JP3590518B2 - 発音装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オルゴール、チャイム及び時計の時報機構等に好適な発音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、時計等の報知に用いられる発音手段としては、発音回路及びスピーカ等を用いて、人工的な電子音を得るものに限らず、機械的な発音装置を用いて、情趣に富む柔らかな発音や、該発音による曲目を演奏するものが知られている。
【0003】
すなわち、電子音によるものでは、音色を自由に設定できるが、あくまでも擬似的な音色しか得ることができず、高級感に富み臨場感にあふれた生の演奏音を得ることはできない。
【0004】
この種の発音装置は、所定音階且つ音色を発生する金属製の発音体を設置し、この発音体の発音部分を、各種の機構により、打撃したり、弾くように構成され、演奏曲目を固定設置的なシリンダーや、交換可能なディスクに記録したものがある。
【0005】
このシリンダー・タイプの発音装置は、所定直径且つ長さの円筒状に形成されたシリンダーの外周に、発音体の発音部分に対応し、且つ曲目の発音タイミングの位置にピン状の突起を形成するとともに、このシリンダーを、発音体に対峙させて、回転駆動を可能に設けて構成され、このシリンダーを回転駆動すると、シリンダーの各突起が、発音体の各発音部位を直接的に爪弾いて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0006】
また、ディスク・タイプは、所定直径の薄円板状に形成されたディスクの表面に、発音体の発音部分に応じて複数トラックに区画し、そのトラックが分担した音階の発音タイミングに応じた周方向の箇所に、突起や所定径の孔状の演奏用係合部を形成するとともに、このディスクを、発音体に対面させて、回転駆動を可能に設けて構成され、このディスクを回転駆動すると、ディスクの各係合部が、星車を介して、発音体の各発音部位を間接的に爪弾いて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0007】
尚、このディスク・タイプにおいては、ディスクを交換可能に設け、人手やオートチェンジ機構により、複数ディスクによる複数曲目を演奏できるようにしたものが各種提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のシリンダやディスク・タイプの発音装置においては、その演奏する曲目数や演奏時間、発音装置を設置するスペース等の点で、以下のような問題点を生じていた。
【0009】
すなわち、曲目数に関して、シリンダ・タイプでは、その長手方向を延在させて、延長した各ブロックに複数曲目を記録し、シリンダをスライド移動させて、複数曲目から択一的に選択する構成が考えられるが、機構の複雑化による物理的な設置スペースや、信頼性、コスト的な面で不利である。
【0010】
また、ディスク・タイプにおいては、上述したように複数の交換ディスクを用いて、複数曲目を選択可能にできるが、人手の場合には、交換の手間がかかり、自動化した場合にも、シリンダ・タイプと同様に、設置スペースや、信頼性、コスト的な面で不利である。
【0011】
更に、演奏時間に関しては、シリンダ及びディスクの両方とも、基本的に、その1回転動作で1曲目であり、この演奏時間を変えるために回転スピードを増減することは、曲調や音色等が変わってしまい好ましくないので、演奏時間は、常に一定である。また、これらを回避して演奏時間を延長するために、シリンダやディスクを大型化すると、これに伴って、装置自体が大掛かりとなってしまい、重量やスペース、コストで不利であり、小規模な用途に使えないことになる。
【0012】
また、シリンダやディスク・タイプにおいて、その機械的な演奏情報を記録したシリンダ外周やディスク表面の記録面における情報密度は、物理的及び実際的な制約から低く、小型化を図ることが困難で、設置スペースの利用効率が、あまり良くないという不都合がある。すなわち、記録体の外面に設けた突起等の係合部を、機械的な駆動源として発音動作させているので、同一音階の係合部同士における最小限の間隙距離は、物理的に自ずから決まっており、更には製作誤差や高精度コスト等の面からも、記録面の情報密度を高めることは困難である。
【0013】
特に、ディスク・タイプにおいては、最小限度、円板状のディスクを安定して回転させるスペースが必要であり、また、ディスク交換可能に構成した場合には、外部からディスク入れてセットするまでに至る経路スペースを確保したり、ディスク交換しやすい箇所に、その設置箇所が限定されたりするので、スペース利用効率が低下する傾向が、より促進されてしまう。
【0014】
そこで、本発明は、発音動作の機械的な駆動源となる記録体を不要にして、演奏曲目や演奏時間の制約を解消するとともに、装置全体としてコンパクト化して、スペース利用効率の向上を図れる発音装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願第1請求項に記載した発明は、複数の発音体と、前記発音体を打撃して発音させるハンマーと、前記ハンマーを作動させるソレノイドとを備えた発音装置において、
前記ハンマーは、前記発音体に対応して複数設置され、
前記ソレノイドは、ソレノイド駆動部である打撃体が前記複数のハンマーのいずれかを選択可能に打撃するべく移動可能に設けられている発音装置である。
【0016】
従って、ソレノイドが例えば回転して所定位置に移動し、この位置で打撃体が駆動してハンマーを打撃すると、この打撃されたハンマーにより、当該ハンマーに対応する発音体が打撃されて発音する。
【0017】
このように、本発明によれば、装置全体がコンパクト化されて、スペース利用効率の向上が図れる発音装置を得ることができる。
【0018】
