JP2005071416A - Dvd再生装置およびディスク再生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジャンプ制御部29は、ピットによってデータが示されるピットデータエリアとカッティングデータエリア(NBCA)との間にピットが形成されていないエリアである無ピットエリアを有するディスクのカッティングデータエリアに記録されたデータの読み取りを行うときには、ピットデータエリア内であって無ピットエリアとの境界の近傍位置である初期位置にピックアップを移動させた後、NBCAデータ復調部26がデータの復調を行うまで、スレッドモータ8を所定の駆動方法でもって駆動してピックアップをカッティングデータエリア方向に移動させる制御を繰り返す。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、データを示すピットがトラックに沿って形成されたエリアであるピットデータエリアと、レーザによる放射方向のカッティングによってデータが記録されたカッティングデータエリアとが設けられたディスクの読み取りを行うDVD再生装置およびディスク再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
DVD−RWに記録されたコンテンツにおいては、Video Recording FormatにおけるCPRM(Content Protection for Recordable Media)により、1回目のコピー分については再生が許可されるが、2回目以降のコピー分については、再生が許可されない場合がある。また、コピーの回数に関しては、NBCA(Narrow Burst Cutting Area)にレーザカッティングによって記録されたデータ(以下ではカッティングデータと称する)でもって示すようになっている。このため、1回目のコピー分についてのみ再生が許可されたコンテンツが記録されたDVD−RWを再生する場合、ディスク再生装置は、カッティングデータを読み取り、1回目のコピー分であるかどうかを調べる。そして、1回目のコピー分であることが判明したときにはコンテンツの再生を行うが、1回目とは異なるコピー分であることが判明した場合には、再生を行わないようになっている(第1の従来技術とする)。
【0003】
また、以下に示す技術が提案されている(第2の従来技術とする)。すなわち、この技術においては、ピックアップを半径方向に移動させるモータには、回転速度計が設けられたモータが採用されている。そして、モータに設けられた回転速度計の回転、または、モータに供給される電流の振幅に対する命令でもって、ピックアップのポジショニングを行っている。このため、ピックアップは、BCAデータの記録範囲の半径方向における中央位置にポジショニングされ、BCAデータの読み取りが行われる。そして後、半径方向において100トラック分だけ中心側に移動した位置においてBCAデータの読み取りが行われる。以後、外周側に200トラック移動した位置におけるBCAデータの読み取り、中心側に300トラック移動した位置におけるBCAデータの読み取り、外周側に400トラック移動した位置におけるBCAデータの読み取り、中心側に500トラック移動した位置におけるBCAデータの読み取りが行われるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、以下に示す技術が提案されている(第3の従来技術とする)。すなわち、この技術では、BCAデータを再生するときには、リードインエリアをCLV方式で再生するように、サーボ回路を制御している。そして、ディスクの回転が安定した(ディスクモータの回転速度がBCAデータの読み取りに適した回転速度になっている)時点で、ディスクモータの回転のサーボ制御をオフにしている。且つ、ピックアップをBCAデータの記録エリアに移動させる制御を行っている。そして後、BCAデータの検出を開始するための制御を行っている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−297443号公報(第0022〜第0025段落)
【特許文献2】
特開平11−73648号公報(第0041〜第0043段落)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら第1の従来技術を、位相差検出方式によってトラッキングエラー信号を生成するディスク再生装置に適用する場合には、以下に示す問題が生じていた。この問題を図3を参照しつつ説明する。すなわち、4分割された受光素子1を用いる場合、位相差検出方式では、位相差検出部41を用いて、領域Aの出力と領域Bの出力との位相差を検出する。また、位相差検出部42を用いて、領域Dの出力と領域Cの出力との位相差を検出する。そして、位相差検出部41の出力と位相差検出部42の出力とを加算器43を用いて加算し、加算結果をトラッキングエラー信号TEとしている。つまり、位相差検出方式においては、4つの領域A〜Dのそれぞれにピットが現れるタイミングの差異に基づいてトラッキングエラー信号TEを生成するようになっている。このため、位相差検出方式を用いるときでは、ピットが形成されていないトラックについては、トラッキングエラー信号TEを生成することができない。
【0007】
一方、NBCA(図5の513により示す)はリードイン(Lead−in)エリア512の内側に設けられている。また、リードインエリアは、ファイナライズ処理がされていない場合では、大部分の範囲が、データが未記録のエリアとなっている。つまり、データを示すピットがトラックに沿って形成されていないエリアとなっている。従って、位相差検出方式によってトラッキングエラー信号を生成するディスク再生装置においては、ファイナライズ処理されていないDVD−RWのNBCAに記録されたデータを読み取ろうとして、リードインエリア512にトラックジャンプを行った場合、ジャンプしたトラック数を知ることができない。このため、リードインエリア512の内側にあるNBCA513にピックアップを移動させることが困難となっており、NBCA513に記録されたデータを読み取ることができなかった。
【0008】
上記した問題は、ピックアップを半径方向に移動させるスレッドモータに、ステッピングモータを用いることによって解決することができる。すなわち、ステッピングモータは、回転量を制御することができる。従って、半径方向におけるピックアップの移動量を制御することができるので、NBCA513にトラックジャンプさせることが可能となり、NBCA513に記録されたデータの読み取りを行うことができる。また、直流モータを用いる場合であっても、回転軸にFG信号の発生器を設けて閉ループ制御を可能とする場合にも、同様に、ピックアップを、NBCA513にトラックジャンプさせることが可能となり、NBCA513に記録されたデータの読み取りを行うことができる。しかし、ステッピングモータを用いる場合には、モータが高価になるとともに、駆動回路が極めて複雑となる。また、直流モータの回転軸にFG信号の発生器等を設けて閉ループ制御を行う場合では、スレッドモータの複雑化を招く。このため、価格的な問題が大きな比重を占める民生用のDVD再生装置においては、採用することが困難となっており、閉ループ制御されない直流モータを用いて、NBCAに記録されたデータの読み取りを可能にする構成が求められていた。
【0009】
第2の従来技術は、スレッドモータに回転速度計を設けた構成となっているので、第1の従来技術における問題を解決する観点からは、適用することが困難な技術となっている。
【0010】
