JP3269444B2 - チタン材の脱スケール方法および連続焼鈍脱スケール装置 - Google Patents

チタン材の脱スケール方法および連続焼鈍脱スケール装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はチタン材の脱スケー
ル方法および焼鈍と脱スケールとを連続的におこなうこ
とのできる連続焼鈍脱スケール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】チタンおよびチタン合金の板、棒あるい
は線等(本発明では、これらを総称してチタン材とい
う)の製造においては、鍛造、熱間圧延および焼鈍など
によって表面に生成する酸化スケールを除去する必要が
ある。スケールの除去方法としては、硝酸とふっ化水素
酸の混酸水溶液(以下、硝ふっ酸酸洗液と記す)を用い
て酸洗する方法が最も一般的である。
【0003】しかし、熱間圧延後に焼鈍されたチタン板
のようにスケールが厚い場合には硝ふっ酸酸洗液による
酸洗のみでは完全に脱スケールすることができない。そ
のため、例えば厚さが3mm以上のチタン板の製造にお
いては、ショットブラスト処理のような機械的な脱スケ
ールを行った後で酸洗する方法が採用されることが多
い。
【0004】冷間圧延されたチタンのストリップは、生
産効率を高めるために通常ステンレス鋼のストリップと
同様に連続焼鈍酸洗ライン(APライン)を用いて連続
的に焼鈍および脱スケールが施される。
【0005】焼鈍炉は通常、炭化水素ガスを燃料とした
トンネル型の燃焼加熱炉であり、ストリップが炉内を通
過する間に700〜850℃程度の温度に加熱されるの
で表面に酸化スケールが生成する。焼鈍後のストリップ
を脱スケールするため、最初に溶融アルカリ塩浴への浸
漬処理が施され、次いで硝ふっ酸水溶液で酸洗がおこな
われる。
【0006】板厚が比較的薄い(2mm以下)チタンス
トリップの場合は、ショットブラストのような機械的な
脱スケール処理をおこなうと、板の残留歪や反りが大き
くなる。したがって、機械的な処理に代え溶融アルカリ
塩浴が用いられる。通常使用される溶融アルカリ塩浴
は、水酸化ナトリウムと硝酸ナトリウムを主成分とする
アルカリと塩類の混合物を430〜550℃に加熱、融
解したものである。
【0007】例えば、特公平4−72914号公報に
は、チタンの冷間圧延板表面の酸化スケールを除去する
方法として、水酸化ナトリウムを主成分とし、これに酸
化剤を添加した溶融アルカリ塩浴に浸漬した後、硝ふっ
酸酸洗液により酸洗する方法が開示されている。しか
し、この溶融アルカリ塩浴に浸漬する方法では、浴中で
チタン板表面にスパーク疵が発生しやすいという問題が
ある。
【0008】このスパーク疵は、溶融アルカリ塩浴中で
チタンストリップとそれを溶融アルカリ塩浴に浸漬する
ための鉄製の浸漬ロールとの間に電位差が生じ、表面の
酸化スケールが溶解したチタンストリップが鉄製のロー
ルに接触した瞬間に放電してチタン板表面が局部的に溶
融することに起因している。
【0009】特開平3−247785号公報には、上記
のようなスパーク疵の発生を防止することのできるチタ
ン板の脱スケール方法が開示されている。この方法は、
溶融アルカリ塩浴の鉄製浸漬ロールにチタン製の犠牲陽
極を短絡させて、チタンとストリップとの電位差を小さ
くする方法である。
【0010】しかし、この方法では犠牲陽極に用いたチ
タンが溶融アルカリ塩浴中に溶け込むため、溶融アルカ
リ塩浴の老化が速まるという問題や、高価なチタンを無
駄に消費するという問題がある。
【0011】また、特開平4−45293号公報には、
溶融アルカリ塩浴の入側浸漬ロールを浴中に浸漬させ、
出側浸漬ロールを浴面上に出すことによりスパーク疵の
発生を防止する方法が開示されている。
【0012】この方法では、入側浸漬ロールにおいては
チタン板表面の酸化スケールがチタンとロールの接触を
防ぎ、出側ロールにおいてはチタン板表面の酸化スケー
