JP2000064070A - 金属の酸洗液および酸洗方法 - Google Patents
金属の酸洗液および酸洗方法Info
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Abstract
間を短縮することができ、かつ処理肌(表面粗度や光
沢)を容易に制御することができる金属の酸洗液をおよ
びその酸洗液による酸洗方法を提供する。 【解決手段】金属を酸洗するための酸化性ガスを含ませ
た酸溶液。この酸溶液を金属材料に噴射するかまたは金
属材料を酸溶液に浸漬して、酸化スケールを除去した
り、表面肌を調整する。酸洗時に電解処理を併用しても
よい。
Description
酸洗するための酸洗液および酸洗方法に関する。
スケールを除去する(「脱スケール」と呼ばれる)ため
におこなわれる。その他、金属表面の光沢や表面粗さを
調節する目的および表面の疵などの欠陥を溶解除去する
目的等でも酸洗がおこなわれる。
するための酸洗技術は、種々の金属製品の工業生産に広
く応用されている。例えば、鉄鋼分野における鋼板の生
産においては、熱間圧延によって生じた酸化スケールを
塩酸溶液で溶解して除去する、「酸洗」と呼ばれる工程
がある。また、ステンレス鋼、チタンあるいはNi基合
金の場合には、硝酸とふっ化水素酸を混合した硝ふっ酸
による酸洗がしばしばおこなわれる。
会編、日刊工業新聞社発行、1995年)の1132〜
1134ページにはステンレス鋼の酸洗方法として、硫
酸、硝酸、ふっ化水素酸、塩酸の単味または混合した酸
洗液、あるいはこれに塩化第二鉄、硫酸第二鉄を添加し
た酸洗液に浸漬またはスプレーするか、これらの酸洗液
中で電解する方法が開示されている。
技術協会編、日刊工業新聞社発行、1963年)の20
9〜210ページにも、ステンレス鋼の酸洗液として硝
酸とふっ化水素酸の混酸および塩酸、硝酸および硫酸の
混酸などの9種類の酸洗液が開示されている。
えられて新しい酸洗方法が提案されており、例えば特開
平6−65765号公報には、ふっ化水素酸、硝酸およ
び塩酸の混酸にPtなどの貴金属イオンを添加した酸洗
液にステンレス鋼を浸漬するか、この酸洗液をステンレ
ス鋼にスプレーすることにより効率良く平滑な酸洗肌が
得られることが開示されている。
表面に仕上げる技術としては、多くの電解研磨法や化学
研磨法が知られている。
編、丸善株式会社発行、1960年)の674〜676
ページには鉄鋼の電解研磨法として15種類、化学研磨
法として10種類の方法が開示されている。また、同金
属便覧の1014〜1015ページにはチタンおよびジ
ルコニウムの電解研磨液と顕微鏡組織観察用腐食液、9
67〜968ページにはニッケルおよびニッケル基合金
の酸洗液と顕微鏡または肉眼による金属組織観察用腐食
液、768〜772ページにはアルミニウムおよびアル
ミニウム合金の電解研磨法、化学研磨法および金属組織
を観察するためのエッチング方法、さらに850〜85
5ページには銅および銅合金の化学研磨法およびエッチ
ング方法が開示されている。
酸、ふっ化水素酸およびラウリル酸ナトリウムを含む水
溶液および過酸化水素とふっ化水素酸の混合水溶液で、
チタン材を、順次に酸洗することにより光沢の良い表面
に仕上げる方法が開示されている。
表面の金属が好まれることが多いが、例えば空港の屋根
や鉄道車両の側壁などに用いられるステンレス鋼板の場
合には、太陽光線の反射をできるだけ少なくして眩しさ
を抑制する必要があるため、むしろ光沢の無い粗い表面
が好まれる。
いて同じ材料を高光沢に仕上げたり、逆に粗面に仕上げ
ることは不可能である。このようなことを工業的におこ
なう場合には、酸洗槽の酸液を何種類も作って入れ替え