第3の従来技術においては、BCAデータを再生するときには、リードインエリアをCLV方式で再生するように、サーボ回路を制御した後、ディスクモータの回転のサーボ制御をオフにすること、あるいは、ピックアップをBCAデータの記録エリアに移動させることが開示されている。しかし、スレッドモータに、閉ループ制御されないモータを用いる場合において、ピックアップをBCAデータの記録エリアに移動させるための方法については開示されていない。このため、第1の従来技術における問題を解決する観点からは、適用することが困難な技術となっている。
【0011】
本発明は上記課題を解決するため創案されたものであって、その目的は、スレッドモータに閉ループ制御されない直流モータを用いるとともに、位相差検出方式によってトラッキングエラー信号を生成するときにも、ファイナライズされないDVD−RWのNBCAデータの読み取りを行うことのでき、且つ、スレッドモータによってピックアップを移動させる機構の摩擦のばらつきによって、スレッドモータに印加する電圧と印加時間とを同一としても、ピックアップの移動量に差異が生じるときに、ピックアップがNBCAを通り越してしまうという事態の発生の防止と、ピックアップがNBCAに移動するまでの時間が長くなることの防止とを併せて可能にすることのでき、且つ、ピットが形成されていないエリアをピックアップが移動するときの制御を安定化することのでき、且つ、NBCAに位置するピックアップを、ピットが形成されたエリアの内周の近傍範囲に戻すためにスレッドモータに電圧を印加するときの、電圧の印加時間の演算を簡単化することのできるDVD再生装置を提供することにある。
【0012】
また本発明の目的は、スレッドモータに閉ループ制御されない直流モータを用いるとともに、位相差検出方式によってトラッキングエラー信号を生成するときにも、ファイナライズされないDVD−RWのNBCAデータの読み取りを行うことのできるディスク再生装置を提供することにある。
【0013】
また上記目的に加え、スレッドモータによってピックアップを移動させる機構部の動きの滑らかさのばらつきによって、スレッドモータに印加する電圧と印加時間とを同一としても、ピックアップの移動量に差異が生じるときに、ピックアップがNBCAを通り越してしまうという事態の発生の防止と、ピックアップがNBCAに移動するまでの時間が長くなることの防止とを併せて可能にすることのできるディスク再生装置を提供することにある。
【0014】
また上記目的に加え、ピットが形成されていないエリアをピックアップが移動するときの制御を安定化することのできるディスク再生装置を提供することにある。
【0015】
また上記目的に加え、NBCAに位置するピックアップをピットが形成されたエリアに戻すことのできるディスク再生装置を提供することにある。
【0016】
また上記目的に加え、NBCAに位置するピックアップを、ピットが形成されたエリアの内周の近傍の範囲に戻すことのできるディスク再生装置を提供することにある。
【0017】
また上記目的に加え、NBCAに位置するピックアップを、ピットが形成されたエリアの内周の近傍範囲に戻すためにスレッドモータに電圧を印加するときの、電圧の印加時間の演算を簡単化することのできるディスク再生装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係るDVD再生装置は、データを示すピットがトラックに沿って形成されたエリアであるピットデータエリアと、レーザによる放射方向のカッティングによってデータが記録されたNBCAとが設けられたディスクの読み取りを行うピックアップと、位相差検出方式によってトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成部と、トラッキングエラー信号に基づいてピックアップをトラックジャンプさせるジャンプ制御部と、ピックアップの出力信号を所定処理してRF信号を生成するRF信号生成部と、RF信号に基づいて、NBCAに記録されたデータの復調を行うNBCAデータ復調部とを備え、ピックアップを半径方向に移動させるスレッドモータには回転量が閉ループ制御されない直流モータが用いられたDVD再生装置に適用している。そして、ジャンプ制御部は、ピットデータエリアとNBCAとの間にピットが形成されていないエリアである無ピットエリアを有するディスクのNBCAに記録されたデータの読み取りを行うときには、ピットデータエリア内であって無ピットエリアとの境界の近傍位置である初期位置にピックアップを移動させた後、NBCAデータ復調部がNBCAデータの復調を行うまで、スレッドモータを所定の駆動方法でもって駆動してピックアップをNBCA方向に移動させる制御を繰り返し、且つ、ジャンプ制御部は、スレッドモータを駆動してピックアップを初期位置からNBCA方向に移動させる制御を行うときには、RF信号生成部がRF信号を生成するときの信号処理におけるゲインとオフセットとを固定し、且つ、ディスクの回転速度をNBCAのデータの読み取りに対応した回転速度に設定し、且つ、トラッキングサーボをオフにし、且つ、ジャンプ制御部は、スレッドモータを駆動してピックアップをNBCA方向に移動させる制御を繰り返すときには、駆動回数の増加に対応して、スレッドモータに印加する電圧と電圧の印加時間との積を増加させ、且つ、ジャンプ制御部は、NBCAに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、スレッドモータに所定電圧を印加するとともに所定電圧を印加する時間をピックアップを初期位置からNBCA方向に移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定することにより、1回のスレッドモータの駆動でもって、ピックアップをNBCAからピットデータエリアに移動させるようになっている。
【0019】
すなわち、スレッドモータを駆動するときの駆動方法を、半径方向において、ピックアップが微小距離(半径方向における無ピットエリアの距離の数分の1の距離、等)を移動する方法とすると、スレッドモータを駆動する毎に、ピックアップは、初期位置からカッティングデータエリアに向かって微小距離を移動する。従って、スレッドモータの駆動を繰り返すときには、ピックアップは、無ピットエリアを通過して、カッティングデータエリアまで移動することになる。そして、ピックアップがカッティングデータエリアまで移動したときには、カッティングデータ復調部がデータの復調を行うので、ジャンプ制御部は、ピックアップがカッティングデータエリアに移動したことを知ることができ、スレッドモータの駆動を停止することができる。また、スレッドモータを駆動する電圧と印加時間とを一定とすると、スレッドモータによってピックアップを移動させる機構部の動きが滑らかであるときには、少ない回数の駆動で、ピックアップはカッティングデータエリアまで移動する。しかし、機構部の動きが滑らかでないときには、極めて多数回の駆動を必要とする。しかし、駆動回数の増加に対応して、スレッドモータに印加する電圧と電圧の印加時間との積を増加させると、機構部の動きが滑らかでないときにも、比較的少ない駆動回数でもって、ピックアップをカッティングデータエリアまで移動させることができる。また、機構部の動きが滑らかであるときに、電圧と印加時間との積を大きくした駆動を行うと、ピックアップが、カッティングデータエリアに停止することなく、通り過ぎるという恐れがあるが、駆動回数が少ないときでは、電圧と印加時間との積が小さい駆動となるので、ピックアップが、カッティングデータエリアに停止することなく、通り過ぎるという恐れはなくなる。また、ピックアップが無ピットエリアに位置するときには、ピックアップの出力は、制御に対して意味を持つ信号とはならないので、トラッキングサーボやゲインやオフセットやディスクの回転速度等の制御が不定となり、不測の事態を招く恐れがあるが、このような事態の発生が防止される。また、ピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数は、ピックアップを半径方向に移動させる機構部の動きの滑らかさを示す値となる。従って、スレッドモータに印加する電圧と印加時間との積を、ピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定すると、スレッドモータの駆動量は、機構部の動きの滑らかさに対応した値となるので、ピックアップを初期位置に近い位置に容易に戻すことができる。また、駆動量を簡単に算出することができる。
