JP2005060220A - 微細な酸化錫粉末とその製造方法および用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高密度ITO焼結体の原料として最適な微細な酸化錫粉末とその製造方法およびそのITO焼結体を提供する。
【解決手段】 硫酸を電解液とし、メタ錫酸を生成させずに錫を電解することによって硫酸錫溶液を生成させ、この硫酸錫溶液を加水分解して錫化合物を沈澱させ、さらに酸化剤を加えて上記錫化合物を酸化してメタ錫酸にした後に濾別回収し、仮焼して酸化錫粉末を製造することを特徴とする方法であり、好ましくは、陰イオン交換膜を設けて錫の硫酸電解を行い、錫電解によって得た硫酸錫溶液にアルカリを添加してpH2〜6に調整することによって主に2価の水酸化錫を主体とする錫化合物を沈澱させ、これを仮焼して微細な酸化錫粉末を得る。この酸化錫粉末を用いることによって高密度のITO焼結体を得ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 硫酸を電解液とし、メタ錫酸を生成させずに錫を電解することによって硫酸錫溶液を生成させ、この硫酸錫溶液を加水分解して錫化合物を沈澱させ、さらに酸化剤を加えて上記錫化合物を酸化してメタ錫酸にした後に濾別回収し、仮焼して酸化錫粉末を製造することを特徴とする方法であり、好ましくは、陰イオン交換膜を設けて錫の硫酸電解を行い、錫電解によって得た硫酸錫溶液にアルカリを添加してpH2〜6に調整することによって主に2価の水酸化錫を主体とする錫化合物を沈澱させ、これを仮焼して微細な酸化錫粉末を得る。この酸化錫粉末を用いることによって高密度のITO焼結体を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高密度なITO焼結体の原料として好適な微細な酸化錫粉末とその製造方法およびそのITO焼結体に関する。スパッタリングによって良質なITO膜を形成するために、スパッタリングターゲット用として高密度なITO焼結体が要求されている。この高度ITO焼結体の原料として、従来のものよりも微細でかつ均一な粒径の酸化錫粉末が必要とされている。
高密度ITOターゲット用原料として用いられる微細な酸化錫粉末の製造方法として、従来は次のような方法が知られている。
(イ)金属錫を硝酸に溶解して水酸化錫を沈澱させ、この沈澱を濾別回収して乾燥し、仮焼して酸化スズ粉末を得る方法。
(ロ)錫を陽極とし、硝酸アンモニウム水溶液を電解液として錫の電解を行なうことによってメタ錫酸を沈澱させ、これを濾別回収して仮焼することにより酸化錫粉末を得る方法(特許文献1:特開平6−199523号〔特許第2829557号〕)。
(ハ)加熱した硝酸アンモニウム溶液に金属錫を加え、さらに硝酸を添加してメタ錫を沈澱させ、これを濾別回収し仮焼して酸化錫粉末を得る方法(特許文献2:特開平11−130432号)。
(イ)金属錫を硝酸に溶解して水酸化錫を沈澱させ、この沈澱を濾別回収して乾燥し、仮焼して酸化スズ粉末を得る方法。
(ロ)錫を陽極とし、硝酸アンモニウム水溶液を電解液として錫の電解を行なうことによってメタ錫酸を沈澱させ、これを濾別回収して仮焼することにより酸化錫粉末を得る方法(特許文献1:特開平6−199523号〔特許第2829557号〕)。
(ハ)加熱した硝酸アンモニウム溶液に金属錫を加え、さらに硝酸を添加してメタ錫を沈澱させ、これを濾別回収し仮焼して酸化錫粉末を得る方法(特許文献2:特開平11−130432号)。
上記(イ)の水酸化錫沈澱を仮焼して製造した酸化錫粉末は粒度が不揃いであると云う欠点がある。上記(ハ)の方法はこれを改善したものであり、硝酸アンモニウム溶液を用いてメタ錫酸を沈澱させ、これを仮焼することによって比較的粒度の均一な酸化錫粉末を得ている。しかし、上記(ハ)の方法によって得られる酸化錫粉末は主に二次粒子のピーク粒径が5〜8μm程度の粉末であり、1μm以下の微細な酸化錫粉末の割合は少ない。一方、上記(ロ)のように金属錫の電解によってメタ錫酸沈澱を直接に生成させる方法は、これを仮焼して得られる酸化錫粉末の粒径が不揃いであり、これを原料とした焼結体の密度を高めるのが難しいと云う問題がある。
