JP2005068523A - ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005068523A
JP2005068523A JP2003302978A JP2003302978A JP2005068523A JP 2005068523 A JP2005068523 A JP 2005068523A JP 2003302978 A JP2003302978 A JP 2003302978A JP 2003302978 A JP2003302978 A JP 2003302978A JP 2005068523 A JP2005068523 A JP 2005068523A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stainless steel
electrolysis
neutral salt
steel sheet
scale
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003302978A
Other languages
English (en)
Inventor
Izumi Muto
泉 武藤
Shinya Kunioka
信哉 國岡
Kazuhiro Yanai
和博 梁井
Eiji Sato
栄次 佐藤
Takayuki Yonekura
隆行 米倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Parker Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Parker Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp, Parker Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2003302978A priority Critical patent/JP2005068523A/ja
Publication of JP2005068523A publication Critical patent/JP2005068523A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

【課題】 Nb、Ti、V、W、Zr含有高耐食ステンレス鋼、あるいは高Si、高Al高耐食ステンレス鋼において、表面光沢の優れた鋼板の製造方法を提供する。また、従来の中性塩電解法よりも優れた表面光沢を得ることのできるステンレス鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】 ステンレス鋼を冷間圧延し、酸化性雰囲気中で焼鈍し、焼鈍後の鋼板表面にアルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧することによって鋼板表面のスケール改質を行い、その後中性塩電解にてスケール除去を行うことを特徴とするステンレス鋼板の製造方法である。これにより、中性塩電解法の高速処理というメリットを損なわず、高耐食ステンレス鋼を表面光沢の優れた鋼板とするとともに、中性塩電解時の電流密度を45mA/cm2以下とすることにより、高耐食ステンレス鋼以外の通常のステンレス鋼においても、従来の中性塩電解法よりも良好な表面光沢を実現できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表面光沢に優れるステンレス鋼板、特に表面光沢に優れる高耐食ステンレス鋼板を製造する方法に関する。
ステンレス鋼を冷間圧延した後、焼鈍熱処理が施される。通常は酸化性雰囲気において焼鈍を行う。この際にステンレス鋼板表面に生成する酸化スケールは商品価値を著しく損なうため、焼鈍後にスケール除去を行う必要がある。スケール除去後のステンレス鋼板表面の光沢を良好に保持するためには、スケール除去時にできるかぎりステンレス鋼板表面を侵食しない方法を採用する必要がある。また、スケール除去時の鋼板速度が速いほど、ステンレス鋼板製造能率を高めることができ、好ましい。
従来、焼鈍後のスケール除去方法としては、以下の3種類が用いられていた。第1は、フッ硝酸、硫酸電解または硝酸電解の三者の組み合わせで溶解除去する方法である。第2はソルトバス法と呼ばれ、450〜500℃の溶融アルカリ塩槽中に鋼板を浸漬してスケール改質を行い、その後に硝酸又は硫酸電解を行う方法である。第3は、中性塩電解法であり、硫酸ナトリウム等の中性塩水溶液中で電解を行うものである。上記第1の方法が有する、浸漬時間の延長による素地金属の侵食、粒界腐食の進行などの問題を補うものとして、第2のソルトバス法、第3の中性塩電解法が広く使用されるようになった。
