JP2005061881A - 車両衝突試験装置用ドーリー装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】連結用ワイヤロープが確実に離脱されるようにすると共に、テスト車両がドーリー装置を損傷させないようにすることである。
【解決手段】前後の各ドーリー装置Da,Db を構成する連結用ワイヤ解除レバー21をストライカSに衝突させて、その係合部21aとフック装置Fを構成するフック体2及び抜止体18との係合状態を解除させると共に、各連結用ワイヤロープWa,Wb が引っ掛けられるフック体2と、前後の各フック体2の引掛部2aの開口面を閉塞する抜止体18を、同一の回動軸17の軸心を中心として相互に反対方向に回動させて、それらをドーリー本体8の下方に退避させる。
【選択図】 図6
【解決手段】前後の各ドーリー装置Da,Db を構成する連結用ワイヤ解除レバー21をストライカSに衝突させて、その係合部21aとフック装置Fを構成するフック体2及び抜止体18との係合状態を解除させると共に、各連結用ワイヤロープWa,Wb が引っ掛けられるフック体2と、前後の各フック体2の引掛部2aの開口面を閉塞する抜止体18を、同一の回動軸17の軸心を中心として相互に反対方向に回動させて、それらをドーリー本体8の下方に退避させる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、牽引走行されるテスト車両を衝突壁に衝突させてその損壊状況を試験する車両衝突試験装置用ドーリー装置(以降、単に「ドーリー装置」と記載する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術を説明するに当り、本発明の図面を援用する。図1に示されるように、車両衝突試験装置Aは、周回走行されるエンドレスの牽引ワイヤロープWに連結させたドーリー装置D’を駆動走行させることにより、連結用ワイヤロープWaを介してドーリー装置D’と連結させたテスト車両Tを牽引走行させ、所定速度で走行するテスト車両Tを衝突壁1に衝突させたり、或いは、テスト車両Tどうしを衝突させたりして、その損壊状況を調査するための装置である。
【0003】
図3に示されるように、従来のドーリー装置D’では、ドーリー本体の上面にフック装置Fが設けられていて、ドーリー装置D’とテスト車両Tとは、前記フック装置Fを構成するフック体2に連結用ワイヤロープWが引っ掛けられることによって連結されている。このフック体2の上部は、テスト車両Tの走行面(床面FL)から突出している。このため、衝突壁1に衝突した後のテスト車両Tのタイヤが、前記フック体2と干渉することがある。特に、オフセット衝突試験では、衝突後のテスト車両Tがスピンするため、前記フック体2と干渉し易くなる。この場合、ドーリー装置D’を損傷させると共に、オフセット衝突試験の精度を低下させてしまう。
【0004】
これを防止するため、フック体2と連結用ワイヤロープWa,Wb との連結が解除された後、前記フック体2を垂直面内で回動させるという技術が開示されている(例えば、特許文献1又は2参照)。しかし、これらに開示された技術では、フック体2を回動させるための手段がバー材であるため、たわみ等が生ずるおそれがあり、前記フック体2を確実に回動させることは困難である。これにより、車両衝突試験の精度が低下するおそれがある。特に、テスト車両Tの蛇行を防止するためにその後方に取付けられる後側ドーリー装置D’では、そのフック体2が後側の連結用ワイヤロープWbを引っ掛けたまま回動するおそれがある(特許文献1又は2の図10参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−21571号公報
【特許文献2】
特開2003−21574号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した不具合に鑑み、連結手段がドーリー装置から確実に離脱されると共に、離脱された後のフックがドーリー本体の下方に退避配置されるようにすることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、テスト車両を連結する連結手段を引っ掛けるためのフック装置を備え、牽引手段により牽引されて前記テスト車両を牽引走行させるためのドーリー装置であって、前記フック装置は、牽引時には前記連結手段に連結され、連結手段との連結解除後には、ドーリー本体の下方に退避配置されるように、前記ドーリー本体に回動可能に支持されたフック体と、牽引時には前記フック体の一部と係合して連結手段との連結姿勢を維持し、テスト車両の衝突直前においてストライカとの衝突により回動して、前記係合を解除させる係合レバーとを備えていることを特徴としている。
【0008】
フック装置を構成するフック体は、テスト車両の牽引時には連結手段に連結される。また、このフック体と連結手段との連結姿勢は、前記フック体が、フック装置を構成する係合レバーと係合することによって維持される。前記フック体と前記連結手段との連結は、テスト車両の衝突直前において前記係合レバーがストライカと衝突して回動されることにより、確実に解除される。これにより、前記フック体は、ドーリー本体の下方に退避配置され、衝突時のテスト車両とフック体とが干渉するおそれがない。この結果、ドーリー装置が損傷しにくくなると共に、車両衝突試験の精度を低下させるおそれが少なくなる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明を前提として、前記フック装置は、牽引時にフック体と連結手段との連結が解除されるのを防止すべく、フック体の引掛部と対向して回動可能にドーリー本体に支持された抜止体を備え、テスト車両の牽引時には前記抜止体の一部と係合して、その抜止め姿勢を維持すると共に、フック体と連結手段との連結解除後に、前記係合を解除する係合レバーは、フック体の係合レバーを兼用していることを特徴としている。これにより、前記係合レバーによって、前記フック体だけでなく、抜止体の抜止め姿勢も維持される。このため、フック装置を構成する部材の数が少なくなり、その構成をより簡単なものにすることができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明を前提として、前記フック装置を構成するフック体と抜止体との回動軸は、同一軸であることを特徴としている。