る必要があり、酸の浪費や作業工数の増大という不利益
が生じる。
ため、一つの酸洗槽で種々の金属材料を処理する必要性
が日常的に発生する。そのために被酸洗材によって酸洗
時間を大幅に変えなければならないという事態が生じ
る。例えば、熱間圧延や焼鈍によって表面に酸化スケー
ルが生成した18%Cr−8%Niステンレス鋼、25
%Cr−5%Ni−4%Moステンレス鋼、純Niおよ
び純Tiをショットブラスト処理によって大部分のスケ
ールを除去した後、10%HNO3−2%HF の硝ふっ
酸で酸洗して完全に脱スケールしようとする場合、18
%Cr−8%Niステンレス鋼、純Tiおよび純Niは
10〜30分間という比較的短時間で脱スケールできる
が、25%Cr−5%Ni−4%Moステンレス鋼は1
0時間以上を要する。このように酸洗槽への浸漬時間が
大幅に異なるので、酸洗作業の段取りが複雑化して待ち
時間(何も作業をしない時間)が長くなるという問題が
発生する。
(1)種々の金属材料に共通して使用できる、(2)酸
洗時間を短縮することができる、(3)処理肌(表面粗
度や光沢)を容易に制御することができる、という三つ
の利点を備えた酸洗液およびその酸洗液を用いた酸洗方
法を提供することにある。
通りである。
属の酸洗液。
よび酸化窒素である上記(1)の酸洗液 (3)上記(1)または(2)の酸洗液を金属表面に噴
射させるか、前記酸洗液に金属を浸漬する金属の酸洗方
法。
で、金属を電解処理する金属の酸洗方法。
で金属を電解処理するに際し、前記酸洗液を電極と金属
間に噴射しながら電解処理することを特徴とする金属の
酸洗方法。
る」とは、酸化性ガスが酸溶液に溶解した状態および/
または酸化ガスがガス状(小さい気泡)で酸溶液中に存
在している状態(以下、混合している状態ともいう)を
いう。
液で酸洗することを可能にするためには、耐食性の異な
る種々の金属の地金を効率良く溶解することのできる酸
洗液が必要と考え、そのような酸洗液を開発するため、
種々実験、検討した。その結果、酸洗液の酸化剤として
酸化性ガスを使用すするのがよく、酸化性ガスを含ませ
た酸溶液を被処理材に接触させることにより多種類の金
属を効率よく溶解することができ、さらに、その酸溶液
で電解をおこなえば、さらに大きな効果が得られるとの
知見を得て、本発明を完成するに至った。なお、酸化剤
について以下に説明する。
イオンとして溶液中に溶け出すことによって進行する。
金属が陽イオンになるためには電子を失う必要があり、
一般にこの現象を金属が「酸化される」という。例え
ば、金属(M)が2価の陽イオン(M2+)になる反応
は、 M→M2++2e- ・・・・・(1) のように書くことができる。金属を酸化するためには金
属の電子e- を奪う物質が必要であるが、酸溶液におい
ては水素イオン(H+) がその働きをする。一般に、酸
は水素原子とその他の原子団(基と呼ばれる)で構成さ
れる化学式で表され、水溶液中では、水素原子は電子を
失った水素イオン(H+)、 基は電子を奪った陰イオン
(基-) として存在する。これを化学反応式で書くと、
〔H−基〕→〔H+〕+〔基-〕のようになる。水素イオ
ンは、本来の水素原子に比べて電子1個を失った形なの
で、 2H++2e-→2H ・・・・・(2) の反応で他から電子を奪って水素原子さらには水素分子
に戻ろうとする性質、すなわち他の物質を酸化する「酸
化剤」としての性質を有する。
板、帯板、管、棒、塊、線および箔などの種々の形態の
金属の酸洗処理に適用できる。
用いることができ、特に限定するものではないが、比較
的安価で工業的に大量に入手し易い硫酸(H2SO4)、
塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、ふっ化水素酸(H