ルが溶解して無くなっていても、ロールが浴面上に出て
いるため電池が形成されないのでスパークの発生が防止
できる。
【0013】しかし、上記方法はスケールの厚さやスケ
ールの溶解速度に応じて浸漬ロールの高さを調節する必
要があるため、実際の操業への適用が難しい。このよう
なスパーク疵発生の問題があるため、チタンのストリッ
プの生産においては充分な溶融アルカリ塩処理を施すこ
とができず、しばしば脱スケール後のスケール残りが生
じているのが現状である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、溶融
アルカリ塩浴での脱スケール中にスパークを発生させる
ことなく充分に脱スケールができるチタン材の脱スケー
ル方法および焼鈍と脱スケールとを連続的に実施するた
めの装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】チタン材の脱スケール方
法および連続焼鈍脱スケール装置に係わる本発明の要旨
は以下の通りである。
【0016】(1)表面に酸化スケールを有するチタン
材を溶融アルカリ塩浴に浸漬した後、電解質水溶液中で
陽極電解と交番電解のどちらか一方または双方の電解を
おこない、さらに硝ふっ酸酸洗液に浸漬することを特徴
とするチタン材の脱スケール方法。
【0017】(2)チタン材を焼鈍するための焼鈍炉
と、焼鈍後のチタン材表面のスケールを除去するための
溶融アルカリ塩浴槽と、チタン材表面に残存したスケー
ルを除去するための電解装置および硝ふっ酸酸洗槽を順
次連続的に焼鈍、スケール除去が可能なように配設した
ことを特徴とするチタン材の連続焼鈍脱スケール装置。
ここで、チタンとは純チタンまたはチタン合金を示し、
チタンまたはチタン合金の板、線材および棒材等をチタ
ン材といい、形状は限定されないものとする。本発明者
らは、溶融アルカリ塩浴におけるスパークによる疵の発
生という弊害を除去し、かつスケール残りが生じない脱
スケール方法を開発するため種々実験検討した結果、以
下のような知見を得た。
【0018】a)溶融アルカリ塩浴でスケールの大部分
を効率よく除去し、スケールをある程度残して溶融アル
カリ塩浴での脱スケールを終了することによりスパーク
の発生を防止することができる。
【0019】b)スパークの発生を防止するために残し
たスケールは、硝ふっ酸酸洗液に浸漬しても完全に除去
するのは困難である。
【0020】c)溶融アルカリ塩浴と硝ふっ酸酸洗液に
よる酸洗との間に電解質水溶液中で電解処理をおこなう
ことによりスケール残りがなくなる。
【0021】d)しかし、電解処理は陰極電解ではほと
んど効果がないが、陽極電解のみとするか陽極電解と陰
極電解をの組み合わせると効果がある。
【0022】以下、本発明の実施形態について詳述す
る。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の脱スケール方法および装
置は、金属チタンまたはチタン合金の板、棒および線等
の種々の形態のものに適用できる。特に帯状の板(スト
リップ)に好適であるので、以下チタンストリップの脱
スケールを例に挙げて説明する。
【0024】図2は、本発明の連続焼鈍脱スケール装置
のレイアウトを示す模式図である。同図に示すように、
焼鈍炉2の出側に溶融アルカリ塩浴槽3、電解装置4、
5および硝ふっ酸酸洗槽6が順次配列されている。上記
のように配列することによりストリップ1に連続的に焼
鈍、脱スケールを施すことができる。この装置は、チタ
ンストリップや線材のような長尺のチタン材に適しい
る。
【0025】焼鈍炉は通常使用されている炭化水素ガス
を燃料とした炉でよく、ストリップがこの炉内を通過す
る間に700〜850℃程度の温度に加熱することがで
きればよい。溶融アルカリ塩浴槽も通常使用されている
ものでよく、アルカリ塩類を430〜550℃程度に加
熱、融解できればよい。また、電解装置自体はステンレ
