JP2005056927A - ケーブルのクランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】クランプを取付けるべき取付穴の位置が異なる場合でも、クランプに複数個のクリップを配設することにより、ケーブルの長さを所定の必要最小限の長さで対応可能とすることにある。
【解決手段】ケーブル30を把持したクランプ1を所定の取付部位の取付穴にクリップ嵌合により取付けるに当たって、該所定の取付部位の取付穴の位置がケーブル30の配索使用位置によってケーブル30の配索軸方向に所定間隔だけ異なっている場合に適用するケーブル一体型のクランプ1であって、前記ケーブル30を把持するクランプ1のケーブル軸方向の長さを前記取付部位の取付穴の所定間隔以上に形成し、該クランプ1に前記取付部位の取付穴の所定間隔に対応させてクリップ20a、20bを設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】ケーブル30を把持したクランプ1を所定の取付部位の取付穴にクリップ嵌合により取付けるに当たって、該所定の取付部位の取付穴の位置がケーブル30の配索使用位置によってケーブル30の配索軸方向に所定間隔だけ異なっている場合に適用するケーブル一体型のクランプ1であって、前記ケーブル30を把持するクランプ1のケーブル軸方向の長さを前記取付部位の取付穴の所定間隔以上に形成し、該クランプ1に前記取付部位の取付穴の所定間隔に対応させてクリップ20a、20bを設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブルのクランプに関する。特に、ケーブル一体型のクランプに関し、クランプを取付けるべき取付穴の位置が異なる場合でもケーブルの長さを長くすることなく共用化することのできるケーブル一体型のクランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
ケーブルなどのワイヤーハーネス類を自動車等車両の車体に配索する場合には、束ねられたケーブルを所定の軸方向位置においてクランプで保持して、クランプに設けられたクリップを車体の所定の取付位置に穿けられた取付穴に嵌め込むことにより、ケーブルを車体に対して配索して取り付けている。
ところで、この種のケーブルの配索において車両の左右対称位置に同種のケーブルを配索することが行われる事がある。例えば、ABS(Antilock Brake System)用ケーブルがある。ABS用ケーブルは左右の車輪の回転速度を検出して制御装置であるコンピュータに送信するために配索されるものであり、通常は自動車のエンジンルーム内の左右の車体に沿って配索される。このABS用ケーブルをクリップを有するクランプにより車体の取付穴に取付ける場合に、その取付穴の位置が左右での配索状態で少しケーブルの軸方向に異なる事がある。図4がかかる状態の場合を示している。図4の場合、左側のケーブル30の取付穴の位置と右側のケーブル30の取付穴の位置とはCだけ間隔が離れて設定されている。これはエンジンルーム内には各種の機器が配設されて取付けられたり、他のケーブルの配索等との関係により、止むを得ず生じることがあるものである。
【0003】
従来汎用のクランプには1個のクリップしか設けられていないため、左右で取付穴の位置が異なる場合には、クリップを取付けたクランプと所定長さのケーブルとを一つの組立体、すなわちケーブル一体型クランプとして取扱う場合には、二種類の組立体として取扱わなければならないと言う問題がある。すなわち、左側に配索するケーブルの組立体と右側に配索するケーブルの組立体とを、その異なる取付穴の位置に対応させたケーブルとクランプの組立状態とすることが必要で、このため左右別々の二種類の組立体を設定する必要があった。しかしこの様な組立体とすることによって配索するケーブルの長さは所定の必要最小限の最短の長さとすることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−19015号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来は、例えば左右で取付穴の位置が多少異なっている場合で、そのケーブルの長さを必要最小限の最短の長さとするときには、二種類の組立体が必要となり、その組立体の部品管理が煩わしくなるという問題があった。この問題を解決する手法として、図4に示すように、ケーブル30が配索されるコネクタ3と4との間の長さを、必要とする所定の最短長さより取付穴50aと50bとが離れた間隔C分だけ長く形成して、これに一個のクリップを有するクランプ2を取付けて組立体とする事が考えられる。この方法によるときには、一種類の組立体で図4の左右の配索を行うことができる。すなわち、図4で見て左側のケーブル30の配索状態では下方のクランプ2とコネクタ4との間は弛みをもった状態となり、また、図4で見て右側のケーブル30の配索状態ではクランプ2と上方のコネクタ3との間は弛みをもった状態となるが、左右とも一種類のケーブル一体型クランプ組立体で対応可能となる。
【0006】
しかし、この方法によるときには、いずれの配索状態においても、ケーブルのどこかで弛みが生じるため、ケーブルの配索上ケーブルの長さに無駄があるとともに、弛み部分が振動等により他の機器や他のケーブルと干渉して異音の発生原因となると言う問題がある。また、損傷を生じる恐れもあったり、更には、弛み部分に他の機器が配置される場合にはこの手法自体が取れないということもある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、クランプを取付けるべき取付穴の位置が異なる場合でも、クランプに複数個のクリップを配設することにより、ケーブルの長さを所定の必要最小限の長さで対応可能とすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の各発明は次の手段をとる。
先ず、本発明の第1の発明に係るケーブルのクランプは、次の手段をとる。すなわち、ケーブルを把持したクランプを所定の取付部位の取付穴にクリップ嵌合により取付けるに当たって、該所定の取付部位の取付穴の位置がケーブルの配索使用位置によってケーブルの配索軸方向に所定間隔だけ異なっている場合に適用するケーブル一体型のクランプであって、前記ケーブルを把持するクランプのケーブル軸方向の長さを前記取付部位の取付穴の所定間隔以上に形成し、該クランプに前記取付部位の取付穴の所定間隔に対応させてクリップを設けたことを特徴とする。