このため、回動軸が1本で済み、フック装置の構成が更に簡単になると共に、ドーリー装置の大きさをコンパクトにすることができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明を前提として、前記フック装置は、回動方向に付勢するための付勢手段を備えていることを特徴としている。このため、何らかの原因で連結手段がフック体に引っ掛かっても、該フック体は、付勢手段によって確実に回動されて退避配置される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。図1は車両衝突試験装置Aの全体図、図2は前側ドーリー装置Daの平面図、図3は同じく正面図、図4は同じく側面断面図、図5はフック装置Fの斜視図、図6は同じく正面図、図7は同じく平面図、図8は同じく側面図、図9は後側ドーリー装置Dbの平面図である。最初に、車両衝突試験装置Aの全体構成について説明する。図1に示されるように、車両衝突試験装置Aでは、テスト車両Tを牽引走行させるために駆動走行される前後の各ドーリー装置Da,Db 、及び各ドーリー装置Da,Db を停止させるためのブレーキ装置3は、ガイドレール設置溝部4に設置されたガイドレールGに装着されている。
【0013】
最初に、ガイドレールGについて説明する。図4に示されるように、このガイドレールGは、一対のガイドレール単体5から構成されていて、それらは、床面FLに形成された断面略U字状のガイドレール設置溝部4の全長に亘って、所定の間隔をおいて相対向する形態で設置されている。各ガイドレール単体5は溝型鋼から成り、両者の内側部分には、前後の各ドーリー装置Da,Db を構成するクランプ装置C(後述)に解除可能にして連結される牽引用ワイヤロープWが配置されている。この牽引用ワイヤロープWは、ウインチ装置(図示せず)によって周回走行される。また、一対のガイドレール単体5の間には、前後の各ドーリー装置Da,Db が装着される。なお、図1において、6は、衝突壁1の直前部に設けられたピットであり、7は、前記ピット6に設置された撮影機材である。
【0014】
次に、前後の各ドーリー装置Da,Db について説明する。各ドーリー装置Da,Db の構成は全く同一であるため、ここでは前側ドーリー装置Daについてのみ説明する。図2及び図3に示されるように、前側ドーリー装置Daを構成するドーリー本体8の上面には、回転自在に装着された4個のガイドローラ9が同一高さに取付けられている。前側ドーリー装置Daは、これらのガイドローラ9が、ガイドレールGを構成する一対のガイドレール単体5の上側のフランジ部であるレール部5aどうしの間に嵌まり込むことによって支持される。そして、一対のガイドレールGにガイドされ、その長手方向に沿って走行される。前記ドーリー本体8の下部には、牽引用ワイヤロープWを解除可能に連結するためのクランプ装置Cが配設されている。同じく上部には、前側連結用ワイヤロープWaを解除可能に連結するためのフック装置Fが配設されている。
【0015】
次に、クランプ装置Cについて簡単に説明する。図4に示されるように、このクランプ装置Cは、高さ調整ボルト11を回転させることにより、ドーリー本体8の傾斜内壁面8aに沿って上下動してその取付位置が微調整される第1クランプ部材12と、該第1クランプ部材12に相対向して配設され、牽引用ワイヤロープWをクランプして保持するための第2クランプ部材13とから構成されている。前記第2クランプ部材13は、支点ピン14により、垂直面内で回動可能に支承されている。また、前記第2クランプ部材13の側方には、高さ方向に沿って牽引用ワイヤ解除レバー15が設けられている。この牽引用ワイヤ解除レバー15は、軸受16により、ドーリー本体8に対して水平面内で回動可能に支承されていて、その下部には、前記第2クランプ部材13の背面部と相対向するカム部15aと、該カム部15aと反対方向に張り出すトリガ部15bが延設されている。このクランプ装置Cは、牽引用ワイヤ解除レバー15のトリガ部15bが、ガイドレールGの所定位置に取付けられたストライカSに衝突して回動されることによって、牽引用ワイヤロープWのクランプが解除される構成である。
【0016】
次に、フック装置Fについて説明する。本実施形態のフック装置Fは、図5ないし図8に示されるように、前側連結用ワイヤロープWaを引っ掛けて、回動軸17の軸心を中心として垂直面内で回動可能に取付けられたフック体2と、前記フック体2に引っ掛けられた前側連結用ワイヤロープWaが抜け出ることを防止するための抜止体18と、前記抜止体18が、前側連結用ワイヤロープWaを引っ掛けたフック体2の開口面を閉塞している状態を保持するための連結用ワイヤ解除レバー21とから構成されている。即ち、ドーリー本体8の幅方向のほぼ中央部には、フック体2と抜止体18とを収容するための収容孔8bが設けられている。この収容孔8bの部分には、ドーリー本体8の長手方向(ドーリー装置Daの走行方向)と直交する方向に沿って回動軸17が固着されていて、前記フック体2は、前記回動軸17に回動自在に支持されている。このフック体2の上部には、前側連結用ワイヤロープWaを引っ掛けるための略半円状の引掛部2aが設けられている。また、フック体2の下部は、前記引掛部2aの開口面よりも前方に突出していて、連結用ワイヤ解除レバー21(後述)に係合される一対の被係合部2bが形成されている。一対の被係合部2bの部分は二股状になっていて、それらの内側部分には、抜止体18の基端部18aを入り込ませるための抜止体収容部2cが形成されている。フック体2が起立状態に配置されたとき、該フック体2の被係合部2bの上面は、ドーリー本体8の上面とほぼ同一高さに配置される。
【0017】
また、前記抜止体18は、前記フック体2の抜止体収容部2cに入り込み、しかも、前記回動軸17に同軸にして取付けられる基端部18aと、該基端部18aの上部に延設される扇状の閉塞部18bとから構成されている。この抜止体18が起立状態に配置されたとき、その閉塞部18bがフック体2の引掛部2aの開口面を閉塞する。このとき、前記閉塞部18bの下面は、ドーリー本体8の上面から所定の高さだけ離れた水平面内に配置されている。このため、フック体2の被係合部2bと抜止体18の閉塞部18bとの間には、所定高さの空間部(係合空間部V)が形成されている。この係合空間部Vに連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aが入り込むことにより、前記抜止体18は起立状態に保持される。抜止体18の閉塞部18bと連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aとの係合状態が解除されると、抜止体18は自重によって回動軸17の軸心を中心に前方に回動し、ドーリー本体8の下方に設けられたストッパピン19に当たって保持される。その状態を図6において、二点鎖線で示す。これにより、抜止体18が、ドーリー本体8の収容孔8bに収容される。上記したように、連結用ワイヤ解除レバー21は、テスト車両Tの牽引時に、フック体2と係合してその連結姿勢(起立して連結用ワイヤロープWaを引っ掛けた姿勢)を維持させると共に、抜止体18とも係合してその抜止め姿勢(起立して前記フック体2の引掛部2aを閉塞した姿勢)を維持させるという機能を有している。換言すれば、この連結用ワイヤ解除レバー21は、フック体2に係合されていると共に、抜止体18にも係合されている。