ス鋼の脱スケールのために一般に使用されている間接通
電方式の装置でよい。なお、図2では電解槽を2槽設け
た例を示したが、当然1槽であってもよい。脱スケール
効率を上げるために、2槽設け電解液の種類を変えるの
も有効である。硝ふっ酸酸洗槽も通常使用されているも
のでよい。
【0026】次に、本発明の脱スケール方法について説
明する。
【0027】(1)溶融アルカリ塩浴への浸漬 チタン材表面のスケールの大部分を効率よく除去するた
めに、先ずチタン材を溶融アルカリ塩浴に浸漬する。
【0028】アルカリ塩としては、水酸化ナトリウム、
硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化カリウム等が
使用できる。水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カ
リウムを主成分とし、硝酸ナトリウムおよび/または硝
酸カリウムを添加した浴が好適である。
【0029】溶融アルカリ塩によるチタンの脱スケール
機構は明確ではないが、水酸化ナトリウム単独の溶融浴
によっても脱スケールできることから、おそらく下記式
のように不溶性の酸化チタン(TiO2) が可溶性のメ
タチタン酸ナトリウム(Na2TiO3)に変わるものと
推測される。
【0030】TiO2 + 2NaOH → Na2Ti
3 + H20 ただし、水酸化ナトリウム単独の溶融浴の場合にはスケ
ールだけでなくチタンの地金が溶解し、溶解反応で生成
した水素が地金中に入り込んでチタンを脆化させる。こ
れを防ぐために硝酸ナトリウムのような硝酸塩を添加す
るのがよい。
【0031】また、溶融アルカリ塩浴中の硝酸ナトリウ
ム濃度が低いほど浴中のチタンの電位が卑となって、鉄
製浸漬ロールとの電位差が大きくなるために、スパーク
が発生しやすくなる。逆に、硝酸ナトリウム濃度が高い
場合には、溶融アルカリ塩浴の酸化力が強すぎるために
脱スケールする能力が低下するので、硝酸ナトリウムの
濃度は5〜20%程度にするのがよい。
【0032】溶融アルカリ塩浴への浸漬時間は、スケー
ルの厚さに応じて3〜30秒間程度の範囲で変える必要
がある。浸漬時間は、通板速度と浸漬ロール(通常、入
側と出側の2本のロールがある)の高さ(深さ)を変え
ることにより調節できる。
【0033】ここで注意しなければならないのは、溶融
アルカリ塩浴中でスケールの溶解が進み地金が一部露出
するとスパークが発生する危険性が大きくなるので、ス
ケールが十分残存する状態で溶融アルカリ塩浴槽から槽
外に出るように浸漬時間を調節することである。
【0034】(2)電解 電解装置は、工業的にはステンレス鋼の場合と同様に間
接通電方式の電解槽を用いることができる。溶融アルカ
リ塩浴浸漬処理後のチタンストリップは電解槽に設置さ
れた陽極および陰極の電極の近傍を通過する間に間接的
に通電されて電解が生じる。
【0035】電解質として硝酸を用いる陰極電解処理は
ステンレス鋼(特に、フェライト系ステンレス鋼)の脱
スケール方法として一般的におこなわれている。その脱
スケール機構は、溶融アルカリ塩浸漬処理や中性塩電解
処理で溶け残った3価の鉄を主成分とするスケールを陰
極電解によって還元して溶解するものと考えられてい
る。
【0036】また、電解質として硫酸ナトリウム等の塩
類を用いる電解処理はやはりステンレス鋼の脱スケール
方法として一般的におこなわれている。その脱スケール
機構は、酸化スケール中の主成分であるクロムの酸化物
が、陽極電解の過程で6価のクロムイオンとして溶解す
ると考えられている。
【0037】チタンの電解による脱スケールでは、陰極
電解のみではほとんど効果がない。その理由は、チタン
の酸化物は陰極電解では還元されにくいためと推察して
いる。しかし、陽極電解を施すと、スケール中のチタン
の酸化物が6価のイオンとして溶解するので脱スケール
が可能になると推測される。
【0038】また、電解液中に陽極と陰極を設けた間接
