JP6787746B2 - ダクト入りシートパッド及びその製造方法 - Google Patents
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また、ダクトがソリッド樹脂からなり、それなりに重い。近年は燃費の向上等でより一層の軽量化に応えていかねばならない動きがあり、ダクトにも軽量化への期待がある。
請求項5に記載の発明の要旨は、エア導入部が設けられると共にダクト経路にエア噴出口が設けられた配風用ダクトを、発泡成形型にセットし、次いで、発泡原料の注入及び型閉じを経て、該ダクトを埋設一体化するパッド本体を発泡成形し、その発泡成形で、乗員当接側のパッド本体表面に形成する窪みを前記エア噴出口に合わせて空気吹出口にするダクト入りシートパッドの製造方法であって、前記ダクトのダクト壁を、内側層が独立気泡構造の熱可塑性樹脂製発泡体にして、外側層が連続気泡構造の発泡体又は不織布からなる多孔質体の積層構造として、該ダクトを発泡成形型にセットし、その後の前記パッド本体の発泡成形で、発泡原料の一部が、該ダクトと接するダクト外面を越えて、前記多孔質体に係る発泡体の気泡内又は不織布の該不織布を構成する繊維間内へ浸入し、硬化することを特徴とするダクト入りシートパッドの製造方法にある。請求項6の発明たるダクト入りシートパッドの製造方法は、請求項5で、多孔質体を熱可塑性樹脂製とし、さらに一対の樋状半割部材を接合一体化して前記ダクトを形成した後、該ダクトを前記発泡成形型にセットすることを特徴とする。請求項7の発明たるダクト入りシートパッドの製造方法は、請求項5又は6で、内側層の発泡体と前記外側層の多孔質体とを同一の熱可塑性樹脂製からなる前記ダクトとし、該ダクトを前記発泡成形型にセットすることを特徴とする。請求項8の発明たるダクト入りシートパッドの製造方法は、請求項5〜7で、ダクトが、水平方向に配設される部位で、その横断面形状を横幅よりも縦幅が小さい扁平形にして、且つその横幅方向中央部分に流路内へ向かう凹みが形成されたダクトとし、該ダクトを前記発泡成形型にセットすることを特徴とする。請求項9の発明たるダクト入りシートパッドの製造方法は、請求項5〜8で、ダクト用のシート状素材から一対の樋状部材に成形し、次に、一方の樋状部材に前記エア噴出口用孔を設けて一の半割部材とし、該一の半割部材と他方の樋状部材を構成する他の半割部材を接合一体化して前記ダクトに形成した後、該ダクトを前記発泡成形型にセットすることを特徴とする。請求項10の発明たるダクト入りシートパッドの製造方法は、請求項9で、前記一方の樋状部材に前記エア噴出口用孔を設けて一の半割部とするのに代えて、一方の樋状部材に前記エア噴出口用孔を設けると共にその一側に開口用樋状部を形成して一の半割部にし、且つ前記他の半割部にも該開口用樋状部との対向部位に開口用樋状部を形成して、両半割部の接合一体化により両開口用樋状部で前記エア導入口を設けるようにしたことを特徴とする。
(1)実施形態1
図1〜図12は本発明のダクト入りシートパッド(以下、単に「シートパッド」ともいう。)及びその製造方法の一形態で、図1はシートパッドの平面図、図2は図1のII-II線矢視図、図3は図1のIII-III線矢視図、図4は図1のIV-IV線矢視図、図5は図4の部分拡大図、図6は図5に代わる別態様図、図7は(イ)が樋状部材の断面図、(ロ)が半割部材の断面図である。図8は(イ)が図5のエア噴出口周りの断面図、(ロ)が他態様図、(ハ)は(ロ)の短筒部付きダクトを下型にセットした断面図、図9は型開状態で発泡原料を注入している発泡型の説明断面図、図10は型閉じし、発泡成形に向かう発泡型の説明断面図、図11は発泡成形を終えた説明断面図、図12は(イ)が図10の隆起部周りの拡大図、(ロ)が(イ)から発泡原料が多孔質体へ浸入している説明図を示す。尚、各図は図面を判り易くするためダクト3等の要部を強調図示し、本発明と直接関係しない部分を省略する。凹みは図3、図4にのみ示す。
ダクト入りシートパッド1は、背もたれ用のバックパッドや着座した乗員の下半身を受け支えるクッションパッドで、本実施形態は図1のような車両前部クッションパッドに適用する。クッションパッドに表皮を被せてシートクッションの形にすれば、公知のバックパッドに表皮を被せたバックレストと公知のヘッドレストとで車両用座席シートを形成する。
ダクト入りシートパッド1は、パッド本体2とダクト3とを具備する。
