JPH10153432A - 振動型ジャイロスコープ - Google Patents

振動型ジャイロスコープ

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JPH10153432A
JPH10153432A JP8315015A JP31501596A JPH10153432A JP H10153432 A JPH10153432 A JP H10153432A JP 8315015 A JP8315015 A JP 8315015A JP 31501596 A JP31501596 A JP 31501596A JP H10153432 A JPH10153432 A JP H10153432A
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JP
Japan
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vibration
phase difference
signal
vibrator
angular velocity
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Withdrawn
Application number
JP8315015A
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English (en)
Inventor
Takayuki Kikuchi
尊行 菊地
Shiyousaku Gouji
庄作 郷治
Yukihisa Osugi
幸久 大杉
Takao Soma
隆雄 相馬
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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Publication date
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Priority to EP97309539A priority patent/EP0844461B1/en
Priority to DE69718994T priority patent/DE69718994T2/de
Priority to CN97123015.3A priority patent/CN1101541C/zh
Priority to US08/991,011 priority patent/US6018212A/en
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Priority to US09/420,350 priority patent/US6346765B1/en
Priority to US09/884,288 priority patent/US6437483B2/en
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水平横置き型の圧電性を有する単結晶からなる
振動子を利用した振動型ジャイロスコープにおいて、回
転角速度の検出精度を向上させた振動型ジャイロスコー
プを提供する。 【解決手段】水平面内振動を駆動振動として用いる圧電
性を持つ単結晶を用いて構成された振動子であって、駆
動振動を駆動する駆動手段と、駆動手段による駆動振動
に伴って発生した駆動振動と異なる振動モードの振動状
態を検出する検出手段とを備える振動子(1、9、1
8、25)と、駆動振動を発生するために使用した電気
信号を参照信号とし、駆動振動に伴って発生した駆動振
動と異なる振動モードを持つ振動を検出手段によって電
気信号として取り出したときの信号を出力信号とすると
き、参照信号と出力信号の位相差を検出する位相差検出
手段40とを備え、位相検出手段により検出した位相差
の変化に基づいて角速度を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水平面内振動を駆
動振動として用いる圧電性を持つ単結晶を用いて構成さ
れた振動子を利用した振動型ジャイロスコープに関し、
特に回転角速度の検出を位相差に基づいて検出する振動
型ジャイロスコープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、回転系内の回転角速度を検出
するための角速度センサとして、圧電体を用いた振動型
ジャイロスコープが、航空機や船舶、宇宙衛星などの位
置の確認用として利用されてきた。最近では、民生用の
分野としてカーナビゲーションや、VTRやスチルカメ
