JPH108298A - 熱間圧延鋼帯の脱スケール方法およびその設備 - Google Patents

熱間圧延鋼帯の脱スケール方法およびその設備

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JPH108298A
JPH108298A JP15790096A JP15790096A JPH108298A JP H108298 A JPH108298 A JP H108298A JP 15790096 A JP15790096 A JP 15790096A JP 15790096 A JP15790096 A JP 15790096A JP H108298 A JPH108298 A JP H108298A
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hot
descaling
hydrochloric acid
rolled steel
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JP15790096A
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Katsumi Mabuchi
勝美 馬渕
Heihachiro Midorikawa
平八郎 緑川
Tomoko Kikuchi
智子 菊池
Yasunobu Kani
保宜 可児
Tsuneo Nakamura
恒雄 中村
Masahiko Ito
雅彦 伊藤
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、高速酸化物スケール除去方法
および装置並びに平滑性の優れた酸化物スケールを除去
した普通鋼を提供することにある。 【解決手段】熱間圧延普通鋼帯の酸洗設備において、酸
洗液として15%HClに脱スケール促進剤を添加した
酸洗が循環する酸洗槽において連続して流れる普通鋼熱
間圧延鋼帯に電流を流す手段を具備することを特徴とし
た熱間圧延普通鋼帯の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、普通鋼板の製造法
に係り、特に熱間圧延鋼帯の表面に生成した酸化スケー
ルを高速に除去するのに好適な脱スケール方法およびそ
の設備に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に普通鋼鈑は、800〜900℃で
圧延されるために表面にFe34を主体とした黒色の酸
化物スケールが生成する。このスケールは、後続の冷間
圧延時に圧延ロールに巻き込まれ鋼鈑表面の損傷原因に
なるため、スケールの除去が不可欠である。
【0003】従来の普通鋼帯のスケール除去法に関して
は主にケミカルな方法とメカニカルな方法に大別され
る。ケミカルな方法としては、酸溶液中に鋼鈑を浸漬し
て連続通板させ、化学反応によりスケールを除去するカ
テナリ方式が主流である。酸液中への浸漬による酸化物
スケール除去の効率を高めた方法としては、ボックス(B
ox)せき方式および噴流方式がある。ボックスせき方式
は、直方体の容器内に酸液を満たし、その中を鋼鈑を通
過させて酸洗するもので、直方体の容器の上面と下面に
せきが設置されている。噴流方式は、三菱重工技法vol.
1 29No.1(1992−1)に記載されているよう
に、ボックスせき構造の中に噴流ノズルを設置して酸を
鋼鈑に吹き付けることにより更に酸化物スケール除去効
果を高めた構造となっている。機械的な除去方法として
は、日立評論Vol.6 7No.4(1985−4)の高速
デスケーリング設備の新技術に記載されているように圧
延法,研磨法,ショトブラスト法および繰り返し曲げ法
がある。また高圧水スプレー,メカニカルな方法と酸洗
とを組み合わせた方法や三菱重工技法vol.2No.3
p.289(1965)に記載されているように超音波酸
洗がある。
【0004】上記技術は、機械的にスケールを削りとる
こと、あるいはスケールにクラックを生じめて酸液との
接触面積をますこと、あるいは酸液を強制流動させるこ
とにより酸液成分の拡散を促進して酸洗時間を短縮させ
ること等の手段を利用したものであるが、それ以外に酸
洗液組成を考慮したものに関しては、特開昭63−203780
号公報に記載されているように、塩酸溶液に酸化剤とし
て硝酸ナトリウム,亜硝酸ナトリウム,過マンガン酸カ
リウム,過酸化水素を添加した溶液を使用して、鋼板を
連続的に高速酸洗する方法がある。
【0005】一方、脱スケール速度を向上させる方法と
して、酸洗中に鋼材に電流を流し、電解を行う方法が特
開昭55−48421 号公報等に記載されている。更に、特開
昭58−64400 号公報には、脱スケール速度を向上させる
ため、塩酸溶液に塩化鉄を添加した電解液を用いて酸洗
と電解を併用することにより短時間で、簡易に脱スケー
ルを行う方法が開示されている。この場合の塩化鉄は、
鉄イオンを電解液中に供給することにより金属鉄の析出
を防止するために添加される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】普通鋼の酸洗は鉄酸化
物の溶解性が高いという理由から塩酸が使用されてい
