JP2005082568A - グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤、抗菌剤、口腔用剤およびう触予防用飲食物 - Google Patents

グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤、抗菌剤、口腔用剤およびう触予防用飲食物 Download PDF

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Abstract

【課題】 植物抽出物を利用した新規なグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤、抗菌剤、口腔用剤およびう触予防用飲食物を提供する。
【解決手段】 グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤または抗菌剤に、ノブドウからの抽出物を含有せしめる。また、それらグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤または抗菌剤を、口腔用剤またはう触予防用飲食物に含有せしめる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、植物抽出物を利用したグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤、う蝕原因菌および歯周病菌に対する抗菌剤、口腔用剤ならびにう触予防用飲食物に関する。
う蝕の発生には、口腔内の微生物、特にストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)が産生する酵素であるグルコシルトランスフェラーゼが関与している。すなわち、口腔内に残った飲食物中のショ糖の一部がグルコシルトランスフェラーゼの作用によって水不溶性で付着性の強いグルカンに変化し、それが口腔内微生物と共に歯の表面に付着してプラーク(歯垢)を形成する。そして、歯垢内の微生物が飲食物中の糖を代謝して酸を生成し、この酸が歯のエナメル質を脱灰し侵食するのがう蝕である。
したがって、う蝕を防止するには、歯の表面に付着した歯垢を歯磨き等によって除去するだけでなく、口腔におけるストレプトコッカス・ミュータンスの増殖やグルコシルトランスフェラーゼの作用を阻害することによってグルカンの生成を防止し、ひいてはプラークが生じないようにするのが最も有効である。
このような観点から、近年、グルコシルトランスフェラーゼ阻害作用を有する物質やプラーク形成を抑制する物質を含有させることにより、う蝕予防作用を付与した口腔用剤や飲食物が提供されるようになった(特許文献1〜3)。
一方、ノブドウが有する作用としては、肝硬変予防作用(特許文献4)、肝疾患治療作用(特許文献5)、線維化抑制作用(特許文献6)、免疫調節作用(特許文献7)等が知られている。
特開平4−221308号公報 特開2001−114694号公報 特開2003−81847号公報 特公昭60−7974号公報 特開平2−48533号公報 特開平5−271067号公報 特開平8−3052号公報
本発明は、グルコシルトランスフェラーゼ阻害作用やプラーク形成抑制作用、あるいはう蝕原因菌・歯周病菌に対する抗菌作用を有することが従来知られていない植物抽出物を見出し、それを利用した安全性の高いグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤、抗菌剤、口腔用剤およびう触予防用飲食物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、ノブドウ(Ampelopsis brevipedunculata Trautv)からの抽出物を有効成分として含有するグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤(請求項1)、プラーク形成抑制剤(請求項2)およびう蝕原因菌および歯周病菌に対する抗菌剤(請求項3)を提供する。
また、第2に本発明は、前記グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤(請求項1)、前記プラーク形成抑制剤(請求項2)および前記抗菌剤(請求項3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を含有する口腔用剤(請求項4)およびう触予防用飲食物(請求項5)を提供する。なお、本明細書における「飲食物」は、ヒトが飲食する物だけでなく、う蝕や歯周病を起こすことがある動物の飼料または餌をも含むものとする。
本発明によれば、植物抽出物を利用した安全な新規グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤、う蝕原因菌および歯周病菌に対する抗菌剤、口腔用剤およびう触予防用飲食物を提供することができる。本発明に係るグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤、抗菌剤、口腔用剤またはう触予防用飲食物によれば、グルコシルトランスフェラーゼ活性を阻害すること、プラークの形成を抑制すること、またはう蝕原因菌もしくは歯周病菌の繁殖を抑制することによって、う蝕および歯周病を効果的に予防することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係るグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤および抗菌剤は、いずれもノブドウからの抽出物を有効成分として含有する。