ラの手振れの検出などに使用されている。
【0003】このような圧電振動型ジャイロスコープ
は、振動している物体に角速度が加わると、その振動と
直角方向にコリオリ力が生じることを利用している。そ
して、その原理は力学的モデルで解析される(例えば、
「弾性波素子技術ハンドブック」、オーム社、第491
〜497頁)。そして、圧電型振動ジャイロスコープと
しては、これまでに種々のものが提案されている。例え
ば、スペリー音叉型ジャイロスコープ、ワトソン音叉型
ジャイロスコープ、正三角柱型音片ジャイロスコープ、
円筒型音片ジャイロスコープ等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の圧電振
動型ジャイロスコープは、いずれの例でも振動子を回転
軸と平行に配置(縦置き)しなければ回転角速度を検出
することができない。通常、測定したい回転系の回転軸
は装着部に対して垂直であるため、このような圧電振動
型ジャイロスコープを実装する際、装着部に対して圧電
振動型ジャイロスコープの低背化を達成することが困難
であった。
【0005】近年になって、振動子を回転軸と垂直に配
置(横置き)しても回転角速度を検出できる圧電振動型
ジャイロスコープが、特開平8−128833号公報に
おいて提案されている。この例では、図10にその一例
を示すように、3つの弾性体51a、51b、51cの
先端に重量53を設ける。弾性体51a、51b、51
cをXY平面内で圧電素子54、55により互いに逆方
向の位相で振動させる。Z軸回りの回転角速度ωにより
発生するY方向のコリオリ力を、重量53の重心の位置
に作用させる。弾性体51a、51b、51cの面と重
量53の重心の位置とはZ方向に若干離れているため、
重量53の重心に作用したコリオリ力により弾性体51
a、51b、51cの先端がZ方向で互いに逆方向に曲
がる。この曲げ振動を圧電素子56、57で検出するこ
とで、Z軸回りの回転角速度ωを求めている。
【0006】上述した特開平8−128833号に記載
された圧電振動型ジャイロスコープでは、確かにその原
理上振動子を横置きしても回転角速度を検出することが
できる。しかしながら、重量53を設ける必要があるた
め低背化が不十分であった。また、低背化を十分にする
ために重量53の厚さを薄くすると、コリオリ力による
モーメントがその分小さくなり、曲げ振動が微小にな
り、測定感度が低くなる問題があった。
【0007】さらに、上述した構成の圧電振動型ジャイ
ロスコープの振動子では、振動子の構成上、駆動と検出
の振動方向が異なっている。すなわち、弾性体51a、
51b、51cが、XY平面内で振動した状態でZ方向
にも振動するという2方向への振動が必要であった。一
般に圧電振動型ジャイロスコープでは、駆動の振動モー
ドの固有周波数と検出の振動モードの固有周波数とは、
測定感度を良好にするため常に一定の関係を保つことが
要求されている。ここで、振動子の材料として単結晶を
考えてみると、単結晶は異方性を持っているため、振動
する方向によって、温度による固有周波数の変化が異な
る。そのため、上述した構成の振動子を単結晶で構成し
ようとすると、ある温度で振動と検出の固有周波数を一
定の関係に定めても、温度が変化するとその関係を維持
することができず、測定感度が温度によって変化しやす
いという問題があった。
【0008】一方、回転各速度の検知方法について、通
常の縦置きの振動子を有する振動型ジャイロスコープ
も、上述した横置きの振動子を有する振動型ジャイロス
コープも、コリオリ力により発生する駆動振動とはモー
ドの異なる振動子の振動を圧電セラミックの変位として
電気的に取り出し、その出力信号の振幅の大きさにより
回転角速度を測定していた。しかし、圧電性を有する単
結晶からなる振動子を水平横置きした振動型ジャイロス
コープでは、その構成上回転角速度の感度が低いため、
出力信号の振幅の大きさにより回転角速度を測定すると
検出精度が悪くなる問題があった。
【0009】この電圧変動や温度変動等の外的要因に起
因するノイズの問題を解決するため、縦置き音片型の振
動子において、駆動信号の位相と出力信号の位相と位相
差がコリオリ力により変化することに着目し、この位相
差の変化により回転角速度を測定する技術が特公平4−
14734号公報において開示されている。しかし、圧
電性を有する単結晶からなる振動子を水平横置きした振
動型ジャイロスコープに対し、上述した位相差の変化に
よる回転角速度の検出を適用しても、測定感度の点およ
び位相差と回転角速度との直線性の点で、満足のいく結
果を得ることができなかった。
【0010】本発明の課題は、水平横置き型の圧電性を
有する単結晶からなる振動子を利用した振動型ジャイロ
