JP2005064211A - 磁気記憶装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気記憶装置における書き込みワード線とビット線を被覆する磁性体層を異なる高透磁率材料で形成することで、各配線の配設方向に沿った一軸磁気異方性を付与することを可能とする。
【解決手段】第1配線11と、第1配線11と立体的に交差する第2配線12と、第1配線11と第2配線12との交差領域に第2配線12と電気的に接続された磁気抵抗型の記憶素子13とを備えた磁気記憶装置1において、第1配線11の両側面および記憶素子13に対向する面とは反対側の面に形成された高透磁率層からなる第1磁性体層21と、第2配線12の両側面および記憶素子13に対向する面とは反対側の面に形成された高透磁率層からなる第2磁性体層22とを備え、第1磁性体層21と第2磁性体層22とは互いに異なる高透磁率材料からなるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記憶装置およびその製造方法に関し、詳しくは強磁性体のスピン方向が平行もしくは反平行によって抵抗値が変化することを利用して情報を記憶する不揮発性の磁気記憶装置およびその製造方法に関する。
従来の不揮発性メモリには、半導体を用いたフラッシュメモリや、強誘電体を用いたFRAM(Ferro electric Random Access Memory)などがあげられる。しかしながら、フラッシュメモリは、書き込み速度がμ秒の桁であるため遅いという欠点がある。また構造が複雑なために高集積化が困難であり、しかも、アクセス時間が100ns程度と遅いという欠点がある。一方、FRAMにおいては、書き換え可能回数が1012〜1014回で、完全にスタティックランダムアクセスメモリやダイナミックランダムアクセスメモリに置き換えるには耐久性が低いという問題が指摘されている。また、強誘電体キャパシタの微細加工が難しいという課題も指摘されている。
これらの欠点を有さない不揮発性メモリとして注目されているのが、MRAM(Magnetic Random Access Memory)もしくはMR(Magneto Resistance)メモリと呼ばれる、MTJ(Magnetic Tunneling Junction)が室温で大きな磁気抵抗比(MR比)を持つことを利用した磁気メモリであり、近年のトンネル磁気抵抗効果素子(以下、TMRという、TMRはTunnel Magnetic Resistanceの略)材料の特性向上により注目を集めるようになってきている(例えば、非特許文献1参照。)。
MTJ構造の基本構造は2つの強磁性層の間に絶縁層を挟んだ構造で、一方の強磁性層(固定層)の磁化方向を固定し、もう一方の強磁性層(自由層)の磁化の方向が平行または反平行となることで、抵抗が大きく変化する。このような磁化の平行、反平行状態で2つの情報を記憶でき、また磁化の状態によるTMR素子の抵抗変化を利用してセルデータを読み出すことができる。書き込みは配線に流れる電流によって発生する磁界により、この自由層の磁化の向きを反転させることにより行われる。具体的には書き込みワード線とビット線により、発生する合成磁界(アステロイド曲線で表される)によって行われる。
MRAMは、構造が単純であるため高集積化が容易であり、また磁気モーメントの回転により記憶を行うために、書き換え回数が大であると予測されている。またアクセス時間についても、非常に高速であることが予想され、既に100MHzで動作可能であることが報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。また、TMR効果により高出力が得られるようになった現在では、大きく改善されてきている。
また、MRAMには、構造上の本質的な課題が存在する。MRAMにおける記憶は、配線に電流を流すことによって発生する電流磁場によって記憶層の磁化を回転させることで行っている。ところが、高集積化によって、配線が細くなるにともない、書き込み線に流すことができる臨界電流値が下がるため、得られる磁界が小さくなり、被記憶領域の保磁力を小さくせざるを得ない。これは、情報記憶装置の信頼性が低下することを意味する。また、磁界は光や電子線のように絞ることができないため、高集積化した場合にはクロストークの大きな原因になると考えられる。これを防止するためにキーパ構造等も提案されているが、構造の複雑化は避けられない。以上のように、電流磁場による書き込みには本質的に多くの課題があり、電流磁場による書き込みが将来のMRAMにおける大きな欠点になる恐れがある。
上述の通り、高速化・高集積化が容易という長所を有するMRAMではあるが、書き込みは、TMR素子に近接させて設けられたビット線と書き込み用ワード線に電流を流し、その発生磁界によって行う。TMR素子の記憶層(記憶層)の反転磁界は材料にもよるが、1.58kA/m〜15.8kA/m(20Oe〜200Oe)が必要であり、銅などの配線材料のみで構成される配線では、このときの電流は数十mAになる。これは消費電流の増大につながり、素子の低寿命化、発熱、消費電力の増加という半導体素子にとってはデメリットとなることが多い。
例えば、図6に示すように、書き込みワード線111とこれに直交するビット線112とを設け、その交差領域に記憶素子(例えばTMR素子)113を設けた構造(例えば、特許文献1)では、磁化反転させるのに要する電流が上述のように大きくなってしまう。
この消費電流が増大する問題を解決するために、書き込みワード線およびビット線の周りを高透磁率磁性体からなる磁性層でシールドして、電流が発生する磁束を集中させる構造(以下、クラッド構造という)が提案されている(例えば、特許文献2、非特許文献3参照。)。
図7に磁性体層により形成されるクラッド構造を用いたMRAMの一部を簡略化した図を示す。図7に示すように、ワード線111の周りに対して、磁気抵抗効果型の記憶素子(例えばTMR素子)113側の面以外を高透磁率材料からなる第1磁性体層(フラックスガイド)116で覆い磁束を記憶素子113に集中させるようにしている。同様に、ビット線112の周りに対して、記憶素子113側の面以外を高透磁率材料からなる第2磁性体層(フラックスガイド)117で覆い磁束を記憶素子113に集中させるようにしている。このような構造を採ることで消費電流をほぼ半減できる。
