JP2005073632A - 米粉パン生地の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】米粉パン生地を改質して、当該米粉パン生地を原料とする米粉製パンの品質を向上を図る。
【解決手段】微細な米粉を主成分とする原料に混捏用水を添加して混捏して米粉パン生地を生成する米粉パン生地の製造方法であって、前記混捏用水として水を被電解水とする電解にて生成される電解生成酸性水または電解生成アルカリ性水を採用するものであり、これらの電解生成水の機能を有効に利用して、米粉パン生地を改質し、同米粉パン生地を原料とする米粉製パンの品質を向上させる
【選択図】 図2

Description

本発明は、微細な米粉を主成分とする米粉パン生地の製造方法に関する。
近年、米の消費拡大を意図して、米粒を微細な粉末に粉砕する技術が開発されて、微細な米粉を主成分とする米粉製パンを製造する試みがなされている。製造された米粉製パンは、学校給食等に導入されている。しかしながら、米粉製パンは、小麦粉製パンとは、品質を大きく異にしていることから、その普及は十分には進捗していないのが実状である。米粉製パンと小麦粉製パンと品質の大きな差は、使用する原料の相違に起因するものである。米粉は、小麦粉に比較して内在性酵素が少ないため、本来澱粉から分解生成される、パン発酵に必要な酵母の栄養源(糖類)が不足し、米粉製パンは、発酵不足に起因する膨化不足を呈することになる。このため、米粉製パンの原料の主成分である米粉に糖類や砂糖を添加したり、砂糖の添加量を増大させる手段が採られているが、米粉製パンの抜本的な品質の改良が望まれている。
これに対処すべく、米粉製パンの品質を改良する方法が提案されている。当該品質の改良方法は、「米粉を用いたパンの製造方法」なる名称で提案されているもので、特殊な処理加工を施して生成した米粉を、米粉製パンの製造原料とするものである。当該米粉は、洗米および水漬け等の加水操作を行って調製した浸漬米をロール製粉機で粗粉砕した後、さらに気流粉砕機で微粉末にして生成されているものである。当該製造方法では、微粉砕してなる米粉を原料として使用することによって、きめ細かい良質のパンを製造するものであると主張している(特許文献1を参照)。
また、小麦粉を原料とする小麦粉生地を加工してなるパン、ピザ、その他の食品の製造において、各食品の品質に適した小麦粉の練り生地を生成するための品質の改良方法についても提案されている。当該改良方法は、「小麦粉製食品用練り生地の調製方法」なる名称で提案されているもので、小麦粉を主成分とする原料に混捏用水を添加して各種食品の生地を製造するであって、混捏用水として水を被電解水とする電解にて生成される電解生成水を採用するもので、目的とする食品に対応して、混捏用水として使用する電解生成水の種類を選択するものである。混捏用水として採用する電解生成水の作用機序は定かではないとしているが、原料として小麦粉を採用したパン生地を生成するストレート法においては、混捏用水として電解生成酸性水を使用した場合には、一般水を使用した場合に比較して、弾力性が高くてサクッとした食感があるとの結果を得ており、また、混捏用水として電解生成アルカリ性水を使用した場合には、一般水を使用した場合に比較して、ふっくらとした感触でしっとりとした食感があるとの結果を得ている(特許文献2)。
特開平6−7071号公報 特開平11−137162号公報
本発明者は、上記した特許文献2にて提案されている「小麦粉製食品用練り生地の調製方法」に着目して、混捏用水として電解生成水を使用してなるパン生地の製造方法について長期に渡って研究している。本発明の目的は、本発明者が長期に渡って知得した小麦粉パン生地の生成技術を米粉パン生地の生成に応用して、米粉製パンの品質を抜本的に改良することにある。
本発明は、米粉パン生地の製造方法に関するものである。本発明に係る米粉パン生地の製造方法は、微細な米粉を主成分とする原料に混捏用水を添加して混捏して米粉パン生地を生成する米粉パン生地の製造方法であって、前記混捏用水として、水を被電解水とする電解にて生成される電解生成水を採用することを特徴とするものである。本発明に係るパン生地の製造方法においては、混捏用水としては、水を被電解水とする有隔膜電解にて生成される電解生成酸性水および電解生成アルカリ性水を選択して使用することができる。これらの米粉パン生地の製造方法においては、前記原料の主成分である米粉に砂糖を混在させることが好ましい。
