JP2005077249A - 圧電体振動ジャイロセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】音叉型圧電体振動ジャイロセンサにおいて回転軸に直交する面に屈曲振動励振用の励振電極と、回転によるコリオリ力を利用して回転各速度を検出するための検出電極を形成すると、励振電極及び検出電極の配置に制約が生じ、十分な検出感度が得られない。
【解決手段】振動アーム2a、2bの長軸方向の上半分の両主面に対向して平行に長方形の励振用電極3a、3b、4a、4bを設け、一方の主面の下半分の振動アーム2a、2bの基底部寄りの前記励振用電極3a、3bの間にそれぞれ弾性表面波素子用のIDT電極で構成された検出用IDT電極5a、5bを設けた双音叉型振動ジャイロセンサ1とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動ジャイロセンサに関し、特にコリオリ力を利用した音叉型圧電体振動ジャイロセンサに関する。
従来、物体の回転を検出するセンサとして、コリオリ力を応用した音叉型振動ジャイロセンサがよく使われている。この音叉型振動ジャイロセンサは、検出用の電極を備えて振動する圧電共振子に、回転が加わることによって生じるコリオリ力の大きさを、例えば電圧として検出用電極より検出することによって、回転速度を検知するものである。
構造が簡単で小型化し易いため、ビデオカメラやスチルカメラの手ぶれ防止、カーナビゲーションシステム、無人飛翔体やロボット等の姿勢制御等広い分野で応用が可能である。
上記音叉型振動ジャイロセンサにおいて、振動のための励振電極と、検出用電極として弾性表面波(以下、SAW:Surface Acoustic Waveという)共振子を配置する方法が、特開平11−37761号に開示されている。
図6は、前記公報の図8に開示されている従来例の外観を示したものである。
同図に示した従来の音叉型振動ジャイロセンサ50は、圧電体で構成され、振動アーム部51a、51bと基底部52とが一体になった音叉振動体53に屈曲振動駆動用の励振電極54a、54b(一次電極)を形成し、さらに振動アーム部51aの一方の表面にSAW励振用くし型電極55aと出力用くし型電極56aより成る一方の二次電極を、また、振動アーム部51bの同じ面にSAW励振用くし型電極55bと出力用くし型電極56bより成る他方の二次電極とを配置して、これらの二次電極と振動アーム部51a、51bとで、それぞれ2組のコリオリ力に対応した電圧を検出用するSAW共振子を形成した構造を有する。
同図において、Y軸周りに回転する音叉型振動ジャイロセンサ50から回転速度に比例した直流電圧を取出す方法はつぎの通りである。
まず、前記励振電極54a、54bに図示しない第1駆動回路を接続して、振動アーム部51a、51bを屈曲振動させ、さらにそれぞれの励振用くし型電極55a、55bに共通の図示しない第2の駆動信号が加えれて、それぞれに弾性表面波が励起される。
この弾性表面波は振動アーム51a、51bを伝播して、それぞれの出力用くし型電極56a、56bで電気信号に変換されて出力される。この出力信号は、振動アーム部51a、51bにおける伝播経路の変位に応じて振幅変調された信号が取出される。
前記出力用くし型電極56a、56bから取出された両出力信号の差動信号の振幅のビート成分を、第1駆動回路の励振信号で同期検波するすることによって、図6のY軸周りの回転速度に比例した直流電圧を生成することができる。
ここで、回転が加わらないときの出力用くし型電極55b、56bの出力信号は、振動アーム部51a、51bの屈曲振動によって振幅変調を与えられるが、屈曲振動によるくし型電極56a、56bの変位はそれぞれ同じであるので、2つの出力信号の振幅にさが生じない。
つぎに、屈曲振動する音叉振動体53にY軸周りの回転運動が加わると、振動アーム部51a、51bにコリオリ力が働いてくし型電極56a、56bの変位に差が生じ、該くし型電極56a、56bからの二つの出力信号には振幅差が生じる。
このときの二つの出力信号の差動信号を取り出すと、該差動信号に振幅のビート成分が発生する。前記振幅のビート成分を第1の駆動信号で同期検波すると、回転速度に比例した直流電圧を生成することができる。
また、同公報には、SAW共振子を配置した音叉型振動ジャイロセンサの他の例として、振動ジャイロセンサの外観構造は図6の通りであって、SAW共振子の励振用くし型電極55a、55bに加える第2の駆動回路をそれぞれ別個の回路とし、コリオリ力による振動アーム51a、51bの変形に伴うSAW共振子の導波路長の変化によって2つのSAW共振子の発振周波数に差が生じることを利用して、その周波数差から振動ジャイロセンサに加わる回転速度を検出する方法が開示されている。
