JP2005053961A - プリフォーム用バインダー組成物、強化繊維基材、プリフォームおよび繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents
プリフォーム用バインダー組成物、強化繊維基材、プリフォームおよび繊維強化複合材料の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】メルトマスフローレートMFR(ダイ:直径0.5mm×長さ1.0mm、測定温度:200℃、荷重:10kg)が35〜150g/10分であることを特徴とするプリフォーム用バインダー組成物。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化複合材料の製造方法、ならびにそれに用いるプリフォーム、該プリフォームの作製に用いる強化繊維基材およびプリフォーム用バインダー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの強化繊維と不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂などのマトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度、剛性、耐衝撃性、耐疲労性などの機械物性に優れ、さらに耐食性に優れるため、航空機、宇宙機、自動車、鉄道車両、船舶、土木建築、スポーツ用品などの数多くの分野に応用されてきた。特に高性能が要求される用途では、連続繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては炭素繊維が、マトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂、なかでもエポキシ樹脂が多く用いられている。
【0003】
繊維強化複合材料は様々な方法で製造されるが、型内に配置した強化繊維基材に液状の熱硬化性樹脂組成物を注入し、加熱硬化して繊維強化複合材料を得るレジン・トランスファー・モールディング(Resin Transfer Molding、以下RTMと略記する。)が、生産性に優れた方法として近年注目されている。RTMに用いるプリフォームを作製するためのバインダーとしては、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂やエラストマーを加えた樹脂組成物がある(例えば特許文献4,5参照。)。
【0004】
また、RTMには様々な手法のバリエーションがあるが、その一つに真空ポンプで吸引して液状熱硬化性樹脂を注入する方法(VaRTM:Vacuum Assisted Resin Transfer Molding)があり、低コストな成形方法として注目されている。バインダーを用いたプリフォームをVaRTMに適用した事例としては、特許文献3が挙げられる。
【0005】
しかし、RTMにより得られる繊維強化複合材料は、高靭性と高剛性とを両立させることが困難であった。すなわち、高靭性の繊維強化複合材料を得るには、強化繊維間の接着性を向上させるためにマトリックス樹脂を十分に存在させれば良いのだが、マトリックス樹脂の量が増えると、相対的に繊維強化複合材料における強化繊維の体積分率(以下、Vfとも呼ぶ。)が低くなり、剛性も下がる。そこで液状熱硬化性樹脂のプリフォームに対する含浸性が問題になるが、強化繊維同士をバインダー組成物によって接着したプリフォームにおいては、繊維間に存在するバインダー組成物もしくはバインダーの硬化物が樹脂の流路をふさいでしまう傾向がある。特にVaRTMにおいては、大気圧以上の注入圧力を利用することができないため、高い含浸性を得ることがより困難になる。
【0006】
また、液状熱硬化性樹脂は、その硬化物の耐熱性と靭性を両立させるためには剛直かつ分子量の大きなモノマーを配合する必要があるので、液状熱硬化性樹脂を低粘度化するのにも限界があった。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第4988469号明細書, pp. 3−4.
【0008】
【特許文献2】
欧州特許公報EP0759842B1, pp. 2−6.
【0009】
【特許文献3】
米国公開特許公報US2002/0022422A1, p. 19.
【0010】
【特許文献4】
国際公開特許公報WO98/50211A1, p. 20.
【0011】
【特許文献5】
国際公開特許公報WO02/42376A1, p. 31.
【0012】
【特許文献6】
米国特許第4902215号明細書
【0013】
【非特許文献1】
Edoardo P. Depase, Brian S. Hayes, James C. Seferis, Proceeding of 33rd International SAMPE Technical Conference, pp.1379−1387 (2001).
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高靭性と高剛性とを両立した繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前述のような液状熱硬化性樹脂の含浸性にかかる問題を克服するために、液状熱硬化性樹脂そのものの改良ではなく、液状熱硬化性樹脂を含浸させるプリフォームの透過性をVfは維持しつつ向上させるという発想の転換をし、本発明に想到したものである。
【0016】
すなわち本発明は、メルトマスフローレートMFR(ダイ:直径0.5mm×長さ1.0mm、測定温度:200℃、荷重:10kg)が35〜150g/10分であることを特徴とするプリフォーム用バインダー組成物である。
【0017】
また本発明は、本発明のプリフォーム用バインダー組成物を強化繊維に付与してなることを特徴とする強化繊維基材である。
【0018】
また本発明は、本発明のプリフォーム用バインダー組成物と強化繊維とからなることを特徴とするプリフォームである。
【0019】
また本発明は、本発明のプリフォームに液状熱硬化性樹脂を含浸させ、前記プリフォーム用バインダー組成物と液状熱硬化性樹脂組成物を硬化させることを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のプリフォーム用バインダー組成物は、メルトマスフローレートMFRが35〜150g/10分であることが重要である。メルトマスフローレートMFRの定義・測定方法はJIS K 7210に準ずるが、ダイのサイズは直径0.5mm×長さ1.0mm、測定温度は200℃、荷重は10kgとする。
【0021】
当該MFRが35〜150g/10分の範囲内にあるプリフォーム用バインダー組成物を用いて強化繊維基材、プリフォームを作製することにより、VaRTMにおいて、液状熱硬化性樹脂の流路を確保しつつ真空引きによりプリフォームの見かけ厚みをコントロールすることができるため、高Vfな繊維強化複合材料を得ることができる。
【0022】
MFRが35g/10分未満であると、プリフォームにおける強化繊維間の空隙の保持性能が強固なものになりすぎて、真空引きをしてもプリフォームの見かけ厚みを減らすことができず、高Vfな強化繊維複合材料を得ることができなくなる。また、強化繊維に固着しにくくなるため、強化繊維基材やプリフォームの製造において温度を高く設定しなければならず、コストが高くなる傾向にあり、バインダー組成物が強化繊維基材から脱落しやすくなるという問題が生じる場合もある。
