JP2005059860A - 米飯類の炊飯及び密封包装用容器、及びそれを用いた無菌包装米飯類 - Google Patents

米飯類の炊飯及び密封包装用容器、及びそれを用いた無菌包装米飯類 Download PDF

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Abstract

【課題】米飯類の炊飯兼密封包装に用いる容器であって、炊飯の際、大掛かりな無菌室を使用しなくても落下菌等で汚染されず、内容物が沸騰し、一部が吹きこぼれるような条件で炊飯しても、炊飯後の容器の熱シールを安定して行え、米飯類を粒立ちよく炊飯し、無菌的に密封包装できる容器を提供する。
【解決手段】米飯類の炊飯及び密封包装用容器100 を、上部が開口し、該開口部周縁に外向きのフランジ部4 を備え、且つ該フランジ部4 に、蒸気を外部に逃がすための1個以上の穴6a〜6dを設けたトレー状の容器本体50と、容器本体の上部を覆い、フランジ部の穴の外側の外周縁に熱接着する蓋材60と、米飯類の炊飯後、フランジ部の穴の周囲のフランジ部の裏面に熱接着して該穴を封止するシール材70とで構成する。尚、少なくとも容器本体50と蓋材60は、炊飯の加熱に耐える耐熱性と耐水性を有する材料で形成する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、米飯類の炊飯及び密封包装用容器、及びそれを用いて製造された無菌包装米飯類に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、トレー状の容器に密封包装されたいわゆる無菌包装米飯としては、例えば、大型の無菌室などで、上部が開口するフランジ付きトレー状の容器に米と水を入れ、容器が破裂しないように開口部を開放した状態で炊飯し、必要に応じて容器内の空気を窒素ガスなどと置換した後、開口部をフィルム製などの蓋材で密閉して無菌包装米飯としたものがある。また、前記炊飯工程では、金属製などの別容器で一旦炊飯を行い、これを予め殺菌した前記トレー状の容器に詰め替えて蓋材で密封した無菌包装米飯もある。
しかし、このような製造方法を採った場合、いずれも大型の無菌室などを必要とするため、設備費が高価になる問題があった。
【0003】
このような問題を解決する方法として、以下のような無菌パック米飯の製造方法が提案されている。
例えば、「開口部を有する炊飯に耐え得る容体に米と炊飯に適する量の水とを収納し、この容体の開口部を、部分的にシール止着することでこのシール止着部間の無シール部分が通気部を生じる状態で止着し、この容体を炊飯器に導入して炊飯を行い、炊き上がった米飯を販売容器に移し替えずにそのまま炊飯状態で炊飯器から取り出して無菌室に導入し、窒素ガスや炭酸ガス若しくはその混合ガスのような制菌ガスを容体に導入して容体中の空気を制菌ガスと置換し、容体中に制菌ガスを充満せしめた状態で無菌室内で前記シール止着していない無シール部分である通気部をシール止着することで、この容体の開口部を密封することを特徴とする無菌パック米飯の製造方法。」
または「上部に開口部を形成した炊飯に耐え得る容体に米と炊飯に適する量の水とを収納し、この容体の開口部にフィルムを覆い止着すると共に、このフィルムは開口部の全周縁にシール止着せず、部分的にシール止着することでこのシール止着部間の無シール部分が通気部を生じる状態で覆い止着し、この容体を炊飯器に導入して炊飯を行い、炊き上がった米飯を販売容器に移し替えずにそのまま炊飯状態で炊飯器から取り出して無菌室に導入し、窒素ガスや炭酸ガス若しくはその混合ガスのような制菌ガスを容体に導入して容体中の空気を制菌ガスと置換し、容体中に制菌ガスを充満せしめた状態で無菌室内で前記シール止着していない無シール部分である通気部を前記開口部にシール止着することで、この容体の開口部をフィルムで密封することを特徴とする無菌パック米飯の製造方法。」などがある(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−176938号公報(第2〜4頁、図1、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような無菌パック米飯の製造方法を採ることにより、炊飯中、例えば、容体1の上部の開口部2に、フィルム5を部分的にシール止着した状態で炊飯することができるので、落下菌などによる汚染の懸念がなく、また、比較的均一に炊飯することができる。
しかしながら、米飯を、一層おいしくなるように、即ち、粒立ちがよく、ふっくらとした状態に炊き上げるためには、炊飯の中間段階で内容物が沸騰し吹きこぼれを生じる程度に加熱することが好ましく、このような炊き方をすると、前記のような構成の容器では、容体1とフィルム5の無シール部分11(通気部6)に吹きこぼれた炊き汁が付着し、最終的にこの部分を熱シールして密封する際、付着した炊き汁がシールの邪魔をしてシールを不安定にする問題があった。
【0006】