ソルトバス法においても、450℃を超える溶融アルカリ塩浴中において素地金属の侵食が進行するため、光沢度の高い鋼板を製造することはできない。また、通板速度を上げると溶融アルカリ塩槽からの溶融塩の持ち出し量が増加し、また槽内のスラッジを巻き上げシンクロールによる押し疵を誘発するため、高速通板が困難である。
中性塩電解法は、取り扱いが容易であり、特に中性塩電解の後に酸電解や酸浸漬を行わない場合には、地金をほとんど侵食しないので脱スケール後の鋼板表面光沢度を良好に保持することが可能である。また、特許文献1にも記載の通り脱スケール速度が速いので高速通板が可能であるという特徴を有する。そのため、表面光沢に優れる鋼板を高い生産能率で製造する手段として、中性塩電解法が用いられていた。
しかしながら、中性塩電解法では、高合金系ステンレス鋼(例えば、SUS310Sなど)およびNb、Ti、V、W、Zrの1種以上を含有する高耐食ステンレス鋼あるいは高Si、高Alステンレス鋼などの高耐食ステンレス鋼の焼鈍スケールの改質・除去は困難であり、その適用範囲は限られているのが現状である。そのため、中性塩電解+酸電解(硫酸)や中性塩電解+酸浸漬(フッ硝酸)の組み合わせが用いられている。この方法では、高合金系や特殊元素添加系の鋼材に対して、下地溶解による肌荒れや色調不良とともに、単純な中性塩電解法なみの高い表面光沢を得ることはできないという問題点を内在している。
特許文献2においては、アルカリ金属水酸化物またはその混合物(以下「アルカリ塩類」という。)の特定濃度の水溶液を準備し、鋼板表面温度をアルカリ塩類の溶融温度より高く、改質が起こる温度であり、さらにライデンフロスト効果が現れる温度より低い温度(好ましくは232℃〜371℃)に制御した上で鋼板の表面に前記水溶液を噴霧する金属表面のスケール改質方法が記載されている。上記好ましい温度範囲にある金属表面に水溶液を噴霧すると、水溶液の水が蒸発し、アルカリ塩類が溶融し、鋼板表面の酸化物と急速に反応が起き、スケールが改質されるとしている。スケール改質後には、硫酸酸洗と硝酸酸洗、あるいは硫酸酸洗とフッ硝酸酸洗などの仕上げ酸洗が行われる。
特開平11−158699号公報 米国特許第6450183号公報
高合金系ステンレス鋼(例えばSUS310Sなど)およびNb、Ti、V、W、Zrの1種以上を含有する高耐食ステンレス鋼、あるいは高Si、高Alステンレス鋼などの高耐食ステンレス鋼については、上記のように中性塩電解法のみでは脱スケールが困難であり、しかも表面光沢の優れた鋼板を製造することができなかった。また、中性塩電解法を通常のステンレス鋼に適用するに際し、地金侵食が少ないといってもわずかな侵食が存在し、光沢の低下が認められる。
本発明は、上記高耐食ステンレス鋼において表面光沢の優れた鋼板の製造方法を提供することを第1の目的とする。また、従来の中性塩電解法よりも優れた表面光沢を得ることのできるステンレス鋼板の製造方法を提供することを第2の目的とする。
本発明は、鋼板表面にアルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧するスケール改質方法と中性塩電解法とを組み合わせることにより、中性塩電解法の高速処理というメリットを損なわず、高耐食ステンレス鋼を表面光沢の優れた鋼板とすることを可能とするとともに、高耐食ステンレス鋼以外の通常のステンレス鋼においても、従来の中性塩電解法よりも良好な表面光沢を実現した。
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)ステンレス鋼を冷間圧延し、酸化性雰囲気中で焼鈍し、焼鈍後の鋼板表面にアルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧することによって鋼板表面のスケール改質を行い、その後中性塩を主成分とする水溶液電解(以下「中性塩電解」という。)にてスケール除去を行うことを特徴とするステンレス鋼板の製造方法。
(2)前記スケール除去後に、更に硫酸電解、硝酸電解、硝酸浸漬、フッ化水素酸と硝酸の混酸(以下「フッ硝酸」という。)浸漬のうちの1又は2以上を行うことを特徴とする上記(1)に記載のステンレス鋼板の製造方法。
(3)前記アルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧する際の鋼板温度を250〜450℃とすることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のステンレス鋼板の製造方法。
(4)前記中性塩電解時の中性塩のpHを3.5以上12以下とすることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のステンレス鋼板の製造方法。