この第1の発明によれば、ケーブルを把持するクランプのケーブル軸方向の長さを取付部位の取付穴の所定間隔以上に形成し、このクランプに取付部位の取付穴の所定間隔に対応させてクリップを設けているため、異なる取付位置に設けられた取付穴に、それぞれこの取付穴に対応させて設けたクランプのクリップを選択して嵌合させて取付けることができる。これにより一種類のケーブル一体型クランプ組立体により対応することができ、かつ、ケーブルに弛みを生じることなく所定の必要最小限の長さで配索することが可能となる。
【0009】
次に、本発明の第2の発明に係るケーブルのクランプは、次の手段をとる。すなわち、上述した第1の発明に係るケーブルのクランプにおいて、ケーブルを把持するクランプはケーブルの周方向には相対回転可能とされるが、軸方向には相対移動不可とされて取付けられていることを特徴とする。
この第2の発明によれば、上述の第1の発明による機能に加えて、次のような機能を有する。すなわち、この第2の発明は、ケーブルを把持するクランプはケーブルの周方向に相対回転可能とすることでケーブル自体は捻じられることなくクリップを取付穴に嵌合して取付けることができる。なお、軸方向には相対移動不可とされて取付けられているのでケーブルとクランプの組立状態が軸方向にずれることはなく、クリップと取付穴の嵌合位置関係は正確に保たれる。
【0010】
次に、本発明の第3の発明に係るケーブルのクランプは、次の手段をとる。すなわち、上述した第1又は第2の発明に係るケーブルのクランプにおいて、ケーブルを把持するクランプは把持部位が断面コ字形状に形成されており、クリップがコ字形状の各面の何れかに所定の間隔を置いて別々に設けられていることを特徴とする。
この第3の発明によれば、上述の第1又は第2の発明による機能に加えて、次のような機能を有する。すなわち、この第3の発明は、把持部位が断面コ字形状に形成されているため、ケーブルをコ字形内部に把持することができる。また、クリップはコ字形状の各面の何れかに所定の間隔を置いて別々に設けられているため、クランプを選択されたクリップにより取付穴に嵌合して取付ける場合、他のクリップはクランプの他の面にある事から、その取付けに当たって邪魔となることがない。したがって、その取付けを容易に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るケーブルのクランプの実施の形態を、図1乃至図3に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態の斜視図、図2はクランプの取付状態の断面図、図3は異なる位置の取付穴にクランプが取付けられる場合の本実施の形態の場合の取付状態説明図である。
【0012】
本実施の形態は、従来の技術で説明したのと同様、ABS用ケーブルを自動車のエンジンルームの左右の車体に配索して取付ける場合のものである。図3に示すように、図示状態で見て左側のケーブル30が車体の左側に配索され、右側のケーブル30が車体の右側に配索されるものであり、両ケーブル30、30を車体Aに取付けるための取付穴50a、50bの穿設位置は左右でケーブル30の軸方向に間隔Cだけ離れて設定されている。
両ケーブル30、30の両端にはコネクタ3、3とコネクタ4、4が取付けられている。コネクタ4、4は左右の車輪の近傍に配設された回転速度センサーに接続されるものであり、コネクタ3、3は制御装置であるコンピュータに接続されるものである。左右の車輪の回転速度は回転速度センサーにより検出され、ケーブル30、30を通じてコンピュータに送信される。
ケーブル30、30の軸方向略中央位置に後で詳述するクランプ1、1が取付けられており、このクランプ1、1に2個のクリップが設けられている。したがって、本実施の形態のケーブル一体型クランプはクリップ20を有するクランプ1とケーブル30と両端のコネクタ3、4が一つの組立部品として組立てられた組立体として構成されている。
【0013】
次に、図1及び図2によりクランプ1の詳細構成を説明する。クランプ1は本体10とクリップ20とから成っている。本体10は本実施形態の場合は樹脂部材で形成されており、断面コ字形状に形成されている。本体10の図1で見て左右方向の長さは、前述の左右の取付穴50a、50bの離れた間隔Cの距離長さよりも長く形成されている。ケーブル30は断面コ字形状の本体10の内部に挿入嵌合されて位置する。この断面コ字形状の断面積の大きさは、挿入嵌合されるケーブル30の断面積や直径の大きさに応じて決められる。
断面コ字形状の本体10は、図1で見て上側の上板部位13と下側の下板部位15とこの両部位13、15を繋ぐ側板部位14とから形成されている。上板部位13と下板部位15の開口側の略中央位置には固定用凹部11が形成されている。この固定用凹部11は本体10内部に挿入嵌合したケーブル30を本体10に固定して取付けるためのものである。この固定用凹部11部分に帯状部材40を巻くことによりケーブル30を本体10内部に圧接状態として摩擦力により固定するものである。したがって、固定用凹部11の凹部形状はケーブル30を本体10に挿入嵌合した状態において、その凹部の底部位置から開口方向にケーブル30の外周部分が出る位置関係として形成されるものである。
【0014】
クランプ1の本体10の上板部位13と下板部位15の外面には従来汎用のクリップ20が一体的に設けられている。具体的には図1で見て、上板部位13の右方位置に第一クリップ20aが設けられており、下板部位15の左方位置に第二クリップ20bが設けられている。第一クリップ20aと第二クリップ20bとは、図1で見て、左右方向に所定間隔Cだけ離れて設けられているが、この間隔Cは図3で説明した左右の取付穴50a、50bの間隔Cと同じに設定されている。
なお、第一クリップ20aと第二クリップ20bは所定の間隔Cだけ離れて設けられるものであれば、本体10の同一部位13、14、15上に設けてもよいものであるが、後述する取付穴50a、50bへの取付上からすると、本実施の形態のように異なる部位13、14、15上に別々に設けるのがよい。すなわち、同一部位に設けられる時にはあるクリップ20を所定の取付穴50に嵌合させる際、他のクリップ20は突起物となって邪魔となるが、異なる部位に別々に設けられるときには邪魔となることがなく、その嵌合取付けを容易に行うことができる。
【0015】
また、クリップ20としては、普通には、嵌め込み作業が容易でかつ抜け防止力が強い形状のものが用いられるが、取付場所によっては、グロメットのようにネジ締め可能なものも用いることができる。クリップ20は別体で形成した後、本体10と結合させてもよいが、本体10と一体的に形成したほうが所定の強度が得られ、また生産性がよいため望ましい。