本発明は前記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、米飯類を、例えば一食分などの量で炊飯し、且つそのまま密封して常温流通、或いは、長期保存などが可能な炊飯及び密封包装に用いる容器であって、炊飯の際に、大掛かりな無菌室などの設備を必要とせず、それでいて、落下菌などによる汚染の懸念がなく、且つ、マイクロウェーブ加熱などにより、内容物が沸騰し、吹きこぼれを生じるような炊き方をしても、炊飯後、安定した熱シールにより密封することができ、また、米飯類を粒立ちがよくふっくらとした状態に美味しく炊き上げることのできる米飯類の炊飯及び密封包装に用いる容器と、その容器を用いて製造された無菌包装米飯類を経済性及び生産性よく提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、米飯類の炊飯及び密封包装に用いる容器であって、該容器が、上部が開口し、該開口部周縁に外向きのフランジ部を備え、且つ、該フランジ部には、炊飯時に発生する蒸気を外部に逃がすための1個以上の穴が設けられたトレー状の容器本体と、該容器本体の上部を覆い、該フランジ部の穴の外側の外周縁に熱接着される蓋材と、米飯類の炊飯後、該フランジ部に設けられた穴の周囲のフランジ部の裏面に熱接着して該穴を封止するシール材とで形成されると共に、少なくとも前記容器本体と蓋材とは、炊飯時の加熱に耐える耐熱性と耐水性を有することを特徴とする米飯類の炊飯及び密封包装用容器からなる。
【0008】
本発明において、米飯類は、白飯のほか、赤飯、その他五目飯などのかやくご飯などであってもよい。
また、容器本体は、フランジ付きのトレー形状で、炊飯時の加熱に耐える耐熱性と耐水性を有し、蓋材や前記穴を封止するシール材を熱接着できるものであれば特に限定はされないが、食品衛生面を考慮して、例えば、ポリプロピレン単独のシート、または少なくとも最内層と最外層にポリプロピレンなどの耐熱性ポリオレフィン系樹脂を積層し、中間層にガスバリヤー層を積層した多層構成の積層シートをシート成形して作製したフランジ付きのトレー状の容器を好適に使用することができる。また、フランジ部に設ける穴は、1個でもよいが、内容物の炊飯後、その保存性を高めるため、容器内の空気を窒素ガスや炭酸ガスなどの不活性ガスで置換することが好ましく、そのためには容器の左右など対向する側のフランジ部に各1個または各2個など複数個設けることが更に好ましい。
穴の大きさに関しては、特に限定はされないが、直径が3〜15mm程度の穴が適当である。
【0009】
蓋材は、容器本体に米と水などの内容物を収納した後、フランジ部の穴の外側の外周縁に予め熱接着しておいて炊飯されるため、容器本体と同様に、炊飯に耐える耐熱性と耐水性が必要である。また、炊飯後には必要に応じて容器内の空気を前記不活性ガスで置換した後、雑菌などの混入を防ぐため内容物が冷める前に、フランジ部の穴を前記シール材で封止して容器は密封される。従って、内容物が室温に冷まされた時には、容器内はガスなどの収縮により減圧状態となり、容器本体に変形を生じることがある。この容器本体の変形を防ぐためには、蓋材を柔軟性のある積層フィルムで形成して、蓋材の変形(内側に窪んだ形状の変形)で減圧を吸収するようにすることが外観上からも好ましい。
また、穴を封止するシール材については、蓋材と同様な構成の積層フィルムを用いてもよいが、強度は特に強くする必要はなく、例えば、基材フィルムに中間層とシーラント層を積層したような構成の積層フィルムで、基材フィルムなどの厚みは薄くすることができる。
【0010】
請求項1に記載したような構成を採ることにより、例えば、以下のような方法で米飯類を炊飯し、密封包装することができる。
(1)炊飯する米を清浄な水で洗米及び浸漬した後、超高温短時間加熱処理(UHT)により滅菌する。
(2)上記の処理を施した米と水などの内容物を適量ずつ容器本体に充填し、その上に蓋材を被せて、容器本体のフランジ部の穴の外側の外周縁に蓋材を熱接着して上部を封止する。
(3)上記包装体を、例えばマイクロウェーブ加熱方式の炊飯装置に導入し、沸騰し始めるまで加熱する。この時、蒸気と共に炊き汁の一部が容器本体のフランジ部に設けた穴から下方に向けて吹きこぼれる。その後、10分間程度放置して蒸らしを行う。
放置後、再度前記加熱による沸騰と、放置による蒸らしを行って炊飯を終了する。
(4)炊飯を終了した包装体は無菌室に導入し、包装体のフランジ部下面の穴を含む周辺部を、蓋材を上側からフランジ部に押し付けた状態で、蒸気または無菌水を吹き付けて洗浄する。洗浄後、必要な場合、無菌エアを吹き付けて乾燥させる。
(5)次いで、包装体内部の空気を窒素ガスまたは炭酸ガスなどの不活性ガスとガス置換する。ガス置換は容器本体のフランジ部に設けた穴を利用して容易に行うことができる。
ガス置換の後、包装体のフランジ部の穴を下側から覆うように、予め殺菌したシール材をフランジ部下面に熱接着して容器を密封し、無菌包装米飯類を完成させる。
【0011】
本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器は、このような方法で米飯類を炊飯し、密封包装することができるので、炊飯中などに落下菌などの異物が混入することを防止でき、また、沸騰により吹きこぼれた炊き汁などで、蓋材やシール材の熱接着が阻害されることもなく、確実に容器を密封することができる。
従って、沸騰により粒立ちがよく、ふっくらとした状態に炊き上げられ、且つ無菌的に確実に密封包装された無菌包装米飯類を経済性及び生産性よく提供することができる。
【0012】
