JP2005055865A - 感光性樹脂組成物および該組成物を用いたパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高感度で、加熱硬化時の体積収縮の小さい、高アスペクトなプロファイルを有する樹脂パターンを形成できる感光性樹脂組成物、これを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】 多官能エポキシ樹脂と、下記一般式(1)で表されるカチオン重合開始剤
【化1】

(式中、X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、もしくは置換基が結合してもよいアルコキシ基を表し、互いに同一でも異なってもよく、Yは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、もしくは置換基が結合してもよいアルコキシ基を表す)を含有してなる感光性樹脂組成物を、パターン形成組成物として用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フォトリソグラフィー技術を用いた樹脂パターン形成により微小樹脂成形を可能とする感光性樹脂組成物およびパターン形成方法に関し、さらに詳しくは、10μmオーダーという微細な樹脂パターンを可能とする高感度、高解像性の感光性樹脂組成物および該樹脂組成物を用いたパターン形成方法に関するものである。
近年、電子部品分野におけるダウンサイジングに伴って、微細樹脂成形を可能とする「数10μm〜数100μmの樹脂パターン」を高いアスペクト比で形成することのできるフォトレジストが要望されている。
しかし、ノボラック樹脂と光酸発生剤であるジアゾナフトキノンとを含む従来の感光性樹脂組成物では、数100μmの厚さまで高アスペクト比を有するプロファイルを提供することは困難であった。これはジアゾナフトキノン型の光酸発生剤が、露光に用いられる近紫外領域に高い吸収をもち、厚膜の上部と底部で放射線の露光強度が大きく異なり、得られる樹脂パターンのプロファイルがテーパー状になったり、歪曲したりするためであった。
これに対し、エポキシ樹脂と酸発生剤とを含む感光性樹脂組成物の検討によって、高アスペクト比を有するパターンプロファイルを実現可能なフォトレジストが提案されている。
このようなフォトレジストとしては、例えば、エポキシ官能性ノボラック樹脂とトリアリールスルホニウム塩などの陽イオン生成フォトイニシエーターとエポキシ官能基と反応可能な希釈剤とからなり、完全に硬化して、剥離しにくい光硬化性組成物(特許文献1)や、多官能性ビフェノールAフォルムアルデヒド−ノボラック樹脂と酸発生剤であるトリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートと溶剤シクロペンタノンからなり、厚膜形成可能な光硬化性組成物(特許文献2)が報告されている。
一方、酸発生剤として、ジアゾナフトキノン型酸発生剤以外にも、光学的造形用の高感度樹脂組成物を提供するために、様々な酸発生剤が開発されている。例えば、芳香族スルホニウムカチオン重合開始剤を挙げることができる。このような酸発生剤を改良因子とした感光性樹脂組成物としては、具体的には、カチオン重合性有機化合物とエネルギー線感受性カチオン重合開始剤とを含む樹脂組成物(特許文献3)などが提案されている。
特公平7−78628号公報 米国特許第6391523号公報 特開平9−268205号公報
しかしながら、ノボラック樹脂などの多官能エポキシ樹脂を用いた従来の感光性樹脂組成物では、含有するトリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートなどの陽イオン開始剤の感度が低いため、大量の開始剤を含有することが必要であり、そのためマスクパターンを樹脂パターンに忠実に再現できないという問題点があった。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、その課題は、高解像性、すなわち、加熱硬化時の体積収縮が小さく、高アスペクト比なプロファイルを有するパターンを形成でき、かつ高感度な感光性樹脂組成物と、この樹脂組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、感光性樹脂組成物における高感度化、高解像度化について、鋭意、実験、検討を重ねた結果、多官能エポキシ樹脂と特定の酸発生剤とを組み合わせて感光性樹脂組成物を調製し、この感光性樹脂組成物を使用して、樹脂パターンを形成すれば、高感度で、加熱硬化時の体積収縮が小さく、アスペクト比が高いプロファイルの樹脂パターンを形成できることが判明した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、本発明に係る感光性樹脂組成物は、多官能エポキシ樹脂と、下記一般式(1)で表されるカチオン重合開始剤
(式中、X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、置換基が結合してもよいアルコキシ基を表し、互いに同一でも異なってもよく、Yは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、もしくは置換基が結合してもよいアルコキシ基を表す)を含有してなることを特徴とする。
前記多官能エポキシ樹脂は、望ましくは多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂であり、かつ前記カチオン重合開始剤が、下記式(2)で表される化合物である。
また、その他の添加剤として、さらに、高分子直鎖2官能エポキシ樹脂を含有しても良く、ナフトール型増感剤を含有しても良く、溶剤としてγ−ブチロラクトンを含有しても良く、オキセタン誘導体およびエポキシ誘導体を含有しても良い。
