JP2005055525A - 演奏装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】適用可能なコームの範囲を狭めることなく、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図る。
【解決手段】上側、下側マグネットアセンブリMGU、MGLは、スイングアームAMの上方、下方にそれぞれ配置され、回動軸26を中心として回動自在にされて、アセンブリMGU、MGLによってそれぞれ往方向(下方)に動作する。上側、下側スイングアームAMU、AMLは、リード29の並び方向に沿って交互に配置される。アセンブリMGU、MGLでそれぞれ形成される凹状磁場は、フラットコイル31L、31Uの並び方向における位置のずれに対応して、並び方向に沿って上下に千鳥状配置となっている。各フラットコイル31が、対応する凹状磁場に介在するときに通電されると、対応するスイングアームAMが往方向に回動する。
【選択図】 図4
【解決手段】上側、下側マグネットアセンブリMGU、MGLは、スイングアームAMの上方、下方にそれぞれ配置され、回動軸26を中心として回動自在にされて、アセンブリMGU、MGLによってそれぞれ往方向(下方)に動作する。上側、下側スイングアームAMU、AMLは、リード29の並び方向に沿って交互に配置される。アセンブリMGU、MGLでそれぞれ形成される凹状磁場は、フラットコイル31L、31Uの並び方向における位置のずれに対応して、並び方向に沿って上下に千鳥状配置となっている。各フラットコイル31が、対応する凹状磁場に介在するときに通電されると、対応するスイングアームAMが往方向に回動する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、ソレノイドコイル等を用いてリード等の発音体を発音させる演奏装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
オルゴール等の演奏装置は、発音体としての複数のリードと、突起部を設けて成るバレルドラムとから構成され、バレルドラムが回転し、上記突起部が所定のリードを順次駆動していくことで、曲を演奏するものが一般的である。しかし、演奏曲を変更するにはバレルドラムを交換しなければならず、最新の曲等、多種類の曲を演奏させることは困難である。そこで、近年、バレルドラムを用いることなく、演奏データ等に基づいて、ソレノイド等を用いてリード駆動部を構成し、リード駆動部を電気・電磁的に駆動制御してリードを弾いて発音させるようにしたオルゴール型等の演奏装置も既に知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1の演奏装置は、振動弁に対応して、ソレノイドコイルを有する電気アクチュエータと、駆動用先端部を有する略円盤状の回転自在なメカアクチュエータとを設け、電気アクチュエータが対応するメカアクチュエータを回転駆動し、メカアクチュエータの先端部が対応する振動弁を駆動することで、振動弁が発音するように構成される。これにより、各振動弁が任意独立したタイミングで発音可能であり、しかも、回転するメカアクチュエータで駆動することで安定確実な発音動作が可能になり、良好な発音がなされる。
【0004】
この演奏装置はまた、電気アクチュエータを、振動弁の並び方向に沿って、振動弁の配列の両側において千鳥状に配列することで、振動弁の並び方向における省スペースを図っている。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−150152号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の演奏装置では、メカアクチュエータの回転方向は、電気アクチュエータの千鳥配置に対応して、交互に逆方向となっており、振動弁を弾く方向も交互に逆となる。そのため、振動弁の被駆動部である先端部の形状を交互に異ならせたコームを、この演奏装置専用に用意しなければならず、適用可能なコームの範囲が狭いという問題がある。
【0007】
また、電気アクチュエータは、プランジャが突出動作するものであるので、外径が大きく、千鳥配置により多少の省スペースが図られているものの、狭ピッチの振動弁を適用する上では十分でなく、振動弁の並び方向においてさらなる小型化を図る余地がある。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、適用可能なコームの範囲を狭めることなく、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる演奏装置を提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる演奏装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために本発明の請求項1の演奏装置は、並列配置され、各々発音可能な複数の発音体と、前記複数の各発音体に対応して並列配置され、各々、共通の所定方向に回転するとき、接触を伴う発音動作によって対応する発音体を発音させることが可能な複数の回転部材と、前記複数の各回転部材に対応して並列的に配置され、往復移動可能で、往方向に移動するとき、対応する回転部材を前記所定方向に回転駆動するように構成された複数の移動部材と、前記複数の各移動部材に対して駆動関係が対応し、前記複数の移動部材を挟んで互いに反対側に配置され、駆動関係が対応している移動部材を往方向に動作させるための第1、第2移動部材駆動手段とを有し、前記複数の移動部材は、前記第1移動部材駆動手段によって駆動される移動部材と前記第2移動部材駆動手段によって駆動される移動部材とが交互に配列されて成ることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、第1、第2移動部材駆動手段が移動部材を挟んで互いに反対側に配置され、第1移動部材駆動手段によって駆動される移動部材と第2移動部材駆動手段によって駆動される移動部材とが交互に配列されたので、移動部材駆動手段をいずれか一方側のみに配置した場合に比し、発音体の並び方向における省スペースを図ることができる。また、回転部材は共通の方向に回転するので、個々の発音体の構成を交互に異ならせなくてもよく、一般的な構成のものを用いることができる。さらに、個別回転駆動によって各発音体を任意のタイミングで独立して発音させることができ、しかも、回転部材を介して発音体を発音させるので、特に発音体からの離間の態様が好ましいものとなり、適切な振動が起こって良好な発音が可能となる。よって、適用可能なコームの範囲を狭めることなく、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0012】
上記第1の目的を達成するために本発明の請求項3の演奏装置は、並列配置され、各々発音可能な複数の発音体と、前記複数の各発音体に対応して並列配置され、各々、共通の所定方向に回転するとき、接触を伴う発音動作によって対応する発音体を発音させることが可能な複数の回転部材と、前記複数の各回転部材に対応して並列的に配置され、往復移動可能で、往方向に移動するとき、対応する回転部材を前記所定方向に回転駆動するように構成された複数の移動部材と、前記複数の各移動部材に対応し、対応する移動部材を往方向に動作させるための複数の移動部材駆動部とを有し、前記複数の移動部材駆動部は、前記複数の移動部材の並び方向に沿って、該移動部材を挟んで第1側と第2側とに千鳥状に配列されたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、移動部材駆動部が、移動部材の並び方向に沿って、該移動部材を挟んで第1側と第2側とに千鳥状に配列されたので、移動部材駆動部をいずれか一方側のみに配置した場合に比し、発音体の並び方向における省スペースを図ることができる。また、回転部材は共通の方向に回転するので、個々の発音体の構成を交互に異ならせなくてもよく、一般的な構成のものを用いることができる。さらに、個別回転駆動によって各発音体を任意のタイミングで独立して発音させることができ、しかも、回転部材を介して発音体を発音させるので、特に発音体からの離間の態様が好ましいものとなり、適切な振動が起こって良好な発音が可能となる。よって、適用可能なコームの範囲を狭めることなく、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0014】
