JP2005060150A - 黒鉛質材料の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

黒鉛質材料の製造方法、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い放電容量および初期充放電効率が得られ、さらに優れた急速充放電特性およびサイクル特性が得られ、加えて、工業的に簡便かつ安価にリチウムイオン二次電池用負極材料を製造することが可能な黒鉛質材料の製造方法の提供、また、そのような黒鉛質材料からなる負極材料、および該特性を有するリチウムイオン二次電池の提供。
【解決手段】黒鉛質材料Aの前駆体と、繊維状黒鉛材料Bの前駆体に、機械的エネルギーを付与して、該黒鉛質材料Aの前駆体に該繊維状黒鉛材料Bの前駆体を付着させたのち、黒鉛化する黒鉛質材料の製造方法、該黒鉛質材料を用いてなるリチウムイオン二次電池用負極材料、該負極材料を用いたリチウムイオン二次電池。
【選択図】図4

Description

本発明は、黒鉛質材料の製造方法、およびリチウムイオン二次電池用負極材料、ならびに該負極材料を用いた、初期充放電効率と放電容量が高く、かつ急速充放電効率とサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化あるいは高性能化に伴い、電池の高エネルギー密度化に対する要望はますます高まっている。特に、リチウムイオン二次電池は、他の二次電池に比べて高電圧化が可能であり、エネルギー密度を高められるため注目されている。リチウムイオン二次電池は、負極、正極および非水電解質を主たる構成要素とする。非水電解質を介して、リチウムイオンは放電過程および充電過程で負極と正極との間を移動し、二次電池となる。通常、上記のリチウムイオン二次電池の負極材料には炭素材料が使用される。このような炭素材料として、特に、充放電特性に優れ、高い放電容量と電位平坦性とを示す黒鉛(特許文献1など)が有望視されている。
負極材料として使用される黒鉛(黒鉛質粒子)としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛粒子、さらにはタールやピッチを原料としたメソフェーズピッチやメソフェーズ小球体を熱処理して得られるバルクメソフェーズ黒鉛質粒子やメソフェーズ小球体黒鉛質粒子、粒子状や繊維状のメソフェーズピッチを酸化不融化した後に熱処理して得られるメソフェーズ黒鉛質粒子やメソフェーズ黒鉛質繊維、天然黒鉛や人造黒鉛をタールやピッチなどで被覆した後に熱処理して得られる複合黒鉛質粒子などが挙げられる。
さらに、急速充放電特性やサイクル特性の向上を目的として、上記黒鉛質粒子に導電助材を配合、複合することが検討されている。例えば、球状粒子よりなる黒鉛材料と炭素繊維とからなる複合炭素材(特許文献2)、メソフェーズ小球体黒鉛質粒子に気相成長炭素繊維を3〜30質量%混合したもの(特許文献3)、球状黒鉛または鱗片状黒鉛に繊維状黒鉛を含有させたもの(特許文献4)、炭素材料の表面に分散させた金属触媒により、気相成長炭素繊維または炭素ナノチューブを生成させ、その炭素材料をそのまま負極活物質として使用するもの(特許文献5)、黒鉛母粒子にアモルファスカーボンからなる粒状の子粒子3〜5重量%を一体化させたもの(特許文献6)が挙げられる。
前記従来のリチウムイオン二次電池用負極材料は、リチウムイオン二次電池の放電容量や初期充放電効率を大きく劣化させることなく、急速充放電特性やサイクル特性をそれなりに向上させることができるが、下記のような課題も有している。
特許文献3に記載された、黒鉛質粒子に気相成長炭素繊維を混合しただけの負極材料の場合、黒鉛化した気相成長炭素繊維自体の放電容量や初期充放電効率が、母体のメソフェーズ黒鉛よりも低いため、負極材料としての放電容量や初期充放電効率が低下する問題がある。また気相成長炭素繊維が母体のメソフェーズ黒鉛と接触する機会が少なく、導電性の向上に寄与しないものが多い。その結果、急速充放電特性やサイクル特性の改良効果が充分なレベルにあるとは言えない。さらに、気相成長炭素繊維は比較的高価であり、3〜20質量%という多量の混合を必要とすることから、コストアップの問題もある。加えて、負極を製造する場合、一般に、負極材料、溶媒、結合剤を混合して負極合剤ペーストを調製し、これを集電体に塗布する方法が採られるが、気相成長炭素繊維の混合量が多いため、負極合剤ペーストの粘度が不安定になるなどの問題もある。
特許文献5に記載された、炭素材料の表面に気相成長炭素繊維または炭素ナノチューブを生成させた負極材料の場合、黒鉛質材料に直接または非晶質炭素前駆体とともに、金属触媒をドーピングし、該触媒を起点にして炭素ナノチューブを形成することにより、黒鉛質材料間の導電性を改善している。しかし、形成された炭素ナノチューブは、黒鉛質材料の基材または表面の非晶質炭素膜の表面に存在する触媒金属から成長しているため、黒鉛質材料から脱離または破損しやすく、初期充放電効率やサイクル特性の向上効果が小さくなることがある。また、得られる負極材料中に触媒金属が残存するため、電池特性に悪影響を及ぼすことがある。さらに、製造工程が煩雑で、かつ収率が低く、工業的にはコストアップの問題がある。
特許文献6に記載された、黒鉛母粒子にアモルファスカーボンからなる粒状の子粒子3〜5質量%を一体化させた負極材料の場合、導電助材であるアモルファスカーボンが粒状であるため、黒鉛母粒子間の導電性の改善効果が乏しい。また、アモルファスカーボン自体の放電容量や初期充放電効率が母体の黒鉛より低いため、負極材料としての放電容量や初期充放電効率が低下する問題がある。さらに、黒鉛母粒子間にアモルファスカーボンをメカノケミカル処理によって一体化するが、比較的硬質な黒鉛母粒子にアモルファスカーボンを一体化させるには強力な機械的エネルギーの付与が必要であるため、黒鉛母粒子の一部が破壊することがあり、この場合、初期充放電効率が低下するという問題がある。
特公昭62−23433号公報 特開平4−237971号公報 特開平11−176442号公報 特開平9−213372号公報 特開2001−196064号公報 特開平11−265716号公報
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたものであり、高い放電容量および高い初期充放電効率が得られ、さらに優れた急速充放電特性および優れたサイクル特性が得られ、加えて、工業的観点からも簡便かつ安価にリチウムイオン二次電池用負極材料を製造することが可能な黒鉛質材料の製造方法を提供することを目的とする。また、そのような黒鉛質材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材料およびそのような負極材料を用いてなるリチウムイオン二次電池を提供することが目的である。
本発明は、黒鉛質材料Aの前駆体と繊維状黒鉛材料Bの前駆体に、機械的エネルギーを付与して、該黒鉛質材料Aの前駆体に該繊維状黒鉛材料Bの前駆体を付着させたのち、黒鉛化することを特徴とする黒鉛質材料の製造方法である。
本発明の黒鉛質材料の製造方法において、前記黒鉛質材料Aの前駆体は、該黒鉛質材料Aの前駆体の総量に対して、2.0質量%以上20質量%未満の揮発分を含有することが好ましい。