る。生じる反応は Fe23+6HCl→2FeCl3+3H2O 式1 Fe34+8HCl→FeCl2+2FeCl3+4H2O 式2 である。酸化物スケールの除去のスピードアップを図る
には(式1),(式2)の反応を促進させればよい。こ
の方法は酸化物スケールの化学的溶解反応を利用したも
のであるため、一般には酸濃度および上げることにより
反応を促進させることが考えられる。しかし、酸濃度や
温度の上昇の増加は実用上廃酸処理のコストや環境や設
備上の問題および表面品質の問題から制約を受け、現状
より上げることは困難である。酸洗の場合、鋼帯を複数
の酸洗槽に連続浸漬させるが、その第1槽目は、普通鋼
帯の十分な昇温が困難であるとともに、酸の濃度が各槽
の中一番低いことおよびスケール溶解がはじまるまでの
タイムラグを考慮した場合、極端に酸洗効率が低くなる
という問題点があり、低温での脱スケールの高速化がの
ぞまれる。温度が低い状態で酸洗効率を上げるために、
特開昭63−203780号公報のように酸化剤を添加する方法
があるが、この方法でも温度が低い状態では脱スケール
速度は十分ではない。
【0007】酸洗速度を向上させるために、電解を行う
特開昭55−48421 号公報等に記載の方法では、Fe→F
2++2e~(アノード反応)によりスケールと普通鋼の
境界部の鉄部分を溶解し、スケールを浮き上がらせるこ
とによって、脱スケールを促進させる方法である。この
方法でも電解液の温度を60℃以上とすればある程度の
脱スケール速度は得られるが、その半面、スケールと普
通鋼の境界部以外の下地部分の鉄も溶解するため、鋼の
表面がざらざらになる、いわゆる肌荒れが生じる可能性
が高い。また、電解液の温度が高いと電解液の蒸気圧が
上がり、酸成分のミストの飛散が発生するため、その処
理をするための大がかりな設備が必要となる。
【0008】また、電解液の温度を上げずに、電解電流
を大きくする方法も考えられるが、この場合金属鉄が析
出するという問題が発生する。この問題を解決すべく発
明されたのが特開昭58−64400 号公報記載の発明である
が、電解電流を大きくすると電解液の電解により、例え
ば塩素ガスが発生するなどの問題が生じてくる。
【0009】本発明の目的は、肌荒れが生じず、塩酸の
ミスト処理設備等がコンパクトですむようなより低温の
電解液温度で、かつ電解電流を大きくすることなく高速
に酸化物スケールを除去する方法およびその装置、並び
に平滑性の優れた酸化物スケールを除去した普通鋼を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の第1の発明によれば、酸化剤,還元剤の一
方または両方を添加した塩酸水溶液に鋼帯を浸漬し、か
つ該鋼帯に電流を供給して脱スケールを行う熱間圧延鋼
帯の脱スケール方法が提供される。酸化剤,還元剤の定
義は、材料固有のものではなく、反応する相手材により
自身が還元し、相手材を酸化するものを酸化剤と呼称す
るだけである。従って、還元剤,酸化剤の分類は重要で
はない。スケールと鋼,電解液に発生する化学反応に伴
う電子移動反応を活性化する物質を、本発明では酸化
剤,還元剤と称している。酸化剤,還元剤はそれぞれア
ノード反応,カソード反応に関与し別々に電子移動反応
を活性化するので、酸化剤と還元剤を同時に添加するこ
とにより脱スケール速度が大きくなる。しかし、過酸化
水素,亜硝酸塩は酸化剤,還元剤の両方の性質を備える
ので、一種類の添加で脱スケール速度を増大することが
できるので好ましい。また、上記酸化剤,還元剤は、ア
ノード反応およびカソード反応によって分解した形態が
無害な形になるものが一番望ましい。
【0011】上記構成により、40℃程度の電解液温度
でも、十分な脱スケール速度が得られる。しかも、鋼帯
の下地の溶解が極力抑えられるため、脱スケール後の肌
荒れが小さくなる。また、電解液の温度が低くなるた
め、装置としての耐火レンガが不要になるとともに、電
解液の供給,回収用の配管のバルブ等に低温用のものを
用いることができる。更に、塩酸の蒸気圧が下がり、塩
酸ヒュームが激減するため、その処理装置がコンパクト
なものになる。このように、脱スケール速度を確保した
まま、電解液温度を小さくできることにより、従来の方
法に比べ優れた効果が得られる。
【0012】本発明の第2の発明によれば、第1の発明
において、酸化剤が硝酸塩,過マンガン酸塩,クロム酸
塩,重クロム酸塩,過酸化水素,亜硝酸塩,還元剤が塩
化第1錫,塩酸ヒドロキシルアミン,アスコルビン酸
塩,スルファミン酸塩,ヒドラジンの中から選ばれた少
なくとも1種である熱間圧延鋼帯の脱スケール方法が提
供される。特に、上記の酸化剤,還元剤を用いることに
より、第1の発明で得られる効果が顕著になる。
【0013】本発明の第3の発明によれば、第1の発明
において、前記塩酸水溶液の温度が60℃以下であり、
かつ前記鋼帯の両面に5〜10A/dm2 の電流密度で
電流を流す熱間圧延鋼帯の脱スケール方法が提供され
る。本発明においては、上記の塩酸水溶液温度,電流密
度の範囲外の条件を用いることも可能であるが、そのよ
うな条件下では本発明の上記第1の発明の効果は得にく
くなる。従って、上記条件で脱スケールを行うことが望
ましい。上記構成で得られる効果は、第1の発明の効果