上記第2の目的を達成するために本発明の請求項6の演奏装置は、並列配置され、各々発音可能な複数の発音体と、前記複数の各発音体に対応して並列配置され、回転するとき、接触を伴う発音動作によって対応する発音体を発音させることが可能な複数の回転部材と、前記複数の各回転部材に対応して並列的に配置され、往復移動可能で、往方向に移動するとき、対応する回転部材を回転駆動して発音動作を行わせるように構成された複数の移動部材と、前記複数の各移動部材に固定的に設けられ、巻回されて板状を呈するフラットコイルと、前記複数の移動部材の並び方向に沿って、該移動部材を挟んで第1側と第2側とにおいてベース部に対して固定的に設けられ、それぞれ磁場を形成し得る第1、第2磁場形成手段とを有し、前記複数の移動部材は、前記回転部材の並び方向に沿って第1群、第2群の移動部材が交互に配列されて成り、前記第1群の移動部材は、設けられたフラットコイルを前記第1磁場形成手段により形成される磁場に介在させ、該フラットコイルに通電することで往方向に移動すると共に、前記第2群の移動部材は、設けられたフラットコイルを前記第2磁場形成手段により形成される磁場に介在させ、該フラットコイルに通電することで往方向に移動するように構成されたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、第1、第2磁場形成手段が、移動部材の並び方向に沿って、該移動部材を挟んで第1側と第2側とに設けられ、第1群、第2群の移動部材は、回転部材の並び方向に沿って交互に配列されて、第1、第2磁場形成手段によりそれぞれ形成される磁場にフラットコイルを介在させて通電することで、往方向に移動するので、第1、第2磁場形成手段をいずれか一方側のみに配置した場合や、円筒状のソレノイドコイル等を用いた場合に比し、発音体の並び方向における省スペースを図ることができる。さらに、個別回転駆動によって各発音体を任意のタイミングで独立して発音させることができ、しかも、回転部材を介して発音体を発音させるので、特に発音体からの離間の態様が好ましいものとなり、適切な振動が起こって良好な発音が可能となる。よって、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る演奏装置の制御機構の構成を示すブロック図である。
【0018】
本演奏装置は、CPU11に、バス15を通じて、第1ROM12、メモリ13、MIDIインターフェイス(MIDII/F)14、第2ROM18及びドライバ(PWM)17が接続されて構成される。CPU11は、本装置全体の制御を司る。第1ROM12は、不図示のプログラムROM、データROM及びワーキングROMで構成され、CPU11が実行する制御プログラムや各種データ等を記憶する。MIDII/F14は、不図示のMIDI機器等からの演奏データをMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号として入力する。メモリ13はRAM等で構成され、演奏データを記憶するほか、MIDII/F14から入力された演奏データも記憶することができる。第2ROM18は、パラメータテーブル等を記憶している。ドライバ17は、後述するアクチュエータFLAT(上側アクチュエータFLATU、下側アクチュエータFLATL)を駆動制御する。
【0019】
図2は、本演奏装置の平面図である。同図では、後述するカバー23及び上側マグネットアセンブリMGUを取り外した状態が示されている。図3は、同演奏装置の縦断面図である。図4(a)は、後述するロータリーピック37及びその近傍の部分平面図、図4(b)は、アクチュエータFLATを後述するリード29側からみた部分図である。
【0020】
本装置はオルゴール装置として構成される。図3に示すように、ベースプレート20に対して固定的にされたコーム保持部21に、コームCOが固定される。コームCOは、基端部28から発音音高の異なる複数本の発音体であるリード29が櫛歯状に延設されて成る(図2、図3参照)。また、リード29の先端部に近接してロータリーピック37が各リード29に対応して並列的に配置される。以降、リード29の先端方向を「前方」と称する。ベースプレート20に対してスリットガイドブロック22が固定的にされ、スリットガイドブロック22とベースプレート20の後部にかけて、上方からカバー23が覆っている。
【0021】
図5(a)は、ロータリーピック37及びその近傍をリード29側からみた部分図、図5(b)は、スリットガイドブロック22の縦断面図である。
【0022】
図5(a)、(b)に示すように、スリットガイドブロック22には、縦方向のスリット22aが、リード29に対応して形成される。各ロータリーピック37は、対応するスリット22a内に配置される。図3、図5に示すように、各ロータリーピック37は、例えば金属製の薄板で略円形状に形成される。各ロータリーピック37は、モータ回転軸27に嵌合される。モータ回転軸27は、モータ収容部30(図2参照)内に収容される図示しないモータによって図3の時計方向に常に回転しており、これにより、ロータリーピック37が同時計方向に常に付勢される。ここで、ロータリーピック37とモータ回転軸27とは、僅かに遊嵌状態にあり、時計方向への回転力は両者間の摩擦によるものであって、大きくない。
【0023】
図2、図3に示すように、ロータリーピック37の前方(リード29の反対方向)には、スイングアームAMが各ロータリーピック37に対応してほぼ並列的に配置される。図2、図4(a)に示すように、スイングアームAMは、第1群に属する上側スイングアームAMUと第2群に属する下側スイングアームAMLとが、リード29の並び方向に沿って交互に配置されて成るが、図3では、理解容易化のため、上側スイングアームAMUの図示が省略されている。
【0024】
図6は、1つの下側アクチュエータFLATLを含む演奏装置の要部の外観図である。ロータリーピック37の外周部には、複数(例えば4つ)の駆動爪37a(37a1〜37a4)が一体に形成される。ロータリーピック37は、駆動爪37aの1つが、スイングアームAMの後述する段差部38の上側係合部38aから駆動力を受けることで、モータ回転軸27を中心に回転する。すべてのロータリーピック37の回転方向(所定方向)は共通である。
【0025】
本演奏装置は、アクチュエータFLATを電気的に駆動制御し、ロータリーピック37を介してリード29を個々に弾く(乃至撥く)ように駆動して発音させる(以下、「弾奏」と表現する)ように構成される。
【0026】
図3、図6に示すように、下側アクチュエータFLATLは、下側マグネットアセンブリMGL、下側スイングアームAML及びフラットコイル31L等で構成される。上側アクチュエータFLATUは、上側マグネットアセンブリMGU、上側スイングアームAMU及びフラットコイル31U等で構成される(図7(a)、(b)参照)。フラットコイル31(31U、31L)は、巻回されていずれも板状に形成され、上側、下側スイングアームAMU、AMLの、図4(b)でいう右側の各面にそれぞれ取り付けられる(図2、図4(a)、(b)参照)。フラットコイル31U、31Lは、上下方向及びリード29の長手方向の双方に対して略平行に設けられ、薄型であるので、狭いリードピッチへの対応が容易になっている。
【0027】
磁場形成手段である上側、下側マグネットアセンブリMGU、MGLはそれぞれ、ネオジ系等の希土類磁石である複数のマグネット33U、31L及びヨーク34U、34Lで構成される。
【0028】
下側マグネットアセンブリMGLは、スイングアームAMの下方(第2側)において、ベースプレート20上に固定される(図3参照)。図4(b)に一部を示すように、マグネット33Lが、各フラットコイル31Lに対応する位置において、フラットコイル31Lの並び方向に配列固定される。ヨーク34Lは、マグネット33L間に配設され、従って、マグネット33Lとヨーク34Lとが交互に配列されている。1つのマグネット33Lは、隣接する2つのヨーク34Lの下端部34La間に挟着されると共に、両ヨーク34Lの上端部34Lbが下側スイングアームAML側に延出し、これにより、各マグネット33Lの上方であって隣接するヨーク34Lの上端部34Lb同士の間に磁場が形成される。
【0029】
マグネット33Lは、例えば、図4(b)の正面からみて、あるマグネット33Lは右側が「N極」、左側が「S極」、その隣のマグネット33Lは、右側が「S極」、左側が「N極」というように、交互に極の方向が異なっている。2つのヨーク34Lとこれらに挟まれるマグネット33Lとで、図4(b)の正面からみて凹部が形成されるが、この凹部が各フラットコイル31Lに対応し、各フラットコイル31Lが遊挿可能な1つの磁場となるので、この凹部を「凹状磁場」とも呼称する。
【0030】
上側マグネットアセンブリMGUは、スイングアームAMの上方(第1側)においてカバー23の下面に固定される(図3参照)。すなわち、上側マグネットアセンブリMGUは、スイングアームAMを挟んで下側マグネットアセンブリMGLの反対側に配置される。マグネット33Uとヨーク34Uとの相対的配置関係は、下側マグネットアセンブリMGLと同様である。2つのヨーク34Uとこれらに挟まれるマグネット33Uとで形成される「凹状磁場」が、フラットコイル31Uに対応している。ただし、図4(b)に示すように、フラットコイル31U、31Lの並び方向における位置は異なっているので、それに対応して、下側マグネットアセンブリMGLで形成される凹状磁場と上側マグネットアセンブリMGUで形成される凹状磁場とは、並び方向における位置がずれており、千鳥状配置となっている。