本発明に係る米粉パン生地の製造方法においては、米粉を主成分とする原料に対する混捏用水として、電解生成酸性水または電解生成アルカリ性水を使用して、米粉製パンの品質を改良するものである。本発明の米粉パン生地の製造方法における電解生成水の作用機序は定かではないが、本発明に係る製造方法で生成した米粉パン生地を原料とする米粉製パンの品質の改良については、下記の効果を確認している。下記の効果は、製造した米粉製パンにおけるクラムの官能検査、米粉製パンの外観、クラムの内相解析、クラムの物性(硬さ、弾力性)に基づくものである。また、下記の効果は、電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水間では、わずかに有意差が認められるものもあるが、総合的には、有意差はほとんど存在しないことも確認している。
電解生成水を混捏用水として生成された米粉パン生地を原料とする米粉製パンは、一般水を混捏用水として生成された米粉パン生地を原料とする米粉製パンに比較して、やわらかくて弾力があり、かつ、比容積が大きくてよく膨化していることをことを確認している。また、官能検査の評価でも、電解生成水を混捏用水として生成された米粉パン生地を原料とする米粉製パンは、一般水を混捏用水として生成された米粉パン生地を原料とする米粉製パンに比較して、総合的に好評であることを確認している。
また、本発明に係る米粉パン生地の製造方法は、米粉パン生地の生成には不可欠と認識されている、品質改良剤としての砂糖の添加量の減量にも有効である。電解生成水を混捏用水として生成された米粉パン生地を原料とする米粉製パンは、米粉パン生地への砂糖の添加量を減量しても、米粉製パンの品質の低下に及ぼす影響は皆無または極めて少ない。このため、本発明に係る米粉パン生地の製造方法を採用すれば、米粉パン生地への品質改良剤としての砂糖の添加量の減量することができ、これにより、食事用のパンとしてはやや甘みがあると評価されている従来の米粉製パンを、食事用パンとして適した食味に改質することができる。
本発明は、米粉パン生地の製造方法において、同パン生地を生成するために使用する混捏用水に電解生成水を使用して米粉パン生地を改質して、同パン生地を原料とする米粉製パンの品質を向上させることを意図しているものである。図1には、本発明に係る製造方法を採用して生成した米粉パン生地を原料とする米粉製食パンの製造工程の一例を示している。当該米粉パン生地の生成には、ストレート法を採用している。当該米粉製食パンの製造工程は、混捏工程、ベンチタイム工程、型詰め工程、発酵工程、および、焼成工程を備えている。
混捏工程は、微細な米粉を主成分とする原料に混捏用水を添加して混捏して米粉パン生地を生成する工程であって、本発明の主要部を構成する工程である。本実施形態においては、パン生地の原料としては、主成分である超微細な米粉に、ドライイースト、砂糖、食塩、ショートニングを添加したものを採用し、混捏用水として電解生成水を採用しているものである。混捏用水の選択は、焼成される米粉製食パンの所望の品質によって選択されるもので、有意差はさほどないが品質のこだわり等からは、電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水を適宜選択して使用することができる。
混捏用水に採用される電解生成水は、水を被電解水とする有隔膜電解にて生成される電解生成酸性水および電解生成アルカリ性水であって、電解生成酸性水は、有隔膜電解槽が有する陽極側電解室にて生成され、かつ、電解生成アルカリ性水は、有隔膜電解槽が有する陰極側電解室にて生成される。電解生成酸性水は、pHが3.0〜4.5の範囲で酸化還元電位が+600〜+800mVの範囲のものであることが好ましき、また、電解生成アルカリ性水は、pHが9.0〜10.5の範囲で酸化還元電位が−550〜−850mVの範囲のものであることが好ましい。本実施形態の米粉製食パンの製造工程を構成する混捏工程では、例えば、電解生成酸性水としてはpHが3.5で酸化還元電位が+673mVの電解生成酸性水が好適に採用される。また、電解生成アルカリ性水としては、pHが10.3で酸化還元電位が−743mVの電解生成アルカリ性水が好適に採用される。これらの電解生成水は、例えば一般の水道水を被電解水とし、有隔膜電解槽を有する電解水生成装置(例えばホシザキ電機株式会社製HOX−40A)を電解運転することにより生成される。なお、生成される電解生成水の特性は、当該電解水生成装置の電解運転の条件、たとえば、電解電流、電解時間等を適宜制御することにより設定される。