本発明の黒鉛質材料の製造方法において、前記黒鉛質材料Aの前駆体は、黒鉛Cを含有することが好ましい。
本発明の黒鉛質材料の製造方法において、前記黒鉛質材料Aの前駆体は、タールピッチ類の熱処理生成物であることが好ましい。
本発明の黒鉛質材料の製造方法において、前記繊維状黒鉛材料Bの前駆体は、短軸長が1〜500nmであり、かつアスペクト比が5〜1000であることが好ましい。
本発明は、前記のいずれかの製造方法によって得られる黒鉛質材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材料である。
本発明は、前記のリチウムイオン二次電池用負極材料を用いたリチウムイオン二次電池である。
本発明の黒鉛質材料からなる負極材料を用いて作製した負極を用いてなるリチウムイオン二次電池は、高い急速充放電効率を有し、初期充放電効率およびサイクル特性にも優れ、かつ放電容量にも優れるばかりでなく、負極材料自体の製造コストも低い。
そのため、本発明の負極材料を用いてなるリチウムイオン二次電池は、近年の電池の高エネルギー密度化に対する要望を満たし、搭載する機器の小型化および高性能化に有効である。
以下、本発明をより具体的に説明する。
(黒鉛質材料の製造方法)
本発明の黒鉛質材料の製造方法は、黒鉛質材料Aの前駆体と繊維状黒鉛材料Bの前駆体に、つまり、黒鉛質材料Aの前駆体を、繊維状黒鉛材料Bの前駆体の共存下に、機械的エネルギーを付与して、該黒鉛質材料Aの前駆体に該繊維状黒鉛材料Bを付着させたのち、黒鉛化処理し、黒鉛質材料Aの前駆体に繊維状黒鉛材料Bを付着させた付着物を黒鉛化する方法である。
機械的エネルギーの付与によって、繊維状黒鉛材料Bの前駆体が黒鉛質材料Aの前駆体の表面に押し付けられ、一部が埋没し、黒鉛質材料Aの前駆体に繊維状黒鉛材料Bの前駆体が付着した状態になる。また、この場合の機械的エネルギーの付与は、繊維状黒鉛材料Bの前駆体を解繊し、単繊維化する効果も有し、表面が起毛した黒鉛質材料を得ることができる。したがって、黒鉛質材料Aの前駆体に、繊維状黒鉛材料Bの前駆体を付着させるための付着剤が不要となり、該付着剤に由来する充放電特性の変化を排除することもできる。
すなわち、機械的エネルギーの付与によって、最終的に得られる黒鉛質材料の表面の結晶構造を適度に乱すことができ、これから作製したリチウムイオン二次電池は、優れた初期充放電効率を発現することができる。また、結晶構造の乱れが黒鉛質材料の最表層のみに発現するため、高い放電容量を維持することもできる。
(黒鉛質材料Aの前駆体の調製)
黒鉛質材料Aの前駆体としては、石油系、石炭系のタールピッチ類の熱処理生成物であることが好ましい。例えば、コールタール、タール軽油、タール中油、タール重油、ナフタリン油、アントラセン油、コールタールピッチ、ピッチ油、メソフェーズピッチ、酸素架橋石油ピッチ、ベビーオイルなどを最終的なメトラー法による軟化点が360〜600℃程度となるように熱処理した生成物である。この熱処理により、前記タールピッチ類は重縮合し、メソフェーズ焼成体、メソフェーズ小球体、コークス類(生コークス、グリーンコークス、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)などを生成させる。この黒鉛質材料Aの前駆体は、その総量に対して2.0質量%以上20質量%未満、特に3.0質量%以上10質量%未満の揮発分を含有することが好ましい。
揮発分量はJIS K2425−1983の固定炭素分定量方法に準拠して下記の方法に従い測定される。すなわち、試料(黒鉛質材料Aの前駆体)1gを坩堝に量り取り、蓋をしないで430℃で30分間加熱する。その後、二重坩堝とし、800℃で30分間加熱して揮発分を除き、試料の減量率を揮発分量とする。
揮発分量が20質量%以上の場合は、黒鉛質材料Aの前駆体の黒鉛化処理時に溶融性を示し、形状が変化したり、黒鉛質材料Aの前駆体同士の融着を起こすことがあり、好ましくない。一方、揮発分量が2.0質量%未満の場合は、機械的エネルギーの付与による、繊維状黒鉛材料Bの前駆体の付着が不十分となり、該繊維状黒鉛材料Bの脱落や破壊を生じることがあり、また、最終的に得られる黒鉛質材料の表面の結晶構造の乱れが不十分となり、初期充放電効率の向上が不十分となることがある。
また、黒鉛質材料Aの前駆体は、キノリン不溶分(QI)が50質量%以上99.5質量%未満、特に85.0質量%以上98.0質量%未満であることが好ましい。QIはJIS K2425−1983に準拠して下記の方法に従い測定される。すなわち、黒鉛質材料Aの前駆体をキノリンに溶解させ、75℃で30分間加熱した後、濾過器を用いて熱いうちに吸引濾過する。残分をキノリン、アセトンの順に、それぞれ濾液が無色になるまで洗浄した後、乾燥して質量を量り、QIを算出する。なお濾過助剤として珪藻土を用いる。濾過器はJIS R3503−1994に規定するるつぼ型ガラス濾過器1G4を用いる。
黒鉛質材料Aの前駆体の軟化点が360℃未満、またはQIが50質量%未満の場合には、黒鉛化処理時に溶融性を示し、形状が変化したり、黒鉛質材料Aの前駆体同士の融着を起こすこともあり好ましくない。
一方、黒鉛質材料Aの前駆体の軟化点が360℃以上であっても、QIが99.5質量%以上になるまで重縮合が過度に進行すると、機械的エネルギーの付与によって最終的に得られる黒鉛質材料の表面の結晶構造を乱すことが困難となり、初期充放電効率の向上が不充分となることがある。さらに黒鉛質材料Aの前駆体と繊維状黒鉛材料Bの前駆体との付着が不充分となることがあり、好ましくない。
本発明においては、黒鉛化処理時に、溶融変形または固体同士の融着などを生じないので、若干収縮はするものの黒鉛質材料Aの前駆体に繊維状黒鉛材料Bが付着した付着物の形状のままで黒鉛質材料が得られる。このため、該付着物を所望する黒鉛質材料の形状で黒鉛化処理に供すれば、黒鉛化後に粉砕や成形する必要がなく、工程が簡略化される。さらに、機械的エネルギーの付与により導入した最表層の結晶構造の乱れも、該付着物を黒鉛化処理した後において、そのまま保持できる。
前記黒鉛質材料Aの前駆体は、黒鉛Cを含有していることが、放電容量をより高める観点から好ましい。この場合、黒鉛C粒子を1個または複数個、黒鉛質材料Aの前駆体の各粒子中に含有していればよい。すなわち、黒鉛質材料Aの前駆体は天然黒鉛を内包する複合体とすることが好ましい。具体的には、天然黒鉛を予め球状に加工または造粒し、これに前記タールピッチ類を含浸または被覆した後に熱処理する方法、天然黒鉛とタールピッチ類を均一に混合した後に熱処理し粉砕する方法が例示される。これらの方法により、黒鉛Cを含有した黒鉛質材料Aの前駆体を得ることができる。
黒鉛Cを含有する場合にも、黒鉛Cを除いた黒鉛質材料Aの前駆体の総量の2.0質量%以上20質量%未満、特に3.0質量%以上10質量%未満の揮発分を含有することが好ましい。黒鉛Cは該黒鉛質材料Aの前駆体中で均一に分散していても、偏って分散していてもよいが、表面の少なくとも一部に存在していることが好ましい。