F)、 りん酸などの無機酸および酢酸などの有機酸の
1種または2種以上を混合したものが使用できる。酸の
濃度や酸洗液の温度も特に限定されるものではないが、
一般に酸の濃度が濃くて酸洗液の温度が高いほど金属の
溶解速度が速まり、反面、酸の蒸気やミストの発生量が
多くなるので、濃度は0.1〜5mol/dm3 程度、
温度は10〜90℃程度が適当である。
(H+)と硝酸イオン(NO3 -) に解離しており、H+
は前述のように酸化剤の性質を有するが、NO3 -はH+
よりさらに強い酸化力を有する。
離して生じた陰イオン、すなわちSO4 2-、Cl-、F-
は酸化力を有していない。NO3 - のような強い酸化剤
は、酸溶液中に適量含まれる場合には金属の溶解速度を
速める働きをするが、過剰に含まれると金属を「不動態
化」して溶解が止まることがある。特に、Cr、Ti、
Al等の酸化物を作りやすい金属を主成分とする金属の
場合にこのような不動態化現象が起こりやすい。したが
って、溶解速度を速めるのに最適な酸洗液中の酸化剤の
量は金属の種類によって異なる。
ては、NO2、NO、N2O4、N2O、O3、O2、C
l2、ClO、ClO2、ClO3およびClO4等が使用
できるが、酸化力の強さ、化学的安定性、工業的な入手
のしやすさからNO2 およびNOガスが推奨される。
びO3を用いた酸洗液中での酸化性ガスの反応を次に示
す。
した場合には反応によって生成する物質が無害な窒素ガ
ス(N2)、酸素ガス(O2)または水(H2O)である
ため、酸洗能力に及ぼす影響が小さいだけでなく、作業
環境を悪化させる心配も無いことである。
解度は、ガスの種類および酸溶液の種類、濃度、温度等
によって異なるが、かならずしも酸洗液中に溶解したガ
スだけが酸洗能力に影響するわけではなく、酸洗液中に
ガス状の酸化性ガスが混合した状態でも酸洗能力に大き
な影響を及ぼす。
なメリットは、これらのガスの添加を止めるか、酸洗液
を減圧状態にすることによって容易に反応系のガス濃度
を低めることが可能である点である。したがって、硝酸
を用いた場合のように酸洗液の酸化剤濃度を低めるため
に酸洗液を無駄に廃棄するようなことをする必要が無
い。ただし、これらの酸化性ガスの酸化力を補うために
硝酸イオンや重クロム酸イオンなどの酸化力の強いイオ
ンを酸溶液中に共存させてもよい。
理金属の種類、酸溶液の種類および酸化性ガスの種類な
どに応じて適宜決めればよいが、酸洗速度を大きくした
い場合には金属が不動態化しないように酸化性ガスの添
加量を決める必要がある。
あるが、基本的には当然のことながら酸洗液を金属表面
に接触させることである。
は、金属を酸洗液に浸漬する方法、金属を酸洗液に浸漬
しつつ酸洗液を金属表面に噴射する方法、気体(空気、
酸化性ガスなど)中で酸洗液を金属表面に噴射する方法
などが推奨される。これらの方法では効率がよいのは、
酸化性ガスを含ませた酸洗液を、金属表面に噴射させる
方法である。また、酸化性ガスを含ませた酸洗液中で、
金属を電解処理する方法、さらに金属と電極間に、酸化
性ガスを含ませた酸洗液を噴射しながら電解処理する方
法も酸洗効率がよい。したがって、これらの方法は、耐
食性に優れた金属の酸洗に好適である。
じて種々の方法が適用できる。これらの方法に用いる装
置について図を用いて以下に説明する。
化性ガスを吹き込みながら撹拌する装置を示す図であ
る。
性ガス3を噴出させるためのポーラス状のノズル4が設
けられており、さらに、酸洗槽内にはノズルから噴出さ
れた酸化性ガスと酸溶液とを撹拌して、ガスを溶解およ
び/または混合するための撹拌機5が設けられている。
この装置は、切り板の酸洗に適しており、被処理材6は
釣具7により酸洗槽内に保持され酸洗される。