本願第1請求項に記載した発明は、前記請求項1の発明において、前記複数のハンマーの被打撃部を円弧状に揃えて設けるとともに、前記ソレノイドを旋回移動可能に設置し、該ソレノイドを旋回移動させた際にその打撃体の先端部が各ハンマーの被打撃部に対峙する構成の発音装置である。
【0019】
ソレノイドが旋回移動するので、その打撃体の先端部を各ハンマーの被打撃部に速やかに対峙させることができ、これによりアップテンポの曲も容易に演奏することができることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る発音装置の具体例を図1ないし図7に基づいて説明する。
【0021】
尚、本例においては、図示を省略した時計体に組込んだ例を説明し、毎正時に又は任意の設定時、並びに、使用者の任意に、所定の演奏曲目プログラムに準じた発音動作を行うものとする。
【0022】
図1及び図2に示すように、本例の発音装置1は、打撃されると所定音階に発音する弁部2aを有する発音体2と、各発音弁部2aに対応して設けられた複数のハンマー3,3…と、これらのハンマー3,3…を択一的に選択して、この選択したハンマー3を介して、発音体2の弁部2aを打撃し、所定音階に発音動作させる単一のソレノイド5とから構成されている。
【0023】
すなわち、発音体2と、発音体2の弁部2a毎に設けられた複数のハンマー3とは、固定的に設置されている一方、ソレノイド5は、モータ駆動機構6により、その向きを変更可能な可動的に構成され、このソレノイド5による打撃箇所を、任意に変更することにより、発音動作させるハンマー3を適宜選択し、異なる音階の発生音を得るようにしている。
【0024】
そして、これらのハンマー3の選択動作と、ソレノイド5の打撃動作とを組合せて、所定の順序及びタイミングで、発音体2の各弁部2aを打撃して、発音動作させる演奏プログラムを実行し、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0025】
また、これらの各要素は、図2に示す側面視において、互いに上下方向に、重なった位置に配置され、図1に示す平面視において、ほぼ、発音体2よりも僅かに大きい平面スペース内に収納できるようにしている。
【0026】
すなわち、上方に発音体2を、下方にハンマー3を配置するとともに、これらの中間に、ソレノイド5を配置している。
【0027】
更に、平板状の発音体2と、長棒状のソレノイド5とは、その平面と長手方向が、上下方向の互いに平行に、且つ近傍箇所に、配置され、装置全体としての上下方向の高さも、可能な限り、減少できるようにしている。
【0028】
更に、後述するように発音体2の発音部位と、ソレノイド5の突出動作部位とは、互いに逆向きに設けられ、これらの両者を、ハンマー3によって、関連動作させるようにしている。
【0029】
すなわち、後述するようにハンマー3は、その一端を、ソレノイド5の突出動作部位に対峙させるととともに、他端を、発音体2の発音部位に対面し、且つ、これらの中間が、ソレノイド5を迂回する形状に形成され、同中間の所定箇所が軸支されている。
【0030】
従って、このように配置構成されているので、設置スペースの利用効率が良好で、コンパクト化を図れ、置き時計等のような小規模な用途にも、十分に用いることができる。
【0031】
この発音体2は、所定の金属素材を用いて、略長板形状に形成され、その長辺の一端側には、所定音階の発音部分が設けられるとともに、図示を省略したケースに、固定設置されている。
【0032】
発音体2の一端側の基端は、台座部11に固定され、他端側の先端には、クシ歯状形成された弁部2aが設けられている。
【0033】
また、この台座部11は、鋳鉄等を素材として、比較的に大重量に形成され、図示を省略した発音装置1をカバーするケースに、強固に取付けられ、発音体2の良好な発音の基盤となるようにしている。
【0034】
更に、これらの弁部2a,2aは、発音する音階数に応じた所定数が設けられ、それぞれが、音階に応じた所定の厚さ及び長さに設定された細板形状に形成されており、各弁部2a,2aが、打撃されると、所定の音階/音程が生じるようにしている。
【0035】
また、このように固有の発音音階を有するた発音体2の各弁部2a毎に、専用のハンマー3が、複数、設けられ、同一の支軸13に軸支され、この支軸13は、発音体2の平面と平行に、図示を省略したケースに固定されている。
【0036】
すなわち、図2に示す側面視において、ハンマー3は、長板から略L字状に形成され、その被打撃部3a附近のソレノイド側ハンマー部分は、斜め上方に向けられ、ソレノイド5の突出方向と斜めに交差するように設定されており、ソレノイド5の急激な突出動作を良好且つ、それ自身が破損することなく受け止めて、ハンマー3自身を揺動させ、該ハンマー3による発音体2の打撃動作に変換するようにしているとともに、同ソレノイド5の突出及び縮退動作を妨げることなく、スムーズに行えるようにしている。
【0037】
他方、発音体2側のハンマー部分は、垂直方向の上方に向けて延在され、発音体2つまり発音体2の弁部2aに対して、ほぼ直交する方向に向けて対面されており、概発音体2に直交した方向に設けた棒状打撃体で発音体2を打撃して、発音動作させると、ほぼ同様に、良好な発音効果が得られるようにしている。
【0038】
また、図4及び図5に示すように、ソレノイド5の先端に対峙するハンマー3の被打撃部3aは、その所定の長さ方向に渡って、隣接する他の被打撃部3aと接触しない程度に、幅広に形成され、ソレノイド5の突出動作による打撃を、より確実且つ効果的に受けられるようにしている。
【0039】
更に、ハンマー3の打撃部3bは、隣接する他の打撃部3bと接触しない程度に、発音体2の弁部2aに対面した略正方形状の幅広に形成されるとともに、この幅広部の略中央には、突起部が設けられている。従って、その発音動作時には、この突起部が発音体2の弁部2aと接触するようにして、このようなハンマー3の打撃による発音体2の発音を、棒状の打撃体によるものと同様に、音色等を良好に且つ確実に確保できるようにしている。
【0040】