特開平6−199523号公報
特開平11−130432号公報
本発明は微細な酸化錫粉末の製造方法について、従来の上記問題を解決したものであり、粒径が均一であって粒径1μm以下の割合が多い酸化錫粉末とその製造方法、およびその高密度ITO粉末を提供することを目的とする。
本発明によれば以下の酸化錫粉末とその製造方法および高密度ITO粉末が提供される。
(1)硫酸を電解液とし、メタ錫酸を生成させずに錫を電解することによって硫酸錫溶液を生成させ、この硫酸錫溶液を加水分解して錫化合物を沈澱させ、さらに酸化剤を加えて上記錫化合物を酸化してメタ錫酸にした後に濾別回収し、仮焼して酸化錫粉末を製造することを特徴とする方法。
(2)金属錫を陽極とし、陰イオン交換膜を設けて錫の硫酸電解を行うことによって硫酸錫溶液を生成させる電解工程、錫電解によって得た硫酸錫溶液にアルカリを添加してpH2〜6に調整することによって主に2価の水酸化錫を主体とする錫化合物を沈澱させる沈澱化工程を有する上記(1)に記載する酸化錫粉末の製造方法。
(3)金属錫の硫酸電解によって得た硫酸錫溶液にアルカリを添加して主に2価の水酸化錫を主体とする錫化合物を沈澱させた後に、さらに酸化剤を加えて水素電極基準で200mV以上の電位まで酸化することによって上記水酸化錫をメタ錫酸に酸化する工程を有する上記(1)に記載する酸化錫粉末の製造方法。
(4)上記(1)の方法により製造された酸化錫粉末であって、二次粒子のピーク粒径および平均粒径が1μm以下の微粉末であることを特徴とする酸化錫粉末。
(5)上記(4)に記載する酸化錫粉末と、酸化インジウム粉末とを目的の量比に混合し、焼成してなる高密度ITO焼結体。
(1)硫酸を電解液とし、メタ錫酸を生成させずに錫を電解することによって硫酸錫溶液を生成させ、この硫酸錫溶液を加水分解して錫化合物を沈澱させ、さらに酸化剤を加えて上記錫化合物を酸化してメタ錫酸にした後に濾別回収し、仮焼して酸化錫粉末を製造することを特徴とする方法。
(2)金属錫を陽極とし、陰イオン交換膜を設けて錫の硫酸電解を行うことによって硫酸錫溶液を生成させる電解工程、錫電解によって得た硫酸錫溶液にアルカリを添加してpH2〜6に調整することによって主に2価の水酸化錫を主体とする錫化合物を沈澱させる沈澱化工程を有する上記(1)に記載する酸化錫粉末の製造方法。
(3)金属錫の硫酸電解によって得た硫酸錫溶液にアルカリを添加して主に2価の水酸化錫を主体とする錫化合物を沈澱させた後に、さらに酸化剤を加えて水素電極基準で200mV以上の電位まで酸化することによって上記水酸化錫をメタ錫酸に酸化する工程を有する上記(1)に記載する酸化錫粉末の製造方法。
(4)上記(1)の方法により製造された酸化錫粉末であって、二次粒子のピーク粒径および平均粒径が1μm以下の微粉末であることを特徴とする酸化錫粉末。
(5)上記(4)に記載する酸化錫粉末と、酸化インジウム粉末とを目的の量比に混合し、焼成してなる高密度ITO焼結体。
〔具体的な説明〕
本発明に係る製造方法は、金属錫の電解によって直接にメタ錫酸沈澱を生成させるのではなく、硫酸を電解液とし、陰イオン交換膜を設けて電解を行うことによって硫酸錫溶液を生成させ、この硫酸錫溶液から2価の水酸化錫を主体にする錫化合物を沈澱させ、この沈澱を酸化してメタ錫酸にする二段階の処理工程によって得たメタ錫酸沈澱を濾別回収し、仮焼して酸化錫粉末にする方法であるために、粒径1μm以下の割合が多く、かつ粒径の均一な酸化錫粉末を得ることができる。
本発明に係る製造方法は、金属錫の電解によって直接にメタ錫酸沈澱を生成させるのではなく、硫酸を電解液とし、陰イオン交換膜を設けて電解を行うことによって硫酸錫溶液を生成させ、この硫酸錫溶液から2価の水酸化錫を主体にする錫化合物を沈澱させ、この沈澱を酸化してメタ錫酸にする二段階の処理工程によって得たメタ錫酸沈澱を濾別回収し、仮焼して酸化錫粉末にする方法であるために、粒径1μm以下の割合が多く、かつ粒径の均一な酸化錫粉末を得ることができる。
以下、本発明を図面に示す製造工程に従って具体的に説明する。