特開平11−37761号公報
しかしながら、前述の従来例を含め、コリオリオ力を応用した圧電セラミックスや水晶等の圧電素材で振動体を形成した次のような問題点があった。
圧電セラミックスは加工が容易であり、加工後に分極処理を施すことにより振動体として利用することができる。
そのため、一次電極を形成した後に所定の一次電極間に分極処理を行うことができるので、この一次電極の形成位置に比較k的制限が少ないという利点がある。しかしながら、水晶に比べると、一般的に検出感度が劣るという欠点がある。
一方、水晶のような単結晶素材は、圧電セラミックスに比べて一般的にQ値が高いので、検出感度を高くでき、信号対雑音比に優れた検出信号を取り出せるという利点がある。 しかしながら、圧電セラミックスのように後処理で局部的に分極を形成することが物性的に不可能であるので、あらかじめ所定の結晶軸方向にあわせて加工を施し、さらに所定の軸方向にあわせて一次電極を配置しなければならない。
また、特定の結晶軸方向(z方向)にはほとんど化学的にエッチングを施すことができないので、加工方法にも制限がある。
したがって、一次電極の形成位置に制限があり、さらに、検出感度が適正となる位置に二次電極を振動アームの限定された領域に配置しなければならないため、各電極のレイアウト設計に制約が生じるという問題がある。また、そのため、十分な検出感度が得られなくなるというおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、一次電極の励振電極と、二次電極のSAW共振子を配置する際のレイアウト設計に高い自由度を有する音叉型振動ジャイロセンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明においては、振動励振電極と検出電極とをそれぞれ備えた2つの角柱状振動アーム部と該アーム部の両端をそれぞれ支持する2つの基底部とが一体となった形状の双音叉型の圧電体振動ジャイロセンサであって、前記2つの角柱状振動アーム部それぞれの一方の半分を前記振動励振電極の形成部、他方の半分を検出電極の形成部としたことことを特徴とする。
また、請求項2においては、請求項1に記載の圧電体振動ジャイロセンサであって、前記それぞれの検出電極が前記他方の振動アーム部の検出電極形成部の基底部に近い位置に形成されたSAW共振子であることを特徴とする。
本発明による音叉型振動ジャイロセンサは、その構造を2つの振動アームを有する双音叉形状とし、各振動アームの長軸方向の半分を屈曲振動励振用電極部、残りの半分を回転速度検出用電極部とすることによって、該検出用電極部に形成する検出用電極の設計自由度を向上させ、検出用電極の位置を最適化することが可能となった。
したがって、本発明によれば、振動アーム上の励振電極とSAW共振子を配置する際のレイアウト設計に高い自由度を有し、かつ、検出感度の優れた音叉型振動ジャイロセンサを提供する上で大いに貢献することができる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明に係わる圧電体音叉型振動ジャイロセンサの実施の一形態例を示す外形図で、(a)は上面図、(b)は上面より透視した下面図、(c)は側面図である。
同図に示すように、本発明の音叉型振動ジャイロセンサ1は、2本の振動アームとそれぞれを支持する基底部とが一体となった水晶板を用いた音叉型振動体を2個、それぞれの振動アーム部先端を同一平面上で突き合わせる形で結合した形状を有する双音叉型の圧電体振動ジャイロセンサである。
そして、振動アーム2a、2bの上半分の両主面に対向して平行に長方形の励振用電極3a、3b、4a、4bが、また、一方の主面の下半分の振動アーム2a、2bの基底部寄りに前記励振用電極3a、3bの間にそれぞれ弾性表面波素子用のくし型電極(以下、IDT電極という)で構成された検出用IDT電極5a、5bが、それぞれ配置される。
ここで、振動アーム2a、2bの長軸方向は水晶結晶軸のY方向に一致している。また、振動アーム2a、2bの下端に弾性表面波素子用IDT電極5a、5bを配置するのは、振動アーム2a、2bの屈曲振動において、歪みが最大となるのはアームの付け根近傍であって、振動アーム中央部寄りに配置する場合よりも検出感度を高くすることができるからである。
図2は、本発明の双音叉型振動ジャイロセンサ1を用いた回転速度検出回路の一例を示す構成図である。同図に示すように本検出回路は、前記双音叉型振動ジャイロセンサ1の外に、駆動回路6、発振回路7a、7b、周波数混合部8、周波数検波部9、及び同期検波部10とで構成される。