【0020】
また本発明に係るディスク再生装置は、データを示すピットがトラックに沿って形成されたエリアであるピットデータエリアと、レーザによる放射方向のカッティングによってデータが記録されたカッティングデータエリアとが設けられたディスクの読み取りを行うピックアップと、位相差検出方式によってトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成部と、トラッキングエラー信号に基づいてピックアップをトラックジャンプさせるジャンプ制御部と、ピックアップの出力信号を所定処理してRF信号を生成するRF信号生成部と、RF信号に基づいて、カッティングデータエリアに記録されたデータの復調を行うカッティングデータ復調部とを備え、ピックアップを半径方向に移動させるスレッドモータには回転量が閉ループ制御されない直流モータが用いられたディスク再生装置に適用している。そして、ジャンプ制御部は、ピットデータエリアとカッティングデータエリアとの間にピットが形成されていないエリアである無ピットエリアを有するディスクのカッティングデータエリアに記録されたデータの読み取りを行うときには、ピットデータエリア内であって無ピットエリアとの境界の近傍位置である初期位置にピックアップを移動させた後、カッティングデータ復調部がカッティングデータの復調を行うまで、スレッドモータを所定の駆動方法でもって駆動してピックアップをカッティングデータエリア方向に移動させる制御を繰り返すようになっている。
【0021】
すなわち、スレッドモータを駆動するときの駆動方法を、半径方向において、ピックアップが微小距離(半径方向における無ピットエリアの距離の数分の1の距離、等)を移動する方法とすると、スレッドモータを駆動する毎に、ピックアップは、初期位置からカッティングデータエリアに向かって微小距離を移動する。従って、スレッドモータの駆動を繰り返すときには、ピックアップは、無ピットエリアを通過して、カッティングデータエリアまで移動することになる。そして、ピックアップがカッティングデータエリアまで移動したときには、カッティングデータ復調部がデータの復調を行うので、ジャンプ制御部は、ピックアップがカッティングデータエリアに移動したことを知ることができ、スレッドモータの駆動を停止することができる。
【0022】
また上記構成に加え、ジャンプ制御部は、スレッドモータを駆動してピックアップをカッティングデータエリア方向に移動させる制御を繰り返すときには、駆動回数の増加に対応して、スレッドモータに印加する電圧と電圧の印加時間との積を増加させる。すなわち、スレッドモータを駆動する電圧と印加時間とを一定とすると、スレッドモータによってピックアップを移動させる機構部の動きが滑らかであるときには、少ない回数の駆動で、ピックアップはカッティングデータエリアまで移動する。しかし、機構部の動きが滑らかでないときには、極めて多数回の駆動を必要とする。しかし、駆動回数の増加に対応して、スレッドモータに印加する電圧と電圧の印加時間との積を増加させると、機構部の動きが滑らかでないときにも、比較的少ない駆動回数でもって、ピックアップをカッティングデータエリアまで移動させることができる。また、機構部の動きが滑らかであるときに、電圧と印加時間との積を大きくした駆動を行うと、ピックアップが、カッティングデータエリアに停止することなく、通り過ぎるという恐れがあるが、駆動回数が少ないときでは、電圧と印加時間との積が小さい駆動となるので、ピックアップが、カッティングデータエリアに停止することなく、通り過ぎるという恐れはなくなる。
【0023】
また上記構成に加え、ジャンプ制御部は、スレッドモータを駆動してピックアップを初期位置からカッティングデータエリア方向に移動させる制御を行うときには、RF信号生成部がRF信号を生成するときの信号処理におけるゲインとオフセットとを固定し、且つ、ディスクの回転速度をカッティングデータエリアのデータの読み取りに対応した回転速度に設定し、且つ、トラッキングサーボをオフにする。すなわち、ピックアップが無ピットエリアに位置するときには、ピックアップの出力は、制御に対して意味を持つ信号とはならないので、トラッキングサーボやゲインやオフセットやディスクの回転速度等の制御が不定となり、不測の事態を招く恐れがあるが、このような事態の発生が防止される。
【0024】
また上記構成に加え、ジャンプ制御部は、カッティングデータエリアに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、1回のスレッドモータの駆動でもって、ピックアップをカッティングデータエリアからピットデータエリアに移動させる。すなわち、カッティングデータエリアにおいて所定のデータを読み取った後では、ピックアップは、位置を示すアドレスの読み取りが可能なピットデータエリアに戻ることになる。
【0025】
また上記構成に加え、ジャンプ制御部は、カッティングデータエリアに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、スレッドモータに印加する電圧と印加時間との積を、ピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定することにより、1回のスレッドモータの駆動でもって、ピックアップをカッティングデータエリアからピットデータエリアに移動させる。すなわち、ピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数は、ピックアップを半径方向に移動させる機構部の動きの滑らかさを示す値となる。従って、スレッドモータに印加する電圧と印加時間との積を、ピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定すると、スレッドモータの駆動量は、機構部の動きの滑らかさに対応した値となるので、ピックアップを初期位置に近い位置に容易に戻すことができる。
【0026】
また上記構成に加え、ジャンプ制御部は、カッティングデータエリアに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、スレッドモータに所定電圧を印加するとともに、所定電圧を印加する時間をピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定することにより、1回のスレッドモータの駆動でもって、ピックアップをカッティングデータエリアからピットデータエリアに移動させる。すなわち、ピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数は、ピックアップを半径方向に移動させる機構部の動きの滑らかさを示す値となる。従って、スレッドモータに印加する電圧と印加時間との積を、ピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定すると、スレッドモータの駆動量は、機構部の動きの滑らかさに対応した値となるので、ピックアップを初期位置に近い位置に容易に戻すことができる。また、駆動量を簡単に算出することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図5および図6は、本発明に係るディスク再生装置の一実施形態であるDVD再生装置によってデータが再生されるディスク(DVD−RW)の記録エリアを示す説明図である。