本発明の製造方法の概略を図1に示す。図示するように本発明の方法は、硫酸を電解液とし、メタ錫酸を生成させずに錫を電解することによって硫酸錫溶液を生成させ、この硫酸錫溶液を加水分解して錫化合物を沈澱させ、さらに酸化剤を加えて上記錫化合物を酸化してメタ錫酸にした後に濾別回収し、仮焼して酸化錫粉末を製造することを特徴とする方法である。
本発明の製造方法の概略を図1に示す。図示するように本発明の方法は、硫酸を電解液とし、メタ錫酸を生成させずに錫を電解することによって硫酸錫溶液を生成させ、この硫酸錫溶液を加水分解して錫化合物を沈澱させ、さらに酸化剤を加えて上記錫化合物を酸化してメタ錫酸にした後に濾別回収し、仮焼して酸化錫粉末を製造することを特徴とする方法である。
錫の電解工程は、硫酸を電解液として用い、金属錫を陽極とし、陰イオン交換膜を設けて電解を行うのが好ましい。このような金属錫の電解によってメタ錫酸を生成させずに硫酸錫溶液を得ることができる。電解液として硝酸系溶液を用いると錫電解によってメタ錫酸が直接に沈澱する。このような錫電解によってメタ錫酸を直接に沈澱させたものは、これを仮焼して得た酸化錫粉末は粒径が不揃いになり、また粒径が粗く、均一な粒径の微細な酸化錫粉末を得るのが難しい。
上記錫電解工程によって得た硫酸錫溶液にアルカリを添加して加水分解させることにより2価の水酸化錫を主体とする錫化合物を沈澱させる。アルカリの添加量は硫酸錫溶液のpHが2〜6になる範囲が好ましい。またアルカリは錫以外の金属が混入しないようにアンモニア水などが好ましい。この加水分解によって2価の水酸化錫〔Sn(OH)2〕を主体とする錫化合物が沈澱する。
上記沈澱化工程によって得た錫化合物沈澱を含む溶液に、さらに酸化剤を加えて錫化合物を酸化し、メタ錫酸にする。酸化剤は錫以外の金属が混入しないように過酸化水素などが好ましい。酸化の程度は水素電極基準で200mV以上の電位が適当である。錫化合物沈澱を含む溶液中に電位計を挿入し、上記電位以上になるように過酸化水素水などを添加すれば良い。この酸化工程によって2価の水酸化錫が酸化されて4価のメタ錫酸になる。
上記沈澱化工程および酸化工程を通じてメタ錫酸沈澱溶液の液温は50℃程度であり、これをそのまま、若しくは室温まで自然冷却した後に濾過し、さらに水洗浄して澱物を回収する。この澱物を乾燥した後に仮焼することによって微細な酸化錫粉末を得る。仮焼温度は600℃〜1000℃程度で良い。
上記製造方法によって、二次粒子のピーク粒径および平均粒径が1μm以下の微細な酸化錫粉末を得ることができる。さらに好ましくは、一次粒子径30nm以下の微細な酸化錫粉末を得ることができる。なお、上記粒径の範囲内において酸化錫粉末の比表面積は焼成温度によってコントロールすることができる。
上記二次粒子のピーク粒径および平均粒径が1μm以下の微細酸化錫粉末、好ましくは、一次粒子径30nm以下の微細酸化錫粉末を用い、これを別に調製した平均粒径0.6μmの酸化インジウム粉末と目的の量比に混合し、焼成することによって高密度のITO焼結体を得ることができる。具体的には、例えば、従来の酸化錫粉末を用いたITO焼結体の密度は99.0〜99.5%(相対密度)程度であるが、これと同じ酸化インジウム粉末を代えずに、本発明の微細酸化錫粉末を用いたITO焼結体の密度は99.7〜99.9%(相対密度)であり、高密度のITO焼結体を得ることができる。
本発明の製造方法は、金属錫の電解によって直接にメタ錫酸沈澱を生成させるのではなく、硫酸を電解液とし、陰イオン交換膜を設けて電解を行うことによって硫酸錫溶液を生成させ、この硫酸錫溶液から2価の水酸化錫を主体とする錫化合物を沈澱させ、これを酸化して4価のメタ錫酸にすると云う二段階処理を経たメタ錫酸を仮焼して酸化錫粉末を製造するので、粒径1μm以下の割合が多く、かつ粒径の均一な酸化錫粉末を得ることができる。
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。
〔実施例1〕
