JP3590519B2 - 発音装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オルゴール、チャイム及び時計の時報機構等に好適な発音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、時計等の報知に用いられる発音手段としては、発音回路及びスピーカ等を用いて、人工的な電子音を得るものに限らず、機械的な発音装置を用いて、情趣に富む柔らかな発音や、該発音による曲目を演奏するものが知られている。
【0003】
すなわち、電子音によるものでは、音色を自由に設定できるが、あくまでも擬似的な音色しか得ることができず、高級感に富み臨場感にあふれた生の演奏音を得ることはできない。
【0004】
この種の発音装置は、所定音階且つ音色を発生する金属製の発音体を設置し、この発音体の発音部分を、各種の機構により、打撃したり、弾くように構成され、演奏曲目を固定設置的なシリンダーや、交換可能なディスクに記録したものがある。
【0005】
このシリンダー・タイプの発音装置は、所定直径且つ長さの円筒状に形成されたシリンダーの外周に、発音体の発音部分に対応し、且つ曲目の発音タイミングの位置にピン状の突起を形成するとともに、このシリンダーを、発音体に対峙させて、回転駆動を可能に設けて構成され、このシリンダーを回転駆動すると、シリンダーの各突起が、発音体の各発音部位を直接的に爪弾いて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0006】
また、ディスク・タイプは、所定直径の薄円板状に形成されたディスクの表面に、発音体の発音部分に応じて複数トラックに区画し、そのトラックが分担した音階の発音タイミングに応じた周方向の箇所に、突起や所定径の孔状の演奏用係合部を形成するとともに、このディスクを、発音体に対面させて、回転駆動を可能に設けて構成され、このディスクを回転駆動すると、ディスクの各係合部が、星車を介して、発音体の各発音部位を間接的に爪弾いて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0007】
尚、このディスク・タイプにおいては、ディスクを交換可能に設け、人手やオートチェンジ機構により、複数ディスクによる複数曲目を演奏できるようにしたものが各種提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のシリンダやディスク・タイプの発音装置においては、その演奏する曲目数や演奏時間、発音装置を設置するスペース等の点で、以下のような問題点を生じていた。
【0009】
すなわち、曲目数に関して、シリンダ・タイプでは、その長手方向を延在させて、延長した各ブロックに複数曲目を記録し、シリンダをスライド移動させて、複数曲目から択一的に選択する構成が考えられるが、機構の複雑化による物理的な設置スペースや、信頼性、コスト的な面で不利である。
【0010】
また、ディスク・タイプにおいては、上述したように複数の交換ディスクを用いて、複数曲目を選択可能にできるが、人手の場合には、交換の手間がかかり、自動化した場合にも、シリンダ・タイプと同様に、設置スペースや、信頼性、コスト的な面で不利である。
【0011】
更に、演奏時間に関しては、シリンダ及びディスクの両方とも、基本的に、その1回転動作で1曲目であり、この演奏時間を変えるために回転スピードを増減することは、曲調や音色等が変わってしまい好ましくないので、演奏時間は、常に一定である。また、これらを回避して演奏時間を延長するために、シリンダやディスクを大型化すると、これに伴って、装置自体が大掛かりとなってしまい、重量やスペース、コストで不利であり、小規模な用途に使えないことになる。
【0012】
また、シリンダやディスク・タイプにおいて、その機械的な演奏情報を記録したシリンダ外周やディスク表面の記録面における情報密度は、物理的及び実際的な制約から低く、小型化を図ることが困難で、設置スペースの利用効率が、あまり良くないという不都合がある。すなわち、記録体の外面に設けた突起等の係合部を、機械的な駆動源として発音動作させているので、同一音階の係合部同士における最小限の間隙距離は、物理的に自ずから決まっており、更には製作誤差や高精度コスト等の面からも、記録面の情報密度を高めることは困難である。
【0013】
特に、ディスク・タイプにおいては、最小限度、円板状のディスクを安定して回転させるスペースが必要であり、また、ディスク交換可能に構成した場合には、外部からディスクを入れてセットするまでに至る経路スペースを確保したり、ディスク交換しやすい箇所に、その設置箇所が限定されたりするので、スペース利用効率が低下する傾向が、より促進されてしまう。
【0014】
そこで、本発明は、発音動作の機械的な駆動源となる記録体を不要にして、演奏曲目や演奏時間の制約を解消するとともに、装置全体としてコンパクト化して、スペース利用効率の向上を図れる発音装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願第1請求項に記載した発明は、複数の弁部を有する発音体と、前記発音体の弁部を打撃するソレノイドとを備え、前記ソレノイドが移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の複数の弁部を択一的に打撃するようにした発音装置である。
【0016】
従来のオルゴール等の発音装置は、演奏情報を機械的に記録した記録体を必要としていたが、本発明によれば、これらの記録体を不要にできるので、発音装置を設置するスペース効率を向上することが可能となるとともに、該記録体を用いるために必要な各種の設置条件を解除でき、発音装置による発音効果を優先させたり、他の装飾体等の設置を優先させたりした設置が可能となり、設置条件の自由度を向上することができる。
【0017】
更に、ソレノイドが移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の複数の弁部を択一的に打撃するようにしているので、必要なソレノイドの本数が削減され、コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0018】
本願第2請求項に記載した発明は、複数の弁部を有する発音体と、前記発音体の弁部を打撃するソレノイドとを備え、前記ソレノイドが、星車を介して、前記発音体の弁部を発音動作させるようにした発音装置である。
【0019】
発音動作する際には、この星車によってソレノイドの突出動作を確実に受けて、これを星車自体の回転運動に変換するとともに、この回転動作に伴い、星車によってスムーズに発音体の弁部と係合動作がなされ、この弁部を爪弾いて、発音動作することができる。従って、星車を介することにより、ソレノイドの突出位置を星車の周囲に設けることができるので、ソレノイドと発音体との交差角度を適宜なものとすることができ、これにより配置の自由度が向上する。
【0020】
本願第3請求項に記載した発明は、請求項1の発明において、前記ソレノイドが、星車を介して、前記発音体の弁部を発音動作させるようにした発音装置である。
【0021】
従って、前記第2請求項の発明と同様に、星車を介することにより、ソレノイドの突出位置を星車の周囲に設けることができるので、ソレノイドと発音体との交差角度を適宜なものとすることができ、これにより配置の自由度が向上する。
【0022】
本願第4請求項に記載した発明は、請求項1〜3の発明において、前記ソレノイドが単一である構成の発音装置である。
【0023】
とりわけソレノイドが単一である場合は、可及的にコストの低廉化を図ることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る発音装置の第1具体例を図1及び図2に基づいて説明する。
【0025】
尚、本例の発音装置を、図示を省略した時計体に組込んだ例を説明し、毎正時に又は任意の設定時、並びに、使用者の任意に、所定の演奏曲目プログラムに準じた発音動作を行うものとする。
【0026】
図1及び図2に示すように、本例の発音装置1は、打撃されると所定音階に発音する弁部2aを有する発音体2と、各発音弁部2aに対応して設けられた複数のソレノイド5,5とから構成され、これらのソレノイド5,5から所定音階に対応したソレノイド5を択一的に選択し、この選択したソレノイド5によって、発音体2の弁部2aを打撃し、所定音階に発音動作させるようにしている。
【0027】
このように、所定の順序及びタイミングで、ソレノイド5を選択し打撃する動作を繰返すことにより、発音体2の各弁部2aを打撃し、発音動作させる演奏プログラムを実行し、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0028】
尚、後述する各具体例において、本例で説明する弁部2aを有する発音体2と、ソレノイド5との構成は、基本的に同一なので、説明を省略することにする。
【0029】