【0023】
一方、MFRが150g/10分を超えると、プリフォームにおける強化繊維間の空隙の保持性能が弱くなり、液状熱硬化性樹脂の流路を確保できず含浸性が悪くなるため、熱硬化性樹脂による形態の固定が不十分なものとなる。また、強化繊維基材同士が接着しやすくなり、強化繊維基材をロールに巻いたり重ねたりして保管できないなど、取扱い性にも問題を生じやすい。
【0024】
MFRは、より好ましくは35〜125g/10分、さらに好ましくは40〜100g/10分である。
【0025】
かかるMFRのバインダー組成物は、エポキシ基との反応性を有する官能基を一つ以上有し融点が100℃以下である化合物(以下、「特定の化合物」とも呼ぶ。)を10〜80wt%含有させることによって得ることができる。
【0026】
またかかる「特定の化合物」としては、アミド化合物、フェノール性水酸基を有する化合物、酸無水物、エポキシ基を有する化合物のうち一つ以上に該当し融点が100℃以下であるものを好ましく採用することができる。
【0027】
アミド化合物としては、p−トルエンスルホンアミド、N−エチル−o/p−トルエンスルホンアミド、o/p−トルエンスルホンアミド、サリチルアミド、エトキシベンツアミド、p−ヒドロキシフェニルアセトアミドなどを挙げることが出来る。
【0028】
フェノール性水酸基を有する化合物としては、サリチル酸フェニル、t−ブチルカテコール等を挙げることができる。
【0029】
酸無水物としては、メチルナジック酸無水物、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メジルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸などを挙げることが出来る。
【0030】
エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−2,2’−ジエチル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エチレングリコールジグリジジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジル、テレフタル酸ジグリシジル、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アジピン酸ビス−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、1,6−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテル、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル、フェノールとジシクロペンタジエンの縮合物のグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、N−グリシジルフタルイミド、5−エチル−1,3−ジグリシジル−5−メチルヒダントイン、1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリレンイソシアネートの付加により得られるオキサゾリドン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシなどを挙げることができる。
【0031】
「特定の化合物」としてエポキシ基を有する化合物を採用する場合には、これと反応して3次元架橋構造を形成する、通常、硬化剤または硬化触媒といわれる物質、例えば脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸ヒドラジド、酸無水物、ポリメルカプタン、ポリフェノール、イミダゾール、ルイス酸錯体、オニウム塩など(上記「特定の化合物」に該当するものを除く。)を含むことも含まないことも可能であるが、硬化剤または硬化触媒を含有すると、長期保管した場合に反応が進行してバインダー組成物のガラス転移温度が上昇し、ついにはバインダーとして使用できなくなる恐れがある。また加熱して無溶剤で調製する方法、例えば押出機やニーダーなどを用いる方法が使用できなくなるため、経済的に不利になる恐れがある。さらに、液状熱硬化性樹脂を注入、硬化させる段階で、バインダー組成物内の硬化剤成分が過剰に余るため、層間剥離をおこして繊維強化複合材料の耐衝撃性を損なう恐れがあり、硬化剤または硬化触媒は含まない方が好ましい。
【0032】
また、本発明のプリフォーム用バインダー組成物は、ガラス転移温度が35〜90℃であることが好ましく、より好ましくは40〜85℃である。35℃以上、より好ましくは40℃以上とすることで、保管中のバインダー組成物同士の融着などの不都合を防ぐことができるとともに、繊維強化複合材料の耐熱性を向上させることが出来る。また、90℃以下、より好ましくは85℃以下とすることで、低温での加工性を向上させることができる。かかるガラス転移温度は、前記「特定の化合物」の含有量を調節することにより達成することができる。
【0033】
また、本発明のプリフォーム用バインダー組成物は、ガラス転移温度が150℃以上の非晶質熱可塑性樹脂を20〜90wt%含有することが好ましく、含有量としてはより好ましくは30〜80wt%、さらに好ましくは40〜70wt%である。非晶質熱可塑性樹脂を含有させることで、繊維強化複合材料中のマトリックス樹脂の靭性が向上し、耐衝撃性に優れる繊維強化複合材料を得ることができ、また前述のような化合物との配合比を調節することにより、MFRの細かい制御をすることができる。非晶質熱可塑性樹脂の含有量を20wt%以上、より好ましくは30wt%以上、さらに好ましくは40wt%以上とすることにより、靭性向上の効果を得ることができ、またMFRが大きくなりすぎるのを防ぐことができる。また90wt%以下、より好ましくは80wt%以下、さらに好ましくは70wt%以下とすることにより、MFRが小さくなりすぎるのを防ぐことができる。
【0034】
かかる非晶質熱可塑性樹脂としては、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリーレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルスルホンなどであって前記「特定の化合物」には該当しない、いわゆるエンジニアリングプラスチックスに属する樹脂を好ましく採用することができる。
【0035】
かかる非晶質熱可塑性樹脂は、末端または側鎖にRTM成形に用いる液状熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を有することが好ましい。官能基を有する非晶質熱可塑性樹脂を用いることで、得られる繊維強化複合材料の靭性が向上する。
【0036】
かかる非晶質熱可塑性樹脂はバインダー組成物中で前記「特定の化合物」と相溶した状態で存在することも、異なる相として存在することも可能であるが、相溶した状態で存在する方が、バインダー組成物の強化繊維への付着やバインダー組成物の保管に有利であるため、好ましい。相溶させる手段としては、溶剤を用いることの他、本発明のバインダー組成物は単独硬化性を持たないため、ニーダーや押出機などを用いて加熱して相溶させることなども採用出来る。