通電による電解法では、陽極側では陰極電解、陰極側で
は陽極電解となり、交番電解になるので、交番電解によ
る脱スケールも有効である。
【0039】溶融アルカリ塩浴浸漬処理後のチタンスト
リップに対して陽極電解のみをおこなう場合には、連続
電気めっきなどに使われるような通電ロールで給電する
必要があるが、表面にスケールが残存するために接触不
良によるスパーク発生の危険性がある。これに対して、
間接通電法によってストリップを電解する場合には、必
然的にそのストリップは交番電解されるので、チタンス
トリップに対しては交番電解が推奨される。
【0040】チタン材がストリップでなくシート状(切
り板)、棒状あるいは線状のチタンの場合には、ステン
レス鋼や白金等からなる対極とチタン材をリード線で接
続することにより、陽極電解または交番電解が実施でき
る。ただし、陽極電解をおこなう場合には、電源の正端
子とチタン材を接続する。
【0041】図1は、本発明に係わる直流電源による間
接通電法による電解状態を模式的に示したものである。
電解質水溶液が入れられた電解槽の中のチタン材の進行
方向に陽極と陰極とが配列されている。陽極は上側陽極
7−1と下側陽極7−2とを対面させて設置されてお
り、両者間をチタン材が通過する。陰極も同様に上側陰
極8−1と下側陰極8−2とが対面させて配置されてい
る。直流電源9に接続されている陽極から電流がストリ
ップに流れて陰極に向かうので、陽極近傍のストリップ
表面では陰極電解、陰極極近傍のストリップ表面では陽
極電解がおこなわれる。
【0042】電解質として酸類(硫酸、硝酸および塩酸
の1種または2種以上)や塩類(硫酸、硝酸および塩酸
の塩の1種または2種以上)を用いることができる。
【0043】酸類としては酸化力のある酸が望ましい。
例えば、硝酸または硝酸を含む酸が適しており、これら
はチタンのスケールを6価イオンとして溶解させる。
【0044】硝酸を単独で用いる場合の硝酸の濃度は特
に厳密に規定する必要はないが、濃度が低すぎると電気
抵抗が大きくなるために電力ロスが大きくなり、濃度が
高すぎると有害ガスの発生が多くなるので、3〜30%
程度が適当である。
【0045】硫酸は比較的安価なので処理コストを低減
するためには役立つが、単独で用いると陰極電解の過程
でチタンの水素吸収が起きるので、硝酸と混合して用い
ることが望ましい。その場合の硝酸に対する硫酸の比率
はモル比で2:1以下が適当である。
【0046】また、塩酸は電解による脱スケールを速め
る作用を示すが、それ自体がチタンの地金を溶解する作
用がかなり大きい酸なので、単独で用いると比較的早く
脱スケールされた部位が深く侵食されるために肌荒れが
大きくなりやすい。従って、塩酸も硝酸と混合して用い
ることが望ましく、硝酸に対する塩酸の比率はモル比で
2:1以下が適当である。
【0047】これらの酸類の水溶液の温度は特に限定す
るものではないが、温度が低いとスケールの溶解速度が
遅く、高すぎると酸の蒸気の発生が多いので、20〜6
0℃程度が適当である。
【0048】塩類は、溶解度と電離度が大きい塩類が望
ましい。その理由は、これらの塩類の水溶液は電気抵抗
が小さく、電解時の消費電力を少なくするからである。
代表的強酸である硫酸、硝酸および塩酸と強アルカリの
塩のうち、溶解度が大きいものが推奨される。具体的に
は、硫酸ナトリウムが価格、化学的安定性等の面からも
優れており、硝酸ナトリウムや塩化ナトリウムも適して
いる。これらの塩類の溶液の濃度や温度も特に限定する
るものではないが、濃度が低いと電気抵抗が大きくなっ
て電解時の消費電力が多くなるので、濃度は10%〜飽
和濃度とすることが望ましい。また、温度が高いほど溶
解度が大きくなり、電気抵抗が小さくなるが、槽の寿命
が短くなるので、温度は50〜90℃程度とするのがよ
い。
【0049】電解質として酸類と塩類の両方を用いるこ
とも可能であるが、酸類として硫酸または塩酸を用いる
場合には陰極電解の過程で水素吸収が起きる恐れがある