前記発音体2は、所定の金属素材を用いて、略長板形状に形成され、その長辺の一端側には、所定音階の発音部分が設けられるとともに、図示を省略したケースに、固定設置されている。
【0030】
発音体2の一端側の基端は、台座部11に固定され、他端側の先端には、クシ歯状形成された弁部2aが設けられている。
【0031】
また、この台座部11は、鋳鉄等を素材として、比較的に大重量に形成され、図示を省略した発音装置1をカバーするケースに、強固に取付けられ、発音体2の良好な発音の基盤となるようにしている。
【0032】
更に、これらの弁部2a,2aは、発音する音階数に応じた所定数が設けられており、それぞれが、音階に応じた所定の厚さ及び長さに設定された細板形状に形成されていて、各弁部2a,2aが打撃されると、所定の音階/音程が生じるようにしている。
【0033】
また、このように固有の発音音階を有した発音体2の各弁部2a毎に、専用のソレノイド5が、複数、設けられ、図示を省略したケースに固定されている。
【0034】
すなわち、これらのソレノイド5は、略長棒状に形成され、その長手方向を、長板状に形成された発音体2の面と直交する方向に向けている。
【0035】
また、これらのソレノイド5は、その打撃側端部を、発音体2に備えられた弁部2aの先端側に、上下方向に所定の同一距離を設けて、対峙させている。
【0036】
従って、このように配置されたソレノイド5によって、このソレノイド5の打撃による発音体2の発音を、棒状の打撃体によるものと同様に、音色等を良好に且つ確実に確保できるようにしている。
【0037】
また、このソレノイド5は、円筒状のケース内に、その一端を突設させた磁性体からなる棒状の打撃体5aと、この打撃体5aの周囲に配置された図示を省略したソレノイドコイルと、この打撃体5aをソレノイド5内に後退する方向に、常時付勢するバネ等を用いた図示を省略した付勢手段とを収納して構成されている。
【0038】
そして、このソレノイド5のソレノイドコイルは、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたコイル駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路により、その打撃動作が所定に制御されている。
【0039】
すなわち、このソレノイド5による発音動作時には、該ソレノイドコイルに所定の駆動電流を印加することにより、打撃体5aに突出方向への移動力を、電磁的に付与するようにしている。
【0040】
尚、このようなソレノイド5の打撃による発音動作時に、その打撃体5aが跳ね返り運動して、複数の発音が生じることを防止するフェルト製等の緩衝材が、打撃体5a近傍の適宜箇所に設けられている。
【0041】
また、この制御回路は、一般的なI/Oポート、CPU、メモリ等を備えたマイコン回路、又は、専用回路から構成され、プログラム制御によって、上述したソレノイド5を、順次、選択し動作させて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0042】
すなわち、この制御回路は、ソレノイド5順次動作用の演奏制御データを、その内部又は外部の記憶装置に記録しており、毎正時に又は任意の設定時に計時機構から生成される起動信号によって、並びに、使用者の任意操作による起動信号によって、演奏データを用いて所定の曲目を演奏するようしている。
【0043】
従って、このようにプログラム制御を用いているので、機械的な演奏データ記録体を用いた場合における演奏する曲目数や演奏時間の制約を解消することができ、多彩且つ柔軟な変更が可能になるとともに、コンパクト化や配置の自由度を高めることができる。
【0044】
尚、発音装置の音量は、ソレノイドコイルへの駆動電流の増減によって、打撃体の突出動作の速度を増減することにより、調整可能であり、このようにソレノイドコイルに供給する電流値で、発音音量を調整できるので、機械的な調整を行う従来タイプに比べ調整作業が容易になるとともに、各発音の音量も個別に打ち分けることが可能となる。
【0045】
また、大音量用に強打した場合等に、発音体を打撃するソレノイドの打撃体が跳ね返ることを防止する方法としては、前述したフェルト製の緩衝材の他に、ソレノイドに発音動作用に駆動電圧パルスを印加した直後に、所定の逆電圧パルスを印加する方法や、打撃体を初期姿勢に維持するバネ圧を適正に調整する方法等があげられる。
【0046】
以上説明したように、本具体例によれば、所定音階数の発音部分を有する発音体に、各発音部分を打撃する専用に設けられ複数のソレノイドを設けるとともに、これらソレノイドを選択し打撃動作させることをプログラム制御したことにより、従来の演奏情報を形状的に記録した記録体を用いて、この記録体を機械的な駆動源として、発音及び演奏動作させる発音装置において生じていた曲目数や演奏時間、該発音装置を設置するスペース等の不満点を、解消することができる。
【0047】
すなわち、発音体を発音動作させるのに、物理的な形状により演奏情報を記録した記録体を用いずに、電気的なプログラム制御を用いた構成としているので、曲目数や演奏時間を、演奏プログラムの変更のみで、自由且つ柔軟に変更でき、物理的な制約を解消できる。
【0048】
また、このように演奏情報を機械的に記録した記録体を不要としたので、発音装置を設置するスペース効率を向上することが可能となるとともに、該記録体を用いるために必要な各種の設置条件を解除でき、発音装置による発音効果を優先させたり、他の装飾体等の設置を優先させたりした設置が可能となり、設置条件の自由度を向上できる。
【0049】
更に、複数のソレノイドを、配列配置して設けた構成なので、構造的に簡素であり、十分な信頼性を確保できるととともに、小型化を図ることが可能となる。
【0050】
以下に、本発明に係る発音装置の第2具体例を図3及び図4に基づいて説明する。
【0051】
本例の発音装置は、各音階用に複数、設けたソレノイドが、同様に各音階用に複数、設けた星車を介して、発音体を打撃動作する構成とし、これらの星車によって、ソレノイドを設置する向きを変更可能にして、発音装置の薄型化を図ったものである。
【0052】
すなわち、図3及び図4に示すように、発音体2の各弁部2aに対応して、各弁部2aを弾いて発音動作させる専用の星車7を回転可能に設け、これらの星車7を回転駆動させるソレノイド5を、複数、設けるとともに、これらのソレノイド5を、その長手方向を発音体2の平面に平行にして、且つ、発音体2の近傍箇所に設置している。
【0053】
この星車7は、所定の同一形状に形成され、各弁部2a専用に、複数個、設けられるとともに、同一軸により、互いに独立に回転可能に軸支されている。
【0054】
すなわち、これらの星車7は、どのような回転位置でもソレノイド5と係合できるように、所定半径の外周に、8つの爪部が設けられており、これらの爪部の回転方向における前側は、鋭角なスロープ面に形成される一方、後側は、回転方向に直交する面に形成されている。
【0055】
従って、発音動作する際には、この星車7に設けた爪部の後側の直交面で、ソレノイド5の打撃体による突出動作を、確実に受けて、星車7自体の回転運動に変換するとともに、この回転動作に伴い、前側のスロープ面で、スムーズに発音体2の弁部2aと係合動作させ、この弁部2aを爪弾いて、発音動作できるようにしている。
【0056】
発音動作する際には、この星車によってソレノイドの突出動作を確実に受けて、これを星車自体の回転運動に変換するとともに、この回転動作に伴い、星車によってスムーズに発音体の弁部と係合動作がなされ、この弁部を爪弾いて、発音動作することができる。従って、星車を介することにより、ソレノイドの突出位置を星車の周囲に設けることができるので、ソレノイドと発音体との交差角度を適宜なものとすることができ、これにより配置の自由度が向上する。
【0057】
更に、これらの星車7を発音用に駆動するソレノイド5が、複数、設けられている。
【0058】
すなわち、これらのソレノイド5は、図4に示すように、その長手方向を、発音体2の平面に平行にして、発音体2の上方の近傍箇所、且つ、その突出打撃側の向きを、星車7の上側に対して、同一な所定距離を設けて対峙させて、図示を省略したケースに固定設置されている。
【0059】
また、これらのソレノイド5は、上記第1具体例と同様に、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたソレノイド駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路によって、所定にソレノイド5の選択及び打撃動作を、プログラム制御している。
【0060】
以上説明したように、本具体例によれば、各音階用に複数、設けたソレノイドが、同様に各音階用に複数、設けた星車を介して、発音体を打撃動作する構成とし、これらソレノイドを選択し打撃動作させることをプログラム制御するとともに、これらの星車によって、ソレノイドを設置する長手方向の向きを、発音体の平面と同様な向きに設置したことにより、上記第1具体例と同様な効果を奏するのみならず、発音装置全体が占める高さ寸法を減少でき、薄型化を図ることができる。
