティ
54 突条
M1 第1の発泡原料
M2 第2の発泡原料
P 境界
S 重複した部分

Claims (8)

  1. シート用パッド(12)に所要の溝部(12a)を形成するための突条(54)を設けた成形型(50)のキャビティ(51)内に、第1の発泡体(16)となる第1の発泡原料(M1)と、該第1の発泡体(16)とは物性の異なる第2の発泡体(18)となる第2の発泡原料(M2)とを分別的に注入することで、物性の異なる2種類の発泡体(16,18)を層状に一体成形してなるシート用パッドにおいて、
    前記突条(54)上に関係的に位置し、前記キャビティ(51)内に展延して、前記第1の発泡体(16)および第2の発泡体(18)の境界(P)となるシート状区画部材(20)と、
    前記シート状区画部材(20)によって区切られたキャビティ(51)の内側に画成される第1領域(22)に注入した第1の発泡原料(M1)からなる第1の発泡体(16)と、
    前記シート状区画部材(20)によって区切られたキャビティ(51)の外側に画成される第2領域(24)に注入した第2の発泡原料(M2)からなる第2の発泡体(18)とから構成した
    ことを特徴とするシート用パッド。
  2. 前記シート状区画部材(20)は、所要の形状保持性を備える素材からなり、前記2種類の発泡原料(M1,M2)が発泡する際の体積膨張によっても、異なる物性を備える2種類の発泡体(16,18)の境界(P)を保持し得る請求項1記載のシート用パッド。
  3. 前記シート状区画部材(20)は、前記第1領域(22)を画成する前記突条(54)および/または成形型(50)の内表面(50a)の所定位置に固定されることで、所定の張力が掛けられて、前記2種類の発泡原料(M1,M2)が発泡する際の体積膨張によっても、異なる物性を備える2種類の発泡体(16,18)の境界(P)を保持し得る請求項1記載のシート用パッド。
  4. 前記シート状区画部材(20)は、その一部が重複するように配置される少なくとも2つ以上の分割部材(21,21)から構成されている請求項3記載のシート用パッド。
  5. 前記シート状区画部材(20)は、発泡途上にある前記2つの発泡原料(M1,M2)の通過を許容し得ない程度の通気性を備えている請求項1〜4の何れかに記載のシート用パッド。
  6. シート用パッド(12)に所要の溝部(12a)を形成するための突条(54)を設けた成形型(50)のキャビティ(51)内に、第1の発泡体(16)となる第1の発泡原料(M1)と、該第1の発泡体(16)とは物性の異なる第2の発泡体(18)となる第2の発泡原料(M2)とを分別的に注入することで、物性の異なる2種類の発泡体(16,18)を層状に一体成形するようにしたシート用パッドの製造方法において、
    前記突条(54)上に所要の素材からなるシート状区画部材(20)を関係的に位置させて、該シート状区画部材(20)を前記キャビティ(51)内に展延させ、
    前記キャビティ(51)におけるシート状区画部材(20)の内側に画成される第1領域(22)に第1の発泡原料(M1)を注入・発泡させると共に、該シート状区画部材(20)の外側に画成される第2領域(24)に第2の発泡原料(M2)を注入・発泡させるようにした
    ことを特徴とするシート用パッドの製造方法。
  7. 前記成形型(50)は、少なくとも前記第1領域(22)に対して第1の発泡原料(M1)を注入させるに際して、所定角度傾斜させられる請求項6記載のシート用パッドの製造方法。
  8. 前記シート状区画部材(20)として、その一部が重複するように配置される少なくとも2つ以上の分割部材(21,21)が使用されると共に、前記第1領域(22)に対する第1の発泡原料(M1)の注入は、重複した部分(S)を開口状態として実施するようにした請求項6または7記載のシート用パッドの製造方法。
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KR101738021B1 (ko) 2011-09-08 2017-05-19 현대자동차주식회사 차량 시트용 이경도 패드

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