に加えて、電流密度を低く抑えることができるので、塩
酸水溶液の電解により発生する塩素ガスを少なくするこ
とができる。
【0014】本発明の第4の発明によれば、酸化剤,還
元剤の一方または両方を添加した塩酸水溶液を入れた酸
洗タンクと、熱間圧延鋼帯を該酸洗タンク中の該塩酸水
溶液に浸漬しながら移動させる手段と、該鋼帯に電流を
供給する手段とを備えた熱間圧延鋼帯の脱スケール設備
が提供される。酸化剤,還元剤は脱スケールの進行に伴
って、消費されるので酸洗タンク中の酸化剤,還元剤の
濃度を常に一定になるように制御する機構を備えること
が望ましい。具体的には、酸化剤,還元剤それぞれのリ
ザーバタンクと塩酸水溶液のタンクを備え、それぞれの
タンクから各液体を一定割合で混合する計測,調整シス
テムを用いることが望ましい。鋼帯を移動させる手段
は、電動モータなどが使用できるが、脱スケール設備は
熱間圧延鋼を製造する一連の工程の一部となることが普
通であるので、脱スケール設備そのものに移動手段の原
動力は必要とせず、鋼帯をスムーズに移動させるローラ
を備えれば十分である場合が多い。鋼帯に電流を供給す
る手段は、鋼帯に直接電流を流す直接通電と鋼帯の上下
に電極を配置し電極間に電流を流す間接通電のどちらで
も同様の効果を得ることができる。上記構成の脱スケー
ル設備は、上記した脱スケール方法を実施するのに好適
なものである。
【0015】本発明の第5の発明によれば、第4の発明
において酸洗タンクが前記熱間圧延鋼帯の移動方向に対
し直列方向に複数個備えられ、かつ前記塩酸水溶液を前
記複数の酸洗タンクの前記熱間圧延鋼帯の移動方向の下
流側から上流側に移動させる手段とを備えた熱間圧延鋼
帯の脱スケール設備が提供される。直列方向に複数個備
えられた酸洗タンクは鋼帯が移動方向に長い直方体のタ
ンクの中に仕切り板を設けた構造のものが、構造が簡単
で望ましい。また、別個のタンクを直列に並べて設置し
ても本発明の効果は変わらない。仕切り板の上に、鋼帯
がスムーズに移動できるようなローラを設けることが好
ましい。複数個の酸洗タンクの中の塩酸水溶液の温度,
濃度は同一であっても、異なっていてもよい。酸洗タン
クを複数個設けるのは、個別に溶液の成分,温度を制御
することができるようにするためである。例えば電解を
最下流側の酸洗タンクで行う場合は、電解に伴いその酸
洗タンクの鉄イオンの濃度が大きくなる。電解を行わ
ず、化学的な反応のみによって脱スケールを行う酸洗タ
ンクに、このような鉄イオンが流出すると、化学反応を
阻害する可能性もある。このように複数の酸洗タンクを
設けることにより、酸洗タンク毎に最適な条件で脱スケ
ールを行うことができるようになり、結果的にトータル
の脱スケール速度を向上させることができる。
【0016】本発明の第6の発明によれば、第5の発明
において鋼帯に電流を供給する手段が前記熱間圧延鋼帯
の移動方向の最上流側のみに備えられている熱間圧延鋼
帯の脱スケール設備が提供される。複数の酸洗タンクを
備えた脱スケール設備において、すべての酸洗タンクで
電解を行っても良い。しかし、下流側の酸洗タンクでは
スケールの大部分が既に除去されて、鋼帯の下地部分が
露出している部分が多くなる。このような鋼帯に電解を
行うと脱スケールよりも、塩酸水溶液の電解に投入され
たエネルギーの大部分が消費される。従って、スケール
の付着量が多い、上流側の酸洗タンクでは電解を行い、
下流側では電解を行わず、化学的な反応のみによって脱
スケールを行うことがエネルギー的に効率が良い。この
場合、下流側に行くに従って、酸洗タンクの塩酸水溶液
の温度,濃度が大きくなるようにすれば、電解を行わな
い分を補うことができるので好ましい。
【0017】本発明の第7の発明によれば、酸洗タンク
の前記熱間圧延鋼帯の移動方向の最下流側に前記酸化
剤,還元剤の一方または両方を添加した塩酸水溶液を供
給する手段を備える熱間圧延鋼帯の脱スケール設備が提
供される。上記第6の発明で説明したように、最下流側
の酸洗タンクで塩酸水溶液の温度,濃度が最も高くなる
ようにすることが好ましい。この場合、濃度を調整した
酸化剤,還元剤,塩酸水溶液の混合溶液を最下流側の酸
洗タンクに供給し、その溶液を上流側の酸洗タンクに移
動するような機構を備えることにより、下流側に行くに
従って、酸洗タンクの塩酸水溶液の温度,濃度が大きく
なるようにできる。何故ならば、最下流側の酸洗タンク
に供給した混合溶液が脱スケールの進行に伴って、塩酸
成分,酸化剤,還元剤成分が消費され濃度が薄くなるた
め、最上流側の酸洗タンクで最も濃度が小さくなるから
である。また、混合溶液の温度も鋼帯と接触することに
より熱を奪われ温度が低下して行く。溶液を上流側の酸
洗タンクに移動するような機構としては、最も簡単に
は、直列に並べた酸洗タンクを下流側のタンクの溶液が
上流側のタンクに重力により移動するように、傾けて配
置すればよい。最下流側のタンクに供給した溶液があふ
れた分が、隣り合う上流側の酸洗タンクに移動し、更に
次のタンクという具合に溶液が移動する。最終的に最上
流側の酸洗タンクに集まった溶液は、ポンプ等により回
収され、塩酸成分,酸化剤,還元剤成分に分離されて、
再び混合溶液成分として使われる。これに限らず、ポン
プ等の動力を用いて溶液を移動させることも可能であ
る。