【0031】
上側スイングアームAMUと下側スイングアームAMLとは、形状と、フラットコイル31U、31Lが取り付けられる位置が異なるのみで、基本的構成は同様であるので、主に下側スイングアームAMLに関する構成について説明する。
【0032】
図3、図6に示すように、下側スイングアームAMLは、回動軸26を中心として時計方向及び反時計方向に回動自在、すなわち、自由端部AMLaがほぼ上下方向に回動自在に構成される。下側スイングアームAMLの回動軸26近傍にはアームスプリング32が設けられ(図3参照)、アームスプリング32は下側スイングアームAMLを図3の時計方向に常に付勢している。図3では、下側スイングアームAMLの初期位置(AML(P0))及び回動終了位置(AML(P1))が示されている。
【0033】
また、上限ストッパ24がカバー23に取り付けられ、下限ストッパ25がベースプレート20に対して固定的にされている(図3参照)。下側スイングアームAMLは、アームスプリング32による付勢力により上限ストッパ24に当接してその初期位置が規制される(AML(P0)で示す位置)。下限ストッパ25は下側スイングアームAMLの回動終了位置を規制する。下側スイングアームAMLの自由端部AMLaには、切り欠き状の段差部38が形成される(図6参照)。段差部38の上部である上側係合部38aは、ロータリーピック37を回転駆動する。段差部38の下部である下側係合部38bは、ロータリーピック37の駆動爪37aと当接係合し、モータ回転軸27から受ける回転力に抗してロータリーピック37の回転を停止状態に維持する役割を果たす。これにより、発音動作待ちのとき、ロータリーピック37が常に同じ姿勢で待機するので、毎回の発音動作の均一性が確保される。
【0034】
下側スイングアームAMLは、下側マグネットアセンブリMGL及びアームスプリング32によって動作する。すなわち、下側スイングアームAMLは、対応するフラットコイル31Lがヨーク34L間の凹状磁場に遊挿され介在するとき、フラットコイル31Lに通電されると、フレミングの左手の法則により、対応する下側スイングアームAMLが往方向である下方に回動するようになっている。すなわち、下側マグネットアセンブリMGLは下側スイングアームAMLを引き寄せる方向に駆動する。各フラットコイル31Lへの通電が解除されると、対応する下側スイングアームAMLはアームスプリング32の付勢力により復方向に回動して元の初期位置に復帰する。このような磁場形成手段の構成より、簡単な構成で磁場を容易に形成すると共に、下側スイングアームAMLの下降動作を確実にして発音動作を正確にしている。
【0035】
一方、上側スイングアームAMUは、上側マグネットアセンブリMGUによって(往方向に)下降動作し、アームスプリング32によって(復方向に)上昇動作する。従って、上側マグネットアセンブリMGUは上側スイングアームAMUを離間させる方向に駆動する。外見上の動作態様は、下側スイングアームAMLと同様である。すなわち、上側スイングアームAMUについては、その初期位置、回動終了位置は下側スイングアームAMLと同一位置であり、上限ストッパ24、下限ストッパ25によって規制される。また、上側スイングアームAMUにも、段差部38が形成され、初期位置から回動終了位置において、段差部38の位置は両スイングアームAMU、AML共に同一である。
【0036】
図7は、アクチュエータFLATの動作説明図である。図7(a)、(b)は、上側アクチュエータFLATUについて、上側スイングアームAMUがそれぞれ初期位置、回動終了位置にある状態を示し、図7(c)、(d)は、下側アクチュエータFLATLについて、下側スイングアームAMLがそれぞれ初期位置、回動終了位置にある状態を示す。
【0037】
CPU11は、MIDII/F14から入力する等によってメモリ13に記憶されている演奏データに基づいて、その音高信号に対応したフラットコイル31(U、L)に対して駆動電流を送るよう制御する。スイングアームAM(U、L)が初期位置にあるとき(図7(a)、(c))、上記フラットコイル31(U、L)に通電されると、対応するマグネットアセンブリMG(U、L)により形成されている磁場によって上記フラットコイル31(U、L)が下方に付勢力を受ける。これにより、対応するスイングアームAM(U、L)が下方に回動し、下限ストッパ25に当接して回動終了位置に達して止まる(図7(b)、(d))。フラットコイル31(U、L)への通電が遮断されると、スイングアームAM(U、L)は、アームスプリング32による反力によって上方へ回動して初期位置に復帰する(図7(a)、(c))。
【0038】
図8は、アクチュエータFLATの要部の動作の遷移を示す図である。上述したように、両スイングアームAM(U、L)の段差部38の位置は同一であるので、図8では、段差部38とロータリーピック37とリード29との関係を、上下のアクチュエータFLATを区別することなく(U、Lを付することなく)共通動作として説明する。
【0039】
まず、同図(a)に示すように、発音動作待ち状態である初期位置では、段差部38内にロータリーピック37の駆動爪37a1が入り込み、下側係合部38bに当接して、ロータリーピック37の回転が停止している。
【0040】
次に、フラットコイル31に通電されると、対応するスイングアームAMが回動軸26を中心として下方への回動を開始し、図8(b)に示すように、上側係合部38aが駆動爪37a1に当接係合してその駆動爪37a1を駆動する。すると、ロータリーピック37が時計方向に回転する。このとき、モータ回転軸27の回転とは関係なくロータリーピック37が回転する。そして、上側係合部38aにより駆動されている駆動爪37a1とは対称位置にある駆動爪37a3が、リード29の先端部を弾いて発音させる。
【0041】
その後、スイングアームAMは回動終了位置に達して停止する。それに並行して、ロータリーピック37は、モータ回転軸27から受ける時計方向への比較的小さな回転力によって、時計方向に回転し、やがて、リード29を弾いた駆動爪37a3に先行する駆動爪37a4が、スイングアームAMの先端面に当接して、ロータリーピック37の回転が停止する(図8(c))。
【0042】
次に、フラットコイル31への通電が遮断されると、アームスプリング32による反力によってスイングアームAMは上方へ回動する。スイングアームAMが上昇し、初期位置近傍まで戻って、ロータリーピック37の駆動爪37a4の位置に段差部38が来ると、モータ回転軸27から受ける回転力によって、ロータリーピック37が再び時計方向に回転する。そして、スイングアームAMが初期位置に達して停止するのに並行して、駆動爪37a4が段差部38に入り込んで下側係合部38bに当接することで、ロータリーピック37が、次の発音動作待ち状態である初期位置に復帰する(図8(a))。このようにして、リード29を1回発音させるための発音動作行程が完了する。
【0043】
本実施の形態によれば、上側、下側マグネットアセンブリMGU、MGLを、スイングアームAMを挟んで上下に配置し、上側、下側マグネットアセンブリMGU、MGLにそれぞれ駆動関係が対応している上側、下側スイングアームAMU、AMLを交互に配列した。従って、仮に、上下いずれか一方のみにマグネットアセンブリMGを配置した場合に比し、リード29の並び方向における省スペースを図ることができる。すなわち、各フラットコイル31に対応する凹状磁場は2つのヨーク34と1つのマグネット33とで形成されるが、上下いずれか一方のみにマグネットアセンブリMGを配置する場合は、凹状磁場の間隔を狭くするのにも限界があるため、マグネットアセンブリMGの全長が長くなってしまう。ところが、本実施の形態では、上下に分けて配置し、しかも、凹状磁場を、上側、下側スイングアームAMU、AMLの交互配置に対応して上下に千鳥状に配列することで、無理なく演奏装置の小型化を図ることができる。また、スイングアームAMと共に、フラットコイル31が薄型で、スイングアームAMの移動方向(上下方向)及びリード29の長手方向の双方に対して略平行であることから、狭いリードピッチにも容易に対応することができる。
【0044】
本実施の形態によればまた、ロータリーピック37の回転方向が全ロータリーピック37で共通となるように、上側、下側スイングアームAMU、AMLによる駆動方向を設定したので、リード29の駆動方向が全リード29間で共通となり、リード29の先端部の形状を交互に異ならせる等の必要がない。よって、一般的なコームを用いることが容易であり、適用可能なコームの範囲が広い。