ここで、ノブドウからの「抽出物」には、抽出処理によってノブドウから得られる抽出液、当該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、またはこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
ノブドウは、別名蛇葡萄とも呼ばれる学名「Ampelopsis brevipedunculata Trautv」のぶどう科の植物であって、北海道から沖縄、中国および朝鮮半島の山野に自生する落葉つる植物である。中国では、ノブドウの葉部・蔓部が利尿および胃熱嘔吐に効果があるとされ、古くから煎じて飲用されており、また、大腸菌・ブドウ球菌に対する抗菌作用および止血作用も認められている。本発明においては、ノブドウの各部位の中でも、グルコシルトランスフェラーゼ阻害作用、プラーク形成抑制作用ならびにう蝕原因菌および歯周病菌に対する抗菌作用を示す成分が含まれる葉部および蔓部の一方または双方を使用するのが好ましい。
抽出原料として使用するノブドウ(の葉部および/または蔓部)は、採取後ただちに乾燥し、中切、細切または粉砕したものが適当である。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。ノブドウは、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、ノブドウの極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出処理の際には、抽出溶媒として極性溶媒を使用するのが好ましい。ノブドウに含まれるグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用、プラーク形成抑制作用ならびにう蝕原因菌および歯周病菌に対する抗菌作用を示す成分は、極性溶媒を抽出溶媒とする抽出処理によって容易に抽出することができる。
好適な抽出溶媒の具体例としては、水、低級脂肪族アルコール、含水の低級脂肪族アルコール等を例示でき、これらを単独で、またはこれら2種以上の混合物として使用することができる。好適な低級脂肪族アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソプレングリコール等を例示することができる。これらの抽出溶媒は取扱いが容易であり、抽出作業を比較的容易に行うことができる。
抽出溶媒として使用し得る水には、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比を7:3〜2:8(重量比)とすることができる。
抽出処理は、ノブドウに含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定されず、常法に従って行うことができる。抽出処理の際には、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、ゆるやかに攪拌しながら可溶性成分を溶出させる。この際、抽出条件は抽出原料等に応じて適宜調整し得るが、抽出溶媒量は通常、乾燥させた抽出原料の5〜15倍量(重量比)であり、抽出時間は通常1〜3時間であり、抽出温度は通常、常温〜80℃程度である。
抽出処理により可溶性成分を溶出させた後、ろ過または遠心分離により固液分離し、必要に応じてさらに濃縮、乾燥等の処理を施して、目的とする抽出物を得ることができる。
得られたノブドウ抽出物は、強いグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用、プラーク形成抑制作用ならびにう蝕原因菌および歯周病菌に対する抗菌作用を示すため、そのままでもグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤または抗菌剤として使用することができるが、所望により、精製処理を施して活性を向上させてもよく、さらに常法によって製剤化してもよい。
ノブドウ抽出物の精製は、具体的には活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。また、ノブドウ抽出物を製剤化する場合には、任意の助剤、賦形剤、溶液として利用に供するための水または有機溶剤等を、適宜含有させることができる。
なお、ノブドウ抽出物は、通常、グルコシルトランスフェラーゼ阻害作用、プラーク形成抑制作用ならびにう蝕原因菌および歯周病菌に対する抗菌作用のいずれの作用をも示すが、場合によっては、いずれか1種または2種の作用のみを示すことがあるため、その場合には、当該作用に適合する薬剤として使用すればよい。
ここで、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤および抗菌剤は、ノブドウ抽出物を有効成分として含有するが、ノブドウ抽出物以外の、グルコシルトランスフェラーゼ阻害作用、プラーク形成抑制作用またはう蝕原因菌および歯周病菌に対する抗菌作用を有する物質を含有することを妨げるものではない。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤および抗菌剤は、それぞれ口腔用剤または飲食物に添加することにより、口腔におけるグルカン生成の防止、プラーク形成の抑制またはう蝕原因菌もしくは歯周病菌の繁殖の抑制に利用することができる。すなわち、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤または抗菌剤を含有する口腔用剤および飲食物によれば、口腔において、グルコシルトランスフェラーゼ活性を阻害してグルカンの生成を防止すること、プラークの形成を抑制すること、またはう蝕原因菌もしくは歯周病菌の繁殖を抑制することによって、う蝕および歯周病を効果的に予防することができる。