ダクト3は、基部3K及び各ダクト部3Dがシートパッド裏面1b側で水平方向に配設される(図2,図3)。ダクト部3Dは断面形状が円形でなく、その水平方向に配設される部位で、横断面形状を横幅3Yよりも縦幅3Tが小さい扁平状の中空オーバル形とする(図4)。軽量化で厚みhが減少化傾向にあるシートパッド1で、ダクト部縦幅3Tをできるだけ小さくし、パッド本体2のクッション性厚み幅を大きく確保する。
ダクト3の外側層3Bとなる多孔質体の不織布3B2を構成する樹脂には、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ナイロン,PET等がある。不織布3B2は、接着剤を使用して繊維相互間を接着したものや、熱可塑性合成繊維を用いて、熱処理により繊維相互を融着させたもの等が存在する。不織布3B2に代えて多孔質体が連続気泡構造の発泡体3B1の場合、該発泡体を構成する樹脂には、発泡ウレタン,発泡ポリエチレン等がある。独立気泡構造の発泡体を圧縮して連続気泡構造とすることもできる。内側層3Aを構成する発泡体に加え、外側層3Bを構成する多孔質体も発泡ポリエチレン等の熱可塑性樹脂製であると、樋状部材41,51が真空成形し易くなりより好ましくなる。内側層3Aを構成する発泡体と外側層3Bを構成する多孔質体が同一の熱可塑性樹脂製であれば、樋状部材41,51の真空成形がさらに容易になり一層好ましくなる。
ダクト入りシートパッド1は、前記ダクト3と発泡成形型7とを用いて、ダクト3を発泡成形型7にセットし、次いで、発泡原料gの注入及び型閉じを経て、ダクト3を埋設一体化するパッド本体2を発泡成形して得られる。エア導入口31が設けられると共にダクト経路にエア噴出口32が設けられた配風用ダクト3を発泡成形型7にセットし、パッド本体2の発泡成形で、乗員当接側のパッド本体表面2aに形成する窪み21をエア噴出口32に合わせて空気吹出口210にするダクト入りシートパッド1を造る。
次に、前記シート状素材を、真空成形(又は圧空成形)によって、内側層3Aが熱可塑性樹脂製発泡体で、外側層3Bが不織布3B2になる図7(イ)の樋状部材41,51に成形する。流路形成用凹所410,510をつくる樋状部材41,51の両側縁には、図示のような鍔部4b,5bが設けられる。続いて、一方の樋状部材51にエア噴出口用孔52を設けて一の半割部材5とし、他方の樋状部材41にエア導入口用孔42を設けて他の半割部材4とする。しかる後、両半割部材4,5の鍔部4b,5bを接合一体化してダクト3を形成する。本ダクト3がソリッド樹脂と違って柔軟性があり、パイプ状ダクトの状態下で、エア導入口31,エア噴出口32を設けるのは至難である。そこで、シート部材から成形された樋状部材41,51に、エア導入口用孔42,エア噴出口用孔52を設けて半割部材4,5にし、その後、両半割部材4,5を接着する。図7(ロ)のごとく、凹所510を下方に向け、エア噴出口用孔52を設けた樋本体5aの両側縁に延びる鍔部5bと、凹所410を上方へ向け、エア導入口用孔42を設けた樋本体4aの両側縁に延びる鍔部4bとを接着してダクト3を完成させる。ダクト3になった段階で、エア噴出口用孔52がエア噴出口32に、エア導入口用孔42がエア導入口31になる。
ダクト3には、水平方向に配設される基部3K及びダクト部3Dの部位で、横断面形状を横幅3Yよりも縦幅3Tが小さい扁平形にして、且つその横幅方向中央部分に流路u内へ向かう凹み36が適宜形成される(図4,図9)。
まず、発泡成形型7を図9の型開状態とする。この型開状態下の下型8に、ダクト3をその裏面側が上向くようにセットする。外側層3Bの多孔質体たる不織布3B2(又は連続気泡構造の発泡体3B1)を熱可塑性樹脂製とし、一対の樋状半割部材4,5を接合一体化して形成したダクト3を下型8にセットする。ダクト3にはエア導入口31がシールテープで塞ぐ前処理がなされている。外側層3Bの不織布3B2(又は連続気泡構造の発泡体3B1)は、内側層3Aの独立気泡構造の熱可塑性樹脂製発泡体と同じ熱可塑性樹脂であればより好ましい。
下方側へ向けた各エア噴出口32へ下型8の隆起部82の先端部分を挿入して、該エア噴出口32を塞ぐようにして、ダクト3が下型8にセットされる。
続いて、上型9を作動させ型閉じする(図10)。上型9と下型8との型閉じで、ダクト3がインサートセットされたシートパッド1用キャビティCができる。この型閉じで、弾性のあるダクト3が上型9によって押え付けられ、反作用で、円錐台状隆起部82の先端部分がエア噴出口32の内周壁に強く密着し、エア噴出口32に封をする。