スコープにおいて、回転角速度の検出精度を向上させた
振動型ジャイロスコープを提供しようとするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の振動型ジャイロ
スコープは、水平面内振動を駆動振動として用いる圧電
性を持つ単結晶を用いて構成された振動子であって、駆
動振動を駆動する駆動手段と、駆動手段による駆動振動
に伴って発生した駆動振動と異なる振動モードの振動状
態を検出する検出手段とを備える振動子と、駆動振動を
発生するために使用した電気信号を参照信号とし、駆動
振動に伴って発生した駆動振動と異なる振動モードを持
つ振動を検出手段によって電気信号として取り出したと
きの信号を出力信号とするとき、参照信号と出力信号の
位相差を検出する位相差検出手段とを備え、位相検出手
段により検出した位相差の変化に基づいて角速度を検出
することを特徴とするものである。
【0012】本発明は、水平面内振動を駆動振動として
用いる圧電性を持つ単結晶を用いて構成された振動子か
らなる振動型ジャイロスコープにおいて、駆動振動に基
づく参照信号と検出振動に基づく出力信号との位相差を
求め、求めた位相差の変化に基づいて回転角速度を検出
することで、回転角速度の検出精度を向上させることが
できることを見い出したことによる。すなわち、水平横
置きの振動子を用いる振動型ジャイロスコープのよう
に、コリオリ力による振動子の振動が小さく、感度の低
いジャイロスコープでも、振動子の材質としてそれ自体
のQが高い圧電性を持つ単結晶、例えば水晶、LiNb
3 単結晶またはLiTaO3単結晶を使用すること
で、検出すべきジャイロ信号の、電圧変動や温度変動等
の外的要因に起因するノイズに対するS/N比を高める
ことができる。その結果、加工精度等に起因するもれ信
号と呼ばれる不要な振動による信号の振幅が本来のジャ
イロ信号の振幅よりも7倍以上大きい領域において、検
出感度は低いが位相差の変化と回転角速度との直線性が
良好な領域で回転角速度を検出できる。そのため、検出
精度を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1〜図4は本発明の振動型ジャ
イロスコープの主に振動子の形状を説明する。いずれの
例においても、振動子を構成する角部材を別部材で構成
することもできるが、特に単結晶より構成した場合の製
造の容易さなどから、一体で構成することが好ましい。
また、それらの材質も特に限定するものでないが、水
晶、LiNbO3 、LiTaO3 からなる単結晶を使用
することが好ましい。これらの単結晶を使用すると、検
出感度を良好にすることができるとともに、電圧変動や
温度変動等の外的要因に起因するノイズに対するS/N
比を高めることができる。また、温度変化に対して鈍感
であるため、温度安定性を必要とする車載用として好適
である。なお、上記単結晶の中では、LiNbO3 単結
晶、LiTaO3 単結晶が電気機械結合係数が相対的に
大きいことから、水晶よりもLiNbO3 単結晶または
LiTaO3 単結晶を使用することが好ましい。また、
LiNbO3 単結晶とLiTaO3 単結晶とを比較する
と、LiTaO3単結晶の方がLiNbO3 単結晶より
も電気機械結合係数が相対的にさらに大きいことから、
LiNbO3 単結晶よりもLiTaO3 単結晶を使用す
ることがさらに好ましい。
【0014】図1はこの実施形態に係る振動子1を示す
斜視図である。振動子1は、音叉型振動子と、支持体2
とを備えている。音叉型振動子は、一対の振動片3A、
3Bを備えており、各振動片3A、3Bは、それぞれ、
XY平面内で支持体2の先端部分に対して接続部5、基
部4を介して接続されている。支持体2の他端部が、外
部の固定部材6に対してXY平面内において固定されて
いる。一対の振動片3A、3Bは、互いにほぼ平行であ
り、かつ支持体2に対して平行に延びている。各接続部
5は、支持体2に対して略垂直方向に延びている。
【0015】図示しない励振手段により、各振動片3
A、3Bに、XY平面内において位相が完全に逆になる
ように、矢印Bで示すような振動を励起する。この状態
で、Z軸を中心として振動子1の全体を回転角速度ωで
回転させると、コリオリの力により、各振動片3A、3
Bには、矢印Dで示すように、Y軸に沿って互いに逆向
きの力が作用する。その結果、音叉型振動子において、
基部4および接続部分5の両端側で、基部4を中心とす
る互いに同じ向きのモーメントC1、C2が働く。この
モーメントC1、C2により、支持体2に、その固定部
分7を中心とするXY平面内の屈曲振動Aが生じる。こ
の屈曲振動Aを、図示しない屈曲信号検出手段により検
出することができる。
【0016】図2は他の振動子9を示す正面図である。