本発明の感光性樹脂組成物は、その使用形態として、両面を樹脂フィルムで保護したフィルム状とし、パターンを形成したい部分に前記保護フィルムを剥がした上で貼り付け、その後、パターン露光、現像を経ることにより、樹脂パターンを形成することが可能である。
前記樹脂フィルムとしては、一方をポリエチレンテレフタレートフィルムとした場合、他方はポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエチレンフィルムの中から選択されたいずれか一つとすることができる。
また、本発明に係るパターン形成方法は、前記感光性樹脂組成物を所望の支持体上に積層し、乾燥後、前記感光性樹脂組成物層を所定のパターンに露光し、露光後の樹脂組成物を現像し、得られた樹脂パターンを加熱処理して、所定形状の硬化樹脂パターンを得ることを特徴とする。
本発明の方法において、感光性樹脂組成物を所望の支持体上に積層する方法としては、前述のフィルム状とした樹脂組成物を貼り付けても良いし、樹脂組成物溶液を塗布し、これを乾燥させることによって良い。
本発明にかかる感光性樹脂組成物およびパターン形成方法によれば、高感度で、加熱硬化時の体積収縮の小さい、高アスペクトなプロファイルを有する樹脂パターンを形成でき、その結果、寸法安定性の良好な微小樹脂成形が可能になるという効果を得ることができる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明は、多官能エポキシ樹脂と、前記一般式(1)で表されるカチオン重合開始剤を含有してなる感光性樹脂組成物である。前記多官能エポキシ樹脂とカチオン重合開始剤との組み合わせにより、高感度で、加熱硬化時の体積収縮の小さい、高アスペクトなプロファイルを有する樹脂パターンを形成することができる。これらの組み合わせとしては、種々可能であるが、なかでも、特に、8官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート157S70)と、前記式(2)で表される化合物である4−{4−(2−クロロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(旭電化工業社製、商品名:アデカオプトマーSP−172)との組み合わせが、得られる効果を考慮した場合、最も好ましい。
前記カチオン重合開始剤は、放射線の照射によるカチオンの発生効率が高いため、比較的少量含有すればよく、前記多官能エポキシ樹脂との組み合わせにより、感光性樹脂組成物の感度を大幅に高めることができる。また、前記カチオン重合開始剤は、前記多官能エポキシ樹脂、特に前記多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂の分子内のエポキシ基を効率よく攻撃し重合を進行させることができるという、前記多官能エポキシ樹脂と特有な相性を有するため、前記の優れた効果を有するものと推測される。さらに、この組み合わせにより、感光性樹脂組成物層の加熱硬化時の体積収縮が少なくなる効果を有する。したがって、本発明の感光性樹脂組成物を用いれば、高アスペクトなプロファイルを有し、高感度であるばかりでなく、加熱硬化時の体積収縮の少ない樹脂パターンを形成することができ、それによって、所望の樹脂成形を高い寸法安定性をもって実現することができる。
本発明における多官能エポキシ樹脂とは、厚い膜のパターンを形成するのに十分なエポキシ基を一分子中に含むエポキシ樹脂なら、どのようなエポキシ樹脂でもよい。このような多官能エポキシ樹脂としては、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニル型ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂など挙げることができる。これらの化合物のうち多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、また、その官能性は、5官能以上が好ましく、8官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製の「エピコート157S70」)や平均6.4官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製の「エピクロンN−885」)が特に好ましい。
前記多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂は、下記一般式(3)で表される。
(前記式ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂と重合した重合体でもよい。前記式(3)中のR〜Rは、HまたはCHである。nは0または整数である。)
前記多官能性エポキシ樹脂の軟化点は、常温で固形であれば特に限定されない。ドライフィルムレジストを形成した場合には、常温(約40℃)程度で軟化すると好ましくなく、ラミネート時の加熱により軟化しなければならない。この点から、前記多官能性エポキシ樹脂の軟化点は、約50〜約100℃が好ましく、約60℃〜80℃がより好ましい。
前記多官能性エポキシ樹脂の前記感光性樹脂組成物中の組成比が、高すぎる場合には、基板にコーティングしたとき、感度が低く過ぎて使用に耐えない。逆に、組成比が低すぎる場合には、硬化したコーティングがもろくなり、好ましくない。この点から前記組成比は、約80%〜約99.9%が好ましく、より好ましくは、約92%〜約99.4%である。
本発明におけるカチオン重合開始剤は、紫外線、遠紫外線、KrF、ArFなどのエキシマレーザー、X線、および電子線などの放射線の照射を受けてカチオンを発生し、そのカチオンが重合開始剤となりうる化合物である。
前記カチオン重合開始剤は、下記一般式(1)で表される。