【0045】
本実施の形態によればまた、ロータリーピック37の駆動爪37aがリード29に接触して弾く発音動作を行い、その後、回転移動によって速やかに離間していくので、発音体駆動部が直線的に移動して駆動する場合に比し、特にリード29からの離間の態様が好ましいものとなる。従って、発音動作が安定的かつ確実となり、リード29に適切な振動が起こって良好な発音が可能となる。
【0046】
本実施の形態によればまた、スイングアームAM、ロータリーピック37等をリード29に対応して設けたので、各リード29を任意のタイミングで独立して発音させることができ、複数リードの同時駆動により和音の同時発音が可能になるだけでなく、複雑なメロディの演奏も容易となる。また、形成される磁場でフラットコイル31が往復移動するので、スイングアームAMが無接触で往復移動可能であることから、耐久性が高い。
【0047】
なお、本実施の形態では、上側マグネットアセンブリMGUは上側スイングアームAMUを離間させる方向に駆動し、下側マグネットアセンブリMGLは下側スイングアームAMLを引き寄せる方向に駆動することで、全ロータリーピック37を同一方向に回転駆動するように構成したが、このように駆動方向を異ならせることを応用すれば、必ずしもスイングアームAMが並列配置される構成でなくても、全ロータリーピック37を同一方向に回転駆動可能である。例えば、上側、下側スイングアームAMU、AMLに相当する2群のアクチュエータを、ロータリーピック37の円周方向のいずれかの位置であって互いに異なる位置に配置し、両群のアクチュエータがロータリーピック37に対して同じ回転方向に駆動力を与えるように構成すればよい。また、装置の小型化の効果は期待できないが、フラットコイル31を用いることなく、通常のソレノイドコイル及びプランジャを備えたアクチュエータを用いる構成も考えられる。この場合、例えば、リード29の両側に千鳥配置されたアクチュエータの動作方向を、一方は「引き寄せ」、他方は「押進駆動」というように反対にすれば、全ロータリーピック37を同一方向に回転させることができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、1つのスイングアームAMに対応してフラットコイル31が介在する1つの磁場を形成した。すなわち、1つのマグネット33に隣接する2つのヨーク34間に、1つのフラットコイル31に対応する凹状磁場が形成されるようにした。しかし、これに限るものでなく、同じ側のマグネットアセンブリMGに対応している複数のスイングアームAM(例えば、上側スイングアームAMUの数個またはすべて、及び/又は、下側スイングアームAMLの数個またはすべて)に対応して、1つの強力な磁場を形成し、その磁場内に、対応する複数のフラットコイルが介在するように構成してもよい。
【0049】
なお、本実施の形態では、ロータリーピック37を常に時計方向に付勢する手段として、モータ及びモータ回転軸27を採用したが、これに限るものでなく、リード29を弾いた後に、図8(a)に示すような状態に速やかになるようにロータリーピック37を回転させる手段であれば、他の機構を採用してもよい。例えば、本出願人により既に提出されている出願(特願2002−079133号、特願2002−079134号)に開示されているように、ロータリーピック37の両側面に四角形のカム部を固定的に設けると共に、カムスプリングを外周方向から近接して設け、発音動作直後のロータリーピック37が時計方向へのみ付勢されるようにしてもよい。
【0050】
なお、本実施の形態において、スイングアームAMは回動動作する移動部材として構成したが、回動動作に限定されず、例えば、フラットコイルへの通電により一方向に直線的に往復する移動部材として構成してもよい。
【0051】
なお、本実施の形態において、発音体としてリードを例示したが、これ限定されるものではなく、アコースティックな発音をするもの、すなわち、接触動作によって、機械的に励振されて発音する「弦」や「音板」のような延設発音体であれば本発明を適用可能である。例えば、金属製や木製等の板状発音体も含まれる。従って、本発明が適用される場合の「弾奏」には、「弾く」、「撥く」のほか、「打撃する」等、接触動作を介して励振させるための各種動作が含まれる。また、本発明は、発音体に対して発音動作を行って発音させる演奏装置であれば適用可能であり、装置の態様は、オルゴールに限定されない。
【0052】
なお、上記演奏データは、ROM等から読み出されたものに限定されず、例えば、鍵盤やパッド等の入力操作部の操作によって発生したデータであってもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1、3に係る演奏装置によれば、適用可能なコームの範囲を狭めることなく、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0054】
本発明の請求項6に係る演奏装置によれば、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る演奏装置の制御機構の構成を示すブロック図である。
【図2】同演奏装置の平面図である。
【図3】同演奏装置の縦断面図である。
【図4】ロータリーピック及びその近傍の部分平面図(図(a))、及びアクチュエータをリード側からみた部分図(図(b))である。
【図5】ロータリーピック及びその近傍をリード側からみた部分図(図(a))、及びスリットガイドブロックの縦断面図である。
【図6】1つの下側アクチュエータを含む演奏装置の要部の外観図である。
【図7】アクチュエータの動作説明図である。
【図8】アクチュエータの要部の動作の遷移を示す図である。
【符号の説明】
20 ベースプレート(ベース部)、 29 リード(発音体)、 31 フラットコイル、 33 マグネット(移動部材駆動部の一部)、 34 ヨーク(移動部材駆動部の一部)、 34La 下端部(一端部)、 34Lb 上端部(他端部)、 37 ロータリーピック(回転部材)、 FLATU 上側アクチュエータ、 FLATL 下側アクチュエータ、 AMU 上側スイングアーム(移動部材、第1群の移動部材)、 AML 下側スイングアーム(移動部材、第2群の移動部材)、 MGU 上側マグネットアセンブリ(第1移動部材駆動手段、第1磁場形成手段)、 MGL 下側マグネットアセンブリ(第2移動部材駆動手段、第2磁場形成手段)
【発明の属する技術の分野】
本発明は、ソレノイドコイル等を用いてリード等の発音体を発音させる演奏装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
オルゴール等の演奏装置は、発音体としての複数のリードと、突起部を設けて成るバレルドラムとから構成され、バレルドラムが回転し、上記突起部が所定のリードを順次駆動していくことで、曲を演奏するものが一般的である。しかし、演奏曲を変更するにはバレルドラムを交換しなければならず、最新の曲等、多種類の曲を演奏させることは困難である。そこで、近年、バレルドラムを用いることなく、演奏データ等に基づいて、ソレノイド等を用いてリード駆動部を構成し、リード駆動部を電気・電磁的に駆動制御してリードを弾いて発音させるようにしたオルゴール型等の演奏装置も既に知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1の演奏装置は、振動弁に対応して、ソレノイドコイルを有する電気アクチュエータと、駆動用先端部を有する略円盤状の回転自在なメカアクチュエータとを設け、電気アクチュエータが対応するメカアクチュエータを回転駆動し、メカアクチュエータの先端部が対応する振動弁を駆動することで、振動弁が発音するように構成される。これにより、各振動弁が任意独立したタイミングで発音可能であり、しかも、回転するメカアクチュエータで駆動することで安定確実な発音動作が可能になり、良好な発音がなされる。
【0004】
この演奏装置はまた、電気アクチュエータを、振動弁の並び方向に沿って、振動弁の配列の両側において千鳥状に配列することで、振動弁の並び方向における省スペースを図っている。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−150152号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の演奏装置では、メカアクチュエータの回転方向は、電気アクチュエータの千鳥配置に対応して、交互に逆方向となっており、振動弁を弾く方向も交互に逆となる。そのため、振動弁の被駆動部である先端部の形状を交互に異ならせたコームを、この演奏装置専用に用意しなければならず、適用可能なコームの範囲が狭いという問題がある。
【0007】
