JP2005068518A - 高周波焼入用熱間鍛造非調質鋼 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.35〜0.45%、Si:0.20〜0.60%、Mn:0.40〜0.80%、S:0.040〜0.070%、Cr:0.10〜0.40%、Ti:0.020〜0.100%、Ca:0.0005〜0.0050%、B:0.0005〜0.0030%、O(酸素):0.0015〜0.0050%、Mo:0〜0.05%、P:0.025%以下、V:0.03%以下、Al:0.009%以下及びN:0.0100%以下を含有し、残部がFe及び不純物よりなる。
【選択図】 なし
Description
ここで、特許文献1に記載の鋼は、母材の組織がベイナイト率75%以上からなるものであるために、機械構造用鋼に望まれる重要特性の1つである被削性が低下してしまうという問題がある。
ここで、特許文献2では、AlによってNを充分に固定するためには比較的多量のAl添加が必要であるが、Alを過剰に添加すると硬いAl2O3相を形成して、Vで内部強度を従来鋼並に確保している点と相まって、被削性が低下するという問題がある。
式(1):Fn1=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5/7S)+1.51×(Ti−3.4N)
式(2):Fn2=Ca/O
式(3):Fn3=25.9×Fn1+27.5×(Ti−3.4N)−7.9
C:0.35〜0.45%
Cは、焼入性及び内部強度を向上させる効果があり、最低限の焼入性及び内部強度を得るためには、0.35%以上のCを含有させる必要がある。一方、含有量が0.45%を超えると、母材の硬さが上昇し、被削性が悪化してしまう。従って、Cの含有量を0.35〜0.45%とした。なお、C含有量のより好ましい範囲は0.35〜0.40%である。
Siは、鋼の脱酸剤として必要であると共に、フェライトを強化し、疲労強度を向上させる効果があり、この効果を得るためには、0.20%以上のSiを含有させる必要がある。一方、含有量が0.60%を超えると、熱間鍛造時の脱炭を促進して強度が低下してしまう。従って、Siの含有量を0.20〜0.60%とした。なお、Si含有量のより好ましい範囲は0.30〜0.50%である。
Mnは、鋼の脱酸剤として必要であると共に、焼入性を向上させて鋼の強度を向上させる効果があり、この効果を得るためには、0.40%以上のMnを含有させる必要がある。一方、含有量が0.80%を超えると、素材硬度を上昇させて被削性が悪化してしまう。従って、Mnの含有量を0.40〜0.80%とした。なお、Mn含有量のより好ましい範囲は0.50〜0.70%である。
Sは、Mnと共にMnSを形成して被削性を向上させる効果があり、この効果を得るためには0.040%以上のSを含有させる必要がある。一方、含有量が0.070%を超えると、鋼の熱間鍛造性が悪化すると共に、疲労強度が低下してしまう。従って、Sの含有量を0.040〜0.070%とした。なお、S含有量のより好ましい範囲は0.040〜0.060%である。
Crは、鋼の焼入性を向上させ強度を高める効果があり、所望の効果を得るためには0.10%以上のCrを含有させる必要がある。一方、含有量が0.40%を超えると、鋼の熱間鍛造性が悪化すると共に、被削性も低下してしまう。従って、Crの含有量を0.10〜0.40%とした。なお、Cr含有量のより好ましい範囲は0.10〜0.20%である。
Tiは、鋼の脱酸剤であると共に、鋼中のNと結合してTiNを生成し、Nを固定する働きがある。また、鋼中の固溶Tiは鋼を強化する効果がある。本発明鋼ではAl含有量が少なく、B添加でのBNの生成を抑制するために、TiによってNを固定する必要があり、所望の効果を得るためには0.020%以上のTiを含有させる必要がある。一方、含有量が0.100%を超えると、鋼の被削性が悪化してしまう。従って、Tiの含有量を0.020〜0.100%とした。なお、Ti含有量のより好ましい範囲は0.030〜0.060%である。
Caは、MnSを微細分散させ、鋼の被削性を大きく向上させる効果があり、この効果を得るためには0.0005%以上のCaを含有させる必要がある。一方、含有量が0.0050%を超えると、Caの被削性向上の効果が飽和するばかりでなく、粗大なCa系酸化物を形成し疲労強度が低下してしまう。従って、Caの含有量を0.0005〜0.0050%とした。なお、Ca含有量のより好ましい範囲は0.0005〜0.0030%である。
Bは、鋼の焼入性を向上させるという重要な効果があり、本発明では、内部硬度を低減させ被削性を向上させるために、CやMn、Crなどの焼入性元素を従来鋼よりもその含有量を低く制御している。そのため、高周波焼入れ時の焼入れ深さを確保するためにBを含有する必要があり、焼入性向上効果を得るためには0.0005%以上のBを含有させる必要がある。一方、含有量が0.0030%を超えると、焼入性向上効果が飽和してしまう。従って、Bの含有量を0.0005〜0.0030%とした。