また、これらのハンマー3は、図1及び図5に示す平面視において、その中間を、それぞれ、個別に所定形状に屈曲させて形成され、その発音体2側の一端を、直線上に揃えて、分担されたクシ歯部分(弁部2a)に、上下方向に対面させるとともに、そのソレノイド側の他端を、所定半径の円弧上に揃えて、後述するように旋回駆動されるソレノイド5の先端に、略水平方向に対峙するようにしている。
【0041】
すなわち、発音体2における中央附近の弁部2aに対応したハンマー3は、その中間屈曲の角度が少ないが、これに対して外側の位置のあるハンマー3になるに従い、その中間屈曲の角度が大きくなっている。
【0042】
また、これらのハンマー3には、図示を省略したが、その未動作時には、各ハンマー3を所定の初期姿勢状態に保持する姿勢保持機構が設けられている。
【0043】
この姿勢保持機構は、例えば、ハンマー3の所定箇所とケース間には、所定バネ強度のバネ等の弾性体が縮設又は展設して構成されており、この弾性体によって、ソレノイド5により打撃されない場合には、ハンマー3を初期の姿勢状態に維持するとともに、打撃された後には、この初期状態に、すみやかに復帰するようにしている。
【0044】
更に、同様に図示を省略したが、ソレノイド5の打撃による発音動作時に、ハンマー3が跳ね返り運動して、複数の発音が生じることを防止するフェルト製等の緩衝材が、ハンマー3近傍の適宜箇所に設けられている。
【0045】
そして、このように構成された各音階に対応した複数のハンマー3を、単一のソレノイド5によって、適宜、選択して、発音動作するようにしている。
【0046】
すなわち、再び図1ないし図3に示すように、このソレノイド5は、モータ駆動機構6により、その水平方向の向きを、任意の角度位置に選択できるように、旋回駆動されている。
【0047】
このモータ駆動機構6は、その図示を省略したモータ軸を垂直方向の上方に向けて、ケース側に固定されたサーボモータ7と、このモータ軸に、その中心が直接的に接続された所定半径の円板形状且つ水平配置のターンテーブル8とから構成され、このターンテーブル8上に、ソレノイド5を設置している。
【0048】
また、このサーボモータ7は、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたモータ駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路により、そのモータによる旋回動作が、所定に制御されている。
【0049】
従って、このように円板形状に形成されたターンテーブル8を介して、サーボモータ7により、ソレノイド5を旋回駆動するようにしているので、安定した旋回駆動が行えるとともに、ソレノイド5の先端がブレることなく、任意の角度位置に持っていくことができる。
【0050】
また、このソレノイド5は、円筒状のケース内に、その一端を突設させた磁性体からなる棒状の打撃体5aと、この打撃体5aの周囲に配置された図示を省略したソレノイドコイルと、この打撃体5aをソレノイド5内に後退する方向に、常時付勢するバネ等を用いた図示を省略した付勢手段とを収納して構成されている。
【0051】
そして、このソレノイド5のソレノイドコイルは、モータ駆動機構6と同様に、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたコイル駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路により、その打撃動作が所定に制御されている。
【0052】
このソレノイド5による発音動作時には、該ソレノイドコイルに所定の駆動電流を印加することにより、打撃体5aに突出方向への移動力を、電磁的に付与するようにしている。
【0053】
また、この制御回路は、一般的なI/Oポート、CPU、メモリ等を備えたマイコン回路、又は、専用回路から構成され、プログラム制御によって、上述したモータ駆動機構6のサーボモータ7及びソレノイド5を連係動作させて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0054】
この制御回路は、モータ及びソレノイド5連係動作用の演奏制御データを、その内部又は外部の記憶装置に記録しており、毎正時に又は任意の設定時に計時機構から生成される起動信号によって、並びに、使用者の任意操作による起動信号によって、演奏データを用いて所定の曲目を演奏するようしている。例えば、マイコンに曲の情報を入力してサーボモータを適切な各ハンマーの被打撃部に対峙するようにする。
【0055】
従って、このようにプログラム制御を用いているので、機械的な演奏データ記録体を用いた場合における演奏する曲目数や演奏時間の制約を解消することができ、多彩且つ柔軟な変更が可能になるとともに、コンパクト化や配置の自由度を高めることができる。
【0056】
次に、このように構成された発音装置1の動作を説明する。
【0057】
この発音装置1を、オルゴール、チャイムとして用いる場合は使用者等の任意操作により、また、時計に組込んで報知手段として用いた場合は毎正時又は設定時に、発音装置1の発音動作が開始される。
【0058】
尚、以下において、ある単独の音階を発音させる動作を説明するが、演奏曲目に従って、この他の音階用に同様な動作が繰り返されるので、曲目全体に関した発音動作の説明は省略することにする。
【0059】
まず、図6(1)に示すように、その平面視において、略中央の音階に対応したハンマー被打撃部3a附近に向いた基準位置のソレノイド5が、その向きを、図6(2)又は(3)に示すように、モータ駆動機構6のサーボモータ7により、ある音階に対応したハンマー3の被打撃部3aに対峙した向きに旋回される。
【0060】
すなわち、図6(2)の状態は、この図においては図示を省略した発音体の比較的に長さの短い高音階用の弁部を選択した状態であり、図6(3)の状態は、同発音体の比較的に長さの長い低音階用の弁部を選択した状態である。
【0061】