双音叉型振動ジャイロセンサ1の振動アーム2a、2bのそれぞれの両主面には、駆動回路6が出力する屈曲振動励振信号が印加される電極対3a、3b、4a、4bが配置される。
そして、前記電極3a、4aには同一極性の励振信号が、前記電極3b、3bには逆極性の励振信号が印加されるよう配置され、接続される。
前記検出用IDT電極5a、5bは、それぞれSAW共振子を構成し、それぞれ発振回路7a、7bに接続されて発振回路の振動素子として動作する。ここで、該検出用IDT電極5a、5bは、前記発振回路7a、7bの発振周波数が異なる周波数となるように、それぞれの発振周波数に応じてIDT電極が形成される。
前記発振回路7a、7bから出力された出力信号は、周波数混合部8でミキシングされて差の周波数分が取出され、該周波数差分を周波数検波部9で復調し、同期検波部10において、前記駆動回路6の駆動信号で同期検波することによって、回転速度に比例した直流電圧が検出信号として取出される。
図3は、本発明の双音叉型振動ジャイロセンサ1の屈曲振動励振時(非回転)と回転時の振動アーム2a、2bの変位の状態を示す説明図で、(a)は基本構成図であり、(b)は屈曲振動励振時の状態であり、(c)は励振時に回転が加わった状態である。
同図に示すように、図3(b)は、同図(a)の基本状態の双音叉型振動ジャイロセンサ1の励振用電極3a、3b、4a、4bに駆動信号を加えて屈曲振動を励振させた状態であって、各振動アーム2a、2bには、両振動アーム2a、2bの主面を含む同一平面上で、同時に互いの振動アーム間隔を伸長あるいは圧縮する方向の変位が発生する。
この変位は前記IDT電極5a、5bの電極ピッチの変化として捉えられ、SAW共振子による発振回路7a、7bの共振周波数の変化として検出される。
しかしながら、この場合は一方のIDT電極5aの電極ピッチの変化の割合と、他方のIDT電極5bの電極ピッチの変化の割合とは同一であるので、それぞれの発振回路7a、7bの共振周波数は同じ割合で変化する。そのため、双方の周波数差の変化は小さく、取出される検出信号の直流電圧はほとんど変化しない。
つぎに、本振動ジャイロセンサ1が、図3(c)に示す回転方向に回転すると、コリオリ力が発生して、各振動アーム2a、2bに駆動回路6による屈曲振動の振動面に直交する方向にも屈曲振動が加わる。しかも、各振動アーム2a、2bに発生するコリオリ力は逆向きに加わるため、IDT電極の電極間隔は大きく互いに逆方向に変位する。この電極ピッチの変化は、SAW共振子で構成される発振回路の共振周波数の変化として検出される。
例えば、図3の振動アーム2aのSAW共振子の共振周波数を100MHz、振動アーム2bのSAW共振子の共振周波数を150MHzとすると、図3(c)においては、振動アーム2a上のSAW共振子の共振周波数が高くなり、振動アーム2b上のSAW共振子の共振周波数は低くなる。従って、双方の周波数差は低くなる。振動ジャイロセンサ1の回転が逆向きになると、同様にして、周波数差が高くなる。
このことを利用して、回転方向及び回転角速度を、周波数(デジタル値)として検知することができる。
図4は、本発明の双音叉型振動ジャイロセンサ1を水晶板を用いて構成する場合の励振電極の配置例を示す図である。
振動体に水晶板を用いる場合は、フォトリソ加工が最もし易いz板を用いて形状加工を行ってY軸を回転軸とする。そして、同図(a)のような電極構成にすることによって電極形成も主面のみで構成できる。また、同図(b)に示すように、振動アームそれぞれの4側面に形成しても良い。このとき、SAW共振子はいずれか一方の主面の同一面に形成する。
なお、水晶板の場合には、温度特性の観点からx軸を回転軸として電極形成する場合ももある。
ここで、図1の双音叉型振動ジャイロセンサ1におけるSAW共振子によって回転角速度を検出する場合の検出感度について考察する。
一般的に、質量mの質点が速度Vで運動しているとき、それと直交する軸に対して回転角速度Ωが印加された場合に作用するコリオリカFcは、Fc=2mVΩによって与えられる。
そして、質点mをy=Dsin(ωt)で振動させたとき、この振動方向と垂直な向きzを中心に、 t=0に角速度Ωをで与えたときにx方向に発生するコリオリ力Fcは、 Fc=2m(dy/dt)となることから、質点がx方向に対し減衰のある1自由度系で表現できると仮定すると、x方向に関する運動方程式は式(1)で表わされる。
x″(t)+(ω0/Q)x′(t)+ω0 2x(t)=2DΩωcos(ωt) (1)
ここで、ω0 は質点とそれを支える系のx方向の共振周波数、Qはx方向の機械的Q値である。