振動子9においては、基部10が固定部材6から垂直に
延びており、基部10の一方の端部10aが固定部材6
に固定されている。基部10内に所定の励振手段14
A、14Bが設けられている。基部10の他方の端部1
0b側に、基部10に対して垂直方向に延びる2本の屈
曲振動片12A、12Bが設けられている。
【0017】この振動子9の振動のモードについて説明
する。励振手段14A、14Bに対して駆動電圧を印加
し、基部10を、固定部材6への固定部分7を中心とし
て、矢印Eに示すように屈曲振動させる。この屈曲振動
に伴い、振動子9の基部10だけでなく、各屈曲振動片
12A、12Bの各点も、矢印Eのように振動する。
【0018】Z軸を回転軸とし、振動子9をz軸を中心
として回転させる。基部10を、矢印Eに示すように屈
曲振動させているときに、振動子9の全体をZ軸を中心
として回転させると、矢印Fで示すようにコリオリ力が
作用する。この結果、各屈曲振動片12A、12Bが、
それぞれ基部10の他方の端部10bとの接続部分11
を中心として、矢印Fで示すように屈曲振動する。
【0019】このように、基部10の屈曲振動によっ
て、各屈曲振動片12A、12BにおいてX−Y平面内
に発生するコリオリ力を、各屈曲振動片12A、12B
の接続部分11を中心とする屈曲振動に変換し、その屈
曲振動を検出手段13A、13B、13C、13Dのい
ずれかにより電気信号として検出することができる。
【0020】本発明においては、振動子を圧電単結晶に
よって形成するので、励振手段(検出手段)14A、1
4B、13A、13B、13C、13Dとしては、電極
を使用する。励振手段(または検出手段)14Aと14
Bとの一方があれば、少なくとも励振(または検出)を
行うことが可能である。また、検出手段(または励振手
段)13A、13B、13C、13Dのうちの一つがあ
れば、少なくとも検出(または励振)を行うことが可能
である。
【0021】また、前記のような振動子を、いわゆるH
型の形態の振動子に対して適用することができる。例え
ば、両端が固定されている固定片部と、固定片部の一方
の側に設けられている基部と、基部から基部の長さ方向
に対して交差する方向に延びる少なくとも一本の屈曲振
動片と、固定片部の他方の側に設けられている共振片と
を備えており、固定片部、基部、屈曲振動片および共振
片が実質的に所定平面内に延びるように形成されている
振動子を製造できる。
【0022】図3は、この実施形態に係る振動子18を
示す正面図である。振動子18では、固定片部19によ
って励振手段側と検出手段側とを分離している。固定片
部19の両端を固定部材17によって固定する。固定片
部19の一方の側に細長い基部24を設け、基部24の
端部24bから、基部24の長さ方向に対して直交する
方向に延びる2本の屈曲振動片27A、27Bを設けて
いる。
【0023】固定片部19の他方の側に、共振片40が
設けられている。共振片40は、固定片部19から垂直
方向に延びる長方形の支持部20を備えており、支持部
20内に所定の励振手段21A、21Bが設けられてい
る。支持部20の他方の端部20b側に、支持部20に
対して垂直方向に延びる2本の振動片23A、23Bが
設けられている。基部24の端部24aと共振片40の
端部20aとが、固定片部19に対して連続している。
【0024】この振動子18の振動のモードについて説
明する。励振手段21A、21Bに対して駆動電圧を印
加し、共振片40を、固定片部19との接続部分22を
中心として、矢印Gのように振動させる。この振動に対
する共振によって、基部24および一対の屈曲振動片2
7A、27Bが、固定部材19との接続部分25を中心
として、矢印Hのように振動する。
【0025】この振動子18の全体が、回転軸Zを中心
として回転すると、各屈曲振動片27A、27Bにコリ
オリ力が作用する。この結果、各屈曲振動片27A、2
7Bが、それぞれ接続部分26を中心として、矢印Iで
示すように振動する。この屈曲振動を、検出手段28
A、28B、28C、28Dによって検出することがで
きる。
【0026】また、図4は、三脚音叉型の振動子25を
示す正面図である。振動子25は、外部の固定部材に固
定されるべき基部29と、基部29から突出している3
本の音叉型の振動片26、27、28を備えている。両
端の振動片26、28は、基部29から細長く突出して
いる本体部分26a、28aと、各本体部分26a、2
8aから垂直方向に向かって延びている質量部26b、
28bとを備えている。各振動片26、28に検出用の
電極30、31が形成されている。中央の振動片27に
は、駆動用の一対の電極32A、32Bが形成されてい
る。
【0027】図1〜図4に示すいずれの例においても、