特開2002−246566号公報(第3頁、図1) 特開2002−246566号公報(第4頁、図6) Wang et al.,「Feasibility of Ultra-Dense Spin-Tunneling Random Access Memory」 IEEE Transaction Magnetics 33 (1997) p4498-4512 R.Scheuerlein et al.,「A 10ns Read and Write Non-Volatile Memory Array Using a Magnetic Tunnel Junction and FET Switch in each Cell」 2000 IEEE International Solid-State Circuits Conference Digest of Papers (Feb.2000) TA-7.2 M.Durlam,et.al.,「A low power 1Mbit MRAM based on 1T1MTJ bit cell integrated with Copper Interconnects」IEEE 2002 Symposium On VLSI Circuits Digest Technical Papers (2002) p158-161
解決しようとする問題点は、高透磁率材料の保磁力が大きいと残留磁化を持つことになり、MTJ素子に不要な磁界が常にかかることになる。これを回避するには磁界発生方向を磁化困難軸とすれば良いが、配線の形状による効果では不十分であり、磁場中の熱処理などによる磁気異方性制御が必要となる。また、ビット線と書き込みワード線に同じ高透磁率材料を用いると磁化容易軸が直交しているので、磁場中で熱処理を施すと、一方は磁気異方性制御が可能であるが、もう一方は磁気異方性を乱すことになり、磁気異方性が分散して、発生磁界が不安定となり、安定して書き込み磁界を発生させることができなくなるという問題が発生する。そこで、反転に必要な最低限の磁界を安定して供給するには多くに電流を必要とするので、消費電力が大きくなるという問題がある。
本発明の磁気記憶装置は、第1配線と、前記第1配線と立体的に交差する第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との交差領域に前記第2配線と電気的に接続された磁気抵抗型の記憶素子とを備えた磁気記憶装置において、前記第1配線の両側面および前記記憶素子に対向する面とは反対側の面に形成された高透磁率層からなる第1磁性体層と、前記第2配線の両側面および前記記憶素子に対向する面とは反対側の面に形成された高透磁率層からなる第2磁性体層とを備え、前記第1磁性体層と前記第2磁性体層とは互いに異なる高透磁率材料からなることを最も主要な特徴とする。
本発明の磁気記憶装置の製造方法は、第1配線を形成する工程と、トンネル絶縁層を強磁性体で挟んでなるもので前記第1配線と電気的に絶縁された磁気抵抗効果型の記憶素子を形成する工程と、前記記憶素子と電気的に接続するもので前記記憶素子を間にして前記第1配線と立体的に交差する第2配線を形成する工程とを備えた磁気記憶装置の製造方法において、前記第1配線を形成するに際し、前記第1配線の両側面および前記記憶素子に対向する面とは反対側の面に高透磁率層からなる第1磁性体層を形成するとともに、前記第2配線を形成するに際し、前記第2配線の両側面および前記記憶素子に対向する面とは反対側の面に高透磁率層からなる第2磁性体層を形成し、前記第1磁性体層と前記第2磁性体層とは互いに異なる高透磁率材料で形成することを最も主要な特徴とする。
本発明の磁気記憶装置およびその製造方法では、第1配線(例えば書き込みワード線)の側面および記憶素子とは反対側の面を被覆する第1磁性体層と第2配線(例えばビット線)の側面および記憶素子とは反対側の面を被覆する第2磁性体層を、異なる高透磁率材料で形成する構造を採るので、各配線に適切な磁場中での熱処理を施すことが可能になり、MTJ型の記憶素子に対して安定な書き込み磁界を供給することができるようになるという利点がある。また、配線に流す電流による発生磁界のばらつきを低減できることから、アステロイド曲線のばらつきを低減でき、それによって、安定的に書き込みができるので、磁気記憶装置の書き込み信頼性の向上を図ることができるという利点がある。
磁気抵抗型の記憶素子への安定的な書き込みを可能にするという目的を、第1配線に高透磁率材料からなるフラックスガイドとなる第1磁性体層を設けるとともに、第1配線に立体的に交差するように形成された第2配線に第1磁性体層とは異なる高透磁率材料からなるフラックスガイドとなる第2磁性体層を設けることで実現した。以下、具体的に実施の形態を説明する。
本発明の磁気記憶装置に係る一実施の形態を、図1(1)の概略斜視断面図および図1(2)のA部拡大図図によって説明する。
図1に示すように、第1配線(書き込みワード線)11と、第1配線11と立体的に交差する第2配線(ビット線)12とが設けられている。第1配線11と第2配線12との交差領域には第2配線12と電気的に接続された磁気抵抗型の記憶素子13が備えられている。本実施の形態では、記憶素子13は、選択用半導体素子14を介して第1配線11上に形成されていて、第2配線12側で第2配線12に電気的に接続されている。
上記第1配線11の両側面および記憶素子13に対向する面とは反対側の面(第1配線11の下面)には、第1高透磁率層からなる第1磁性体層21が形成されている。上記第2配線12の両側面および記憶素子13に対向する面とは反対側の面(第2配線12の下面)には、上記第1高透磁率層とは異なる透磁率を有する第2高透磁率層からなる第2磁性体層22が形成されている。上記各磁性体層はフラックスガイドとも称される。
上記第1磁性体層21に対して第1配線11の配設方向(矢印ア方向)に磁気異方性を付与するための方法、および第2磁性体層22に対して第2配線12の配設方向(矢印イ方向)に磁気異方性を付与するための方法は、対象となる配線の配設方向に対して平行方向に磁場が掛かるようにした磁場中で各磁性体層を成膜すればよい。この成膜方法としては、スパッタ、蒸着等の物理的気相成長(以下PVDという、PVDはPhysical Vapor Depositionの略)もしくは化学的気相成長(以下CVDという、CVDはChemical Vapor Depositionの略)〕がある。または、対象となる配線の配設方向に対して平行にスパッタ粒子(蒸着粒子)が斜めに入射するように、イオンビームスパッタに代表される斜め入射(基板とターゲットがオフセット状態でも実現可能)での成膜が挙げられる。
また、上記の成膜方法での磁気異方性付与では不十分な場合には、第1配線11の配設方向(矢印ア方向)および第2配線12の配設方向(矢印イ方向)に確実に磁気異方性を付与するために、高透磁率材料からなる第1、第2磁性体層21、22には、それぞれの配線の配設方向が磁化容易軸となるように磁場中で熱処理を施すことが好ましい。