のガス濃度に調整した酸溶液を、酸洗槽中を走行する金
属帯に噴射する酸洗装置を示す図である。
帯板6を連続的に通過させて酸洗する装置である。酸化
性ガス溶解/混合槽8内で、酸溶液中に酸化性ガスがポ
ーラス状ノズル4から噴射され、撹拌機5により撹拌さ
れ溶解および/または混合され、酸化性ガスを含んだ酸
溶液が調整される。その酸溶液は、ポンプ9aにより酸
洗槽内に被処理材に対面させて設けたノズル4aに供給
され、そのノズルから被処理材に対して噴射される。酸
洗槽中の酸溶液はポンプ9bにより酸化性ガス溶解/混
合槽に戻され循環使用されるようになっている。
より電解酸洗しながら酸化性ガスを含ませた酸溶液を電
極と帯板間に噴射することのできる酸洗装置を示す図で
ある。この装置は、酸洗槽内に被処理材の帯板の上下に
対面して電極が設けられ、酸化性ガスを含ませた酸溶液
が電極と帯板間に噴射されることを除けば図2で説明し
た装置と同じである。この装置は金属帯板を連続的に電
解酸洗するのに適している。ノズルからの酸化性ガスを
含ませた酸溶液の噴射は、酸洗反応を促進させるために
おこなうもので、電解反応に伴って生じる水素ガスや酸
素ガスの気泡が電極や金属帯板の下面に溜まり電解を阻
害するのを防止する効果もある。
で混合しつつ金属表面に噴射することを特徴とする酸洗
装置を示す図である。
続的に通過させながら帯板表面に酸化性ガスを含ませた
酸溶液を噴射しながら酸洗する装置で、帯板の上部に気
液混合器10が設けられている。酸溶液貯蔵槽11内の
酸溶液はポンプ9aにより気液混合器10に供給され、
二重構造のノズル4aの内管から帯板表面に向け噴射さ
れる。それと同時に気液混合器のノズル4aの外管から
酸化性ガス3が供給され、ノズルの先端で酸溶液と酸化
性ガスとが混合される。
について説明する。酸化性ガスを含ませた酸洗液中での
電解では、比較的卑な電位域での電解をおこなうことに
より、金属の溶解速度が飛躍的に大きくなる。しかも、
大きな溶解速度を示す電位域がさらに卑な方向へ大きく
広がって、1Vvs.SCEより卑、すなわち酸化性ガ
スを接触させない場合には完全に陰極防食されるような
電位域においても金属が溶解する。このような予想外の
現象が起きる理由は現在のところ十分に解明できていな
いが、酸化力の強い酸化性ガスが金属の電子を奪ってイ
オン化するためと推測している。
化性ガスの作用を説明するための模式図で、同図(a)
は通常の電解における電位が貴な場合、同図(b)は通
常の電解における電位が卑な場合、同図(c)は酸化性
ガスとしてNO2ガスを含ませた場合の図であり、各反
応式も併せて示す。
が比較的貴な場合には酸が解離して生じた水素イオン
(H+) の酸化力によって金属の電子が奪われて金属イ
オンとなって溶解するが、図7(b)のように電位が卑
となるにつれて金属表面の電子密度が高まるため、水素
イオンの酸化力では金属をイオン化できなくなって金属
は溶解しなくなる(これが、いわゆる陰極防食された状
態)。しかし、図7(c)に示すように、酸化性ガスを
存在させると、その強い酸化力によって金属がイオン化
され、同時に水素イオンによる酸化作用も働いて予想外
の大きな溶解速度を示すものと推測される。
うな卑な電位域でおこなう電解においては、例えば酸化
性ガスとしてNO2を用いた場合には、前記の(1)、
(2)および(3)式の反応が起きるが、(1)式の反
応で生じる電子より(2)および(3)式で消費される
電子が多いので、見かけ上マイナスの電気が流れている
(すなわち、陰極電解されている)にもかかわらず金属
が陽イオンとして溶解するという現象が生じることにな
る。一方、過不動態溶解が起きるような貴な電位域での
陽極電解においても、酸化性ガスを接触させることによ