また、電気アクチュエータは、プランジャが突出動作するものであるので、外径が大きく、千鳥配置により多少の省スペースが図られているものの、狭ピッチの振動弁を適用する上では十分でなく、振動弁の並び方向においてさらなる小型化を図る余地がある。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、適用可能なコームの範囲を狭めることなく、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる演奏装置を提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる演奏装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために本発明の請求項1の演奏装置は、並列配置され、各々発音可能な複数の発音体と、前記複数の各発音体に対応して並列配置され、各々、共通の所定方向に回転するとき、接触を伴う発音動作によって対応する発音体を発音させることが可能な複数の回転部材と、前記複数の各回転部材に対応して並列的に配置され、往復移動可能で、往方向に移動するとき、対応する回転部材を前記所定方向に回転駆動するように構成された複数の移動部材と、前記複数の各移動部材に対して駆動関係が対応し、前記複数の移動部材を挟んで互いに反対側に配置され、駆動関係が対応している移動部材を往方向に動作させるための第1、第2移動部材駆動手段とを有し、前記複数の移動部材は、前記第1移動部材駆動手段によって駆動される移動部材と前記第2移動部材駆動手段によって駆動される移動部材とが交互に配列されて成ることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、第1、第2移動部材駆動手段が移動部材を挟んで互いに反対側に配置され、第1移動部材駆動手段によって駆動される移動部材と第2移動部材駆動手段によって駆動される移動部材とが交互に配列されたので、移動部材駆動手段をいずれか一方側のみに配置した場合に比し、発音体の並び方向における省スペースを図ることができる。また、回転部材は共通の方向に回転するので、個々の発音体の構成を交互に異ならせなくてもよく、一般的な構成のものを用いることができる。さらに、個別回転駆動によって各発音体を任意のタイミングで独立して発音させることができ、しかも、回転部材を介して発音体を発音させるので、特に発音体からの離間の態様が好ましいものとなり、適切な振動が起こって良好な発音が可能となる。よって、適用可能なコームの範囲を狭めることなく、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0012】
上記第1の目的を達成するために本発明の請求項3の演奏装置は、並列配置され、各々発音可能な複数の発音体と、前記複数の各発音体に対応して並列配置され、各々、共通の所定方向に回転するとき、接触を伴う発音動作によって対応する発音体を発音させることが可能な複数の回転部材と、前記複数の各回転部材に対応して並列的に配置され、往復移動可能で、往方向に移動するとき、対応する回転部材を前記所定方向に回転駆動するように構成された複数の移動部材と、前記複数の各移動部材に対応し、対応する移動部材を往方向に動作させるための複数の移動部材駆動部とを有し、前記複数の移動部材駆動部は、前記複数の移動部材の並び方向に沿って、該移動部材を挟んで第1側と第2側とに千鳥状に配列されたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、移動部材駆動部が、移動部材の並び方向に沿って、該移動部材を挟んで第1側と第2側とに千鳥状に配列されたので、移動部材駆動部をいずれか一方側のみに配置した場合に比し、発音体の並び方向における省スペースを図ることができる。また、回転部材は共通の方向に回転するので、個々の発音体の構成を交互に異ならせなくてもよく、一般的な構成のものを用いることができる。さらに、個別回転駆動によって各発音体を任意のタイミングで独立して発音させることができ、しかも、回転部材を介して発音体を発音させるので、特に発音体からの離間の態様が好ましいものとなり、適切な振動が起こって良好な発音が可能となる。よって、適用可能なコームの範囲を狭めることなく、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0014】
上記第2の目的を達成するために本発明の請求項6の演奏装置は、並列配置され、各々発音可能な複数の発音体と、前記複数の各発音体に対応して並列配置され、回転するとき、接触を伴う発音動作によって対応する発音体を発音させることが可能な複数の回転部材と、前記複数の各回転部材に対応して並列的に配置され、往復移動可能で、往方向に移動するとき、対応する回転部材を回転駆動して発音動作を行わせるように構成された複数の移動部材と、前記複数の各移動部材に固定的に設けられ、巻回されて板状を呈するフラットコイルと、前記複数の移動部材の並び方向に沿って、該移動部材を挟んで第1側と第2側とにおいてベース部に対して固定的に設けられ、それぞれ磁場を形成し得る第1、第2磁場形成手段とを有し、前記複数の移動部材は、前記回転部材の並び方向に沿って第1群、第2群の移動部材が交互に配列されて成り、前記第1群の移動部材は、設けられたフラットコイルを前記第1磁場形成手段により形成される磁場に介在させ、該フラットコイルに通電することで往方向に移動すると共に、前記第2群の移動部材は、設けられたフラットコイルを前記第2磁場形成手段により形成される磁場に介在させ、該フラットコイルに通電することで往方向に移動するように構成されたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、第1、第2磁場形成手段が、移動部材の並び方向に沿って、該移動部材を挟んで第1側と第2側とに設けられ、第1群、第2群の移動部材は、回転部材の並び方向に沿って交互に配列されて、第1、第2磁場形成手段によりそれぞれ形成される磁場にフラットコイルを介在させて通電することで、往方向に移動するので、第1、第2磁場形成手段をいずれか一方側のみに配置した場合や、円筒状のソレノイドコイル等を用いた場合に比し、発音体の並び方向における省スペースを図ることができる。さらに、個別回転駆動によって各発音体を任意のタイミングで独立して発音させることができ、しかも、回転部材を介して発音体を発音させるので、特に発音体からの離間の態様が好ましいものとなり、適切な振動が起こって良好な発音が可能となる。よって、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る演奏装置の制御機構の構成を示すブロック図である。
【0018】
本演奏装置は、CPU11に、バス15を通じて、第1ROM12、メモリ13、MIDIインターフェイス(MIDII/F)14、第2ROM18及びドライバ(PWM)17が接続されて構成される。CPU11は、本装置全体の制御を司る。第1ROM12は、不図示のプログラムROM、データROM及びワーキングROMで構成され、CPU11が実行する制御プログラムや各種データ等を記憶する。MIDII/F14は、不図示のMIDI機器等からの演奏データをMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号として入力する。メモリ13はRAM等で構成され、演奏データを記憶するほか、MIDII/F14から入力された演奏データも記憶することができる。第2ROM18は、パラメータテーブル等を記憶している。ドライバ17は、後述するアクチュエータFLAT(上側アクチュエータFLATU、下側アクチュエータFLATL)を駆動制御する。
【0019】
図2は、本演奏装置の平面図である。同図では、後述するカバー23及び上側マグネットアセンブリMGUを取り外した状態が示されている。図3は、同演奏装置の縦断面図である。図4(a)は、後述するロータリーピック37及びその近傍の部分平面図、図4(b)は、アクチュエータFLATを後述するリード29側からみた部分図である。
【0020】
本装置はオルゴール装置として構成される。図3に示すように、ベースプレート20に対して固定的にされたコーム保持部21に、コームCOが固定される。コームCOは、基端部28から発音音高の異なる複数本の発音体であるリード29が櫛歯状に延設されて成る(図2、図3参照)。また、リード29の先端部に近接してロータリーピック37が各リード29に対応して並列的に配置される。以降、リード29の先端方向を「前方」と称する。ベースプレート20に対してスリットガイドブロック22が固定的にされ、スリットガイドブロック22とベースプレート20の後部にかけて、上方からカバー23が覆っている。
【0021】
図5(a)は、ロータリーピック37及びその近傍をリード29側からみた部分図、図5(b)は、スリットガイドブロック22の縦断面図である。
【0022】
