JP4278376B2 - パン生地の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中種生地法によるパン生地の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パン生地を焼成して生成されるパンの品質の良し悪しは、パン生地の品質の良し悪しに大きく関連している。このため、パン生地の製造には、最大限の配慮が必要であり、一般には、パン生地に、パンの物性を改良するための食品改質剤を添加したり、パンに旨味を付与するための食品改質剤を添加したりしている。
【0003】
近年、電解生成水の機能性に着目して、電解生成水を使用して食品の品質を向上させる試みがなされている。本出願人は、パン生地を生成する混捏用水に電解生成水を使用してパン生地の品質の向上を図り、当該パン生地を焼成して生成されるパンの品質を向上させる試みを行って良好な結果を得ている。この成果については、「小麦粉製食品用練り生地の調製方法」の名称ですでに出願済みである(特許文献1を参照)。
【0004】
上記した特許文献1に記載の発明は、幾多の方式があるパン生地の製造方法のうちの直捏生地法(ストレート法)に基づき裏付けられているものであり、当該直捏生地法は、手作りのパン屋やホテル等小規模な製パンメーカで採用されているものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−137162号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パンの製造量は、手作りのパン屋やホテルでの製造されるパンに比較して、専用の大手製パンメーカが製造する一般向けパンが圧倒的に多く、一般向けパンの製パンメーカでは、パン生地の製造に直捏生地法とは異なって中種生地法を採用している。当該中種生地法は、パン生地を構成する所定の各成分を混捏して中種を生成する中種捏工程と、同中種捏工程で生成されて発酵された発酵中種とパン生地を構成する所定の各成分を混捏してパン生地を生成する本捏工程の2工程の捏工程を有するもので、パン生地の品質を向上させるためには、これら両捏工程で使用する混捏用水に配慮が必要となる。
【0007】
本発明は、一般向けパンの製パンメーカで採用している中種生地法に着目してなされたもので、本発明の目的とするところは、当該中種生地法に基づくパン生地の製造方法での両捏工程で使用される混捏用水を特定することにより、パン生地の品質を改質して、当該パン生地を焼成して生成されるパンの品質を向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はパン生地の製造方法に関するもので、パン生地を構成する所定の各成分を混捏して中種を生成する中種捏工程と、同中種捏工程で生成されて発酵工程を経た発酵中種とパン生地を構成する所定の各成分を混捏してパン生地を生成する本捏工程を有する中種生地法による方式のパン生地の製造方法を適用対象とするものである。
【0009】
しかして、本発明に係るパン生地の製造方法においては、前記中種生地法における前記中種捏工程で使用する混捏用水および本捏工程で使用する混捏用水として、被電解水を有隔膜電解して生成される電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水の2種類の電解生成水を採用して、これら両電解生成水を前記両捏工程の混捏用水に使い分けすることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係るパン生地の製造方法における第1の製造方法は、前記中種捏工程で使用する混捏用水に電解生成酸性水を使用し、かつ、本捏工程で使用する混捏用水に電解生成アルカリ性水を使用することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係るパン生地の製造方法における第2の製造方法は、前記中種捏工程で使用する混捏用水に電解生成アルカリ性水を使用し、かつ、本捏工程で使用する混捏用水に電解生成酸性水を使用することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の作用・効果】
本発明に係る第1の製造方法にて生成されるパン生地によれば、両捏工程の混捏用水に水道水等の一般水を採用したパン生地に比較して、きめ細かくてやわらかい食パン、弾力性の高い食パン、よく膨らみ旨みに富む食パン等、総合的に味が良くて官能評価も高いパンを製造することができる。
【0013】
また、本発明に係る第2の製造方法にて生成されるパン生地によれば、両捏工程の混捏用水に水道水等の一般水を採用したパン生地に比較して、きめ細かくてやわらかい食パン、白くて食欲がわく食パン、よく膨らみグルタミン酸量が豊富で味の良い食パン等、総合的に味が良くて官能評価も高いパンを製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、中種生地法を採用したパン生地の製造方法に関するもので、当該製造方法によってパン生地を改質して、当該パン生地を焼成して生成されるパンの品質の向上を図るものである。図1には、本発明に係るパン生地の製造方法を採用して生成されたパン生地を焼成して、食パンを製造する食パンの製造工程図である。
【0015】