請求項2に記載した発明は、前記容器本体と蓋材とシール材が、それぞれガスバリヤー性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の米飯類の炊飯及び密封包装用容器からなる。
【0013】
このような構成を採ることにより、請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、容器全体にガスバリヤー性が付与されるので、容器に密封包装された米飯類の保存性を一層向上させることができる。
【0014】
請求項3に記載した発明は、前記蓋材がイージーピール性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の米飯類の炊飯及び密封包装用容器からなる。
【0015】
前記蓋材にイージーピール性を付与するためには、蓋材を熱接着する面、即ち、容器本体のフランジ部の表面が、例えばポリプロピレンで形成されている場合は、蓋材を、例えば、外側から基材フィルム、ガスバリヤー層、シーラント層が順に積層された積層フィルムで作製し、そのシーラント層として、ポリプロピレンにポリエチレンや無機充填剤などを混練した樹脂を積層することにより、イージーピール性を付与することができる。
【0016】
前記のような構成を採ることにより、請求項1または2に記載した発明の作用効果に加えて、蓋材にイージーピール性が付与されるので、容器に密封包装された米飯類を取り出す際、ナイフなどの刃物を使用する必要がなく、手で容易に蓋材を引き剥がして開封することができ、容器の使い勝手を向上させることができる。
【0017】
請求項4に記載した発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載された米飯類の炊飯及び密封包装用容器を用いて製造された無菌包装米飯類である。
【0018】
請求項1乃至3のいずれかに記載された米飯類の炊飯及び密封包装用容器を用いて無菌包装米飯類を製造することにより、請求項1に記載した発明の項で説明したように、米飯類を炊飯する際、容器本体のフランジ部の穴の外側の外周縁に蓋材を熱接着し、上部を封止した状態で炊飯することができるので落下菌などの異物の混入がなく衛生的であり、また、炊飯にはマイクロウェーブ加熱方式の炊飯装置を用いて、沸騰と蒸らしを繰り返す方法で炊飯することができるので、均一で粒立ちがよく、ふっくらとした状態でおいしく炊き上げることができる。
炊飯後は、無菌室に導入して、包装体内部の空気を前記不活性ガスと置換することも容易であり、また、フランジ部下面の穴を含む周辺部を、蓋材を上側からフランジ部に押し付けた状態で蒸気または無菌水を吹き付けて安全に洗浄することができるので、この部分に吹きこぼれた炊き汁が付着していてもきれいに取り除くことができ、フランジ部の穴を下側から覆うようにシール材を確実に熱接着して容器を密封することができる。
更に、請求項2または3に記載した発明によれば、容器にガスバリヤー性を付与し、また、蓋材にイージーピール性を付与することができるので、内容物の保存性に一層優れ、且つ、蓋材の開封性にも優れた無菌包装米飯類を経済性及び生産性よく製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の炊飯及び密封包装用容器の製造方法など、発明の実施の形態について、一部図面を参照して説明する。
図1は、本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器に用いる容器本体の一例の構成を示す図であり、(イ)は容器本体の正面図で、(ロ)はその平面図である。
図1に示した容器本体50は、前述したように、例えば、ポリプロピレン単独のシート、または少なくとも最内層と最外層にポリプロピレンなどの耐熱性ポリオレフィン系樹脂を積層し、中間層にガスバリヤー層を積層した多層構成の積層シートをシート成形して作製したフランジ付きのトレー状容器であって、テーパー付きの側壁面1と底面2とで形成される成形凹部3と、上部の開口部5の周縁、即ち、側壁面1の上縁に外向きに設けられた外形が略長方形状のフランジ部4とで形成され、フランジ部4の四隅のコーナー部には、それぞれ炊飯時に発生する蒸気や炊き汁を外部に逃がすための穴6a 、6b 、6c 、6d が設けられて構成されている。
尚、このような容器本体50に取り付ける蓋材は、フランジ部4の穴6a 〜6d の外側の外周縁、即ち、破線で示した蓋材の熱接着予定部7に熱接着して取り付けるものである。
【0020】
前記穴6a 〜6d は、1個以上あればよく、例えば、対向するコーナー部に1個ずつ穴6a 、6c または穴6b 、6d のように設けてもよい。
このような穴の形状と大きさは、特に限定はされず、例えば、円形の穴の場合、直径が3〜15mm程度の範囲が適当である。
穴の直径が3mm未満の場合は、蒸気抜きの効果が不十分となり、沸騰の際、吹きこぼれの量が多くなるため好ましくない。また、穴の直径の上限は必ずしも限定はされないが、15mm程度で十分であり、15mmを超える場合は、それに対応してフランジ部の面積を大きくする必要があり、余分な材料を使用することになり、材料コストも上昇するため好ましくない。
【0021】