(5)ステンレス鋼板は、Nb、Ti、V、W、Zrの1種又は2種以上を含有し、これら元素の合計含有量が0.05質量%以上であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のステンレス鋼板の製造方法。
(6)ステンレス鋼板は、Si:0.5質量%以上、Al:0.03質量%以上の一方又は両方を含有することを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のステンレス鋼板の製造方法。
(7)前記中性塩電解時の電流密度を45mA/cm2以下とすることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のステンレス鋼板の製造方法。
本発明において、「アルカリを主体とする塩類」とは、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどのアルカリを主体とし、これに必要に応じて過マンガン酸カリウムなどの酸化剤を添加した塩類をいう。もちろん、アルカリのみからなる場合を含む。
本発明は、鋼板表面にアルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧するスケール改質方法と中性塩電解法とを組み合わせることにより、中性塩電解法の高速処理というメリットを損なわず、高耐食ステンレス鋼を表面光沢の優れた鋼板とすることを可能とする。また、中性塩電解における電流密度を45mA/cm2以下とすることにより、高耐食ステンレス鋼以外の通常のステンレス鋼においても、従来の中性塩電解法よりも良好な表面光沢を実現した。
本発明のステンレス鋼板の製造方法について、図1に基づいて説明を行う。
ステンレス鋼を冷間圧延し、冷間圧延を完了したステンレス鋼板はコイルに巻き取られている。このステンレス鋼板のコイルを巻き戻し機10において巻き戻し、巻き戻された鋼板1は、焼鈍工程2−冷却工程3−スケール改質工程4−中性塩電解工程5を通過し、その後巻き取り機11において再度コイルに巻き取られる。冷間圧延後に鋼板をコイルに巻き取らず、連続して焼鈍以降の工程をそのまま行うこととしても良い。
鋼板表面にアルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧する本発明のスケール改質方法においては、後で詳述するように、水溶液を噴霧する際の鋼板温度を450℃以下の低い温度とすることができる。このような低い温度範囲でスケール改質を行うと、改質中における下地金属の侵食はソルトバス法に比べ極めて少ない。従来のソルトバス法において、450℃を超える溶融アルカリ塩浴中において素地金属の侵食が進行することと対照的である。また、アルカリ水溶液噴霧によるスケール改質方法においては、通板速度として60m/min以上の高速通板速度を採用することができる。
このように下地金属の侵食が少なくかつ通板速度を速くできるアルカリ水溶液噴霧によるスケール改質方法と、同じく下地金属の侵食が少なく通板速度の速い中性塩電解法を組み合わせることにより、強力なスケール除去能力を確保しつつ、スケール除去後の鋼板表面光沢に優れ、かつ高速処理を可能にすることができる。
従来、高耐食性ではない通常のステンレス鋼板について、中性塩電解法によってステンレス鋼板を製造する際においては、もともとの弱いデスケール能力を補うため、中性塩電解における電流密度を60mA/cm2あるいはそれ以上で電解することや、中性塩電解後に硫酸電解やフッ硝酸浸漬処理する必要があった。例えば、SUS430の場合、中性塩電解法においてもわずかな地金侵食が存在し、光沢の低下が認められていたのは、このように高い電流密度を採用することと、中性塩電解後の硫酸電解が原因であった。
また、高合金系ステンレス鋼(例えばSUS310Sなど)およびNb、Ti、V、W、Zrの1種以上を含有する高耐食ステンレス鋼、あるいは高Si、高Alステンレス鋼などの高耐食ステンレス鋼は、中性塩電解法に酸電解や酸浸漬を組み合わせてスケール除去が行われているが、表面光沢の優れた鋼板を製造することができなかった。本発明においては、アルカリ水溶液噴霧によるスケール改質手段と改質スケールのみを溶解する中性塩電解法を組み合わせることにより、前述の高耐食ステンレス鋼においても容易にスケール改質がされ、表面品質(光沢度、色調、粗度など)の優れた製品を造り込むことが可能となった。そして、この方法は上述の通りスケール除去後の鋼板表面光沢に優れるので、本発明法によってはじめて、表面光沢に優れた高耐食ステンレス鋼板を通常焼鈍法の下で製造することが可能になった。