ので、その濃度を10%以下とし、酸化力のある硝酸塩
や硝酸と混合して用いることが望ましい。
【0050】電解時の電流密度は脱スケール効果に大き
な影響を及ぼし、電流密度が大きいほど脱スケール効果
も大きくなる。5mA/cm3 未満では脱スケール効果
がほとんど無く、200mA/cm3 を超えると酸素、
水素、酸化窒素等のガス発生が著しくなって電流効率が
低下するで、5〜200mA/cm3 とするのが好まし
い。また、電解時間が長いほど脱スケールは進むが、不
必要に長い電解は電力の無駄使いとなるので、正味の陽
極電解時間としては、5〜60秒間が適当である。な
お、電解液が硫酸または塩酸を含む場合には、電解でス
ケールが全て溶解した後に、地金が侵食される可能性が
あるので注意を要する。
【0051】本発明の脱スケール方法によれば、溶融ア
ルカリ塩浴による脱スケールがかなり不十分であって
も、次の電解処理や最終の硝ふっ酸酸洗液により脱スケ
ールがおこなわれるので、最終的に脱スケール不足にな
る危険性は全くない。したがって、溶融アルカリ塩浴で
は脱スケール量をそれほど厳密に管理しなくともよい。
【0052】
【実施例】(実施例1)表1に示す化学組成の工業用純
チタンおよびチタン合金のストリップ(冷延板)より幅
50、長さ100mmの試験片を切り出し、雰囲気の調
整が可能な電気炉を用いて表2に示す5条件で焼鈍し
た。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】焼鈍雰囲気は炭化水素ガスを燃料とする燃
焼加熱炉の雰囲気を模擬して、酸素、二酸化炭素および
窒素の混合ガスに加湿器で水蒸気を添加する方法で調整
した。次に、表3の記号Kの溶融アルカリ塩浴に浸漬
し、水洗後に表4に示す6種の組成および温度の電解液
を用いて表5に示す種々の条件で電解処理を行った。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】さらに、水洗後に50℃の硝ふっ酸酸洗液
(15%HNO3−2.5%HF)に30秒間浸漬し、
水洗、乾燥した。また、比較のために、一部の試験片に
ついては電解処理として陰極電解のみ施した試験および
電解処理を省略した脱スケールを実施した。
【0060】酸洗した試験片の表面を肉眼および光学顕
微鏡で観察し、スケールの残存程度を評価した。評価結
果を表6〜9に示す。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】なお、評価基準は以下に示す5段階とし
た。
【0066】 5:光学顕微鏡観察で全くスケールの残存無し 4:光学顕微鏡観察でわずかにスケールの残存あり 3:光学顕微鏡観察でかなりスケールの残存あり (肉眼でわずかにスケール残存を確認) 2:肉眼でかなりのスケール残存あり 1:肉眼で多くのスケール残存あり これらの表より明らかなように、電解処理として陰極電
解のみを施したり、電解処理を省略した比較例の試験片
は肉眼でも多くの残存スケールが認められた。それに対
し、本発明例では光学顕微鏡観察でもほとんどスケール
の残存は認められなかった。
【0067】なお、表5の電解条件のうち、交番電解条
件は陰極電解後に陽極電解する条件のみを示したが、別
途行った脱スケール試験により、陽極電解後に陰極電解
する条件でも脱スケール能力には全く差が無く、試験後
の試験片には光学顕微鏡観察でほとんど残存スケールが
認められないことを確認した。
【0068】
【実施例2】表1の記号AおよびEの工業用チタンおよ
びチタン合金の冷間圧延後のストリップを図2に模式的
に示す連続焼鈍脱スケールラインを用いて焼鈍および酸
洗した。なお、焼鈍は横型の燃焼加熱炉を用いて行い、
焼鈍条件は表2と同じになるように通板速度(ラインス
ピード)および空燃比(燃料の炭化水素ガスと空気の混
合比率)を調節した。
【0069】また、表3の記号Lの溶融アルカリ塩浴を
用い、電解槽1および2ではそれぞれ、表4の記号dお