黒鉛Cは黒鉛質材料Aの前駆体より小さいことが好ましく、その平均粒子径は1〜30μm、好ましくは2〜15μmである。黒鉛Cは黒鉛質材料Aの前駆体に少なくとも1個含有させれば充分であるが、好ましくは黒鉛質材料Aの前駆体100質量部に対し、黒鉛Cが50〜10000質量部、好ましくは100〜1000質量部の割合で含有される。
(繊維状黒鉛材料Bの前駆体の調製)
繊維状黒鉛材料Bの前駆体は、その形状が繊維状であることが必要である。例えば、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブや気相成長炭素繊維などが好ましい。繊維状黒鉛材料Bの前駆体は、黒鉛化処理時に溶融性を示さず、最終的に得られる繊維状黒鉛材料Bと同じ形状を有するものが好ましい。繊維状黒鉛材料Bの前駆体については、繊維の直径にあたる平均短軸長は好ましくは1〜500nm、より好ましくは5〜200nm、繊維長と繊維直径の比にあたる平均アスペクト比は好ましくは5〜1000、より好ましくは20〜500である。
繊維状黒鉛材料Bの前駆体の好ましい配合割合は、黒鉛質材料Aの前駆体と繊維状黒鉛材料Bの前駆体の総量、また黒鉛質材料Aの前駆体が黒鉛Cを含有する場合には、黒鉛質材料Aの前駆体と繊維状黒鉛材料Bの前駆体と黒鉛Cの総量に対して、0.05質量%以上3質量%未満である。繊維状黒鉛材料Bの前駆体が0.05質量%未満の場合は、急速充放電効率、サイクル特性の改善効果が小さくなる。3質量%以上の場合は、急速充放電効率、サイクル特性の改善効果が飽和するとともに、負極合剤ペーストを調製する際に粘度が不安定になるなど負極の安定製造に支障を来たすことがあるほか、比較的高価な繊維状黒鉛材料Bの前駆体の割合が増えることによりコストアップになる。
本発明の黒鉛質材料の製造においては、黒鉛化することによって、黒鉛質材料Aの表面にも導電性を有する繊維状黒鉛材料Bを得ることができる。したがって、繊維状黒鉛材料Bの前駆体としては、黒鉛化前の状態のものを用いることができる。当然ながら、予め黒鉛化して黒鉛構造を形成した繊維状黒鉛材料Bを前駆体として用いてもよい。
(機械的エネルギーの付与方法)
前述した黒鉛質材料Aの前駆体と繊維状黒鉛材料Bの前駆体に機械的エネルギーを付与する。機械的エネルギーの付与によって、黒鉛質材料Aの前駆体を粉砕し、形状を調整することができる。しかしながら、黒鉛質材料Aの前駆体を予め所定形状に調整しておき、これを実質的に粉砕することなく、その表面に機械的エネルギーを付与することが好ましい。黒鉛質材料Aの前駆体が機械的エネルギーの付与時に過度に破壊されると、初期充放電効率の低下などを生じるおそれがある。本発明で言う機械的エネルギーとは、圧縮、剪断、衝突、摩擦などの各種応力を意味する。この操作は一般にメカノケミカル処理とも呼ばれ、加えられる機械的エネルギーは通常一般の攪拌により付与される力より大きい。
機械的エネルギーを付与するための装置としては、例えば、加圧ニーダー、二本ロールなどの混練機、回転ボールミル、ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)などが挙げられる。前記の装置の中でも、回転速度差を利用した剪断力と圧縮力を同時に付加する装置が好ましい。例えば、図1(A)および(B)に模式的機構を示すメカノフュージョンシステムが好ましい。
すなわち、図1(B)に示すように、回転ドラム11と、該回転ドラム11と回転速度が異なる内部部材(インナーピース)12と、原料(黒鉛質材料Aの前駆体および繊維状黒鉛材料Bの前駆体の混合物)13の循環機構14と排出機構15を有する装置を用いて行うことができる。この装置において、図1(A)に示すように、回転ドラム11と内部部材12との間に遠心力を付加しながら、内部部材12により回転ドラム11との速度差に起因する圧縮力と剪断力とを同時に繰り返し付加することにより機械的エネルギーを原料13に付与することができる。
また、例えば、図2に模式的に示すハイブリダイゼーションシステムを用いることもできる。すなわち、固定ドラム21、高速回転するローター22、原料23の循環機構24と排出機構25、ブレード26、ステーター27およびジャケット28を有する装置を用い、原料23を固定ドラム21とローター22の間に供給し、固定ドラム21とローター22の速度差に起因する圧縮力と剪断力とを原料23に付加する装置を用いて機械的エネルギーを付与してもよい。
機械的エネルギーを付与する条件は、使用する装置によっても異なり、一概に言えないが、機械的エネルギーの付与による黒鉛質材料Aの前駆体の平均粒子径の低下率が20%以下となるように設定するのが好ましい。例えば、回転ドラムと内部部材を備えた図1の装置を用いる場合には、回転ドラムと内部部材との周速度差を5〜50m/s 、両者間の距離を1〜100mm、処理時間を5〜60分の条件下で行うことが好ましい。また、固定ドラムと高速回転ローターを備えた図2の装置を用いる場合には、固定ドラムとローターとの周速度差を5〜50m/s 、両者間の距離を1〜100mm、処理時間を5〜60分の条件下で行うことが好ましい。
黒鉛質材料Aの前駆体に繊維状黒鉛材料Bの前駆体を付着させた付着物の形状は特に限定されず、球状、楕円体状、塊状、鱗片状、板状、粒状など繊維状以外の形状であればいかなるものであってもよいが、球状もしくは球状に近い形状とすることが好ましい。球状もしくは球状に近い形状のうちで特に好ましいのは、アスペクト比(長軸方向最長部の長さ/直交する短軸方向の長さの比)が5以下、好ましくは3以下の形状である。なお、アスペクト比は、走査型電子顕微鏡観察で各材料の形状が認識できる倍率で100個について計測し、その平均値として求めることができる。好ましい平均粒子径は体積換算で1〜100μm、より好ましくは5〜50μmである。なお、本発明の平均粒子径の好適範囲はレーザー回折式粒度分布計を用いて測定した累積度数が体積百分率で50%となる粒径値である。
また、粉砕、分級などにより、所定の粒子形状に調整する際には、公知の各種方法を採用することができる。粉砕には、例えば、ローラー方式、衝撃式、摩擦式、圧縮式、石臼式、動体衝突式、渦流(気流)式、剪断式、振動式などの各種市販粉砕機を使用することができる。
また、機械的エネルギーを付与する処理前、処理の途中、処理後のいずれかにおいて、本発明の効果を損なわない範囲において、公知の導電性材料、イオン伝導性材料、界面活性剤、金属化合物、結合剤などの各種添加剤を併用することもできる。
(黒鉛化処理方法)
機械的エネルギーの付与によって、黒鉛質材料Aの前駆体または黒鉛Cを含有する黒鉛質材料Aの前駆体に繊維状黒鉛材料Bの前駆体を付着させたのち、該付着物を黒鉛化処理する。黒鉛化処理は、例えば、坩堝などの容器に該付着物を充填し、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。黒鉛の結晶構造の結晶性、すなわち、放電容量を高める観点から、黒鉛化処理温度は高温であるほど好ましい。1500℃超が好ましく、2500℃以上がより好ましい。上限は、装置の耐熱性や黒鉛の昇華を防ぐ観点から3300℃程度であり、最も好ましいのは2800〜3200℃である。このような高温に0.5〜50時間、好ましくは2〜20時間加熱することにより該付着物を構成する黒鉛質材料Aの前駆体と繊維状黒鉛材料Bの前駆体は黒鉛化する。
(黒鉛質材料)
