JP2005061593A - Vリブドベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】伸張ゴム層の背面がアイドラープーリに当接係合するときに発生する粘着磨耗等により異音発生を改善したリブドベルトを提供する。
【解決手段】ベルト長手方向に沿って心線2を埋設した接着ゴム層3と、接着ゴム層3の一方の側に隣接した伸張ゴム層5と、接着ゴム層3の他方の側に隣接したベルトの周方向に延びる複数のリブ部7をもつ圧縮ゴム層4からなるVリブドベルト1であり、上記伸張ゴム層5の背面にカバー帆布を積層せずに凹凸パターン8を設けた構成からなる。
【選択図】図1
【解決手段】ベルト長手方向に沿って心線2を埋設した接着ゴム層3と、接着ゴム層3の一方の側に隣接した伸張ゴム層5と、接着ゴム層3の他方の側に隣接したベルトの周方向に延びる複数のリブ部7をもつ圧縮ゴム層4からなるVリブドベルト1であり、上記伸張ゴム層5の背面にカバー帆布を積層せずに凹凸パターン8を設けた構成からなる。
【選択図】図1
Description
本発明はVリブドベルトに係り、詳しくは伸張ゴム層の背面がアイドラープーリに当接係合するときに発生する異音を改善したVリブドベルトに関する。
帆布などの繊維材料をベルト背面に設けた伝動ベルトとしてVリブドベルトがある。特許文献1には、ベルト長手方向に平行に延び並列状態に複数のリブを有する圧縮ゴム層と、その上部にコードからなる心線を埋設したクッション層と、そしてその上の背面にミシンジョイントした帆布を貼着した構成のVリブドベルトが開示されている。この帆布は本来ベルトの耐縦亀裂性を保持するために設けたものであり、経糸と緯糸を織り込んだ平織布にゴム引き処置を施したものである。
従来、Vリブドベルトの背面帆布として広く使用されている織布は、経糸と緯糸の交叉角90度の平織帆布を機械的に処理、即ちテンター処理して両糸をベルト長手方向に対して120度に交叉した広角度処理したものがある。この帆布の基本構成はベルトでの打ち込み本数を経糸と緯糸とも10本以上/10mmとなる帆布で、かつ単糸引張力は9N以上/本の綿繊維糸100%の紡績糸で平織物を強制的に広角度処理、即ちテンター処理することによってベルトでの打ち込み本数を経糸と緯糸とも14本以上/10mmとしている。
そして、これらの帆布はレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)に浸漬後、未加硫ゴムを帆布に擦り込むフリクションを行い、またRFL液に浸漬後にゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸けることによって、ゴム層との接着性を向上させている。
しかし、上記Vリブドベルトを駆動プーリと従動プーリに懸架し、ベルト背面をアイドラープーリに接触係合させたときに、周期的に異音が発生することが明らかになった。一般に、帆布のミシンジョイント領域が周期的に異音を発生する箇所になっていたが、このジョイント部を平坦面にしたために異音発生は解消されたが、これ以外の領域でも異音が周期的に発生することが確認された。この原因の一つには、ベルト背面に積層している帆布の表面状態に依存している。
即ち、バイアス帆布や筒状帆布を成形中、あるいは筒状帆布をベルト成形体に嵌入中に、帆布が機械的に変形して経糸と緯糸の交差角、経糸と緯糸によって形成される開口部の大きさが変化し、開口部の大きい部分と小さい部分の差が大きくなって、糸が局部的に集束する領域が発生した。この領域では、帆布表面の凹凸等の形態も他の領域と変わり、異音が発生する原因になっていた。
また、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)に浸漬後、未加硫ゴムを帆布に擦り込むフリクションを行った処理帆布をベルト背面に使用すると、ゴム粕が発生することがあった。ゴム粕はベルト背面にゴムの粘着物として堆積し、これが発音を引き起こす大きな問題にもなっていた。
一方、ベルト背面にカバー帆布を積層しないVリブドベルトも提案されているが、伸張ゴム層の背面がアイドラープーリに当接係合するときにベルト背面が粘着磨耗を起こし、これによりスリップ音等の異音が発生することがあった。
特開平4−151048号公報
本願発明では、上記の問題点を解消し、伸張ゴム層の背面がアイドラープーリに当接係合するときに発生する粘着磨耗等により異音発生を改善したリブドベルトを提供することを目的とする。
本願請求項1記載の発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、接着ゴム層の一方の側に隣接した伸張ゴム層と、接着ゴム層の他方の側に隣接したベルトの周方向に延びる複数のリブ部をもつ圧縮ゴム層からなるVリブドベルトにおいて、上記伸張ゴム層の背面にカバー帆布を積層せずに凹凸パターンを設けたVリブドベルトにある。