本発明の最大の特徴は、混捏用水として電解生成水を採用することにあり、混捏用水として電解生成水を採用して生成した米粉パン生地を焼成してなる米粉製食パンの品質を大幅に改良するものである。混捏工程では、主成分である原料、およびその他の全ての添加原料を一度に混合して15分間ミキシング(混捏ね)し、ミキシング後、生成された米粉パン生地を分割、成形し、ベンチタイム工程で15分間のベンチタイムを採り、ベンチタイムの終了後、型詰め工程において分割した米粉生地をパウンド型に型詰めする。型詰めされた米粉パン生地は、発酵工程において38℃で40分間発酵させ、発酵終了後の米粉パン生地を最後の工程である焼成工程において、210℃のオーブンで18分間焼成した。なお、混捏工程では、ホームベーカリー(松下電器産業株式会社製:SD−BT50)を使用して、ミキシングを行った。本実施形態では、焼成して生成された米粉製食パンは、25℃で2時間冷却の後、以下に示す各実施例における各種の測定に供された。
本実施形態で採用している当該米粉製食パンの製造工程にて生成された米粉製食パンは、混捏工程で使用する混捏用水として電解生成水を採用することにより、下記に示す点で品質の向上が認められる。下記の効果は、上記した実施形態を実施した実施例における米粉製パンのクラムの官能検査、米粉製パンの外観、クラムの内相解析、クラムの物性(硬さ、弾力性)の結果により裏付けられているものである。これらの効果については、電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水との間には、明確な有意差は認めらない。また、これら両電解生成水の作用機序については、未だ定かではない。
電解生成水を混捏用水として生成される米粉パン生地を原料とする米粉製パンは、一般水を混捏用水として生成した米粉パン生地を原料とする米粉製パンに比較して、やわらかくて弾力があり、かつ、比容積が大きくてよく膨化していることをことを確認している。また、官能検査の評価でも、電解生成水を混捏用水として生成した米粉生地を原料とする米粉製パンは、一般水を混捏用水として生成した米粉パン生地を原料とする米粉製パンに比較して、総合的に好評であることを確認している。
また、本発明に係る米粉パン生地の製造方法は、米粉パン生地の生成には不可欠と認識されている、品質改良剤としての砂糖の添加量の減量にも有効である。電解生成水を混捏用水として生成された米粉パン生地を原料とする米粉製パンは、米粉パン生地への砂糖の添加量を減量しても、米粉製パンの品質の低下に及ぼす影響は皆無または極めて少ない。このため、本発明に係る米粉パン生地の製造方法を採用すれば、米粉パン生地への品質改良剤としての砂糖の添加量を減量することができ、これにより、食事用のパンとしてはやや甘みがあると評価されている従来の米粉製パンを、食事用パンとして適した食味に改質することができる。
(1)米粉製食パンの製造:
本実施例では、上記した本発明の実施形態に係る米粉製食パンの製造方法を実施して、本発明の主要部である混捏工程で混捏用水として採用した電解生成水の効果の確認を行った。本実施例では、混捏用水として、電解生成酸性水(供試水1)、電解生成アルカリ生成水(供試水2)、および、一般の水道水(供試水3:比較例)を採用した。各供試水1〜3の特性を表1に示す。供試水1である電解生成酸性水は、供試水3である水道水に比較して、低いpH、高い酸化還元電位、および高濃度の溶存酸素等の特性で特徴付けられる。また、供試水2である電解生成アルカリ性水は、供試水3である水道水に比較して、高いpH、低い酸化還元電位、および低濃度の溶存酸素等の特性で特徴付けられる。
Figure 2005073632