(前記式(1)中、X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、もしくは置換基が結合してもよいアルコキシ基を表わし、互いに同一でも異なってもよい。また、このX1およびX2は、これらのうちハロゲン原子が好ましく、ハロゲン原子のうち、フッ素原子がより好ましい。)
前記式(1)中、Yは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、もしくは置換基が結合してもよいアルコキシ基を表わす。このYは、これらのうちハロゲン原子が好ましく、ハロゲン原子のうち、塩素原子がより好ましい。
前記カチオン重合開始剤としては、例えば4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−ヒドロキシエチルオキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(3−クロロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−ヒドロキシエチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(4−ヒドロキシエチルオキシベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(4−ヒドロキシエチルオキシベンゾイル)フェニルチオ}フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(4−ヒドロキシエチルオキシベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−ヒドロキシエチルオキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシエトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(3−メトキシベンゾイル)フェニルチオ}フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(3−メトキシカルボニルベンゾイル)フェニルチオ}フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(2−ヒドロキシメチルベンゾイル)フェニルチオ}フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(4−メチルベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(4−メトキシベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(4−フルオロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(2−メトキシカルボニルベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネートを挙げることができる。これらの化合物のうち、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−ヒドロキシエチルオキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−{4−(3−クロロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネートがより好ましく、旭電化工業社製の「アデカオプトマーSP−172」[4−{4−(2−クロロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート]が最も好ましい。
前記カチオン重合開始剤の該感光性樹脂組成物中の組成比が高すぎる場合には、該樹脂組成物の現像が困難となり、好ましくなく、逆に組成比が低すぎる場合には、該樹脂組成物の放射線露光による硬化時間が長くなり、好ましくない。これらを考慮すると、前記組成比は、約0.1%〜約10%が好ましく、より好ましくは、約0.5%〜約5%である。
前記感光性樹脂組成物には、さらに成膜性改善の為に高分子直鎖2官能エポキシ樹脂を含有させることができる。
前記高分子直鎖2官能エポキシ樹脂は、下記の一般式(4)で表される。
(前記式(4)中のR〜R10は、HまたはCHである。mは整数である。)
前記高分子直鎖2官能エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシまたはビスフェノールF型エポキシが重合したものであり、平均分子量2000〜7000が好ましく、平均分子量3000〜5000がより好ましい。平均分子量2000未満では成膜性が改善されず、平均分子量7000より大きい場合多官能エポキシ樹脂と相溶しない。具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製の「エピコート1009」平均分子量3750)が特に好ましい。
前記感光性樹脂組成物には、さらにナフトール型増感剤を含有させることができる。感度が高い場合には、マスクとレジスト面との間にギャップがあると、露光の結果、得られる樹脂パターンの寸法がマスク寸法に比べて太くなる現象が生じるが、この太り現象を、ナフトール型増感剤を含有することにより、感度を下げずに、抑えることができる。このようにナフトール型増感剤を添加することは、マスクパターン寸法に対するレジストパターン寸法の誤差を抑えることができるため、好ましい。
係るナフトール型増感剤としては、例えば、1−ナフトール、β−ナフトール、α−ナフトールメチルエーテル、α−ナフトールエチルエーテルが挙げられ、前記レジストの太りを感度を下げずに抑える効果の点を考慮すると、最も好ましいものは、1−ナフトールである。
前記ナフトール型増感剤の前記感光性樹脂組成物中の組成比が高すぎる場合には、逆テーパー形状となり線幅が細り過ぎる点から好ましくない。これらを考慮すると、前記組成比は、約0〜約10%が好ましく、より好ましくは、約0.1%〜約3%である。