【0028】
図において、通常のDVDにおけるデータの記録エリアと等価となるエリアである通常データエリア(半径範囲を511rにより示す)511の内周側にはリードインエリア(半径範囲を512rにより示す)512が設けられている。そして、リードインエリア512の内周側には、約90度の角度範囲に渡って、NBCA(請求項記載のカッティングデータエリア)513が設けられている。また、リードインエリア512においては、通常データエリア511と接する側にコントロールデータエリア(半径範囲を514rにより示す)514が設けられている(コントロールデータエリア514には、ディスクの種類を示すデータや、NBCAの有無を示すデータ、等が記録されている)。
【0029】
また、リードインエリア512のうち、コントロールデータエリア514より内周側のエリア(半径範囲を517rにより示す)517は、ファイナライズされないときにはデータが記録されていないエリアとなっている。すなわち、エリア517は、ファイナライズされない場合には、トラックは形成されているが、トラックに沿ったピットが形成されていない無ピットエリアとなっている。なお、通常データエリア511とコントロールデータエリア514とは、トラックに沿ってピットが形成されたエリアとなっている。このため、以下では、コントロールデータエリア514より外周側のエリア(半径範囲を516rにより示す)をピットデータエリア516と称する。
【0030】
図1は、実施形態の電気的構成を示すブロック線図であり、具体的には、DVD再生装置において、デジタルデータの復調に関わるブロックが示されている。また、図2は、ピックアップに関連する機構部を示す説明図となっている。
【0031】
図において、ディスク(DVD−RWまたはDVD−R)51を回転駆動するスピンドルモータ7は、内部に、回転速度を示すFG信号生成部30を備えている。そして、FG信号生成部30によって生成したFG信号をサーボ制御部6に出力する。ピックアップ52は、トラックに沿って形成されたピットにより示されるデータや、レーザによる放射方向のカッティングによってNBCA513に記録されたデータを読み取る。このため、4分割された受光素子1、フォーカスアクチュエータ9、および、トラッキングアクチュエータ10等を備えている。スレッドモータ8は、ピックアップ52を半径方向に移動させるモータであり、回転速度や回転数が閉ループ制御されない直流モータとなっている。
【0032】
RF信号処理部2は、受光素子1の4つの領域A〜Dの出力に基づき、RF信号201、フォーカスエラー信号FE、および、トラッキングエラー信号TEを生成する。このため、RF信号生成部21、AGC制御部22、オフセット制御部23、TE信号生成部24、FE信号生成部25を備えている。
【0033】
RF信号生成部21は、受光素子1の出力に基づいてRF信号201を生成し、データ復調部4に出力する。このため、図4に概略を示したように、加算器45によって領域Aの出力と領域Cの出力とを加算する。また、加算器46によって領域Dの出力と領域Bの出力とを加算する。そして、加算器45の出力と加算器46の出力とを加算器47を用いて加算し、加算結果を、RF信号201として、2値化部3に出力する。AGC制御部22は、RF信号生成部21が出力するRF信号201の振幅が所定値となるように、RF信号生成部21における図示されない増幅器の増幅率を制御する。また、オフセット制御部23は、RF信号生成部21が出力するRF信号201のオフセットレベルが所定レベルとなるように、RF信号生成部21における図示されない増幅器のオフセットレベルを制御する。
【0034】
TE信号生成部24は、受光素子1の出力に基づき、位相差検出方式によってトラッキングエラー信号TEを生成する。このため、図3に概略を示したように、位相差検出部41を用いて、トラック方向と直交する方向に並んだ領域A,Bの各出力の位相差を求める。また、位相差検出部42を用いて、トラック方向と直交する方向に並んだ領域D,Cの各出力の位相差を求める。そして、位相差検出部41の出力と位相差検出部42の出力とを、加算器43を用いて加算し、加算結果を、トラッキングエラー信号TEとして、サーボ制御部6に出力する。FE信号生成部25は、受光素子1の出力に基づき、フォーカスエラー信号FEを生成して、サーボ制御部6に出力する。
【0035】
サーボ制御部6は、RF信号処理部2から出力されるフォーカスエラー信号FEに基づいてフォーカスアクチュエータ9を駆動することにより、ピックアップ52のフォーカスをサーボ制御する。また、RF信号処理部2から出力されるトラッキングエラー信号TEに基づいてトラッキングアクチュエータ10を駆動することにより、ピックアップ52をトラックに追従させるトラッキングサーボ制御を行う。また、ディスク51のピットデータエリア516の読み取りが行われときには、線速度が所定速度となるように、データ復調部4において生成されたクロックに基づいて、スピンドルモータ7の回転速度をサーボ制御する。また、NBCA513に記録されたデータの読み取りが行われときには、FG信号生成部30の出力に基づいて、スピンドルモータ7の回転速度を、NBCAデータ(請求項記載のカッティングデータ)の読み取りに対応した速度(1440rpm)となるようにサーボ制御する。
【0036】
2値化部3は、RF信号生成部21から出力されるRF信号201を、設定された閾値と比較することによって、RF信号201を2値化する。そして、2値化した信号をデータ復調部4に出力する。なお、2値化を行うときの閾値は、ピットデータエリア516に記録されたデータを読み取るときと、NBCA513に記録されたデータを読み取るときとのそれぞれにおいて、ジャンプ制御部29により、最適となる値に設定される。
【0037】
データ復調部4は、2値化部3より出力される信号から、デジタルデータを復調し、エラー訂正する。そして、復調し、エラー訂正したデータがピットデータエリア516に記録されたデータであるときには、前記データを、経路401を介して、図示されないデコーダ部に出力する。また、復調し、エラー訂正したデータがNBCA513に記録されたデータであるときには、前記データをマイクロコンピュータ5に出力する。このため、NBCAデータ復調部(カッティングデータ復調部)26、ピットデータ復調部27、PLL部28を備えている。
【0038】
NBCAデータ復調部26は、2値化部3より出力される信号が、NBCA513に記録されたデータを示す信号となるとき、2値化部3より出力される信号を所定処理して、NBCA513に記録されたデータを復調するとともに、エラー訂正する。ピットデータ復調部27は、2値化部3から出力される信号が、ピットデータエリア516に記録されたデータを示す信号となるとき、2値化部3より出力される信号を所定処理してデジタルデータを復調するとともに、エラー訂正する。PLL部28は、ピットデータエリア516に記録されたデータを復調するときに必要となるクロックを生成し、ピットデータ復調部27とサーボ制御部6とに出力する。
【0039】
マイクロコンピュータ5は、DVD再生装置としての主要動作を制御するためのブロックとなっている。ジャンプ制御部29は、マイクロコンピュータ5の機能の一部により構成されたブロックとなっていて、ピックアップ52のトラックジャンプを制御する。すなわち、ピットデータエリア516内においてトラックジャンプを行うときには、サーボ制御部6に所定コマンドを与えることによって、ピックアップ52を目標とするトラックにジャンプさせる。