当該食パンの製造工程は、中種捏工程、中種発酵工程、本捏工程、ベンチタイム工程、成形・型詰工程、最終発酵工程および焼成工程を備えている。中種捏工程は中種を生成する工程であって、パン生地を構成する各成分である強力粉、ドライイースト、イーストフードを混捏水を使用して、所定時間(例えば5分間)混捏して中種を生成する。
【0016】
中種捏工程では、一般には、混捏用水として水道水等の一般水が採用されているが、本発明においては、混捏用水として電解生成水を採用している。中種捏工程で生成された中種は、中種発酵工程で、所定温度(例えば28℃)で所定時間(例えば3時間)発酵に付されて発酵中種となる。生成された発酵中種は、本捏工程に供される。
【0017】
本捏工程は、パン生地の原形を生成する工程であって、発酵中種と、パン生地を構成する各成分である強力粉、上白糖、食塩を混捏用水を使用して所定時間、例えば5分間混捏し、さらに、これにショートニングを投入して5分間混捏してパン生地の原形を生成する。生成されたパン生地の原形はベンチタイム工程に供されて、例えば25℃、15分間のベンチタイムに付される。本捏工程では、一般には、混捏用水として水道水等の一般水が採用されているが、本発明においては、混捏用水として電解生成水を採用している。
【0018】
ベンチタイム工程を経て生成されたパン生地は、成形・型詰工程でワンローフ型に型詰めされて最終発酵工程に供され、最終発酵工程では、所定温度(例えば38℃)で所定時間(例えば50分間)発酵に付される。最終発酵済みの型詰めパン生地は、焼成工程に供されて、所定温度(例えば200℃)で所定時間(例えば25分間)焼成に付されて、食パンが生成される。
【0019】
本発明の最大の特徴は、中種生地法を構成する中種捏工程および本捏工程で使用する両混捏用水に、2種類の電解生成水を使い分けしていることである。本発明で採用する電解生成水は、水道水等の一般水を被電解水とする有隔膜電解にて生成される、電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水である。
【0020】
本発明で採用する電解生成水を生成するための被電解水は、好ましくは一般の水道水である。一般の水道水は、pHが7前後(pH5.8〜8.6)のものであって、当該水道水を被電解水として有隔膜電解すれば、陽極側電解室では酸性水(電解生成酸性水)が生成され、かつ、陰極側電解室ではアルカリ性水(電解生成アルカリ性水)が生成される。
【0021】
有隔膜電解にて生成される電解生成水を水道水と対比した場合の大きな特徴は、電解生成酸性水にあっては、pHが低く、酸化還元電位が高く、溶存酸素濃度が高く、かつ、カチオン濃度が低いことにある。また、電解生成アルカリ性水にあっては、pHが高く、酸化還元電位が低く、溶存酸素濃度が低く、かつ、カチオン濃度が高いことにある。電解生成酸性水および電解生成アルカリ性水を、パン生地を生成する混捏用水として採用した場合には、これらの特性が、パン生地の生成に大きく影響を及ぼしてパン生地を改質し、味がよくて官能評価の高いパンを製造することができる。
【0022】
本発明に係るパン生地の製造方法においては、その第1の製造方法にあっては、中種捏工程で使用する混捏用水に電解生成酸性水を使用し、かつ、本捏工程で使用する混捏用水に電解生成アルカリ性水を使用するものである。また、その第2の製造方法にあっては、中種捏工程で使用する混捏用水に電解生成アルカリ性水を使用し、かつ、本捏工程で使用する混捏用水に電解生成酸性水を使用するものである。
【0023】
本発明に係る第1の製造方法にて生成されるパン生地によれば、後述する実施例の結果から明らかなように、両捏工程の混捏用水に水道水を採用したパン生地に比較して、きめ細かくてやわらかい食パン、弾力性の高い食パン、よく膨らみ旨み富む食パン等、味が良くて官能評価も高いパンを製造することができる。
【0024】
また、本発明に係る第2の製造方法にて生成されるパン生地によれば、後述する実施例の結果から明らかなように、両捏工程の混捏用水に水道水を採用したパン生地に比較して、きめ細かくてやわらかい食パン、白くて食欲がわく食パン、よく膨らみ旨み富む食パン等、味が良くて官能評価も高いパンを製造することができる。
【0025】
【実施例】
本実施例では、図1に示す製造工程に基づいて、食パンを製造する実験を行った。本実験における中種生地法に基づくパン生地の製造では、両捏工程で使用する混捏用水に、電解生成酸性水、電解生成アルカリ性水、および一般の水道水を採用してパン生地を生成して、これらのパン生地を焼成して製造した食パンの品質の評価を行った。本実験では、両捏工程で使用する混捏用水の組み合わせを5通りとした。
【0026】
(1)混捏用水:混捏用水としては、水道水(pH6.3)、および、同水道水を被電解水とする有隔膜電解にて生成した電解生成酸性水(pH3.5)、電解生成アルカリ性水(pH10.3)を採用した。各電解生成水の生成には、有隔膜電解槽を具備する電解水生成装置(ホシザキ電機株式会社製HOX−40A)を使用した。
【0027】
中種生地法に基づくパン生地の製造では、中種捏工程および本捏工程で使用する混捏用水の組み合わせ(中種捏工程−本捏工程)を、電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水(実施例1)、電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水(実施例2)、および、水道水−水道水(比較例1)、電解生成酸性水−電解生成酸性水(比較例2)、電解生成アルカリ性水−電解生成アルカリ性水(比較例3)の5通りとした。