よびaの電解液を用いた。
【0070】溶融アルカリ塩浴槽では炭素鋼製の浸漬ロ
ールを使用し、これを上下することによって溶融アルカ
リ塩浴へのストリップの浸漬時間を調節した。また、電
解槽1および2は全く同じ電極配置となっており、スト
リップの上下に各3対の陽極および陰極が配置されたも
のを用いた。電解処理は電解槽1のみ、電解槽2のみ、
および電解槽1および2の両方を用いた条件でおこなっ
た。
【0071】ストリップ表面での電流密度がほぼ2〜1
0A/dm2 になるように総電解電流を調節した。
【0072】また、比較のために電解を施さない条件で
の脱スケールもおこなった。硝ふっ酸槽では50℃、1
5%HNO3−2.5%HF水溶液による酸洗を行っ
た。脱スケール後のストリップより調査材を採取し、実
施例1と同じ基準で脱スケール程度を評価すると共に、
溶融アルカリ塩浴で発生したスパーク疵の有無を調べ
た。 試験結果を表10に示す。
【0073】
【表10】
【0074】同表より明らかなように、電解処理を行わ
ずに比較的短時間の溶融アルカリ処理を行った場合(試
験NO.98および108)には、溶融アルカリ塩浴槽
でスパーク疵は発生しなかったが、硝ふっ酸酸洗後に多
くの残存スケールが認められた。また、比較的長時間の
溶融アルカリ塩処理をおこない電解処理を施さなかった
試験NO.99および109は、硝ふっ酸酸洗後の残存
スケールは認められなかったが、溶融アルカリ塩浴槽で
直径1〜5mm程度のスパーク疵が多数発生した。
【0075】これに対して、本発明例のように、比較的
短時間の溶融アルカリ塩浸漬処理と電解処理を併用した
場合には、溶融アルカリ塩浴槽でのスパーク疵は全く発
生せず、硝ふっ酸酸洗後の残存スケールも全く認められ
なかった。
【0076】
【発明の効果】本発明の脱スケール方法および連続焼鈍
脱スケール装置によれば、焼鈍などの熱処理によってチ
タンおよびチタン合金表面に生成した強固なスケールを
確実に除去することが可能であり、特に、チタンおよび
チタン合金のストリップを連続的に焼鈍および脱スケー
ルする場合に発生しがちなスパーク疵の問題を解消する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ストリップの連続電解処理のための間接通電法
を示す模式図である。
【図2】チタン材を連続的に焼鈍および酸洗するための
設備のレイアウトを示す模式図である。
【符号の簡単な説明】
1 ストリップ 2 焼鈍炉 3 溶融アルカリ塩浴槽 4、5 電解装置 6 硝ふっ酸酸洗槽 7−1、7−2 陽極 8−1、8−2 陰極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 1/32 C23G 1/10 C25F 1/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に酸化スケールを有するチタン材を溶
    融アルカリ塩浴に浸漬した後、電解質水溶液中で陽極電
    解と交番電解のどちらか一方または双方の電解をおこな
    い、さらに硝ふっ酸酸洗液に浸漬することを特徴とする
    チタン材の脱スケール方法。
  2. 【請求項2】チタン材を焼鈍するための焼鈍炉、焼鈍後
    のチタン材表面のスケールを除去するための溶融アルカ
    リ塩浴槽、チタン材表面に残存したスケールを除去する
    ための電解装置、および硝ふっ酸酸洗槽を順次連続的に
    焼鈍とスケール除去が可能なように配設したことを特徴
    とするチタン材の連続焼鈍脱スケール装置。
JP00274098A 1998-01-09 1998-01-09 チタン材の脱スケール方法および連続焼鈍脱スケール装置 Expired - Fee Related JP3269444B2 (ja)

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