本発明においては、中性塩電解の前にアルカリ水溶液噴霧によるスケール改質を行っているので、中性塩電解における電流密度を45mA/cm2以下としても十分にスケール改質と除去を行うことを可能とし中性塩電解時の地金侵食を極限まで低減し、スケール除去後のステンレス鋼板表面光沢を、従来の中性塩電解のみを行う方法に比較して改善することができた。
以下、本発明の各工程について詳細に説明する。
本発明においては、焼鈍方法は酸化性雰囲気中にて行う。通常は重油、天然ガスなどの燃焼雰囲気での焼鈍を選定することが可能である。
焼鈍工程2において焼鈍が完了し、次の冷却工程3で適切な温度に冷却された鋼板が、スケール改質工程4に供給される。ここでは、アルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧ノズル12から噴霧し、鋼板の表裏面に付着させる。水溶液の液滴を空気と共に噴霧するためのノズルが鋼板1の上方(12a)と下方(12b)に配置される。鋼板の表面に到達した水溶液の液滴は、その大部分が鋼板表面に被着する。アルカリを主体とする塩類の水溶液が鋼板表面に被着すると、鋼板が有している熱によって水が蒸発し、さらに被着した塩類が溶融する。
鋼板表面にアルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧するときの鋼板温度は、あまりにも低いと、噴霧時の水分気化により鋼板温度がアルカリなどの塩類の溶融温度(凝固開始温度)以下になってしまう。ここまで低い温度でなくとも、スケール改質反応を鋼板表面のいたる場所で均等に進行させるには特定の温度以上の鋼材に対して噴霧を行う必要がある。一方で、板温度が過度に高い場合には、水分の急激な蒸発が起こり鋼板と溶融塩膜の間に蒸気膜が形成され部分的なスケール残りや光沢不良を生じる。また、ここまで鋼板温度が高くない場合でも、高温での噴霧処理は部分的な反応過多をまねき、アルカリ塩の下地金属侵食による光沢不均一を生じる。すなわち、鋼板表面にアルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧するときの鋼板温度は、スケール改質反応が鋼板表面のいたる場所で均等に進行する温度で、かつ下地金属を侵食しない温度範囲に制御する必要がある。具体的には、アルカリ水溶液噴霧時に板温度の低下が生じるので、鋼板温度を250〜450℃に調整した上で水溶液を噴霧するとよい。より好ましくは290〜400℃とする。
溶融した塩類は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリを主体としており、溶融したアルカリがステンレス鋼板表面のスケールと反応し、スケールを水可溶性スケールに改質することができる。
本発明のスケール改質方法において、水溶液として鋼板表面に噴霧されるアルカリを主体とした塩類は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物を主成分として、これに酸化剤と添加剤を加えた混合塩を用いることができる。酸化剤としては、Cr23をCrO4 2-に酸化することができる酸化還元電位を有する化合物であればよい。具体的には、過マンガン酸塩、硝酸塩、アルカリ金属過酸化物もしくは酸化物、アルカリ土類金属過酸化物もしくは酸化物が好適である。添加剤は、ハロゲン化物であり、スケール改質反応の触媒的作用を付与するものであり、必要により添加すればよい。具体的な化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化鉄などである。また、水溶液の濃度は、30〜60質量%が好ましい。濃度が低すぎると、噴霧時に水分が多量に蒸発するため鋼板温度が大きく低下してしまう。逆に、濃度が高いと水溶液の粘性と比重が増しノズルによる均一噴霧や微小粒子生成が困難となる。
鋼板表面におけるアルカリを主体とした塩類の噴霧量は、5〜30mL/m2とすると好ましい。噴霧量が少ないと鋼板表面に均一に塗布することが難しくなり、過度の噴霧は板温度の低下をまねく。
アルカリを主体とした塩類を鋼板表面に噴霧するための噴霧ノズル12としては霧化ノズルを適用し,液と空気との混合割合を体積比で1対100〜300程度とし,空気圧力を1〜3kg/cm2程度とすると好ましい。
アルカリを主体とした塩類を鋼板表面に噴霧した後、スケール改質を行うための所定の時間経過後、鋼板を水冷あるいは空冷と水冷の組み合わせによって冷却し、水冷時において鋼板表面に付着した塩類を除去する。図1に示す例においては、空冷ノズル14を用いて鋼板の空冷を行った後、鋼板を水槽15に浸漬させて水冷及び塩類の除去を行っている。