って溶解速度が大幅に速まる。この理由も現在のところ
十分に解明できていないが、酸化性ガスの作用により金
属が酸素を含む陰イオンを形成する速度が速まるためと
推測される。
づいて説明する。
の電解による各種の酸洗装置を示す模式図で、同図
(a)は帯板の間接通電による酸洗装置、同図(b)は
切り板の直接通電による酸洗装置、同図(c)は金属管
内面の直接通電による酸洗装置をそれぞれ示す。
ませた酸溶液1中を連続的に通過する帯板6の上流側に
正極12および下流側に負極13が設けられている装置
である。
ませた酸溶液1を入れた酸洗槽2内に被処理材6の両面
に対面させて対極14が設けられている。
洗装置で、酸化性ガスを含ませた酸溶液1を入れた酸洗
槽2内で被処理材である金属管6を電解酸洗するための
装置で、対極14は金属管の中心部に設けられている。
による酸洗では、電解時の極性は被処理材の金属を負極
とする方法、金属を正極とする方法および両者の併用の
いずれでもよい。
る酸洗装置を示す図である。同図に示すように、基準電
極16と塩橋17とを設け、電解時に金属表面の電位を
測定しつつ電位制御器15により電位、電流密度および
酸化性ガス濃度などを制御する方法が推奨される。
ものではなく、酸洗の目的や金属の種類などに応じて適
宜に決定すればよいが、電流密度としては20〜200
00A/m2程度が適当である。
際し、被酸洗材の表面皮膜やスケールが酸に溶け難く、
緻密で酸が浸透しない場合には、機械的方法や化学的方
法であらかじめ表面皮膜やスケールを除去または改質
(酸に溶けやすいものに変える)すれば本発明が適用で
きることはいうまでもない。なお、上記の機械的方法と
しては、ステンレス鋼の場合にはショットブラスト法
(直径0.3mm程度の鋼球を高速で投射してスケール
を破壊する方法)、化学的方法としては溶融アルカリ塩
浸漬法(水酸化ナトリウムと硝酸ナトリウムを主成分と
する500℃程度の溶融塩浴に浸漬する方法)や中性塩
電解法(20%程度の硫酸ナトリウム水溶液中で電解す
る方法)が適用できる。
鋼(SUS304およびSUS430)、純チタン(J
IS H46001種)、純ニッケル、Fe−Ni合金
(42%Ni)およびCu−Ni合金(30%Ni)の
金属板(板厚:2.5〜3.5mm、大きさ:60mm
×100mm)の表面を1000番のエミリー紙で湿式
研磨仕上げしたものを試験片として酸洗した。容積30
00dm3 のプラスチック製容器に20mass%硫酸
2000dm3を入れ、恒温水槽を用いて50℃に加熱
した。図1に示す装置を用いて、窒素で希釈したNO
2、NOまたは O3−O2の混合ガス(O3:O2は約1:
20)を吹き込みつつ攪拌した状態で酸溶液中に試験片
を浸漬した(浸漬時間:2〜10分間)。浸漬前後の試
験片の質量差と浸漬時間から溶解速度を算出した。使用
した酸化性ガスの種類およびその窒素による希釈率(容
量%)、試験片の溶解速度を表1に示す。
i、純Ni、Fe−42%Ni、Cu−30%Niは2
0%硫酸に酸化性ガスを吹き込むことによって溶解速度
が大幅に大きくなった。
(18%Cr−9%Ni)およびSUS329J2L
(25%Cr−7%Ni−3%Mo)および純チタン
(JIS H46001種)の熱延帯板を焼鈍後、ショ
ットブラスト処理して大部分のスケールを機械的に除去
した。この熱延鋼板より幅300mmの帯状供試材を切
り出し、図2に示すような連続噴流酸洗試験装置を用い
て脱スケール処理した。ショットブラスト処理の程度
は、外層の酸化スケールが大部分除去され、内層のスケ
ールに亀裂が生じている程度とした。また、本実験では
酸化性ガス(NO2) の溶解槽を2槽使用し、槽入側半
分と出側半分のノズルからNO2 吹き込み量の異なる酸