【0018】
図5ないし図8に示されるように、前記連結用ワイヤ解除レバー21は、ドーリー本体8の所定位置に高さ方向に沿って設けられた回動軸22の軸心を中心に水平面内で回動自在に取付けられていて、前記ドーリー本体8の上側に配置される係合部21aと、ドーリー本体8の下側に配置され、前記係合部21aと反対方向(即ち、一方側のガイドレール単体5の内側面5b)に突出されるトリガ部21bとから構成されている。前述したように、この連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aは、ドーリー本体8と起立状態の抜止体18とで形成された係合空間部Vに入り込んでいる。この状態で、フック体2の被係合部2bは、前記連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aに係合される。このため、ドーリー装置Daがテスト車両Tを牽引して走行しているとき、前記フック体2は前側連結用ワイヤロープWaに引っ張られて、回動軸17の軸心を中心に後方(時計回りの方向)に回動しようとするが、連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aに係合されていて、回動不能である。同様に、抜止体18の閉塞部18bも連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aに係合されると共に、フック体2の開口面に近接して配置されている。このため、抜止体18も、前後のいずれの方向に対しても回動不能である。これにより、連結用ワイヤロープWaは、フック体2の引掛部2aに引っ掛けられ、しかも、抜止体18によって抜止めが図られた抜止姿勢で保持される。
【0019】
図7に示されるように、ドーリー装置Daが走行して、ガイドレールGの所定位置(ストライカSが取付けられている位置)に達すると、連結用ワイヤ解除レバー21のトリガ部21bがストライカSと衝突する。このため、連結用ワイヤ解除レバー21全体が、回動軸22の軸心を中心として所定方向(平面視において、時計回りの方向)に回動される。それに伴い、連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aも同方向に回動される。すると、フック体2の被係合部2bと連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aとの係合状態が解除され、前記フック体2は、自重により回動軸17の軸心を中心として後方に回動し、ドーリー本体8の収容孔8bに収容される。同様に、抜止体18の閉塞部18bと連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aとの係合状態も解除され、前記抜止体18も、自重により回動軸17の軸心を中心として前方に回動し、ドーリー本体8の収容孔8bに収容される。
【0020】
図6ないし図8に示されるように、本実施形態のフック装置Fでは、フック体2を確実に回動させるために、付勢手段(ねじりコイルばね23)が取付けられている。即ち、回動軸17に取付けられたねじりコイルばね23の一端部は、ドーリー本体8の収容孔8bに突設された止めピン24に取付けられていると共に、その他端部は、フック体2の手前側の側面部のほぼ中央部に突設された止めピン25に取付けられている。フック体2は、ねじりコイルばね23の付勢力(弾性復元力)に抗して起立状態に配置され、連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aに係合される。このため、起立状態のフック体2には、常に、ねじりコイルばね23の付勢力が作用している。そして、ストライカSと衝突した連結用ワイヤ解除レバー21は、回動軸22の軸心を中心として回動し、フック体2の被係合部2bと連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aとの係合状態が解除される。フック体2は、自重と、ねじりコイルばね23の付勢力によって回動軸17の軸心を中心に回動し、ドーリー本体8の収容孔8bに収容される。このように、本実施形態のフック体2は、自重だけでなく、ねじりコイルばね23の付勢力によっても強制的に回動される。これにより、前記フック体2は確実に回動される。しかも、回動後のフック体2は、ねじりコイルばね23によって支持され、一定角度以上回動することが防止されている。このため、ねじりコイルばね23の付勢力を調整することにより、前記フック体2が床面FLから突出する量を最小にすることができる。
【0021】
次に、後側ドーリー装置Dbについて説明する。図9に示されるように、テスト車両Tの後方には、後側連結用ワイヤロープWbを介して後側ドーリー装置Dbが配置される。この後側ドーリー装置Dbのクランプ装置Cには、牽引用ワイヤロープWが解除可能にしてクランプされると共に、そのフック装置Fの部分には、後側連結用ワイヤロープWbが引っ掛けられている。この後側ドーリー装置Dbにおいて、連結用ワイヤ解除レバー21のトリガ部21bがストライカSに衝突することによって後側連結用ワイヤロープWbが解除されることは、前側ドーリー装置Daの場合と全く同様である。
【0022】
車両衝突試験装置Aの作用について説明する。図1に示されるように、ガイドレールGの始端部(テスト車両Tの走行開始位置)に設置されたテスト車両Tの前後に各ドーリー装置Da,Db が配置され、該テスト車両Tと各ドーリー装置Da,Db のフック装置Fが、対応する連結用ワイヤロープWa,Wb によって連結される。フック装置Fを構成するフック体2及び抜止体18は、いずれも連結用ワイヤ解除レバー21によって係合される。各ドーリー装置Da,Db は、それぞれのフック装置Fの部分に連結用ワイヤロープWa,Wb を引っ掛けた連結姿勢でもって、ガイドレールGの長手方向に沿って走行される。