【0040】
また、ジャンプ制御部29は、ピットデータエリア516とNBCA513との間にピットが形成されていないエリアである無ピットエリア517を有するディスク51のNBCA513に記録されたデータの読み取りを行うときには、ピットデータエリア516内であって無ピットエリア517との境界の近傍位置(破線61により示す)にピックアップ52を移動させる。そして後、スレッドモータ8を所定の駆動方法でもって駆動することにより、ピックアップ52を内周側に移動させる。
【0041】
次いで、NBCAデータ復調部26がNBCAデータ(カッティングデータ)を復調できたかどうかを調べる。NBCAデータ復調部26がNBCAデータの復調をできなかったときには、再び、スレッドモータ8を所定の駆動方法でもって駆動し、ピックアップ52を内周側に移動させる。次いで、NBCAデータ復調部26がNBCAデータ(カッティングデータ)を復調できたかどうかを調べる。以後、NBCAデータ復調部26がNBCAデータの復調をできるまで、スレッドモータ8の駆動によるピックアップ52の内周側への移動を繰り返す。
【0042】
なお、ジャンプ制御部29は、スレッドモータ8を駆動するときには、駆動回数の増加に対応して、スレッドモータ8に印加する電圧と電圧の印加時間との積を増加させるように制御を行う。また、駆動の回数を内部に記憶する。また、スレッドモータ8を所定の駆動方法でもって駆動してピックアップ52を内周側に移動させる制御を行うときには、RF信号生成部21がRF信号201を生成するときの信号処理におけるゲインとオフセットとを固定する。また、ディスク51の回転速度をNBCAデータの読み取りに対応した回転速度である1440rpmに設定するとともに、トラッキングサーボをオフにする。
【0043】
また、ジャンプ制御部29は、NBCAデータの読み取りを終了したため、ピックアップ52を、無ピットエリア517を超えて、ピットデータエリア516に移動させる場合には、スレッドモータ8に、NBCA513からピットデータエリア516への移動方向に対応した極性の電圧を、所定の方法で求めた時間分だけ印加する。
【0044】
すなわち、ジャンプ制御部29は、ピックアップ52をNBCA513からピットデータエリア516に移動させるために、スレッドモータ8を駆動するときには、スレッドモータ8に印加する電圧と、電圧の印加時間との積を、記憶していた駆動回数に対応した値に設定する(後に詳述する)。
【0045】
図7は、NBCAデータの読み取りを行うときの設定動作を示すフローチャート、図8は、NBCAへのピックアップの移動動作を示すフローチャート、図9は、NBCAからピットデータエリアへのピックアップの移動動作を示すフローチャートである。必要に応じてこれらの図を参照しつつ、実施形態の動作を説明する。
【0046】
マイクロコンピュータ5は、ディスク51がトレイに載置され、次いで読み取り位置に引き込まれたことから、ピットデータエリア516の読み取りが可能になると、コントロールデータエリア514に記録されたPhysical format informationのBook Typeを読み取る。そして、Book Typeのビット7〜ビット4が『0010』となっているときには、ディスク51がDVD−Rであり、ビット7〜ビット4が『0011』となっているときには、ディスク51がDVD−RWであると判定する。また、同様に、Physical format informationのNBCA Descriptorを読み取る。そして、NBCA Descriptorのビット7が『1』となっているときにはNBCA513があると判定する。
【0047】
上記したように、ディスク51がDVD−RまたはDVD−RWであり、且つ、NBCA513がある場合において、バックエンドの側から、NBCAデータの読み取りの指示が与えられたとする。NBCAデータの読み取りの指示が与えられると、ジャンプ制御部29は、ピットデータエリア516の内周側の端部の近傍位置(破線61により示す位置であり、例えば、アドレスの『02F300h』)にピックアップ52をトラックジャンプさせる(ステップS1)。そして後、スピンドルモータ7の回転速度を、NBCAデータの読み取りに対応した速度である1440rpmに設定する(ステップS2)。
【0048】
次いで、ジャンプ制御部29は、RF信号生成部21のゲイン、および、オフセットを、NBCAデータの読み取りに対応した値(BDO(Black Dot Out)信号に対応した値)に固定する(ステップS3,S4)。従って、ピックアップ52がピットの読み取りを行わない場合であっても、読み取り位置にNBCAデータがあるときには、NBCAデータを示すレベル変化がRF信号201に現れることになる。また、2値化部3における閾値を、NBCAデータの2値化に対応した値に設定する(ステップS5)。このため、RF信号201にNBCAデータを示すレベル変化がR現れる場合には、正しく2値化されることになる。
【0049】
そして後、トラッキングサーボ制御をオフに設定する(ステップS6)。このため、トラッキングエラー信号TEが生成されない状態となるときにも、ピックアップ52の読み取り位置が不安定になることが防止される。また、PLL部28の発振周波数を初期状態における周波数に固定する(ステップS7)。このため、読み取り位置が無ピットエリア517となるときにも、PLL部28の発振周波数の不安定な変動が防止される。
【0050】
そして後、ジャンプ制御部29は、1回目のジャンプに対応する電圧を、1回目のジャンプに対応する時間分だけスレッドモータ8に印加して、ピックアップ52を内周側に移動させる。また、ジャンプ数を計数するカウンタ(図示を省略)の値を1にする(ステップS8)。次いで、NBCAデータ復調部26を、NBCAデータの読み取りに対応した状態に設定する(ステップS9)。また、スピンドルモータ7の回転速度が、所定の回転速度である1440rpmに維持されているかどうかの確認を行う(ステップS10)。
【0051】
次いで、ジャンプ制御部29は、NBCAデータ復調部26に読み取りの指示を与え、NBCAデータ復調部26にNBCAデータの読み取りを行わせる(ステップS15)。この指示に対応して、NBCAデータ復調部26がNBCAデータの読み取りを行うことができたかどうかを調べる(ステップS16)。読み取りを行うことができなかった場合には、ピックアップ52がNBCA513まで移動しておらず、ピックアップ52の読み取り位置が無ピットエリア517にあるとみなす。
【0052】
そして後、ジャンプ数が5より多くなっているかどうかを調べる。このときでは、ジャンプ数は1であるため、印加電圧を1.2V、印加時間を14mSとして、スレッドモータ8の駆動が行われる(ステップS17,S18)。また、ジャンプ数を計数するカウンタの値を1つ増加させる(ステップS19)。そして後、動作をステップS15に移行して、NBCAデータ復調部26にNBCAデータの読み取りを行わせる。以後、NBCAデータ復調部26がNBCAデータの読み取りに成功するか、ジャンプ数を計数するカウンタの値が6となるまで、ステップS15〜S19のループ動作が繰り返される。
【0053】
スレッドモータ8によりピックアップ52を半径方向に移動させる機構部の動きが滑らかである場合には、上記したループ動作において、ピックアップ52はNBCA513に移動することになる。いま、4回のジャンプによって、ピックアップ52の読み取り位置がNBCA513まで移動したとすると、このときのピックアップ52の読み取り位置の変化は、図6における62により示されることになる(621はステップS18によるジャンプを示す)。