【0028】
混捏用水に採用した水道水、電解生成酸性水、および電解生成アルカリ性水の特性を表1に示す。但し、表1に示す各特性の単位は、酸化還元電位(mV)、電気伝導度(mS/cm)、残留塩素濃度(mg/L)、溶存酸素濃度(mg/L)であり、各カチオンの単位は濃度(mg/L)である。
【0029】
【表1】
Figure 0004278376
【0030】
(2)供試材料:中種捏工程では、中種を生成する成分として、強力粉190g(日清製粉株式会社製)、ドライイースト3g(日清製粉株式会社製)、イーストフード0.3g(オリエンタル酵母工業株式会社製)、混捏用水120mLを採用した。また、本捏工程では、発酵中種に混捏する成分として、強力粉90g(日清製粉株式会社製)、上白糖14g(一般市販品)、食塩5.6g(一般市販品)、ショートニング11g(日本製粉株式会社製)、混捏用水70mLを採用した。
【0031】
(3)食パンの製造:中種捏工程…強力粉190g、ドライイースト3g、イーストフード0.3g、混捏用水120mLを合わせて5分間混捏して、中種を生成した。中種発酵…中種を28℃で3時間発酵して、発酵中種を生成した。本捏工程…発酵中種に、強力粉90g、上白糖14g、食塩5.6g、混捏用水70mLを加えて5分間混捏し、これにショートニング11gを加えてさらに5分間混捏してパン生地を生成した。ベンチタイム工程…パン生地を25℃で15分間ベンチタイムに付した。
【0032】
最終発酵工程…調製されたパン生地をワンローフ型に詰めて、38℃で50分間最終発酵した。焼成工程…最終発酵して調製されたパン生地をワンローフ型に収容した状態で、200℃に設定したオーブンで25分間焼成し、焼成終了後1時間放置して放冷した。製造した各食パンについては、以下に示す官能試験、および、各種の機器測定の試験に供した。
【0033】
(4)官能試験:製造した各食パンのクラム(食パンの白い部分)を使用して、パネル31名による2点嗜好試験法に基づく官能試験を行った。官能評価の結果を、表2および表3に示す。但し、官能試験では、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)の3種類の食パンを供試パンとして採用した。
【0034】
表2は、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)と、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)の対比である。また、表中の各数値は、評価項目で良を選択したパネルの人数(合計31)を示す。また、表3は、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)と、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)の対比である。また、表中の各数値は表2と同様、評価項目で良を選択したパネルの人数(合計31)を示す。
【0035】
【表2】
Figure 0004278376
【0036】
【表3】
Figure 0004278376
【0037】
2点嗜好試験法に基づく一方の官能評価(表2参照)においては、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)では、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)に比較して、評価項目中、きめの細かさ、味の良さ、好ましさを評価した人が極めて多い。また、香りの特性については、これらの特性ほどの有意差は認められないが、評価した人が多く、十分に高い評価を得ている。
【0038】
また、2点嗜好試験法に基づく他方の官能評価(表3参照)においては、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)では、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)に比較して、評価項目中、白さ、やわらかさの特性を評価した人が極めて多い。また、好ましさの特性については、これらの特性ほどの有意差は認められないが、評価した人が多く、十分に高い評価を得ている。
【0039】
(5)硬さおよび弾力性の測定試験:各食パンの硬さと弾力性の機器による測定試験を行った。食パンをスライスしたスライス片の中心部から、30mm角の片を切り出して試験片とし、各試験片を、レオテックのレオメータを用いて、直径12.7mmのアクリル製プランジヤーにて咀嚼試験を行った。当該咀嚼試験で得られた硬さの結果については、表4の硬さの欄に示し、弾力性の結果については、表4の凝集性(弾力性)の欄に示す。但し、硬さの単位は(g)である。
【0040】
硬さおよび弾力性の測定試験では、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(比較例2)、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(比較例3)の5種類の食パンを供試パンとして採用した。
【0041】
【表4】