前記感光性樹脂組成物には、さらに溶剤を含有することができる。溶剤を含有することにより感光性樹脂組成物の感度を高めることができる。このような溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と記す)、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」と記す)、酢酸ブチル、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)、酢酸エチル、およびメチルエチルケトン(以下、「MEK」と記す)などを挙げることができる。
前記溶剤中、液体レジストの場合には、反応して、レジストに取り込まれる点から、γ−ブチロラクトンが好ましく、ドライフィルムレジストの場合、基材フィルムとの濡れ性および表面張力の点から、PGMEA、MIBK、酢酸ブチル、MAKが好ましい。
前記感光性樹脂組成物には、さらオキセタン誘導体およびエポキシ誘導体を含有することができる。ドライフィルムレジストを形成した場合には、オキセタン誘導体やエポキシ誘導体を含有することにより、感光性樹脂組成物の硬化後の物性を下げずに、硬化前の感光性樹脂組成物の柔軟性を上げることができる。このようなオキセタン誘導体としては特に限定されないが、具体的には、3−エチルー3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチルー3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、ジ〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテルなどを挙げることができる。またこのようなエポキシ誘導体としては、平均分子量7000以下、好ましくは2000以下、より好ましくは1000以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などを挙げることができる。具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製の「エピコート828」平均分子量380)を挙げることができる。
本発明の感光性樹脂組成物には、さらに所望により混和性のある添加物、例えば、パターンの性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤などの慣用のものを添加含有することができる。
本発明の感光性樹脂組成物の使用形態としては、溶液を塗布して、硬化膜として用いてもよいし、樹脂フィルムにより両面を保護した乾燥フィルム状に形成し、パターン露光前に所望の支持体上に貼り付けるようにしても良い。保護膜の一方がポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合、他方の保護膜としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエチレンフィルムのいずれかのポリマー状フィルムを用いることが好ましい。
前述のように感光性樹脂組成物をフィルムとして、供給すれば、支持体上への塗布、および乾燥の工程を省略することが可能であり、より簡便に本発明の感光性樹脂組成物を用いたパターン形成が可能となる。
本発明の感光性樹脂組成物を、溶剤に溶解し、それをスピンコーター等を用いて、所望の支持体、例えば、シリコンウエハ等の基板に、塗布、乾燥し、感光性樹脂組成物層を形成した後、この樹脂組成物層を放射線でパターン露光し、露光後、現像液で現像処理すると、マスクパターンに忠実で良好な樹脂パターンが、使用する支持体に依存することなく、形成することができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物を乾燥フィルム状に成形し、それを、所望の支持体上に貼り付け、得られた積層感光性樹脂組成物層を放射線でパターン露光し、現像液で現像処理すると、マスクパターンに忠実で良好な樹脂パターンが、使用する支持体に依存することなく、形成することができる。これによって、例えば、インクジェット記録ヘッドなどの電子デバイスの成形に必要な微小樹脂成形を優れた寸法安定性を持って実現することが可能になる。
以下、本発明の実施例を説明するが、これら実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
(実施例1〜6)(比較例1〜5)
(感光性樹脂組成物)
下記表に記載の組成物(単位は質量部)に従って、多官能エポキシ樹脂、開始剤、およびその他の成分を混合した感光性組成物を得た。
(感光性樹脂組成物のパターニング)
(実施例1〜4)(比較例1〜5)
この感光性樹脂組成物をシリコンウエハ上にスピンコーターで塗布後、乾燥し、30μmの膜厚を有する感光性樹脂組成物層を得た。この感光性樹脂組成物層をホットプレートにより60℃で5分および90℃で5分プリベークした。その後、Parallel light aligner(マスクアライナー:キャノン社製)を用いてパターン露光(プロキシミティ、GHI線)を行い、ホットプレートにより90℃で5分、露光後加熱(PEB)を行い、PGMEAを用いて浸漬法により4分現像処理を行った。次に、現像後の樹脂パターンを基板ごと、オーブンを用いて、200℃で1時間、ポストベークを行い、基板上に硬化した樹脂パターンを得た。
(感光性樹脂組成物のパターニング)
(実施例5〜6)
この感光性樹脂組成物を膜厚38μmの離型剤付ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(支持膜、帝人社製)上に均一に塗布し、温風対流乾燥機により65℃で5分および80℃で5分乾燥した後、露出面上に膜厚25μmの離型剤付PET(保護膜)をラミネートして、30μmの膜厚の感光性樹脂組成物層を持つドライフィルムレジスト(以下、「DFR」という)を形成した。