【0037】
本発明のプリフォーム用バインダー組成物には、上記した以外の成分を適宜添加することができる。相溶系の任意成分としては、酸化防止剤や液状エポキシ樹脂に対する触媒などがある。これらは前記「特定の化合物」の官能基と実質的に反応しないものを選ぶと良い。相溶系の任意成分の配合量としては、バインダー組成物に対し、10wt%以下とすることが好ましい。また非相溶系の任意成分としては、非溶解性の有機粒子、無機粒子を挙げることができる。特に有機粒子として架橋ゴム粒子や非溶解性の熱可塑性樹脂粒子は、高靭性化効果を向上させるために有効である。
【0038】
本発明のプリフォーム用バインダー組成物の調製には、種々の公知の方法を採用することができる。
【0039】
最も経済的な方法は、各成分を150〜200℃程度の従来のプリフォーム用バインダー組成物よりは比較的高温で、押出機、ニーダーなどを用いて混練する方法である。得られたバインダー組成物は、粉砕して粒子にしたり、口金より押し出して繊維やフィルムの形態に加工したりすることもできる。
【0040】
また、一度溶液を調製し、しかる後に溶剤を除去する方法も可能である。さらに、有機溶剤溶液を水中に分散させエマルジョンとし、そのエマルジョンを加熱して溶媒を揮発させ、ディスパーションを調製する方法がある。ディスパーションは、そのまま強化繊維の加工に用いることもでき、濾過して粒子をとりだし、その粒子を用いることもできる。その平均粒径としては、30〜200μmが好ましい。30μm以上とすることで、繊維強化複合材料の製造時において強化繊維束中に粒子が入り込み過ぎず、強化繊維束の表面にも十分な量の粒子を残し、少量のバインダー組成物でも強化繊維基材を結着させる効果を効率よく発現させることができ、また、粒子の流動性を十分なものとし、バインダー組成物の取扱いを容易にすることができる。一方、平均粒径を200μm以下とすることにより、プリフォームとしたときにうねりが生じて繊維強化複合材料の物性に悪影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0041】
本発明のプリフォーム用バインダー組成物は、熱安定性がよく様々な形態に加工できるため、その形態としては、通孔を設けたフィルム、テープ、長繊維、短繊維、紡績糸、織物、ニット、不織布、網状体、粒子などを採用することができる。
【0042】
次に、本発明の強化繊維基材は、本発明のプリフォーム用バインダー組成物を強化繊維に付与してなるものである。
【0043】
強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維など、あるいはこれらを組み合わせたものを好適に使用することができる。
【0044】
本発明の強化繊維基材の形状としては、強化繊維の長繊維の束であるストランドや、織物などのシート状あるいはテープ状の布帛やブレイドなどを採用することができる。
【0045】
本発明の強化繊維基材に対する本発明のバインダー組成物の付与量は、強化繊維基材がシート状あるいはテープ状の形状である場合の目付としては、5〜50g/m2とすることが好ましい。5g/m2以上とすることで、効率よく形態固定を達成してプリフォームを形成でき、液状熱硬化性樹脂の流路を確保できるので繊維強化複合材料に未含浸部分が出来るのを防ぐことができ、また層間高靭性化により繊維強化複合材料として十分な耐衝撃性を得ることができる。また50g/m2以下とすることで、強化繊維基材のみかけ厚みが大きくなりすぎず、強化繊維の体積含有率の大きい繊維強化複合材料の製造が可能となり、また液状熱硬化性樹脂を効率よく含浸させることができる。
【0046】
本発明の強化繊維基材に対する本発明のプリフォーム用バインダー組成物の付与量としては、3〜25wt%であることが好ましい。3wt%以上とすることで、形態固定や高靭性化の効果を効率よく得ることができ、25wt%以下とすることで、強化繊維基材のみかけ体積が大きくなりすぎず、強化繊維の体積含有率の大きい繊維強化複合材料の製造が可能となる。
【0047】
バインダー組成物を強化繊維に付与する方法としては、粒子または繊維状のバインダー組成物を強化繊維に散布して熱により固定する方法(特許文献1参照。)や、バインダー組成物の溶液を強化繊維にスプレーした後乾燥する方法や(非特許文献1参照。)、バインダー組成物の水分散液を強化繊維に付与したのち乾燥する方法(特許文献2参照。)等を採用することができる。環境やコスト面からみると、バインダーを直接熱により固定する方法が溶媒回収のステップも必要なく低コストであるため好ましく、汎用性も高い。
【0048】
強化繊維に本発明のプリフォーム用バインダー組成物を付与する手順としては、強化繊維の構造物(例えば、織物等。)の製造時に付与しても良い。
【0049】
また強化繊維の構造物に後加工として付与しても良い。例えば、強化繊維をシート状やテープ状とした後に後加工として付与しても良いし、あるいは、強化繊維ストランドの表面に本発明のプリフォーム用バインダー組成物の粒子を付着させ加熱により固定する方法や、強化繊維ストランドの外周に本発明のプリフォーム用バインダー組成物の繊維を巻き付ける方法を採用しても良い。
【0050】
また、後述のプリフォーム作製時に織物等の強化繊維の構造物の積層と本発明のプリフォーム用バインダー組成物の付与を交互に行っても良い。層間の高靭性化が複合材料の高い機械物性を得るのに効率的であるとともに、繊維強化複合材料の成形時に強化繊維基材の厚み方向への樹脂の含浸を阻害することがないためである。
【0051】
強化繊維に本発明のプリフォーム用バインダー組成物を熱固定するときの温度としては、60〜180℃が好ましい。60℃以上とすることでバインダー組成物が強化繊維基材に融着し、バインダー組成物が強化繊維基材から脱落するという問題が軽減される。また180℃以下とすることで、バインダー組成物の嵩が適度に保たれ、後に液状熱硬化性樹脂を注入するときの流路確保が出来る。
【0052】
次に、本発明のプリフォームは、本発明のバインダー組成物と強化繊維とからなる。
【0053】
特に、シート状またはテープ状の強化繊維基材を積層してなり、層間に本発明のプリフォーム用バインダー組成物を存在させて形態を固定した態様のものが好ましい。強化繊維基材を積層して層間を集中的に高靭性化することで、耐衝撃性等、構造材に必要な高い機械物性を得やすく、また、構造材によく見られる複雑な形状や大型な形状のプリフォームが作製しやすくなる。
【0054】
本発明のプリフォームを得る手段としては例えば、本発明のバインダー組成物を付与した強化繊維基材の形状がストランドの場合には、これをさらに織物やブレイドなどとし、これを用いてプリフォームを作製することができる。またストランドをマンドレルに捲回した後加熱して強化繊維ストランド同士を接着し、プリフォームとすることもできる。
【0055】
また、本発明のバインダー組成物を付与した強化繊維基材の形状が3次元ブレイドなどの場合には、そのままプリフォームとして用いることもできる。
【0056】