ここで、型閉じ後の発泡成形の初期は、図12(イ)のごとく発泡原料gの発泡が進行し、その上面が上昇していく。続いて、図12(ロ)のごとくダクト外面3aに発泡原料gが到達するが、ダクト3の外側層3Bが不織布3B2であるため、発泡原料gが繊維間内へたやすく入り込んでいく。発泡原料gの一部が、該ダクト3と接するダクト外面3aを越えて、多孔質体に係る不織布3B2の該不織布を構成する繊維間内(又は連続気泡構造の発泡体3B1の気泡内)へと浸入し、硬化する。外側層3Bのダクト外面3a側にしみ込んだ発泡原料gが不織布3B2と絡み合って硬化一体化した結合表層Zができる。
符号88は吊溝形成用盛上り部、符号89,符号99は型合せ面を示す。他の構成は、1)で述べたダクト入りシートパッド1と同様で、説明を省略する。1)と同一符号は同一又は相当部分を示す。
本実施形態のダクト入りシートパッド及びその製造方法は、図13〜図16のごとく、エア導入口31がダクト3の裏面側に設けられるのではなく、ダクト3の側方で、水平配設されるパイプ状ダクト3の一の側方に露出するパイプ穴をエア導入口31として活用する。
ダクト3は図13のような平面視十字形で、交差部の基部3Kから車両前後方向と車幅方向にダクト部3Dが延びる。図13の右方が車両前方にあたり、前方部のダクト部3Dの先端部分は閉じられる。左方の車両後方ダクト部3Dで、パイプ状流路uがそのまま露出しており、左端部の開口がエア導入口31になる。
図15は図3に対応する断面図で、図3と同じような断面図になる。一方、図16は図2に対応する断面図であるが、シートパッド裏面1b側でエア導入口31が車両後方へ向けて開口する姿態にし、さらに該エア導入口31の車両後方側に空調ユニットからの接続配管用スペースを確保している。
また、図17(イ)は図16のダクト部3Dでの断面図を示すが、実施形態1と同様の凹み36がダクト部3Dに形成される。乗員が着座した際、中黒矢印で示す乗員の重みでダクト流路uが潰れる前に、同図(ロ)のごとく凹み36の流路側当たり部39が底着きして、凹み36の左右両側に残される流路uで必要風量が確保されるようにしている。尚、凹み36はダクト部3Dの延びる方向に連続的又は断続的に設けられるが、図13〜図16は図示を省略する。符号Mは着座乗員の臀部を示す。他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
このように構成したダクト入りシートパッド及びその製造方法は、ダクト3のダクト壁が内側層3Aを独立気泡構造の熱可塑性樹脂製発泡体としているので、気密性を確保でき、配風ダクト3として機能発揮する。そして、内側層3Aを発泡体にし、且つ外側層3Bを連続気泡構造の発泡体3B1又は不織布3B2からなる多孔質体としているので、従来のソリッドで剛性,重量のあるブロー成形ダクトに比べて、格段に軽量化できる。ハイブリッド車や電気自動車等の普及に向け、車両の各部品について軽量化の推進が期待されるが、斯かる構成のダクト3を採用したシートパッド1は、その期待に十分応えることができる。燃費向上に役立つダクト入りシートパッド1となる。
ダクト3用のシート状素材から一対の樋状部材41,51に成形し、次に、一方の樋状部材51にエア噴出口用孔52を設けて一の半割部材5とすると共に、他方の樋状部材41に前記エア導入口用孔42を設けて他の半割部材4とし、続いて、両半割部材4,5を接合一体化してダクト3に形成すると、該ダクト3は極めて容易且つ確実に作製できる。エア導入口用孔42がダク3トのエア導入口31になり、エア噴出口用孔52がダクトのエア噴出口32になる。また、一方の樋状部材51に前記エア噴出口用孔52を設けて一の半割部材5とするのに代えて、一方の樋状部材51に前記エア噴出口用孔52を設けると共にその一側に開口用樋状部59を形成して一の半割部材5にし、且つ前記他の半割部材4にも該開口用樋状部59との対向部位に開口用樋状部49を形成して、両半割部材4,5の接合一体化により両開口用樋状部49,59で前記エア導入口31を設けるようにすると、ダクト3の一側にエア導入口31を簡便に設けることができる。加えて、エア導入口31の配置対応が広がり、ダクト設計の融通性がきく。
このように、本ダクト入りシートパッド及びその製造方法は、上述した種々の優れた効果を発揮し極めて有益である。