【0023】
図10に示されるように、前側ドーリー装置Daが、ガイドレールGにおけるストライカSの部分を通過するとき、前側の連結用ワイヤ解除レバー21のトリガ部21bがストライカSに衝突する。すると、前側ドーリー装置Daのフック装置Fにおいては、フック体2及び抜止体18と連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aとの係合状態が解除され、前記フック体2及び前記抜止体18は相互に反対方向に回動される。ここで、フック体2は、自重だけでなく、ねじりコイルばね23の付勢力によっても強制的に回動される。これにより、フック体2及び抜止体18は、いずれも床面FLよりも下方に退避配置され、前記フック体2の引掛部2aは完全に開放される。この結果、前側連結用ワイヤロープWaは確実に離脱される。そして、フック体2の殆どの部分と抜止体18の全体が、床面FLよりも下方に配置される。これにより、テスト車両Tの衝突時において、床面FLから部材が突出することはない。このため、テスト車両Tが前側ドーリー装置Daを追い抜く際に、そのタイヤ又はドーリー装置Daが損傷するおそれは少ない。
【0024】
図11に示されるように、全く同様にして、後側ドーリー装置Dbの連結用ワイヤ解除レバー21がストライカSに衝突して、回動軸22の軸心を中心に水平面内で回動される。これにより、後側ドーリー装置Dbにおいても、フック体2と抜止体18とは、いずれも退避配置される。特に、後側ドーリー装置Dbにおいては、連結用ワイヤ解除レバー21がストライカSに衝突した後、前記後側ドーリー装置Dbとテスト車両Tとが如何なる位置関係に配置されていようと、フック体2の引掛部2aは完全に開放され、後側連結用ワイヤロープWbは確実に離脱される。換言すれば、後側ドーリー装置Dbが、後側連結用ワイヤロープWbをフック体2に引っ掛けたまま走行するおそれは全くない。そして、フック体2の殆どの部分と抜止体18の全体が、床面FLよりも下方に配置されることは、前側ドーリー装置Daの場合と全く同様である。
【0025】
前後の各連結用ワイヤロープWa,Wb が離脱された各ドーリー装置Da,Db は、そのまま惰性走行する。そして、前側ドーリー装置Daがブレーキ装置3に衝突して停止し、続いて、後側ドーリー装置Dbが前側ドーリー装置Daに衝突して停止する。各ドーリー装置Da,Db を追い抜いたテスト車両Tは、そのまま所定速度で走行し、衝突壁1に衝突する。
【0026】
本実施形態のドーリー装置Da,Db におけるフック装置Fでは、連結用ワイヤ解除レバー21によってフック体2と抜止体18とが係合されている。換言すれば、前記連結用ワイヤ解除レバー21が、兼用状態で両者を係合している。これにより、従来のドーリー装置D’と比較して、フック体2と抜止体18を確実に係合することができると共に、フック装置Fを構成する部材の数を少なくできる。
【0027】
本実施形態のドーリー装置Da,Db では、フック体2を強制的に回動させるための付勢手段は、ねじりコイルばね23である。このため、その構成が極めて簡単になるという利点がある。しかし、これ以外の構成、例えば、ロータリーエアシリンダによってフック体2を回動させる形態であっても構わない。
【0028】
また、本実施形態のフック装置Fでは、フック体2と抜止体18が同一の回動軸17の軸心を中心に回動する形態である。このため、回動軸17が1本で済み、フック装置Fの構成が簡単になると共に、ドーリー本体8の全長が短くなり、ドーリー装置Da,Db をコンパクトにすることができる。しかし、フック体2と抜止体18が、それぞれ別の回動軸によって回動する形態であっても構わない。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る車両衝突試験装置用ドーリー装置は、テスト車両を連結する連結手段を引っ掛けるためのフック装置を備え、牽引手段により牽引されて前記テスト車両を牽引走行させるためのドーリー装置であって、前記フック装置は、牽引時には前記連結手段に連結され、連結手段との連結解除後には、ドーリー本体の下方に退避配置されるように、前記ドーリー本体に回動可能に支持されたフック体と、牽引時には前記フック体の一部と係合して連結手段との連結姿勢を維持し、テスト車両の衝突直前においてストライカとの衝突により回動して、前記係合を解除させる係合レバーとを備えていることを特徴としている。このため、フック体と連結手段との連結は、テスト車両の衝突直前において係合レバーがストライカと衝突して回動されることにより、確実に解除される。これにより、前記フック体はドーリー本体の下方に退避配置され、衝突時のテスト車両が、前記フック体と干渉するおそれがない。この結果、ドーリー装置が損傷しにくくなると共に、車両衝突試験の精度を低下させるおそれが少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両衝突試験装置Aの全体図である。
【図2】前側ドーリー装置Daの平面図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】同じく側面断面図である。
【図5】フック装置Fの斜視図である。
【図6】同じく正面図である。
【図7】同じく平面図である。
【図8】同じく側面図である。
【図9】後側ドーリー装置Dbの平面図である。
【図10】前側ドーリー装置Daのフック体2から前側連結用ワイヤロープWaが離脱する状態の作用説明図である。
【図11】後側ドーリー装置Dbのフック体2から後側連結用ワイヤロープWbが離脱する状態の作用説明図である。
【符号の説明】
Da:前側ドーリー装置
Db:後側ドーリー装置
F:フック装置
S:ストライカ
T:テスト車両
W:牽引用ワイヤロープ(牽引手段)
Wa:前側連結用ワイヤロープ(連結手段)
Wb:後側連結用ワイヤロープ(連結手段)
2:フック体
2a:引掛部
2b:被係合部(フック体の一部)
8:ドーリー本体
17:回動軸
18:抜止体
21:連結用ワイヤ解除レバー(係合レバー)
23:ねじりコイルばね(付勢手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、牽引走行されるテスト車両を衝突壁に衝突させてその損壊状況を試験する車両衝突試験装置用ドーリー装置(以降、単に「ドーリー装置」と記載する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術を説明するに当り、本発明の図面を援用する。図1に示されるように、車両衝突試験装置Aは、周回走行されるエンドレスの牽引ワイヤロープWに連結させたドーリー装置D’を駆動走行させることにより、連結用ワイヤロープWaを介してドーリー装置D’と連結させたテスト車両Tを牽引走行させ、所定速度で走行するテスト車両Tを衝突壁1に衝突させたり、或いは、テスト車両Tどうしを衝突させたりして、その損壊状況を調査するための装置である。