前記成形用シートの耐熱性ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレンのほか、プロピレン−エチレン共重合体(エチレン含有量が10モル%以下の共重合体)、或いは、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはエステル単量体などをグラフト重合または共重合したポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレンなどを使用することができる。
【0022】
前記プロピレン−エチレン共重合体は、エチレン含有量を10モル%以下、例えば5〜10モル%の範囲とすることにより、ポリプロピレンの耐熱性や剛性などの長所をそれほど損なうことなく、押し出し加工適性、ヒートシール適性、および低温時の衝撃強さなどを向上させることができる。
また、前記ポリプロピレン系樹脂で、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはエステル単量体などをグラフト重合する場合、グラフト成分の具体例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、クロトン酸、クロトン酸無水物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸マグネシウムなどが挙げられる。これらの中でも、コストおよびグラフト重合の容易さなどから無水マレイン酸をポリプロピレンにグラフト重合したポリプロピレン系樹脂を特に好ましく使用することができる。
【0023】
また、容器本体50を、中間層にガスバリヤー層を積層した多層構成の積層シートで形成する場合、中間層のガスバリヤー層には、シート成形の適性を考慮して、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと記載することがある)や、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのガスバリヤー性樹脂を使用することが好ましい。
このような積層シートは、多層共押し出し成形により作製することが生産性、経済性に優れる点で好ましく、最内層及び最外層の耐熱性ポリオレフィン系樹脂層と中間層のガスバリヤー層との間には、必要に応じて接着性を向上させるために、更に接着性樹脂層を設けることができる。このような接着性樹脂層としては、例えば、ポリプロピレン系アドマー〔商品名、三井化学(株)製〕などを好適に使用することができる。
このような積層シートをトレー状の容器にシート成形する方法は、公知のプラグアシストを用いた真空成形法のほか、圧空成形法、圧空真空成形法などいずれも使用することができる。
【0024】
図2は、本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器に用いる蓋材の一例の構成を示す平面図であり、図1に示した形状の容器本体に好適に使用できる蓋材の一例の構成を示す平面図である。
図2に示した蓋材60は、積層フィルムを打ち抜いて作製したものであり、容器本体の上部を覆って、そのフランジ部の外周縁に熱接着され、開口部を閉鎖する閉鎖部8と、その外周の一端に、容器本体のフランジ部の外周から外側に突出するように設けられたつまみ部9とで構成されている。
このような蓋材60の閉鎖部8は、容器本体のフランジ部の外形と略同じ寸法に形成され、その周縁部に破線で示した熱接着領域10で、容器本体のフランジ部の穴の外側の外周縁に熱接着して容器を形成する。
そして、容器を開封する際には、つまみ部9を指でつまんで蓋材60を上方に引き剥がして開封するものである。
【0025】
このような蓋材60に用いる積層フィルムは、簡単には、引っ張り強度などの機械的強度及び耐熱性、耐水性などに優れた基材フィルムに、容器本体のフランジ部表面に熱接着可能なシーラント層を積層した構成の積層フィルムも使用できるが、内容物の保存性を高めるためには、容器本体の積層シートと同様に、ガスバリヤー性を有することが好ましく、そのためには例えば、外側から、基材フィルム/ガスバリヤー層/シーラント層を順に積層したような構成の積層フィルムを使用することができる。
【0026】
前記基材フィルムとしては、前記性能を有するフィルムであれば特に限定はされないが、性能と共に経済性を考慮した場合、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、OPETフィルムと記載する)、二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルムと記載する)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムと記載する)などを好適に使用することができる。
【0027】
前記ガスバリヤー層としては、蓋材の場合、成形を行わないため成形性は必要ではなく、選択範囲を広げることができ、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルムやMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)の延伸フィルムのほか、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウムなどの無機酸化物の蒸着層をOPETフィルムなどの耐熱性基材フィルムに設けた蒸着フィルムなどを使用することができる。