図5(a)、(b)に示すように、スリットガイドブロック22には、縦方向のスリット22aが、リード29に対応して形成される。各ロータリーピック37は、対応するスリット22a内に配置される。図3、図5に示すように、各ロータリーピック37は、例えば金属製の薄板で略円形状に形成される。各ロータリーピック37は、モータ回転軸27に嵌合される。モータ回転軸27は、モータ収容部30(図2参照)内に収容される図示しないモータによって図3の時計方向に常に回転しており、これにより、ロータリーピック37が同時計方向に常に付勢される。ここで、ロータリーピック37とモータ回転軸27とは、僅かに遊嵌状態にあり、時計方向への回転力は両者間の摩擦によるものであって、大きくない。
【0023】
図2、図3に示すように、ロータリーピック37の前方(リード29の反対方向)には、スイングアームAMが各ロータリーピック37に対応してほぼ並列的に配置される。図2、図4(a)に示すように、スイングアームAMは、第1群に属する上側スイングアームAMUと第2群に属する下側スイングアームAMLとが、リード29の並び方向に沿って交互に配置されて成るが、図3では、理解容易化のため、上側スイングアームAMUの図示が省略されている。
【0024】
図6は、1つの下側アクチュエータFLATLを含む演奏装置の要部の外観図である。ロータリーピック37の外周部には、複数(例えば4つ)の駆動爪37a(37a1〜37a4)が一体に形成される。ロータリーピック37は、駆動爪37aの1つが、スイングアームAMの後述する段差部38の上側係合部38aから駆動力を受けることで、モータ回転軸27を中心に回転する。すべてのロータリーピック37の回転方向(所定方向)は共通である。
【0025】
本演奏装置は、アクチュエータFLATを電気的に駆動制御し、ロータリーピック37を介してリード29を個々に弾く(乃至撥く)ように駆動して発音させる(以下、「弾奏」と表現する)ように構成される。
【0026】
図3、図6に示すように、下側アクチュエータFLATLは、下側マグネットアセンブリMGL、下側スイングアームAML及びフラットコイル31L等で構成される。上側アクチュエータFLATUは、上側マグネットアセンブリMGU、上側スイングアームAMU及びフラットコイル31U等で構成される(図7(a)、(b)参照)。フラットコイル31(31U、31L)は、巻回されていずれも板状に形成され、上側、下側スイングアームAMU、AMLの、図4(b)でいう右側の各面にそれぞれ取り付けられる(図2、図4(a)、(b)参照)。フラットコイル31U、31Lは、上下方向及びリード29の長手方向の双方に対して略平行に設けられ、薄型であるので、狭いリードピッチへの対応が容易になっている。
【0027】
磁場形成手段である上側、下側マグネットアセンブリMGU、MGLはそれぞれ、ネオジ系等の希土類磁石である複数のマグネット33U、31L及びヨーク34U、34Lで構成される。
【0028】
下側マグネットアセンブリMGLは、スイングアームAMの下方(第2側)において、ベースプレート20上に固定される(図3参照)。図4(b)に一部を示すように、マグネット33Lが、各フラットコイル31Lに対応する位置において、フラットコイル31Lの並び方向に配列固定される。ヨーク34Lは、マグネット33L間に配設され、従って、マグネット33Lとヨーク34Lとが交互に配列されている。1つのマグネット33Lは、隣接する2つのヨーク34Lの下端部34La間に挟着されると共に、両ヨーク34Lの上端部34Lbが下側スイングアームAML側に延出し、これにより、各マグネット33Lの上方であって隣接するヨーク34Lの上端部34Lb同士の間に磁場が形成される。
【0029】
マグネット33Lは、例えば、図4(b)の正面からみて、あるマグネット33Lは右側が「N極」、左側が「S極」、その隣のマグネット33Lは、右側が「S極」、左側が「N極」というように、交互に極の方向が異なっている。2つのヨーク34Lとこれらに挟まれるマグネット33Lとで、図4(b)の正面からみて凹部が形成されるが、この凹部が各フラットコイル31Lに対応し、各フラットコイル31Lが遊挿可能な1つの磁場となるので、この凹部を「凹状磁場」とも呼称する。
【0030】
上側マグネットアセンブリMGUは、スイングアームAMの上方(第1側)においてカバー23の下面に固定される(図3参照)。すなわち、上側マグネットアセンブリMGUは、スイングアームAMを挟んで下側マグネットアセンブリMGLの反対側に配置される。マグネット33Uとヨーク34Uとの相対的配置関係は、下側マグネットアセンブリMGLと同様である。2つのヨーク34Uとこれらに挟まれるマグネット33Uとで形成される「凹状磁場」が、フラットコイル31Uに対応している。ただし、図4(b)に示すように、フラットコイル31U、31Lの並び方向における位置は異なっているので、それに対応して、下側マグネットアセンブリMGLで形成される凹状磁場と上側マグネットアセンブリMGUで形成される凹状磁場とは、並び方向における位置がずれており、千鳥状配置となっている。
【0031】
上側スイングアームAMUと下側スイングアームAMLとは、形状と、フラットコイル31U、31Lが取り付けられる位置が異なるのみで、基本的構成は同様であるので、主に下側スイングアームAMLに関する構成について説明する。
【0032】
図3、図6に示すように、下側スイングアームAMLは、回動軸26を中心として時計方向及び反時計方向に回動自在、すなわち、自由端部AMLaがほぼ上下方向に回動自在に構成される。下側スイングアームAMLの回動軸26近傍にはアームスプリング32が設けられ(図3参照)、アームスプリング32は下側スイングアームAMLを図3の時計方向に常に付勢している。図3では、下側スイングアームAMLの初期位置(AML(P0))及び回動終了位置(AML(P1))が示されている。
【0033】
また、上限ストッパ24がカバー23に取り付けられ、下限ストッパ25がベースプレート20に対して固定的にされている(図3参照)。下側スイングアームAMLは、アームスプリング32による付勢力により上限ストッパ24に当接してその初期位置が規制される(AML(P0)で示す位置)。下限ストッパ25は下側スイングアームAMLの回動終了位置を規制する。下側スイングアームAMLの自由端部AMLaには、切り欠き状の段差部38が形成される(図6参照)。段差部38の上部である上側係合部38aは、ロータリーピック37を回転駆動する。段差部38の下部である下側係合部38bは、ロータリーピック37の駆動爪37aと当接係合し、モータ回転軸27から受ける回転力に抗してロータリーピック37の回転を停止状態に維持する役割を果たす。これにより、発音動作待ちのとき、ロータリーピック37が常に同じ姿勢で待機するので、毎回の発音動作の均一性が確保される。
【0034】
下側スイングアームAMLは、下側マグネットアセンブリMGL及びアームスプリング32によって動作する。すなわち、下側スイングアームAMLは、対応するフラットコイル31Lがヨーク34L間の凹状磁場に遊挿され介在するとき、フラットコイル31Lに通電されると、フレミングの左手の法則により、対応する下側スイングアームAMLが往方向である下方に回動するようになっている。すなわち、下側マグネットアセンブリMGLは下側スイングアームAMLを引き寄せる方向に駆動する。各フラットコイル31Lへの通電が解除されると、対応する下側スイングアームAMLはアームスプリング32の付勢力により復方向に回動して元の初期位置に復帰する。このような磁場形成手段の構成より、簡単な構成で磁場を容易に形成すると共に、下側スイングアームAMLの下降動作を確実にして発音動作を正確にしている。
【0035】
一方、上側スイングアームAMUは、上側マグネットアセンブリMGUによって(往方向に)下降動作し、アームスプリング32によって(復方向に)上昇動作する。従って、上側マグネットアセンブリMGUは上側スイングアームAMUを離間させる方向に駆動する。外見上の動作態様は、下側スイングアームAMLと同様である。すなわち、上側スイングアームAMUについては、その初期位置、回動終了位置は下側スイングアームAMLと同一位置であり、上限ストッパ24、下限ストッパ25によって規制される。また、上側スイングアームAMUにも、段差部38が形成され、初期位置から回動終了位置において、段差部38の位置は両スイングアームAMU、AML共に同一である。
【0036】
図7は、アクチュエータFLATの動作説明図である。図7(a)、(b)は、上側アクチュエータFLATUについて、上側スイングアームAMUがそれぞれ初期位置、回動終了位置にある状態を示し、図7(c)、(d)は、下側アクチュエータFLATLについて、下側スイングアームAMLがそれぞれ初期位置、回動終了位置にある状態を示す。
【0037】