【0061】
この結果、この発音装置を組込んで用いる装置の小型化を図ったり、発音装置を収納するスペースの制約を緩和でき、その設計の自由度を向上できるとともに、使用範囲を拡大することができる。
【0062】
次に、本発明に係る発音装置の第3具体例を図5及び図6に基づいて説明する。
【0063】
本例の発音装置は、上述した第2具体例の発音装置の構成と基本的に同一であり、発音装置の上下寸法を増加させることなく、一つの星車7を、2系列のソレノイド5で発音駆動を可能にした点のみが異なり、これにより、曲目の調子等のように演奏動作の柔軟性を向上させて、演奏幅を広げると共に、テンポの速い曲目に対応可能にしたものである。
【0064】
この発音装置は、上記第2具体例の発音装置に、各星車7毎に、当該星車7を発音動作させる第2のソレノイド5を、追加して設けている。
【0065】
すなわち、これらの第2のソレノイド5は、図6に示すように、その長手方向を、発音体2の平面に平行にして、且つ、その突出打撃側の向きを、星車7の下側に対して、同一な所定距離を設けて対峙させて、図示を省略したケースに固定設置されている。
【0066】
また、これらのソレノイド5は、上記第2具体例と同様に、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたソレノイド駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路によって、所定にソレノイド5の選択及び打撃動作を、プログラム制御している。
【0067】
以上説明したように、本具体例によれば、各音階用に複数、設けたソレノイドが、同様に各音階用に複数、設けた星車7を介して、発音体を打撃動作する構成とし、これらソレノイドを選択し打撃動作させることをプログラム制御するとともに、これらの星車7によって、2系列のソレノイドを設置する長手方向の向きを、発音体の平面と同様な向きに設置したことにより、発音装置全体が占める高さ寸法を増加せずに、上記第1具体例と同様な効果を奏するのみならず、曲目の調子等のように演奏動作の柔軟性を向上でき、演奏幅を広げるとともに、テンポの速い曲目に対応することができる。
【0068】
また、このような2系列のソレノイドを用いて、その発音動作を、和音演奏や、主旋律に伴奏を付けるというようなプログラム演奏をさせることが可能となり、演奏の表現力を向上することができる。
【0069】
次に、本発明に係る発音装置の第4具体例を図7及び図8に基づいて説明する。
【0070】
本例の発音装置は、ソレノイド5が、単一のソレノイドであるとともに、移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の弁部を択一的に打撃するようにしたものであり、コストダウンや、多数のソレノイド5を必要なためコスト増加による発音体2の発音音階が制約されることを解消できるようにしたものである。
【0071】
すなわち、この発音装置は、単一のソレノイド5を用いて、このソレノイド5による打撃箇所を、任意に変更できるように構成され、発音動作させる発音体2の弁部2aを、適宜選択して、発音動作させることにより、異なる音階の発生音を得るようにしたものである。
【0072】
図7及び図8に示すように、この発音装置は、単一のソレノイド5のみを用いて、このソレノイド5が、ベルト駆動機構6により、その水平方向の位置を、任意の位置にスライド移動して選択できるように、ベルト駆動されている。
【0073】
このベルト駆動機構6は、平面視において、2つのベルトプーリ6a,6aによって掛け渡され、その掛け渡されたベルト長手面を、発音体2の発音側端部に沿って、対向させたタイミングベルト6bと、一方のベルトプーリ6aに回転駆動力を供給する図示を省略した電動モータ及び減速機構とから構成されている。
【0074】
すなわち、2つのベルトプーリ6a,6aが、発音体2の発音側で、且つその両脇の所定箇所に、図示を省略したケースに設置された垂直軸に軸支され、これらのベルトプーリ6a,6a間にタイミングベルト6bが掛け渡されている。
【0075】
また、これらのベルトプーリ6a,6aは、その外周に所定歯数の外歯が設けられるとともに、タイミングベルト6bの内周面には、ベルトプーリ6a,6aの外歯に係合する内歯が設けられており、互いに両者間に滑りを生じることなく係合させている。
【0076】
従って、一方のベルトプーリ6aを、所定に回転駆動することにより、タイミングベルト6bに取付けたソレノイド5の位置決めを確実に行うことができるとともに、その位置決め精度を十分に確保することができるようにしている。
【0077】
更に、タイミングベルト6bは、比較的に幅広に形成され、このタイミングベルト6bにソレノイド5を安定して、取付けられるようにしている。
【0078】
すなわち、このタイミングベルト6bの所定箇所に、ソレノイド5が、その打撃端部を垂直方向の上向きにして、取付けられ、このタイミングベルト6bが比較的に幅広ベルトなので、その向きを、常に、垂直方向の上向きに維持できるようにしている。
【0079】
また、ベルトプーリ6aつまりタイミングベルト6bを駆動するベルト駆動機構6の電動モータは、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたモータ駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路により、そのモータによるベルト駆動の動作が、所定に制御されている。
【0080】
更に、上述した各具体例と同様に、この単一のソレノイド5も、この制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたソレノイド駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路により、ソレノイド5の発音用の打撃動作が、制御されている。
【0081】
従って、この制御回路によって、ベルト駆動によるソレノイド5の発音位置を選択する動作と、概位置に到達したソレノイド5の打撃動作とを、連係してプログラム制御できるように構成され、所定の順序で、所定の音階を、適切なタイミングで発音させて、所定の曲目を演奏できるようにしている。
【0082】
尚、後述する具体例において、ベルト駆動機構6を用いたものは、本例と同様に、制御回路に電気的に制御されており、本例と同様なソレノイド5と連係動作を行っているので、説明を省略することにする。
【0083】
以上説明したように、本具体例の発音装置によれば、発音体の発音部位に、その打撃側端部を対向させた単一のソレノイドを、ベルト駆動機構6によって、その打撃箇所の位置を変更可能に構成したことにより、上記第1具体例と同様な効果を奏するのみならず、低コスト化を図れるとともに、発音音階の制約を緩和することができる。
【0084】
すなわち、各音階を発音動作させる複数の専用ソレノイドを用いずに、単一のソレノイドを用いる構成であるため、必要なソレノイドの本数が削減され、コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0085】
また、同様に各音階用に専用ソレノイドを複数、設けた構成によれば、音階数が増加すれば、それに応じた専用ソレノイドの必要本数が増加して、コスト的な負担が増大するので、コスト実用的な音階数の制限が生じるが、本具体例によれば、ベルト駆動を用いて、単一のソレノイドの発音部位を移動させて選択し、発音動作させるようにしているので、このような制約を解消することができ、コスト的な制約を受けることなく、必要な音階数を自由に得ることができる。
【0086】
次に、本発明に係る発音装置の第5具体例を図9及び図10に基づいて説明する。
【0087】
本例の発音装置は、上記第4具体例と同様に、単一のソレノイド5を、ベルト駆動機構6を用いて、その打撃箇所を、任意に変更できるように設けるとともに、上述した第2具体例と同様に、各音階用の弁部2a毎に複数の専用星車7を設け、この打撃箇所を変更するソレノイド5によって、星車7を択一的に選択し、この選択した星車7を介して、発音体2の弁部2aを打撃動作する構成とされ、演奏音階数の制約を解消するとともに、発音装置の薄型化や低コスト化を図ったものである。
【0088】
この発音装置は、上記第2具体例と同様に配置構成された複数の星車7と、同第2具体例の同様な向き及び位置に設置された単一のソレノイド5と、このソレノイド5を、その向きを維持したまま、発音体2の長手方向、つまり音階の高低方向にスライド移動するベルト駆動機構6とから構成されている。
【0089】
以上説明したように、本具体例の発音装置によれば、各音階用の弁部2a毎に複数の専用星車7を設けるとともに、任意の星車7を、単一のソレノイド5が、ベルト駆動機構6によって、選択可能に構成したことにより、上記第1具体例と同様な効果を奏するのみならず、低コスト化を図れるとともに、発音音階の制約を緩和することができる。