次に、図7(1)に示すように、その側面視において、打撃体5aを僅かに突出した初期状態のソレノイド5に、駆動電流が供給され、この打撃体5aが突出動作し、同打撃体5aの先端が、選択したハンマー3の被打撃部3aに、衝突する(図7(2)参照)。
【0062】
そして、この衝撃を受けて、同図中に示すように、ハンマー3は、その全体が、急激に時計方向に回転し、これに伴い、ハンマー打撃側の端部が、発音体2の弁部2aに、衝突する。(図7(3)参照)
この打撃により、発音体2の当該弁部2aに固有な音階の発音が、生成される(図7(4)参照)。
【0063】
また、このとき迄には、ハンマー3は、近傍箇所に設けた緩衝材によって、跳ね返り運動が阻止されるとともに、そのハンマー3用の姿勢保持機構により、速やかに初期姿勢状態に復帰する一方、ソレノイド5の打撃体5aも、そのソレノイド5用の付勢手段によって、速やかに初期状態の位置に復帰している。
【0064】
従って、迅速且つスムーズに、ソレノイド5を旋回でき、次の音階の発音動作に移行することができる。
【0065】
そして、このようなソレノイド5の音階に対応したハンマー3を選択する移動動作、及び該ハンマー3を介しての打撃動作が、演奏曲目の各音階毎に、繰り返される。
【0066】
尚、クシ歯形状に形成された複数の弁部を備えた発音体を用いたが、これに限らず、打撃により発音動作するものを、発音体として、適宜、用いてもよい。すなわち、各音階毎に設けた複数のパイプ状や鐘状の発音体を用いても良く、更に、これらを組合せて、異なる音質を組合せによる複合的な演奏効果を得るようにしても良い。
【0067】
また、ソレノイドを旋回駆動するように構成したが、平行に横滑りスライド駆動するように構成しても良い。具体例では単一のソレノイドを用いて説明したが、これに限らず複数のソレノイドを用いてよいことは勿論である。
【0068】
更に、発音装置1の音量は、ソレノイドコイルへの駆動電流の増減によって、調整可能であり、このようにソレノイドコイルに供給する電流値で、発音音量を調整できるので、機械的な調整を行う従来タイプに比べ調整作業が容易になるとともに、各発音の音量も個別に打ち分けることが可能となる。
【0069】
以上説明したように、本具体例によれば、所定音階数の発音部分を有する発音体に、各発音部分を打撃する複数のハンマーを設けるとともに、これらのハンマーを打撃するソレノイドを、任意のハンマーを打撃するべく選択可能に設け、該ソレノイドの選択及び打撃動作をプログラム制御したことにより、従来の不満、つまり演奏情報を形状的に記録した記録体を用いて、この記録体を機械的な駆動源として、発音及び演奏動作させる発音装置において生じていた曲目数や演奏時間、該発音装置を設置するスペース等の不満を、解消することができる。
【0070】
すなわち、発音体を発音動作させるのに、物理的な形状により演奏情報を記録した記録体を用いずに、電気的なプログラム制御を用いているので、曲目数や演奏時間を、演奏プログラムの変更のみで、自由且つ柔軟に変更でき、物理的な制約を解消することができる。
【0071】
また、このように演奏情報を機械的に記録した記録体を不要としたので、発音装置を設置するスペース効率を向上することが可能となるとともに、該記録体を用いるために必要な各種の設置条件を解除でき、発音装置による発音効果を優先させたり、他の装飾体等の設置を優先させたりした設置が可能となり、設置条件の自由度を向上することができる。
【0072】
更に、発音動作の駆動源として、単独のソレノイドと、該ソレノイドを旋回駆動するモータを用いたことにより、構造や機構が簡素になり、信頼性や低コスト性の面でも好ましいものとなる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、複数の発音体と、前記発音体を打撃して発音させるハンマーと、前記ハンマーを作動させるソレノイドとを備えた発音装置において、前記ハンマーは、前記発音体に対応して複数設置され、前記ソレノイドは、ソレノイド駆動部である打撃体が前記複数のハンマーのいずれかを選択可能に打撃するべく移動可能に設けられている発音装置である。
【0074】
従って、本発明によれば、ソレノイドが例えば回転して所定位置に移動し、この位置で打撃体が駆動してハンマーを打撃すると、この打撃されたハンマーにより、当該ハンマーに対応する発音体が打撃されて発音するので、装置全体がコンパクト化されて、スペース利用効率の向上が図れる発音装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図2】本具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す図1中のI−I線矢視断面図である。
【図3】本例の発音装置に係り、(1)は、発音体の平面図、(2)は、ソレノイド及びモータ駆動機構の平面図、(3)は、ハンマーの平面図である。
【図4】本例の発音装置に係り、中央の音階用及びこれに隣接した音階用のハンマーを示す斜視図である。
【図5】本例の発音装置に係り、ハンマーを拡大した平面図である。
【図6】本例の発音装置の動作説明に係り、(1)は、初期状態を示す平面図、(2)は、ある低音階を選択した状態を示す平面図、(3)は、ある高音階を選択した状態を示す平面図である。
【図7】本例の発音装置の動作説明に係り、(1)は、初期状態を示す平面図、(2)は、ある高音階を選択した状態を示す平面図、(3)は、ある低音階を選択した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 発音装置
2 発音体
2a 発音体の弁部
3 ハンマー
3a ハンマーの被打撃部
3b ハンマーの打撃部
5 ソレノイド
5a ソレノイドの打撃体
6 モータ駆動機構
7 サーボモータ
8 ターンテーブル
11 発音体用の台座部