本実施例では、パン製造の原料として下記の組成の原料、超微細米粉250g(新潟製粉株式会社製の超微細米粉福盛シトギ20B)、ドライイースト6g(日清製粉株式会社製のカメリア)、ショートニング15g(日本製粉株式会社製)、砂糖15g(市販の白砂糖)、食塩15g(市販の精製食塩)を採用している。但し、超微細米粉には、予めグルテンおよび糖類が所定量添加されている。混捏工程を実施するに当たっては、これらの全ての原料を3群用意して、各群の原料に混捏用水としての各供試水をそれぞれ添加して、ホームベーカリー(松下電器産業株式会社製SD−BT50)を使用して、15分間ミキシングを行った。ミキシング終了後、生成された米粉パン生地を直ちに分割・成形してベンチタイム工程にて15分間ベンチタイムを採り、その後、分割した米粉パン生地をバウンド型に詰めて、発酵工程にて、38℃で40分間発酵した。発酵終了後の米粉パン生地(バウンド型詰め状態)を焼成工程にて、210℃のオーブンで18分間焼成して米粉製食パンを生成した。生成された米粉製食パンについては、25℃で2時間冷却後、各特性の測定に供した。
(2)米粉製食パンのクラムの官能検査:
米粉製食パンの外皮内の白い部分を約5cm角に切分けたクラムを、パネル27名による官能検査に供した。官能検査では、評価項目を、色の白さ、香りのよさ、きめの細かさ、やわらかさ、弾力性、味のよさ、総合評価の7項目に設定して、これらの7項目のそれぞれを順位法に基づいて評価した。得られた評価の結果を表2に示す。但し、表2に示す数値は、パネル27名の平均値を表している。
Figure 2005073632
当該官能検査の評価を参照すると、「やわらかさ」の評価では、混捏用水として各電解生成水(電解生成酸性水および電解生成アルカリ性水)を使用した米粉製食パンは、混捏用水として水道水を使用した米粉製食パンに比較して、有意にやわらかいと評価されている。また、「総合評価」では、混捏用水として電解生成アルカリ性水を使用した米粉製食パンは、混捏用水として水道水を使用した米粉製食パンに比較して、有意に好まれる評価を示してる。なお、「きめの細かさ」の評価では、混捏用水として水道水を使用した米粉製食パンは、混捏用水として電解生成アルカリ性水を使用した米粉製食パンに比較して、有意にきめが細かいと評価されている。また、評価項目「色のしろさ」を除く残りの全ての評価項目では、混捏用水として各電解生成水を使用した米粉製食パンは、混捏用水として水道水を使用した米粉製食パンに比較して有意であるとの評価を受けており、特に、評価項目によっては、混捏用水として電解生成酸性水または電解生成アルカリ性水を使用した米粉製食パンは、混捏用水として水道水を使用した米粉製食パンに比較して、有意に優れているとの評価を受けている。
(3)米粉製食パンの外観
混捏用水として各電解生成水(電解生成酸性水および電解生成アルカリ性水)を使用した米粉製食パンと、混捏用水として水道水を使用した米粉製食パンとの比容積、および、クラストの色について比較検討した。各米粉製食パンの比容積は、菜種種子置換法を用いて測定し、また、各米粉製食パンのクラストの色は、色差計(ミノルタCR−10)を用いて測定した。得られた結果を表3に示す。なお、以下の説明では、混捏用水として電解生成酸性水を使用した米粉製食パンを電解生成酸性水使用の食パン、混捏用水として電解生成アルカリ性水を使用した米粉製食パンを電解生成アルカリ性水使用の食パン、混捏用水として水道水を使用した米粉製食パンを水道水使用の食パンと簡略して表記する。
Figure 2005073632
表3を参照すると、各米粉製食パンの比容積については、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較して有意に大きいことが確認される。この結果からは、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較してやわらかいことを推測し得る。クラストの色については、電解生成酸性水使用の食パンでは、水道水使用の食パンに比較して、黄色を表すb値が有意に高く、かつ、赤を表すa値もわずかに高いことから、オレンジ色に着色していることが確認される。なお、これら両クラストの色差(ΔE)が4.