【0003】
図3に示されるように、従来のドーリー装置D’では、ドーリー本体の上面にフック装置Fが設けられていて、ドーリー装置D’とテスト車両Tとは、前記フック装置Fを構成するフック体2に連結用ワイヤロープWが引っ掛けられることによって連結されている。このフック体2の上部は、テスト車両Tの走行面(床面FL)から突出している。このため、衝突壁1に衝突した後のテスト車両Tのタイヤが、前記フック体2と干渉することがある。特に、オフセット衝突試験では、衝突後のテスト車両Tがスピンするため、前記フック体2と干渉し易くなる。この場合、ドーリー装置D’を損傷させると共に、オフセット衝突試験の精度を低下させてしまう。
【0004】
これを防止するため、フック体2と連結用ワイヤロープWa,Wb との連結が解除された後、前記フック体2を垂直面内で回動させるという技術が開示されている(例えば、特許文献1又は2参照)。しかし、これらに開示された技術では、フック体2を回動させるための手段がバー材であるため、たわみ等が生ずるおそれがあり、前記フック体2を確実に回動させることは困難である。これにより、車両衝突試験の精度が低下するおそれがある。特に、テスト車両Tの蛇行を防止するためにその後方に取付けられる後側ドーリー装置D’では、そのフック体2が後側の連結用ワイヤロープWbを引っ掛けたまま回動するおそれがある(特許文献1又は2の図10参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−21571号公報
【特許文献2】
特開2003−21574号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した不具合に鑑み、連結手段がドーリー装置から確実に離脱されると共に、離脱された後のフックがドーリー本体の下方に退避配置されるようにすることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、テスト車両を連結する連結手段を引っ掛けるためのフック装置を備え、牽引手段により牽引されて前記テスト車両を牽引走行させるためのドーリー装置であって、前記フック装置は、牽引時には前記連結手段に連結され、連結手段との連結解除後には、ドーリー本体の下方に退避配置されるように、前記ドーリー本体に回動可能に支持されたフック体と、牽引時には前記フック体の一部と係合して連結手段との連結姿勢を維持し、テスト車両の衝突直前においてストライカとの衝突により回動して、前記係合を解除させる係合レバーとを備えていることを特徴としている。
【0008】
フック装置を構成するフック体は、テスト車両の牽引時には連結手段に連結される。また、このフック体と連結手段との連結姿勢は、前記フック体が、フック装置を構成する係合レバーと係合することによって維持される。前記フック体と前記連結手段との連結は、テスト車両の衝突直前において前記係合レバーがストライカと衝突して回動されることにより、確実に解除される。これにより、前記フック体は、ドーリー本体の下方に退避配置され、衝突時のテスト車両とフック体とが干渉するおそれがない。この結果、ドーリー装置が損傷しにくくなると共に、車両衝突試験の精度を低下させるおそれが少なくなる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明を前提として、前記フック装置は、牽引時にフック体と連結手段との連結が解除されるのを防止すべく、フック体の引掛部と対向して回動可能にドーリー本体に支持された抜止体を備え、テスト車両の牽引時には前記抜止体の一部と係合して、その抜止め姿勢を維持すると共に、フック体と連結手段との連結解除後に、前記係合を解除する係合レバーは、フック体の係合レバーを兼用していることを特徴としている。これにより、前記係合レバーによって、前記フック体だけでなく、抜止体の抜止め姿勢も維持される。このため、フック装置を構成する部材の数が少なくなり、その構成をより簡単なものにすることができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明を前提として、前記フック装置を構成するフック体と抜止体との回動軸は、同一軸であることを特徴としている。このため、回動軸が1本で済み、フック装置の構成が更に簡単になると共に、ドーリー装置の大きさをコンパクトにすることができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明を前提として、前記フック装置は、回動方向に付勢するための付勢手段を備えていることを特徴としている。このため、何らかの原因で連結手段がフック体に引っ掛かっても、該フック体は、付勢手段によって確実に回動されて退避配置される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。図1は車両衝突試験装置Aの全体図、図2は前側ドーリー装置Daの平面図、図3は同じく正面図、図4は同じく側面断面図、図5はフック装置Fの斜視図、図6は同じく正面図、図7は同じく平面図、図8は同じく側面図、図9は後側ドーリー装置Dbの平面図である。最初に、車両衝突試験装置Aの全体構成について説明する。図1に示されるように、車両衝突試験装置Aでは、テスト車両Tを牽引走行させるために駆動走行される前後の各ドーリー装置Da,Db 、及び各ドーリー装置Da,Db を停止させるためのブレーキ装置3は、ガイドレール設置溝部4に設置されたガイドレールGに装着されている。
【0013】
最初に、ガイドレールGについて説明する。図4に示されるように、このガイドレールGは、一対のガイドレール単体5から構成されていて、それらは、床面FLに形成された断面略U字状のガイドレール設置溝部4の全長に亘って、所定の間隔をおいて相対向する形態で設置されている。各ガイドレール単体5は溝型鋼から成り、両者の内側部分には、前後の各ドーリー装置Da,Db を構成するクランプ装置C(後述)に解除可能にして連結される牽引用ワイヤロープWが配置されている。この牽引用ワイヤロープWは、ウインチ装置(図示せず)によって周回走行される。また、一対のガイドレール単体5の間には、前後の各ドーリー装置Da,Db が装着される。なお、図1において、6は、衝突壁1の直前部に設けられたピットであり、7は、前記ピット6に設置された撮影機材である。