13 ハンマー用の支軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、オルゴール、チャイム及び時計の時報機構等に好適な発音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、時計等の報知に用いられる発音手段としては、発音回路及びスピーカ等を用いて、人工的な電子音を得るものに限らず、機械的な発音装置を用いて、情趣に富む柔らかな発音や、該発音による曲目を演奏するものが知られている。
【0003】
すなわち、電子音によるものでは、音色を自由に設定できるが、あくまでも擬似的な音色しか得ることができず、高級感に富み臨場感にあふれた生の演奏音を得ることはできない。
【0004】
この種の発音装置は、所定音階且つ音色を発生する金属製の発音体を設置し、この発音体の発音部分を、各種の機構により、打撃したり、弾くように構成され、演奏曲目を固定設置的なシリンダーや、交換可能なディスクに記録したものがある。
【0005】
このシリンダー・タイプの発音装置は、所定直径且つ長さの円筒状に形成されたシリンダーの外周に、発音体の発音部分に対応し、且つ曲目の発音タイミングの位置にピン状の突起を形成するとともに、このシリンダーを、発音体に対峙させて、回転駆動を可能に設けて構成され、このシリンダーを回転駆動すると、シリンダーの各突起が、発音体の各発音部位を直接的に爪弾いて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0006】
また、ディスク・タイプは、所定直径の薄円板状に形成されたディスクの表面に、発音体の発音部分に応じて複数トラックに区画し、そのトラックが分担した音階の発音タイミングに応じた周方向の箇所に、突起や所定径の孔状の演奏用係合部を形成するとともに、このディスクを、発音体に対面させて、回転駆動を可能に設けて構成され、このディスクを回転駆動すると、ディスクの各係合部が、星車を介して、発音体の各発音部位を間接的に爪弾いて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0007】
尚、このディスク・タイプにおいては、ディスクを交換可能に設け、人手やオートチェンジ機構により、複数ディスクによる複数曲目を演奏できるようにしたものが各種提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のシリンダやディスク・タイプの発音装置においては、その演奏する曲目数や演奏時間、発音装置を設置するスペース等の点で、以下のような問題点を生じていた。
【0009】
すなわち、曲目数に関して、シリンダ・タイプでは、その長手方向を延在させて、延長した各ブロックに複数曲目を記録し、シリンダをスライド移動させて、複数曲目から択一的に選択する構成が考えられるが、機構の複雑化による物理的な設置スペースや、信頼性、コスト的な面で不利である。
【0010】
また、ディスク・タイプにおいては、上述したように複数の交換ディスクを用いて、複数曲目を選択可能にできるが、人手の場合には、交換の手間がかかり、自動化した場合にも、シリンダ・タイプと同様に、設置スペースや、信頼性、コスト的な面で不利である。
【0011】
更に、演奏時間に関しては、シリンダ及びディスクの両方とも、基本的に、その1回転動作で1曲目であり、この演奏時間を変えるために回転スピードを増減することは、曲調や音色等が変わってしまい好ましくないので、演奏時間は、常に一定である。また、これらを回避して演奏時間を延長するために、シリンダやディスクを大型化すると、これに伴って、装置自体が大掛かりとなってしまい、重量やスペース、コストで不利であり、小規模な用途に使えないことになる。
【0012】
また、シリンダやディスク・タイプにおいて、その機械的な演奏情報を記録したシリンダ外周やディスク表面の記録面における情報密度は、物理的及び実際的な制約から低く、小型化を図ることが困難で、設置スペースの利用効率が、あまり良くないという不都合がある。すなわち、記録体の外面に設けた突起等の係合部を、機械的な駆動源として発音動作させているので、同一音階の係合部同士における最小限の間隙距離は、物理的に自ずから決まっており、更には製作誤差や高精度コスト等の面からも、記録面の情報密度を高めることは困難である。
【0013】
特に、ディスク・タイプにおいては、最小限度、円板状のディスクを安定して回転させるスペースが必要であり、また、ディスク交換可能に構成した場合には、外部からディスク入れてセットするまでに至る経路スペースを確保したり、ディスク交換しやすい箇所に、その設置箇所が限定されたりするので、スペース利用効率が低下する傾向が、より促進されてしまう。
【0014】
そこで、本発明は、発音動作の機械的な駆動源となる記録体を不要にして、演奏曲目や演奏時間の制約を解消するとともに、装置全体としてコンパクト化して、スペース利用効率の向上を図れる発音装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願第1請求項に記載した発明は、複数の発音体と、前記発音体を打撃して発音させるハンマーと、前記ハンマーを作動させるソレノイドとを備えた発音装置において、
前記ハンマーは、前記発音体に対応して複数設置され、
前記ソレノイドは、ソレノイド駆動部である打撃体が前記複数のハンマーのいずれかを選択可能に打撃するべく移動可能に設けられている発音装置である。
【0016】
従って、ソレノイドが例えば回転して所定位置に移動し、この位置で打撃体が駆動してハンマーを打撃すると、この打撃されたハンマーにより、当該ハンマーに対応する発音体が打撃されて発音する。
【0017】
このように、本発明によれば、装置全体がコンパクト化されて、スペース利用効率の向上が図れる発音装置を得ることができる。
【0018】
本願第1請求項に記載した発明は、前記請求項1の発明において、前記複数のハンマーの被打撃部を円弧状に揃えて設けるとともに、前記ソレノイドを旋回移動可能に設置し、該ソレノイドを旋回移動させた際にその打撃体の先端部が各ハンマーの被打撃部に対峙する構成の発音装置である。
【0019】