例えば、第2磁性体層22にニッケル鉄(NiFe)合金のように例えば240℃付近にて磁気異方性変換ができる高透磁率材料を用い、第1磁性体層21にCoZrNb、CoZrMoPd等のコバルト・ジルコニウム系材料のように300℃以上で磁気異方性変換ができる材料を用いる。その方法は、先に第1磁性体層21に300℃以上の磁場中熱処理で第1配線11の配設方向に磁気異方性を付与し、次に、その直行方向(第2配線12の配設方向)に磁気異方性が付与されるような磁場を掛けて240℃前後の磁場中熱処理を施して、第2磁性体層22に第1磁性体層21とは直交する方向に磁気異方性を付与する。
このように、先に形成される第1配線11(書き込みワード線)を被覆する第1磁性体層21には高い温度で磁気異方性変換できる材料を用い、後に形成される第2配線12(ビット線)を被覆する第2磁性体層22には、第1磁性体層21が磁気異方性変換を起こさず、第1磁性体層21の熱処理温度よりも低い温度で磁気異方性変換できる材料を用いる。したがって、第1磁性体層21の磁気異方性変換を先に行い、その後第2磁性体層22の磁気異方性変換を行っても、第2磁性体層22の磁気異方性変換時に第1磁性体層21の磁気異方性は変化することはない。この結果、第1磁性体層21および第2磁性体層22に最良な磁気異方性が付与されることになる。
次に、表1および表2により、第1磁性体層21と第2磁性体層22の具体的な組み合わせの一例を、表1および表2によって説明する。なお、表中のR.T.は室温を表し、例えば23℃である。また表1中の(N,O)は窒素(N)および酸素(O)のうちの一方もしくは両方を含むことを表し、窒素(N)および酸素(O)の含有量により熱処理温度が制御される。
Figure 2005064211
Figure 2005064211
表1に示すように、第1例は、磁気異方性を付与する熱処理の温度が260℃以上400℃未満の高透磁率材料を第1グループとする。この第1グループとしては、金属元素を添加したコバルト・ジルコニウム系合金が挙げられる。例えば、ニオブおよびタンタルを添加したコバルト・ジルコニウム系合金(CoZrNbTa)、ニオブを添加したコバルト・ジルコニウム系合金(CoZrNb)、モリブデンおよびパラジウムを添加したコバルト・ジルコニウム系合金(CoZrMoPd)がある。これらは、いずれも成膜時には非晶質状態で成膜される。
磁気異方性を付与する熱処理の温度が200℃以上400℃未満の高透磁率材料を第2グループとする。この第2グループとしては、ニッケル・鉄系合金が挙げられる。例えば、ニッケル・鉄系合金(NiFe)、ニオブを添加したニッケル・鉄系合金(NiFeNb)がある。これらは、いずれも成膜時には結晶質状態で成膜される。
磁気異方性を付与する熱処理の温度が400℃以上600℃以下の高透磁率材料を第3グループとする。この第3グループとしては、窒化タンタル・鉄系化合物が挙げられる。例えば、ジルコニウムを添加した窒化タンタル・鉄系化合物(FeTaZrN)、窒化タンタル・鉄系化合物(FeTaN)がある。これらは、いずれも成膜時には非晶質状態で成膜される。
磁気異方性を付与する熱処理の温度が室温(R.T.)以上600℃以下の高透磁率材料を第4グループとする。この第4グループとしては、鉄・アルミニウム系化合物が挙げられる。例えば、窒素および酸素のうち少なくとも一方もしくは両方を含む鉄・アルミニウム系化合物〔FeAl(O,N)〕、窒素および酸素のうち少なくとも一方もしくは両方をとシリコンとを含む鉄・アルミニウム系化合物〔FeAlSi(O,N)〕、がある。これらは、いずれも成膜時には結晶質状態で成膜され、成膜時に磁気異方性が確定される。したがって,熱処理を行わなくとも磁気異方性を付与することができる材料である。
磁気異方性を付与する熱処理の温度が室温400℃以上600℃以下の高透磁率材料を第5グループとする。この第5グループとしては、窒素および酸素のうち少なくとも一方もしくは両方を含む鉄・ルテニウム・ガリウム・シリコン系化合物〔FeRuGaSi(O,N)〕がある。これは、成膜時には結晶質状態で成膜され、成膜時に磁気異方性が確定される。
表2に示すように、第1例を説明する。第1配線11に形成される第1磁性体層21には、上記グループ1の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第1熱処理を260℃以上400℃未満の温度で行う。実際には、次に行う規則化熱処理の温度以上の温度で行う。次いで、記憶素子(MTJ素子)13の規則化熱処理を、例えば260℃以上340℃以下の温度で行う。この際、規則化熱処理の温度は第1熱処理の温度以下とする。なお、第1熱処理と規則化熱処理とを同時に行うこともできる。この場合には、例えば260℃以上340℃以下の温度で行う。次いで、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ2の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を200℃以上規則化熱処理の温度および第1熱処理の温度未満で行う。第2熱処理の温度はより好ましくは規則化熱処理の温度および第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。
第2例を説明する。第1熱処理および規則化熱処理は第1例と同様である。次いで、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ4の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を室温(例えば23℃)以上第1熱処理の温度よりも低い温度で行う。この際、第2熱処理の温度は規則化熱処理の温度および第1熱処理の温度未満とすることが好ましく、より好ましくは規則化熱処理の温度および第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。
第3例を説明する。第1配線11に形成される第1磁性体層21には、上記グループ2の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第1熱処理を200℃以上400℃未満の温度で行う。実際には、次に行う規則化熱処理の温度以上の温度で行う。次いで、記憶素子(MTJ素子)13の規則化熱処理を、例えば260℃以上340℃以下の温度で行う。この際、規則化熱処理の温度は第1熱処理の温度以下とする。なお、第1熱処理と規則化熱処理とを同時に行うこともできる。この場合には、例えば260℃以上340℃以下の温度で行う。次いで、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ4の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を室温(例えば23℃)以上第1熱処理の温度および規則化熱処理の温度未満の温度で行う。この際、第2熱処理の温度は、より好ましくは規則化熱処理の温度および第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。