このDFRの保護膜を剥離し、ロール温度80℃、エアー圧力2kg/cm2、速度0.5m/minでシリコンウエハ上にラミネートし、感光性樹脂組成物層を積層した。この感光性樹脂組成物層に、Parallel light aligner(マスクアライナー:キャノン社製)を用いてパターン露光(プロキシミティ、GHI線)を行った。その後、ホットプレートにより90℃で5分PEBを行い、PGMEAを用いて浸漬法により4分現像処理を行った。次に、オーブンを用いて200℃で1時間ポストベークを行い、基板上に硬化した樹脂パターンを得た。
(感光性樹脂組成物の評価)
現像後に、必要露光量により下記評価を行った。結果を下記表1に示す。
露光量:必要露光量
細線密着:形成されたレジストパターン中密着している最も細かいパターン幅
線幅:線幅6μmのマスクを介して露光した場合の平均線幅(実施例1〜2のみ評価を行った)
ポストベークによる熱収縮:パターン形成後にポストベ−クによる熱収縮
注:
(A−1):多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂
(商品名 エピコート157S70 ジャパンエポキシレジン社製)
(A−2):多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂
(商品名 エピクロンN-885 大日本インキ化学工業社製)
(B−1):カチオン重合開始剤
(商品名 アデカオプトマーSP-172 旭電化工業社製)
(B−2):4-フェニルチオフェニルシ゛フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
(B−3):4,4-ヒ゛ス〔シ゛(βヒト゛ロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ〕フェニルスルフィト゛-ヒ゛ス-ヘキサフルオロアンチモネート
(商品名 アデカオプトマーSP-170 旭電化工業社製)
(B−4):ヨードニウムPF6塩系開始剤(商品名 WPI-003 和光社製)
(C) :高分子2官能エポキシ樹脂
(商品名 エピコート1009 ジャパンエポキシレジン社製)
(D−1):増感剤 1-ナフトール
(D−2):増感剤 ジブチルアントラセン
(E−1):溶剤 γ-ブチルラクトン
(E−2):溶剤 MIBK
(F) :オキセタン誘導体
1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン
(G) :レベリング剤 ペインダットM(ダウコーニング社製)
実施例1〜6はいずれも良好な結果であった。また、実施例2では1−ナフトールの添加により、感度を低下させずに、レジスト寸法の太りを抑えることができた。
表1の結果より、多官能エポキシ樹脂とカチオン重合開始剤の組み合わせにより、他の組み合わせでは得られない、高感度で、加熱硬化時の体積収縮が小さい、高アスペクトなプロファイルの樹脂パターンが得られることがわかった。また、感度が高いと、マスクとレジスト面との間にギャップを持って露光した時に、レジストパターン寸法がマスク寸法に比べて太ってしまうが、ナフトール型増感剤の添加により、感度を低下させずに、この太り現象が抑えられることも確認できた。
以上のように、本発明にかかる感光性樹脂組成物は、高アスペクトなプロファイルを持つ樹脂パターンの形成に有用であり、特に、微細サイズの電子デバイスなどにおける寸法安定性の高い樹脂成形に適している。

Claims (8)

  1. 多官能エポキシ樹脂と、下記一般式(1)で表されるカチオン重合開始剤
    (式中、X1およびX2は、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、もしくは置換基が結合してもよいアルコキシ基を表し、互いに同一でも異なってもよく、Yは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んでもよい炭化水素基、もしくは置換基が結合してもよいアルコキシ基を表す)を含有してなる感光性樹脂組成物。
  2. 前記多官能エポキシ樹脂が多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂であり、かつ前記カチオン重合開始剤が、下記式(2)で表される化合物
    であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. さらに、高分子直鎖2官能エポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. さらに、ナフトール型増感剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  5. さらに、γ−ブチロラクトンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の感光性樹脂組成物。
  6. 保護膜、請求項1から5のいずれかの感光性樹脂組成物による層、他方の保護膜からなる感光性樹脂組成物積層体。
  7. 請求項1から5のいずれかの感光性樹脂組成物を所望の支持体上に塗布し、乾燥後、前記感光性樹脂組成物層を所定のパターンに露光し、露光後の樹脂組成物層を現像し、得られた樹脂パターンを加熱処理して、所定形状の硬化樹脂パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
  8. 請求項6の積層体の保護膜を除去後、前記所望の支持体上に貼り付け、前記感光性樹脂組成物層を所定のパターンに露光し、露光後の樹脂組成物を現像し、得られた樹脂パターンを加熱処理して、所定形状の硬化樹脂パターンを得ることを特徴とするパタ−ン形成方法。

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