【0018】上記構成により第6の発明の効果が顕著に
得られる。
【0019】本発明の第8の発明によれば、熱間圧延鋼
帯を供給する手段と、該熱間圧延鋼帯表面のスケールに
機械的に亀裂を生じさせる手段と、表面に亀裂が生じた
鋼帯を酸化剤,還元剤の一方または両方を添加した塩酸
水溶液を入れた酸洗タンクに通すことにより、該塩酸水
溶液に該鋼帯を浸漬しながら該鋼帯に電流を供給する脱
スケール手段と、該脱スケール手段から出た鋼帯を冷間
圧延する手段と、冷間圧延された鋼帯を巻きとる手段を
備えた熱間圧延鋼帯の製造設備が提供される。この構成
により、構造がシンプルでエネルギー効率の良い熱間圧
延鋼帯の製造設備が提供されるのが良く、電流を普通鋼
帯に流す方法として、普通鋼帯自身を電極とし、普通鋼
帯に設置した電極間に電流を流す直接通電方法と、普通
鋼帯に複数設置した電極間に電流を流す間接通電法のい
ずれの方法においても達成される。
【0020】上記熱間圧延普通鋼板の酸化物スケール除
去装置において、酸化物スケール除去効率を上げるため
には、上記脱スケール促進剤を添加するとともに普通鋼
帯のその大部分の極性をアノードにすることによって達
成される。
【0021】また上記熱間圧延普通鋼帯の酸化物スケー
ル除去装置において、平滑性の優れた普通鋼帯を得るに
は、塩酸の温度を低くすることおよび電解槽の後半にお
いて鋼板をカソードにすることによって達成される。
【0022】そして、該方法を該装置で実施することに
より、実質的に酸化物スケールが完全に除去され、かつ
優れた表面平滑性を有する普通鋼が取り扱いよく高速で
得ることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】高温に加熱された普通剛材が熱間
圧延機で圧延される過程において表面に生成する酸化物
スケールは、FeO(ウスタイト),Fe23(ヘマタイ
ト),Fe34(マグネタイト)の層からなるが、冷却
過程においてウスタイトは、その大部分がマグネタイト
に分解する。この酸化物スケールの塩酸中における溶解
反応は、式1,式2で表わされる。この反応を促進する
ために、普通鋼帯に電流を流す電解を併用した。カソー
ド領域においてはクロム酸化物とは異なり、鉄化合物は
式3,式4で表わされる電気化学的な溶解反応が生じ、
また式5によるガス発生反応によって皮膜剥離効果によ
る脱スケール促進作用が生じる。
【0024】 Fe23+6H++2e→2Fe2++3H2O 式3 Fe34+8H++2e→2Fe2++4H2O 式4 2H++2e→H2 式5 普通鋼帯の下地は、カソードであるために鉄の溶出はま
ったく生じず、普通鋼帯の肌あれを防止することができ
る。アノード領域においては式6で表わされる鉄の溶解
反応が生じる。
【0025】 Fe→Fe2++2e 式6 ここで放出された電子は酸化物スケールに供給されて、
式3および式4で表わされる反応によって酸化物スケー
ルの溶解が生じる。この場合、普通鋼帯の下地はアノー
ドであるために鉄の溶出が生じる。またガス発生反応式
7が生じるために、皮膜剥離効果による脱スケール促進
作用が生じる。
【0026】 2H2O→O2+4H++4e 式7 また脱スケール促進剤を添加することによって酸洗の高
効率化をはかれる。還元剤を添加した場合は、その還元
剤が酸化されるときに放出する電子を酸化皮膜に供給す
ることによって式3,式4の反応が生じ、脱スケールが
促進される。また酸化剤を添加した場合は、アノードに
おける電位を上昇させるために、脱スケール反応が促進
される。
【0027】たとえば過酸化水素を添加した場合、式8
の酸化還元反応によって電位が上昇する。
【0028】 H22→O2+2H++2e 式8 また特に過酸化水素は酸化反応または還元反応によって
酸素または水の無害な物質に変化するために、脱スケー
ル促進剤として非常に望ましい。
【0029】通常の塩酸中への浸漬による酸化物スケー
ルの溶解時間は、脱スケール促進剤を添加したほうが添
加しない場合と比較して数倍早くなる。さらに電解を併
用すると脱スケール速度はさらに早くなる。脱スケール
促進剤を添加した塩酸中での電解脱スケールにおいて、
アノード領域とカソード領域における酸化物スケールの
脱スケール速度を比較するとアノード領域のほうが脱ス
ケール速度が早いため、鋼板の大部分をアノード領域に
することによって、脱スケール速度を上げることができ
る。しかしアノード領域においては下地の溶解も促進す
るために、前述したように肌あれの原因となる。従っ
て、酸化物スケールの生成した普通鋼を脱スケール促進
剤を添加した塩酸中で酸洗する工程において間接通電す
る場合、連続する酸洗槽のうちその大部分において普通
鋼帯をアノードにし、連続する酸洗槽のうち下地の部分
が多くなる後半において普通鋼帯をカソードにすること
によって酸化物スケールの除去効率を高めるとともに、
表面品質の良い普通鋼帯を得ることができる。
【0030】本発明では、従来の酸洗のような低酸洗速
度を改善でき、また従来のメカニカルな酸化物スケール
の除去のような除去の不完全さを改善することができ、
酸化物スケールの除去速度,効率および酸化物スケール
の除去性能を格段に向上させることができる。さらに従
来の酸洗のような高温でないために、塩酸ヒュームの減