【0090】
次に、本発明に係る発音装置の第6具体例を図11及び図12に基づいて説明する。
【0091】
本例の発音装置は、基本的に、上述した第5具体例の発音装置に設けられたソレノイド5及びそのベルト駆動機構6を、2系列に、並列的に設けた構成とし、第3具体例と同様に、発音装置の上下寸法を増加させることなく、一つの星車7を、2つのソレノイド5で発音駆動を可能にした点のみが異なる。これにより、曲目の調子等のように演奏動作の柔軟性を向上させて、演奏幅を広げるとともに、テンポの速い曲目に対応可能にしたものである。
【0092】
以上説明したように、本具体例の発音装置によれば、各音階用の弁部毎に複数の専用星車7を設けるとともに、これらの星車7から任意の星車7を、ベルト駆動機構6によって、択一的に選択するソレノイド5を、少なくとも2系列設けたことにより、上記第5具体例と同様な効果を奏するのみならず、この2系列のソレノイド5による発音動作を連係させて、曲目の調子等のように演奏動作の柔軟性を向上させて、演奏幅を広げるとともに、テンポの速い曲目に対応することができ、演奏表現力を高めることができる。
【0093】
次に、本発明に係る発音装置の第7具体例を図13及び図14に基づいて説明する。
【0094】
本例の発音装置は、固定的に配置された複数のソレノイド5を2系列、並列的に設けることによって、この2系列のソレノイド5を協調動作させて、主旋律と伴奏の演奏を行う等ように、発音装置による演奏の表現力を高めたものである。
【0095】
この発音装置は、上述した第1具体例の発音装置に、同様にな配置構成の第2の系列のソレノイド5を設けて構成されている。
【0096】
以上説明したように、本具体例の発音装置によれば、各音階用の弁部毎に複数の専用ソレノイドを、少なくとも2系列設けたことにより、上記第6具体例と同様な効果を奏するのみならず、この2系列のソレノイドによる発音動作を連係させて、曲目の調子等のように演奏動作の柔軟性を向上させて、演奏幅を広げるとともに、テンポの速い曲目に対応することができ、演奏表現力を高めることができる。
【0097】
また、このような固定設置された2系列の複数ソレノイドを用いて、その発音動作を、和音演奏や、主旋律に伴奏を付けるというようなプログラム演奏をさせることが可能となり、演奏の表現力を向上することができる。
【0098】
次に、本発明に係る発音装置の第8具体例を図15及び図16に基づいて説明する。
【0099】
本例の発音装置は、ベルト駆動による可動ソレノイド5を2系列、並列的に設けることによって、発音装置による演奏の表現力を高めるとともに、必要なソレノイド本数を削減して、コストダウンを可能としたものである。
【0100】
この発音装置は、上述した第4具体例の発音装置に、用いられているベルト駆動による可動ソレノイド5を、新たに1つ追加した構成とされている。
【0101】
以上説明したように、本具体例の発音装置によれば、ベルト機構により、各音階用の弁部を選択して発音動作させるソレノイドを、少なくとも2系列設けたことにより、上記第7具体例と同様な効果を奏するのみならず、必要なソレノイド本数が削減され、コストダウンを図れるとともに、上記第7具体例と同様に、コスト的な制約を受けることなく、必要な音階数を自由に得ることができる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本願第1請求項に記載した発明は、複数の弁部を有する発音体と、前記発音体の弁部を打撃するソレノイドとを備え、前記ソレノイドが移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の複数の弁部を択一的に打撃するようにした発音装置である。
【0103】
従来のオルゴール等の発音装置は、演奏情報を機械的に記録した記録体を必要としていたが、本発明によれば、これらの記録体を不要にできるので、発音装置を設置するスペース効率を向上することが可能となるとともに、該記録体を用いるために必要な各種の設置条件を解除でき、発音装置による発音効果を優先させたり、他の装飾体等の設置を優先させたりした設置が可能となり、設置条件の自由度を向上することができる。
【0104】
更に、ソレノイドが移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の複数の弁部を択一的に打撃するようにしているので、必要なソレノイドの本数が削減され、コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0105】
本願第2請求項に記載した発明は、複数の弁部を有する発音体と、前記発音体の弁部を打撃するソレノイドとを備え、前記ソレノイドが、星車を介して、前記発音体の弁部を発音動作させるようにした発音装置である。
【0106】
発音動作する際には、この星車によってソレノイドの突出動作を確実に受けて、これを星車自体の回転運動に変換するとともに、この回転動作に伴い、星車によってスムーズに発音体の弁部と係合動作がなされ、この弁部を爪弾いて、発音動作することができる。従って、星車を介することにより、ソレノイドの突出位置を星車の周囲に設けることができるので、ソレノイドと発音体との交差角度を適宜なものとすることができ、これにより配置の自由度が向上する。
【0107】
本願第3請求項に記載した発明は、請求項1の発明において、前記ソレノイドが、星車を介して、前記発音体の弁部を発音動作させるようにした発音装置である。
【0108】
従って、前記第2請求項の発明と同様に、星車を介することにより、ソレノイドの突出位置を星車の周囲に設けることができるので、ソレノイドと発音体との交差角度を適宜なものとすることができ、これにより配置の自由度が向上する。
【0109】
本願第4請求項に記載した発明は、請求項1〜3の発明において、前記ソレノイドが単一である構成の発音装置である。
【0110】
とりわけソレノイドが単一である場合は、可及的にコストの低廉化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発音装置の第1具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図2】本第1具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図3】本発明の発音装置の第2具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図4】本第2具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図5】本発明の発音装置の第3具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図6】本第3具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図7】本発明の発音装置の第4具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図8】本第4具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図9】本発明の発音装置の第5具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図10】本第5具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図11】本発明の発音装置の第6具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図12】本第6具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図13】本発明の発音装置の第7具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図14】本第7具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図15】本発明の発音装置の第8具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図16】本第8具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 発音装置
2 発音体
2a 発音体の弁部
5 ソレノイド
5a ソレノイドの打撃体
6 ベルト駆動機構
6a ベルトプーリ
6b タイミングベルト
7 星車
11 発音体用の台座部
【発明の属する技術分野】
本発明は、オルゴール、チャイム及び時計の時報機構等に好適な発音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、時計等の報知に用いられる発音手段としては、発音回路及びスピーカ等を用いて、人工的な電子音を得るものに限らず、機械的な発音装置を用いて、情趣に富む柔らかな発音や、該発音による曲目を演奏するものが知られている。