【0014】
次に、前後の各ドーリー装置Da,Db について説明する。各ドーリー装置Da,Db の構成は全く同一であるため、ここでは前側ドーリー装置Daについてのみ説明する。図2及び図3に示されるように、前側ドーリー装置Daを構成するドーリー本体8の上面には、回転自在に装着された4個のガイドローラ9が同一高さに取付けられている。前側ドーリー装置Daは、これらのガイドローラ9が、ガイドレールGを構成する一対のガイドレール単体5の上側のフランジ部であるレール部5aどうしの間に嵌まり込むことによって支持される。そして、一対のガイドレールGにガイドされ、その長手方向に沿って走行される。前記ドーリー本体8の下部には、牽引用ワイヤロープWを解除可能に連結するためのクランプ装置Cが配設されている。同じく上部には、前側連結用ワイヤロープWaを解除可能に連結するためのフック装置Fが配設されている。
【0015】
次に、クランプ装置Cについて簡単に説明する。図4に示されるように、このクランプ装置Cは、高さ調整ボルト11を回転させることにより、ドーリー本体8の傾斜内壁面8aに沿って上下動してその取付位置が微調整される第1クランプ部材12と、該第1クランプ部材12に相対向して配設され、牽引用ワイヤロープWをクランプして保持するための第2クランプ部材13とから構成されている。前記第2クランプ部材13は、支点ピン14により、垂直面内で回動可能に支承されている。また、前記第2クランプ部材13の側方には、高さ方向に沿って牽引用ワイヤ解除レバー15が設けられている。この牽引用ワイヤ解除レバー15は、軸受16により、ドーリー本体8に対して水平面内で回動可能に支承されていて、その下部には、前記第2クランプ部材13の背面部と相対向するカム部15aと、該カム部15aと反対方向に張り出すトリガ部15bが延設されている。このクランプ装置Cは、牽引用ワイヤ解除レバー15のトリガ部15bが、ガイドレールGの所定位置に取付けられたストライカSに衝突して回動されることによって、牽引用ワイヤロープWのクランプが解除される構成である。
【0016】
次に、フック装置Fについて説明する。本実施形態のフック装置Fは、図5ないし図8に示されるように、前側連結用ワイヤロープWaを引っ掛けて、回動軸17の軸心を中心として垂直面内で回動可能に取付けられたフック体2と、前記フック体2に引っ掛けられた前側連結用ワイヤロープWaが抜け出ることを防止するための抜止体18と、前記抜止体18が、前側連結用ワイヤロープWaを引っ掛けたフック体2の開口面を閉塞している状態を保持するための連結用ワイヤ解除レバー21とから構成されている。即ち、ドーリー本体8の幅方向のほぼ中央部には、フック体2と抜止体18とを収容するための収容孔8bが設けられている。この収容孔8bの部分には、ドーリー本体8の長手方向(ドーリー装置Daの走行方向)と直交する方向に沿って回動軸17が固着されていて、前記フック体2は、前記回動軸17に回動自在に支持されている。このフック体2の上部には、前側連結用ワイヤロープWaを引っ掛けるための略半円状の引掛部2aが設けられている。また、フック体2の下部は、前記引掛部2aの開口面よりも前方に突出していて、連結用ワイヤ解除レバー21(後述)に係合される一対の被係合部2bが形成されている。一対の被係合部2bの部分は二股状になっていて、それらの内側部分には、抜止体18の基端部18aを入り込ませるための抜止体収容部2cが形成されている。フック体2が起立状態に配置されたとき、該フック体2の被係合部2bの上面は、ドーリー本体8の上面とほぼ同一高さに配置される。
【0017】
また、前記抜止体18は、前記フック体2の抜止体収容部2cに入り込み、しかも、前記回動軸17に同軸にして取付けられる基端部18aと、該基端部18aの上部に延設される扇状の閉塞部18bとから構成されている。この抜止体18が起立状態に配置されたとき、その閉塞部18bがフック体2の引掛部2aの開口面を閉塞する。このとき、前記閉塞部18bの下面は、ドーリー本体8の上面から所定の高さだけ離れた水平面内に配置されている。このため、フック体2の被係合部2bと抜止体18の閉塞部18bとの間には、所定高さの空間部(係合空間部V)が形成されている。この係合空間部Vに連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aが入り込むことにより、前記抜止体18は起立状態に保持される。抜止体18の閉塞部18bと連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aとの係合状態が解除されると、抜止体18は自重によって回動軸17の軸心を中心に前方に回動し、ドーリー本体8の下方に設けられたストッパピン19に当たって保持される。その状態を図6において、二点鎖線で示す。これにより、抜止体18が、ドーリー本体8の収容孔8bに収容される。上記したように、連結用ワイヤ解除レバー21は、テスト車両Tの牽引時に、フック体2と係合してその連結姿勢(起立して連結用ワイヤロープWaを引っ掛けた姿勢)を維持させると共に、抜止体18とも係合してその抜止め姿勢(起立して前記フック体2の引掛部2aを閉塞した姿勢)を維持させるという機能を有している。換言すれば、この連結用ワイヤ解除レバー21は、フック体2に係合されていると共に、抜止体18にも係合されている。
【0018】
図5ないし図8に示されるように、前記連結用ワイヤ解除レバー21は、ドーリー本体8の所定位置に高さ方向に沿って設けられた回動軸22の軸心を中心に水平面内で回動自在に取付けられていて、前記ドーリー本体8の上側に配置される係合部21aと、ドーリー本体8の下側に配置され、前記係合部21aと反対方向(即ち、一方側のガイドレール単体5の内側面5b)に突出されるトリガ部21bとから構成されている。前述したように、この連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aは、ドーリー本体8と起立状態の抜止体18とで形成された係合空間部Vに入り込んでいる。この状態で、フック体2の被係合部2bは、前記連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aに係合される。このため、ドーリー装置Daがテスト車両Tを牽引して走行しているとき、前記フック体2は前側連結用ワイヤロープWaに引っ張られて、回動軸17の軸心を中心に後方(時計回りの方向)に回動しようとするが、連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aに係合されていて、回動不能である。同様に、抜止体18の閉塞部18bも連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aに係合されると共に、フック体2の開口面に近接して配置されている。このため、抜止体18も、前後のいずれの方向に対しても回動不能である。これにより、連結用ワイヤロープWaは、フック体2の引掛部2aに引っ掛けられ、しかも、抜止体18によって抜止めが図られた抜止姿勢で保持される。