本発明の製造方法によって得られる黒鉛質材料の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)の一例を図4に示す。図4から明らかなように、本発明の黒鉛質材料は、黒鉛質材料Aに繊維状黒鉛材料Bが付着し、該繊維状黒鉛材料Bが起毛している。特に、繊維状黒鉛材料Bは機械的エネルギーの付与過程で解繊されて単繊維の状態で付着していることが好ましい。
最終的に得られる黒鉛質材料の結晶性の平均値は、X線広角回折法における炭素網面層の格子面間隔(d002 )で0.3365nm以下であることが好ましい。なお、格子面間隔の測定は、CuKα線をX線源、高純度シリコンを標準物質に使用して、黒鉛質材料の(002)回折ピークを測定し、そのピーク位置よりd002 を算出する。算出方法は学振法(日本学術振興会第117委員会が定めた測定法)に従うものであり、具体的には、「炭素繊維」(大谷杉郎著、733−742頁(1986年3月)、近代編集社)などに記載された方法によって測定した値である。
本発明の製造方法によって得られる黒鉛質材料は、最表層の結晶構造が適度に乱れており、リチウムイオン二次電池用負極材料として優れた初期充放電効率を発現する。表面の結晶性を確認する方法としては、アルゴンレーザーを用いたラマンスペクトル法が挙げられる。すなわち、黒鉛構造に基づく9種の格子振動のうち、炭素網面内の格子振動に相当するE2g型振動に対応した1580cm-1近傍のラマンスペクトルと、主に表層での結晶欠陥や積層不整などの結晶構造の乱れを反映した1360cm-1近傍のラマンスペクトルを、514.5nmの波長を有するアルゴンレーザーを用いたラマン分光分析器(日本分光(株)製、NR1100)により測定する。それぞれのラマンスペクトルのピーク強度からその強度比R=I1360/I1580を算出し、Rが大きいものほど表面の結晶性が低いと評価する。強度比Rは初期充放電効率を大きくする観点から、R≧0.05であるのが好ましい。これは最表層の結晶性が適度に乱され、黒鉛質材料の表面での電解液の分解反応が抑制されるためと考えられる。また、強度比Rは放電容量の低下を最小に抑える観点からR<0.3であることが好ましい。
本発明の製造方法によって得られる黒鉛質材料の強度比Rは、初期充放電効率の改善を目的として炭素材料を酸化や低温焼成(非黒鉛構造)処理する従来技術(例えば、特許第2643035号明細書、特許第3139790号明細書)の強度比Rに比べると小さい値を示すが、優れた初期充放電効率を有する。このメカニズムは明らかでないが、黒鉛質材料Aの前駆体の表面に機械的エネルギーを付与したのちに黒鉛化処理するという本発明の製造方法によって達成される現象である。
本発明は、前述の黒鉛質材料を含有するリチウムイオン二次電池用負極材料も提供する。
本発明の黒鉛質材料は、その特徴を活かして、例えば、燃料電池セパレーター用の導電材料や耐火物用黒鉛などにも使用することができるが、リチウムイオン二次電池用負極材料としての使用が好適である。すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、少なくとも前述の黒鉛質材料を含有する結果、放電容量、初期充放電効率、急速充放電特性およびサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極となる。
以下、本発明の黒鉛質材料を含む負極材料を用いたリチウムイオン二次電池について説明する。
(リチウムイオン二次電池用負極)
本発明の負極は、前述の本発明の黒鉛質材料を含有する負極材料を固化および/または賦形して得られる。該負極の製造は、通常の賦形方法に準じて行うことができるが、黒鉛質材料の性能を十分に引き出し、かつ粉末に対する賦形性が高く、化学的、電気化学的に安定な負極を得ることができる方法であれば特に制限されない。
負極製造時には、黒鉛質材料に結合剤を加えた負極合剤を用いることができる。結合剤としては、電解質や電解液溶媒に対して化学的安定性、電気化学的安定性を有するものを用いることが好ましい。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエンゴム、さらにはカルボキシメチルセルロースなどが用いられる。これらを併用することもできる。
結合剤の含有量は、通常、負極合剤の全量中1〜20質量%程度であるのが好ましい。
負極合剤層は、具体的には、分級などにより適当な粒径に調整した黒鉛質材料を、結合剤と混合することによって負極合剤を調製し、この負極合剤を、通常、集電体の片面または両面に塗布することにより形成することができる。この際、通常の溶媒を用いることができ、負極合剤を溶媒中に分散させてペースト状とした後、集電体に塗布、乾燥すれば、負極合剤層が均一かつ強固に集電体に接着された負極を得ることができる。ペーストは各種ミキサーで攪拌することにより調製することができる。
例えば、本発明の黒鉛質材料と、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂粉末を、イソプロピルアルコールなどの溶媒中で混合、混練した後、塗布して負極合剤層を形成することもできる。また、本発明の黒鉛質材料と、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂粉末またはカルボキシメチルセルロースなどの水溶性粘結剤を、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドまたは水、アルコールなどの溶媒と混合してスラリーとした後、塗布して負極合剤層を形成することもできる。
本発明の黒鉛質材料と結合剤との混合物からなる負極合剤を集電体に塗布する際の塗布厚は10〜300μm、好ましくは30〜100μmである。
負極合剤層を形成した後、プレス加圧などの圧着を行うと、負極合剤層と集電体との接着強度をさらに高めることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池において、負極に用いる集電体の形状は、特に限定されないが、箔状、メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状物などが好ましい。集電体の材質としては、銅、ステンレス、ニッケルなどが好ましい。集電体の厚みは、箔状の場合は好ましくは5〜20μmである。
本発明では、前述の負極のいずれかを用いたリチウムイオン二次電池が提供される。
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水系電解質を主たる電池構成要素とし、正極および負極はそれぞれリチウムイオンの担持体からなる。充電時には、リチウムイオンが負極中にドープされ、放電時には負極から脱ドープする電池機構である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極材料として本発明の黒鉛質材料を含有する負極材料を用いること以外は特に限定されず、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準じる。
(正極(正極活物質))