少等環境緩和に優れる。
【0031】以下に、本発明の実施例を述べる。
【0032】(実施例1)以下、本発明の実施例を図面
により説明する。図1は、本発明になる熱間圧延普通鋼
帯1の酸化物スケール除去法の一実施例を示す。
【0033】熱間圧延工程により表面に酸化物スケール
が生成した熱間圧延普通鋼帯1は、シャーおよびスケー
ルブレイカー3を経た後、4槽からなる塩酸を有する酸
洗槽4に導入される。各槽とも、塩酸の濃度は15%で
過酸化水素が5%脱スケール促進剤として添加されてい
る。塩酸は、電解液リザーブタンク14において塩酸リ
ザーブタンク11および過酸化水素リザーブタンク12
からの注入によって濃度調整され、ポンプ10で送り出
される。各槽とも塩酸の濃度を同じとするため、電解液
リザーブタンクから並列に各槽の下流側に供給され、各
槽の上流側から電解液リザーブタンクに戻される。温度
は40℃前後になるように設定されている。後述するよ
うに、電解をするためそのジュール熱によって塩酸の温
度が上昇するために、特に加熱ヒーターは必要としな
い。
【0034】酸洗の効率を上げるために、電解が併用さ
れている。各槽とも普通鋼帯1に対して複数の電極が設
置され、その電極間に直流電流が流される。直流電流
は、直流電源9によって供給され、これによって普通鋼
帯1に間接的に電流が流れる。酸洗効率を上げるために
前半においては普通鋼帯1の大部分がアノードになるよ
うに陰電極7および陽電極8を設置し、後半においては
普通鋼帯1の素地の肌あれを防止するために普通鋼帯1
の大部分がカソードになるように陰電極7および陽電極
8が設置されている。これは、それぞれの陰極または陽
極の数,大きさまたは長さを変えることによって調整さ
れる。図2に使用する電極の構造を示した。電極の材料
は、酸溶液中で使用することから、チタンパラジウム被
覆板あるいはチタン白金板などの不溶性電極が用いられ
るが、電解に使用する陰極はカソード防食されるためこ
れらの被覆を施さなくともよい。電極の普通鋼帯に対す
る面には、電解によって発生する酸素または水素ガスを
効率良く逃がすために、複数の穴が開けられている。さ
らに普通鋼帯を経由しないで陰極と陽極間に直接流れる
損失電流を極力防ぐために、普通鋼帯に対向しない面は
テフロン等の絶縁物15で被覆されている。この処理に
よって、熱間圧延によって生じた酸化物スケールは、高
効率かつ高速で除去される。また40℃という低温であ
るために塩酸ヒュームもなく、緩和された環境で脱スケ
ールが実施できる。
【0035】図3に従来法と本発明との比較を示す。本
発明による酸化物スケールの除去速度が10秒と一番早
い。酸洗槽の長さを各酸洗方法で一律トータル93mと
した場合の酸洗処理速度を求めると、本発明では558
m/min という高速を達成している。しかも酸洗温度が
他の場合の80℃以上とは異なり、40℃という比較的
低温であるため、酸処理設備やそのコストも大幅に低減
でき、従来よりも遥かに作業環境を改善できる。酸洗槽
の長さを長くすることによって従来の方法でも500m
/min を達成することができるが、従来法の中で一番酸
洗速度の早い噴流方式で酸洗槽の長さは125m、カテ
ナリ方式においては275mとなり、この様な長い酸洗
槽は酸処理設備やそのコストおよび作業環境の悪化等で
問題となる。
【0036】表1は、各電解槽において設置したアノー
ド電極とカソード電極の数および位置を変化させた場合
の、スケール除去状況および表面性状を示している。
【0037】
【表1】
【0038】たとえばNo.1の第1槽目に示したC7/
A3は、第1槽目において前半にカソード電極を7つ、
後半にアノード電極を3つ設置していることを示す。N
o.1やNo.3に示すように、第4槽目の後半の電極をア
ノードにすると肌あれが少なく表面性状の優れた鋼板を
得ることができる。それに対してNo.1とNo.2の比較
でわかるように、第1〜3槽目までの電極配置が同じで
あっても第4槽目の電極配置において後半にカソード電
極を設置し鋼板をアノードにすると、スケール除去状況
は良好であるものの、肌あれを生じさせ表面品質が低下
する場合がある。またNo.5に示すように、各槽におい
てアノード電極を多く設置し鋼帯のほとんどをカソード
にすると、肌あれは生じないもののスケール除去状況は
No.1〜No.4の場合と比較してやや悪くなる。鋼帯を
アノードにしたほうがカソードにする場合より脱スケー
ル速度が早いが、アノードにおいては鋼板の下地も溶解
させるために、鋼帯のアノード面積を大きくとるとスケ
ール除去状況は良好なものの、肌あれが生じる。逆に、
カソードを大きくとると肌あれは生じないものの、スケ
ール除去状況はやや悪くなる。従って、前半の電解槽に
多くのカソード電極を設置し鋼帯のアノード面積を大き
くし、後半の電解槽においては多くのアノード電極を設
置し鋼帯のカソード面積を大きくすることによってスケ
ール除去状況および表面性状の良い普通鋼帯を得ること
ができる。
【0039】本実施例においては、脱スケール促進剤と
して過酸化水素を使用したが、表2に示すように他の脱
スケール促進剤として酸化作用を有する硝酸塩,過マン
ガン酸塩,クロム酸塩,重クロム酸塩または還元作用を
有する、塩化第1鉄,塩化第1錫,塩酸ヒドロキシルア