スケール改質工程4に引き続いて中性塩電解工程5において中性塩電解を行う。本発明においては、SUS430のように比較的耐食性の低い鋼種では、中性塩電解を行った後には酸電解あるいは酸浸漬処理は行わなくても良いが、必要に応じて行ってもよい。しかし、耐食性の高い鋼種では、必要に応じて、フェライト系ステンレス鋼では硫酸電解、硝酸電解あるいは硝酸浸漬、もしくはこれらの複合処理、オーステナイト系ステンレス鋼では硫酸電解あるいはフッ硝酸浸漬、もしくはこれらの複合処理を実施することができる。処理時間や処理条件は、下地金属の過度の侵食を防止するため、通常の中性塩電解法に比較し、短時間、低温度、低濃度、低電流密度で構わない。
中性塩電解に用いる中性塩としては、Na2SO4、NaNO3、Na3PO4などの水溶液を用いることができる。水溶液のpHを3.5以上12以下の範囲とすれば、中性塩電解を行う際に下地を侵食しないという点で好ましい。
中性塩電解における電流密度を、従来から行われている中性塩電解と同様に電流密度を60mA/cm2あるいはそれ以上とすれば、中性塩電解の前に行うスケール改質とあいまって、高いスケール除去能力を保有することができる。従って、Nb、Ti、V、W、Zrの1種以上を含有する高耐食ステンレス鋼、あるいは高Si、高Alステンレス鋼などの高耐食ステンレス鋼においても、本発明のアルカリ水溶液噴霧によるスケール改質方法と中性塩電解法のみの組み合わせにより、十分にスケールを除去することができる。又、中性塩電解後の酸電解や酸浸漬処理と組み合わせ、その条件を緩和することによりスケール除去後の鋼板表面を極めて光沢に優れた表面とすることができる。
本発明のアルカリ水溶液噴霧によるスケール改質方法と中性塩電解法のみの組み合わせは、上述の通り高いスケール除去能力を有するので、高耐食ステンレス鋼ではない通常のステンレス鋼板を処理する場合においては、中性塩電解における電流密度を45mA/cm2以下としても十分にスケール除去を行うことが可能になった。そして、電流密度を45mA/cm2以下とすることによって、中性塩電解時の地金侵食を極限まで低減し、スケール除去後のステンレス鋼板表面光沢を極めて良好な状況とすることができる。
更に、本発明は、高合金鋼(SUS310Sなど)およびNb、Ti、V、W、Zrの1種又は2種以上を含有し、これら元素の合計含有量が0.05質量%以上である高耐食ステンレス鋼およびSi:0.5質量%以上、Al:0.03質量%以上の一方又は両方を含有する高耐食ステンレス鋼に優れた効果を発揮することができる。これら元素含有量を有する高耐食ステンレス鋼においては、脱スケール性が良くないため、従来の中性塩電解ではその後に酸電解や酸侵食処理を行っているが良好な表面光沢を実現することができていなかったのに対し、本発明を適用することによって表面光沢を改善することができる。
(実施例1)
表1の鋼種A〜Iに示す化学組成を有し、板厚が0.5mmの試験材を用い、各鋼種それぞれ表1に示す焼鈍温度で焼鈍を行った後、表2のNo.1〜11に示す各種処理条件でスケール除去処理を行った。No.1〜3が本発明例であり、No.4〜11が比較例である。スケール除去の各処理工程における詳細な処理条件は以下の通りである。
ソルト水溶液スプレーにおいては、水酸化カリウムが25質量%、水酸化ナトリウムが15質量%、過マンガン酸カリウムが1質量%の水溶液を用い、噴霧量は20mL/m2とした。噴霧後の保温時間は5秒とし保温時間終了後に強制空冷あるいはディップ水洗実施した。噴霧時の板温度は350℃である。
ソルト浴浸漬においては、ソルト浴の組成を28質量%NaNO3+1質量%NaCl+1質量%KOH+残部NaOH、ソルト浴温度を450℃、有効槽長を7mとした。
中性塩電解においては、電解液組成を150g/L Na2SO4(pH=6.0)、電流密度を30mA/cm2、アノード電解時間を8秒、カソード電解時間を8秒(交番電解)、有効槽長を30mとした。
フッ硝酸浸漬においては、フッ硝酸液組成をHF=40g/L、HNO3=80g/Lとし、液温度を50℃、有効槽長を12mとした。
硫酸電解においては、液組成を100g/L H2SO4とし、電流密度を65mA/cm2、アノード電解時間を5秒、カソード電解時間を5秒(交番電解)、有効槽長を20mとした。
硝酸電解においては、液組成を150g/L HNO3とし、電流密度を60mA/cm2、アノード電解時間を3秒、カソード電解時間を3秒(交番電解)、有効槽長を20mとした。
通板速度についてはいずれも10m/minからスタートし、順次通板速度を速めていき、スケール残り、光沢ムラ、ソルト浴に起因するキズ発生、ソルト持ち出し起因の光沢ムラなどで限界と判断される通板速度を把握し、限界通板速度とした。併せて、限界通板速度におけるスケール残りと光沢度を評価した。スケール残りの評価は、スケール残存なしを「○」、一部に薄く斑点状に残存したものを「△」、全面に斑点状に残存したものを「×」とした。鋼板の光沢度は、フェライト系鋼種は酸洗デスケール後に、オーステナイト系鋼種はスキンパス圧延後に、JIS Z 8741に基づいて、板の圧延方向のGS(45°)を計測した。尚、スケール残りのある条件(×印)では光沢計測を実施しなかった例もある。