正極の材料(正極活物質)としては、十分量のリチウムをドープ/脱ドープし得るものを選択することが好ましい。正極活物質としては、リチウムと遷移金属の複合酸化物が好ましく、リチウムと遷移金属の複合酸化物(リチウム含有遷移金属酸化物とも称す)が特に好ましい。該複合酸化物は、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。
リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM1 1-X2 X 2 (式中Xは0≦X≦1の範囲の数値であり、M1 、M2 は少なくとも一種の遷移金属元素である)またはLiM1 2-Y2 Y 4 (式中Yは0≦Y≦1の範囲の数値であり、M1 、M2 は少なくとも一種の遷移金属元素である)で示される。Mで示される遷移金属元素は、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどである。好ましい具体例は、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMnO2 、LiNi0.9 Co0.1 2 、LiNi0.5 Mn0.5 2 などである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、リチウム、遷移金属の酸化物、塩類または水酸化物を出発原料とし、これら出発原料を所定の組成に応じて混合し、酸素雰囲気下600〜1000℃の温度で焼成して調製することができる。
正極活物質は、前記化合物を単独で使用しても2種類以上併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウム等の炭酸塩を添加することができる。
このような正極材料によって正極を作製するには、例えば、正極材料と結合剤、および正極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を、集電体の両面に塗布して正極合剤層を形成して作製される。結合剤としては、負極の作製に使用されるものと同じものが使用可能である。導電剤としては、例えば、炭素材料、黒鉛やカーボンブラックなど公知のものが使用される。
集電体の形状は特に限定されないが、箔状またはメッシュ、エキスパンドメタル等の網状などのものが用いられる。集電体の材質は、アルミニウム箔、ステンレス箔、ニッケル箔などである。その厚さは10〜40μmであることが好ましい。
正極も負極と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させペースト状にし、このペースト状の正極合剤を集電体に塗布、乾燥して正極合剤層を形成してもよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧等の圧着を行ってもよい。これにより正極合剤層が均一且つ強固に集電材に接着される。
本発明に用いられる電解質は、溶媒と電解質塩からなる有機系電解質や、高分子化合物と電解質塩とからなるポリマー電解質などである。電解質塩としては、例えば、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiClO4 、LiB(C6 5 )、LiCl、LiBr、LiCF3 SO3 、LiCH3 SO3 、LiN(CF3 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 、LiN(CF3 CH2 OSO2 2 、LiN(CF3 CF2 OSO2 2 、LiN(HCF2 CF2 CH2 OSO2 2 、LiN[(CF3 2 CHOSO2 2 、LiB[C6 3 (CF3 2 4 、LiAlCl4 、LiSiF6 などのリチウム塩を用いることができる。特にLiPF6 、LiBF4 が酸化安定性の点から好ましく用いられる。
有機系電解質中の電解質塩濃度は0.1〜5 mol/lが好ましく、0.5〜3.0mol/l がより好ましい。
有機系電解質の溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,1 −または1,2 −ジメトキシエタン、1,2 −ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1 ,3−ジオキソラン、4 −メチル−1 ,3 −ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリドン、エチレングリコール、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
非水電解質をポリマー電解質とする場合には、可塑剤(非水電解液)でゲル化されたマトリクス高分子化合物を含むが、このマトリクス高分子化合物としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系重合体、ポリメタクリレート系重合体、ポリアクリレート系重合体、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系重合体などを単独、もしくは混合して用いることができる。
これらの中で、酸化還元安定性の観点などから、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系重合体を用いることが好ましい。
ポリマー電解質に含有される可塑剤を構成する電解質塩や溶媒としては、前述のものが使用可能である。可塑剤である電解液中の電解質塩濃度は、0.1〜5mol/l が好ましく、0.5〜2.0mol/l がより好ましい。
ポリマー電解質の作製方法は、特に制限されるものではないが、例えば、マトリクスを構成する高分子化合物、リチウム塩および溶媒を混合し、加熱して溶融・溶解する方法が挙げられる。また、混合用有機溶媒に、高分子化合物、リチウム塩、および溶媒を溶解させた後、混合用有機溶媒を蒸発させる方法、重合性モノマー、リチウム塩および溶媒を混合し、紫外線、電子線または分子線などを照射して、重合性モノマーを重合させ、ポリマーを得る方法などを挙げることができる。
ポリマー電解質中の溶媒の割合は10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。該範囲であると、導電率が高く、機械的強度が強く、フィルム化しやすい。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、セパレータを使用することもできる。
セパレータは特に限定されるものではないが、例えば織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などが挙げられる。合成樹脂製微多孔膜が好適であるが、なかでもポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗の面で好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜等である。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、初期充放電効率が高いことから、ゲル電解質を用いることも可能である。