【0054】
一方、スレッドモータ8によりピックアップ52を半径方向に移動させる機構部の動きがあまり滑らかでないことから、上記したループ動作を、ジャンプ数が6となるまで繰り返したときにも、ピックアップ52がNBCA513まで移動しなかったとする。このときでは、動作は、ステップS17からステップS20に移行し、ジャンプ数が10回を超えているかどうかが調べられる。このときでは6回であるので、動作は、ステップS20からステップS21に移行する。
【0055】
ステップS21においては、印加電圧を1.6V、印加時間を24mSとして、スレッドモータ8を駆動する。また、ジャンプ数を計数するカウンタの値を1つ増加させる(ステップS22)。そして後、動作をステップS15に移行して、NBCAデータ復調部26にNBCAデータの読み取りを行わせる。以後、NBCAデータ復調部26がNBCAデータの読み取りに成功するか、ジャンプ数を計数するカウンタの値が11となるまで、ステップS15〜S17,S20〜S22のループ動作が繰り返される。いま、7回のジャンプによって、ピックアップ52の読み取り位置がNBCA513まで移動したとすると、このときのピックアップ52の読み取り位置の変化は、63により示されることになる(631はステップS18によるジャンプ、642はステップS21によるジャンプを示している)。
【0056】
しかし、スレッドモータ8によりピックアップ52を半径方向に移動させる機構部の動きに摩擦が多いことから、上記したループ動作を、ジャンプ数が11となるまで繰り返したときにも、ピックアップ52がNBCA513まで移動しなかったとする。このときでは、動作は、ステップS20からステップS23に移行し、ジャンプ数が20回を超えているかどうかが調べられる。このときでは11回であるので、動作は、ステップS23からステップS24に移行する。
【0057】
ステップS24においては、印加電圧を2.0V、印加時間を33mSとして、スレッドモータ8を駆動する。また、ジャンプ数を計数するカウンタの値を1つ増加させる(ステップS25)。そして後、動作をステップS15に移行して、NBCAデータ復調部26にNBCAデータの読み取りを行わせる。以後、NBCAデータ復調部26がNBCAデータの読み取りに成功するか、ジャンプ数を計数するカウンタの値が21となるまで、ステップS15〜S17,S20,S23〜S25のループ動作が繰り返される。いま、12回のジャンプによって、ピックアップ52の読み取り位置がNBCA513まで移動したとすると、このときのピックアップ52の読み取り位置の変化は、64により示されることになる(641はステップS18によるジャンプ、642はステップS21によるジャンプ、643はステップS24によるジャンプを示している)。
【0058】
なお、ジャンプ数を計数するカウンタの値が21となるまで、ステップS15〜S17,S20,S23〜S25のループ動作を繰り返したときにも、NBCAデータ復調部26がNBCAデータの読み取りに成功しなかった場合には、不具合が発生しているとして、エラー処理を行う(ステップS26)。
【0059】
以上で、ピックアップ52をNBCA513に移動させるときの動作説明を終了し、以下に、ピックアップ52を、NBCA513からピットデータエリア516に移動させるときの動作について説明する。
【0060】
NBCA513に記録されたNBCAデータの読み取りを終了すると、ジャンプ制御部29は、ピックアップ52をピットデータエリア516に戻す制御を行う。このため、ジャンプ制御部29は、スレッドモータ8に印加する電圧を−1.5Vに設定する(ステップS31)。また、ジャンプ制御部29は、ピックアップ52を初期位置からNBCA513に移動させたときのスレッドモータ8の駆動回数に基づき、スレッドモータ8に電圧を印加するときの印加時間を算出する。なお、印加時間については、図10に示す方法に従って算出する(ステップS32)。そして、算出した時間分だけスレッドモータ8を駆動する。その結果、ピックアップ52は、NBCA513から外周側に向かって移動し、ピットデータエリア516の初期位置61の近傍となる位置において停止する(ステップS33)。
【0061】
65は、このときのピックアップ52の移動の様子を示している。そして、停止位置66は、初期位置61の近傍であって、初期位置61より外周側の位置となっている。つまり、通常データエリア511に記録されたコンテンツの再生を開始するとき、ピックアップ52を移動させる必要のある位置の近傍位置となっている。従って、コンテンツの再生に移行するため、ピックアップ52を移動させるとき、その移動量が少ないものとなっていて、再生開始までの時間を短くすることができるようになっている。
【0062】
ピックアップ52がピットデータエリア516の66に示す位置まで移動したときには、ピットの読み取りが可能になり、併せて、トラッキングエラー信号TEの生成も可能になる。このため、ジャンプ制御部29は、PLL部28をピットデータの読み取りに対応した設定に戻す(ステップS34)。また、トラッキングサーボをオンにする(ステップS35)。また、2値化部3の閾値をピットデータの読み取りに対応した値に設定する(ステップS36)。また、RF信号生成部21のゲインとオフセットとを、ピットデータの読み取りに対応した値に設定する(ステップS37)。また、スピンドルモータ7のサーボ制御を、FG信号生成部30の出力に基づいた一定速度の回転制御から、CLV制御に切り換える(ステップS38)。そして後、ピットデータの読み取りを開始する制御を行うことによって、読み取ったデータのアドレスを調べ、ピックアップ52が、ピットデータエリア516に戻っていることを確認する(ステップS39)。
【0063】
そして後、マイクロコンピュータ5は、NBCAデータによってコンテンツが1回目のコピーであることが示される場合には、再生が可能であることを示すフラグを設定し、NBCAデータによってコンテンツが2回目以降のコピーであることを示される場合には、再生が禁止であることを示すフラグを設定する。
【0064】
なお、NBCAデータ復調部26がNBCAデータの復調を行っているときに、フォーカス外れ等の、サーボ制御におけるエラーが生じたときには、全ての設定(RF信号生成部21におけるゲインやオフセットの設定、PLL部28の設定、2値化部3の閾値の設定、スピンドルモータ7のサーボ制御の設定、等)を、ピットデータエリア516のデータの読み取りに対応した設定とする。そして後、スレッドモータ8を駆動して、ピックアップ52をピットデータエリア516に移動させる。そして、再度、ステップS1からの動作を再開する。
【0065】
以上説明したように、スレッドモータ8を駆動して、ピックアップ52を、破線61により示す位置(ジャンプ前の初期位置)から、NBCA513に移動させるときには、ジャンプ数が多くなるほどに、スレッドモータ8を駆動するときの印加電圧と印加時間との積の値を大きくしている。このことは、以下に示す効果を示す。
【0066】
すなわち、スレッドモータ8を駆動するときの電圧と印加時間との積を小さい値にすると、ピックアップ52をNBCA513に移動させるためには、駆動回数を多くする必要がある。このため、ピックアップ52を、初期位置61からNBCA513に移動させるために要する時間が長くなる。このような問題は、ピックアップ52を半径方向に移動させる機構部の摩擦が大きいため、スレッドモータ8を1回駆動する毎の移動量が小さくなる場合には、より顕著となる。一方、スレッドモータ8を駆動するときの電圧と印加時間との積を大きい値にすると、1回の駆動によるピックアップ52の移動量が大きくなる。従って、N回目のスレッドモータ8の駆動によって移動したピックアップ52の停止位置が、NBCA513の手前の近傍位置に停止するような事態が生じたときでは、(N+1)回目の駆動を行うと、ピックアップ52がNBCA513を通り越す可能性が高くなる。このような問題は、ピックアップ52を半径方向に移動させる機構部の動きが滑らかなため、スレッドモータ8を1回駆動するだけで、ピックアップ52が大きく移動するような場合には、より顕著となる。