O(酸素)は、Caと結合して被削性、特に高速切削時の工具磨耗を抑制する効果があり、この効果を発揮するためには0.0015%以上のO(酸素)を含有させる必要がある。一方、含有量が0.0050%を超えると、逆に被削性が劣化したり、粗大な酸化物系介在物を形成して疲労強度が低下したりしてしまう。従って、O(酸素)の含有量を0.0015〜0.0050%とした。
Moは、添加しなくてもよい。添加すれば、鋼の焼入性を向上させる効果がある。この効果を確実に得るには、Moは0.02%以上の含有量とすればよい。一方、含有量が0.05%を超えると、鋼の熱間鍛造性と被削性が悪化すると共に、経済性をも悪化してしまう。従って、Moの含有量の上限を0.05%とした。
Alは、鋼を脱酸する効果があるが、添加しすぎると酸素と結合して硬質なAl2O3系介在物を生成し、被削性を悪化させてしまう。従って、Alの含有量を0.009%以下とした。
Pは、鋼の不可避不純物であり、鋼中に多量に存在すると高周波焼入において割れを助長する場合がある。従って、Pの含有量を0.025%以下とした。
Vは、C及びNと結合して炭窒化物を形成する。この炭窒化物は熱間鍛造後にフェライトの安定な生成核となるため、熱間鍛造後の高周波焼入後の硬さにおいてバラツキを発生させる要因となってしまう。従って、Vの含有量を0.03%以下とした。
Nは、Tiと親和力が大きいためにTiNを生成しやすく、Nの含有量が0.0100%を超えると粗大なTiNが生成し、疲労強度の低下を招いてしまう。従って、Nの含有量を0.0100%以下とした。なお、N含有量のより好ましい範囲は0.0060%以下である。
Fn1≦0.63
被削性を確保するには内部硬度を低下することが有効であるが、特に、ガンドリル穿孔においては、内部硬度の低下により工具寿命が著しく向上する。従って、熱間鍛造後の内部硬度を低下させ、良好な被削性を得るためにFn1の値を0.63以下とした。
Fn2を1.0以下とすることで、即ち、CaとO(酸素)の比を1.0以下とすることで、鋼中のMnSが微細に分散し、被削時に、この微細なMnSが鋼中で切欠き効果を発揮して切り屑処理性が著しく向上する。従って、Fn2の値を1.0以下とした。
Fn3=FB×{25.9×Fn1+27.5×(Ti−3.4N)−7.9}
但し、B≧0.0005%のとき FB=1.00
B<0.0005%のとき FB=0.56
なお、Fn3は高周波焼入れ深さに関係し、Bを充分に添加する場合(B≧0.0005%)とそれ以外の場合(B<0.0005%)で、係数FBが異なる。
ここで、被削性の向上と疲労強度の確保を両立するためには、内部硬度の低下と共に、高周波焼入れ深さの増大を図る必要があり、Fn1の値を0.63以下とすると共に、Fn3の値を5.7以上に制御すれば、被削性を損なうことなく高周波焼入れ深さを増大することができる。従って、Fn3の値を5.7以上とした。
図2から、Fn1の値を0.63以下にすると共に、Fn2の値を1.0以下にすることによって被削性(ガンドリルの寿命及び切り屑処理性)が良好になることがわかる。
図3から、Fn1の値を0.63以下にすると共に、Fn3の値を5.7以上にすることによって回転曲げ疲労特性及び被削性が良好になることがわかる。即ち、Fn1の値を0.63以下にし、Fn2の値を1.0以下にすると共に、Fn3の値を5.7以上にすることによって、被削性と共に疲労強度が良好になることがわかる。
次いで、各インゴットを分塊圧延により180mm角のビレットにした後、通常の方法で1200℃以上に加熱し、熱間圧延により直径100mm及び直径20mmの棒鋼を作成した。
Claims (1)
- 質量%で、C:0.35〜0.45%、Si:0.20〜0.60%、Mn:0.40〜0.80%、S:0.040〜0.070%、Cr:0.10〜0.40%、Ti:0.020〜0.100%、Ca:0.0005〜0.0050%、B:0.0005〜0.0030%、O(酸素):0.0015〜0.0050%、Mo:0〜0.05%、P:0.025%以下、V:0.03%以下、Al:0.009%以下及びN:0.0100%以下を含有し、残部がFe及び不純物よりなり、
下記(1)式で表されるFn1の値が0.63以下であり、
下記(2)式で表されるFn2の値が1.0以下であると共に、
下記(3)式で表されるFn3の値が5.7以上である
ことを特徴とする高周波焼入用熱間鍛造非調質鋼。
式(1):Fn1=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5/7S)+1.51×(Ti−3.4N)
式(2):Fn2=Ca/O
式(3):Fn3=25.9×Fn1+27.5×(Ti−3.4N)−7.9
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