【0028】
前記無機酸化物の蒸着層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などのPVD法、或いはプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法などのCVD法により基材フィルム上に形成することができ、その厚みは100〜1000Åの範囲が適当である。
このような無機酸化物の蒸着層は、単独の層で形成してもよいが、複数の層で形成することもでき、それによりガスバリヤー性を一層向上させることができる。
また、前記無機酸化物の蒸着層は、その接着性を向上させ、或いは亀裂などの損傷を防止して優れたガスバリヤー性を有効に発揮させるため、その上下の面に接着性向上層、保護層、ガスバリヤー性向上層などの目的で、反応型アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シランカップリング剤を含有させたアクリル系樹脂、金属アルコキシドを含有させた水溶性高分子、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物などの樹脂層を設けて複合層としてガスバリヤー層を形成することもできる。
【0029】
前記シーラント層としては、例えば、蓋材60を容器本体50のフランジ部4に強シールする場合は、フランジ部4の表面に使用した樹脂に合わせて、前述したポリプロピレンのほか、ポリプロピレン系共重合樹脂などの耐熱性ポリオレフィン系樹脂のいずれかを選択して使用すればよく、また、イージーピール性を付与する場合は、これらにポリエチレンや無機充填剤を10〜30質量%程度の範囲で混練した樹脂を使用することができる。
【0030】
また、前記基材フィルム/ガスバリヤー層/シーラント層の各層の積層は、特にシーラント層は、その樹脂をTダイで押し出しコートして積層することもできる。その場合、積層面には必要に応じて接着性を向上させるため、アンカーコートを施すことができる。
また、シーラント層の樹脂を予めフィルム状に製膜して用意することにより、基材フィルム、ガスバリヤー層、シーラント層のいずれもをフィルム状に供給できるので、それぞれをドライラミネーション法、または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)で貼り合わせることができる。
ドライラミネーション法で貼り合わせる場合は、上記各層の間に接着剤として、例えば、二液硬化型ポリウレタン系接着剤など、公知のドライラミネート用接着剤を使用して貼り合わせることができる。
押し出しラミネーション法で貼り合わせる場合は、上記各層の間に接着層として、耐熱性の接着性樹脂、例えば、ポリプロピレン系アドマー〔商品名、三井化学(株)製〕や、エチレン−メタクリル酸共重合体などのエチレン系共重合体を両側の層の間に膜状に溶融押し出して、圧着、冷却する方法で積層することができる。
また、容器に絵柄や文字などの印刷を施す場合は、蓋材60に印刷することが簡便であり、通常、基材フィルムを貼り合わせる前に、その内側の面、即ち、貼り合わせ面に裏刷り方式で印刷することが好ましい。
【0031】
次に、図3は、本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器を用いて米飯類を炊飯する際の容器の状況を説明する模式縦断面図であり、具体的には、図1の(イ)、(ロ)に示した構成の容器本体50に、被炊飯物Fとして、例えば洗米した米と水を適量ずつ充填し、その上に図2に示した構成の蓋材60を被せ、リングシーラーを用いて、その熱接着領域10で、容器本体50のフランジ部4の穴6a 、6b 、6c 、6d の外側の外周縁にヒートシールして、蓋材60を取り付けた後、それを炊飯用のマイクロウェーブ加熱装置に導入して、炊飯工程の加熱を行い、被炊飯物F中の水が沸騰し始めた時の状態を示す図である。
【0032】
即ち、マイクロウェーブ加熱により、容器内の被炊飯物Fの温度が徐々に上昇し、被炊飯物F中の水が沸騰し始める。沸騰が始まると、発生する蒸気量が急激に増え、容器内の圧力が高くなり、蓋材60が上方に持ち上がると共に、フランジ部4に設けた穴6a 〜6d から蒸気が下方に向けて排出される。この時、蒸気と共に炊き汁も一部が吹きこぼれて排出される。
但し、図3は、穴6b と穴6d の中心を通る対角線で容器を縦方向に分断した縦断面図で示したので、穴6a 〜6d のうち、穴6b 、6d のみが図示されている。
また、炊飯工程は、前述したように、沸騰が始まるまでの加熱工程とその後の10分間程度の蒸らし工程の繰り返しで行われ、沸騰が始まった段階でマイクロウェーブの出力調整を行って蒸らし工程が行われる。このように炊飯工程に沸騰を組み込むことにより、粒立ちがよくふっくらと炊き上げられるようにしたものである。
【0033】
図4は、本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器の一実施例の構成を説明する模式縦断面図であり、容器で米飯類を炊飯した後、フランジ部の穴をシール材で封止して容器を密封した後の構成を説明する模式縦断面図である。