【0003】
すなわち、電子音によるものでは、音色を自由に設定できるが、あくまでも擬似的な音色しか得ることができず、高級感に富み臨場感にあふれた生の演奏音を得ることはできない。
【0004】
この種の発音装置は、所定音階且つ音色を発生する金属製の発音体を設置し、この発音体の発音部分を、各種の機構により、打撃したり、弾くように構成され、演奏曲目を固定設置的なシリンダーや、交換可能なディスクに記録したものがある。
【0005】
このシリンダー・タイプの発音装置は、所定直径且つ長さの円筒状に形成されたシリンダーの外周に、発音体の発音部分に対応し、且つ曲目の発音タイミングの位置にピン状の突起を形成するとともに、このシリンダーを、発音体に対峙させて、回転駆動を可能に設けて構成され、このシリンダーを回転駆動すると、シリンダーの各突起が、発音体の各発音部位を直接的に爪弾いて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0006】
また、ディスク・タイプは、所定直径の薄円板状に形成されたディスクの表面に、発音体の発音部分に応じて複数トラックに区画し、そのトラックが分担した音階の発音タイミングに応じた周方向の箇所に、突起や所定径の孔状の演奏用係合部を形成するとともに、このディスクを、発音体に対面させて、回転駆動を可能に設けて構成され、このディスクを回転駆動すると、ディスクの各係合部が、星車を介して、発音体の各発音部位を間接的に爪弾いて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0007】
尚、このディスク・タイプにおいては、ディスクを交換可能に設け、人手やオートチェンジ機構により、複数ディスクによる複数曲目を演奏できるようにしたものが各種提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のシリンダやディスク・タイプの発音装置においては、その演奏する曲目数や演奏時間、発音装置を設置するスペース等の点で、以下のような問題点を生じていた。
【0009】
すなわち、曲目数に関して、シリンダ・タイプでは、その長手方向を延在させて、延長した各ブロックに複数曲目を記録し、シリンダをスライド移動させて、複数曲目から択一的に選択する構成が考えられるが、機構の複雑化による物理的な設置スペースや、信頼性、コスト的な面で不利である。
【0010】
また、ディスク・タイプにおいては、上述したように複数の交換ディスクを用いて、複数曲目を選択可能にできるが、人手の場合には、交換の手間がかかり、自動化した場合にも、シリンダ・タイプと同様に、設置スペースや、信頼性、コスト的な面で不利である。
【0011】
更に、演奏時間に関しては、シリンダ及びディスクの両方とも、基本的に、その1回転動作で1曲目であり、この演奏時間を変えるために回転スピードを増減することは、曲調や音色等が変わってしまい好ましくないので、演奏時間は、常に一定である。また、これらを回避して演奏時間を延長するために、シリンダやディスクを大型化すると、これに伴って、装置自体が大掛かりとなってしまい、重量やスペース、コストで不利であり、小規模な用途に使えないことになる。
【0012】
また、シリンダやディスク・タイプにおいて、その機械的な演奏情報を記録したシリンダ外周やディスク表面の記録面における情報密度は、物理的及び実際的な制約から低く、小型化を図ることが困難で、設置スペースの利用効率が、あまり良くないという不都合がある。すなわち、記録体の外面に設けた突起等の係合部を、機械的な駆動源として発音動作させているので、同一音階の係合部同士における最小限の間隙距離は、物理的に自ずから決まっており、更には製作誤差や高精度コスト等の面からも、記録面の情報密度を高めることは困難である。
【0013】
特に、ディスク・タイプにおいては、最小限度、円板状のディスクを安定して回転させるスペースが必要であり、また、ディスク交換可能に構成した場合には、外部からディスクを入れてセットするまでに至る経路スペースを確保したり、ディスク交換しやすい箇所に、その設置箇所が限定されたりするので、スペース利用効率が低下する傾向が、より促進されてしまう。
【0014】
そこで、本発明は、発音動作の機械的な駆動源となる記録体を不要にして、演奏曲目や演奏時間の制約を解消するとともに、装置全体としてコンパクト化して、スペース利用効率の向上を図れる発音装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願第1請求項に記載した発明は、複数の弁部を有する発音体と、前記発音体の弁部を打撃するソレノイドとを備え、前記ソレノイドが移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の複数の弁部を択一的に打撃するようにした発音装置である。
【0016】
従来のオルゴール等の発音装置は、演奏情報を機械的に記録した記録体を必要としていたが、本発明によれば、これらの記録体を不要にできるので、発音装置を設置するスペース効率を向上することが可能となるとともに、該記録体を用いるために必要な各種の設置条件を解除でき、発音装置による発音効果を優先させたり、他の装飾体等の設置を優先させたりした設置が可能となり、設置条件の自由度を向上することができる。
【0017】
更に、ソレノイドが移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の複数の弁部を択一的に打撃するようにしているので、必要なソレノイドの本数が削減され、コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0018】
本願第2請求項に記載した発明は、複数の弁部を有する発音体と、前記発音体の弁部を打撃するソレノイドとを備え、前記ソレノイドが、星車を介して、前記発音体の弁部を発音動作させるようにした発音装置である。
【0019】
発音動作する際には、この星車によってソレノイドの突出動作を確実に受けて、これを星車自体の回転運動に変換するとともに、この回転動作に伴い、星車によってスムーズに発音体の弁部と係合動作がなされ、この弁部を爪弾いて、発音動作することができる。従って、星車を介することにより、ソレノイドの突出位置を星車の周囲に設けることができるので、ソレノイドと発音体との交差角度を適宜なものとすることができ、これにより配置の自由度が向上する。
【0020】
本願第3請求項に記載した発明は、請求項1の発明において、前記ソレノイドが、星車を介して、前記発音体の弁部を発音動作させるようにした発音装置である。
【0021】
従って、前記第2請求項の発明と同様に、星車を介することにより、ソレノイドの突出位置を星車の周囲に設けることができるので、ソレノイドと発音体との交差角度を適宜なものとすることができ、これにより配置の自由度が向上する。
【0022】
本願第4請求項に記載した発明は、請求項1〜3の発明において、前記ソレノイドが単一である構成の発音装置である。
【0023】
とりわけソレノイドが単一である場合は、可及的にコストの低廉化を図ることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る発音装置の第1具体例を図1及び図2に基づいて説明する。
【0025】
尚、本例の発音装置を、図示を省略した時計体に組込んだ例を説明し、毎正時に又は任意の設定時、並びに、使用者の任意に、所定の演奏曲目プログラムに準じた発音動作を行うものとする。
【0026】
図1及び図2に示すように、本例の発音装置1は、打撃されると所定音階に発音する弁部2aを有する発音体2と、各発音弁部2aに対応して設けられた複数のソレノイド5,5とから構成され、これらのソレノイド5,5から所定音階に対応したソレノイド5を択一的に選択し、この選択したソレノイド5によって、発音体2の弁部2aを打撃し、所定音階に発音動作させるようにしている。
【0027】
このように、所定の順序及びタイミングで、ソレノイド5を選択し打撃する動作を繰返すことにより、発音体2の各弁部2aを打撃し、発音動作させる演奏プログラムを実行し、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0028】
尚、後述する各具体例において、本例で説明する弁部2aを有する発音体2と、ソレノイド5との構成は、基本的に同一なので、説明を省略することにする。
【0029】
前記発音体2は、所定の金属素材を用いて、略長板形状に形成され、その長辺の一端側には、所定音階の発音部分が設けられるとともに、図示を省略したケースに、固定設置されている。
【0030】
発音体2の一端側の基端は、台座部11に固定され、他端側の先端には、クシ歯状形成された弁部2aが設けられている。
【0031】
また、この台座部11は、鋳鉄等を素材として、比較的に大重量に形成され、図示を省略した発音装置1をカバーするケースに、強固に取付けられ、発音体2の良好な発音の基盤となるようにしている。
【0032】