Figure 2005068523
Figure 2005068523
各鋼種毎に、各種スケール除去条件によってスケール除去を行った結果を表3〜表6に示す。表3は高耐食ステンレス鋼ではない通常のステンレス鋼板における評価結果であり、表4〜表6は高耐食ステンレス鋼板における評価結果である。通板速度については、50m/min超を合格とした。光沢度については、フェライト系鋼種では750以上を合格、800以上であればより良好とし、オーステナイト系鋼種では340〜360を合格とした。本発明範囲から外れる数値については表中にてアンダーラインを付している。
Figure 2005068523
Figure 2005068523
Figure 2005068523
Figure 2005068523
本発明例であるスケール除去処理条件No.1〜3においては、鋼種A〜Iのいずれの鋼種においても、高い限界通板速度を実現し、スケール残りが発生せずに良好であり、良好な光沢度を得ることができた。
比較例であるスケール除去処理条件No.4〜11においては、いずれも限界通板速度が目標に達せず、鋼種によっては最低通板速度である10m/minにおいてスケール除去が不良であった。光沢度についても、光沢度が目標に達しないかあるいは本発明例に比較して低い光沢度であった。
(実施例2)
表2に示すスケール除去条件のうちNo.1、2、3の条件について、表1に示す鋼種のうち鋼種A、C、G、Hのスケール除去を行うに際し、ソルト水溶液噴霧時の板温度を220〜500℃で変化させ、スケール除去後のスケール残り状況及び光沢度の評価を行った。スケール残り評価条件及び光沢度評価条件については上記実施例1と同様である。下記実施例3、4についても同様である。
結果を表7に示す。いずれの鋼種においても、ソルト水溶液噴霧時の板温度が250〜450℃の範囲において良好なスケール除去状況と良好な光沢度を実現することができた。
Figure 2005068523
(実施例3)
表2に示すスケール除去条件のうちNo.1、2、3の条件について、表1に示す鋼種のうち鋼種A、C、G、Hのスケール除去を行うに際し、中性塩電解液のpHを1.0〜13.0の間で変化させ、スケール除去後のスケール残り状況及び光沢度の評価を行った。中性塩電解液として0.1mol/L Na2SO4にH2SO4もしくはNaOHを加えて調合することによりpHの調整を行った。
結果を表8に示す。いずれの鋼種においても、中性塩電解液のpHが3.5〜12.0の範囲において良好なスケール除去状況と良好な光沢度を実現することができた。
Figure 2005068523
(実施例4)
表2に示すスケール除去条件のうちNo.1、2、3の条件について、表1に示す鋼種のうち鋼種A、C、G、Hのスケール除去を行うに際し、中性塩電解時の電流密度を20〜100mA/cm2の間で変化させ、スケール除去後のスケール残り状況及び光沢度の評価を行った。
結果を表9に示す。いずれの鋼種においても、中性塩電解時の電流密度が20〜45mA/cm2の間で良好なスケール除去状況と良好な光沢度を実現することができた。
Figure 2005068523
本発明のステンレス鋼製造工程を示す概略図である。
符号の説明
1 鋼板
2 焼鈍工程
3 冷却工程
4 スケール改質工程
5 中性塩電解工程
6 硫酸電解工程
6’硝酸電解工程
7 フッ硝酸浸漬工程
8 水洗工程
10 巻き戻し機
11 巻き取り機
12 噴霧ノズル
14 空冷ノズル
15 水槽

Claims (7)

  1. ステンレス鋼を冷間圧延し、酸化性雰囲気中で焼鈍し、焼鈍後の鋼板表面にアルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧することによって鋼板表面のスケール改質を行い、その後中性塩を主成分とする水溶液電解(以下「中性塩電解」という。)にてスケール除去を行うことを特徴とするステンレス鋼板の製造方法。
  2. 前記スケール除去後に、更に硫酸電解、硝酸電解、硝酸浸漬、フッ化水素酸と硝酸の混酸(以下「フッ硝酸」という。)浸漬のうちの1又は2以上を行うことを特徴とする請求項1に記載のステンレス鋼板の製造方法。
  3. 前記アルカリを主体とする塩類の水溶液を噴霧する際の鋼板温度を250〜450℃とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のステンレス鋼板の製造方法。