即ち、図4に示した米飯類の炊飯及び密封包装用容器100は、図1の(イ)、(ロ)に示した構成の容器本体50に、被炊飯物Fとして、例えば洗米した米と水を適量ずつ充填し、その上に図2に示した構成の蓋材60を被せ、リングシーラーにより、熱接着領域10で、容器本体50のフランジ部4の穴6a 、6b 、6c 、6d の外側の外周縁にヒートシールして蓋材60を取り付け、次いで、それを炊飯用のマイクロウェーブ加熱装置に導入して炊飯を行った後、無菌室に導入して、フランジ部4の下面の穴6a 〜6d を含むその周辺部を、蓋材60を上側からフランジ部4に押し付けた状態で蒸気または無菌水を吹き付けて洗浄し、また、容器内の空気を前記穴6a 〜6d を利用して窒素ガスまたは炭酸ガスなどの不活性ガスとガス置換し、次いで、その穴6a 〜6d が、それぞれシール材70で熱接着により封止され、容器全体が密封されて構成されている。
【0034】
前記穴6a 〜6d を封止するシール材70としては、先にも簡単には説明したが、基本的には蓋材60と同様な構成の積層フィルムを使用することができる。只、シール材70は寸法が比較的小さく、蓋材60のように熱接着した後、開封のために剥がす必要もないため、強度自体はそれほど必要ではなく、例えば、外側から基材フィルム/ガスバリヤー層/シーラント層を順に積層したような構成で、基材フィルムなどの厚みは薄くすることができる。また、シーラント層に関しても、イージーピール性は不要であり、強シールでよく、容器本体のフランジ部下面に使用した樹脂に合わせて、無延伸のポリプロピレンやポリプロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂を使用することができる。
【0035】
尚、前記容器のシール材70による密封は、前述したように雑菌などの混入を防止するため、被炊飯物Fの温度が冷めない間に行うことが好ましく、そうすると被炊飯物Fが室温に冷めた時に、容器内はガスなどの収縮により減圧状態となるが、蓋材60が柔軟性を有する積層フィルムで形成されているので、図示したように内側に引き込まれた形状となって減圧が吸収され、容器本体50に変形が生じることは防止される。
このような蓋材60の内側に引き込まれた形状は、密封性が保たれていることの証明にもなり、シール漏れなどの不良判別の手段としても利用できる。
【0036】
以上、本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器について、容器本体が、図1の(イ)、(ロ)に示すように、フランジ付きのトレー状容器で、側壁面1と底面2とで形成される成形凹部3がテーパー付きの角形となる容器を例として説明したが、容器本体の形状は、特に限定はされず、例えば、横断面が円形や楕円形となるテーパー付きの丸形の容器であってもよい。
【0037】
【実施例】
次に、本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器について、実施例を示して更に具体的に説明する。
【0038】
(実施例1)
図4に示した構成の米飯類の炊飯及び密封包装用容器を作製することとし、容器本体50と、蓋材60、シール材70を以下の構成及び寸法で作製して実施例1の米飯類の炊飯及び密封包装用容器とした。
(1)容器本体50は、図1の(イ)、(ロ)に示した構成の容器を、下記の積層構成の積層シートを用いて、圧空真空成形法により下記の寸法となるように成形して作製した。
(a)成形用積層シートの構成
(外側)ポリプロピレン系樹脂層(厚み485μm)/接着性樹脂層(厚み20μm)/EVOH層(厚み90μm)/接着性樹脂層(厚み20μm)/ポリプロピレン系樹脂層(厚み485μm)(総厚は1.1mm)
上記積層シートは、最外層と最内層のポリプロピレン系樹脂層には、プロピレン−エチレン共重合体(エチレン含有量は10モル%以下)を用い、また、接着性樹脂層には、ポリプロピレン系アドマー〔商品名、三井化学(株)製〕を用いて、多層共押し出し成形法で作製したものである。
(b)容器本体50の寸法
容器の上面(開口部5)は、四隅に丸みを付けた長方形状で長辺側の最大長さが160mm、短辺側の最大長さが90mm、容器の底面2は、同様に四隅に丸みを付けた長方形状で長辺側の最大長さが150mm、短辺側の最大長さが80mmとし、容器の深さは25mmとなるようにテーパー付きの成形凹部3を成形し、また、容器の開口部周囲のフランジ部4は、四隅のコーナー部以外は、最低でも幅が7mmとなるように形成し、四隅のコーナー部には、それぞれ直径6mmの円形の穴6a 〜6d を設けると共に、フランジ部4の外周縁には蓋材の熱接着予定部7として、少なくとも4mm幅のスペースが設けられるように形成した。
尚、この容器本体50の満杯容量は300mlである。
【0039】
(2)蓋材60は、最終的には図2に示した構成、即ち、容器本体50のフランジ部4の外形に沿う形状の閉鎖部8と、その四隅のコーナー部のうち、一隅のコーナー部に外側に突出するように設けられたつまみ部9とを有する構成に打ち抜いて形成されるが、蓋材60に柔軟性を有する積層フィルムを使用する場合、通常、ロール状に巻き上げた蓋材60を充填シール装置に供給し、充填シール装置で容器本体50に被炊飯物を充填した後、その上に蓋材60を引き出して被せ、容器本体50のフランジ部4の外周縁の蓋材の熱接着予定部7に、例えば、リングシーラーで熱接着し、次いで、前記閉鎖部8とつまみ部9を有する構成に打ち抜く方法で形成される。