ミン,アスコルビン酸塩,スルファミン酸塩,ヒドラジ
ンまたはそれ自身が酸化と還元の両方の作用を示す過酸
化水素,亜硝酸塩のいずれか一つまたは各作用を有する
ものを複数組み合わせたものでも同様の効果を得ること
ができる。
【0040】
【表2】
【0041】(実施例2)次に本発明の効果を確認する
ため、実施例1の図1に示した装置を用い、電解を行わ
ず、塩酸溶液に浸漬するだけのもの、塩酸溶液に本発明
で用いている酸化剤の一つである過酸化水素を添加した
溶液に浸漬したもの、塩酸溶液に浸漬しながら電解した
もの、塩酸+過酸化水素+電解を行ったものの4種類
を、電解液温度がすべて40℃である条件で実験し、酸
洗時間を比較した。結果を図4に示す。本発明の方法で
は、実施例1での結果と同じく、酸洗時間は10秒であ
る。それに対し、酸浸漬のみでは360秒、塩酸+過酸
化水素浸漬では150秒、塩酸浸漬+電解では100秒
であった。酸浸漬+電解では100秒かかっていた酸洗
時間が、本発明の方法では10秒と1/10となってい
る。これは前記したように添加した過酸化水素が電解の
カソード反応,アノード反応の双方の反応を加速する効
果があるからである。すなわち、本発明の効果は塩酸溶
液に単に過酸化水素を添加した場合、塩酸溶液を用いて
更に電解をした場合を組み合わせたと考えられる以上の
効果が得られているのである。上記条件での酸洗後の鋼
板の表面粗さを比較した結果を図5に示す。表面粗さ
は、最も小さく、いわゆる肌荒れが非常に少ないことが
明らかである。
【0042】(実施例3)図6は、本発明になる熱間圧
延普通鋼帯の酸化物スケール除去法の実施例1におい
て、電極配置を変化させたものである。実施例1におい
ては、一つの電解槽においてアノードとカソードの両電
極を設置しているが、本実施例においては第1槽から第
3槽までは単一の電極を、第4槽にはアノードとカソー
ドの両電極を設置した構成としている。前述したように
脱スケール速度はカソードよりアノードの方が早いのに
対し、表面性状はカソードの方がアノードより優れてい
る。そのために第1〜3槽にはカソード電極のみを設置
し、鋼帯のほとんどをアノードにすることにより脱スケ
ール速度を早めている。第4槽においては、この時点で
普通鋼帯の表面からほとんどスケールが取り除かれてい
ることから、アノード電解による肌あれを防止するため
電解槽の前半にはカソード電極を設置し鋼帯をアノード
するものの、後半にはアノード電極を設置し鋼帯をカソ
ードにしている。本実施例に示すような電極配置にする
ことによって、実施例1に示すよりもさらに高速に脱ス
ケールすることができる。
【0043】(実施例4)図7は、本発明になる熱間圧
延普通鋼帯の酸化物スケール除去法の他の実施例を示
す。本実施例は実施例1とは異なり、Box せきタイプの
酸洗槽に本発明を適用したものである。使用する塩酸液
は、実施例1と同様に15%の塩酸に脱スケール促進剤
として5%の過酸化水素が添加されており、リザーブタ
ンクで濃度調整され酸洗槽に送られている。電極は、図
8に示すように、酸洗槽内のせきの中に収められてお
り、せきの先端から少し引っ込んだ位置に電極面が常に
存在するように設置されている。この様な構造をとるこ
とにより、普通鋼帯が揺れ電極に接触しスパークが飛
び、それにより品質がそこなうということを防止するこ
とができる。また電極が消耗しても電極面の位置が変化
しないように、電極は導電性バネ19等で常に押さえつ
けられている。これらのせきは、普通鋼帯が移動するこ
とによって、その部分での溶液の攪拌効果によってさら
に脱スケール効率を向上させることができる。実施例1
と同様に、酸洗槽の長さを93mとした場合、酸洗速度
は実に620m/sという高速を、40℃の低温で達成
することができる。酸洗速度を従来とほぼ同等の200
m/min とした場合、酸洗槽の長さは30mと従来の1
/3以下でよく、製造コスト,酸処理設備,作業環境を
大幅に改善することができる。
【0044】(実施例5)図9は、本発明になる熱間圧
延普通鋼帯の酸化物スケール除去法の他の実施例を示
す。本実施例は、実施例1とは異なり、電解において普
通鋼帯を電極とした直接通電法による酸化物スケール除
去法に関して示したものである。熱間圧延工程により表
面に酸化物スケールが生成した熱間圧延鋼帯1は、脱ス
ケール促進剤を添加した塩酸を有する酸洗槽に導入され
る。実施例1と同様に塩酸の濃度は15%で過酸化水素
が5%になるように設定されている。普通鋼帯が電解槽
に入る際には、通電ローラ20を介する。この通電ロー
ラ20と電極21との間に直流電流が引加される。普通
鋼帯がアノードになるように電流の向きを設定した場
合、電極が陰極となる。普通鋼帯に電流を直接流すため
に、電極間を直接電解液を介して流れることはなく電流
効率が著しく向上する。本実施例では、表3に示すよう
に、実施例で述べた装置と同程度の性能が示された。
【0045】
【表3】
【0046】また図10に示すように酸洗後期におい
て、酸洗槽に陽電極を設置して、普通鋼帯と陽電極間に
電流を流し、普通鋼帯をカソードにすることにより酸洗
後期における肌あれ防止も可能である。
【0047】(実施例6)図11〜図14は、熱間圧延
普通鋼帯を酸洗後冷間圧延する一貫製造装置の構成図で