上述したクランプ1の本体10は、図4に示す従来のクランプ2の場合に較べ、少なくとも間隔Cの長さだけケーブル30の軸方向に長く形成される。このため、ケーブル30を固定するための面積をそれだけ広くとることができる。この結果、従来のクランプ2に比べてケーブル30をより確実に固定保持することができる。
【0016】
上述の説明から理解できるように、この実施の形態では、クランプ1の本体10が本発明でいう把持部位となっている。なお、クランプ1の本体10の断面形状はコ字形状である必要はなく、把持するケーブル30の形状に合わせて円形でもよいし、三角形又は四角形などの多角形であってもよい。また、前述した固定用凹部11以外の部位においては、角筒形状又は円筒形状などのように閉鎖した状態で形成されていてもよいが、一部の面が開放されていた方がケーブル30を本体10内部に挿嵌し易く作業性がよいため好ましい。
【0017】
更に、本体10に形成する固定用凹部11は、本体10に一体的に設けるクリップ20と重複しない位置に形成される。したがって、上述した本実施の形態では、固定用凹部11は本体10の略中央位置に一箇所のみ設けたが、構成上配置が可能であれば軸方向の両側位置に2ヶ所設けてもよい。また、片側位置の一箇所のみでもよい。いずれの位置に設けるにしてもケーブル30をクランプ1の本体10に対して軸方向に相対移動できないように固定できるものであればよい。また、固定用凹部11の形状も四角形に限らずケーブル30の一部を露出させることができるならばいかなる形状であってもよい。このとき、四角形、長方形及び台形などの多角形状を選択する場合にはその角部を丸く形成することが巻き作業時の作業者の保護を図る上からも好ましい。
【0018】
そして、この固定用凹部11に巻かれる帯状部材40の巻き回数は固定すべきケーブル30の数及び直径と作業効率とで適宜決定される。巻き作業自体は人の手により行ってもよいし、機械的に自動で行ってもよい。なお、帯状部材40としては布や皮製のほか樹脂製又は金属製のベルトを用いることができる。また、粘着性を有するテープなどの部材を用いるとケーブル30と本体10とを密着して固定することができより確実に固定することができる。更には、帯状部材40は上記本実施の形態のように本体10と別体で設けてもよいし、一体として設けてもよい。例えば、固定用凹部11にケーブル30を固定するためのベルトクランプを一体的に形成することもできる。また、本体10内部にケーブル30を直接接着して固定することもできる。
【0019】
なお、ケーブル30と本体10との取付け関係は、ケーブル30の軸方向には相対移動不可能とされるが周方向には相対回転可能とされるのが好ましい。例えば、図示は省略したが、クランプ1の本体10へのケーブル30の挿入嵌合状態をルーズな嵌合状態として周方向への相対回転は可能とするが、本体10の両端を挟むようにしてケーブル軸上に止具を一体的に取付けて軸方向の相対移動は不可能とする構成をとることができる。
【0020】
次に、上述したケーブル一体型クランプの車体への配索、及びその配索においてクリップの取付穴への嵌め込み状態について説明する。
ケーブル一体型クランプの車体Aへの配索作業は普通には自動車の組立生産ライン中に行われるものである。このため配索作業にあったては、クリップ20によるワンタッチ嵌合によりケーブル30を取付けて組立ての迅速化を図るようにしている。この組立作業を迅速に行うため、配索するためのケーブルはそれに取付けられるクランプやコネクタを予め組付けた一つの組立部品の組立体として生産組立ラインに供給されるようになっている。
従来の図4に示すクランプ2の組立体においては、左右の各取付穴50a、50bが一定間隔を有して設けられている場合には、前述したように一種類のケーブル組立体で対応しようとする場合には、ケーブル30の長さを必要以上に長くした組立体を使用することで左右の各取付穴50a、50bの位置に対応することとしていた。
一方、上記本実施の形態におけるクランプ1の組立体では、図3に示す通り、左右の各取付穴50a、50bが一定間隔を有して設けられている場合であっても、ケーブル30の所定の配索距離に対応した一種類の組立体で対応することができる。すなわち、クランプ1の本体10には各取付穴50a、50bの間隔に対応して複数のクリップ20が設けられており、そのいずれかを選択して各取付穴50a、50bに嵌合させることができる。
【0021】
上記内容を更に次に詳述する。本実施の形態との差異を明確に説明するために、先ず、図4を用いて従来のクランプ2を用いた取付状態について説明する。なお、ここで従来のクランプ2は本体10に一つのクリップのみを有するのものである。図4の左側の状態図は車体Aの左側に配索されるケーブル30の組立体を示しており、右側の状態図は車体Aの右側に配索されるケーブル30の組立体を示している。両組立体とも同じ組立体のものであり、前輪部のセンサ側のコネクタ4及びコンピュータ側のコネクタ3をケーブル30の両端に取付けており、ケーブル30の軸方向略中央位置に1個のクリップを有するクランプ2を取付けている。このクランプ2に設けられた1個のクリップを図4に示す左側取付穴50aと右側取付穴50bの両方に嵌合させる必要があることから、ケーブル30の長さは図4に示す両取付穴50a、50bの間隔Cだけは少なくとも長くして形成されている。
従来の上記した構成の一種類のケーブル一体型クランプの組立体を用いた車体Aへの配索取付け状態は、図4に示す状態となる。つまり、図4の左側状態では、クランプ2から下側のコネクタ4までの配索距離が短すぎるため、ケーブル30が下側でゆるんでしまう。一方、図4の右側状態では、クランプ2から上側のコネクタ3までの配索距離が短すぎるため、ケーブル30が上側で弛んでしまう。
【0022】
次に、図3を用いて本実施の形態のクランプ1の取付状態を説明する。図3の左側の状態図は車体Aの左側に配索されるケーブル30の組立体を示しており、右側の状態図は車体Aの右側に配索されるケーブル30の組立体を示している。両組立体とも同じ組立体のものであり、前輪部のセンサ側のコネクタ4及びコンピュータ側のコネクタ3をケーブル30の両端に取付けており、ケーブル30の軸方向略中央位置に2個のクリップを有するクランプ1を取付けている。このクランプ1に設けられる2個のクリップは図3に示す左側取付穴50aと右側取付穴50bの間隔Cに対応させて間隔Cだけ離して設けられている。
【0023】