また、シート状またはテープ状の強化繊維基材を積層してなり、層間に本発明のバインダー組成物を存在させて形態を固定した態様のものについては、本発明のバインダー組成物を既に付与した本発明の強化繊維基材のうちシート状またはテープ状のものを、所定の形状に切り出し、型の上で積層し、適切な熱と圧力を加えてプリフォームとすることができる。あるいは、プリフォームとしての所望の形状を形成する際に、強化繊維基材の積層と本発明のバインダー組成物の付与とを交互に行い、前述と同様、適切な熱と圧力を加えるという方法を採用しても良い。
【0057】
加圧の手段はプレスを用いることもできるし、バギングして内部を真空ポンプで吸引して大気圧によって加圧する方法を用いることもできる。具体的には、型内を−90kPa以下になるまで真空引きしたまま5〜120分保持した状態で加熱するのが好ましい。真空圧を−90kPa以下とすることで、プリフォームの見かけ厚みを小さくでき、Vfが高い繊維強化複合材料を得ることが出来る。
【0058】
プリフォームを作成するときの型内温度は、Tm±5(℃)の範囲内であることが好ましい。ここで、Tm(℃)は、本発明のプリフォーム用バインダー組成物のMFRに対して、
Tm=−0.4×MFR+100
とする。
【0059】
上記真空圧に保持した状態でTm±5(℃)でプレスすることにより、バギング時のVfを適当な高さに保つことが出来ることを、発明者等による鋭意検討から経験的に見出している。Tm−5(℃)以上とすることにより、バインダー組成物が適度に圧縮されプリフォームの見かけ厚みを小さくすることができ、Vfの高い繊維強化複合材料が得られる。またTm+5(℃)以下とすることにより、バインダー組成物のスペーサーとしての嵩を適度に保ち、液状熱硬化性樹脂の含浸性を確保することができる。
【0060】
本発明のプリフォームには、強化繊維と本発明のプリフォーム用バインダー組成物の他にフォームコア、ハニカムコア、金属部品などを入れても良い。
【0061】
以上ように、本発明のバインダー組成物・強化繊維基材・プリフォームは、RTMに好適なものである。
【0062】
すなわち、本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、本発明のプリフォームに液状熱硬化性樹脂を含浸させ、当該プリフォーム用バインダー組成物と液状熱硬化性樹脂組成物を硬化させることを特徴とするものである。
【0063】
RTMにおいて用いる型としては、剛体からなるクローズドモールドを用いてもよいし、剛体のオープンモールドと可撓性のフィルム(バッグ)を用いても良い。後者の場合、強化繊維基材あるいはプリフォームは剛体オープンモールドと可撓性フィルムの間に設置する。
【0064】
剛体型の材料としては、金属(スチール、アルミニウム、インバー合金など)、FRP、木材、石膏などを用いることができる。可撓性のフィルムの材料としては、ナイロン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。
【0065】
RTMの具体的な手順としては、剛体のクローズドモールドを用いる場合は、加圧して型締めし、液状熱硬化性樹脂を加圧して注入すると良い。このとき、注入口とは別に吸引口を設け、真空ポンプに接続して吸引しても良い。あるいは、吸引を行いながら、加圧手段は特に用いず大気圧で液状熱硬化性樹脂組成物を注入しても良い。
【0066】
また剛体のオープンモールドと可撓性フィルムを用いる場合は、通常は、吸引と大気圧による注入を採用できる。大気圧による注入で、良好な含浸を実現するためには、特許文献6に示されるような、樹脂拡散媒体を用いることが有効である。また、強化繊維基材あるいはプリフォームの設置に先立って、剛体型の表面にゲルコートを塗布することも好ましい。
【0067】
本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、プリフォームを配置した型内の温度をTm±5(℃)(Tmは前述の定義による。)の範囲内とし、型内を−90kPa以下になるまで真空引きし、5〜120分保持した状態から、液状熱硬化性樹脂を注入することが好ましい。型内の温度をTm−5(℃)以上とすることにより、バインダー組成物が適度に圧縮されプリフォームの見かけ厚みを小さくすることができ、Vfの高い繊維強化複合材料を得ることができる。またTm+5(℃)以下とすることにより、バインダー組成物のスペーサーとしての嵩を適度に保ち、液状熱硬化性樹脂の含浸性を確保することができる。また上記条件のように真空引きを行うことで、プリフォームの見かけ厚みを小さくして、Vfが高い繊維強化複合材料を得ることができる。
【0068】
また上記の状態において液状熱硬化性樹脂を注入する際の液状熱硬化性樹脂の温度は、Tm±20(℃)の範囲内とするのが好ましい。Tm−20(℃)以上とすることで、液状熱硬化性樹脂の粘度が高くなるのを抑え、含浸し易くすることができる。またTm+20(℃)以下とすることで、注入が完了する前に液状熱硬化性樹脂の硬化反応が進んでしまうのを抑え、繊維強化複合材料に未含浸部分ができるなどの問題が生じるのを防ぐことができる。
【0069】
また、液状熱硬化性樹脂の型内の温度における初期粘度は、400mPa・s以下であることが好ましい。初期粘度が400mPa・s以下であることにより、減圧下で液状熱硬化性樹脂を注入するVaRTMにおいても、樹脂の十分な含浸を得ることができる。初期粘度400mPa・s以下は、例えば低粘度な液状熱硬化性樹脂を配合したり、型内の温度を調節することで達成することができる。尚、かかる態様に適応するように熱硬化性樹脂の保温温度を調整した場合には、液状熱硬化性樹脂のポットライフも向上する。
【0070】
液状熱硬化性樹脂としては、バインダー組成物中の樹脂と反応しうるものであれば良いが、比較的安価で組成設計の自由度が高く、様々な官能基との反応が可能であるエポキシ樹脂をもっとも好適に用いることができる。
【0071】
エポキシ樹脂とは、エポキシ基を分子内に複数含む化合物であり、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−2,2’−ジエチル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジル、テレフタル酸ジグリシジル、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アジピン酸ビス−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、1,6−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテル、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル、フェノールとジシクロペンタジエンの縮合物のグリシジルエーテル、フェノールアラルキル樹脂のグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、N−グリシジルフタルイミド、5−エチル−1,3−ジグリシジル−5−メチルヒダントイン、1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリレンイソシアネートの付加により得られるオキサゾリドン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0072】