Figure 0004278376
【0042】
硬さの特性については、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)、および、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(比較例2)に比較して、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)、および、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)は共に有意にやわらかいことが認められる。
【0043】
この有意差は、電解生成アルカリ性水の高いpHに起因して、澱粉の糊化が促進されたためと推測される。また、混捏用水は、中種捏工程における混捏用水の使用量が多いことから、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)の方がよりやわらかい結果が出ているものと推測される。この理由により、混捏用水を電解生成アルカリ水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(比較例3)は、よりやわらかであるとの結果を得ている。
【0044】
弾力性の特性については、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)に比較して、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)、および、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(比較例2)は共に有意に高いことが認められる。この有意差は、電解生成酸性水の低いpHに起因して、初期の中種捏工程で、小麦タンパク質の溶解が促進されるとともに、電解生成酸性水の高い酸化還元電位に起因して、グルテンネットワークが強固になったためと推測される。
【0045】
以上の結果から、食パンの特性であるやわらかさおよび弾力性の両方の特性に関しては、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)、および、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)が良いことが確認される。
【0046】
(6)食パンの比容積の測定試験:製造した各食パンの体積と重量から、その比容積を算出する試験を行った。但し、比容積の測定試験では、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)の3種類の食パンを供試パンとして採用した。各食パンの算出された比容積の結果を、上記した表4の比容積の欄に示す。なお、比容積の単位は(ml/g)である。
【0047】
食パンの比容積は、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)に比較して、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)、および、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)、すなわち、混捏用水に電解生成水を採用した場合は、有意に比容積が大きいことが認められる。これは、混捏用水に電解生成水を採用した場合は、食パンがよく膨化して、かつ、やわらかになっていることを意味する。また、焼成された外観を比較した場合にも、混捏用水に水道水を使用した場合(比較例1)に比較して、混捏用水に電解生成水を採用した場合(実施例1,2)の方が、若干大きく膨らんでいる状態が確認され、釜のびがよいことが確認される。
【0048】
(7)食パンの内相分析試験:各食パンのクラムを供試パンとして、各クラムの内相を、画像解析ソフトに基づいて分析する試験を行った。食パンをスライスしたスライス片の中心部から縦横300画素、0から100階調の範囲で二値化し、その面積から、ガスセルの円相当径を算出した。得られたガスセルの円相当径の結果を、上記した表4の円相当径の欄に示す。なお、ガスセルの円相当径の単位は(mm)
但し、内相分析試験では、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)の3種類の食パンを供試パンとして採用した。
【0049】
食パンの内相分析試験の結果であるガスセルの円相当径は、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)に比較して、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)、および、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)、すなわち、混捏用水に電解生成水を採用した場合は、有意にガスセルの円相当径が小さいことが認められる。これは、混捏用水に電解生成水を採用した場合は、食パンのきめが細かくなることを意味し、官能評価とよく一致している。
【0050】
混捏用水に電解生成水を採用した場合(実施例1,2)の食パンは、比容積が大きくてよく膨化しているにも関わらず、きめが細かくなる理由は定かではないが、混捏用水に電解生成水を採用した場合(実施例1,2)の食パンでは、初期にグルテンが強固に発達していて膨化の圧力に耐え、初期の気泡核をよく保持していたためと推測される。