そして、本実施の形態によるケーブル一体型クランプの組立体を用いた車体Aへの配索取付け状態は、図3に示す状態となる。つまり、図3の左側状態では、クランプ1の本体10のケーブル軸方向下方に配置されている第一クリップ20aを用いて左側取付穴50aに嵌合されている。一方、図3の右側状態では、本体10のケーブル軸方向上方に配置されている第二クリップ20bを用いて右側取付穴50bに嵌合されている。図3に示す通り、ケーブル30は配索距離に対応した一種類の組立体として形成されているため、左右のいずれのケーブル30においても弛みが生ずることなく配索される。
このため、本実施の形態においては、従来のクランプ2の組立体のように車体Aの振動等によりケーブル30の弛んだ部分が跳ね上がる等の恐れがなく、他の電装品や補機類を破損させることもない。また、ケーブル30自体も他の部品との接触により摩耗や破損する事がないことから、耐久性を向上させることができる。
【0024】
次に、引続いてケーブル30の組立体の車体への配索におけるクリップ20の取付穴への嵌め込み状態について説明する。
クリップ20の取付穴50への嵌め込みは図2に示す状態にて行われる。図2の状態は本体10の上板部位13に設けられた第一クリップ20aが車体の左側取付穴50aに嵌め込まれて取付けられた状態を示している。ケーブル30の組立体を車体Aに配索した状態においては、2個のクリップ20a、20bのいずれかが取付穴50a、50bのいずれかと同じ位置関係にあり、同じ位置関係となったクリップ20が取付穴50に嵌め込まれて取付けられ、ケーブル30組立体が車体Aに配索された状態となる。
【0025】
この嵌め込みの取付状態時において、取付穴50とクリップ20とは互いに向き合った状態ばかりではなく、反対方向を向いている場合もある。向き合った状態にある場合には、そのままクリップ20を取付穴50に押し込んで挿入することにより嵌合させることができる。一方、互いに反対向きの位置関係にある場合には、取付穴50の方にクリップ20が向くように、クランプ1の本体10を捻じりながら回動させる。これによりクリップ20と取付穴50とを向き合った状態とすることができる。すなわち、クランプ1をケーブル周方向に最大で180゜回動させることでクリップ20と取付穴50を向き合った状態とすることができる。このときケーブル30も一緒に回動することとなるがケーブル30はある程度の捻り回動が許容されて設計されているため、180゜の回動による捻じれが生じても特に障害となることはない。
このように、ケーブル30組立体の車体Aへの配索取付時において、クリップ20と取付穴50との周方向の位置関係を特別に考慮する必要はない。なお、逆に、ケーブル30を捻じることによりケーブル30の弛みをより少なくすることができると言うことがある。
【0026】
次に、本体10に対するケーブル30の挿入嵌合をルーズ嵌合とすることで、ケーブル30と本体10とがケーブル30の周方向に相対回転可能とした場合の効果について説明する。このタイプのケーブル一体型のクランプ1においては、上述のようにケーブル30と本体10とを互いにケーブル周方向に相対回転可能となっている。このため、ケーブル30の車体の取付穴50への取付時において、ケーブル30を回動することなく本体10のみを回動することができる。これにより、ケーブル30に捻じり方向の負荷がかかることがないため、ケーブル30の耐久性を向上させることができる。他の機器との関係からコネクタ3とコネクタ4との間の距離を厳密に測定してケーブル長を設定している場合には、ケーブル30に余裕がないため捻じることができない場合もある。その場合には、この種の構成のクランプ1を用いることでケーブル30を捻じることなく取付けることができる。つまり、車体の取付箇所にケーブル30を配索する空間がほとんどなく、ケーブル30の長さや形状を厳密に設定しなければならない場合には、特にこの種の構成のクランプ1を用いる実益がある。
【0027】
なお、クランプ1の各構成要素である本体10、クリップ20及び帯状部材40の材質は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンとアクリロニトリルを主成分として共重合した合成樹脂 (AS樹脂)、スチレンとアクリロニトリルとブタジエンを主成分として共重合した合成樹脂 (ABS樹脂)等のような樹脂であるのが好ましい。成形が容易だからである。なお、クリップとしての機能を果たす限り、紙、木、金属等であってもよい。特に、自動車のケーブルの位置規制においては、エンジンルームや床下に配置されるため、耐熱性、耐衝撃性、耐振動性及び耐塩化カルシウム性(耐凍結防止剤)を有するものが望ましい。
【0028】
以上本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態のほか各種の形態で実施が可能なものである。
例えば、上記実施の形態は、自動車のABS用ケーブルの場合について説明したが、通常のケーブルなどワイヤーハーネスについても当然に適用可能なものである。
【0029】
【発明の効果】
上述した本発明によれば、次の効果を得ることができる。
先ず、第1の発明によれば、クランプを取付けるべき取付穴の位置が異なる場合でも、一種類のケーブル一体型クランプで、かつ所定の必要最小限のケーブルの長さで配索することが可能となる。
【0030】
次に、第2の発明によれば、ケーブルを捻じることなくクランプに設けたクリップを取付穴に嵌合することができる。
次に、第3の発明によれば、ケーブルを断面コ字形のクランプ内部に把持することができる。また、クランプに設けたクリップのうち選択されたクリップを取付穴に嵌め込む際、他のクリップが邪魔することがなく、嵌め込み作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の斜視図である。
【図2】ケーブルのクランプの取付状態の断面図である。
【図3】異なる位置の取付穴にクランプが取付けられる場合の本実施の形態の場合の取付状態説明図である。
【図4】異なる位置の取付穴にクランプが取付けられる場合の従来方法の場合の取付状態説明図である。
【符号の説明】
1 クランプ
2 従来のクランプ
3、4 コネクタ
10 本体
11 固定用凹部
13 上板部位
14 側板部位
15 下板部位
20 クリップ
20a 第一クリップ
20b 第二クリップ
30 ケーブル
40 帯状部材
50 取付穴
50a 左側取付穴
50b 右側取付穴
A 車体