なお、上記薬剤は、口腔用剤または飲食物としての用途以外にも、グルコシルトランスフェラーゼ阻害作用、プラーク形成抑制作用またはう蝕原因菌および歯周病菌に対する抗菌作用を示すことに意義あるすべての用途に用いることが可能である。
本発明の口腔用剤およびう触予防用飲食物は、上記グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、上記プラーク形成抑制剤および上記抗菌剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を含有する。この場合におけるグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤および抗菌剤は、ノブドウ抽出物のみからなるものであってもよい。
上記口腔用剤の形態としては、例えば、各種歯磨き類、マウスウォッシュ、トローチ、口腔用パスタ、歯肉マッサージクリーム、うがい剤、口中清涼剤等が挙げられる。
上記グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤または抗菌剤の添加により、口腔用剤の他の構成成分や口腔用剤の製造法が制限されることはなく、例えば、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、アルミノシリケート、無水ケイ酸、レジン等の研磨剤;長鎖アルキル硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリルジエタノールアマイド、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤;CMC、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラゲナン、アラビアガム、ポリビニルアルコール等の粘結剤;ポリエチレングリコール、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール等の粘稠剤;サッカリン、ステビオサイド類、グリチルリチン酸、ソーマチン等の甘味剤;デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム等の防腐剤;メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油、ジンジャー油、アニス油等の香料;各種色素など、口腔用剤の製造に通常使用される原料を製品の種類や用途に応じて任意に選択し、常法により口腔用剤を製造することができる。
本発明の口腔用剤を製造するにあたり、上記グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤および抗菌剤以外の、グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤またはう蝕原因菌・歯周病菌に対する抗菌剤を併用してもよく、また、任意の抗炎症剤、抗菌剤、消臭剤等を添加することにより、口腔用剤として一層優れたものを提供することもできる。
添加可能な抗炎症剤の例としては、アセンヤク、カンゾウ、ウワウルシ、オウゴン、コウキ、サイコ、サンザシ、シソ、シャクヤク、ソウハクヒ、キョウニン、タイソウ、チョウジ、トウニン、ニクズク、ボタンピ、アズレン、アラントイン、ウルソール酸、オレアノール酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、トコフェロール、トラネキサム酸等が挙げられる。
添加可能な抗菌剤の例としては、ゴバイシ、サイシン、サンショ、ショウキョウ、ディル、タイム、ローズマリー、アスコルビン酸、ムスタティン、フミン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
併用可能な消臭剤の例としては、アマチャ、ウイキョウ、ウラジロガシ、エラグ酸、ケイヒ、コショウ、メース、セージ、シソ、イチョウ、カキ葉、緑茶、ウーロン茶、トウガラシ、ロジン、カキ渋、アクチゾル、クロロフィリン誘導体、クロルヘキシジン、メイラード反応物等が挙げられる。
一方、上記飲食物の種類としては、例えば、菓子、パン、キャンディー、チューインガム、グミ、ゼリー、チョコレート、錠菓、清涼飲料、ペットフード等が挙げられる。
口腔用剤または飲食物における本発明のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤または抗菌剤の好適配合率は、薬剤中における有効成分の含有量や活性の強さ、あるいは添加対象物によって異なるが、ノブドウ抽出物として約0.001〜5.0重量%であるのが好ましく、特に約0.05〜1.0重量%であるのが好ましい。