振動子を横置きにして振動型ジャイロスコープを構成で
きるため、装置の低背化を達成できる。また、振動子と
して所定の単結晶を使用しているため、振動子をエッチ
ング、研削などで作成できるため、振動子を簡単に製造
することができ、装置を低コストで作製することができ
る。さらに、図3に示すように、固定片部に対して対称
の位置に振動部と共振部とを設けて場合は、振動部に設
けた駆動手段と共振部に設けた検出手段の位置を離すこ
とができ、両者の電気機械的な結合などの悪影響を防止
することができる。
【0028】以下、上述した構成の圧電性を有する単結
晶からなる水平横置き振動子を備える振動型ジャイロス
コープにおける回転角速度の検出方法について説明す
る。まず、従来のジャイロスコープにおける回転角速度
の検出では、検出手段で検出した出力信号中に、加工精
度等に起因して、駆動信号の影響により発生する不要な
振動によるもれ信号が含まれることが認められている。
このもれ信号が大きいと出力信号中のコリオリ力に起因
するジャイロ信号の検出が難しくなるため、従来の出力
信号の振幅の大きさから回転角速度を求める方法では、
検出手段を2カ所に設け、この作動出力を取ること等の
手段により、もれ信号の影響をなくしていた。
【0029】このもれ信号の影響は、従来技術で説明し
た特公平4−14734号公報で開示されたような縦置
きの音片型の振動子でしかも恒弾性金属からなり検出感
度の高い振動子を使用した振動ジャイロスコープではあ
まり問題にならない。さらに、特公平4−14734号
公報で開示されているように、駆動信号と検出信号との
位相差の変化により回転角速度を検出する場合は、位相
差の変化にもれ信号の影響がほとんどないため、もれ信
号はほとんど問題とならない。
【0030】しかし、本願発明のように振動子を水平横
置きする場合は、その構成上コリオリ力に起因するジャ
イロ信号が小さくなり、検出感度が低いため、一般的に
考えると上述した位相差による検出をそのまま適用でき
ないものと考えられる。この点について、本発明者が種
々検討した結果、圧電性を有する単結晶を使用すること
で、もれ信号が大きくジャイロ信号が小さい領域でも参
照信号と出力信号との位相差から回転角速度を正確に検
出できることを見い出した。しかも、一般に測定に適す
ると考えられている領域よりも、もれ信号がかなり大き
くジャイロ信号がかなり小さい領域における出力信号の
方が、位相差と回転角速度との直線性が良好になり、さ
らに高い検出精度で測定できることを見い出した。
【0031】図5は本発明の振動型ジャイロスコープに
おける位相差検出手段の一例を示すブロック図である。
図5において、駆動振動を発生するために使用した電気
信号を参照信号とし、駆動振動に伴って発生した駆動振
動とは異なる振動モードを持つ振動を検出手段によって
電気信号として取り出した振動を出力信号とする。
【0032】具体的には、図1に示す例では、振動片3
Aまたは3Bに設けられる図示しない駆動電極に供給さ
れる電気信号が参照信号となり、支持体2に設けられる
図示しない検出電極から検出される電気信号が出力信号
となる。また、図2に示す例では、励振手段14A、1
4Bに供給される電気信号が参照信号となり、検出手段
13A、13B、13C、13Dから検出される電気信
号が出力信号となる。さらに、図3に示す例では、励振
手段21A、21Bに供給される電気信号が参照信号と
なり、検出手段28A、28B、28C、28Dから検
出される電気信号が出力信号となる。さらにまた、図4
に示す例では、電極30、31に供給される電気信号が
参照信号となり、電極32A、32Bから検出される電
気信号が出力信号となる。
【0033】なお、上述した例では参照信号として駆動
振動を発生するために使用した電気信号を用いたが、駆
動振動自体を共振させて得られた電気信号を参照信号と
することもできる。
【0034】図5に示す位相検出手段40において、出
力信号はAC増幅器41で増幅された後位相差検出回路
42に供給される。参照信号は参照信号前処理回路43
で波形等を整える前処理を行った後、同じく位相差検出
回路42に供給される。位相差検出回路42では、供給
された前処理済みの参照信号と出力信号との位相差を検
出する。検出した位相差はローパスフィルタ44および
DC増幅器45に供給され、位相差の大きさに応じた大
きさを持つ直流信号となる。上述した位相差検出手段4
0で求めた直流信号は、回転角速度検出回路46に供給
される。回転角速度検出回路46では、予め求めたおい
た直流信号の大きさと回転角速度との関係に基づき、回
転角速度を求めている。なお、上述した回路では、出力
信号と参照信号との位相差を直接数値として求めること