第4例を説明する。第1配線11に形成される第1磁性体層21には、上記グループ3の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第1熱処理を400℃以上600℃以下の温度で行う。実際には次に行う規則化熱処理の温度以上の温度で行う。次いで、記憶素子(MTJ素子)13の規則化熱処理を、例えば300℃以上340℃以下の温度で行う。次いで、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ1の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を規則化熱処理の温度未満の温度で行う。この際、第2熱処理の温度は、より好ましくは規則化熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。このように温度設定することにより、当然のことながら、第2熱処理の温度は第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度となる。
第5例を説明する。第1熱処理は第3例と同様である。次いで、記憶素子(MTJ素子)13の規則化熱処理を、例えば260℃以上340℃以下の温度で行い、次いで、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ2の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を200℃以上規則化熱処理の温度よりも低い温度で行う。この第2熱処理の温度は、より好ましくは規則化熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。このように温度設定することにより、当然のことながら、第2熱処理の温度は第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度となる。
第6例を説明する。第1熱処理は第4例と同様である。次いで、記憶素子(MTJ素子)13の規則化熱処理を、例えば260℃以上340℃以下の温度で行い、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ4の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を室温(例えば23℃)以上規則化熱処理の温度および第1熱処理の温度以下で行う。この第2熱処理の温度は、より好ましくは規則化熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。このように温度設定することにより、当然のことながら、第2熱処理の温度は第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度となる。
第7例を説明する。第1配線11に形成される第1磁性体層21には、上記グループ4の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第1熱処理を室温(例えば23℃)以上600℃以下の温度で行う。実際には次に行う規則化熱処理の温度以上の温度で行う。次いで、記憶素子(MTJ素子)13の規則化熱処理を、例えば300℃以上340℃以下の温度で行う。次いで、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ1の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を260℃以上第1熱処理の温度未満の温度で行う。この際、第2熱処理の温度は規則化熱処理の温度および第1熱処理の温度以下とすることが好ましく、より好ましくは規則化熱処理の温度および第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。
第8例を説明する。第1熱処理は第7例と同様である。次いで、記憶素子(MTJ素子)13の規則化熱処理を、例えば260℃以上340℃以下の温度で行い、次いで、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ2の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を200℃以上第1熱処理の温度よりも低い温度で行う。この際、第2熱処理の温度は規則化熱処理の温度および第1熱処理の温度以下とすることが好ましく、より好ましくは規則化熱処理の温度および第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。
第9例を説明する。第1配線11に形成される第1磁性体層21には、上記グループ5の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第1熱処理を400℃以上600℃以下の温度で行う。次いで、記憶素子(MTJ素子)13の規則化熱処理を、例えば300℃以上340℃以下の温度で行う。次いで、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ1の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を規則化熱処理の温度以下で行う。この第2熱処理の温度は、より好ましくは規則化熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。このように温度設定することにより、当然のことながら、第2熱処理の温度は第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度となる。
第10例を説明する。第1熱処理は第9例と同様である。次いで、記憶素子(MTJ素子)13の規則化熱処理を、例えば260℃以上340℃以下の温度で行い、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ2の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を200℃以上第1熱処理の温度よりも低い温度で行う。この際、第2熱処理の温度は規則化熱処理の温度以下とすることが好ましく、より好ましくは規則化熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。このように温度設定することにより、当然のことながら、第2熱処理の温度は第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度となる。