更に、これらの弁部2a,2aは、発音する音階数に応じた所定数が設けられており、それぞれが、音階に応じた所定の厚さ及び長さに設定された細板形状に形成されていて、各弁部2a,2aが打撃されると、所定の音階/音程が生じるようにしている。
【0033】
また、このように固有の発音音階を有した発音体2の各弁部2a毎に、専用のソレノイド5が、複数、設けられ、図示を省略したケースに固定されている。
【0034】
すなわち、これらのソレノイド5は、略長棒状に形成され、その長手方向を、長板状に形成された発音体2の面と直交する方向に向けている。
【0035】
また、これらのソレノイド5は、その打撃側端部を、発音体2に備えられた弁部2aの先端側に、上下方向に所定の同一距離を設けて、対峙させている。
【0036】
従って、このように配置されたソレノイド5によって、このソレノイド5の打撃による発音体2の発音を、棒状の打撃体によるものと同様に、音色等を良好に且つ確実に確保できるようにしている。
【0037】
また、このソレノイド5は、円筒状のケース内に、その一端を突設させた磁性体からなる棒状の打撃体5aと、この打撃体5aの周囲に配置された図示を省略したソレノイドコイルと、この打撃体5aをソレノイド5内に後退する方向に、常時付勢するバネ等を用いた図示を省略した付勢手段とを収納して構成されている。
【0038】
そして、このソレノイド5のソレノイドコイルは、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたコイル駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路により、その打撃動作が所定に制御されている。
【0039】
すなわち、このソレノイド5による発音動作時には、該ソレノイドコイルに所定の駆動電流を印加することにより、打撃体5aに突出方向への移動力を、電磁的に付与するようにしている。
【0040】
尚、このようなソレノイド5の打撃による発音動作時に、その打撃体5aが跳ね返り運動して、複数の発音が生じることを防止するフェルト製等の緩衝材が、打撃体5a近傍の適宜箇所に設けられている。
【0041】
また、この制御回路は、一般的なI/Oポート、CPU、メモリ等を備えたマイコン回路、又は、専用回路から構成され、プログラム制御によって、上述したソレノイド5を、順次、選択し動作させて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0042】
すなわち、この制御回路は、ソレノイド5順次動作用の演奏制御データを、その内部又は外部の記憶装置に記録しており、毎正時に又は任意の設定時に計時機構から生成される起動信号によって、並びに、使用者の任意操作による起動信号によって、演奏データを用いて所定の曲目を演奏するようしている。
【0043】
従って、このようにプログラム制御を用いているので、機械的な演奏データ記録体を用いた場合における演奏する曲目数や演奏時間の制約を解消することができ、多彩且つ柔軟な変更が可能になるとともに、コンパクト化や配置の自由度を高めることができる。
【0044】
尚、発音装置の音量は、ソレノイドコイルへの駆動電流の増減によって、打撃体の突出動作の速度を増減することにより、調整可能であり、このようにソレノイドコイルに供給する電流値で、発音音量を調整できるので、機械的な調整を行う従来タイプに比べ調整作業が容易になるとともに、各発音の音量も個別に打ち分けることが可能となる。
【0045】
また、大音量用に強打した場合等に、発音体を打撃するソレノイドの打撃体が跳ね返ることを防止する方法としては、前述したフェルト製の緩衝材の他に、ソレノイドに発音動作用に駆動電圧パルスを印加した直後に、所定の逆電圧パルスを印加する方法や、打撃体を初期姿勢に維持するバネ圧を適正に調整する方法等があげられる。
【0046】
以上説明したように、本具体例によれば、所定音階数の発音部分を有する発音体に、各発音部分を打撃する専用に設けられ複数のソレノイドを設けるとともに、これらソレノイドを選択し打撃動作させることをプログラム制御したことにより、従来の演奏情報を形状的に記録した記録体を用いて、この記録体を機械的な駆動源として、発音及び演奏動作させる発音装置において生じていた曲目数や演奏時間、該発音装置を設置するスペース等の不満点を、解消することができる。
【0047】
すなわち、発音体を発音動作させるのに、物理的な形状により演奏情報を記録した記録体を用いずに、電気的なプログラム制御を用いた構成としているので、曲目数や演奏時間を、演奏プログラムの変更のみで、自由且つ柔軟に変更でき、物理的な制約を解消できる。
【0048】
また、このように演奏情報を機械的に記録した記録体を不要としたので、発音装置を設置するスペース効率を向上することが可能となるとともに、該記録体を用いるために必要な各種の設置条件を解除でき、発音装置による発音効果を優先させたり、他の装飾体等の設置を優先させたりした設置が可能となり、設置条件の自由度を向上できる。
【0049】
更に、複数のソレノイドを、配列配置して設けた構成なので、構造的に簡素であり、十分な信頼性を確保できるととともに、小型化を図ることが可能となる。
【0050】
以下に、本発明に係る発音装置の第2具体例を図3及び図4に基づいて説明する。
【0051】
本例の発音装置は、各音階用に複数、設けたソレノイドが、同様に各音階用に複数、設けた星車を介して、発音体を打撃動作する構成とし、これらの星車によって、ソレノイドを設置する向きを変更可能にして、発音装置の薄型化を図ったものである。
【0052】
すなわち、図3及び図4に示すように、発音体2の各弁部2aに対応して、各弁部2aを弾いて発音動作させる専用の星車7を回転可能に設け、これらの星車7を回転駆動させるソレノイド5を、複数、設けるとともに、これらのソレノイド5を、その長手方向を発音体2の平面に平行にして、且つ、発音体2の近傍箇所に設置している。
【0053】
この星車7は、所定の同一形状に形成され、各弁部2a専用に、複数個、設けられるとともに、同一軸により、互いに独立に回転可能に軸支されている。
【0054】
すなわち、これらの星車7は、どのような回転位置でもソレノイド5と係合できるように、所定半径の外周に、8つの爪部が設けられており、これらの爪部の回転方向における前側は、鋭角なスロープ面に形成される一方、後側は、回転方向に直交する面に形成されている。
【0055】
従って、発音動作する際には、この星車7に設けた爪部の後側の直交面で、ソレノイド5の打撃体による突出動作を、確実に受けて、星車7自体の回転運動に変換するとともに、この回転動作に伴い、前側のスロープ面で、スムーズに発音体2の弁部2aと係合動作させ、この弁部2aを爪弾いて、発音動作できるようにしている。
【0056】
発音動作する際には、この星車によってソレノイドの突出動作を確実に受けて、これを星車自体の回転運動に変換するとともに、この回転動作に伴い、星車によってスムーズに発音体の弁部と係合動作がなされ、この弁部を爪弾いて、発音動作することができる。従って、星車を介することにより、ソレノイドの突出位置を星車の周囲に設けることができるので、ソレノイドと発音体との交差角度を適宜なものとすることができ、これにより配置の自由度が向上する。
【0057】
更に、これらの星車7を発音用に駆動するソレノイド5が、複数、設けられている。
【0058】
すなわち、これらのソレノイド5は、図4に示すように、その長手方向を、発音体2の平面に平行にして、発音体2の上方の近傍箇所、且つ、その突出打撃側の向きを、星車7の上側に対して、同一な所定距離を設けて対峙させて、図示を省略したケースに固定設置されている。
【0059】
また、これらのソレノイド5は、上記第1具体例と同様に、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたソレノイド駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路によって、所定にソレノイド5の選択及び打撃動作を、プログラム制御している。
【0060】
以上説明したように、本具体例によれば、各音階用に複数、設けたソレノイドが、同様に各音階用に複数、設けた星車を介して、発音体を打撃動作する構成とし、これらソレノイドを選択し打撃動作させることをプログラム制御するとともに、これらの星車によって、ソレノイドを設置する長手方向の向きを、発音体の平面と同様な向きに設置したことにより、上記第1具体例と同様な効果を奏するのみならず、発音装置全体が占める高さ寸法を減少でき、薄型化を図ることができる。
【0061】
この結果、この発音装置を組込んで用いる装置の小型化を図ったり、発音装置を収納するスペースの制約を緩和でき、その設計の自由度を向上できるとともに、使用範囲を拡大することができる。
【0062】
次に、本発明に係る発音装置の第3具体例を図5及び図6に基づいて説明する。
【0063】