ポリマー電解質を用いたリチウムイオン二次電池は、一般にポリマー電池と呼ばれ、本発明の負極材料を用いてなる負極と、正極およびポリマー電解質から構成される。例えば、負極、ポリマー電解質、正極の順に積層し、電池外装材内に収容することで作製される。なお、これに加えて、さらに、負極と正極の外側にポリマー電解質を配するようにしてもよい。特に、本発明の黒鉛質材料を負極材料として用いるポリマー電池では、ポリマー電解質にプロピレンカーボネートを含有させることができる。一般にプロピレンカーボネートは黒鉛に対して電気的分解反応が激しいが、本発明の黒鉛質材料は分解反応性が低い。
さらに、本発明のリチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものであることが好ましい。ポリマー電解質を用いたポリマー電池の場合には、ラミネートフィルムに封入した構造とすることもできる。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また以下の実施例および比較例では、図3に示すような構成の評価用のボタン型二次電池を作製して黒鉛質材料の評価をした。実電池は、本発明の目的に基づき、公知の方法に準じて作製することができる。該評価用電池においては、作用極を負極、対極を正極と表現した。
なお以下の実施例および比較例において、黒鉛質材料Aの前駆体、および繊維状黒鉛材料Bの前駆体の物性、ならびに得られた黒鉛質材料(負極材料)の物性は以下の方法により測定した。
平均アスペクト比は、走査型電子顕微鏡で各材料の形状が認識できる倍率で100個分を撮影し、最長部の長さと、これに直交する短軸の長さを測り、長軸長/短軸長の平均値を求め、アスペクト比とした。繊維状の材料の場合は、直径を短軸長、最長部の長さを長軸長とした。
平均粒子径はレーザー回折式粒度分布計を用いて測定し、体積換算の50%累積径を求めた。
格子面間隔d002 は、前述したX線広角回折法により求めた。
また、ラマンスペクトルの強度比R=I1360/I1560は、前述したラマンスペクトル法のピーク強度から算出した。
[実施例1]
(黒鉛質材料Aの前駆体)
揮発分を約40質量%含有するコールタールピッチ(JFEケミカル(株)製PK-QL )を非酸化性雰囲気中、450℃で12時間加熱して、芳香環を重縮合させ、黒鉛質材料Aの前駆体(揮発分量:6.0質量%、QI:96質量%)を得た。該前駆体を衝突式粉砕機を用いて粉砕し、平均粒子径20μmの塊状粒子に調整した。
(繊維状黒鉛材料Bの前駆体)
高純度酸化第二鉄を固定床流通式反応装置に充填し、常圧、550℃で高純度酸化鉄1g当たり300sccmのCOおよび15sccmの水素を流通して、下記式(I)に示す反応を生じさせ、高純度酸化第二鉄1g当たり30gの気相成長炭素繊維を得た。この直径は120nm、アスペクト比は30であった。これを繊維状黒鉛材料Bの前駆体とした。
Figure 2005060150
(黒鉛質材料)
前記黒鉛質材料Aの前駆体99.0質量部と、繊維状黒鉛材料Bの前駆体1.0質量部を混合し、図2に示すハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)を用いて、機械的エネルギーを付与した。すなわち、ローターの周速度50m/s 、処理時間3分の条件で処理することにより、該システム内に投入された材料同士に、衝撃力、圧縮力、摩擦力、剪断力などの機械的エネルギーを繰り返し付与し、黒鉛質材料Aの前駆体に繊維状黒鉛材料Bの前駆体を付着させた。
得られた付着物は、平均粒子径が19μmで、粒子の角が丸められた塊状を呈し、さらに、繊維状黒鉛材料Bの前駆体の一部が、黒鉛質材料Aの前駆体の表面に埋没され、起毛していた。
引き続き、得られた付着物を黒鉛坩堝に充填し、坩堝の周辺にコークスブリーズを充填して3000℃で5時間加熱し、黒鉛化処理した。黒鉛化処理後の黒鉛質材料に融着や変形は認められず、粒子形状が保持されていた。その平均粒子径は18μm、平均アスペクト比は2.3であった。
得られた黒鉛質材料の結晶性(黒鉛化度)をX線広角回折法およびラマン分光法によって評価した結果を表2に示した。
(負極合剤ペースト)
得られた黒鉛質材料90質量%と、結合剤としてのポリフッ化ビニリデン10質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒に入れ、ホモミキサーを用いて2000rpm で30分間攪拌混合し、有機溶媒系負極合剤ペーストを調製した。
(作用電極(負極))
前記負極合剤ペーストを、銅箔(集電体)上に均一な厚さで塗布し、さらに真空中で90℃に加熱して、溶媒を揮発させて乾燥した。次に、この銅箔上に塗布された負極合剤をローラープレスによって加圧し、さらに直径15.5mmの円形状に打抜くことで、集電体に密着した負極合剤層からなる作用電極2を作製した。
(対極(正極))
リチウム金属箔を、ニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円形状に打抜いて、ニッケルネットからなる集電体と、該集電体に密着したリチウム金属箔からなる正極を作製した。
(電解質・セパレータ)
エチレンカーボネート33vol%−メチルエチルカーボネート67vol%の混合溶媒に、LiPF6 を1mol/dm3 となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液をポリプロピレン微多孔質体に含浸させ、電解質液が含浸されたセパレータを作製した。
(評価電池)
評価電池として図3に示すボタン型二次電池を作製した。
集電体37bに密着した負極32と集電体37aに密着した正極34との間に、電解質溶液を含浸させたセパレータ35を挟んで、積層した。その後、負極集電体37b側が外装カップ31内に、正極集電体37a側が外装缶33内に収容されるように、外装カップ31と外装缶33とを合わせた。その際、外装カップ31と外装缶33との周縁部に絶縁ガスケット36を介在させ、両周縁部をかしめて密閉した。
前記のように作製された評価電池について、25℃の温度下で下記のような充放電試験を行い、電池特性を評価した。
(初期充放電効率、放電容量)
0.9mAの電流値で、回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行った後、回路電圧が0mVに達した時点で、定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から充電容量を求めた。その後、120分間休止した。
次に0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。これを第1サイクルとした。次式(II)から初期充放電効率を計算した。
Figure 2005060150
なおこの試験では、リチウムイオンを黒鉛質材料中にドープする過程を充電、黒鉛質材料から脱ドープする過程を放電とした。
黒鉛質材料1g当たりの放電容量(mAh/g )および初期充放電効率(%)を表2に示した。
表1、2に示されるように、負極に本発明の黒鉛質材料を用いたリチウムイオン二次電池は大きい放電容量を示し、かつ高い初期充放電効率を有する。