ができないため、位相差に応じた直流信号の大きさから
回転角速度を求めているが、直接位相差を数値として求
め、予め求めた位相差と回転角速度との関係に基づき、
回転角速度を求めることもできる。
【0035】以下、出力信号を構成するもれ信号とジャ
イロ信号との関係について説明する。本発明者は、図4
に示す構成でLiTaO3 単結晶からなる振動子を有す
る振動型ジャイロスコープにおいて、参照信号と出力信
号との位相差を求め、求めた位相差の変化と回転角速度
との関係を調べた。図6〜図8にその結果を示す。図6
は回転角速度が100°/sec におけるジャイロ信号と
もれ信号との比が1:100の場合の関係を、図7は回
転角速度が100°/sec におけるジャイロ信号ともれ
信号との比が1:7の場合の関係を、図8は回転角速度
が100°/sec におけるジャイロ信号ともれ信号との
比が5:1の場合の関係を、それぞれ示している。ここ
で、回転角速度が100°/sec におけるジャイロ信号
ともれ信号との比とは、回転角速度が100°/sec で
回転しているときに出力される出力信号のうちのコリオ
リ力によって励起された信号と、出力信号のうち回転角
速度がないときの出力信号との振幅の比をいう。なお、
各図中に示したベクトル図は、各ベクトルの起点を中心
として回転方向に位相角度をとり、半径方向に信号の大
きさをとり、各条件における出力信号、ジャイロ信号、
もれ信号の状態を示している。また、各図では、もれ信
号と参照信号とが同位相である場合を示し、もれ信号と
出力信号との位相差を、参照信号と出力信号との位相差
として記載している。ただし、もれ信号と参照信号にあ
る一定の位相差が存在する場合には、位相差の変化が図
のようになる。
【0036】図6の結果から、水平横置き型の振動子を
使用した振動型ジャイロスコープにおいても、圧電性を
有する単結晶を使用した場合に、図6に示すようなレベ
ルの微小位相差を検出でき、その場合は位相差と回転角
速度との間で高い直線性を得ることができることがわか
った。図7の結果からも、図6に示すほどではないが、
良好な直線性を得ることができることがわかった。一
方、図8の結果からは、位相差と回転角速度との直線性
が維持できず、使用範囲は回転角速度が±50°/sec
程度に限られ、回転角速度が70〜100°/sec の範
囲における判別は難しいことがわかった。以上の結果
を、位相差と回転角速度との直線性と、ジャイロ信号と
もれ信号との比との関係として図9にまとめた。
【0037】一般に±1%の直線性が必要と考えられて
いるため、図9の結果から上記条件を満たす範囲を求め
ると、ジャイロ信号ともれ信号との比が1:7かそれ以
上もれ信号の大きい領域において上記直線性の関係を得
ることができることがわかった。なお、もれ信号が大き
くなりすぎると、いくら圧電性を有する単結晶を使用し
ても検出限界を越えてしまう。そのため、もれ信号の上
限は、振動型ジャイロスコープの検出感度に応じて決定
される。
【0038】本発明では、上述したように、所定の回転
角速度においてジャイロ信号に対してもれ信号が所定の
関係以上に大きい領域では、検出感度は低下するが位相
差と回転角速度との直線性は良くなり、水平横置き型の
振動子をそれ自体の機械的品質係数が良好な圧電性を有
する単結晶で構成することで、従来よりも外的要因に起
因するノイズに対するS/N比を高めることができる。
また、もれ信号が大きく良いため、振動子の加工精度の
高い製造装置を必要としないので、加工コストを大幅に
下げることができるとともに、従来、場合によって行わ
れていた再加工による調整工程をなくすことができる。
また、従来場合によっては設けていたもれ信号を除去す
る回路等が不要となる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明かなように、本発明に
よれば、水平面内振動を駆動振動として用いる圧電性を
持つ単結晶を用いて構成された振動子からなる振動型ジ
ャイロスコープにおいて、駆動振動に基づく参照信号と
検出振動に基づく出力信号との位相差を求め、求めた位
相差の変化に基づいて回転角速度を検出することで、回
転角速度の検出精度を向上させることができる。すなわ
ち、水平横置きの振動子を用いる振動型ジャイロスコー
プのように、コリオリ力による振動子の振動が小さく、
感度の低いジャイロスコープでも、振動子の材質として
それ自体のQが高い圧電性を持つ単結晶、例えば水晶、
LiNbO3 単結晶またはLiTaO3 単結晶を使用す
ることで、検出すべきジャイロ信号の、電圧変動や温度
変動等の外的要因に起因するノイズに対するS/N比を
高めることができる。その結果、加工精度等に起因する
もれ信号と呼ばれる不要な振動による信号の振幅が本来