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブルのクランプに関する。特に、ケーブル一体型のクランプに関し、クランプを取付けるべき取付穴の位置が異なる場合でもケーブルの長さを長くすることなく共用化することのできるケーブル一体型のクランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
ケーブルなどのワイヤーハーネス類を自動車等車両の車体に配索する場合には、束ねられたケーブルを所定の軸方向位置においてクランプで保持して、クランプに設けられたクリップを車体の所定の取付位置に穿けられた取付穴に嵌め込むことにより、ケーブルを車体に対して配索して取り付けている。
ところで、この種のケーブルの配索において車両の左右対称位置に同種のケーブルを配索することが行われる事がある。例えば、ABS(Antilock Brake System)用ケーブルがある。ABS用ケーブルは左右の車輪の回転速度を検出して制御装置であるコンピュータに送信するために配索されるものであり、通常は自動車のエンジンルーム内の左右の車体に沿って配索される。このABS用ケーブルをクリップを有するクランプにより車体の取付穴に取付ける場合に、その取付穴の位置が左右での配索状態で少しケーブルの軸方向に異なる事がある。図4がかかる状態の場合を示している。図4の場合、左側のケーブル30の取付穴の位置と右側のケーブル30の取付穴の位置とはCだけ間隔が離れて設定されている。これはエンジンルーム内には各種の機器が配設されて取付けられたり、他のケーブルの配索等との関係により、止むを得ず生じることがあるものである。
【0003】
従来汎用のクランプには1個のクリップしか設けられていないため、左右で取付穴の位置が異なる場合には、クリップを取付けたクランプと所定長さのケーブルとを一つの組立体、すなわちケーブル一体型クランプとして取扱う場合には、二種類の組立体として取扱わなければならないと言う問題がある。すなわち、左側に配索するケーブルの組立体と右側に配索するケーブルの組立体とを、その異なる取付穴の位置に対応させたケーブルとクランプの組立状態とすることが必要で、このため左右別々の二種類の組立体を設定する必要があった。しかしこの様な組立体とすることによって配索するケーブルの長さは所定の必要最小限の最短の長さとすることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−19015号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来は、例えば左右で取付穴の位置が多少異なっている場合で、そのケーブルの長さを必要最小限の最短の長さとするときには、二種類の組立体が必要となり、その組立体の部品管理が煩わしくなるという問題があった。この問題を解決する手法として、図4に示すように、ケーブル30が配索されるコネクタ3と4との間の長さを、必要とする所定の最短長さより取付穴50aと50bとが離れた間隔C分だけ長く形成して、これに一個のクリップを有するクランプ2を取付けて組立体とする事が考えられる。この方法によるときには、一種類の組立体で図4の左右の配索を行うことができる。すなわち、図4で見て左側のケーブル30の配索状態では下方のクランプ2とコネクタ4との間は弛みをもった状態となり、また、図4で見て右側のケーブル30の配索状態ではクランプ2と上方のコネクタ3との間は弛みをもった状態となるが、左右とも一種類のケーブル一体型クランプ組立体で対応可能となる。
【0006】
しかし、この方法によるときには、いずれの配索状態においても、ケーブルのどこかで弛みが生じるため、ケーブルの配索上ケーブルの長さに無駄があるとともに、弛み部分が振動等により他の機器や他のケーブルと干渉して異音の発生原因となると言う問題がある。また、損傷を生じる恐れもあったり、更には、弛み部分に他の機器が配置される場合にはこの手法自体が取れないということもある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、クランプを取付けるべき取付穴の位置が異なる場合でも、クランプに複数個のクリップを配設することにより、ケーブルの長さを所定の必要最小限の長さで対応可能とすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の各発明は次の手段をとる。
先ず、本発明の第1の発明に係るケーブルのクランプは、次の手段をとる。すなわち、ケーブルを把持したクランプを所定の取付部位の取付穴にクリップ嵌合により取付けるに当たって、該所定の取付部位の取付穴の位置がケーブルの配索使用位置によってケーブルの配索軸方向に所定間隔だけ異なっている場合に適用するケーブル一体型のクランプであって、前記ケーブルを把持するクランプのケーブル軸方向の長さを前記取付部位の取付穴の所定間隔以上に形成し、該クランプに前記取付部位の取付穴の所定間隔に対応させてクリップを設けたことを特徴とする。
この第1の発明によれば、ケーブルを把持するクランプのケーブル軸方向の長さを取付部位の取付穴の所定間隔以上に形成し、このクランプに取付部位の取付穴の所定間隔に対応させてクリップを設けているため、異なる取付位置に設けられた取付穴に、それぞれこの取付穴に対応させて設けたクランプのクリップを選択して嵌合させて取付けることができる。これにより一種類のケーブル一体型クランプ組立体により対応することができ、かつ、ケーブルに弛みを生じることなく所定の必要最小限の長さで配索することが可能となる。
【0009】
次に、本発明の第2の発明に係るケーブルのクランプは、次の手段をとる。すなわち、上述した第1の発明に係るケーブルのクランプにおいて、ケーブルを把持するクランプはケーブルの周方向には相対回転可能とされるが、軸方向には相対移動不可とされて取付けられていることを特徴とする。
この第2の発明によれば、上述の第1の発明による機能に加えて、次のような機能を有する。すなわち、この第2の発明は、ケーブルを把持するクランプはケーブルの周方向に相対回転可能とすることでケーブル自体は捻じられることなくクリップを取付穴に嵌合して取付けることができる。なお、軸方向には相対移動不可とされて取付けられているのでケーブルとクランプの組立状態が軸方向にずれることはなく、クリップと取付穴の嵌合位置関係は正確に保たれる。
【0010】
次に、本発明の第3の発明に係るケーブルのクランプは、次の手段をとる。すなわち、上述した第1又は第2の発明に係るケーブルのクランプにおいて、ケーブルを把持するクランプは把持部位が断面コ字形状に形成されており、クリップがコ字形状の各面の何れかに所定の間隔を置いて別々に設けられていることを特徴とする。