CPU11は、MIDII/F14から入力する等によってメモリ13に記憶されている演奏データに基づいて、その音高信号に対応したフラットコイル31(U、L)に対して駆動電流を送るよう制御する。スイングアームAM(U、L)が初期位置にあるとき(図7(a)、(c))、上記フラットコイル31(U、L)に通電されると、対応するマグネットアセンブリMG(U、L)により形成されている磁場によって上記フラットコイル31(U、L)が下方に付勢力を受ける。これにより、対応するスイングアームAM(U、L)が下方に回動し、下限ストッパ25に当接して回動終了位置に達して止まる(図7(b)、(d))。フラットコイル31(U、L)への通電が遮断されると、スイングアームAM(U、L)は、アームスプリング32による反力によって上方へ回動して初期位置に復帰する(図7(a)、(c))。
【0038】
図8は、アクチュエータFLATの要部の動作の遷移を示す図である。上述したように、両スイングアームAM(U、L)の段差部38の位置は同一であるので、図8では、段差部38とロータリーピック37とリード29との関係を、上下のアクチュエータFLATを区別することなく(U、Lを付することなく)共通動作として説明する。
【0039】
まず、同図(a)に示すように、発音動作待ち状態である初期位置では、段差部38内にロータリーピック37の駆動爪37a1が入り込み、下側係合部38bに当接して、ロータリーピック37の回転が停止している。
【0040】
次に、フラットコイル31に通電されると、対応するスイングアームAMが回動軸26を中心として下方への回動を開始し、図8(b)に示すように、上側係合部38aが駆動爪37a1に当接係合してその駆動爪37a1を駆動する。すると、ロータリーピック37が時計方向に回転する。このとき、モータ回転軸27の回転とは関係なくロータリーピック37が回転する。そして、上側係合部38aにより駆動されている駆動爪37a1とは対称位置にある駆動爪37a3が、リード29の先端部を弾いて発音させる。
【0041】
その後、スイングアームAMは回動終了位置に達して停止する。それに並行して、ロータリーピック37は、モータ回転軸27から受ける時計方向への比較的小さな回転力によって、時計方向に回転し、やがて、リード29を弾いた駆動爪37a3に先行する駆動爪37a4が、スイングアームAMの先端面に当接して、ロータリーピック37の回転が停止する(図8(c))。
【0042】
次に、フラットコイル31への通電が遮断されると、アームスプリング32による反力によってスイングアームAMは上方へ回動する。スイングアームAMが上昇し、初期位置近傍まで戻って、ロータリーピック37の駆動爪37a4の位置に段差部38が来ると、モータ回転軸27から受ける回転力によって、ロータリーピック37が再び時計方向に回転する。そして、スイングアームAMが初期位置に達して停止するのに並行して、駆動爪37a4が段差部38に入り込んで下側係合部38bに当接することで、ロータリーピック37が、次の発音動作待ち状態である初期位置に復帰する(図8(a))。このようにして、リード29を1回発音させるための発音動作行程が完了する。
【0043】
本実施の形態によれば、上側、下側マグネットアセンブリMGU、MGLを、スイングアームAMを挟んで上下に配置し、上側、下側マグネットアセンブリMGU、MGLにそれぞれ駆動関係が対応している上側、下側スイングアームAMU、AMLを交互に配列した。従って、仮に、上下いずれか一方のみにマグネットアセンブリMGを配置した場合に比し、リード29の並び方向における省スペースを図ることができる。すなわち、各フラットコイル31に対応する凹状磁場は2つのヨーク34と1つのマグネット33とで形成されるが、上下いずれか一方のみにマグネットアセンブリMGを配置する場合は、凹状磁場の間隔を狭くするのにも限界があるため、マグネットアセンブリMGの全長が長くなってしまう。ところが、本実施の形態では、上下に分けて配置し、しかも、凹状磁場を、上側、下側スイングアームAMU、AMLの交互配置に対応して上下に千鳥状に配列することで、無理なく演奏装置の小型化を図ることができる。また、スイングアームAMと共に、フラットコイル31が薄型で、スイングアームAMの移動方向(上下方向)及びリード29の長手方向の双方に対して略平行であることから、狭いリードピッチにも容易に対応することができる。
【0044】
本実施の形態によればまた、ロータリーピック37の回転方向が全ロータリーピック37で共通となるように、上側、下側スイングアームAMU、AMLによる駆動方向を設定したので、リード29の駆動方向が全リード29間で共通となり、リード29の先端部の形状を交互に異ならせる等の必要がない。よって、一般的なコームを用いることが容易であり、適用可能なコームの範囲が広い。
【0045】
本実施の形態によればまた、ロータリーピック37の駆動爪37aがリード29に接触して弾く発音動作を行い、その後、回転移動によって速やかに離間していくので、発音体駆動部が直線的に移動して駆動する場合に比し、特にリード29からの離間の態様が好ましいものとなる。従って、発音動作が安定的かつ確実となり、リード29に適切な振動が起こって良好な発音が可能となる。
【0046】
本実施の形態によればまた、スイングアームAM、ロータリーピック37等をリード29に対応して設けたので、各リード29を任意のタイミングで独立して発音させることができ、複数リードの同時駆動により和音の同時発音が可能になるだけでなく、複雑なメロディの演奏も容易となる。また、形成される磁場でフラットコイル31が往復移動するので、スイングアームAMが無接触で往復移動可能であることから、耐久性が高い。
【0047】
なお、本実施の形態では、上側マグネットアセンブリMGUは上側スイングアームAMUを離間させる方向に駆動し、下側マグネットアセンブリMGLは下側スイングアームAMLを引き寄せる方向に駆動することで、全ロータリーピック37を同一方向に回転駆動するように構成したが、このように駆動方向を異ならせることを応用すれば、必ずしもスイングアームAMが並列配置される構成でなくても、全ロータリーピック37を同一方向に回転駆動可能である。例えば、上側、下側スイングアームAMU、AMLに相当する2群のアクチュエータを、ロータリーピック37の円周方向のいずれかの位置であって互いに異なる位置に配置し、両群のアクチュエータがロータリーピック37に対して同じ回転方向に駆動力を与えるように構成すればよい。また、装置の小型化の効果は期待できないが、フラットコイル31を用いることなく、通常のソレノイドコイル及びプランジャを備えたアクチュエータを用いる構成も考えられる。この場合、例えば、リード29の両側に千鳥配置されたアクチュエータの動作方向を、一方は「引き寄せ」、他方は「押進駆動」というように反対にすれば、全ロータリーピック37を同一方向に回転させることができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、1つのスイングアームAMに対応してフラットコイル31が介在する1つの磁場を形成した。すなわち、1つのマグネット33に隣接する2つのヨーク34間に、1つのフラットコイル31に対応する凹状磁場が形成されるようにした。しかし、これに限るものでなく、同じ側のマグネットアセンブリMGに対応している複数のスイングアームAM(例えば、上側スイングアームAMUの数個またはすべて、及び/又は、下側スイングアームAMLの数個またはすべて)に対応して、1つの強力な磁場を形成し、その磁場内に、対応する複数のフラットコイルが介在するように構成してもよい。
【0049】
なお、本実施の形態では、ロータリーピック37を常に時計方向に付勢する手段として、モータ及びモータ回転軸27を採用したが、これに限るものでなく、リード29を弾いた後に、図8(a)に示すような状態に速やかになるようにロータリーピック37を回転させる手段であれば、他の機構を採用してもよい。例えば、本出願人により既に提出されている出願(特願2002−079133号、特願2002−079134号)に開示されているように、ロータリーピック37の両側面に四角形のカム部を固定的に設けると共に、カムスプリングを外周方向から近接して設け、発音動作直後のロータリーピック37が時計方向へのみ付勢されるようにしてもよい。
【0050】
なお、本実施の形態において、スイングアームAMは回動動作する移動部材として構成したが、回動動作に限定されず、例えば、フラットコイルへの通電により一方向に直線的に往復する移動部材として構成してもよい。
【0051】
なお、本実施の形態において、発音体としてリードを例示したが、これ限定されるものではなく、アコースティックな発音をするもの、すなわち、接触動作によって、機械的に励振されて発音する「弦」や「音板」のような延設発音体であれば本発明を適用可能である。例えば、金属製や木製等の板状発音体も含まれる。従って、本発明が適用される場合の「弾奏」には、「弾く」、「撥く」のほか、「打撃する」等、接触動作を介して励振させるための各種動作が含まれる。また、本発明は、発音体に対して発音動作を行って発音させる演奏装置であれば適用可能であり、装置の態様は、オルゴールに限定されない。