液状熱硬化性樹脂は、硬化剤と組み合わせて用いられる。硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸ヒドラジド、酸無水物、ポリメルカプタン、ポリフェノールなどの量論的反応を行う硬化剤と、イミダゾール、ルイス酸錯体、オニウム塩などの触媒的に作用する硬化剤がある。量論的反応を行う硬化剤を用いる場合には、その反応を触媒する硬化促進剤、例えばイミダゾール、ルイス酸錯体、オニウム塩、ホスフィンなどを配合する場合がある。RTM成形に用いる液状熱硬化性樹脂の硬化剤には、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、酸無水物、イミダゾールが適しており、特に耐熱性に優れた構造材の製造を目的とする場合は、芳香族アミンが硬化剤として最も適している。
【0073】
加熱硬化の過程において、本発明のプリフォーム用バインダー組成物は一旦液状熱硬化性樹脂に溶解させることが好ましい。それにより液状熱硬化性樹脂の流路を確保していたバインダー組成物が溶解することで、プリフォームの見かけ厚みがさらに薄くなり、高Vfな強化繊維複合材料を得ることができる。また、本発明のプリフォーム用バインダー組成物が液状熱硬化性樹脂に溶解した後は、バインダー組成物に含まれる「特定の化合物」は液状熱硬化性樹脂と反応し、ガラス転移温度を低下させる作用を失うので、繊維強化複合材料の中にガラス転移温度の低い相が残存しないということにもなり、高温時の機械物性を向上させることができる。
【0074】
このように硬化の前に一旦溶解させるというバインダー組成物の態様は、バインダー組成物と液状熱硬化性樹脂組成物の樹脂の組み合わせや、バインダー組成物中の熱可塑性樹脂、また加熱温度条件を適宜選択することにより達成される。
【0075】
尚、本発明のプリフォーム用バインダー組成物に由来する熱可塑性樹脂は、硬化が完了した時点では、熱硬化性樹脂と均一な固溶体を形成していても、スピノーダル分解によって相分離していてもよい。いずれの場合も高靭性で耐熱性に優れた樹脂硬化物となる。
【0076】
液状熱硬化性樹脂の注入の後に、加熱硬化を行う。加熱硬化の条件としては、80〜180℃で、0.5〜12時間行うのが好ましい。80℃以上とすることで硬化時間がかかりすぎるのを防ぎ、180℃以下とすることで液状熱硬化性樹脂が分解してしまうのを防ぐことができる。
【0077】
加熱硬化の後、脱型して繊維強化複合材料となるものを取り出し、その後、繊維強化複合材料となるものを硬化温度より高い温度でさらに加熱する後硬化を行ってもよい。後硬化の温度は150〜250℃が好ましく、時間は1〜4時間が好ましい。後硬化することで、繊維強化複合材料の耐熱性が上がり、機械物性があがる場合もある。
【0078】
前述のように本発明のプリフォーム用バインダー組成物等はRTM法に特に適したものであるが、RTM法以外の成形法にも好適に用いることができる。
【0079】
例えば本発明の繊維強化基材としてストランドは、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、プリプレグ法にも適しており、またシート状のものはハンドレイアップ法、プリプレグ法にも適している。
【0080】
また、本発明のバインダー組成物は、従来の熱硬化性樹脂を付与したプリプレグにさらに散布して、バインダー組成物としての従来の熱可塑性樹脂の代わりに適用することも可能である。
【0081】
本発明のプリフォーム用バインダー組成物等を用いて製造した繊維強化複合材料は、生産性がよく、靭性に優れるため、宇宙機、航空機、鉄道車両、自動車、船舶などの構造材料に好適に用いることができる。
【0082】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。尚、「部」等の組成比は、特に注釈のない限り重量比を意味する。
【0083】
<測定方法>
(1)MFR
島津フローテスタ(CFT−500D/100D、スタンドアロンタイプ)を用いて測定した。JIS K 7210に準じたが、ダイのサイズは直径0.5mm×長さ1.0mm、荷重は10kg、測定温度は200℃とした。また計算方法は限定法で、計算開始位置は3mm、終了位置は7mmとした。n数はn=4とした。
【0084】
(2)ガラス転移温度
DSC法にて求めた。n数はn=2とした。
【0085】
(3)繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度
SACMA SRM 2R−94に準じて行った。繊維強化複合材料板から縦152.4mm(6インチ)、横101.6mm(4インチ)の矩形試験片を切り出し、試験片の中心に640kJ/mの落錘衝撃を与えた後、衝撃後圧縮強度を測定した。n数はn=1とした。
【0086】
(4)強化繊維の体積含有率Vf
以下の方法によって算出した。
Vf(%)=[FAW×PLY/(ρ×t)]/10
FAW:強化繊維基材を構成する強化繊維の目付(g/m2)
PLY:強化繊維基材の積層数
ρ:強化繊維の密度(g/cm3)
t:硬化後の繊維強化複合材料の板厚(cm)。
【0087】
<実施例1>
[炭素繊維織物の製造]
炭素繊維T800S−24K−10C(東レ(株)製)を経糸とし、ガラス繊維ECE225 1/0 1Z(日東紡(株)製)を緯糸として平織の織物を作成した。経糸密度は7.2本/25mmとし、緯糸密度は7.5本/25mmとした。織物の炭素繊維目付は295g/m2、繊維密度は1.8g/cm3であった。
【0088】
[液状熱硬化性樹脂]
まず以下の処方により主剤液と硬化剤液とを別個に調製し、使用直前にこれらの液体を混合して液状熱硬化性樹脂組成物とした。下記の組成は、混合液中の組成比である。
【0089】
(主剤液成分)
・“エピコート”630 (ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂)
:35部
・“エピコート”825(ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂)
:10部
・“エピコート”806(ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂)
:10部
・AK−601(日本化薬(株)製エポキシ樹脂)
:20部
・NC−3000(日本化薬(株)製エポキシ樹脂)
:25部。
【0090】
(硬化剤成分)
・“エピキュア”W(ジャパンエポキシレジン(株)製芳香族ポリアミン)
:20部
・“スミキュア”S(住友化学(株)製芳香族ポリアミン)
: 8部
・3,3’−DAS(三井化学(株)製芳香族ポリアミン)
: 8部
・t−ブチルカテコール(宇部興産(株)製)
: 1部
[プリフォーム用バインダー組成物]
以下の処方により樹脂等を混合してスラリーとし、2軸押出機により200℃で混練して、本発明のプリフォーム用バインダー組成物のペレットを得た。
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル”PES5003P、住友化学(株)製を凍結粉砕して得た粉末。ガラス転移温度220℃の非晶質熱可塑性樹脂として。)
:60部
・ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル(AK−601、日本化薬(株)製)