第11例を説明する。第1熱処理は第9例と同様である。次いで、記憶素子(MTJ素子)13の規則化熱処理を、例えば260℃以上340℃以下の温度で行い、第2配線12に形成される第2磁性体層22には、上記グループ4の高透磁率材料を用い、磁気異方性を確定させる第2熱処理を室温(例えば23℃)以上第1熱処理の温度よりも低い温度で行う。この際、第2熱処理の温度は規則化熱処理の温度以下とすることが好ましく、より好ましくは規則化熱処理の温度よりも50℃以上低い温度とする。このように温度設定することにより、当然のことながら、第2熱処理の温度は第1熱処理の温度よりも50℃以上低い温度となる。
上記説明した実施例は一例である。第1磁性体層21、第2磁性体層22に採用できる高透磁率材料としては、ニッケル鉄合金、ニッケル鉄合金に第3元素(例えば金属元素)を添加した合金、鉄アルミニウム(FeAl)系合金、フェライト合金、コバルト系アモルファス合金、窒化鉄(FeN)系微結晶合金、もしくは窒化コバルト(CoN)系微結晶合金が挙げられる。上記第3元素(例えば金属元素)には、例えばニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、コバルト(Co)、クロム(Cr)等のうちの一種、もしくは2種以上を用いることができる。その一例としては、NiFeMoCu、NiFeCoMo等がある。
そして、第1磁性体層21には高い温度で磁気異方性変換できる材料を用い、後に形成される第2磁性体層22には第1磁性体層21が磁気異方性変換を起こさず、第1磁性体層21の熱処理温度よりも低い温度で磁気異方性変換できる材料を用いる。したがって、第1磁性体層21の磁気異方性変換を先に行い、その後第2磁性体層22の磁気異方性変換を行うことで、第2磁性体層22の磁気異方性変換時に第1磁性体層21の磁気異方性は変化することはない。この結果、第1磁性体層21および第2磁性体層22に最良な磁気異方性が付与されることになる。
上記第2配線12がグループ4に属する場合には、成膜時に磁気異方性を確定させることができるので、この場合には第2配線12は熱処理を行わなくともよい。
上記各熱処理は、いずれも不純物なガス雰囲気中で行うことが望ましい。不純物活性なガス雰囲気としては、例えば希ガス雰囲気中があり、好ましくは、熱処理コスト、大気の流入を防ぎ易いこと等によりアルゴン(Ar)ガス雰囲気が選択される。また、磁性体層中に窒素が含まれる場合には窒素雰囲気中、磁性体層中に酸素が含まれる場合には酸素雰囲気中での熱処理が可能である。しかしながら、磁性体層中に窒素もしくは酸素の少なくとも一方が含まれる場合には、記憶素子13の規格化熱処理と兼ねることは好ましくはない。
また、MTJ構造の記憶素子13に用いられる反強磁性体(図示せず)が白金マンガン合金(PtMn)の場合、反強磁性体を規則化するために磁場中熱処理(規則化熱処理)が必要とされており、その温度は300℃から340℃程度である。第1磁性体層21の磁場中の熱処理は、この規則化熱処理の磁場の方向と同じであるので、規則化熱処理を施す時に同時に磁気異方性を付与することができる。これにより、熱処理回数を減らすことができるので、熱的損傷(サーマルバジェット)による素子や配線のダメージを低減できる利点がある。また、第2配線(ビット線)12の形成後に一括して磁場中熱処理を行うことで、熱的損傷(サーマルバジェット)をさらに低減できる。具体的には第1配線11の磁場中熱処理および規則化熱処理温度、例えば300℃で第1配線11の配設方向(矢印ア方向)に熱処理し、冷却(下降)中のある温度、例えば240℃で第2配線12の配設方向(矢印イ方向)に磁場方向を回転させて数時間保持した後、冷却すれば良い。
次に、上記記憶素子13の基本構成の一例を、拡大図により説明する。上記記憶素子13は、磁化固定層302、トンネル絶縁層303、記憶層(自由層ともいう)304、さらに導電性を有する保護層(キャップ層ということもある)313を順に積層して構成されている。そして、記憶層304の磁化方向が記憶素子13の長手方向となるように、かつアスペクト比が2〜3となるように形成されている。これによりスイッチングばらつきを抑制することができる。磁化固定層302は、強磁性体層の単層構造であってもよく、もしくは2層以上の強磁性体層を、導電体層を挟んで積層させた構造であってもよい。また、TMR素子と反強磁性層(図示せず)を介して直列に接続される選択用半導体素子14との接続に、下地導電層(図示せず)を形成することも可能である。また、下地導電層を反強磁性体層によって兼ねることも可能である。
上記磁化固定層302および上記記憶層304は、例えば、ニッケル、鉄もしくはコバルト、またはニッケル、鉄およびコバルトのうちの少なくとも2種からなる合金のような、強磁性体からなる。上記導電体層は、例えば、ルテニウム、銅、クロム、金、銀等で形成されている。上記磁化固定層302は、反強磁性体層(図示せず)と接する状態に形成されていて、これらの層間に働く交換相互作用によって、磁化固定層302は、強い一方向の磁気異方性を有している。上記反強磁性体層(図示せず)は、例えば、鉄・マンガン合金、ニッケル・マンガン合金、白金マンガン合金、イリジウム・マンガン合金、ロジウム・マンガン合金、コバルト酸化物およびニッケル酸化物のうちの1種を用いることができる。
上記トンネル絶縁層303は、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化マグネシウム、窒化シリコン、酸化窒化アルミニウム、酸化窒化マグネシウムもしくは酸化窒化シリコンからなる。上記トンネル絶縁層303は、上記記憶層304と上記磁化固定層302との磁気的結合を切るとともに、トンネル電流を流すための機能を有する。これらの磁性膜および導電体膜は、主に、スパッタリング法によって形成される。トンネル絶縁層303は、スパッタリング法によって形成された金属膜を酸化、窒化もしくは酸化窒化させることにより得ることができる。
さらに最上層には保護層313が形成されている。この保護層313は、TMR素子13と別のTMR素子13とを接続する配線との相互拡散防止、接触抵抗低減および記憶層304の酸化防止という機能を有する。通常、銅、窒化タンタル、タンタル、窒化チタン等の材料により形成されている。
また、上記選択用半導体素子14は、例えば、ダイオードもしくはトランジスタ(例えば、電界効果トランジスタ)で形成されている。