本願請求項2記載の発明は、凹凸パターンが織物のパターンであるVリブドベルトにある。
本発明のVリブドベルトでは、伸張ゴム層の背面に凹凸パターンを設けているために、
表面の粘着磨耗を低減して背面駆動時の異音発生を阻止し、またゴム背面に織物を積層しないために可撓性を高めてベルト寿命を高め、そして安価なベルトになる効果がある。
表面の粘着磨耗を低減して背面駆動時の異音発生を阻止し、またゴム背面に織物を積層しないために可撓性を高めてベルト寿命を高め、そして安価なベルトになる効果がある。
以下、本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1に本発明に係るVリブドベルト1を示す。Vリブドベルト1は、高強度で低伸度のコードよりなる心線2を接着ゴム層3中に埋設し、その下側に隣接して弾性体層である圧縮ゴム層4を有している。この圧縮ゴム層4にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ部7が設けられている。そして、接着ゴム層3の上に隣接して伸張ゴム層5が設けられ、その表面には均一な凹凸パターン8を有している。
図1に本発明に係るVリブドベルト1を示す。Vリブドベルト1は、高強度で低伸度のコードよりなる心線2を接着ゴム層3中に埋設し、その下側に隣接して弾性体層である圧縮ゴム層4を有している。この圧縮ゴム層4にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ部7が設けられている。そして、接着ゴム層3の上に隣接して伸張ゴム層5が設けられ、その表面には均一な凹凸パターン8を有している。
前記圧縮ゴム層4に使用される、ゴムとしてエチレン−α−オレフィンエラストマー、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、クロロスルフォン化ポリエチレン、クロロプレン、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、天然ゴム、CSM、ACSM、SBRが使用される。
そのうち、エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、エチレン−プロピレンゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)からなるゴムをいう。ジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどがあげられる。
上記圧縮ゴム層4には、エチレン−α−オレフィンエラストマーの加硫剤としてパーオキサイドを添加する。また、共架橋剤(co−agent)としTIAC、TAC、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、オキシム類、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−N’−m−フェニレンビスマレイミド、硫黄など通常パーオキサイド架橋に用いるものである。
この中でもN,N’−m−フェニレンジマレイミドが好ましく、これを添加することによって架橋度を上げて粘着摩耗等を防止することができる。N,N’−m−フェニレンジマレイミドの添加量はエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して0.2〜10重量部であり、0.2重量部未満の場合には、架橋密度が小さくなり耐摩耗性、耐粘着摩耗性の改善効果が小さく、一方10重量部を越えると加硫ゴムの伸びの低下が著しく、耐屈曲性に問題が生じる。
更に、上記圧縮ゴム層4には、硫黄をエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して0.01〜1重量部添加することにより、加硫ゴムの伸びの低下を制御することができる。1重量部を越えると、架橋度が期待できる程に向上しないため、加硫ゴムの未耐摩耗性、耐粘着摩耗性も向上しなくなる。
上記有機過酸化物としては、通常、ゴム、樹脂の架橋に使用されているジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2・5−ジメチル−2・5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,1・3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、1・1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等があり、熱分解による1分間の半減期が150〜250°Cのものが好ましい。