【0067】
しかし、初期位置(61により示す位置)にあるピックアップ52をNBCA513に移動させるに際し、ジャンプ数(スレッドモータ8の駆動回数)が多くなるほどに、スレッドモータ8を駆動するときの印加電圧と印加時間との積の値を大きくすると、ピックアップ52の読み取り位置が、NBCA513に停止することなく、NBCA513を通り越してしまうという事態の発生の防止と、ピックアップ52がNBCA513に移動するまでの時間が長くなることの防止とが併せて可能になる。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、ディスクについては、DVD−RWとした場合について説明したが、DVD−Rの場合にも、同様に適用することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、ジャンプ制御部は、NBCAに記録されたデータの読み取りを行うときには、ピットデータエリア内であって無ピットエリアとの境界の近傍位置である初期位置にピックアップを移動させた後、NBCAデータ復調部がNBCAデータの復調を行うまで、スレッドモータを所定の駆動方法でもって駆動してピックアップをNBCA方向に移動させる制御を繰り返し、且つ、スレッドモータを駆動してピックアップを初期位置からNBCA方向に移動させる制御を行うときには、RF信号生成部がRF信号を生成するときの信号処理におけるゲインとオフセットとを固定し、且つ、ディスクの回転速度をNBCAのデータの読み取りに対応した回転速度に設定し、且つ、トラッキングサーボをオフにし、且つ、スレッドモータを駆動してピックアップをNBCA方向に移動させる制御を繰り返すときには、駆動回数の増加に対応して、スレッドモータに印加する電圧と電圧の印加時間との積を増加させ、且つ、NBCAに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、スレッドモータに所定電圧を印加するとともに所定電圧を印加する時間をピックアップを初期位置からNBCA方向に移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定することにより、1回のスレッドモータの駆動でもって、ピックアップをNBCAからピットデータエリアに移動させるようになっている。このため、スレッドモータに閉ループ制御されない直流モータを用いるとともに、位相差検出方式によってトラッキングエラー信号を生成するときにも、ファイナライズされないDVD−RWのNBCAデータの読み取りを行うことができ、且つ、スレッドモータによってピックアップを移動させる機構の摩擦のばらつきによって、スレッドモータに印加する電圧と印加時間とを同一としても、ピックアップの移動量に差異が生じるときに、ピックアップがNBCAを通り越してしまうという事態の発生の防止と、ピックアップがNBCAに移動するまでの時間が長くなることの防止とを併せて可能にすることができ、且つ、ピットが形成されていないエリアをピックアップが移動するときの制御を安定化することができ、且つ、NBCAに位置するピックアップを、ピットが形成されたエリアの内周の近傍範囲に戻すためにスレッドモータに電圧を印加するときの、電圧の印加時間の演算を簡単化することができる。
【0070】
また本発明では、ジャンプ制御部は、ピットデータエリアとカッティングデータエリアとの間にピットが形成されていないエリアである無ピットエリアを有するディスクのカッティングデータエリアに記録されたデータの読み取りを行うときには、ピットデータエリア内であって無ピットエリアとの境界の近傍位置である初期位置にピックアップを移動させた後、カッティングデータ復調部がカッティングデータの復調を行うまで、スレッドモータを所定の駆動方法でもって駆動してピックアップをカッティングデータエリア方向に移動させる制御を繰り返すようになっている。このため、スレッドモータに閉ループ制御されない直流モータを用いるとともに、位相差検出方式によってトラッキングエラー信号を生成するときにも、ファイナライズされないDVD−RWのNBCAデータの読み取りを行うことができる。
【0071】
またさらに、ジャンプ制御部は、スレッドモータを駆動してピックアップをカッティングデータエリア方向に移動させる制御を繰り返すときには、駆動回数の増加に対応して、スレッドモータに印加する電圧と電圧の印加時間との積を増加させる。このため、スレッドモータによってピックアップを移動させる機構部の動きの滑らかさのばらつきによって、スレッドモータに印加する電圧と印加時間とを同一としても、ピックアップの移動量に差異が生じるときに、ピックアップがNBCAを通り越してしまうという事態の発生の防止と、ピックアップがNBCAに移動するまでの時間が長くなることの防止とを併せて可能にすることができる。
【0072】
またさらに、ジャンプ制御部は、スレッドモータを駆動してピックアップを初期位置からカッティングデータエリア方向に移動させる制御を行うときには、RF信号生成部がRF信号を生成するときの信号処理におけるゲインとオフセットとを固定し、且つ、ディスクの回転速度をカッティングデータエリアのデータの読み取りに対応した回転速度に設定し、且つ、トラッキングサーボをオフにする。このため、ピットが形成されていないエリアをピックアップが移動するときの制御を安定化することができる。
【0073】
またさらに、ジャンプ制御部は、カッティングデータエリアに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、1回のスレッドモータの駆動でもって、ピックアップをカッティングデータエリアからピットデータエリアに移動させる。このため、NBCAに位置するピックアップをピットが形成されたエリアに戻すことができる。
【0074】
またさらに、ジャンプ制御部は、カッティングデータエリアに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、スレッドモータに印加する電圧と印加時間との積を、ピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定することにより、1回のスレッドモータの駆動でもって、ピックアップをカッティングデータエリアからピットデータエリアに移動させる。このため、NBCAに位置するピックアップを、ピットが形成されたエリアの内周の近傍の範囲に戻すことができる。
【0075】
またさらに、ジャンプ制御部は、カッティングデータエリアに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、スレッドモータに所定電圧を印加するとともに、所定電圧を印加する時間をピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定することにより、1回のスレッドモータの駆動でもって、ピックアップをカッティングデータエリアからピットデータエリアに移動させる。このため、NBCAに位置するピックアップを、ピットが形成されたエリアの内周の近傍範囲に戻すためにスレッドモータに電圧を印加するときの、電圧の印加時間の演算を簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディスク再生装置の一実施形態の電気的構成を示すブロック線図である。