濃度1.8mol/lの硫酸溶液(70L)を電解液とし、金属錫10kgを陽極とし、SUS板を陰極として用いた。さらに陰イオン交換膜で仕切りを設けた陰極ボックスを作り、その中に陰極のSUS板を設置した。このように錫が陰極に析出しないようにして、電流密度80A/m2にて電解を行った。この結果、錫濃度50g/lの硫酸錫溶液を得た。次いで、この硫酸錫溶液200mlに濃度95g/lのアンモニア水150mlを添加してpH4.0に調整したところ錫化合物の沈殿を得た。更に、この溶液に濃度35%の過酸化水素水10mlを添加したところ、電位は水素電極基準で630mVまで上がった。この溶液を室温まで自然冷却して濾過し、水濾過洗浄を2回(約200ccずつ)行ない、残渣を回収し、100℃で乾燥した後に軽く粉砕した後に850℃で4時間焼成して酸化錫粉末を得た。この酸化錫粉末の粒度分布を図2に示した。
〔実施例1〕
濃度1.8mol/lの硫酸溶液(70L)を電解液とし、金属錫10kgを陽極とし、SUS板を陰極として用いた。さらに陰イオン交換膜で仕切りを設けた陰極ボックスを作り、その中に陰極のSUS板を設置した。このように錫が陰極に析出しないようにして、電流密度80A/m2にて電解を行った。この結果、錫濃度50g/lの硫酸錫溶液を得た。次いで、この硫酸錫溶液200mlに濃度95g/lのアンモニア水150mlを添加してpH4.0に調整したところ錫化合物の沈殿を得た。更に、この溶液に濃度35%の過酸化水素水10mlを添加したところ、電位は水素電極基準で630mVまで上がった。この溶液を室温まで自然冷却して濾過し、水濾過洗浄を2回(約200ccずつ)行ない、残渣を回収し、100℃で乾燥した後に軽く粉砕した後に850℃で4時間焼成して酸化錫粉末を得た。この酸化錫粉末の粒度分布を図2に示した。
〔実施例2〕
加水分解する際にアンモニア水140mlを添加してpH3.3に調整する以外は実施例1と同一条件で酸化錫粉末を得た。この二次粒子のピーク粒径は約0.6μmであり、平均粒径は約0.7μmであった。
加水分解する際にアンモニア水140mlを添加してpH3.3に調整する以外は実施例1と同一条件で酸化錫粉末を得た。この二次粒子のピーク粒径は約0.6μmであり、平均粒径は約0.7μmであった。
〔実施例3〕
酸化工程で、電位を水素電極基準で400mVにした以外は実施例1と同一条件で酸化錫粉末を得た。この二次粒子のピーク粒径は約0.8μmであり、平均粒径は約0.9μmであった。
酸化工程で、電位を水素電極基準で400mVにした以外は実施例1と同一条件で酸化錫粉末を得た。この二次粒子のピーク粒径は約0.8μmであり、平均粒径は約0.9μmであった。
〔比較例1〕
幅2mm×長さ10mm×厚さ0.5mm程度のひも状の錫メタル10gを用い、これを60%濃度の硝酸100mlに投入し、常温で15hr反応させ、水酸化錫の析出を得た。この溶液を自然冷却した後に濾過し、水濾過洗浄を2回(約100ccずつ)行なった後に残渣を回収し、これを100℃で乾燥した後に軽く粉砕し、約850℃で4時間焼成して酸化錫粉末を得た(従来の製造方法(イ))。この酸化錫粉末の粒度分布を図3(イ)に示した。
幅2mm×長さ10mm×厚さ0.5mm程度のひも状の錫メタル10gを用い、これを60%濃度の硝酸100mlに投入し、常温で15hr反応させ、水酸化錫の析出を得た。この溶液を自然冷却した後に濾過し、水濾過洗浄を2回(約100ccずつ)行なった後に残渣を回収し、これを100℃で乾燥した後に軽く粉砕し、約850℃で4時間焼成して酸化錫粉末を得た(従来の製造方法(イ))。この酸化錫粉末の粒度分布を図3(イ)に示した。
〔比較例2〕
濃度160g/lの硝酸アンモニウム溶液中(4L)において、金属錫700gを陽極とし、SUS板を陰極として電解液温度55℃、電流密度600A/m2にて電解を行ない、メタ錫酸の析出を得た。この沈澱を含む溶液を室温まで自然冷却して水濾過洗浄を2回(約4Lずつ)行なった後に残渣を回収し、これを100℃で乾燥した後に軽く粉砕した後に850℃で4時間焼成して酸化錫粉末を得た(従来の製造方法(ロ))。この酸化錫粉末の粒度分布を図3(ロ)に示した。
濃度160g/lの硝酸アンモニウム溶液中(4L)において、金属錫700gを陽極とし、SUS板を陰極として電解液温度55℃、電流密度600A/m2にて電解を行ない、メタ錫酸の析出を得た。この沈澱を含む溶液を室温まで自然冷却して水濾過洗浄を2回(約4Lずつ)行なった後に残渣を回収し、これを100℃で乾燥した後に軽く粉砕した後に850℃で4時間焼成して酸化錫粉末を得た(従来の製造方法(ロ))。この酸化錫粉末の粒度分布を図3(ロ)に示した。