本例の発音装置は、上述した第2具体例の発音装置の構成と基本的に同一であり、発音装置の上下寸法を増加させることなく、一つの星車7を、2系列のソレノイド5で発音駆動を可能にした点のみが異なり、これにより、曲目の調子等のように演奏動作の柔軟性を向上させて、演奏幅を広げると共に、テンポの速い曲目に対応可能にしたものである。
【0064】
この発音装置は、上記第2具体例の発音装置に、各星車7毎に、当該星車7を発音動作させる第2のソレノイド5を、追加して設けている。
【0065】
すなわち、これらの第2のソレノイド5は、図6に示すように、その長手方向を、発音体2の平面に平行にして、且つ、その突出打撃側の向きを、星車7の下側に対して、同一な所定距離を設けて対峙させて、図示を省略したケースに固定設置されている。
【0066】
また、これらのソレノイド5は、上記第2具体例と同様に、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたソレノイド駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路によって、所定にソレノイド5の選択及び打撃動作を、プログラム制御している。
【0067】
以上説明したように、本具体例によれば、各音階用に複数、設けたソレノイドが、同様に各音階用に複数、設けた星車7を介して、発音体を打撃動作する構成とし、これらソレノイドを選択し打撃動作させることをプログラム制御するとともに、これらの星車7によって、2系列のソレノイドを設置する長手方向の向きを、発音体の平面と同様な向きに設置したことにより、発音装置全体が占める高さ寸法を増加せずに、上記第1具体例と同様な効果を奏するのみならず、曲目の調子等のように演奏動作の柔軟性を向上でき、演奏幅を広げるとともに、テンポの速い曲目に対応することができる。
【0068】
また、このような2系列のソレノイドを用いて、その発音動作を、和音演奏や、主旋律に伴奏を付けるというようなプログラム演奏をさせることが可能となり、演奏の表現力を向上することができる。
【0069】
次に、本発明に係る発音装置の第4具体例を図7及び図8に基づいて説明する。
【0070】
本例の発音装置は、ソレノイド5が、単一のソレノイドであるとともに、移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の弁部を択一的に打撃するようにしたものであり、コストダウンや、多数のソレノイド5を必要なためコスト増加による発音体2の発音音階が制約されることを解消できるようにしたものである。
【0071】
すなわち、この発音装置は、単一のソレノイド5を用いて、このソレノイド5による打撃箇所を、任意に変更できるように構成され、発音動作させる発音体2の弁部2aを、適宜選択して、発音動作させることにより、異なる音階の発生音を得るようにしたものである。
【0072】
図7及び図8に示すように、この発音装置は、単一のソレノイド5のみを用いて、このソレノイド5が、ベルト駆動機構6により、その水平方向の位置を、任意の位置にスライド移動して選択できるように、ベルト駆動されている。
【0073】
このベルト駆動機構6は、平面視において、2つのベルトプーリ6a,6aによって掛け渡され、その掛け渡されたベルト長手面を、発音体2の発音側端部に沿って、対向させたタイミングベルト6bと、一方のベルトプーリ6aに回転駆動力を供給する図示を省略した電動モータ及び減速機構とから構成されている。
【0074】
すなわち、2つのベルトプーリ6a,6aが、発音体2の発音側で、且つその両脇の所定箇所に、図示を省略したケースに設置された垂直軸に軸支され、これらのベルトプーリ6a,6a間にタイミングベルト6bが掛け渡されている。
【0075】
また、これらのベルトプーリ6a,6aは、その外周に所定歯数の外歯が設けられるとともに、タイミングベルト6bの内周面には、ベルトプーリ6a,6aの外歯に係合する内歯が設けられており、互いに両者間に滑りを生じることなく係合させている。
【0076】
従って、一方のベルトプーリ6aを、所定に回転駆動することにより、タイミングベルト6bに取付けたソレノイド5の位置決めを確実に行うことができるとともに、その位置決め精度を十分に確保することができるようにしている。
【0077】
更に、タイミングベルト6bは、比較的に幅広に形成され、このタイミングベルト6bにソレノイド5を安定して、取付けられるようにしている。
【0078】
すなわち、このタイミングベルト6bの所定箇所に、ソレノイド5が、その打撃端部を垂直方向の上向きにして、取付けられ、このタイミングベルト6bが比較的に幅広ベルトなので、その向きを、常に、垂直方向の上向きに維持できるようにしている。
【0079】
また、ベルトプーリ6aつまりタイミングベルト6bを駆動するベルト駆動機構6の電動モータは、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたモータ駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路により、そのモータによるベルト駆動の動作が、所定に制御されている。
【0080】
更に、上述した各具体例と同様に、この単一のソレノイド5も、この制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたソレノイド駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路により、ソレノイド5の発音用の打撃動作が、制御されている。
【0081】
従って、この制御回路によって、ベルト駆動によるソレノイド5の発音位置を選択する動作と、概位置に到達したソレノイド5の打撃動作とを、連係してプログラム制御できるように構成され、所定の順序で、所定の音階を、適切なタイミングで発音させて、所定の曲目を演奏できるようにしている。
【0082】
尚、後述する具体例において、ベルト駆動機構6を用いたものは、本例と同様に、制御回路に電気的に制御されており、本例と同様なソレノイド5と連係動作を行っているので、説明を省略することにする。
【0083】
以上説明したように、本具体例の発音装置によれば、発音体の発音部位に、その打撃側端部を対向させた単一のソレノイドを、ベルト駆動機構6によって、その打撃箇所の位置を変更可能に構成したことにより、上記第1具体例と同様な効果を奏するのみならず、低コスト化を図れるとともに、発音音階の制約を緩和することができる。
【0084】
すなわち、各音階を発音動作させる複数の専用ソレノイドを用いずに、単一のソレノイドを用いる構成であるため、必要なソレノイドの本数が削減され、コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0085】
また、同様に各音階用に専用ソレノイドを複数、設けた構成によれば、音階数が増加すれば、それに応じた専用ソレノイドの必要本数が増加して、コスト的な負担が増大するので、コスト実用的な音階数の制限が生じるが、本具体例によれば、ベルト駆動を用いて、単一のソレノイドの発音部位を移動させて選択し、発音動作させるようにしているので、このような制約を解消することができ、コスト的な制約を受けることなく、必要な音階数を自由に得ることができる。
【0086】
次に、本発明に係る発音装置の第5具体例を図9及び図10に基づいて説明する。
【0087】
本例の発音装置は、上記第4具体例と同様に、単一のソレノイド5を、ベルト駆動機構6を用いて、その打撃箇所を、任意に変更できるように設けるとともに、上述した第2具体例と同様に、各音階用の弁部2a毎に複数の専用星車7を設け、この打撃箇所を変更するソレノイド5によって、星車7を択一的に選択し、この選択した星車7を介して、発音体2の弁部2aを打撃動作する構成とされ、演奏音階数の制約を解消するとともに、発音装置の薄型化や低コスト化を図ったものである。
【0088】
この発音装置は、上記第2具体例と同様に配置構成された複数の星車7と、同第2具体例の同様な向き及び位置に設置された単一のソレノイド5と、このソレノイド5を、その向きを維持したまま、発音体2の長手方向、つまり音階の高低方向にスライド移動するベルト駆動機構6とから構成されている。
【0089】
以上説明したように、本具体例の発音装置によれば、各音階用の弁部2a毎に複数の専用星車7を設けるとともに、任意の星車7を、単一のソレノイド5が、ベルト駆動機構6によって、選択可能に構成したことにより、上記第1具体例と同様な効果を奏するのみならず、低コスト化を図れるとともに、発音音階の制約を緩和することができる。
【0090】
次に、本発明に係る発音装置の第6具体例を図11及び図12に基づいて説明する。
【0091】
本例の発音装置は、基本的に、上述した第5具体例の発音装置に設けられたソレノイド5及びそのベルト駆動機構6を、2系列に、並列的に設けた構成とし、第3具体例と同様に、発音装置の上下寸法を増加させることなく、一つの星車7を、2つのソレノイド5で発音駆動を可能にした点のみが異なる。これにより、曲目の調子等のように演奏動作の柔軟性を向上させて、演奏幅を広げるとともに、テンポの速い曲目に対応可能にしたものである。