2 パッド本体
2a 表面
21 窪み
210 空気吹出口
3 ダクト(配風用ダクト)
3A 内側層
3B 外側層
3B1 連続気泡構造の発泡体
3B2 不織布
3a ダクト外面
31 エア導入口
32 エア噴出口
36 凹み
4,5 半割部材
41,51 樋状部材
42 エア導入口用孔
49,59 開口用樋状部
52 エア噴出口用孔
7 発泡成形型
g 発泡原料
Claims (10)
- エア導入口が設けられると共にダクト経路にエア噴出口が設けられた配風用ダクトと、前記エア噴出口に連通する空気吹出口になる窪みを乗員当接側の表面に形成し、前記ダクトをインサート品にして一体発泡成形されているパッド本体と、を具備するダクト入りシートパッドにおいて、
前記ダクトが、内側層を独立気泡構造の熱可塑性樹脂製発泡体とし、外側層を連続気泡構造の発泡体又は不織布からなる多孔質体とした積層構造のダクト壁からなり、前記パッド本体の一部が、該ダクトと接するダクト外面を越えて、前記多孔質体に係る発泡体の気泡内又は不織布の該不織布を構成する繊維間内にまで入り込んで硬化していることを特徴とするダクト入りシートパッド。 - 前記ダクトが、そのダクトを作る一対の樋状半割部材を接合一体化して形成され、且つ前記多孔質体が熱可塑性樹脂製である請求項1記載のダクト入りシートパッド。
- 前記内側層の発泡体と前記外側層の多孔質体が同一の熱可塑性樹脂製である請求項1又は2に記載のダクト入りシートパッド。
- 前記ダクトが水平方向に配設される部位で、その横断面形状を横幅よりも縦幅が小さい扁平形にして、且つ該ダクトの横幅方向中央部分に流路内へ向かう凹みが形成された請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダクト入りシートパッド。
- エア導入部が設けられると共にダクト経路にエア噴出口が設けられた配風用ダクトを、発泡成形型にセットし、次いで、発泡原料の注入及び型閉じを経て、該ダクトを埋設一体化するパッド本体を発泡成形し、その発泡成形で、乗員当接側のパッド本体表面に形成する窪みを前記エア噴出口に合わせて空気吹出口にするダクト入りシートパッドの製造方法であって、
前記ダクトのダクト壁を、内側層が独立気泡構造の熱可塑性樹脂製発泡体にして、外側層が連続気泡構造の発泡体又は不織布からなる多孔質体の積層構造として、該ダクトを発泡成形型にセットし、その後の前記パッド本体の発泡成形で、発泡原料の一部が、該ダクトと接するダクト外面を越えて、前記多孔質体に係る発泡体の気泡内又は不織布の該不織布を構成する繊維間内へ浸入し、硬化することを特徴とするダクト入りシートパッドの製造方法。 - 前記多孔質体を熱可塑性樹脂製とし、さらに一対の樋状半割部材を接合一体化して前記ダクトを形成した後、該ダクトを前記発泡成形型にセットする請求項5記載のダクト入りシートパッドの製造方法。
- 前記内側層の発泡体と前記外側層の多孔質体とを同一の熱可塑性樹脂製からなる前記ダクトとし、該ダクトを前記発泡成形型にセットする請求項5又は6に記載のダクト入りシートパッドの製造方法。
- 前記ダクトが、水平方向に配設される部位で、その横断面形状を横幅よりも縦幅が小さい扁平形にして、且つその横幅方向中央部分に流路内へ向かう凹みが形成されたダクトとし、該ダクトを前記発泡成形型にセットする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のダクト入りシートパッドの製造方法。
- 前記ダクト用のシート状素材から一対の樋状部材に成形し、次に、一方の樋状部材に前記エア噴出口用孔を設けて一の半割部材とし、該一の半割部材と他方の樋状部材を構成する他の半割部材を接合一体化して前記ダクトに形成した後、該ダクトを前記発泡成形型にセットする請求項5乃至8のいずれか1項に記載のダクト入りシートパッドの製造方法。
- 前記一方の樋状部材に前記エア噴出口用孔を設けて一の半割部とするのに代えて、一方の樋状部材に前記エア噴出口用孔を設けると共にその一側に開口用樋状部を形成して一の半割部にし、且つ前記他の半割部にも該開口用樋状部との対向部位に開口用樋状部を形成して、両半割部の接合一体化により両開口用樋状部で前記エア導入口を設けるようにした請求項9記載のダクト入りシートパッドの製造方法。
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