【0052】
なお、上記演奏データは、ROM等から読み出されたものに限定されず、例えば、鍵盤やパッド等の入力操作部の操作によって発生したデータであってもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1、3に係る演奏装置によれば、適用可能なコームの範囲を狭めることなく、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0054】
本発明の請求項6に係る演奏装置によれば、任意のタイミングでの良好な発音を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る演奏装置の制御機構の構成を示すブロック図である。
【図2】同演奏装置の平面図である。
【図3】同演奏装置の縦断面図である。
【図4】ロータリーピック及びその近傍の部分平面図(図(a))、及びアクチュエータをリード側からみた部分図(図(b))である。
【図5】ロータリーピック及びその近傍をリード側からみた部分図(図(a))、及びスリットガイドブロックの縦断面図である。
【図6】1つの下側アクチュエータを含む演奏装置の要部の外観図である。
【図7】アクチュエータの動作説明図である。
【図8】アクチュエータの要部の動作の遷移を示す図である。
【符号の説明】
20 ベースプレート(ベース部)、 29 リード(発音体)、 31 フラットコイル、 33 マグネット(移動部材駆動部の一部)、 34 ヨーク(移動部材駆動部の一部)、 34La 下端部(一端部)、 34Lb 上端部(他端部)、 37 ロータリーピック(回転部材)、 FLATU 上側アクチュエータ、 FLATL 下側アクチュエータ、 AMU 上側スイングアーム(移動部材、第1群の移動部材)、 AML 下側スイングアーム(移動部材、第2群の移動部材)、 MGU 上側マグネットアセンブリ(第1移動部材駆動手段、第1磁場形成手段)、 MGL 下側マグネットアセンブリ(第2移動部材駆動手段、第2磁場形成手段)
Claims (6)
- 並列配置され、各々発音可能な複数の発音体(29)と、
前記複数の各発音体に対応して並列配置され、各々、共通の所定方向に回転するとき、接触を伴う発音動作によって対応する発音体を発音させることが可能な複数の回転部材(37)と、
前記複数の各回転部材に対応して並列的に配置され、往復移動可能で、往方向に移動するとき、対応する回転部材を前記所定方向に回転駆動するように構成された複数の移動部材(AM)と、
前記複数の各移動部材に対して駆動関係が対応し、前記複数の移動部材を挟んで互いに反対側に配置され、駆動関係が対応している移動部材を往方向に動作させるための第1、第2移動部材駆動手段(MGU、MGL)とを有し、
前記複数の移動部材は、前記第1移動部材駆動手段によって駆動される移動部材と前記第2移動部材駆動手段によって駆動される移動部材とが交互に配列されて成ることを特徴とする演奏装置。 - 前記複数の各移動部材には、巻回されて板状を呈するフラットコイルが固定的に設けられ、前記第1、第2移動部材駆動手段はいずれも、ベース部に対して固定的に設けられそれぞれ磁場を形成し得る少なくとも1つの磁場形成手段であり、前記第1、第2移動部材駆動手段により形成される各磁場に、対応する移動部材のフラットコイルをそれぞれ介在させ、該フラットコイルに通電することで、前記対応する移動部材が往方向に移動するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の演奏装置。
- 並列配置され、各々発音可能な複数の発音体と、
前記複数の各発音体に対応して並列配置され、各々、共通の所定方向に回転するとき、接触を伴う発音動作によって対応する発音体を発音させることが可能な複数の回転部材と、
前記複数の各回転部材に対応して並列的に配置され、往復移動可能で、往方向に移動するとき、対応する回転部材を前記所定方向に回転駆動するように構成された複数の移動部材と、
前記複数の各移動部材に対応し、対応する移動部材を往方向に動作させるための複数の移動部材駆動部(33、34)とを有し、
前記複数の移動部材駆動部は、前記複数の移動部材の並び方向に沿って、該移動部材を挟んで第1側と第2側とに千鳥状に配列されたことを特徴とする演奏装置。 - 前記第1側の移動部材駆動部は、対応する移動部材を引き寄せる方向に駆動することで該移動部材を往方向に動作させると共に、前記第2側の移動部材駆動部は、対応する移動部材を離間させる方向に駆動することで該移動部材を往方向に動作させるように構成されたことを特徴とする請求項3記載の演奏装置。
- 前記複数の各移動部材には、巻回されて板状を呈するフラットコイルが固定的に設けられ、前記複数の各移動部材駆動部は、1つのマグネットが、隣接する2つのヨークの一端部間に挟まれると共に、前記両ヨークの他端部が、対応する移動部材に設けられたフラットコイル側に延出することで、該フラットコイルが遊挿可能な凹状磁場が形成されて成り、対応する移動部材のフラットコイルを前記凹状磁場に介在させ、該フラットコイルに通電することで、前記対応する移動部材が往方向に移動するように構成されたことを特徴とする請求項3または4記載の演奏装置。
- 並列配置され、各々発音可能な複数の発音体と、
前記複数の各発音体に対応して並列配置され、回転するとき、接触を伴う発音動作によって対応する発音体を発音させることが可能な複数の回転部材と、
前記複数の各回転部材に対応して並列的に配置され、往復移動可能で、往方向に移動するとき、対応する回転部材を回転駆動して発音動作を行わせるように構成された複数の移動部材と、
前記複数の各移動部材に固定的に設けられ、巻回されて板状を呈するフラットコイル(31)と、
前記複数の移動部材の並び方向に沿って、該移動部材を挟んで第1側と第2側とにおいてベース部に対して固定的に設けられ、それぞれ磁場を形成し得る第1、第2磁場形成手段(MGU、MGL)とを有し、
前記複数の移動部材は、前記回転部材の並び方向に沿って第1群、第2群の移動部材(AMU、AML)が交互に配列されて成り、
前記第1群の移動部材は、設けられたフラットコイル(31U)を前記第1磁場形成手段により形成される磁場に介在させ、該フラットコイルに通電することで往方向に移動すると共に、前記第2群の移動部材は、設けられたフラットコイル(31L)を前記第2磁場形成手段により形成される磁場に介在させ、該フラットコイルに通電することで往方向に移動するように構成されたことを特徴とする演奏装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003206308A JP2005055525A (ja) | 2003-08-06 | 2003-08-06 | 演奏装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003206308A JP2005055525A (ja) | 2003-08-06 | 2003-08-06 | 演奏装置 |
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JP2005055525A true JP2005055525A (ja) | 2005-03-03 |
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ID=34363213
Family Applications (1)
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JP2003206308A Pending JP2005055525A (ja) | 2003-08-06 | 2003-08-06 | 演奏装置 |
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JP (1) | JP2005055525A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009116323A (ja) * | 2007-10-15 | 2009-05-28 | Sric Corp | オルゴール装置、オルゴール装置の制御方法及びプログラム |
JP2011128348A (ja) * | 2009-12-17 | 2011-06-30 | Sric Corp | オルゴール装置 |
-
2003
- 2003-08-06 JP JP2003206308A patent/JP2005055525A/ja active Pending
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