【0019】
図7に示されるように、ドーリー装置Daが走行して、ガイドレールGの所定位置(ストライカSが取付けられている位置)に達すると、連結用ワイヤ解除レバー21のトリガ部21bがストライカSと衝突する。このため、連結用ワイヤ解除レバー21全体が、回動軸22の軸心を中心として所定方向(平面視において、時計回りの方向)に回動される。それに伴い、連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aも同方向に回動される。すると、フック体2の被係合部2bと連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aとの係合状態が解除され、前記フック体2は、自重により回動軸17の軸心を中心として後方に回動し、ドーリー本体8の収容孔8bに収容される。同様に、抜止体18の閉塞部18bと連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aとの係合状態も解除され、前記抜止体18も、自重により回動軸17の軸心を中心として前方に回動し、ドーリー本体8の収容孔8bに収容される。
【0020】
図6ないし図8に示されるように、本実施形態のフック装置Fでは、フック体2を確実に回動させるために、付勢手段(ねじりコイルばね23)が取付けられている。即ち、回動軸17に取付けられたねじりコイルばね23の一端部は、ドーリー本体8の収容孔8bに突設された止めピン24に取付けられていると共に、その他端部は、フック体2の手前側の側面部のほぼ中央部に突設された止めピン25に取付けられている。フック体2は、ねじりコイルばね23の付勢力(弾性復元力)に抗して起立状態に配置され、連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aに係合される。このため、起立状態のフック体2には、常に、ねじりコイルばね23の付勢力が作用している。そして、ストライカSと衝突した連結用ワイヤ解除レバー21は、回動軸22の軸心を中心として回動し、フック体2の被係合部2bと連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aとの係合状態が解除される。フック体2は、自重と、ねじりコイルばね23の付勢力によって回動軸17の軸心を中心に回動し、ドーリー本体8の収容孔8bに収容される。このように、本実施形態のフック体2は、自重だけでなく、ねじりコイルばね23の付勢力によっても強制的に回動される。これにより、前記フック体2は確実に回動される。しかも、回動後のフック体2は、ねじりコイルばね23によって支持され、一定角度以上回動することが防止されている。このため、ねじりコイルばね23の付勢力を調整することにより、前記フック体2が床面FLから突出する量を最小にすることができる。
【0021】
次に、後側ドーリー装置Dbについて説明する。図9に示されるように、テスト車両Tの後方には、後側連結用ワイヤロープWbを介して後側ドーリー装置Dbが配置される。この後側ドーリー装置Dbのクランプ装置Cには、牽引用ワイヤロープWが解除可能にしてクランプされると共に、そのフック装置Fの部分には、後側連結用ワイヤロープWbが引っ掛けられている。この後側ドーリー装置Dbにおいて、連結用ワイヤ解除レバー21のトリガ部21bがストライカSに衝突することによって後側連結用ワイヤロープWbが解除されることは、前側ドーリー装置Daの場合と全く同様である。
【0022】
車両衝突試験装置Aの作用について説明する。図1に示されるように、ガイドレールGの始端部(テスト車両Tの走行開始位置)に設置されたテスト車両Tの前後に各ドーリー装置Da,Db が配置され、該テスト車両Tと各ドーリー装置Da,Db のフック装置Fが、対応する連結用ワイヤロープWa,Wb によって連結される。フック装置Fを構成するフック体2及び抜止体18は、いずれも連結用ワイヤ解除レバー21によって係合される。各ドーリー装置Da,Db は、それぞれのフック装置Fの部分に連結用ワイヤロープWa,Wb を引っ掛けた連結姿勢でもって、ガイドレールGの長手方向に沿って走行される。
【0023】
図10に示されるように、前側ドーリー装置Daが、ガイドレールGにおけるストライカSの部分を通過するとき、前側の連結用ワイヤ解除レバー21のトリガ部21bがストライカSに衝突する。すると、前側ドーリー装置Daのフック装置Fにおいては、フック体2及び抜止体18と連結用ワイヤ解除レバー21の係合部21aとの係合状態が解除され、前記フック体2及び前記抜止体18は相互に反対方向に回動される。ここで、フック体2は、自重だけでなく、ねじりコイルばね23の付勢力によっても強制的に回動される。これにより、フック体2及び抜止体18は、いずれも床面FLよりも下方に退避配置され、前記フック体2の引掛部2aは完全に開放される。この結果、前側連結用ワイヤロープWaは確実に離脱される。そして、フック体2の殆どの部分と抜止体18の全体が、床面FLよりも下方に配置される。これにより、テスト車両Tの衝突時において、床面FLから部材が突出することはない。このため、テスト車両Tが前側ドーリー装置Daを追い抜く際に、そのタイヤ又はドーリー装置Daが損傷するおそれは少ない。
【0024】
図11に示されるように、全く同様にして、後側ドーリー装置Dbの連結用ワイヤ解除レバー21がストライカSに衝突して、回動軸22の軸心を中心に水平面内で回動される。これにより、後側ドーリー装置Dbにおいても、フック体2と抜止体18とは、いずれも退避配置される。特に、後側ドーリー装置Dbにおいては、連結用ワイヤ解除レバー21がストライカSに衝突した後、前記後側ドーリー装置Dbとテスト車両Tとが如何なる位置関係に配置されていようと、フック体2の引掛部2aは完全に開放され、後側連結用ワイヤロープWbは確実に離脱される。換言すれば、後側ドーリー装置Dbが、後側連結用ワイヤロープWbをフック体2に引っ掛けたまま走行するおそれは全くない。そして、フック体2の殆どの部分と抜止体18の全体が、床面FLよりも下方に配置されることは、前側ドーリー装置Daの場合と全く同様である。