次に、第1配線(書き込みワード線)11に用いた高透磁率材料が第2配線(ビット線)12に用いた高透磁率材料の磁場中熱処理で磁気異方性が変化するかどうかをベタ膜レベルで実験した結果を図2によって説明する。図2は、縦軸に異方性磁界(Hk)を示し、横軸に熱処理状態を示した。
図2に示すように、第1配線(書き込みワード線)11に用いた高透磁率材料(例えばCoZrNbTa、CoZrMoPd)を磁場中熱処理(initial条件:300℃で2時間、320℃で2時間もしくは340℃で2時間)で付与した磁気異方性に対して、その磁気異方性を乱す方向(直行方向)に磁場中熱処理(SFA(Static magnetic Field Anneal)、240℃で4時間もしくは260℃で4時間)を施した。比較としてニッケル鉄(NiFe)合金を記載した。異方性磁界(Hk)は変化するが、完全に磁化容易軸は反転せず、MRAMのプロセスに適した熱処理条件下で使用できることが判る。
上記磁気記憶装置1では、第1配線(書き込みワード線)11の側面および記憶素子13とは反対側の面を被覆する第1磁性体層21と第2配線(ビット線)12の側面および記憶素子13とは反対側の面を被覆する第2磁性体層22を、異なる高透磁率材料で形成する構造を採るので、各配線に適切な磁場中での熱処理を施すことが可能になり、MTJ型の記憶素子13に対して安定な書き込み磁界を供給することができるようになるという利点がある。また、第1、第2配線11、12に流す電流による発生磁界のばらつきを低減できることから、アステロイド曲線のばらつきを低減でき、それによって、安定的に書き込みができるので、磁気記憶装置1の書き込み信頼性の向上を図ることができるという利点がある。また、反転に必要な最低限の磁界を安定して供給することができるので、必要最小限の電流で書き込みを行うことが可能になり、消費電力を低減することができるという利点がある。
次に、本発明の磁気記憶装置の製造方法を、図3および図4の概略構成断面図によって説明する。図3には第1配線(書き込みワード線)の製造方法の一例を示し、図4では第2配線(ビット線)の製造方法の一例を示す。
図3(1)に示すように、半導体基板上に絶縁膜(図示せず)を形成した後、この絶縁膜上にエッチングストッパー層31を、例えば窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)で成膜した後に、層間絶縁膜32として、例えば酸化シリコン(SiO2 )膜、酸フッ化シリコン(SiOF)膜、炭化酸化シリコン(SiOC)膜、有機化合物膜等の絶縁材料膜もしくはそれらの積層構造で形成する。その後、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程によりワード線を形成するための配線溝33を形成する。次いで、例えばスパッタリング法を用いて、バリアメタル膜34、第1磁性体膜21、バリアメタル膜35を順に積層成膜する。バリアメタル膜34、35の材料としては、銅膜および第1磁性体膜21との反応、銅および磁性体の拡散を抑制する材料である必要がり、例えばタンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)等が挙げられる。また、第1磁性体膜21としては、上記磁気記憶装置1の実施の形態で説明したような材料を用いることができる。その後、例えば、銅シード層(図示せず)を成膜後に電解めっきによる銅膜36を成膜するなどの手法を用いて、配線溝33内部に銅膜36の埋め込みを行う。
その後、図3(2)に示すように、層間絶縁膜32上のバリアメタル膜34、第1磁性体膜21、バリアメタル膜35および銅膜36を、例えば化学的機械研磨(CMP)法等を用いて除去して銅配線からなる第1配線(書き込みワード線)11を形成するという製造方法である。
次に、第2配線(ビット線)の製造方法の一例を説明する。まず、図4(1)に示すように、第1配線11を形成した後、この第1配線11と後に形成される第2配線との交差領域に選択用半導体素子14を介して記憶素子13を形成する。選択用半導体素子14および記憶素子13は、上記図1によって説明した磁気記憶装置1と同様の構成のものを、既知の技術によって形成することができる。次いで、それらの素子を埋め込むように第1絶縁膜41を形成する。その際、平坦化技術、例えば化学的機械研磨によって、第1絶縁膜41表面を平坦化するとともに、記憶素子13上に形成される導電性の保護層313を露出させる。さらに第1絶縁膜41上にエッチング停止層51、第2絶縁膜42を順に形成する。上記エッチング停止層51は、例えば窒化シリコン(SiN)膜、炭化シリコン(SiC)膜等で形成する。上記第2絶縁膜42は、例えばSiO2 膜、SiOF膜、SiOC膜、有機化合物膜などの絶縁材料膜もしくはそれらのうちの2種以上を用いた積層構造として形成する。
次いで、通常のレジスト塗布技術、リソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、ビット線が形成される領域の上記第2絶縁膜42に配線溝43を、上記第1配線11と立体的に交差(直交)するように形成する。その後、不要となったレジストマスクを除去する。ここでは、配線溝43のみを記載しているが、配線溝とその底部より下層の例えば配線もしくは電極に接続する接続孔(図示せず)を形成してもよい。
その後、既知の成膜技術を用いて、例えばスパッタリング法を用いて、上記配線溝43の内面および第2絶縁膜42表面に、第1バリアメタル層44、第2磁性体層となる磁性体層221を順に成膜する。第1バリアメタル層44は、銅および磁性体とのの反応を抑制するとともに銅および磁性体の拡散を抑制する材料であればよい。例えば、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)などが挙げられる。また、第2磁性体層となる磁性体層221としては、前記図1によって説明した磁気記憶装置の第2磁性体層2と同様な材料を用いて形成する。このとき、前記第1磁性体層21とは異なる高透磁率材料を用いる。すなわち、第1磁性体層21には高い温度で磁気異方性変換できる材料を用い、後に形成される第2磁性体層22(磁性体層221)には第1磁性体層21が磁気異方性変換を起こさず、第1磁性体層21の熱処理温度よりも低い温度で磁気異方性変換できる材料を用いる。したがって、第1磁性体層21の磁気異方性変換を先に行い、その後第2磁性体層22の磁気異方性変換を行うことで、第2磁性体層22の磁気異方性変換時に第1磁性体層21の磁気異方性は変化することはない。この結果、第1磁性体層21および第2磁性体層22に最良な磁気異方性が付与されることになる。