【図2】ピックアップに関連する機構部を示す説明図である。
【図3】トラッキングエラー信号生成部(TE信号生成部)の電気的構成を示すブロック線図である。
【図4】RF信号生成部の電気的構成を示すブロック線図である。
【図5】ディスク(DVD−RW)の記録エリアを示す説明図である。
【図6】ピックアップの移動の様子を示す説明図である。
【図7】NBCAデータの読み取りを行うときの設定動作を示すフローチャートである。
【図8】NBCAへのピックアップの移動動作を示すフローチャートである。
【図9】NBCAからピットデータエリアへのピックアップの移動動作を示すフローチャートである。
【図10】スレッドモータの駆動時間の算出方法を示す説明図である。
【符号の説明】
7 スピンドルモータ
8 スレッドモータ
21 RF信号生成部
24 TE信号生成部(トラッキングエラー信号生成部)
26 NBCAデータ復調部(カッティングデータ復調部)
28 PLL部
29 ジャンプ制御部
51 ディスク(DVD−RW)
512 リードインエリア
513 NBCA(カッティングデータエリア)
516 ピットデータエリア
517 無ピットエリア
Claims (7)
- データを示すピットがトラックに沿って形成されたエリアであるピットデータエリアと、レーザによる放射方向のカッティングによってデータが記録されたNBCAとが設けられたディスクの読み取りを行うピックアップと、
位相差検出方式によってトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成部と、
トラッキングエラー信号に基づいてピックアップをトラックジャンプさせるジャンプ制御部と、
ピックアップの出力信号を所定処理してRF信号を生成するRF信号生成部と、
RF信号に基づいて、NBCAに記録されたデータの復調を行うNBCAデータ復調部とを備え、
ピックアップを半径方向に移動させるスレッドモータには回転量が閉ループ制御されない直流モータが用いられたDVD再生装置において、
ジャンプ制御部は、ピットデータエリアとNBCAとの間にピットが形成されていないエリアである無ピットエリアを有するディスクのNBCAに記録されたデータの読み取りを行うときには、ピットデータエリア内であって無ピットエリアとの境界の近傍位置である初期位置にピックアップを移動させた後、NBCAデータ復調部がNBCAデータの復調を行うまで、スレッドモータを所定方法でもって駆動してピックアップをNBCA方向に移動させる制御を繰り返し、
且つ、ジャンプ制御部は、スレッドモータを駆動してピックアップを初期位置からNBCA方向に移動させる制御を行うときには、RF信号生成部がRF信号を生成するときの信号処理におけるゲインとオフセットとを固定し、且つ、ディスクの回転速度をNBCAのデータの読み取りに対応した回転速度に設定し、且つ、トラッキングサーボをオフにし、
且つ、ジャンプ制御部は、スレッドモータを駆動してピックアップをNBCA方向に移動させる制御を繰り返すときには、駆動回数の増加に対応してスレッドモータに印加する電圧と電圧の印加時間との積を増加させ、
且つ、ジャンプ制御部は、NBCAに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、スレッドモータに所定電圧を印加するとともに所定電圧を印加する時間をピックアップを初期位置からNBCA方向に移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定することにより、1回のスレッドモータの駆動でもってピックアップをNBCAからピットデータエリアに移動させることを特徴とするDVD再生装置。 - データを示すピットがトラックに沿って形成されたエリアであるピットデータエリアと、レーザによる放射方向のカッティングによってデータが記録されたカッティングデータエリアとが設けられたディスクの読み取りを行うピックアップと、
位相差検出方式によってトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成部と、
トラッキングエラー信号に基づいてピックアップをトラックジャンプさせるジャンプ制御部と、
ピックアップの出力信号を所定処理してRF信号を生成するRF信号生成部と、
RF信号に基づいて、カッティングデータエリアに記録されたデータの復調を行うカッティングデータ復調部とを備え、
ピックアップを半径方向に移動させるスレッドモータには回転量が閉ループ制御されない直流モータが用いられたディスク再生装置において、
ジャンプ制御部は、ピットデータエリアとカッティングデータエリアとの間にピットが形成されていないエリアである無ピットエリアを有するディスクのカッティングデータエリアに記録されたデータの読み取りを行うときには、ピットデータエリア内であって無ピットエリアとの境界の近傍位置である初期位置にピックアップを移動させた後、カッティングデータ復調部がカッティングデータの復調を行うまで、スレッドモータを所定の駆動方法でもって駆動してピックアップをカッティングデータエリア方向に移動させる制御を繰り返すことを特徴とするディスク再生装置。 - ジャンプ制御部は、スレッドモータを駆動してピックアップをカッティングデータエリア方向に移動させる制御を繰り返すときには、駆動回数の増加に対応してスレッドモータに印加する電圧と電圧の印加時間との積を増加させることを特徴とする請求項2記載のディスク再生装置。
- ジャンプ制御部は、スレッドモータを駆動してピックアップを初期位置からカッティングデータエリア方向に移動させる制御を行うときには、RF信号生成部がRF信号を生成するときの信号処理におけるゲインとオフセットとを固定し、且つ、ディスクの回転速度をカッティングデータエリアのデータの読み取りに対応した回転速度に設定し、且つ、トラッキングサーボをオフにすることを特徴とする請求項2または請求項3記載のディスク再生装置。
- ジャンプ制御部は、カッティングデータエリアに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、1回のスレッドモータの駆動でもってピックアップをカッティングデータエリアからピットデータエリアに移動させることを特徴とする請求項2から請求項4までに記載のディスク再生装置。
- ジャンプ制御部は、カッティングデータエリアに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、スレッドモータに印加する電圧と印加時間との積を、ピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定することにより、1回のスレッドモータの駆動でもってピックアップをカッティングデータエリアからピットデータエリアに移動させることを特徴とする請求項2から請求項4までに記載のディスク再生装置。
- ジャンプ制御部は、カッティングデータエリアに位置するピックアップをピットデータエリアに移動させるときには、スレッドモータに所定電圧を印加するとともに、所定電圧を印加する時間をピックアップを初期位置からカッティングデータエリアに移動させるときにスレッドモータを駆動した駆動回数に対応した値に設定することにより、1回のスレッドモータの駆動でもってピックアップをカッティングデータエリアからピットデータエリアに移動させることを特徴とする請求項2から請求項4までに記載のディスク再生装置。
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