(急速充電効率)
引き続き、第2サイクルとして、電流値を5倍の4.5mAとして、回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、充電容量を求め、次式(III)から急速充電効率を計算した。
Figure 2005060150
(急速放電効率)
初期充放電に引き続き、第2サイクルにて、高速放電を行った。第1サイクルと同様にして充電した後、電流値を20倍の18mAとして、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。得られた放電容量から、次式(IV)により急速放電効率を計算した。
Figure 2005060150
(サイクル特性)
4.0mAの電流値で、回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行った後、回路電圧が0mVに達した時点で、定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた。その後、120分間休止した。次に4.0mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。20回充放電を繰り返し、得られた放電容量から、次式(V)を用いてサイクル特性を計算した。
Figure 2005060150
急速充電効率(%)、急速放電容量(%)およびサイクル特性を表2に示した。
表1、2に示されるように、作用電極に本発明の黒鉛質材料を含有する負極材料を用いて得られた評価電池は、高い急速充電効率、高い急速放電効率、および優れたサイクル特性を示す。
[実施例2]
(黒鉛C)
天然黒鉛((株)中越黒鉛工業所製BF10A 、平均粒子径10μm)を造粒し、緻密な球状〜楕円状の黒鉛造粒物を得た。該黒鉛造粒物は、平均粒子径が20μm、平均アスペクト比が1.8、X線広角回折法による結晶性が格子面間隔d002 =0.3355nmであった。
(黒鉛質材料Aの前駆体)
揮発分を約40質量%含有するコールタールピッチ(JFEケミカル(株)製PK-QL )42質量部をタール中油58質量部に溶解した溶液を100質量部準備した。
先に得た黒鉛造粒物100質量部を前記溶液100質量部とともに、攪拌機に投入し、150℃で30分間攪拌して、該黒鉛造粒物を該コールタールピッチ溶液に浸漬した後、圧力5mmHg以下、同温度で溶媒であるタール中油を留去した。得られた黒鉛造粒物のピッチ付着体を鋼鉄製容器に充填した。揮発ガスの燃焼処理装置を具備した焼成炉において、不活性ガス流通下に前記付着体を450℃で20時間熱処理し、黒鉛造粒物を含有する黒鉛質材料Aの前駆体を得た。熱処理後に得られたものは、黒鉛造粒物の表面に介在する黒鉛質材料Aの前駆体同士がわずかに融着した状態であった。
次いで、衝撃式粉砕機で解砕した。解砕後の形状は、平均粒子径が22μm、平均アスペクト比が1.7の球状〜楕円体であった。解砕後に得られたものは、コールタールピッチの熱処理によって得られた黒鉛質材料Aの前駆体20質量%、天然黒鉛造粒物80質量%から構成されており、コールタールピッチの熱処理生成物の部分は揮発分量を5.0質量%含有していた(黒鉛質材料Aの前駆体と黒鉛Cの造粒物との全体に対して1質量%)。
(繊維状黒鉛材料Bの前駆体)
黒鉛化処理された気相成長炭素繊維(昭和電工(株)製、VGCF、直径150nm、平均アスペクト比約50)を準備した。
(黒鉛質材料)
前記黒鉛Cを内包する黒鉛質材料Aの前駆体99.0質量部と、繊維状黒鉛材料Bの前駆体1.0質量部を混合し、図1Aおよび図1Bに示したメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)内に投入し、機械的エネルギーを付与した。すなわち、回転ドラムの周速度20m/s 、処理時間30分、回転ドラムと内部部材の距離5mmの条件で、圧縮力、剪断力を繰り返し付加し、黒鉛Cを内包する黒鉛質材料Aの前駆体に繊維状黒鉛材料Bの前駆体を付着させた。
得られた付着物は、平均粒子径が22μmで、アスペクト比が1.7であり、機械的エネルギーの付与前後において、平均粒子径とアスペクト比に変化がなかった。さらに、繊維状黒鉛材料Bの前駆体の一部が、黒鉛質材料Aの前駆体の表面に埋没され、起毛していた。
次いで、得られた付着物を黒鉛坩堝に充填し、坩堝の周辺にコークスブリーズを充填して3000℃で5時間加熱し、黒鉛化処理した。黒鉛化処理後の黒鉛質材料Aに融着や変形は認められず、粒子形状が保持されていた。その平均粒子径は21μm、平均アスペクト比は1.7であった。
得られた黒鉛質材料のX線広角回折法による結晶性はd002 =0.3357nm、ラマン分光法による強度比Rは0.09であった。図4に、製造した黒鉛質材料の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を示した。
該黒鉛質材料を用いて、実施例1と同様に、評価用電池の作用電極(負極)および評価電池を製造し、電池特性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例3]
(黒鉛C)
天然黒鉛((株)中越黒鉛工業所製BF5A、平均粒子径5μm)を準備した。該天然黒鉛は、X線広角回折法による結晶性が格子面間隔d002 =0.3355nmであった。
(黒鉛質材料Aの前駆体)
揮発分を約40質量%含有するコールタールピッチ(JFEケミカル(株)製PK-QL )71質量部をタール中油29質量部に溶解した溶液を100質量部準備した。
前記天然黒鉛100質量部を前記溶液100質量部とともに、二軸混練機に投入し、150℃で30分間攪拌して、該天然黒鉛を該コールタールピッチ溶液に混合した後、圧力5mmHg以下、同温度で溶媒であるタール中油を留去した。
得られた天然黒鉛とコールタールピッチの混合物を鋼鉄製容器に充填した。揮発ガスの燃焼処理装置を具備した焼成炉において、不活性ガス流通下に前記付着体を450℃で20時間熱処理し、天然黒鉛を含有する黒鉛質材料Aの前駆体を得た。
次いで、衝撃式粉砕機で解砕した。解砕後の形状は、平均粒子径が25μm、平均アスペクト比が2.4の突起を有する不定形粒子であった。解砕後に得られたものは、コールタールピッチの熱処理によって得られた黒鉛質材料Aの前駆体30質量%、天然黒鉛70質量%から構成されており、コールタールピッチの熱処理生成物の部分は揮発分を5.0質量%含有していた(黒鉛質材料Aの前駆体と黒鉛Cの造粒物との全体に対して1.5質量%)。
(繊維状黒鉛材料Bの前駆体)
実施例1で用いた気相成長炭素繊維(昭和電工(株)製、VGCF、直径150nm、平均アスペクト比約50)を3000℃で5時間黒鉛化処理したものを準備した。
(黒鉛質材料)
前記黒鉛Cを内包する黒鉛質材料Aの前駆体98.0質量部と、繊維状黒鉛材料Bの前駆体2.0質量部を混合し、図1Aおよび図1Bに示したメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)内に投入し、機械的エネルギーを付与した。すなわち、回転ドラムの周速度20m/s 、処理時間30分、回転ドラムと内部部材の距離5mmの条件で、圧縮力、剪断力を繰り返し付加し、黒鉛Cを内包する黒鉛質材料Aの前駆体に繊維状黒鉛材料Bの前駆体を付着させた。