ソレノイドが旋回移動するので、その打撃体の先端部を各ハンマーの被打撃部に速やかに対峙させることができ、これによりアップテンポの曲も容易に演奏することができることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る発音装置の具体例を図1ないし図7に基づいて説明する。
【0021】
尚、本例においては、図示を省略した時計体に組込んだ例を説明し、毎正時に又は任意の設定時、並びに、使用者の任意に、所定の演奏曲目プログラムに準じた発音動作を行うものとする。
【0022】
図1及び図2に示すように、本例の発音装置1は、打撃されると所定音階に発音する弁部2aを有する発音体2と、各発音弁部2aに対応して設けられた複数のハンマー3,3…と、これらのハンマー3,3…を択一的に選択して、この選択したハンマー3を介して、発音体2の弁部2aを打撃し、所定音階に発音動作させる単一のソレノイド5とから構成されている。
【0023】
すなわち、発音体2と、発音体2の弁部2a毎に設けられた複数のハンマー3とは、固定的に設置されている一方、ソレノイド5は、モータ駆動機構6により、その向きを変更可能な可動的に構成され、このソレノイド5による打撃箇所を、任意に変更することにより、発音動作させるハンマー3を適宜選択し、異なる音階の発生音を得るようにしている。
【0024】
そして、これらのハンマー3の選択動作と、ソレノイド5の打撃動作とを組合せて、所定の順序及びタイミングで、発音体2の各弁部2aを打撃して、発音動作させる演奏プログラムを実行し、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0025】
また、これらの各要素は、図2に示す側面視において、互いに上下方向に、重なった位置に配置され、図1に示す平面視において、ほぼ、発音体2よりも僅かに大きい平面スペース内に収納できるようにしている。
【0026】
すなわち、上方に発音体2を、下方にハンマー3を配置するとともに、これらの中間に、ソレノイド5を配置している。
【0027】
更に、平板状の発音体2と、長棒状のソレノイド5とは、その平面と長手方向が、上下方向の互いに平行に、且つ近傍箇所に、配置され、装置全体としての上下方向の高さも、可能な限り、減少できるようにしている。
【0028】
更に、後述するように発音体2の発音部位と、ソレノイド5の突出動作部位とは、互いに逆向きに設けられ、これらの両者を、ハンマー3によって、関連動作させるようにしている。
【0029】
すなわち、後述するようにハンマー3は、その一端を、ソレノイド5の突出動作部位に対峙させるととともに、他端を、発音体2の発音部位に対面し、且つ、これらの中間が、ソレノイド5を迂回する形状に形成され、同中間の所定箇所が軸支されている。
【0030】
従って、このように配置構成されているので、設置スペースの利用効率が良好で、コンパクト化を図れ、置き時計等のような小規模な用途にも、十分に用いることができる。
【0031】
この発音体2は、所定の金属素材を用いて、略長板形状に形成され、その長辺の一端側には、所定音階の発音部分が設けられるとともに、図示を省略したケースに、固定設置されている。
【0032】
発音体2の一端側の基端は、台座部11に固定され、他端側の先端には、クシ歯状形成された弁部2aが設けられている。
【0033】
また、この台座部11は、鋳鉄等を素材として、比較的に大重量に形成され、図示を省略した発音装置1をカバーするケースに、強固に取付けられ、発音体2の良好な発音の基盤となるようにしている。
【0034】
更に、これらの弁部2a,2aは、発音する音階数に応じた所定数が設けられ、それぞれが、音階に応じた所定の厚さ及び長さに設定された細板形状に形成されており、各弁部2a,2aが、打撃されると、所定の音階/音程が生じるようにしている。
【0035】
また、このように固有の発音音階を有するた発音体2の各弁部2a毎に、専用のハンマー3が、複数、設けられ、同一の支軸13に軸支され、この支軸13は、発音体2の平面と平行に、図示を省略したケースに固定されている。
【0036】
すなわち、図2に示す側面視において、ハンマー3は、長板から略L字状に形成され、その被打撃部3a附近のソレノイド側ハンマー部分は、斜め上方に向けられ、ソレノイド5の突出方向と斜めに交差するように設定されており、ソレノイド5の急激な突出動作を良好且つ、それ自身が破損することなく受け止めて、ハンマー3自身を揺動させ、該ハンマー3による発音体2の打撃動作に変換するようにしているとともに、同ソレノイド5の突出及び縮退動作を妨げることなく、スムーズに行えるようにしている。
【0037】
他方、発音体2側のハンマー部分は、垂直方向の上方に向けて延在され、発音体2つまり発音体2の弁部2aに対して、ほぼ直交する方向に向けて対面されており、概発音体2に直交した方向に設けた棒状打撃体で発音体2を打撃して、発音動作させると、ほぼ同様に、良好な発音効果が得られるようにしている。
【0038】
また、図4及び図5に示すように、ソレノイド5の先端に対峙するハンマー3の被打撃部3aは、その所定の長さ方向に渡って、隣接する他の被打撃部3aと接触しない程度に、幅広に形成され、ソレノイド5の突出動作による打撃を、より確実且つ効果的に受けられるようにしている。
【0039】
更に、ハンマー3の打撃部3bは、隣接する他の打撃部3bと接触しない程度に、発音体2の弁部2aに対面した略正方形状の幅広に形成されるとともに、この幅広部の略中央には、突起部が設けられている。従って、その発音動作時には、この突起部が発音体2の弁部2aと接触するようにして、このようなハンマー3の打撃による発音体2の発音を、棒状の打撃体によるものと同様に、音色等を良好に且つ確実に確保できるようにしている。
【0040】
また、これらのハンマー3は、図1及び図5に示す平面視において、その中間を、それぞれ、個別に所定形状に屈曲させて形成され、その発音体2側の一端を、直線上に揃えて、分担されたクシ歯部分(弁部2a)に、上下方向に対面させるとともに、そのソレノイド側の他端を、所定半径の円弧上に揃えて、後述するように旋回駆動されるソレノイド5の先端に、略水平方向に対峙するようにしている。