【0051】
(8)食パンの色測定試験:各食パンのクラムを供試パンとして、各クラムの色を測定する色測定試験を行った。色測定試験には、食パンの内相分析試験で調製したクラムと同様に調製したクラムを供し、各クラムをミノルタ色差計CR−10を使用して色の測定を行った。得られた結果を表5に示す。
【0052】
但し、色測定試験では、混捏用水を電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水に組み合わせた場合(実施例1)、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)の3種類の食パンを供試パンとして採用した。
【0053】
【表5】
Figure 0004278376
【0054】
色の測定では、各食パンとも大きな有意差は認められないが、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)は、混捏用水を水道水−水道水に組み合わせた場合(比較例1)に比較して、若干高いL値を示している。L値は、明るさを示すことから、混捏用水が電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水の組み合わせの場合(実施例2)の食パンは、他の場合の食パンに比較してより白色を呈しているものといえる。この結果は、官能評価と一致している。
【0055】
この理由は定かではないが、混捏用水を電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水に組み合わせた場合(実施例2)には、2回目の加水(本捏工程)で、電解生成酸性水を加えているため、本捏ね終了時のパン生地ではpHが弱酸性であって、フラボノイド系色素が白く発色したためであると推測される。
【0056】
(9)遊離糖およびグルタミン酸の測定試験:各食パンのクラムを供試パンとして、各クラムの遊離糖およびグルタミン酸を測定する試験を行った。当該測定試験は、官能評価において、混捏用水が電解生成水である場合(実施例1,2)の食パンは良い味であるとの評価を得ていることに基づくものである。
【0057】
測定試料として、凍結乾燥させたクラムを粉砕して生成された粉末を使用し、遊離糖の測定では、HPLC測定機を用いてフルクトース、グルコース、マルトースを測定した。また、グルタミン酸の測定では、同様の測定試料を使用して、F−キット(ロシュ・ダイアグノティクス社製)を用いて測定した。得られた結果を上記した表4の遊離糖の特性の欄、および、同表のグルタミン酸の特性の欄に示す。なお、遊離糖およびグルタミン酸の単位は(mg/g)である。
【0058】
遊離糖の測定結果では、いずれの食パン間でも有意差は認められず、混捏用水の食味には及ぼす影響は少ない。しかしながら、糖それぞれに着目すると、混捏用水が電解生成アルカリ性水−電解生成酸性水である場合(実施例2)には、グルコースが減少していることが認められる。この現象は、グルコースが酵母の餌となり、発酵が促進された結果であるものと推測される。このことは、機器測定値および官能評価(やわらかい特性)と一致している。
【0059】
また、混捏用水が電解生成酸性水−電解生成アルカリ性水である場合(実施例1)には、マルトースが減少し、グルコースが増加している。この現象は、α−グルコシターゼの活性が上がり、マルトースがグルコ−スに分解しているためと推測される。
【0060】
グルタミン酸の測定結果では、混捏用水が電解生成水である場合(実施例1,2)は、混捏用水が水道水(比較例1)の場合に比較して、有意にグルタミン酸が増加していて、食パンの食味に良い影響を及ぼしている。この現象は、電解生成水によって、プロテアーゼ、ペプチターゼ等の酵素が活性したためであると推測される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパン生地の製造方法を採用した食パンの製造工程を示す製造工程図である。

Claims (3)

  1. パン生地を構成する所定の各成分を混捏して中種を生成する中種捏工程と、同中種捏工程で生成されて発酵された発酵中種とパン生地を構成する所定の各成分を混捏してパン生地を生成する本捏工程を有する中種生地法によるパン生地の製造方法であり、前記中種捏工程で使用する混捏用水および本捏工程で使用する混捏用水として、被電解水を有隔膜電解して生成される電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水の2種類の電解生成水を採用して、これら両電解生成水を前記両捏工程の混捏用水に使い分けすることを特徴とするパン生地の製造方法。
  2. 請求項1に記載のパン生地の製造方法において、前記中種捏工程で使用する混捏用水に電解生成酸性水を使用し、かつ、本捏工程で使用する混捏用水に電解生成アルカリ性水を使用することを特徴とするパン生地の製造方法。
  3. 請求項1に記載のパン生地の製造方法において、前記中種捏工程で使用する混捏用水に電解生成アルカリ性水を使用し、かつ、本捏工程で使用する混捏用水に電解生成酸性水を使用することを特徴とするパン生地の製造方法。
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