〔試験例〕
硝酸アンモニウム溶液に代えて硫酸アンモニウム溶液(4L:濃度132g/l)を電解液として用い、金属錫700gを陽極とし、SUS板を陰極とし、電解液温度30℃、電流密度600A/m2にて電解を行なったところ、2価の錫化合物の析出を得た。因みに、先に示した従来の製造方法(ロ)では「錫電解の電解液は特に指定されるものではなく、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、その他の電解質等の何れを用いても良い」と説明されているが、本試験例に示すように、硫酸アンモニウム溶液中で金属錫を電解するとメタ錫酸は析出せず、2価の錫化合物が沈澱することが確認された。
硝酸アンモニウム溶液に代えて硫酸アンモニウム溶液(4L:濃度132g/l)を電解液として用い、金属錫700gを陽極とし、SUS板を陰極とし、電解液温度30℃、電流密度600A/m2にて電解を行なったところ、2価の錫化合物の析出を得た。因みに、先に示した従来の製造方法(ロ)では「錫電解の電解液は特に指定されるものではなく、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、その他の電解質等の何れを用いても良い」と説明されているが、本試験例に示すように、硫酸アンモニウム溶液中で金属錫を電解するとメタ錫酸は析出せず、2価の錫化合物が沈澱することが確認された。
〔比較例4〕
加水分解後に過酸化水素水を添加しないこと以外は実施例1と同一条件で酸化錫粉末を得た。この二次粒子のピーク粒径は約5μm、平均粒径は約5μmであり、この酸化錫粉末の粒度分布を図3(ハ)に示した。
加水分解後に過酸化水素水を添加しないこと以外は実施例1と同一条件で酸化錫粉末を得た。この二次粒子のピーク粒径は約5μm、平均粒径は約5μmであり、この酸化錫粉末の粒度分布を図3(ハ)に示した。
図2(実施例1)に示すように、本発明の製造方法によって得た酸化錫粉末は、二次粒子のピーク粒径および平均粒径が1μm以下である。一方、図3(イ)に示すように、従来の製造方法(イ)によって得た酸化錫粉末の二次粒子のピーク粒径は約15μmであって平均粒径は約13μmである。また、図3(ロ)に示すように、従来の製造方法(ロ)によって得た酸化錫粉末の二次粒子のピーク粒径は約20μmであって平均粒径は約15μmである。このように従来の方法によって製造した酸化物粉末は本発明の酸化錫粉末よりもかなり粗粒であり、しかも粒度分布が広く、従って粒径が不揃いである。また、図3(ハ)に示すように、加水分解後に酸化工程を経ずに仮焼して得た酸化錫粉末は本発明の酸化錫粉末よりも二次粒子のピーク粒径および平均粒径が大きい。
Claims (5)
- 硫酸を電解液とし、メタ錫酸を生成させずに錫を電解することによって硫酸錫溶液を生成させ、この硫酸錫溶液を加水分解して錫化合物を沈澱させ、さらに酸化剤を加えて上記錫化合物を酸化してメタ錫酸にした後に濾別回収し、仮焼して酸化錫粉末を製造することを特徴とする方法。
- 金属錫を陽極とし、陰イオン交換膜を設けて錫の硫酸電解を行うことによって硫酸錫溶液を生成させる電解工程、錫電解によって得た硫酸錫溶液にアルカリを添加してpH2〜6に調整することによって主に2価の水酸化錫を主体とする錫化合物を沈澱させる沈澱化工程を有する請求項1に記載する酸化錫粉末の製造方法。
- 金属錫の硫酸電解によって得た硫酸錫溶液にアルカリを添加して主に2価の水酸化錫を主体とする錫化合物を沈澱させた後に、さらに酸化剤を加えて水素電極基準で200mV以上の電位まで酸化することによって上記水酸化錫をメタ錫酸に酸化する工程を有する請求項1に記載する酸化錫粉末の製造方
法。
- 請求項1の方法により製造された酸化錫粉末であって、二次粒子のピーク粒径および平均粒径が1μm以下の微粉末であることを特徴とする酸化錫粉末。
- 請求項4に記載する酸化錫粉末と、酸化インジウム粉末とを目的の量比に混合し、焼成してなる高密度ITO焼結体。
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