【0025】
前後の各連結用ワイヤロープWa,Wb が離脱された各ドーリー装置Da,Db は、そのまま惰性走行する。そして、前側ドーリー装置Daがブレーキ装置3に衝突して停止し、続いて、後側ドーリー装置Dbが前側ドーリー装置Daに衝突して停止する。各ドーリー装置Da,Db を追い抜いたテスト車両Tは、そのまま所定速度で走行し、衝突壁1に衝突する。
【0026】
本実施形態のドーリー装置Da,Db におけるフック装置Fでは、連結用ワイヤ解除レバー21によってフック体2と抜止体18とが係合されている。換言すれば、前記連結用ワイヤ解除レバー21が、兼用状態で両者を係合している。これにより、従来のドーリー装置D’と比較して、フック体2と抜止体18を確実に係合することができると共に、フック装置Fを構成する部材の数を少なくできる。
【0027】
本実施形態のドーリー装置Da,Db では、フック体2を強制的に回動させるための付勢手段は、ねじりコイルばね23である。このため、その構成が極めて簡単になるという利点がある。しかし、これ以外の構成、例えば、ロータリーエアシリンダによってフック体2を回動させる形態であっても構わない。
【0028】
また、本実施形態のフック装置Fでは、フック体2と抜止体18が同一の回動軸17の軸心を中心に回動する形態である。このため、回動軸17が1本で済み、フック装置Fの構成が簡単になると共に、ドーリー本体8の全長が短くなり、ドーリー装置Da,Db をコンパクトにすることができる。しかし、フック体2と抜止体18が、それぞれ別の回動軸によって回動する形態であっても構わない。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る車両衝突試験装置用ドーリー装置は、テスト車両を連結する連結手段を引っ掛けるためのフック装置を備え、牽引手段により牽引されて前記テスト車両を牽引走行させるためのドーリー装置であって、前記フック装置は、牽引時には前記連結手段に連結され、連結手段との連結解除後には、ドーリー本体の下方に退避配置されるように、前記ドーリー本体に回動可能に支持されたフック体と、牽引時には前記フック体の一部と係合して連結手段との連結姿勢を維持し、テスト車両の衝突直前においてストライカとの衝突により回動して、前記係合を解除させる係合レバーとを備えていることを特徴としている。このため、フック体と連結手段との連結は、テスト車両の衝突直前において係合レバーがストライカと衝突して回動されることにより、確実に解除される。これにより、前記フック体はドーリー本体の下方に退避配置され、衝突時のテスト車両が、前記フック体と干渉するおそれがない。この結果、ドーリー装置が損傷しにくくなると共に、車両衝突試験の精度を低下させるおそれが少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両衝突試験装置Aの全体図である。
【図2】前側ドーリー装置Daの平面図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】同じく側面断面図である。
【図5】フック装置Fの斜視図である。
【図6】同じく正面図である。
【図7】同じく平面図である。
【図8】同じく側面図である。
【図9】後側ドーリー装置Dbの平面図である。
【図10】前側ドーリー装置Daのフック体2から前側連結用ワイヤロープWaが離脱する状態の作用説明図である。
【図11】後側ドーリー装置Dbのフック体2から後側連結用ワイヤロープWbが離脱する状態の作用説明図である。
【符号の説明】
Da:前側ドーリー装置
Db:後側ドーリー装置
F:フック装置
S:ストライカ
T:テスト車両
W:牽引用ワイヤロープ(牽引手段)
Wa:前側連結用ワイヤロープ(連結手段)
Wb:後側連結用ワイヤロープ(連結手段)
2:フック体
2a:引掛部
2b:被係合部(フック体の一部)
8:ドーリー本体
17:回動軸
18:抜止体
21:連結用ワイヤ解除レバー(係合レバー)
23:ねじりコイルばね(付勢手段)
Claims (4)
- テスト車両を連結する連結手段を引っ掛けるためのフック装置を備え、牽引手段により牽引されて前記テスト車両を牽引走行させるためのドーリー装置であって、
前記フック装置は、
牽引時には前記連結手段に連結され、連結手段との連結解除後には、ドーリー本体の下方に退避配置されるように、前記ドーリー本体に回動可能に支持されたフック体と、
牽引時には前記フック体の一部と係合して連結手段との連結姿勢を維持し、テスト車両の衝突直前においてストライカとの衝突により回動して、前記係合を解除させる係合レバーと、を備えていることを特徴とする車両衝突試験装置用ドーリー装置。 - 前記フック装置は、牽引時にフック体と連結手段との連結が解除されるのを防止すべく、フック体の引掛部と対向して回動可能にドーリー本体に支持された抜止体を備え、
テスト車両の牽引時には前記抜止体の一部と係合して、その抜止め姿勢を維持すると共に、フック体と連結手段との連結解除後に、前記係合を解除する係合レバーは、フック体の係合レバーを兼用していることを特徴とする請求項1に記載の車両衝突試験装置用ドーリー装置。 - 前記フック装置を構成するフック体と抜止体との回動軸は、同一軸であることを特徴とする請求項2に記載の車両衝突試験装置用ドーリー装置。
- 前記フック装置は、回動方向に付勢するための付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両衝突試験装置用ドーリー装置。
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CN103115780A (zh) * | 2013-01-18 | 2013-05-22 | 浙江吉利汽车研究院有限公司杭州分公司 | 汽车碰撞试验牵引小车 |
CN104198147A (zh) * | 2014-09-09 | 2014-12-10 | 西安近代化学研究所 | 一种危险品跌落试验用的脱落装置 |
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2003
- 2003-08-20 JP JP2003207999A patent/JP2005061881A/ja active Pending
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