従って、蓋材60としては、外側からOPETフィルム(厚み12μm)・印刷層/接着剤/MXD6の二軸延伸フィルム(厚み15μm)/接着剤/イージーピール性シーラントフィルム(厚み25μm)を順に積層した積層フィルムを所定幅にカットして巻き上げたロール状の蓋材60を用意した。
【0040】
上記蓋材60の構成において、中間層のMXD6の二軸延伸フィルムは、ガスバリヤー層兼強度向上層として積層したものである。
前記イージーピール性シーラントフィルムとしては、プロピレン−エチレン共重合体(エチレン含有量7モル%)にポリエチレンを13質量%と無機充填剤として炭酸カルシウムを10質量%混練した樹脂をインフレーション成形法で厚み25μmに製膜したフィルムを用いた。
また、各フィルムの間の接着剤には、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、それぞれのフィルムをドライラミネーション法で貼り合わせたものである。
【0041】
(3)シール材70としては、外側からOPETフィルム(厚み12μm)/接着剤/MXD6の二軸延伸フィルム(厚み15μm)/接着剤/プロピレン−エチレン共重合体(エチレン含有量7モル%)フィルム(厚み25μm)を順に積層した積層フィルムを所定幅にカットして巻き上げたロール状のシール材70を用意した。
このシール材70は、前述したように、炊飯後の容器本体50のフランジ部4の下面のそれぞれの穴6a 〜6d を含む周辺部を洗浄した後、例えば、それぞれの穴の周囲にリング状に熱接着して穴を封止すると同時に、その外側を打ち抜く方法で使用される。
また、この場合も各フィルムの間の接着剤には、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、それぞれのフィルムをドライラミネーション法で貼り合わせたものである。
【0042】
(実施例2)
前記実施例1の米飯類の炊飯及び密封包装用容器の構成において、容器本体50のフランジ部4の四隅のコーナー部に設けた円形の穴6a 〜6d を、対角線状に対向する位置の穴6a と穴6c の二箇所のみに変更して設けると共に、それぞれの円形の穴6a 、6c の直径を10mmに変更して設けたほかは、総て実施例1と同様に形成して実施例2の米飯類の炊飯及び密封包装用容器を作製した。
【0043】
(比較例1)
前記実施例1の米飯類の炊飯及び密封包装用容器の構成において、容器本体50のフランジ部4の四隅のコーナー部に設けた穴6a 〜6d を全部取り除き、穴の代わりに、蓋材60の容器本体のフランジ部4への熱接着を、被炊飯物の炊飯前には、四隅のコーナー部に蒸気抜き口としてそれぞれ長さが15mmの非シール部を設けた形状に変更して熱接着し、被炊飯物の炊飯後に前記非シール部を熱接着して容器を密封する構成に変更したほかは、総て実施例1と同様に形成して比較例1の米飯類の炊飯及び密封包装用容器を作製した。
この場合、穴を設けていないので、当然、穴を封止するシール材70は不要である。
【0044】
〔炊飯及び密封試験とその結果〕
以上のように作製した実施例1、2および比較例1の各米飯類の炊飯及び密封包装用容器を試料として、以下の方法で米飯類の炊飯と、炊飯後の容器の密封を行い、その結果を比較評価した。
実施例1、2および比較例1の各米飯類の炊飯及び密封包装用容器の容器本体に、それぞれ被炊飯物Fとして、洗米した米104gと無菌水120gを充填し、実施例1、2の容器本体には、そのフランジ部4の穴の外側の外周縁、即ち、蓋材の熱接着予定部7に前記蓋材60を熱接着し、また、比較例1の容器本体には、前述したように、そのフランジ部の四隅のコーナー部にそれぞれ長さが15mmの非シール部を設けるように蓋材60を熱接着した後、それぞれの包装体をマイクロウェーブ加熱方式の炊飯装置に導入して、前述した沸騰し始めるまでの加熱と、その後の10分間の蒸らしを1セットとする炊飯操作を2回繰り返して行い炊飯工程を終了した。
上記炊飯操作の際、実施例1、2の包装体では、フランジ部の穴から蒸気の排出と共に炊き汁の一部が吹きこぼれた。また、比較例1の包装体では、フランジ部の四隅のコーナー部に設けた蓋材60の非シール部、即ち、フランジ部と蓋材の隙間から蒸気の排出と共に炊き汁の一部が吹きこぼれた。
【0045】
炊飯工程を終了した実施例1、2及び比較例1の各包装体を無菌室に導入し、実施例1、2の包装体は、フランジ部下面の穴を含むその周辺部に付着する炊き汁を、蓋材を上側からフランジ部に押し付けた状態で、下方から蒸気を吹き付けて洗浄した。また、比較例1の包装体は、蓋材の非シール部の外側端部周辺部を、蓋材を上側からフランジ部に押し付けた状態で、蒸気を吹き付けて洗浄した。次いで、各包装体の内部の空気を炭酸ガスとガス置換した後、実施例1、2の包装体は、フランジ部の穴を下側から覆うように、予め殺菌したシール材70をフランジ部下面の穴の周囲に熱接着して容器を密封し、無菌包装米飯を作製した。
また、比較例1の包装体については、ガス置換した後、フランジ部の四隅のコーナー部に設けた蓋材の非シール部を、先に熱接着した蓋材のヒートシール部と連続するように熱接着して無菌包装米飯を作製した。