この第3の発明によれば、上述の第1又は第2の発明による機能に加えて、次のような機能を有する。すなわち、この第3の発明は、把持部位が断面コ字形状に形成されているため、ケーブルをコ字形内部に把持することができる。また、クリップはコ字形状の各面の何れかに所定の間隔を置いて別々に設けられているため、クランプを選択されたクリップにより取付穴に嵌合して取付ける場合、他のクリップはクランプの他の面にある事から、その取付けに当たって邪魔となることがない。したがって、その取付けを容易に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るケーブルのクランプの実施の形態を、図1乃至図3に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態の斜視図、図2はクランプの取付状態の断面図、図3は異なる位置の取付穴にクランプが取付けられる場合の本実施の形態の場合の取付状態説明図である。
【0012】
本実施の形態は、従来の技術で説明したのと同様、ABS用ケーブルを自動車のエンジンルームの左右の車体に配索して取付ける場合のものである。図3に示すように、図示状態で見て左側のケーブル30が車体の左側に配索され、右側のケーブル30が車体の右側に配索されるものであり、両ケーブル30、30を車体Aに取付けるための取付穴50a、50bの穿設位置は左右でケーブル30の軸方向に間隔Cだけ離れて設定されている。
両ケーブル30、30の両端にはコネクタ3、3とコネクタ4、4が取付けられている。コネクタ4、4は左右の車輪の近傍に配設された回転速度センサーに接続されるものであり、コネクタ3、3は制御装置であるコンピュータに接続されるものである。左右の車輪の回転速度は回転速度センサーにより検出され、ケーブル30、30を通じてコンピュータに送信される。
ケーブル30、30の軸方向略中央位置に後で詳述するクランプ1、1が取付けられており、このクランプ1、1に2個のクリップが設けられている。したがって、本実施の形態のケーブル一体型クランプはクリップ20を有するクランプ1とケーブル30と両端のコネクタ3、4が一つの組立部品として組立てられた組立体として構成されている。
【0013】
次に、図1及び図2によりクランプ1の詳細構成を説明する。クランプ1は本体10とクリップ20とから成っている。本体10は本実施形態の場合は樹脂部材で形成されており、断面コ字形状に形成されている。本体10の図1で見て左右方向の長さは、前述の左右の取付穴50a、50bの離れた間隔Cの距離長さよりも長く形成されている。ケーブル30は断面コ字形状の本体10の内部に挿入嵌合されて位置する。この断面コ字形状の断面積の大きさは、挿入嵌合されるケーブル30の断面積や直径の大きさに応じて決められる。
断面コ字形状の本体10は、図1で見て上側の上板部位13と下側の下板部位15とこの両部位13、15を繋ぐ側板部位14とから形成されている。上板部位13と下板部位15の開口側の略中央位置には固定用凹部11が形成されている。この固定用凹部11は本体10内部に挿入嵌合したケーブル30を本体10に固定して取付けるためのものである。この固定用凹部11部分に帯状部材40を巻くことによりケーブル30を本体10内部に圧接状態として摩擦力により固定するものである。したがって、固定用凹部11の凹部形状はケーブル30を本体10に挿入嵌合した状態において、その凹部の底部位置から開口方向にケーブル30の外周部分が出る位置関係として形成されるものである。
【0014】
クランプ1の本体10の上板部位13と下板部位15の外面には従来汎用のクリップ20が一体的に設けられている。具体的には図1で見て、上板部位13の右方位置に第一クリップ20aが設けられており、下板部位15の左方位置に第二クリップ20bが設けられている。第一クリップ20aと第二クリップ20bとは、図1で見て、左右方向に所定間隔Cだけ離れて設けられているが、この間隔Cは図3で説明した左右の取付穴50a、50bの間隔Cと同じに設定されている。
なお、第一クリップ20aと第二クリップ20bは所定の間隔Cだけ離れて設けられるものであれば、本体10の同一部位13、14、15上に設けてもよいものであるが、後述する取付穴50a、50bへの取付上からすると、本実施の形態のように異なる部位13、14、15上に別々に設けるのがよい。すなわち、同一部位に設けられる時にはあるクリップ20を所定の取付穴50に嵌合させる際、他のクリップ20は突起物となって邪魔となるが、異なる部位に別々に設けられるときには邪魔となることがなく、その嵌合取付けを容易に行うことができる。
【0015】
また、クリップ20としては、普通には、嵌め込み作業が容易でかつ抜け防止力が強い形状のものが用いられるが、取付場所によっては、グロメットのようにネジ締め可能なものも用いることができる。クリップ20は別体で形成した後、本体10と結合させてもよいが、本体10と一体的に形成したほうが所定の強度が得られ、また生産性がよいため望ましい。
上述したクランプ1の本体10は、図4に示す従来のクランプ2の場合に較べ、少なくとも間隔Cの長さだけケーブル30の軸方向に長く形成される。このため、ケーブル30を固定するための面積をそれだけ広くとることができる。この結果、従来のクランプ2に比べてケーブル30をより確実に固定保持することができる。
【0016】
上述の説明から理解できるように、この実施の形態では、クランプ1の本体10が本発明でいう把持部位となっている。なお、クランプ1の本体10の断面形状はコ字形状である必要はなく、把持するケーブル30の形状に合わせて円形でもよいし、三角形又は四角形などの多角形であってもよい。また、前述した固定用凹部11以外の部位においては、角筒形状又は円筒形状などのように閉鎖した状態で形成されていてもよいが、一部の面が開放されていた方がケーブル30を本体10内部に挿嵌し易く作業性がよいため好ましい。
【0017】
更に、本体10に形成する固定用凹部11は、本体10に一体的に設けるクリップ20と重複しない位置に形成される。したがって、上述した本実施の形態では、固定用凹部11は本体10の略中央位置に一箇所のみ設けたが、構成上配置が可能であれば軸方向の両側位置に2ヶ所設けてもよい。また、片側位置の一箇所のみでもよい。いずれの位置に設けるにしてもケーブル30をクランプ1の本体10に対して軸方向に相対移動できないように固定できるものであればよい。また、固定用凹部11の形状も四角形に限らずケーブル30の一部を露出させることができるならばいかなる形状であってもよい。このとき、四角形、長方形及び台形などの多角形状を選択する場合にはその角部を丸く形成することが巻き作業時の作業者の保護を図る上からも好ましい。