洗液(5%HNO3−3%HF、50℃) を噴射した。
なお、いずれの供試材についても正味の酸洗時間が2m
inになるように通板速度を調節した。また、比較のた
めにNO2 ガスを吹き込まない条件でも試験した。酸洗
試験後の供試材より採取した試験片表面を目視および光
学顕微鏡観察して、脱スケールの程度を5段階評価する
と共に、脱スケールが完了したものについては表面粗度
を測定した。試験条件および試験結果をまとめて表2に
示す。
は、5:脱スケール完了、4:ほぼ脱スケール完了(光
学顕微鏡観察でわずかにスケール残存)、3:目視観察
でわずかにスケール残存、2:目視観察でかなりスケー
ル残存、1:多量のスケール残存、である。
よび純TiはNO2ガスを吹き込まない硝ふっ酸でも脱
スケールは可能であったが、表面の肌荒れが大きかっ
た。これに比べてNO3 ガスを吹き込んだ硝ふっ酸を用
いた場合には、表面粗度の小さい滑らかな酸洗肌が得ら
れた。なお、酸洗後の表面粗度は出側のNO2ガス吹き
込み量を多くする方が小さくなる傾向が確認された。一
方、SUS329J2Lは耐食性が非常に優れるため、
NO2 ガスを吹き込まない硝ふっ酸では脱スケールが完
全にはできなかったが、NO2 ガスを吹き込むことによ
り脱スケールが可能となり、滑らかな酸洗肌が得られ
た。
4、SUS430および22%Cr−2%Moの2B仕
様材(酸洗後調質圧延したもの)より幅300mmの帯
状供試材を切り出し、図3に示すような電解酸洗装置を
用いて、20%H2SO4水溶液(50℃)中で酸洗し
た。なお、酸化性ガス(NO2) を溶解した酸液は、正
極または負極直近の供試材表面にノズルより吹き付け
た。酸洗前後の供試材より試験片を採取し、光沢および
表面粗度を調べた結果を表3に示す。
2 ガスを吹き込んだ20%硫酸を供給することにより光
沢を大幅に向上させ、表面粗度を小さくすることができ
た。逆に、負極近傍にNO2 ガスを吹き込んだ20%硫
酸を供給することにより光沢を低下させ、表面粗度を大
きくすることができた。これに対して、NO2 ガスを吹
き込まない場合には酸洗前よりわずかに光沢が低下し、
表面粗度がわずかに大きくなる程度であった。
間を大幅に短縮することができるだけでなく、耐食性の
異なる種々の金属材料を同じ酸溶液で酸洗処理すること
も可能となる。また、酸洗条件の制御(酸化性ガスの種
類、供給量など)により、酸洗肌(酸洗後の表面粗度や
光沢)を容易に変えることができるなど、産業上極めて
有効である。
である。
ための模式図である。
/混合槽 3 酸化性ガス 12 正極 4 ポーラス状ノズル 13 負極 5 撹拌機 14 対極
Claims (5)
- 【請求項1】酸溶液に酸化性ガスを含んでいることを特
徴とする金属の酸洗液。 - 【請求項2】酸化性ガスが二酸化窒素または/および酸
化窒素である請求項1記載の酸洗液。 - 【請求項3】請求項1または2記載の酸洗液を金属表面
に噴射させるか、前記酸洗液に金属を浸漬することを特
徴とする金属の酸洗方法。 - 【請求項4】請求項1または2記載の酸洗液中で、金属
を電解処理することを特徴とする金属の酸洗方法。 - 【請求項5】請求項1または2記載の酸洗液中で金属を
電解処理するに際し、前記酸洗液を電極と金属間に噴射
しながら電解処理することを特徴とする金属の酸洗方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10238131A JP2000064070A (ja) | 1998-08-25 | 1998-08-25 | 金属の酸洗液および酸洗方法 |
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