【0041】
すなわち、発音体2における中央附近の弁部2aに対応したハンマー3は、その中間屈曲の角度が少ないが、これに対して外側の位置のあるハンマー3になるに従い、その中間屈曲の角度が大きくなっている。
【0042】
また、これらのハンマー3には、図示を省略したが、その未動作時には、各ハンマー3を所定の初期姿勢状態に保持する姿勢保持機構が設けられている。
【0043】
この姿勢保持機構は、例えば、ハンマー3の所定箇所とケース間には、所定バネ強度のバネ等の弾性体が縮設又は展設して構成されており、この弾性体によって、ソレノイド5により打撃されない場合には、ハンマー3を初期の姿勢状態に維持するとともに、打撃された後には、この初期状態に、すみやかに復帰するようにしている。
【0044】
更に、同様に図示を省略したが、ソレノイド5の打撃による発音動作時に、ハンマー3が跳ね返り運動して、複数の発音が生じることを防止するフェルト製等の緩衝材が、ハンマー3近傍の適宜箇所に設けられている。
【0045】
そして、このように構成された各音階に対応した複数のハンマー3を、単一のソレノイド5によって、適宜、選択して、発音動作するようにしている。
【0046】
すなわち、再び図1ないし図3に示すように、このソレノイド5は、モータ駆動機構6により、その水平方向の向きを、任意の角度位置に選択できるように、旋回駆動されている。
【0047】
このモータ駆動機構6は、その図示を省略したモータ軸を垂直方向の上方に向けて、ケース側に固定されたサーボモータ7と、このモータ軸に、その中心が直接的に接続された所定半径の円板形状且つ水平配置のターンテーブル8とから構成され、このターンテーブル8上に、ソレノイド5を設置している。
【0048】
また、このサーボモータ7は、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたモータ駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路により、そのモータによる旋回動作が、所定に制御されている。
【0049】
従って、このように円板形状に形成されたターンテーブル8を介して、サーボモータ7により、ソレノイド5を旋回駆動するようにしているので、安定した旋回駆動が行えるとともに、ソレノイド5の先端がブレることなく、任意の角度位置に持っていくことができる。
【0050】
また、このソレノイド5は、円筒状のケース内に、その一端を突設させた磁性体からなる棒状の打撃体5aと、この打撃体5aの周囲に配置された図示を省略したソレノイドコイルと、この打撃体5aをソレノイド5内に後退する方向に、常時付勢するバネ等を用いた図示を省略した付勢手段とを収納して構成されている。
【0051】
そして、このソレノイド5のソレノイドコイルは、モータ駆動機構6と同様に、図示を省略した制御回路、又は、この制御回路に動作制御されたコイル駆動回路に、電気的に接続され、この制御回路により、その打撃動作が所定に制御されている。
【0052】
このソレノイド5による発音動作時には、該ソレノイドコイルに所定の駆動電流を印加することにより、打撃体5aに突出方向への移動力を、電磁的に付与するようにしている。
【0053】
また、この制御回路は、一般的なI/Oポート、CPU、メモリ等を備えたマイコン回路、又は、専用回路から構成され、プログラム制御によって、上述したモータ駆動機構6のサーボモータ7及びソレノイド5を連係動作させて、所定の曲目を演奏するようにしている。
【0054】
この制御回路は、モータ及びソレノイド5連係動作用の演奏制御データを、その内部又は外部の記憶装置に記録しており、毎正時に又は任意の設定時に計時機構から生成される起動信号によって、並びに、使用者の任意操作による起動信号によって、演奏データを用いて所定の曲目を演奏するようしている。例えば、マイコンに曲の情報を入力してサーボモータを適切な各ハンマーの被打撃部に対峙するようにする。
【0055】
従って、このようにプログラム制御を用いているので、機械的な演奏データ記録体を用いた場合における演奏する曲目数や演奏時間の制約を解消することができ、多彩且つ柔軟な変更が可能になるとともに、コンパクト化や配置の自由度を高めることができる。
【0056】
次に、このように構成された発音装置1の動作を説明する。
【0057】
この発音装置1を、オルゴール、チャイムとして用いる場合は使用者等の任意操作により、また、時計に組込んで報知手段として用いた場合は毎正時又は設定時に、発音装置1の発音動作が開始される。
【0058】
尚、以下において、ある単独の音階を発音させる動作を説明するが、演奏曲目に従って、この他の音階用に同様な動作が繰り返されるので、曲目全体に関した発音動作の説明は省略することにする。
【0059】
まず、図6(1)に示すように、その平面視において、略中央の音階に対応したハンマー被打撃部3a附近に向いた基準位置のソレノイド5が、その向きを、図6(2)又は(3)に示すように、モータ駆動機構6のサーボモータ7により、ある音階に対応したハンマー3の被打撃部3aに対峙した向きに旋回される。
【0060】
すなわち、図6(2)の状態は、この図においては図示を省略した発音体の比較的に長さの短い高音階用の弁部を選択した状態であり、図6(3)の状態は、同発音体の比較的に長さの長い低音階用の弁部を選択した状態である。
【0061】
次に、図7(1)に示すように、その側面視において、打撃体5aを僅かに突出した初期状態のソレノイド5に、駆動電流が供給され、この打撃体5aが突出動作し、同打撃体5aの先端が、選択したハンマー3の被打撃部3aに、衝突する(図7(2)参照)。
【0062】
そして、この衝撃を受けて、同図中に示すように、ハンマー3は、その全体が、急激に時計方向に回転し、これに伴い、ハンマー打撃側の端部が、発音体2の弁部2aに、衝突する。(図7(3)参照)
この打撃により、発音体2の当該弁部2aに固有な音階の発音が、生成される(図7(4)参照)。