のジャイロ信号の振幅よりも7倍以上大きい領域におい
て、検出感度は低いが位相差の変化と回転角速度との直
線性が良好な領域で回転角速度を検出できる。そのた
め、検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する振動子の一例の構成を示す図
である。
【図2】本発明で使用する振動子の他の例の構成を示す
図である。
【図3】本発明で使用する振動子のさらに他の例の構成
を示す図である。
【図4】本発明で使用する振動子のさらに他の例の構成
を示す図である。
【図5】本発明の振動型ジャイロスコープにおける位相
差検出手段の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明においてもれ信号とジャイロ信号とが所
定の関係の場合の位相差と回転角速度との関係の一例を
示すグラフである。
【図7】本発明においてもれ信号とジャイロ信号とが所
定の関係の場合の位相差と回転角速度との関係の他の例
を示すグラフである。
【図8】本発明においてもれ信号とジャイロ信号とが所
定の関係の場合の位相差と回転角速度との関係のさらに
他の例を示すグラフである。
【図9】本発明における直線性ともれ信号とジャイロ信
号との比との関係を示すグラフである。
【図10】従来の振動子の一例の構成を示す図である。
【符号の説明】
2 支持体、3A、3B 振動片、13A、13B、1
3C、13D、28A、28B、28C、28D 検出
手段、14A、14B、14C、14D 励振手段、3
0、31、32A、32B 電極、40 位相検出手
段、41 AC増幅器、42 位相差検出回路、43
参照信号前処理回路、44 ローパスフィルタ、45
DC増幅器、46 回転角速度検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相馬 隆雄 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水平面内振動を駆動振動として用いる圧電
    性を持つ単結晶を用いて構成された振動子であって、駆
    動振動を駆動する駆動手段と、駆動手段による駆動振動
    に伴って発生した駆動振動と異なる振動モードの振動状
    態を検出する検出手段とを備える振動子と、駆動振動を
    発生するために使用した電気信号を参照信号とし、駆動
    振動に伴って発生した駆動振動と異なる振動モードを持
    つ振動を検出手段によって電気信号として取り出したと
    きの信号を出力信号とするとき、参照信号と出力信号の
    位相差を検出する位相差検出手段とを備え、位相検出手
    段により検出した位相差の変化に基づいて角速度を検出
    することを特徴とする振動型ジャイロスコープ。
  2. 【請求項2】前記駆動振動を発生するために使用した電
    気信号に代えて、駆動振動自体を共振させて得られた電
    気信号を参照信号とした請求項1記載の振動型ジャイロ
    スコープ。
  3. 【請求項3】前記圧電性を持つ単結晶が、水晶、LiN
    bO3 単結晶またはLiTaO3 単結晶である請求項1
    または2記載の振動型ジャイロスコープ。
  4. 【請求項4】前記水平面内振動を駆動振動として用いる
    振動子が音叉型振動子または3脚音叉型振動子である請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の振動型ジャイロスコ
    ープ。
  5. 【請求項5】前記位相差検出手段が、前記出力信号と前
    記参照信号との位相差を求める位相差検出部と、位相差
    検出部で検出した位相差から位相差の大きさに応じた直
    流電圧を得るローパスフィルタと、ローパスフィルタの
    出力を直流増幅する増幅器とからなる請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載の振動型ジャイロスコープ。
  6. 【請求項6】回転角速度100°/sec で回転している
    ときに出力される出力信号のうちコリオリ力によって励
    起された信号と、出力信号のうち回転角速度がないとき
    の出力信号との振幅の比が、1:7よりも回転角速度が
    ないときの出力信号が大きい状態で位相検出を行なう請
    求項1〜5のいずれか1項に記載の振動型ジャイロスコ
    ープ。
JP8315015A 1996-11-26 1996-11-26 振動型ジャイロスコープ Withdrawn JPH10153432A (ja)

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