式(1)で、x(0)=0、 x′(0)=0 の条件で解き、Q≫1 とすると、式(2)が得られる。
x(t)=A{exp[-ω0 t/2Q] cos(ω0t)+sin(ωt−φ)} (2)
ただし、
Figure 2005077249
式(2)で、Aは印加角速度(Ω)に比例する感度を示す。また、変位x(t)はexp(-ω0 t/2Q)なる過渡項を含むことがわかる。
振動ジャイロセンサの出力は、右辺第2項の定常項 sin(ωt−φ) に関わる項である。
いま、図1の双音叉型振動ジャイロセンサ1の屈曲振動励振用電極3a、3b、4a、4bが励振される振動周波数を300kHz、振動アーム中央の振幅をD= 0.5μm、SAW共振子による共振周波数を、振動アーム2aでの周波数を395MHz、振動アーム2bでの周波数を405MHzとした場合を想定して、式(2)に数値代入して変位x(t)を求め、周波数感度を計算した。但し、Q=100,000、ω/ω0=0.99999と仮定している。また、コリオリ力による変位は、主振動変位の1%程度で妥当性のある結果であり、それによってSAw共振子のくし型電極の電極間隔の変化を更にその1%と仮定してSAW共振子の発振周波数を計算した。
図5は、本双音叉型振動ジャイロセンサ1の検出感度特性図である。図の横軸の各速度に対し、縦軸は、2つの発振出力のビート周波数を抽出し、カウンタIC出力のパルス数を検出値として算出した結果をプロットしたものである。ただし、カウンタICのゲートタイムは励振振動の半周期として検出したパルス数を50回積算した値であって、角速度0の時のカウント数に対する変動量を縦軸としている。
この結果、角速度に対して直線性を確認することができた。尚、計測時間は50/30,000=1.7msである。
上述のように、音叉型振動ジャイロセンサを双音叉型とし、屈曲振動を励記させる励振用電極を振動アームの一方の半分に形成するようにしたので、検出用のIDT電極の形成位置を自由に選定できるように成り、感度の高い振動ジャイロセンサを構成することができる。
本発明に係わる圧電体音叉型振動ジャイロセンサの実施の一形態例を示す外形図で、(a)は上面図、(b)は上面より透視した下面図、(c)は側面図。 本発明の双音叉型振動ジャイロセンサ1を用いた検出回路の一例を示す構成図。 本振動ジャイロセンサのにおける屈曲振動励振時(非回転)と、回転時のの変位の状態を示す説明図で、(a)は屈曲振動非励振時の状態であり、(b)は屈曲振動励振時の状態であり、(c)は励振時に回転が加わった状態を示す。 励振電極の配置例を示す図。 53双音叉型振動ジャイロセンサの検出感度特性図。 特開平11−37761号の図8に開示されている従来例の外観図。
符号の説明
1・・本発明の双音叉型振動ジャイロセンサ、 2a、2b・・振動アーム、
3a、3b、4a、4b・・励振用電極、 5a、5b・・検出用IDT電極、
6・・駆動回路、 7a、7b・・発振回路、 8・・周波数混合部、
9・・周波数検波部、10・・同期検波部、
50・・従来の音叉型振動ジャイロセンサ、 51a、51b・・振動アーム部、
52・・基底部、53・・音叉振動体、54a、54b・・励振電極(一次電極)、
55a、55b、56a、56b・・くし型電極(二次電極)































Claims (2)

  1. 振動励振電極と検出電極とをそれぞれ備えた2つの角柱状振動アーム部と該アーム部の両端をそれぞれ支持する2つの基底部とが一体となった形状の双音叉型の圧電体振動ジャイロセンサであって、
    前記2つの角柱状振動アーム部それぞれの一方の半分を前記振動励振電極の形成部、他方の半分を検出電極の形成部としたことことを特徴とするジャイロセンサ。
  2. 前記それぞれの検出電極が前記他方の振動アーム部の検出電極形成部の基底部に近い位置に形成されたSAW共振子であることを特徴とする請求項1に記載の圧電体振動ジャイロセンサ。























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JP2008107271A (ja) * 2006-10-27 2008-05-08 Kyocera Kinseki Corp 角速度センサ
JP2011191091A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Seiko Epson Corp 音叉型振動片、振動子およびセンサー装置

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