  4. 前記中性塩電解時の中性塩のpHを3.5以上12以下とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のステンレス鋼板の製造方法。
  5. ステンレス鋼板は、Nb、Ti、V、W、Zrの1種又は2種以上を含有し、これら元素の合計含有量が0.05質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のステンレス鋼板の製造方法。
  6. ステンレス鋼板は、Si:0.5質量%以上、Al:0.03質量%以上の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のステンレス鋼板の製造方法。
  7. 前記中性塩電解時の電流密度を45mA/cm2以下とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のステンレス鋼板の製造方法。
JP2003302978A 2003-08-27 2003-08-27 ステンレス鋼板の製造方法 Pending JP2005068523A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003302978A JP2005068523A (ja) 2003-08-27 2003-08-27 ステンレス鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003302978A JP2005068523A (ja) 2003-08-27 2003-08-27 ステンレス鋼板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005068523A true JP2005068523A (ja) 2005-03-17

Family

ID=34407103

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003302978A Pending JP2005068523A (ja) 2003-08-27 2003-08-27 ステンレス鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005068523A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006336051A (ja) * 2005-05-31 2006-12-14 Parker Corp チタン材のスケール改質方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02310398A (ja) * 1989-05-25 1990-12-26 Kawasaki Steel Corp ステンレス冷延鋼材の電解脱スケール法
JPH0324299A (ja) * 1989-06-22 1991-02-01 Kawasaki Steel Corp ステンレス鋼帯の酸洗方法
JPH05295600A (ja) * 1992-04-17 1993-11-09 Nisshin Steel Co Ltd ステンレス鋼帯の連続脱スケール方法及び装置
JPH11158699A (ja) * 1997-11-25 1999-06-15 Hitachi Ltd ステンレス鋼帯の脱スケール方法及びその一貫製造装置
JP2002363712A (ja) * 2000-12-22 2002-12-18 Kawasaki Steel Corp 燃料タンク・燃料パイプ用フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP2002371395A (ja) * 2001-06-15 2002-12-26 Parker Corp ステンレス鋼の高速デスケーリング処理法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02310398A (ja) * 1989-05-25 1990-12-26 Kawasaki Steel Corp ステンレス冷延鋼材の電解脱スケール法
JPH0324299A (ja) * 1989-06-22 1991-02-01 Kawasaki Steel Corp ステンレス鋼帯の酸洗方法
JPH05295600A (ja) * 1992-04-17 1993-11-09 Nisshin Steel Co Ltd ステンレス鋼帯の連続脱スケール方法及び装置
JPH11158699A (ja) * 1997-11-25 1999-06-15 Hitachi Ltd ステンレス鋼帯の脱スケール方法及びその一貫製造装置