【0018】
そして、この固定用凹部11に巻かれる帯状部材40の巻き回数は固定すべきケーブル30の数及び直径と作業効率とで適宜決定される。巻き作業自体は人の手により行ってもよいし、機械的に自動で行ってもよい。なお、帯状部材40としては布や皮製のほか樹脂製又は金属製のベルトを用いることができる。また、粘着性を有するテープなどの部材を用いるとケーブル30と本体10とを密着して固定することができより確実に固定することができる。更には、帯状部材40は上記本実施の形態のように本体10と別体で設けてもよいし、一体として設けてもよい。例えば、固定用凹部11にケーブル30を固定するためのベルトクランプを一体的に形成することもできる。また、本体10内部にケーブル30を直接接着して固定することもできる。
【0019】
なお、ケーブル30と本体10との取付け関係は、ケーブル30の軸方向には相対移動不可能とされるが周方向には相対回転可能とされるのが好ましい。例えば、図示は省略したが、クランプ1の本体10へのケーブル30の挿入嵌合状態をルーズな嵌合状態として周方向への相対回転は可能とするが、本体10の両端を挟むようにしてケーブル軸上に止具を一体的に取付けて軸方向の相対移動は不可能とする構成をとることができる。
【0020】
次に、上述したケーブル一体型クランプの車体への配索、及びその配索においてクリップの取付穴への嵌め込み状態について説明する。
ケーブル一体型クランプの車体Aへの配索作業は普通には自動車の組立生産ライン中に行われるものである。このため配索作業にあったては、クリップ20によるワンタッチ嵌合によりケーブル30を取付けて組立ての迅速化を図るようにしている。この組立作業を迅速に行うため、配索するためのケーブルはそれに取付けられるクランプやコネクタを予め組付けた一つの組立部品の組立体として生産組立ラインに供給されるようになっている。
従来の図4に示すクランプ2の組立体においては、左右の各取付穴50a、50bが一定間隔を有して設けられている場合には、前述したように一種類のケーブル組立体で対応しようとする場合には、ケーブル30の長さを必要以上に長くした組立体を使用することで左右の各取付穴50a、50bの位置に対応することとしていた。
一方、上記本実施の形態におけるクランプ1の組立体では、図3に示す通り、左右の各取付穴50a、50bが一定間隔を有して設けられている場合であっても、ケーブル30の所定の配索距離に対応した一種類の組立体で対応することができる。すなわち、クランプ1の本体10には各取付穴50a、50bの間隔に対応して複数のクリップ20が設けられており、そのいずれかを選択して各取付穴50a、50bに嵌合させることができる。
【0021】
上記内容を更に次に詳述する。本実施の形態との差異を明確に説明するために、先ず、図4を用いて従来のクランプ2を用いた取付状態について説明する。なお、ここで従来のクランプ2は本体10に一つのクリップのみを有するのものである。図4の左側の状態図は車体Aの左側に配索されるケーブル30の組立体を示しており、右側の状態図は車体Aの右側に配索されるケーブル30の組立体を示している。両組立体とも同じ組立体のものであり、前輪部のセンサ側のコネクタ4及びコンピュータ側のコネクタ3をケーブル30の両端に取付けており、ケーブル30の軸方向略中央位置に1個のクリップを有するクランプ2を取付けている。このクランプ2に設けられた1個のクリップを図4に示す左側取付穴50aと右側取付穴50bの両方に嵌合させる必要があることから、ケーブル30の長さは図4に示す両取付穴50a、50bの間隔Cだけは少なくとも長くして形成されている。
従来の上記した構成の一種類のケーブル一体型クランプの組立体を用いた車体Aへの配索取付け状態は、図4に示す状態となる。つまり、図4の左側状態では、クランプ2から下側のコネクタ4までの配索距離が短すぎるため、ケーブル30が下側でゆるんでしまう。一方、図4の右側状態では、クランプ2から上側のコネクタ3までの配索距離が短すぎるため、ケーブル30が上側で弛んでしまう。
【0022】
次に、図3を用いて本実施の形態のクランプ1の取付状態を説明する。図3の左側の状態図は車体Aの左側に配索されるケーブル30の組立体を示しており、右側の状態図は車体Aの右側に配索されるケーブル30の組立体を示している。両組立体とも同じ組立体のものであり、前輪部のセンサ側のコネクタ4及びコンピュータ側のコネクタ3をケーブル30の両端に取付けており、ケーブル30の軸方向略中央位置に2個のクリップを有するクランプ1を取付けている。このクランプ1に設けられる2個のクリップは図3に示す左側取付穴50aと右側取付穴50bの間隔Cに対応させて間隔Cだけ離して設けられている。
【0023】
そして、本実施の形態によるケーブル一体型クランプの組立体を用いた車体Aへの配索取付け状態は、図3に示す状態となる。つまり、図3の左側状態では、クランプ1の本体10のケーブル軸方向下方に配置されている第一クリップ20aを用いて左側取付穴50aに嵌合されている。一方、図3の右側状態では、本体10のケーブル軸方向上方に配置されている第二クリップ20bを用いて右側取付穴50bに嵌合されている。図3に示す通り、ケーブル30は配索距離に対応した一種類の組立体として形成されているため、左右のいずれのケーブル30においても弛みが生ずることなく配索される。
このため、本実施の形態においては、従来のクランプ2の組立体のように車体Aの振動等によりケーブル30の弛んだ部分が跳ね上がる等の恐れがなく、他の電装品や補機類を破損させることもない。また、ケーブル30自体も他の部品との接触により摩耗や破損する事がないことから、耐久性を向上させることができる。
【0024】
次に、引続いてケーブル30の組立体の車体への配索におけるクリップ20の取付穴への嵌め込み状態について説明する。
クリップ20の取付穴50への嵌め込みは図2に示す状態にて行われる。図2の状態は本体10の上板部位13に設けられた第一クリップ20aが車体の左側取付穴50aに嵌め込まれて取付けられた状態を示している。ケーブル30の組立体を車体Aに配索した状態においては、2個のクリップ20a、20bのいずれかが取付穴50a、50bのいずれかと同じ位置関係にあり、同じ位置関係となったクリップ20が取付穴50に嵌め込まれて取付けられ、ケーブル30組立体が車体Aに配索された状態となる。
【0025】