その添加量はエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して約1〜8重量部であり、好ましくは1.5〜4重量部である。
また、圧縮ゴム層4には、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、綿、アラミドからなる短繊維を混入して圧縮ゴム層4の耐側圧性を向上させるとともに、プーリと接する面になる圧縮ゴム層4の表面をグラインダーによって研磨加工して該短繊維を突出させる。圧縮ゴム層54の表面の摩擦係数は低下して、ベルト走行時の騒音を軽減する。これらの短繊維のうち、剛直で強度を有し、しかも耐磨耗性を有するアラミド短繊維が最も効果がある。
上記アラミド短繊維が前述の効果を充分に発揮するためには、アラミド繊維の繊維長さは1〜20mmで、その添加量はエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して1〜30重量部である。このアラミド繊維は分子構造中に芳香環をもつアラミド、例えば商品名コーネックス、ノーネックス、ケブラー、テクノーラ、トワロン等である。
また、圧縮ゴム層4には、マトリクスゴムであるエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、エチレン−α−オレフィンエラストマーと繊維径1.0μm以下、好ましくは0.05〜0.8μmの微小短繊維とをグラフト結合した微小短繊維強化ゴムを繊維分で1〜50重量部、好ましくは5〜25重量部含有してもよい。上記微小短繊維強化ゴムの配合量が1重量部未満では耐摩耗性が充分でなく、また50重量部を越えるとゴム組成物の伸びが低下し、耐熱性、耐屈曲性が低下する。
この微小短繊維強化ゴムは、これを構成しているエチレン−α−オレフィンエラストマーが圧縮ゴム層4のマトリクスゴムのエチレン−α−オレフィンエラストマーと全く同質かもしくは類似しているため、マトリクスゴムと良好に接合する。このため、微小短繊維強化ゴムとマトリクスゴムとの間、あるいは微小短繊維強化ゴム中でもエチレン−α−オレフィンエラストマーと微小短繊維とが化学結合しているため、圧縮ゴム層4では亀裂が入りにくく、たとえ亀裂が発生しても伝播しにくい。
更に、圧縮ゴム層4には、必要に応じてカーボンブラック、シリカなどの補強剤、クレー、炭酸カルシウムなどの充填剤、軟化剤、加工助剤、老化防止剤、TAICなどの共架橋剤などの各種薬剤を添加してもよい。
また、上記圧縮ゴム層4には、エチレン−α−オレフィンエラストマーとともにニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、クロロスルフォン化ポリエチレン、クロロプレン、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、天然ゴム、CSM、ACSM、SBRが使用される。
水素化ニトリルゴムは水素添加率80%以上で、耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮するために、好ましくは90%以上が良い。水素添加率80%未満の水素化ニトリルゴムは、耐熱性及び耐オゾン性は極度に低下する。耐油性及び耐寒性を考慮すると、結合アクリロニトリル量は20〜45%の範囲が好ましい。
クロロスルフォン化ポリエチレンは塩素含有量15〜35重量%、好ましくは25〜32重量%で、かつ硫黄含有量が0.5〜2.5重量%の範囲になるようにクロロスルフォン化した直鎖状低密度ポリエチレンである。
前記接着ゴム層3にも圧縮ゴム層4と同様のエチレン−α−オレフィンエラストマー組成物が使用される。しかし、心線であるポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等と良好に接着するために、パーオキサイドを含まない硫黄加硫によるエチレン−α−オレフィンエラストマー組成物や、クロロスルフォン化ポリエチレン組成物もしくは水素化ニトリルゴム組成物を使用することもできる。
心線2にはポリエチレンテレフタレート繊維、エチレン−2,6−ナフタレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維、ポリアミド繊維からなるロープが使用され、ゴムとの接着性を改善する目的で接着処理が施される。このような接着処理としては繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL液)に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成するのが一般的である。しかし、これに限ることなくエポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を行なった後に、RFL液で処理する方法等もある。