ある。図11は、入り側コイルカーに巻回された鋼帯を
ウエルダーによって接合しながら連続的に送出すように
なっており、次いでブライドルロールによって鋼帯に形
成されているスケールに割れを形成させ、次いで曲率半
径の小さなロールを通してスケールを鋼帯より剥離する
メカニカルスケールブレーカーを通し、更に表面に付着
しているスケールをメカニカルブラシでこすりとった
後、図12の酸洗装置に送られる。
【0048】図12の酸洗装置は実施例1または3に記
載の装置からなるものであるが、実施例2で示した酸洗
装置を使用してもよい。前述の如く、本実施例における
酸洗速度は500m/min と高速で脱スケールが可能と
なることから図12に示す冷間圧延を直接行うことがで
きる。
【0049】図13に示すように酸洗された鋼帯をセン
タリング装置を経てタンデムに4スタンドに配列したH
Cミルによって薄板が製造される。HCミルはバックア
ップロールとワークロールとの間に中間ロールが配置さ
れたもので、中間ロールの軸方向へ左右反対の移動によ
って被圧延材の板厚の均一なものが得られるものであ
る。本実施例で用いる冷間圧延機には他にUCミル,C
VCミル,クロスミルなどが用いられ、これを組み合わ
せて用いることができる。一例として、HCミルを前ス
タンド,UCミルを後列スタンドにした組み合わせ、C
VCミルを前スタンド,HCミルを後スタンドにした組
み合わせ、クロスミルを前スタンド,HCミルを後列ス
タンドにした組み合わせがある。
【0050】本実施例におけるワークロール,中間ロー
ルおよびバックアップロールに複合ロールを用いること
により、より一層高速の圧延が可能である。複合ロール
は軸材表面に軸材より高摩耗性を有する高合金鋼をエレ
クトロスラグ肉盛溶接によって微細炭化物を有する外層
材を形成したものである。軸材は重量でC0.2〜1.5
%,Si3%以下,Mn2%以下,Cr5%以下、また
はこれにNi0.5% 以下、Mo1%以下を含む合金鋼
が用いられる。外層材は重量でC0.5〜1.5%,Si
3%以下,Mn2%以下,Cr2〜10%,Mo1〜1
0%,W20%以下,V1〜5%,Co13%以下を含
む高合金鋼よりなり、HS硬さが80以上を有するよう
に低周波表面加熱焼入れ後、強制的に急冷する焼入れお
よび焼戻しが施さたものである。
【0051】HSが80以上のものはワークロールとし
て使用され、中間ロールはそれより硬さが小さくするよ
うに合金元素量が調整される。いずれもHS硬さで5〜
10小さくするとよい。いずれのミルも4または6段の
ロールによって構成される。ワークロールおよび中間ロ
ール径は同等であるが、バックアップロールはそれらよ
り大きい径のものが用いられる。
【0052】図14は、冷間圧延された鋼帯を出側コイ
ルカーで巻取る構成図である。鋼帯は、ロータリー式ス
クラッチチョパによって適宜切断され、オイラを通って
カローゼルテンションリールによって巻回される。
【0053】本実施例においても前実施例と同様に高速
でスケールが完全に除去されるとともに肌あれのないも
のが得られる。
【0054】
【発明の効果】本発明の第1の発明によれば、40℃程
度の電解液温度でも、十分な脱スケール速度が得られ
る。しかも、鋼帯の下地の溶解が極力抑えられるため、
脱スケール後の肌荒れが小さくなる。また、電解液の温
度が低くなるため、装置としての耐火レンガが不要にな
るとともに、電解液の供給,回収用の配管のバルブ等に
低温用のものを用いることができる。更に、塩酸の蒸気
圧が下がり、塩酸ヒュームが激減するため、その処理装
置がコンパクトなものになる。このように、脱スケール
速度を確保したまま、電解液温度を小さくできることに
より、従来の方法に比べ優れた効果が得られる。
【0055】本発明の第2の発明によれば、第1の発明
で得られる効果が顕著になる。
【0056】本発明の第3の発明によれば、第1の発明
の効果に加えて、電流密度を低く抑えることができるの
で、塩酸水溶液の電解により発生する塩素ガスを少なく
することができる。
【0057】本発明の第4の発明は第1から第3の発明
を実施するのに好適なものである。本発明の第5の発明
によれば、酸洗タンク毎に最適な条件で脱スケールを行
うことができるようになり、結果的にトータルの脱スケ
ール速度を向上させることができる。
【0058】本発明の第6の発明によれば、エネルギー
的に効率が良い脱スケールを行うことができる。
【0059】本発明の第7の発明によれば、第6の発明
の効果が顕著に得られる。
【0060】本発明の第8の発明によれば、構造がシン
プルでエネルギー効率の良い熱間圧延鋼帯の製造設備が
提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例になる脱スケールプロセスの
工程を示す概略図。
【図2】本発明の脱スケールプロセスに使用する電極構
造図を示す斜視図。
【図3】本発明と従来法による酸洗時間の比較を示すグ
ラフ。
【図4】本発明と他の方法での酸洗時間を比較した図。
【図5】本発明と他の方法での酸洗後の鋼板表面粗さを
比較した図。
【図6】本発明の他の実施例になる脱スケールプロセス
の工程を示す概略図。
【図7】本発明の他の実施例になる脱スケールプロセス
の工程を示す概略図。