この嵌め込みの取付状態時において、取付穴50とクリップ20とは互いに向き合った状態ばかりではなく、反対方向を向いている場合もある。向き合った状態にある場合には、そのままクリップ20を取付穴50に押し込んで挿入することにより嵌合させることができる。一方、互いに反対向きの位置関係にある場合には、取付穴50の方にクリップ20が向くように、クランプ1の本体10を捻じりながら回動させる。これによりクリップ20と取付穴50とを向き合った状態とすることができる。すなわち、クランプ1をケーブル周方向に最大で180゜回動させることでクリップ20と取付穴50を向き合った状態とすることができる。このときケーブル30も一緒に回動することとなるがケーブル30はある程度の捻り回動が許容されて設計されているため、180゜の回動による捻じれが生じても特に障害となることはない。
このように、ケーブル30組立体の車体Aへの配索取付時において、クリップ20と取付穴50との周方向の位置関係を特別に考慮する必要はない。なお、逆に、ケーブル30を捻じることによりケーブル30の弛みをより少なくすることができると言うことがある。
【0026】
次に、本体10に対するケーブル30の挿入嵌合をルーズ嵌合とすることで、ケーブル30と本体10とがケーブル30の周方向に相対回転可能とした場合の効果について説明する。このタイプのケーブル一体型のクランプ1においては、上述のようにケーブル30と本体10とを互いにケーブル周方向に相対回転可能となっている。このため、ケーブル30の車体の取付穴50への取付時において、ケーブル30を回動することなく本体10のみを回動することができる。これにより、ケーブル30に捻じり方向の負荷がかかることがないため、ケーブル30の耐久性を向上させることができる。他の機器との関係からコネクタ3とコネクタ4との間の距離を厳密に測定してケーブル長を設定している場合には、ケーブル30に余裕がないため捻じることができない場合もある。その場合には、この種の構成のクランプ1を用いることでケーブル30を捻じることなく取付けることができる。つまり、車体の取付箇所にケーブル30を配索する空間がほとんどなく、ケーブル30の長さや形状を厳密に設定しなければならない場合には、特にこの種の構成のクランプ1を用いる実益がある。
【0027】
なお、クランプ1の各構成要素である本体10、クリップ20及び帯状部材40の材質は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンとアクリロニトリルを主成分として共重合した合成樹脂 (AS樹脂)、スチレンとアクリロニトリルとブタジエンを主成分として共重合した合成樹脂 (ABS樹脂)等のような樹脂であるのが好ましい。成形が容易だからである。なお、クリップとしての機能を果たす限り、紙、木、金属等であってもよい。特に、自動車のケーブルの位置規制においては、エンジンルームや床下に配置されるため、耐熱性、耐衝撃性、耐振動性及び耐塩化カルシウム性(耐凍結防止剤)を有するものが望ましい。
【0028】
以上本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態のほか各種の形態で実施が可能なものである。
例えば、上記実施の形態は、自動車のABS用ケーブルの場合について説明したが、通常のケーブルなどワイヤーハーネスについても当然に適用可能なものである。
【0029】
【発明の効果】
上述した本発明によれば、次の効果を得ることができる。
先ず、第1の発明によれば、クランプを取付けるべき取付穴の位置が異なる場合でも、一種類のケーブル一体型クランプで、かつ所定の必要最小限のケーブルの長さで配索することが可能となる。
【0030】
次に、第2の発明によれば、ケーブルを捻じることなくクランプに設けたクリップを取付穴に嵌合することができる。
次に、第3の発明によれば、ケーブルを断面コ字形のクランプ内部に把持することができる。また、クランプに設けたクリップのうち選択されたクリップを取付穴に嵌め込む際、他のクリップが邪魔することがなく、嵌め込み作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の斜視図である。
【図2】ケーブルのクランプの取付状態の断面図である。
【図3】異なる位置の取付穴にクランプが取付けられる場合の本実施の形態の場合の取付状態説明図である。
【図4】異なる位置の取付穴にクランプが取付けられる場合の従来方法の場合の取付状態説明図である。
【符号の説明】
1 クランプ
2 従来のクランプ
3、4 コネクタ
10 本体
11 固定用凹部
13 上板部位
14 側板部位
15 下板部位
20 クリップ
20a 第一クリップ
20b 第二クリップ
30 ケーブル
40 帯状部材
50 取付穴
50a 左側取付穴
50b 右側取付穴
A 車体
Claims (3)
- ケーブルを把持したクランプを所定の取付部位の取付穴にクリップ嵌合により取付けるに当たって、該所定の取付部位の取付穴の位置がケーブルの配索使用位置によってケーブルの配索軸方向に所定間隔だけ異なっている場合に適用するケーブル一体型のクランプであって、
前記ケーブルを把持するクランプのケーブル軸方向の長さを前記取付部位の取付穴の所定間隔以上に形成し、該クランプに前記取付部位の取付穴の所定間隔に対応させてクリップを設けたことを特徴とするケーブルのクランプ。 - 請求項1に記載のケーブルのクランプであって、
前記ケーブルを把持するクランプはケーブルの周方向には相対回転可能とされるが、軸方向には相対移動不可とされて取付けられていることを特徴とするケーブルのクランプ。 - 請求項1又は請求項2に記載のケーブルのクランプであって、
前記ケーブルを把持するクランプは把持部位が断面コ字形状に形成されており、前記クリップが該コ字形状の各面の何れかに前記所定の間隔を置いて別々に設けられていることを特徴とするケーブルのクランプ。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011525347A (ja) * | 2008-04-29 | 2011-09-15 | ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー | ケーブルハーネスのための締結要素 |
-
2003
- 2003-08-06 JP JP2003206309A patent/JP2005056927A/ja active Pending
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