:40部
得られたプリフォーム用バインダー組成物のMFRは67g/10分であった。また、ガラス転移温度は37℃であった。
【0091】
このペレットを液体窒素を用いてハンマーミル(PULVERIZER、ホリカワミクロン(株)製)にて凍結粉砕して、平均粒径約110μmの粒子を得た。
【0092】
[強化繊維基材]
得られたバインダー組成物の粒子を前記炭素繊維織物の片面に40g/m2の散布量で散布した後、表面温度が160℃になるように遠赤ヒーターを用いて加熱して、プリフォーム用バインダー組成物を付与した強化繊維基材を得た。この強化繊維基材の粒子付着面を指で擦っても、粒子の脱落は起こらなかった。
【0093】
[プリフォーム]
得られた強化繊維基材を切り出し、疑似等方構成(+45゜/0゜/−45゜/90゜)3Sで積層し、これをバギングして100℃のプレスを用いて基材同士を固着させ、本発明のプリフォームを得た。
【0094】
[繊維強化複合材料]
本例のプリフォーム用バインダー組成物のMFRから、本例におけるTmは73.2℃となる。
【0095】
離型剤(“ダイフリー”、ダイキン工業(株)製)を付与したステンレス板上に得られたプリフォームを設置し、ピールプライ(ピールプライB−4444、リッチモンド(株)製)と樹脂拡散媒体(TSX−400P、日本ネトロン(株)製)をその上に重ねて、ナイロン製フィルム(VACPAK HS8171 6/66SHEETING、AIR CRAFT PRODUCTS.INC)を用いてバギングして、型内を70℃に加熱し、プリフォーム内部を真空ポンプで真空圧が−100kPa以下になるように吸引し、60分間保持した後、樹脂拡散媒体を通じて70℃に保った前記液状熱硬化性樹脂を注入した。
【0096】
注入終了後、130℃のオーブン中で2時間硬化を行った。その後、脱型して繊維強化複合材料の板を取り出し、180℃のオーブン中で2時間、後硬化を行った。
【0097】
繊維強化複合材料の表面には、未含浸部分は見られなかった。また繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度は228MPaであり、Vfは56%であった。
【0098】
<実施例2>
[プリフォーム用バインダー組成物]
以下の処方により樹脂等を混合してスラリーとし、2軸押出機により200℃で混練して、本発明のプリフォーム用バインダー組成物のペレットを得た。
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル”PES5003P、住友化学(株)製を凍結粉砕して得た粉末。ガラス転移温度220℃の非晶質熱可塑性樹脂として。)
:60部
・液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“エピコート”806、ジャパンエポキシレジン(株)製)
:35部
・トリグリシジルイソシアヌレート(TEPIC、日産化学(株)製)
: 5部
得られたプリフォーム用バインダー組成物のMFRは84g/10分であった。また、ガラス転移温度は57℃であった。
【0099】
このペレットを実施例1と同様にして凍結粉砕して、平均粒径約120μmの粒子を得た。
【0100】
[強化繊維基材]
得られたバインダー組成物の粒子を用いて、その他は実施例1と同様の条件で強化繊維基材を作製した。この強化繊維基材の粒子付着面を指で擦っても、粒子の脱落は起こらなかった。
【0101】
[プリフォーム]
得られた強化繊維基材を用いて、その他は実施例1と同様にして本発明のプリフォームを作製した。
【0102】
[繊維強化複合材料]
本例のプリフォーム用バインダー組成物のMFRから、本例におけるTmは66.4℃となる。離型剤、ピールプライ、ナイロン製フィルムは実施例1と同様のものを同様に用いて、ステンレス板上に得られたプリフォームを設置、バギングして、型内を70℃に加熱し、プリフォーム内部を真空ポンプで真空圧が−100kPa以下になるように吸引し、60分間保持した後、樹脂拡散媒体を通じて70℃に保った実施例1と同様の液状熱硬化性樹脂を注入した。そして以降は実施例1と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。
【0103】
繊維強化複合材料の表面には、未含浸部分は見られなかった。また繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度は248MPaであり、Vfは57%であった。
【0104】
<実施例3>
[プリフォーム用バインダー組成物]
以下の処方により樹脂等を混合してスラリーとし、2軸押出機により210℃で混練して、本発明のプリフォーム用バインダー組成物のペレットを得た。
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル”PES5003P、住友化学(株)製を凍結粉砕して得た粉末。ガラス転移温度220℃の非晶質熱可塑性樹脂として。)
:60部
・フェノールアラルキル型エポキシ(NC−3000、日本化薬(株)製)
:10部
・液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“エピコート”806、ジャパンエポキシレジン(株)製)
:26部
・アミノフェノール型エポキシ樹脂(“エピコート”630 、ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂)
: 4部
得られたプリフォーム用バインダー組成物のMFRは39g/10分であった。また、ガラス転移温度は75℃であった。
【0105】
このペレットを実施例1と同様にして凍結粉砕して、平均粒径約100μmの粒子を得た。
【0106】
[強化繊維基材]
得られたバインダー組成物の粒子を用いて、その他は実施例1と同様の条件で強化繊維基材を作製した。この強化繊維基材の粒子付着面を指で擦っても、粒子の脱落は起こらなかった。
【0107】
[プリフォーム]
得られた強化繊維基材を用いて、その他は実施例1と同様にして本発明のプリフォームを作製した。
【0108】
[繊維強化複合材料]
本例のプリフォーム用バインダー組成物のMFRから、本例におけるTmは84.4℃となる。離型剤、ピールプライ、ナイロン製フィルムは実施例1と同様のものを同様に用いて、ステンレス板上に得られたプリフォームを設置、バギングして、型内を80℃に加熱し、プリフォーム内部を真空ポンプで真空圧が−100kPa以下になるように吸引し、60分間保持した後、樹脂拡散媒体を通じて80℃に保った実施例1と同様の液状熱硬化性樹脂組成物を注入した。そして以降は実施例1と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。
【0109】
繊維強化複合材料の表面には、未含浸部分は見られなかった。また繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度は269MPaであり、Vfは57%であった。
【0110】
<実施例4>
[プリフォーム用バインダー組成物]
以下の処方により樹脂等を混合してスラリーとし、2軸押出機にて200℃で混練して、本発明のプリフォーム用バインダー組成物のペレットを得た。