【0063】
また、このとき迄には、ハンマー3は、近傍箇所に設けた緩衝材によって、跳ね返り運動が阻止されるとともに、そのハンマー3用の姿勢保持機構により、速やかに初期姿勢状態に復帰する一方、ソレノイド5の打撃体5aも、そのソレノイド5用の付勢手段によって、速やかに初期状態の位置に復帰している。
【0064】
従って、迅速且つスムーズに、ソレノイド5を旋回でき、次の音階の発音動作に移行することができる。
【0065】
そして、このようなソレノイド5の音階に対応したハンマー3を選択する移動動作、及び該ハンマー3を介しての打撃動作が、演奏曲目の各音階毎に、繰り返される。
【0066】
尚、クシ歯形状に形成された複数の弁部を備えた発音体を用いたが、これに限らず、打撃により発音動作するものを、発音体として、適宜、用いてもよい。すなわち、各音階毎に設けた複数のパイプ状や鐘状の発音体を用いても良く、更に、これらを組合せて、異なる音質を組合せによる複合的な演奏効果を得るようにしても良い。
【0067】
また、ソレノイドを旋回駆動するように構成したが、平行に横滑りスライド駆動するように構成しても良い。具体例では単一のソレノイドを用いて説明したが、これに限らず複数のソレノイドを用いてよいことは勿論である。
【0068】
更に、発音装置1の音量は、ソレノイドコイルへの駆動電流の増減によって、調整可能であり、このようにソレノイドコイルに供給する電流値で、発音音量を調整できるので、機械的な調整を行う従来タイプに比べ調整作業が容易になるとともに、各発音の音量も個別に打ち分けることが可能となる。
【0069】
以上説明したように、本具体例によれば、所定音階数の発音部分を有する発音体に、各発音部分を打撃する複数のハンマーを設けるとともに、これらのハンマーを打撃するソレノイドを、任意のハンマーを打撃するべく選択可能に設け、該ソレノイドの選択及び打撃動作をプログラム制御したことにより、従来の不満、つまり演奏情報を形状的に記録した記録体を用いて、この記録体を機械的な駆動源として、発音及び演奏動作させる発音装置において生じていた曲目数や演奏時間、該発音装置を設置するスペース等の不満を、解消することができる。
【0070】
すなわち、発音体を発音動作させるのに、物理的な形状により演奏情報を記録した記録体を用いずに、電気的なプログラム制御を用いているので、曲目数や演奏時間を、演奏プログラムの変更のみで、自由且つ柔軟に変更でき、物理的な制約を解消することができる。
【0071】
また、このように演奏情報を機械的に記録した記録体を不要としたので、発音装置を設置するスペース効率を向上することが可能となるとともに、該記録体を用いるために必要な各種の設置条件を解除でき、発音装置による発音効果を優先させたり、他の装飾体等の設置を優先させたりした設置が可能となり、設置条件の自由度を向上することができる。
【0072】
更に、発音動作の駆動源として、単独のソレノイドと、該ソレノイドを旋回駆動するモータを用いたことにより、構造や機構が簡素になり、信頼性や低コスト性の面でも好ましいものとなる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、複数の発音体と、前記発音体を打撃して発音させるハンマーと、前記ハンマーを作動させるソレノイドとを備えた発音装置において、前記ハンマーは、前記発音体に対応して複数設置され、前記ソレノイドは、ソレノイド駆動部である打撃体が前記複数のハンマーのいずれかを選択可能に打撃するべく移動可能に設けられている発音装置である。
【0074】
従って、本発明によれば、ソレノイドが例えば回転して所定位置に移動し、この位置で打撃体が駆動してハンマーを打撃すると、この打撃されたハンマーにより、当該ハンマーに対応する発音体が打撃されて発音するので、装置全体がコンパクト化されて、スペース利用効率の向上が図れる発音装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す平面図である。
【図2】本具体例の発音装置に係り、発音装置の主要な全体構成を示す図1中のI−I線矢視断面図である。
【図3】本例の発音装置に係り、(1)は、発音体の平面図、(2)は、ソレノイド及びモータ駆動機構の平面図、(3)は、ハンマーの平面図である。
【図4】本例の発音装置に係り、中央の音階用及びこれに隣接した音階用のハンマーを示す斜視図である。
【図5】本例の発音装置に係り、ハンマーを拡大した平面図である。
【図6】本例の発音装置の動作説明に係り、(1)は、初期状態を示す平面図、(2)は、ある低音階を選択した状態を示す平面図、(3)は、ある高音階を選択した状態を示す平面図である。
【図7】本例の発音装置の動作説明に係り、(1)は、初期状態を示す平面図、(2)は、ある高音階を選択した状態を示す平面図、(3)は、ある低音階を選択した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 発音装置
2 発音体
2a 発音体の弁部
3 ハンマー
3a ハンマーの被打撃部
3b ハンマーの打撃部
5 ソレノイド
5a ソレノイドの打撃体
6 モータ駆動機構
7 サーボモータ
8 ターンテーブル
11 発音体用の台座部
13 ハンマー用の支軸
Claims (2)
- 複数の発音体と、前記発音体を打撃して発音させるハンマーと、前記ハンマーを作動させるソレノイドとを備えた発音装置において、
前記ハンマーは、前記発音体に対応して複数設置され、
前記ソレノイドは、ソレノイド駆動部である打撃体が前記複数のハンマーのいずれかを選択可能に打撃するべく移動可能に設けられていることを特徴とする発音装置。 - 前記複数のハンマーの被打撃部を円弧状に揃えて設けるとともに、前記ソレノイドを旋回移動可能に設置し、該ソレノイドを旋回移動させた際にその打撃体の先端部が各ハンマーの被打撃部に対峙することを特徴とする請求項1記載の発音装置。
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