2であることから、両クラストの色の違いは肉眼で視認可能であると思われる。一方、電解生成アルカリ性水使用の食パンでは、水道水使用の食パンとの間では、クラストの色の有意差は認められない。
(4)クラムの内相
各電解生成水使用の各食パン(米粉製食パン)と水道水使用の食パン(米粉製食パン)とのクラムの内相について比較検討した。クラムの内相については、クラムのガスセルの大きさを画像解析によって比較した。各食パンの断面の中心部分を縦横180画素、0から180階調の範囲で二値化し、その面積からガスセルの円相当径(mm)を算出した。得られた結果を表4に示す。
Figure 2005073632
表4を参照すると、ガスセルの円相当径については、電解生成酸性水使用の食パンおよび電解生成アルカリ性水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較して有意に大きいことが確認される。この結果は、先に示した比容積の結果と一致しており、膨化に伴ってガスセルが大きくなっているものと推測される。また、官能検査では、水道水使用の食パンでは「きめが細かい」との評価を受けているが、水道水使用の食パンは、各電解生成水使用の食パンに比較してガスセルが小さいことによるものと推測される。
(5)クラムの物性
各米粉製食パンの物性の相違を明らかにするため、各米粉製食パンのクラム(食パンの断面中心部分から切出した30mm角)を、咀嚼試験に供した。咀嚼試験は、レオメータ(レオテック社製)にて、直径12.7mmのアクリル製プランジャーを使用して、圧縮率80%で測定した。得られた結果を、硬さについては図2(a)のグラフに示し、凝集性(弾力性)については図2(b)のグラフに示す。
図2の各グラフを参照すると、硬さについては、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較して有意に低下していることが確認される。この結果は、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較してやわらかいことを意味している。また、凝集性については、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較して有意に増加していることが確認される。この結果は、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較して弾力性があることを意味している。
(6)モデル実験
電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較して、パンの膨化性が向上してパンの物性が改質されたものと認められる。電解生成水による膨化性の改変要因としては、電解生成水のpH、イオン濃度、酸化還元電位等が、米粉の成分である澱粉や蛋白質に何らかの影響を与えているものと推測される。このため、電解生成水が米粉の成分である澱粉および蛋白質に与える影響について、モデル実験を試みた。モデル実験では、第1に、米粉の蛋白質を各供試水を用いて溶出する実験を行い、蛋白質の溶出量をブラッドフォード法により測定した。得られた結果を表5に示す。また、モデル実験では、第2に、米粉の澱粉を各供試水を用いて糊化する実験を行い、そのRVA測定を行った。得られた結果を表6に示す。
Figure 2005073632
Figure 2005073632
米粉からの蛋白質の溶出量について、ブラッドフォード法による測定結果である表5を参照すると、電解生成酸性水による溶出量は、電解生成アルカリ性水および水道水による溶出量に比較して、有意に多く溶出されていることが確認された。この結果からは、電解生成酸性水使用の食パンがやわらかくて弾力性が高いのは、蛋白質の溶解性と関係があって、グルテンの分散がよくなったことが一要因であるものと推測される。
RVA測定の結果である表6を参照すると、電解生成アルカリ性水を用いる場合の最高粘度およびブレークダウンは、電解生成酸性水および水道水を用いた場合に比較して有意に高く、電解生成アルカリ性水は、電解生成酸性水および水道水とは糊化特性を異にしていることが確認される。この結果からは、電解生成アルカリ性水の糊化特性が、米粉製食パンの物性や比容積に影響を与えているものと推測される。一方、電解生成酸性水は、糊化特性については、水道水とは差が認められないことから、電解生成酸性の蛋白質に対する溶解特性が、米粉製食パンの物性や比容積に影響を与えているものと推測される。
(1)砂糖減量米粉製食パンの製造:
本実施例は、米粉パン生地を生成する際に不可避的に添加される砂糖の添加量を低減した場合の、各供試水による米粉製パンの品質改良の影響を意図したものである。一般に、米粉は小麦粉に比較して内在性酵素に乏しく、酵母の栄養源である糖が生成され難いと考えられている。このため、米粉製のパンを製造する際には、予め米粉に糖類をブレンドしたり、米粉パン生地への砂糖の添加量を増やすといった工夫がなされている。米粉パン生地への砂糖の添加量を増やすと、当該米粉パン生地を原料とするパンには甘味が増え、食パン等の食事パンとしてはやや甘みがあって好適なものとはいえなくなる。このため、特に、食パン等の食事パンの製造では、砂糖の米粉パン生地への添加量をできるかぎり減量することが望ましい。