本発明で使用するエチレン−2,6−ナフタレートは、通常ナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を触媒の存在下に適当な条件のもとにエチレングリコールと縮重合させることによって合成させる。このとき、エチレン−2,6−ナフタレートの重合完結前に適当な1種または2種以上の第3成分を添加すれば、共重合体ポリエステルが合成される。
上記心線の接着処理は、まず(1)未処理コードをエポキシ化合物やイソシアネート化合物から選ばれた処理液を入れたタンクに含浸してプレディップした後、(2)160〜200°Cに温度設定した乾燥炉に30〜600秒間通して乾燥し、(3)続いてRFL液からなる接着液を入れたタンクに浸漬し、(4)210〜260°Cに温度設定した延伸熱固定処理機に30〜600秒間通して−1〜3%延伸して延伸処理コードとする。
RFL液はレゾルシンとホルマリンとの初期縮合体をラテックスに混合したものであり、ここで使用するラテックスとしてはクロロプレン、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリル、NBR等である。
しかして、上記Vリブドベルトの伸張ゴム層5の背面には、凹凸パターン8が設けられている。このパターン8を設ける方法としては、周面が平坦な金型に超音波溶着ジョイントした筒状織物を嵌入する。この筒状織物としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール等の有機繊維で構成される糸を用いて、平織、綾織、朱子織等に製織した布、また編布である。
筒状織物の上に伸張ゴム層5を形成するゴムシートを巻き付け、その上に心線をスピニングし、そして圧縮ゴム層4を形成するゴムシートを巻き付けて成形を終え、この外側にジャケットを被せて加硫する。得られた加硫スリーブを金型から抜き取り、そして筒状織物を強制的に剥ぎとることによって凹凸パターン8を付ける。
凹凸パターン8としては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターンなどを挙げることができるが、最も好ましくは織物パターンを用いることである。織物パターンが独特のパターンにより、摩擦係数の低下を防止し、背面駆動時の異音発生を阻止できる。
凹凸パターン8の深さであるが、平均深さで0.1〜0.6mmの範囲のパターンとすることが好ましい。この平均深さが0.1mm未満であるとパターンの凸部が小さくなって摩擦係数が低下せずに背面駆動時の異音発生が起こりやすくなり、逆に0.6mmを超えるような深さであると搬送物との摩擦によって、搬送面表面の凸部が削り取られたりちぎられたりすることによって、周囲にゴム粉を撒き散らしたり、場合によってはベルトの破損につながったりすることもあるので好ましくない。
このようにして得られた加硫スリーブを駆動ロールと従動ロールから取り外し、該加硫スリーブを他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定に幅に切断して個々のVリブドベルトに仕上げる。
本発明では、伸張ゴム層の背面がアイドラープーリに当接係合するときに発生する異音を改善した自動車用あるいは一般産業用の駆動装置に装着できるVリブドベルトに関する。
1 Vリブドベルト
2 心線
3 接着ゴム層
4 圧縮ゴム層
5 伸張ゴム層
7 リブ部
8 凹凸パターン
2 心線
3 接着ゴム層
4 圧縮ゴム層
5 伸張ゴム層
7 リブ部
8 凹凸パターン
Claims (2)
- ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、接着ゴム層の一方の側に隣接した伸張ゴム層と、接着ゴム層の他方の側に隣接したベルトの周方向に延びる複数のリブ部をもつ圧縮ゴム層からなるVリブドベルトにおいて、上記伸張ゴム層の背面にカバー帆布を積層せずに凹凸パターンを設けたことを特徴とするVリブドベルト。
- 凹凸パターンが織物のパターンである請求項1記載のVリブドベルト。
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2003
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