JP2002363712A (ja) * 2000-12-22 2002-12-18 Kawasaki Steel Corp 燃料タンク・燃料パイプ用フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP2002371395A (ja) * 2001-06-15 2002-12-26 Parker Corp ステンレス鋼の高速デスケーリング処理法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006336051A (ja) * 2005-05-31 2006-12-14 Parker Corp チタン材のスケール改質方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2819378B2 (ja) ステンレス鋼のピックリング法
CN110129872B (zh) 一种钴铬金属电解质等离子抛光用抛光液
JP5313358B2 (ja) 第二鉄イオンを含有する酸性酸洗溶液でケイ素鋼を酸洗いするプロセス
KR100397049B1 (ko) 강선에 인산염 피막을 형성하기 위한 방법 및 그 장치
JP2005241635A (ja) 鉄鋼材料の旧オーステナイト粒界現出用腐食液および鉄鋼材料の旧オーステナイト粒界現出方法
JP2014501337A (ja) 表面品質に優れた低クロムフェライト系ステンレス冷延鋼板を製造するための環境に優しい高速酸洗プロセス
CN110062819A (zh) 用于使用镀覆层电镀未涂覆的钢带材的方法
JP2022509863A (ja) 耐食性が向上したフェライト系ステンレス鋼及びその製造方法
JP5282459B2 (ja) Si含有鋼板の製造方法
JP6031606B2 (ja) オーステナイト系ステンレス冷延鋼板を製造するための高速酸洗プロセス
WO2003056063A1 (fr) Procede de finition de surface d'un acier inoxydable suite a un detartrage
JP2005068523A (ja) ステンレス鋼板の製造方法
JP2000064070A (ja) 金属の酸洗液および酸洗方法
JP2002371395A (ja) ステンレス鋼の高速デスケーリング処理法
JP6068687B2 (ja) スチールおよび鉄基材上の高温化成コーティング
JP3483385B2 (ja) ステンレス鋼のエッチング液組成物
JP4322726B2 (ja) 表面光沢に優れるステンレス鋼板の製造方法
JP3878024B2 (ja) フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP2017155311A (ja) 高耐食性合金材の製造方法
JP3631026B2 (ja) 溶融めっき用酸洗済み熱延鋼帯の前処理方法
US6921443B1 (en) Process for producing stainless steel with improved surface properties
JP2006336051A (ja) チタン材のスケール改質方法
JP4096352B2 (ja) 磁性薄膜製造用素材の製造方法
JP2002348700A (ja) Cr系ステンレス冷延焼鈍鋼板の脱スケール方法
JPH0665765A (ja) ステンレス鋼帯の高速酸洗処理法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20050216

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050302

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050307

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050303

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050511

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051109

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060406

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080812

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090106