得られた付着物は、平均粒子径が23μmで、アスペクト比が2.0であった。機械的エネルギーの付与によって、黒鉛Cを内包する黒鉛質材料Aの前駆体の突起がなくなり、塊状を呈していた。さらに、繊維状黒鉛材料Bの前駆体の一部が、黒鉛質材料Aの前駆体の表面に埋没され、起毛していた。
次いで、得られた付着物を黒鉛坩堝に充填し、坩堝の周辺にコークスブリーズを充填して3200℃で5時間加熱し、黒鉛化処理して、黒鉛質材料を得た。黒鉛化処理後の黒鉛質材料に融着や変形は認められず、粒子形状が保持されていた。その平均粒子径は22μm、平均アスペクト比は2.0であった。
得られた黒鉛質材料のX線広角回折法による結晶性はd002 =0.3358nm、ラマン分光法による強度比Rは0.11であった。
該黒鉛質材料を用いて、実施例1と同様に、評価用電池の作用電極(負極)および評価電池を製造し、電池特性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例4〜7]
実施例2において、黒鉛質材料Aの前駆体や繊維状黒鉛材料Bの前駆体を表1に示すように変更する以外は、実施例2と同様に黒鉛質材料を調製し、負極を製造し、実施例2と同様に電池特性の評価試験を行った。評価結果を表2に示した。
[比較例1]
実施例1において、繊維状黒鉛材料Bを使用せず、さらに機械的エネルギーを付与しないことを除いて、実施例1と同様に黒鉛質材料を調製した。得られた黒鉛質材料は、黒鉛化処理時に黒鉛質材料同士が融着しており、解砕時の形状を保持できなかった。そこで、融着した黒鉛質材料を再度解砕して平均粒子径19μmに調整し、実施例1と同様に負極および評価電池を製造して、実施例1と同様に電池特性の評価試験を行なった。評価結果を表2に示した。
表1、2に示されるように、繊維状黒鉛材料Bを含まず、機械的エネルギーを付与しなかった黒鉛質材料の場合には、初期充放電効率が著しく小さいほか、急速充電効率、急速放電効率、サイクル特性も劣る。
[比較例2]
実施例1において、繊維状黒鉛材料Bを使用しないことを除いて、実施例1と同様に黒鉛質材料を調製した。得られた黒鉛質材料は、黒鉛化処理時の融着がなく、解砕時の形状を保持していた。これを用いて、実施例1と同様に負極および評価電池を作製して、実施例1と同様に電池特性の評価試験を行なった。評価結果を表2に示した。
表1、2に示されるように、繊維状黒鉛材料Bを使用しない黒鉛質材料の場合には、高い放電容量と初期充放電効率を有するものの、急速充電効率、急速放電効率およびサイクル特性が相対的に低い。
[比較例3]
実施例2において、繊維状黒鉛材料Bを使用しないことを除いて、実施例2と同様に黒鉛質材料を調製した。得られた黒鉛質材料は、黒鉛化処理時の融着がなく、解砕時の形状を保持していた。これを用いて、実施例2と同様に負極および評価電池を作製して、実施例1と同様に電池特性の評価試験を行なった。評価結果を表2に示した。
表1、2に示されるように、繊維状黒鉛材料Bを使用しない黒鉛質材料の場合には、高い放電容量と初期充放電効率を有するものの、急速充電効率、急速放電効率およびサイクル特性が低い。
[比較例4]
比較例3で作製した繊維状黒鉛材料Bを含まない黒鉛質材料Aの前駆体99.0質量部と、実施例2で用いた繊維状黒鉛材料B1.0質量部の混合物を用いて、繊維状黒鉛材料Bの前駆体を黒鉛質材料Aの前駆体に付着させないことを除いて、実施例2と同様に黒鉛質材料を調製し、実施例2と同様に負極および評価電池を作製して、実施例1と同様に電池特性の評価試験を行なった。評価結果を表2に示した。
表1、2に示されるように、繊維状黒鉛材料Bを単純に混合して負極を作製した場合には、繊維状黒鉛材料Bを含まない黒鉛質材料(比較例3)に比べて、急速充電効率、急速放電効率およびサイクル特性が改善されるものの、その効果は小さい。
[比較例5]
実施例3において、繊維状黒鉛材料Bを使用しないことを除いて、実施例3と同様に黒鉛質材料を調製した。得られた黒鉛質材料を用いて、実施例3と同様に負極および評価電池を作製して、実施例1と同様に電池特性の評価試験を行なった。評価結果を表2に示した。
表1、2に示されるように、繊維状黒鉛材料Bを使用しない黒鉛質材料の場合には、高い放電容量と初期充放電効率を有するものの、急速充電効率、急速放電効率およびサイクル特性が低い。
Figure 2005060150
Figure 2005060150










本発明の黒鉛質材料は、その特徴を活かして、燃料電池セパレータ用の導電材や耐火物用黒鉛などに使用することもできる。
実施例で用いた機械的エネルギー付与装置(メカノフュージョンシステム)の構造を示す概略説明図。 他の実施例で用いた機械的エネルギー付与装置(ハイブリダイゼーションシステム)の構造を示す概略説明図。 本発明の負極材料を用いたリチウムイオン二次電池の電池特性を評価するための評価電池の断面図。 本発明の黒鉛質材料の一例の走査型電子顕微鏡写真である(倍率1000倍)。
符号の説明
11 回転ドラム
12 内部部材(インナーピース)
13 原料
14 循環機構
15 排出機構
21 固定ドラム
22 ローター
23 原料
24 原料の循環機構
25 原料の排出機構
26 ブレード
27 ステーター
28 ジャケット
31 外装カップ
32 作用電極
33 外装缶
34 対極
35 電解質溶液含浸セパレータ
36 絶縁ガスケット
37a,37b 集電体

Claims (7)

  1. 黒鉛質材料Aの前駆体と繊維状黒鉛材料Bの前駆体に、機械的エネルギーを付与して、該黒鉛質材料Aの前駆体に該繊維状黒鉛材料Bの前駆体を付着させたのち、黒鉛化することを特徴とする黒鉛質材料の製造方法。
  2. 前記黒鉛質材料Aの前駆体が、該黒鉛質材料Aの前駆体の総量に対して、2.0質量%以上20質量%未満の揮発分を含有することを特徴とする請求項1に記載の黒鉛質材料の製造方法。
  3. 前記黒鉛質材料Aの前駆体が、黒鉛Cを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の黒鉛質材料の製造方法。
  4. 前記黒鉛質材料Aの前駆体が、タールピッチ類の熱処理生成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の黒鉛質材料の製造方法。
  5. 前記繊維状黒鉛材料Bの前駆体の短軸長が1〜500nmであり、かつアスペクト比が5〜1000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の黒鉛質材料の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られる黒鉛質材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材料。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を用いたリチウムイオン二次電池。
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