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル”PES5003P、住友化学(株)製を凍結粉砕して得た粉末。ガラス転移温度220℃の非晶質熱可塑性樹脂として。)
:50部
・ポリフェニレンオキシド(SA120、日本GEプラスチックス(株)製)
:30部
・4−tert−ブチルカテコール(宇部興産製)
:20部
得られたプリフォーム用バインダー組成物のMFRは58g/10分であった。また、ガラス転移温度は73℃であった。
【0111】
このペレットを実施例1と同様にして凍結粉砕して、平均粒径100umの粒子を得た。
【0112】
[強化繊維基材]
得られたバインダー組成物の粒子を用いて、その他は実施例1と同様の条件で強化繊維基材を作製した。この強化繊維基材の粒子付着面を指で擦っても、粒子の脱落は起こらなかった。
【0113】
[プリフォーム]
得られた強化繊維基材を用いて、その他は実施例1と同様にして本発明のプリフォームを作製した。
【0114】
[繊維強化複合材料]
本例のプリフォーム用バインダー組成物のMFRから、本例におけるTmは76.8℃となる。離型剤、ピールプライ、ナイロン製フィルムは実施例1と同様のものを同様に用いて、ステンレス板上に得られたプリフォームを設置、バギングして、型内を80℃に加熱し、プリフォーム内部を真空ポンプで真空圧が−100kPa以下になるように吸引し、60分間保持した後、樹脂拡散媒体を通じて80℃に保った実施例1と同様の液状熱硬化性樹脂を注入した。そして以降は実施例1と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。
【0115】
繊維強化複合材料の表面には、未含浸部分は見られなかった。また繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度は255MPaであり、Vfは56%であった。
【0116】
<比較例1>
実施例1と同様の炭素繊維織物をプリフォーム用バインダー組成物を付与しない状態で切り出し、疑似等方構成(+45゜/0゜/−45゜/90゜)3Sで積層し、バギングした。100℃のプレスは施さなかった。
【0117】
[繊維強化複合材料]
離型剤、ピールプライ、ナイロン製フィルムは実施例1と同様のものを同様に用いて、ステンレス板上に上記の積層・バギングした炭素繊維織物を設置、バギングして、型内を70℃に加熱し、プリフォーム内部を真空ポンプで真空圧が−100kPa以下になるように吸引し、60分間保持した後、樹脂拡散媒体を通じて70℃に保った実施例1と同様の液状熱硬化性樹脂を注入した。そして以降は実施例1と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。液状熱硬化性樹脂の注入にはいずれの実施例よりも時間がかかった。
【0118】
繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度は、いずれの実施例よりも低い138MPaであった。Vfは58%であり、この値は特別な高靭性化を行っていない繊維強化複合材料としては妥当な値である。
【0119】
<比較例2>
[プリフォーム用バインダー組成物]
以下の処方により樹脂等を混合してスラリーとし、2軸押出機により210℃で混練して、バインダー組成物のペレットを得た。
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル”PES5003P、住友化学(株)製を凍結粉砕して得た粉末。)
:70部
・フェノールアラルキル型エポキシ(NC−3000、日本化薬(株)製)
:10部
・液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“エピコート”806、ジャパンエポキシレジン(株)製)
:10部
・アミノフェノール型エポキシ樹脂(“エピコート”630、ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂)
:10部
得られたバインダー組成物のMFRは8g/10分であった。また、ガラス転移温度は70℃であった。
【0120】
このペレットを実施例1と同様にして凍結粉砕して、平均粒径約130μmの粒子を得た。
【0121】
[強化繊維基材]
得られたバインダー組成物の粒子を用いて、その他は実施例1と同様の条件で強化繊維基材を作製した。この強化繊維基材の粒子付着面を指で擦ったところ、粒子の脱落が起こった。
【0122】
[プリフォーム]
得られた強化繊維基材を用いて、その他は実施例1と同様にしてプリフォームを作製した。
【0123】
[繊維強化複合材料]
本例のバインダー組成物のMFRから、本例におけるTmは96.8℃となる。離型剤、ピールプライ、ナイロン製フィルムは実施例1と同様のものを同様に用いて、ステンレス板上に得られたプリフォームを設置、バギングして、型内を95℃に加熱し、プリフォーム内部を真空ポンプで真空圧が−100kPa以下になるように吸引し、60分間保持した後、樹脂拡散媒体を通じて85℃に保った液状熱硬化性樹脂を注入した。そして以降は実施例1と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。
【0124】
繊維強化複合材料の表面には、未含浸部分は見られなかった。また繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度は228MPaであり、Vfは48%と低いものだった。
【0125】
<比較例3>
[プリフォーム用バインダー組成物]
以下の処方により樹脂等を混合してスラリーとし、2軸押出機により220℃で混練して、バインダー組成物のペレットを得た。
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル”PES5003P、住友化学(株)製を凍結粉砕して得た粉末。)
:85部
・ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル(AK−601、日本化薬(株)製)
:15部
得られたバインダー組成物のMFRは12g/10分であった。また、ガラス転移温度は110℃であった。
【0126】
このペレットを実施例1と同様にして凍結粉砕して、平均粒径約130μmの粒子を得た。
【0127】
[強化繊維基材]
得られたバインダー組成物の粒子を用いて、その他は実施例1と同様の条件で強化繊維基材を作製した。この強化繊維基材の粒子付着面を指で擦ったところ、粒子の脱落が起こった。
【0128】
[プリフォーム]
得られた強化繊維基材を用いて、その他は実施例1と同様にしてプリフォームを作製した。
【0129】
[繊維強化複合材料]
本例のバインダー組成物のMFRから、本例におけるTmは95.2℃となる。離型剤、ピールプライ、ナイロン製フィルムは実施例1と同様のものを同様に用いて、ステンレス板上に得られたプリフォームを設置、バギングして、型内を70℃に加熱し、プリフォーム内部を真空ポンプで真空圧が−100kPa以下になるように吸引し、60分間保持した後、樹脂拡散媒体を通じて70℃に保った実施例1と同様の液状熱硬化性樹脂を注入した。そして以降は実施例1と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。