本実施例では、砂糖の米粉パン生地への添加量を、従来の添加量(実施例1での砂糖の添加量)より20%減量した以外には、実施例1とは全く同じ原料、および、同じ混捏用水(供試水1〜3)を使用して米粉パン生地を生成し、同じ工程を経て米粉製食パンを製造した。
製造した各米粉製食パン(電解生成酸性水使用の食パン、電解生成アルカリ性水使用の食パン、および、水道水使用の食パン)について、実施例1と同様に、米粉製食パンの外観(比容積、クラストの色)を比較検討し、クラムの内相(ガスセルの円相当径)を比較検討し、クラムの物性(硬さ、凝集性)を比較検討した。得られた結果を、米粉製食パンの外観につては表7に、クラムの内相については表8に、クラムの物性については図3(a),(b)のグラフに示す。
Figure 2005073632
Figure 2005073632
(2)米粉製食パンの外観:
米粉製食パンの外観を比較検討した結果である表7を参照すると、各米粉製食パンの比容積については、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較して有意に大きいことが確認される。この結果からは、米粉パン生地へ添加する砂糖を減量することにより、混捏工程の初期に、砂糖に吸収される水分が減少し、結果的にグルテンに使われる水の量が増えて反応が進み易くなったためと推測される。
クラストの色については、米粉パン生地へ添加する砂糖を減量することにより、アミノカルボニル反応が抑制されて、やや薄くなったことが確認できる。また、各電解生成水使用の食パンでは、水道水使用の食パンに比較して若干濃い焼き色がつくことが確認される。この結果からは、電解生成水使用の場合には、澱粉が低分子化し、アミノカルボニル反応が促進されたためと推測される。
(3)クラムの内相
米粉製食パンの内相を比較検討した結果である表8を参照すると、クラムのガスセルの大きさを画像解析して算出されるガスセルの円相当径(mm)については、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較して有意に大きいことが確認される。但し、その有意差は、砂糖を減量したことにより、電解生成アルカリ性水使用の食パンではより大きく、電解生成酸性水使用の食パンではより小さくなることが確認される。
(4)クラムの物性
クラムの咀嚼試験の結果である図3(a),(b)を参照すると、図3(a)に示す硬さについては、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較して有意に低下していることが確認される。この結果は、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較してやわらかいことを意味しており、クラムの「やわらかさ」の改質には砂糖の減量の影響はほとんど認められない。
また、凝集性については、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較してわずかに増加していることが確認される。しかしながら、凝集性については、各電解生成水使用の食パンは、水道水使用の食パンに比較して有意に増加しているもとは認められないが、食パンの比容積およびクラムの硬さの改質程度を考慮すれば、米粉パン生地への砂糖の添加量を減量しても、電解生成水使用の米粉製食パンの品質の改良は可能であるもと認められる。
本発明に係る米粉パン生地の製造方法を採用した米粉製食パンを製造する一実施形態である製造工程を示す製造工程図である。 実施例1で製造した米粉製食パンのクラムの物性である硬さを示すグラフ(a)、および、凝集性を示すグラフ(b)である。 実施例2で製造した米粉製食パンのクラムの物性である硬さを示すグラフ(a)、および、凝集性を示すグラフ(b)である。

Claims (4)

  1. 微細な米粉を主成分とする原料に混捏用水を添加して混捏して米粉パン生地を生成する米粉パン生地の製造方法であり、前記混捏用水として、水を被電解水とする電解にて生成される電解生成水を採用することを特徴とする米粉パン生地の製造方法。
  2. 請求項1に記載の米粉パン生地の製造方法において、前記原料に添加する混捏用水は、水を被電解水とする有隔膜電解にて生成される電解生成酸性水であることを特徴とする米粉パン生地の製造方法。
  3. 請求項1に記載の米粉パン生地の製造方法において、前記原料に添加する混捏用水は、水を被電解水とする有隔膜電解にて生成される電解生成アルカリ性水であることを特徴とする米粉パン生地の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の米粉パン生地の製造方法において、前記原料の主成分には砂糖を混在させることを特徴とする米粉パン生地の製造方法。
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