JP4716368B2 - 電子レンジ加熱用包装容器 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された電子レンジ加熱用容器は、容器本体の開口部を被覆する蓋材に通気口を設け、更にこの通気口を覆うように被覆体を貼付したものであり、容器の内圧が一定値以上になると、通気口を覆う被覆体が剥がれ、露出した通気口から蒸気が外部に放出される。
しかしながら、この電子レンジ加熱用容器では、露出した通気口から蒸気が外部に一気に放出され、これにより容器の内圧が急激に低下してしまうため、食材の加圧調理を行うことができなかった。
図1は本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器の概略断面図であり、図2は図1の部分拡大図である。
基材(5)は三層構造となっている。三層構造の具体例としては、例えば下層から順に、ポリプロピレン層/ガスバリア層/ポリプロピレン層、或いはポリエチレン層/ガスバリア層/ポリエチレン層という構造を例示することができる。このとき、ガスバリア層としては、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を用いる構成を例示することができる。
剥離層(6)としては、例えば高密度ポリエチレン樹脂を用いることができる。
内蓋(7)としては、基材(71)の両面にシーラント層(72)を有する合成樹脂フィルムが用いられる。基材(71)としては、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を用いることができ、シーラント層(72)としては、LLDPE、ポリプロピレン等を用いることができる。
外蓋(8)としては、基材(81)の片面に、接着剤層(82)を介してイージーピールフィルム(83)をドライラミネートした構造を有する合成樹脂フィルムが用いられる。基材(81)としては、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を用いることができ、イージーピールフィルム(83)としては、ポリプロピレン系のイージーピールフィルムやポリエチレン系のイージーピールフィルムを用いることができる。
尚、本発明においては、外蓋(8)を三層構造(接着剤層は層数にカウントせず)とする構成(例えば、基材とイージーピールフィルムの間にガスバリア層を介在させる構成等)も好適に採用することができる。
図示の如く、内蓋(7)にはその中心に円形穴からなる通気口(9)が形成されている。この通気口(9)は後述する如く蒸気の通路となるものである。一方、外蓋(8)には通気口は形成されていない。
このとき、内蓋(7)と外蓋(8)は、全面に亘って接着されるのではなく、少なくとも容器本体(1)の開口部周縁を含む一部分においてのみ接着され、他の部分においては接着されない。
図4(a)の例は、容器本体(1)の開口部周縁のみにおいて内蓋(7)と外蓋(8)を接着した例であり、図4(b)の例は、開口部周縁に加えてそれ以外の部分も接着した例である。
尚、本発明においては、開口部周縁以外の接着部を別の形状とすることも可能であるが、接着部は内蓋(7)の通気口(9)の位置を避けて形成することが必要である。これは、接着部によって内蓋(7)の通気口(9)の周囲が外蓋(8)と密着してしまうと、後述する蒸気放出時において内蓋(7)と外蓋(8)の間に蒸気を溜めることができなくなり、蒸気放出抑制効果が発揮できなくなるためである。
本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器を使用する際には、先ず容器本体の中に調理済もしくは半調理済の食材を収容した後、容器本体の開口部周縁において、容器本体に対して蓋材をヒートシールすることによって、食材が内部に密封された容器を製造する(図1参照、食材の図示は省略している)。
そして、このように製造された食材入りの容器を購入した利用者は、容器を電子レンジに入れて加熱する。
そして、剥離部分が閉じると、内蓋(7)と外蓋(8)の間の圧力が再び上昇するため、剥離部分が再度開いて蒸気が外部へと放出される(図6参照)。
これにより、蒸気の放出が一気に起こることがなく間欠的なものとなるため、蒸気の急激な放出が抑制される。その結果、蒸気放出による内圧の低下を低く抑えることができ、食材を良好に加圧調理することが可能となる。
図8は、図4(b)に示すように、内蓋(7)と外蓋(8)とを開口部周縁以外の部分においても接着した蓋材(2)を用いた場合の作用を示す図である。尚、図8は図4(a)の蓋材を用いた場合の図5の状態に相当する図である。
この場合、内蓋(7)と外蓋(8)の密着性が高くなるため、内蓋(7)と外蓋(8)の間の圧力が低下して剥離部分が閉じたとき(図7の状態に相当)の密封性が向上し、蒸気の放出をより効果的に抑制することが可能となる。
1.サンプルの作成
(A)実施例サンプル
容器本体として、基材がポリプロピレン層/ガスバリア層(エチレン−ビニルアルコール共重合体)/ポリプロピレン層の三層構造からなり、剥離層が高密度ポリエチレン樹脂からなる合成樹脂をカップ状に成形したもの(容積250cc)を用いた。
蓋材としては、内蓋がナイロンからなる基材の両面にLLDPEからなるシーラント層を設けたもの、外蓋がナイロンからなる基材の片面に接着剤層を介してポリエチレン系のイージーピールフィルムをドライラミネートしたものを用い、内蓋と外蓋は周縁部のみにおいてイージーピールフィルムを介してヒートシールにより接着した。
上記容器本体の開口部周縁に上記蓋材をヒートシールにより接着することにより、図1乃至図4に示した構造を有する実施例サンプルを得た。
(B)比較例サンプル
市販の電子レンジ加熱用包装袋を比較例サンプルとして用いた。
この比較例サンプルの袋は、寸法が長さ220mm×幅155mm、素材の構成がナイロン15μm/DL/レトルトCPP50μmであり、袋の略中央においてナイロン層に直径10mmの円形穴が設けられているものである。
実施例及び比較例サンプルに水道水100ccを入れた後、ヒートシールを施して内部を密封し、これを電子レンジ(RE−S100:シャープ株式会社製)に入れて加熱し、容器及び袋内の圧力を測定した。
容器及び袋の内圧は、容器及び袋内に挿入した耐圧ホースを介して外部に設置した圧力計(PGHデジタル圧力計:株式会社モルテン製)により測定した。
実施例及び比較例サンプルについて、蒸気放出前の最高圧力と蒸気放出後の平均圧力(蒸気放出開始後から完了までの平均圧力)の測定結果を表1に示す。尚、表中の測定値は、室内圧(大気圧)との圧力差(bar)で示されている。
この実験結果から、本発明に係る電子レンジ加熱用包装容器は、従来の電子レンジ加熱用包装袋に比べて蒸気が一気に放出されることを抑制する蒸気放出抑制効果が高く、蒸気放出後も内部を高圧に維持することができることが確認された。
2 蓋材
7 内蓋
8 外蓋
9 通気口
11 開口部
83 イージーピールフィルム
Claims (2)
- カップ状の容器本体と、該容器本体の開口部周縁に沿ってヒートシールされて該開口部を被覆する蓋材とからなる電子レンジ加熱用包装容器であって、該蓋材は内蓋と外蓋の二層構造とされており、該内蓋と外蓋は、少なくとも前記開口部周縁を含む一部分においてのみ接着されるとともに、該開口部周縁においてはイージーピールフィルムを介して接着され、前記内蓋は前記接着部分以外の部分である内蓋中心のみに通気口を有しており、電子レンジにより食材を収容した容器が加熱された時、食材から発生した蒸気が前記通気口を通って内蓋と外蓋との間に入り込み、内蓋と外蓋の間の蒸気圧が一定値以上になると、内蓋と外蓋との接着がイージーピールフィルムが介装された開口部周縁において一部剥離し、この剥離部分から蒸気が間欠的に外部に放出されることを特徴とする電子レンジ加熱用包装容器。
- 前記内蓋と外蓋が、前記開口部周縁以外の部分においても接着されていることを特徴とする請求項1記載の電子レンジ加熱用包装容器。
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