【0130】
繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度は172MPaであり、Vfは49%と低いものだった。
【0131】
<比較例4>
[プリフォーム用バインダー組成物]
以下の処方により樹脂等を混合してスラリーとし、2軸押出機により200℃で混練して、バインダー組成物のペレットを得た。
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル”PES5003P、住友化学(株)製を凍結粉砕して得た粉末。)
:70部
・t−ブチルカテコール(宇部興産(株)製)
:30部
得られたバインダー組成物のMFRは1280g/10分であった。また、ガラス転移温度は49℃であった。
【0132】
このペレットを実施例1と同様にして凍結粉砕して、平均粒径約105μmの粒子を得た。
【0133】
[強化繊維基材]
得られたバインダー組成物の粒子を用いて、その他は実施例1と同様の条件で強化繊維基材を作製した。この強化繊維基材の粒子付着面を指で擦ったところ、粒子の脱落は起こらなかった。
【0134】
[プリフォーム]
得られた強化繊維基材を用いて、その他は実施例1と同様にしてプリフォームを作製した。
【0135】
[繊維強化複合材料]
本例のバインダー組成物のMFRから、本例におけるTmは−412℃となる。離型剤、ピールプライ、ナイロン製フィルムは実施例1と同様のものを同様に用いて、ステンレス板上に得られたプリフォームを設置、バギングして、型内を70℃に加熱し、プリフォーム内部を真空ポンプで真空圧が−100kPa以下になるように吸引し、60分間保持した後、樹脂拡散媒体を通じて70℃に保った実施例1と同様の液状熱硬化性樹脂を注入した。そして以降は実施例1と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。
【0136】
しかし繊維強化複合材料には未含浸部分が多く、試験片を切り出すことが出来ず、衝撃後圧縮強度を測定できなかった。
【0137】
<比較例5>
[プリフォーム用バインダー組成物]
以下の処方により樹脂等を混合してスラリーとし、2軸押出機により180℃で混練して、バインダー組成物のペレットを得た。
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル”PES5003P、住友化学(株)製を凍結粉砕して得た粉末。)
:70部
・芳香族ポリアミン(“エピキュア”W、ジャパンエポキシレジン(株)製)
:30部
得られたバインダー組成物のMFRは3870g/10分であった。また、ガラス転移温度は61℃であった。
【0138】
このペレットを実施例1と同様にして凍結粉砕して、平均粒径約105μmの粒子を得た。
【0139】
[強化繊維基材]
得られたバインダー組成物の粒子を用いて、その他は実施例1と同様の条件で強化繊維基材を作製した。この強化繊維基材の粒子付着面を指で擦ったところ、粒子の脱落は起こらなかった。
【0140】
[プリフォーム]
得られた強化繊維基材を用いて、その他は実施例1と同様にしてプリフォームを作製した。
【0141】
[繊維強化複合材料]
本例のバインダー組成物のMFRから、本例におけるTmは−1448℃となる。離型剤、ピールプライ、ナイロン製フィルムは実施例1と同様のものを同様に用いて、ステンレス板上に得られたプリフォームを設置、バギングして、型内を70℃に加熱し、プリフォーム内部を真空ポンプで真空圧が−100kPa以下になるように吸引し、60分間保持した後、樹脂拡散媒体を通じて70℃に保った実施例1と同様の液状熱硬化性樹脂を注入した。そして以降は実施例1と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。
【0142】
しかし繊維強化複合材料には未含浸部分が多く、試験片を切り出すことが出来ず、衝撃後圧縮強度を測定できなかった。
【0143】
【発明の効果】
本発明により、高靭性と高剛性とを両立した繊維強化複合材料を提供することができる。
Claims (15)
- メルトマスフローレートMFR(ダイ:直径0.5mm×長さ1.0mm、測定温度:200℃、荷重:10kg)が35〜150g/10分であることを特徴とするプリフォーム用バインダー組成物。
- ガラス転移温度が35〜90℃の範囲にある請求項1記載のプリフォーム用バインダー組成物。
- エポキシ基との反応性を有する官能基を一つ以上有する融点が100℃以下の化合物を、10〜80wt%含有する請求項1または2記載のプリフォーム用バインダー組成物。
- エポキシ基との反応性を有する官能基を有する化合物が、アミド化合物、フェノール性水酸基を有する化合物、酸無水物、エポキシ基を有する化合物のうち一つ以上に該当する請求項3記載のプリフォーム用バインダー組成物。
- ガラス転移温度が150℃以上の非晶質熱可塑性樹脂を20〜90wt%含有する請求項1〜4のいずれか記載のプリフォーム用バインダー組成物。
- 請求項1〜5のいずれか記載のプリフォーム用バインダー組成物を強化繊維に付与してなることを特徴とする強化繊維基材。
- シート状またはテープ状の形状を有し、前記プリフォーム用バインダー組成物の付与量が目付で5〜50g/m2である請求項6記載の強化繊維基材。
- 請求項1〜5のいずれか記載のプリフォーム用バインダー組成物と強化繊維とからなることを特徴とするプリフォーム。
- シート状またはテープ状の強化繊維基材を積層してなり、層間に前記プリフォーム用バインダー組成物を存在させて形態を固定した請求項8記載のプリフォーム。
- 請求項8または9記載のプリフォームに液状熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、前記プリフォーム用バインダー組成物と液状熱硬化性樹脂組成物を硬化させることを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
- 前記プリフォームを配置した型内の温度をTm±5(℃)の範囲内とし、型内を−90kPa以下になるまで真空引きし、5〜120分保持した状態から、Tm±20(℃)の範囲内とした液状熱硬化性樹脂を注入することにより含浸、硬化させる請求項10記載の繊維強化複合材料の製造方法。
ここで、Tm(℃)は、前記プリフォーム用バインダー組成物のメルトマスフローレートMFRに対して、
Tm=−0.4×MFR+100
とする。 - 前記液状熱硬化性樹脂の型内の温度における初期粘度が400mPa・s以下である請求項11記載の繊維強化複合材料の製造方法。
- 前記液状熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である請求項10〜12のいずれか記載の繊維強化複合材料の製造方法。
- 前記液状熱硬化性樹脂を注入後さらに、80〜180℃の範囲内に0.5〜12時間保持して硬化させる請求項11〜13のいずれか記載の繊維強化複合材料の製造方法。
- 前記型内での硬化後、脱型し、前記プリフォームと前記液状熱硬化性樹脂とが硬化した物をさらに150〜250℃の範囲内で後硬化する請求項11〜14のいずれか記載の繊維強化複合材料の製造方法。
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