以上説明した本発明のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤、抗菌剤、口腔用剤および飲食物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、目的とする作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
以下、製造例、試験例および配合例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の各例に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕
ノブドウの葉部および蔓部の乾燥粉砕物100gを、1リットルの30%エタノール(水とエタノールとの重量比7:3)に浸漬し、還流下にて2時間加熱した。得られた抽出液をろ過し、残渣を再び1リットルの30%エタノールによって同様に処理した。これら2回の抽出処理により得られた抽出液を混合して減圧下にて濃縮し、14gの30%エタノール抽出ノブドウエキス(ノブドウ抽出物)を得た。
〔製造例2〕
抽出溶媒として50%エタノール(水とエタノールとの重量比1:1)を使用する以外、実施例1と同様にして抽出処理を行った。その結果、9.9gの50%エタノール抽出ノブドウエキス(ノブドウ抽出物)を得た。
〔製造例3〕
ノブドウの葉部および蔓部の乾燥粉砕物100gを、1リットルの熱水に浸漬し、2時間抽出処理を行った。得られた抽出液をろ過し、残渣を再び1リットルの熱水によって同様に処理した。これら2回の抽出処理により得られた抽出液を混合して減圧下にて濃縮し、10gの熱水抽出ノブドウエキス(ノブドウ抽出物)を得た。
〔試験例1〕グルコシルトランスフェラーゼ阻害制作用試験
製造例1〜3で得られたノブドウ抽出物(以下「試料」という。)について、下記の試験法によりグルコシルトランスフェラーゼ阻害制作用試験を行った。
試料溶液50μL、アジ化ナトリウム0.1%を含有する2%ショ糖水溶液1000μL、粗グルコシルトランスフェラーゼ溶液(ストレプトコッカス・ミュータンスより調製したもの)50μLおよび蒸留水900μLを試験管に加え、混合した。
上記混合物を37℃で5時間反応させた後、生成したグルカンを撹拌器により水中に分散させ、550nmの吸光度を濁度の指標として測定した。別に、コントロールとして、試料溶液の代わりに試料溶液の溶媒を加えたものについても同様の操作および測定を行った。さらに、それぞれの場合について粗グルコシルトランスフェラーゼ溶液を添加せずに同様の操作および測定を行った。
測定結果に基づいて、下記の計算式によりグルコシルトランスフェラーゼ活性の阻害率を算出した。
阻害率(%)=[1−(A−B)/(C−D)]×100
但し、A:試料溶液の酵素反応後の吸光度
B:試料溶液の酵素無添加時の吸光度
C:コントロールの酵素反応後の吸光度
D:コントロールの酵素無添加時の吸光度
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記測定を行い、阻害率が50%になる試料溶液の濃度IC50(ppm)を内挿法により求めた。結果を表1に示す。
[表1] グルコシルトランスフェラーゼ阻害試験
試 料 IC 50 (ppm)
30%エタノール抽出物 560
50%エタノール抽出物 710
熱水抽出物 690
表1に示される結果より、ノブドウ抽出物がグルコシルトランスフェラーゼを阻害する作用を有することが確認された。また、ノブドウ抽出物のグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用の強さは、ノブドウ抽出物の濃度に依存して変化するため、ノブドウ抽出物の濃度を調節することにより、グルコシルトランスフェラーゼゼ活性阻害作用の強さを調節できることが確認された。
〔試験例2〕プラーク形成抑制試験
製造例1〜3で得られたノブドウ抽出物(以下「試料」という。)について、下記の試験法によりプラーク形成抑制試験を行った。
あらかじめ秤量した試験管に、ショ糖2%を含むブレインハートインフュージョンブロス(日水製薬社製)5.35mLを加え、加熱滅菌処理を行った。その試験管内に、試料溶液(溶媒:熱水抽出物は水、含水エタノール抽出物は50%エタノール)0.15mLおよびストレプトコッカス・ミュータンス6715の培養液0.5mLを添加し、37℃で19時間培養を行った。培養終了後、上清を静かに除き、試験管壁のプラーク状付着物をそのまま蒸留水で3回洗浄した後、105℃で5時間乾燥した。最後に試験管ごと秤量して、管内のプラーク状付着物の乾燥重量wを求めた。
別に、コントロールとして、試料溶液の代わりに試料溶液の溶媒を用いて上記と同様の操作を行い、プラーク状付着物の乾燥重量Wを求めた。測定されたプラーク状付着物の乾燥重量wおよびWより、次式によりプラーク形成抑制率を算出した。
プラーク形成抑制率(%)=(1−w/W)×100
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記測定を行い、抑制率が50%になる試料溶液の濃度IC50(ppm)を内挿法により求めた。結果を表2に示す。
[表2] プラーク形成抑制試験
試 料 IC 50 (ppm)
30%エタノール抽出物 135
50%エタノール抽出物 62.5
熱水抽出物 275
表2に示される結果より、ノブドウ抽出物がプラークの形成を抑制する作用を有することが確認された。また、ノブドウ抽出物のプラーク形成抑制作用の強さは、ノブドウ抽出物の濃度に依存して変化するため、ノブドウ抽出物の濃度を調節することにより、プラーク形成抑制作用の強さを調節できることが確認された。