【0046】
以上のように作製した実施例1、2及び比較例1の無菌包装米飯について、(1)米飯の炊き上がり状態と、(2)炊飯後の容器の密封性について評価した結果、(1)米飯の炊き上がり状態については、実施例1、2及び比較例1の各容器とも、マイクロウェーブ加熱方式の炊飯装置で「沸騰状態を含む加熱と蒸らし」の繰り返しによる炊飯条件で、米飯を炊飯することができたので、いずれも米の粒立ちがよく、ふっくらとした状態で均一に炊き上げることができた。
また、(2)炊飯後の容器の密封性に関しては、実施例1、2の容器では、フランジ部に設けた穴を、その周囲にシール材70を熱接着して封止する前に、フランジ部下面の穴を含むその周辺部に付着した炊き汁を、蓋材を上側からフランジ部に押し付けた状態で、下方から蒸気を吹き付けて洗浄し取り除くことができたので、シール材70の熱接着性が損なわれることもなく、確実にシール材70を熱接着して容器を密封することができた。
これに対して、比較例1の容器は、炊飯の際の蒸気抜き口が、蓋材60をフランジ部に熱接着する際に、四隅のコーナー部に設けた非シール部であるため、炊飯の際に吹きこぼれた炊き汁がこの部分に付着し、洗浄しても取り除くことができず、最終的に非シール部を熱接着した際、熱接着が不安定になり、容器の密封性が劣っていた。
尚、実施例1、2の容器は、ガスバリヤー性にも優れるため、密封後の包装体を常温で3か月間保存した後も米飯の変色や味の劣化などが殆どなく、保存性にも優れていた。また、蓋材60のシーラント層には、イージーピール性のシーラントを使用しているので、開封の際にも、比較的容易に蓋材60を、そのつまみ部9をつまんで引き剥がして開封することができ、容器の使い勝手の面でも優れていた。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、米飯類を、一食分などの量で炊飯し、且つその容器で密封して常温流通、或いは、長期保存が可能な炊飯及び密封包装に用いる容器であって、炊飯から密封までの工程で、炊飯後の工程を無菌室で行えばよく、それでいて、落下菌などによる汚染の懸念がなく、且つ、マイクロウェーブ加熱などにより、内容物が沸騰し、吹きこぼれを生じるような炊き方をしても、炊飯後、安定した熱シールにより容器を密封することができ、また、米飯類を粒立ちがよくふっくらとした状態に美味しく炊き上げることができ、更に容器を開封する際にも、蓋材を容易に引き剥がして開封することができる米飯類の炊飯及び密封包装に用いる容器と、その容器を用いて製造された無菌包装米飯類を経済性及び生産性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器に用いる容器本体の一例の構成を示す図であり、(イ)は正面図、(ロ)は平面図である。
【図2】本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器に用いる蓋材の一例の構成を示す平面図であり、図1に示した形状の容器本体に好適に使用できる蓋材の一例の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器を用いて米飯類を炊飯する際の容器の状況を説明する模式縦断面図である。
【図4】本発明の米飯類の炊飯及び密封包装用容器の一実施例の構成を説明する模式縦断面図であり、容器で米飯類を炊飯した後、フランジ部の穴をシール材で封止して容器を密封した後の構成を説明する模式縦断面図である。
【符号の説明】
1 側壁面
2 底面
3 成形凹部
4 フランジ部
5 開口部
6a 、6b 、6c 、6d 穴
7 蓋材の熱接着予定部
8 閉鎖部
9 つまみ部
10 熱接着領域
50 容器本体
60 蓋材
70 シール材
F 被炊飯物
100 米飯類の炊飯及び密封包装用容器

Claims (4)

  1. 米飯類の炊飯及び密封包装に用いる容器であって、該容器が、上部が開口し、該開口部周縁に外向きのフランジ部を備え、且つ、該フランジ部には、炊飯時に発生する蒸気を外部に逃がすための1個以上の穴が設けられたトレー状の容器本体と、該容器本体の上部を覆い、該フランジ部の穴の外側の外周縁に熱接着される蓋材と、米飯類の炊飯後、該フランジ部に設けられた穴の周囲のフランジ部の裏面に熱接着して該穴を封止するシール材とで形成されると共に、少なくとも前記容器本体と蓋材とは、炊飯時の加熱に耐える耐熱性と耐水性を有することを特徴とする米飯類の炊飯及び密封包装用容器。
  2. 前記容器本体と蓋材とシール材が、それぞれガスバリヤー性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の米飯類の炊飯及び密封包装用容器。
  3. 前記蓋材がイージーピール性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の米飯類の炊飯及び密封包装用容器。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された米飯類の炊飯及び密封包装用容器を用いて製造された無菌包装米飯類。
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