次に、図4(2)に示すように、既知のエッチバック技術により、第2磁性体層221おおび第1バリアメタル層44を異方性エッチングする。このエッチングのガスには、例えば塩素を含んだハロゲンガスまたはそれに一酸化炭素(CO)もしくはアンモニア(NH3 )を添加したエッチングガスを用いる。さらに酸素を添加してもよい。例えば、エッチングガスに塩素(流量:50cm3 /min)とアルゴン(流量:50cm3 /min)との混合ガスを用い、ソースパワーを600W〜2kW、バイアスパワーを50W〜500W、エッチング雰囲気の圧力を0.67Pa〜1.3Pa、基板温度を20℃〜60℃に設定して、エッチングを行った。この結果、配線溝43の側壁に第1バリアメタル層44を介して第2磁性体層221のサイドウォールが形成される。
次に、配線溝43の底部に露出しているエッチング停止層51をエッチングにより除去して、保護層313を露出させる。このエッチング停止層51のエッチング処理のガスには、例えばフッ素系のガスを用いる。例えば、塩素(流量:60cm3 /min)と三塩化ホウ素(BCl3 )(流量:90cm3 /min)とトリフルオロメタン(CHF3 )(流量:5cm3 /min)との混合ガスを用い、ソースパワーを600W〜2kW、バイアスパワーを50W〜200W、エッチング雰囲気の圧力を1.3Pa〜4.0Pa、基板温度を20℃〜60℃に設定して、エッチングを行った。もしくは、エッチングガスにトリフルオロメタン(CHF3 )と一酸化炭素(CO)の混合ガス、トリフルオロメタン(CHF3 )とテトラフルオロメタン(CF4 )とアルゴン(Ar)との混合ガス、トリフルオロメタン(CHF3 )と酸素(O2 )とアルゴン(Ar)との混合ガス等を用いる。
次に、図4(3)に示すように、スパッタリングによって、磁性体層221を覆うように配線溝43の内面を含めて第2バリアメタル層45を成膜する。第2バリアメタル層45としては、銅との反応および銅の拡散を抑制する材料であることが求められ、例えばタンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)などが挙げられ、上記第1バリアメタル層121と同じ材質であっても、異なる材質であっても良い。
その後、第2バリアメタル層45の表面に銅シード層(図示せず)を成膜した後、例えば電解めっきによって、配線溝43を埋め込むように導電体(以下銅膜と記す)46を成膜する。この銅膜46は、例えば銅もしくは銅合金からなる。これにより、配線溝43内部が銅膜46によって埋め込まれるとともに、第2絶縁膜42上にも第2バリアメタル層45を介して銅膜46が形成される。その後に、第2絶縁膜42上の銅膜46、第2バリアメタル層45、磁性体層222および第1バリアメタル層44を、例えば化学的機械研磨(CMP)法等を用いて除去して、銅膜46を主材料とする溝配線構造の第2配線(ビット線)12を形成する。したがって、第2配線12とこの第2配線12と直交する第1配線11との交差領域に上記記憶素子13が形成されることになる。
さらに図1(4)に示すように、第2配線12上面からの銅との反応、銅の拡散を抑制するために第3バリアメタル層47を形成し、次いでキャップ磁性体層222を形成する。さらに反射防止膜48を形成する。第3バリアメタル層47は、例えば窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)などの絶縁膜、もしくは、第1、第2バリアメタル層121、123と同様に、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)などを用いることができる。またキャップ磁性体層222は、前記磁性体層221と同様の材料で形成することができる。なお、反射防止膜48は、その後のリソグラフィー工程の露光時に下地からの反射の影響が問題とならない場合には必須ではない。ここでは、反射防止膜48を形成した場合を説明する。
次に、通常のレジスト塗布技術を用いて、反射防止膜48上にレジスト膜(図示せず)を形成する。次いでリソグラフィー技術によって、クラッド構造を残したい部分、つまりTMR素子が形成される部分の上部にあたる部分のみにレジスト膜を残して、その他の部分のレジスト膜を除去する。
その後、上記レジスト膜をエッチングマスクに用いて、既知のエッチング技術により、反射防止膜48、キャップ磁性体層222および第3バリアメタル層47をエッチング除去する。このエッチングは、第2絶縁膜42をエッチング停止層にしてエッチングを行う。このようにして、磁性体層221とキャップ磁性体層222とからなる第2磁性体層22がビット線12の上面および側面に形成される。
その後、第1磁性体層21および第2磁性体層22に所望の磁気異方性を与える熱処理を行う。基本的には、まず、高い温度での第1熱処理により第1磁性体層21に磁気異方性を与え、その後、第1磁性体層21が磁気異方性変換を起こさず、第1熱処理温度よりも低い温度で第2磁性体層22の磁気異方性変換を行う。この結果、第1磁性体層21および第2磁性体層22に最良な磁気異方性が付与されることになる。
磁気記憶装置の製造方法の実施の形態では、第1配線(書き込みワード線)11の側面および記憶素子13とは反対側の面を被覆する第1磁性体層21と第2配線(ビット線)12の側面および記憶素子13とは反対側の面を被覆する第2磁性体層22を、異なる高透磁率材料で形成するので、各配線に適切な磁場中での熱処理を施すことが可能になり、MTJ型の記憶素子13に対して安定な書き込み磁界を供給することができるようになるという利点がある。また、第1、第2配線11、12に流す電流による発生磁界のばらつきを低減できることから、アステロイド曲線のばらつきを低減でき、それによって、安定的に書き込みができるので、磁気記憶装置1の書き込み信頼性の向上を図ることができるという利点がある。また、反転に必要な最低限の磁界を安定して供給することができるので、必要最小限の電流で書き込みを行うことが可能になり、消費電力を低減することができるという利点がある。
さらに、第2絶縁膜42に第2配線(ビット線)12を形成するための配線溝43を形成する際に、第1絶縁膜41上に形成されたもので、記憶素子13および保護層313を被覆するエッチング停止層51によりエッチングが停止する。そして、配線溝43内面および第2絶縁膜42表面に第1バリアメタル層44と第2磁性体層の一部となる磁性体層221とを順に形成した後、配線溝43底部の磁性体層221、第1バリアメタル層44およびエッチング停止層51を除去して上記記憶素子13上の保護層313上面を露出させるとともに第2絶縁膜42上の磁性体層221と第1バリアメタル層44を除去することから、配線溝43その側壁に第1バリアメタル層44を介して磁性体層221のサイドウォールが形成される。その際、記憶素子13上の保護層313上面が配線溝43底部に露出される。その後、配線溝43内に第2バリアメタル層45を介して配線の主材料となる銅膜(導電体)46を埋め込んだ後。第2絶縁膜42上の銅膜46および第2バリアメタル層45を除去して配線溝43内に銅膜46からなる第2配線(ビット線)12を形成する。この結果、第2配線12は第2バリアメタル層45を介して記憶素子13上部の保護層313と接続されることになる。このようなプロセスを経ることによって、溝配線形成技術により、第2配線12の側面を覆う第2磁性体層22を容易に形成することが可能になる。