【図8】本発明の脱スケールプロセスに使用する電極構
造図を示す断面図。
【図9】本発明の実施例になる脱スケールプロセスの工
程を示す概略図。
【図10】本発明の実施例になる脱スケールプロセスの
工程を示す概略図。
【図11】本発明の実施例になる脱スケールプロセスの
工程の一部を示す概略図。
【図12】本発明の実施例になる脱スケールプロセスの
工程の一部を示す概略図。
【図13】本発明の実施例になる脱スケールプロセスの
工程の一部を示す概略図。
【図14】本発明の実施例になる脱スケールプロセスの
工程の一部を示す概略図。
【符号の説明】
1…普通鋼帯、2…シャー、3…スケールブレーカー、
4…酸洗槽、5…水洗槽、6…ドライヤー、7…陰電
極、8…陽電極、9…直流電源、10…ポンプ、11…
塩酸リザーブタンク、12…過酸化水素リザーブタン
ク、13…計測システム、14…電解液リザーブタン
ク、15…絶縁物、16…電極内臓型堰、17…電極
材、18…堰、19…導電性バネ、20…通電ローラ、
21…電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 可児 保宜 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 中村 恒雄 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 伊藤 雅彦 茨城県日立市弁天町三丁目10番2号 日立 協和工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化剤,還元剤の一方または両方を添加し
    た塩酸水溶液に鋼帯を浸漬し、かつ該鋼帯に電流を供給
    して脱スケールを行うことを特徴とする熱間圧延鋼帯の
    脱スケール方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、酸化剤が硝酸塩,過マ
    ンガン酸塩,クロム酸塩,重クロム酸塩,過酸化水素,
    亜硝酸塩,還元剤が塩化第1錫,塩酸ヒドロキシルアミ
    ン,アスコルビン酸塩,スルファミン酸塩,ヒドラジン
    の中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とす
    る熱間圧延鋼帯の脱スケール方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記塩酸水溶液の温度
    が60℃以下であり、かつ前記鋼帯の両面に5〜10A
    /dm2 の電流密度で電流を流すことを特徴とする熱間
    圧延鋼帯の脱スケール方法。
  4. 【請求項4】酸化剤,還元剤の一方または両方を添加し
    た塩酸水溶液を入れた酸洗タンクと、 熱間圧延鋼帯を該酸洗タンク中の該塩酸水溶液に浸漬し
    ながら移動させる手段と、 該鋼帯に電流を供給する手段とを備えたことを特徴とす
    る熱間圧延鋼帯の脱スケール設備。
  5. 【請求項5】請求項4記載の酸洗タンクが前記熱間圧延
    鋼帯の移動方向に対し直列方向に複数個備えられ、かつ
    前記塩酸水溶液を前記複数の酸洗タンクの前記熱間圧延
    鋼帯の移動方向の下流側から上流側に移動させる手段と
    を備えたことを特徴とする熱間圧延鋼帯の脱スケール設
    備。
  6. 【請求項6】請求項5記載の前記鋼帯に電流を供給する
    手段が前記熱間圧延鋼帯の移動方向の最上流側のみに備
    えられていることを特徴とする熱間圧延鋼帯の脱スケー
    ル設備。
  7. 【請求項7】請求項4記載の酸洗タンクの前記熱間圧延
    鋼帯の移動方向の最下流側に前記酸化剤,還元剤の一方
    または両方を添加した塩酸水溶液を供給する手段を備え
    ることを特徴とする熱間圧延鋼帯の脱スケール設備。
  8. 【請求項8】熱間圧延鋼帯を供給する手段と、該熱間圧
    延鋼帯表面のスケールに機械的に亀裂を生じさせる手段
    と、 表面に亀裂が生じた鋼帯を酸化剤,還元剤の一方または
    両方を添加した塩酸水溶液を入れた酸洗タンクに通すこ
    とにより、該塩酸水溶液に該鋼帯を浸漬しながら該鋼帯
    に電流を供給する脱スケール手段と、 該脱スケール手段から出た鋼帯を冷間圧延する手段と、 冷間圧延された鋼帯を巻きとる手段を備えたことを特徴
    とする熱間圧延鋼帯の製造設備。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009145353A1 (ja) 2008-05-30 2009-12-03 新日本製鐵株式会社 鋼板の酸洗処理方法、及び酸洗処理装置
US7911246B2 (en) 2006-11-14 2011-03-22 Hynix Semiconductor Inc. DLL circuit and method of controlling the same
CN115449712A (zh) * 2022-09-14 2022-12-09 浙江东南新材科技有限公司 一种高强度的酸洗板及其制备方法

Cited By (4)

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