【0092】
以上説明したように、本具体例の発音装置によれば、各音階用の弁部毎に複数の専用星車7を設けるとともに、これらの星車7から任意の星車7を、ベルト駆動機構6によって、択一的に選択するソレノイド5を、少なくとも2系列設けたことにより、上記第5具体例と同様な効果を奏するのみならず、この2系列のソレノイド5による発音動作を連係させて、曲目の調子等のように演奏動作の柔軟性を向上させて、演奏幅を広げるとともに、テンポの速い曲目に対応することができ、演奏表現力を高めることができる。
【0093】
次に、本発明に係る発音装置の第7具体例を図13及び図14に基づいて説明する。
【0094】
本例の発音装置は、固定的に配置された複数のソレノイド5を2系列、並列的に設けることによって、この2系列のソレノイド5を協調動作させて、主旋律と伴奏の演奏を行う等ように、発音装置による演奏の表現力を高めたものである。
【0095】
この発音装置は、上述した第1具体例の発音装置に、同様にな配置構成の第2の系列のソレノイド5を設けて構成されている。
【0096】
以上説明したように、本具体例の発音装置によれば、各音階用の弁部毎に複数の専用ソレノイドを、少なくとも2系列設けたことにより、上記第6具体例と同様な効果を奏するのみならず、この2系列のソレノイドによる発音動作を連係させて、曲目の調子等のように演奏動作の柔軟性を向上させて、演奏幅を広げるとともに、テンポの速い曲目に対応することができ、演奏表現力を高めることができる。
【0097】
また、このような固定設置された2系列の複数ソレノイドを用いて、その発音動作を、和音演奏や、主旋律に伴奏を付けるというようなプログラム演奏をさせることが可能となり、演奏の表現力を向上することができる。
【0098】
次に、本発明に係る発音装置の第8具体例を図15及び図16に基づいて説明する。
【0099】
本例の発音装置は、ベルト駆動による可動ソレノイド5を2系列、並列的に設けることによって、発音装置による演奏の表現力を高めるとともに、必要なソレノイド本数を削減して、コストダウンを可能としたものである。
【0100】
この発音装置は、上述した第4具体例の発音装置に、用いられているベルト駆動による可動ソレノイド5を、新たに1つ追加した構成とされている。
【0101】
以上説明したように、本具体例の発音装置によれば、ベルト機構により、各音階用の弁部を選択して発音動作させるソレノイドを、少なくとも2系列設けたことにより、上記第7具体例と同様な効果を奏するのみならず、必要なソレノイド本数が削減され、コストダウンを図れるとともに、上記第7具体例と同様に、コスト的な制約を受けることなく、必要な音階数を自由に得ることができる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本願第1請求項に記載した発明は、複数の弁部を有する発音体と、前記発音体の弁部を打撃するソレノイドとを備え、前記ソレノイドが移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の複数の弁部を択一的に打撃するようにした発音装置である。
【0103】
従来のオルゴール等の発音装置は、演奏情報を機械的に記録した記録体を必要としていたが、本発明によれば、これらの記録体を不要にできるので、発音装置を設置するスペース効率を向上することが可能となるとともに、該記録体を用いるために必要な各種の設置条件を解除でき、発音装置による発音効果を優先させたり、他の装飾体等の設置を優先させたりした設置が可能となり、設置条件の自由度を向上することができる。
【0104】
更に、ソレノイドが移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の複数の弁部を択一的に打撃するようにしているので、必要なソレノイドの本数が削減され、コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0105】
本願第2請求項に記載した発明は、複数の弁部を有する発音体と、前記発音体の弁部を打撃するソレノイドとを備え、前記ソレノイドが、星車を介して、前記発音体の弁部を発音動作させるようにした発音装置である。
【0106】
発音動作する際には、この星車によってソレノイドの突出動作を確実に受けて、これを星車自体の回転運動に変換するとともに、この回転動作に伴い、星車によってスムーズに発音体の弁部と係合動作がなされ、この弁部を爪弾いて、発音動作することができる。従って、星車を介することにより、ソレノイドの突出位置を星車の周囲に設けることができるので、ソレノイドと発音体との交差角度を適宜なものとすることができ、これにより配置の自由度が向上する。
【0107】
本願第3請求項に記載した発明は、請求項1の発明において、前記ソレノイドが、星車を介して、前記発音体の弁部を発音動作させるようにした発音装置である。
【0108】
従って、前記第2請求項の発明と同様に、星車を介することにより、ソレノイドの突出位置を星車の周囲に設けることができるので、ソレノイドと発音体との交差角度を適宜なものとすることができ、これにより配置の自由度が向上する。
【0109】
本願第4請求項に記載した発明は、請求項1〜3の発明において、前記ソレノイドが単一である構成の発音装置である。
【0110】
とりわけソレノイドが単一である場合は、可及的にコストの低廉化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発音装置の第1具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図2】本第1具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図3】本発明の発音装置の第2具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図4】本第2具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図5】本発明の発音装置の第3具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図6】本第3具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図7】本発明の発音装置の第4具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図8】本第4具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図9】本発明の発音装置の第5具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図10】本第5具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図11】本発明の発音装置の第6具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図12】本第6具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図13】本発明の発音装置の第7具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図14】本第7具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【図15】本発明の発音装置の第8具体例に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図16】本第8具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 発音装置
2 発音体
2a 発音体の弁部
5 ソレノイド
5a ソレノイドの打撃体
6 ベルト駆動機構
6a ベルトプーリ
6b タイミングベルト
7 星車
11 発音体用の台座部
Claims (4)
- 複数の弁部を有する発音体と、前記発音体の弁部を打撃するソレノイドとを備え、前記ソレノイドが移動可能に設置されており、このソレノイドが移動して前記発音体の複数の弁部を択一的に打撃するようにしたことたことを特徴とする発音装置。
- 複数の弁部を有する発音体と、前記発音体の弁部を打撃するソレノイドとを備え、前記ソレノイドが、星車を介して、前記発音体の弁部を発音動作させるようにしたことを特徴とする発音装置。
- 前記ソレノイドが、星車を介して、前記発音体の弁部を発音動作させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の発音装置。
- 前記ソレノイドが単一であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載した発音装置。
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