さらに、第2絶縁膜42上にビット線12を被覆する第3バリアメタル層47を形成した後にキャップ磁性体層222を形成し、その後、ビット線12上にキャップ磁性体層222および第3バリアメタル層47とを残すようにパターニングを行うことから、ビット線12の側壁および上面はその側壁に形成された磁性体層221と上記キャップ磁性体層222とによってほぼ被覆される。
次に、第2磁性体層22の別の製造方法を、図5の製造工程断面図によって説明する。
図5(1)に示すように、この構成では、第2配線12を形成した後、例えばパラジウム触媒を用いた置換めっき(例えば無電解めっき)により、第2配線12を形成する銅上に選択的にコバルトタングステンリン(CoWP)からなる第3バリアメタル層49を形成する。すなわち、置換めっき(無電解めっき)によってビット線12の銅表面に選択的にパラジウム層を形成する。次いで、パラジウムとの置換めっきによりビット線の銅表面にコバルトタングステンリン(CoWP)からなる第3バリアメタル層49を形成する。
その後、図5(2)に示すように、上記説明したのと同様に、第3バリアメタル層49を覆うキャップ磁性体層222、反射防止膜48を順次形成した後、レジストマスクを用いたリソグラフィー技術により反射防止膜48およびキャップ磁性体層222のパターニングを行えばよい。
この製造方法によれば、前記図4によって説明した製造方法により得られる作用、効果が奏されるとともに、磁性体層221とキャップ磁性体222とが接続されるように形成されるため、磁性体層221とキャップ磁性体層222との間での磁界の漏れを防止することができ、さらに書き込み効率を高めることができる。それとともに、ビット線12に流す電流を少なくすることができるので、ビット線12の発熱を抑えることができる。この結果、配線寿命を延ばすことができ、また消費電力を低く抑えることができる。
上記説明した磁気記憶装置をマトリックス状に複数配置することにより、MRAMを構成することが可能になる。このようなMRAMは、上記製造方法を適用することにより容易に実現することが可能になる。
本発明の磁気記憶装置およびその製造方法は、情報を記憶させておく電子機器に搭載される不揮発性メモリ素子に広く適用することができる。特に、MRAMに適用することができる。
本発明の磁気記憶装置に係る実施の形態を示した概略斜視断面図である。 磁場中熱処理の処理状態による高透磁率材料の異方性磁界を示す図である。 本発明の磁気記憶装置の製造方法に係る実施の形態を示した製造工程断面図である。 本発明の磁気記憶装置の製造方法に係る実施の形態を示した製造工程断面図である。 本発明の磁気記憶装置の製造方法に係る実施の形態を示した製造工程断面図である。 従来の磁気記憶装置を示した概略斜視断面図である。 従来の磁気記憶装置を示した概略斜視断面図である。
符号の説明
1…磁気記憶装置、11…第1配線、12…第2配線、13…記憶素子、21…第1磁性体層、22…第2磁性体層

Claims (7)

  1. 第1配線と、
    前記第1配線と立体的に交差する第2配線と、
    前記第1配線と前記第2配線との交差領域に前記第2配線と電気的に接続された磁気抵抗型の記憶素子とを備えた磁気記憶装置において、
    前記第1配線の両側面および前記記憶素子に対向する面とは反対側の面に形成された高透磁率層からなる第1磁性体層と、
    前記第2配線の両側面および前記記憶素子に対向する面とは反対側の面に形成された高透磁率層からなる第2磁性体層とを備え、
    前記第1磁性体層と前記第2磁性体層とは互いに異なる高透磁率材料からなる
    ことを特徴とする磁気記憶装置。
  2. 前記第1磁性体層および前記第2磁性体層は、一軸磁気異方性を持ち、かつ磁気異方性を付与するための熱処理温度が互いに異なる高透磁率材料からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記憶装置。
  3. 前記第1磁性体層および前記第2磁性体層は、磁気異方性変換温度の異なる軟磁性材料から構成される
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記憶装置。
  4. 第1配線を形成する工程と、
    トンネル絶縁層を強磁性体で挟んでなるもので前記第1配線と電気的に絶縁された磁気抵抗型の記憶素子を形成する工程と、
    前記記憶素子と電気的に接続するもので前記記憶素子を間にして前記第1配線と立体的に交差する第2配線を形成する工程と
    を備えた磁気記憶装置の製造方法において、
    前記第1配線を形成するに際し、前記第1配線の両側面および前記記憶素子に対向する面とは反対側の面に高透磁率層からなる第1磁性体層を形成するとともに、
    前記第2配線を形成するに際し、前記第2配線の両側面および前記記憶素子に対向する面とは反対側の面に高透磁率層からなる第2磁性体層を形成し、
    前記第1磁性体層と前記第2磁性体層とは互いに透磁率が異なる材料で形成する
    ことを特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
  5. 前記第1磁性体層および前記第2磁性体層を、一軸磁気異方性を持ち、かつ磁気異方性を付与するための熱処理温度が互いに異なる高透磁率材料で形成する
    ことを特徴とする請求項4記載の磁気記憶装置の製造方法。
  6. 前記第1磁性体層および前記第2磁性体層を磁気異方性変換温度の異なる軟磁性材料で形成する
    ことを特徴とする請求項4記載の磁気記憶装置の製造方法。
  7. 前記第1磁性体層および前記第2磁性体層を磁気異方性変換温度の異なる軟磁性材料で形成した後、
    前記第1磁性体層を前記第1磁性体層の磁気異方性変換温度で熱処理する工程と、
    前記第1磁性体層の磁気異方性を変えることなく前記第2磁性体層を前記第2磁性体層の磁気異方性変換温度で熱処理する工程と
    を備えたことを特徴とする請求項4記載の磁気記憶装置の製造方法。
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