〔試験例3〕う蝕原因菌および歯周病原因菌に対する抗菌作用試験
製造例1〜3で得られたノブドウ抽出物について、下記A〜Fの微生物に対する抗菌活性を、寒天培地希釈法による最小発育阻止濃度(MIC)で評価した。ストレプトコッカス・ミュータンス(A)については、BHI培地を用いて、培養温度を37℃、培養時間を48時間とし、その他の微生物(B〜F)については、変法GAM寒天培地を用いて、培養温度を37℃、培養時間を72時間とし、各微生物の発育の有無を肉眼で判断した。結果を表3に示す。なお、表中の数値はMIC(μg/ml)であり、抗菌活性が強い程、この数値が小さくなる。
[試験微生物]
A:Streptococcus mutans(う蝕原因菌)
B:Porphyromonas gigivalis(歯周病原因菌)
C:Propionibacterium acnes(歯周病原因菌)
D:Actinomyces viscosus(歯周病原因菌)
E:Prevotella intermedia(歯周病原因菌)
F:Prevotella melaninogenica(歯周病原因菌)
[表3] 最小生育阻止濃度〔MIC(μg/ml)〕
微生物 30%エタノール抽出物 50%エタノール抽出物 熱水抽出物
A 2000 2000 2000
B 2000 2000 2000
C 1000 2000 2000
D 1000 2000 2000
E 1000 2000 2000
F 1000 2000 2000
表3に示される結果より、ノブドウ抽出物がう蝕原因菌および歯周病原因菌に対する抗菌作用を有することが確認された。
〔配合例1〕
下記の原料を歯磨き製造の常法により処理して、口腔用剤の一種である歯磨きを製造した。
ノブドウ熱水抽出物(製造例3) 0.1g
炭酸カルシウム 35.0g
ソルビトール 20.0g
カルボキシメチルセルロース 1.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0g
サッカリン 0.1g
香料 1.0g
塩酸クロルヘキシジン 0.01g
アラントイン 0.01g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.01g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例2〕
下記の原料を口中清涼剤製造の常法により処理して、口腔用剤の一種である口中清涼剤を製造した。
ノブドウ30%エタノール抽出物(製造例1) 0.5g
l−メントール 0.1g
ハッカ油 0.1g
ポリグリセリン脂肪酸エステル 4g
エタノール 45g
サッカリンナトリウム 0.01g
pH調整剤 適量
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例3〕
下記の原料を使用して、常法に従ってキャンディーを製造した。
ノブドウ30%エタノール抽出物(製造例1) 1g
ウコンエキス 0.2g
グラニュー糖 45g
酵素糖化水飴 43g
サイクロデキストリン 0.6g
香料 0.1g
アズレン 0.1g
水 残部(全量を100gとする)
〔配合例4〕
下記の原料を使用して、常法に従ってチューインガムを製造した。
ノブドウ50%エタノール抽出物(製造例2) 3g
シリマリン 2g
チューインガムベース 20g
グラニュー糖 50g
水飴 15g
軟化剤 5g
クロロフィル 0.1g
香料 0.1g
本発明に係るグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤、抗菌剤、口腔用剤またはう触予防用飲食物は、う蝕または歯周病の予防に大きく貢献できる。

Claims (5)

  1. ノブドウ(Ampelopsis brevipedunculata Trautv)からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤。
  2. ノブドウ(Ampelopsis brevipedunculata Trautv)からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするプラーク形成抑制剤。
  3. ノブドウ(Ampelopsis brevipedunculata Trautv)からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするう蝕原因菌および歯周病菌に対する抗菌剤。
  4. 請求項1に記載のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、請求項2に記載のプラーク形成抑制剤および請求項3に記載の抗菌剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を含有することを特徴とする口腔用剤。
  5. 請求項1に記載のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、請求項2に記載のプラーク形成抑制剤および請求項3に記載の抗菌剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を含有することを特徴とするう触予防用飲食物。
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