JP2005052703A - ポリウレア塗膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着プライマーを使用しなくても塗膜と金属基材と間に高い付着力が得られるポリウレア塗膜の形成方法を提供する。
【解決手段】1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを含有するポリイソシアネート成分Aと、N,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステル(E)およびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン(M)を重量比率(E/M)で70/30から5/95の割合で含有する第2級アミン成分Bを、金属基材上に衝突混合スプレー塗布してポリウレア塗膜を形成する方法において、前記金属基材の十点平均粗さが10〜100μmで、かつ凹凸の平均間隔が30〜180μmであるポリウレア塗膜の形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを含有するポリイソシアネート成分Aと、N,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステル(E)およびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン(M)を重量比率(E/M)で70/30から5/95の割合で含有する第2級アミン成分Bを、金属基材上に衝突混合スプレー塗布してポリウレア塗膜を形成する方法において、前記金属基材の十点平均粗さが10〜100μmで、かつ凹凸の平均間隔が30〜180μmであるポリウレア塗膜の形成方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属基材等の被塗着材上にポリウレア塗膜を形成する方法に関する。さらに詳しくは、接着プライマーを使用しなくても、金属基材との密着性に優れるポリウレア塗膜の形成方法に関する。
【0002】
【背景技術】
ポリウレア樹脂は以下の反応式に示すように、アミノ基(−NH2 )とイソシアネート基(−NCO)との付加反応により生成するウレア結合(−NH−CO−NH−)を骨格内に有する高分子化合物である。
【0003】
【化1】
【0004】
そして、ポリウレア樹脂は、(1)硬化反応が速い、(2)機械的強度(引張強度、曲げ強度、硬度)が高い、(3)耐久性がある、(4)耐薬品性を備えている等の特徴を持っている。
【0005】
また、ポリウレア樹脂の製造方法としては、末端にアミノ基を有する液状の芳香族ポリアミン化合物とポリイソシアネートとを反応させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ポリイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアンート(MDI)などの芳香族ポリイソシアネートとポリプロピレングリコール(PPG)からなるNCO基含有プレポリマーを用い、ポリアミンとしてポリエーテルアミンや芳香族ポリアミンを用いたポリウレア樹脂が、コンクリート防食用あるいはコンクリート防水用塗料として実用化されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
従来、ポリウレア塗料と金属基材との密着性を高める目的で、溶剤型のウレタン樹脂あるいはエポキシ樹脂を主成分とする接着プライマーが用いられていた。
【0008】
一方、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを含有するポリイソシアネート成分と、N,N’−アルキルレン−ビス−アスパラギン酸テトラエチルエステルおよびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンを含有する第2級アミン成分を、衝突混合スプレー装置により混合硬化させてポリウレア塗膜を形成する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特公昭60−32641号公報
【特許文献2】
特開平8−238453号公報
【特許文献3】
特開2002−201412号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献3に記載されている、ポリイソシアネート成分と第2級アミン成分を、衝突混合スプレー装置により混合硬化させてポリウレア塗膜を形成する方法には、以下の課題がある。
(1)硬化反応が非常に速いため、基材(被塗布物)への塗料のしみ込みが十分でなく、とくに表面が平滑な金属基材に対して高い付着力が得られない。
(2)塗膜が硬いため、金属ヘラで塗膜を引き剥がすような力に対して弱い。
【0011】
一方、接着プライマーを使用すると、溶剤の揮発による人体や環境への影響や、プライマーの可使時間内でのスプレー塗装作業が必須になるという課題がある。
【0012】
本発明は、この様な従来技術に鑑みてなされたものであり、被塗着材である金属基材の表面粗さを最適な範囲に調整することで、上記ポリイソシアネート成分および上記第2級アミン成分からなるポリウレア塗料を衝突混合スプレー装置によりスプレー塗装した場合、接着プライマーを使用しなくても塗膜と金属基材と間に高い付着力が得られるポリウレア塗膜の形成方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを含有するポリイソシアネート成分Aと、N,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステル(E)およびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン(M)を重量比率(E/M)で70/30から5/95の割合で含有する第2級アミン成分Bを、金属基材上に衝突混合スプレー塗布してポリウレア塗膜を形成する方法において、前記金属基材の十点平均粗さが10〜100μmで、かつ凹凸の平均間隔が30〜180μmであることを特徴とするポリウレア塗膜の形成方法
である。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ポリイソシアネート成分Aが1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを主成分とする混合物で、かつ該混合物の20℃における粘度[A]20が50mPa.sから2500mPa.sであり、第2級アミン成分Bが炭素数6のアルキレン誘導体であるN,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステルおよびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンとの混合物で、炭素数6のアルキレン誘導体と前記ビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンとの重量比率が70/30から5/95の混合物を主成分とし、かつ20℃における粘度[B]20が10mPa.sから1000mPa.sであり、ポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分Bを衝突混合スプレー装置により混合硬化させつつ、金属基材上にスプレー塗布してポリウレア塗膜を形成する方法において、金属基材の十点平均粗さが10〜100μmで、かつ凹凸の平均間隔が30〜180μmであることを特徴とするポリウレア塗膜の形成方法である。
【0015】
また、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記第2級アミン成分Bに含まれるN,N’−アルキルレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステルが、N,N’−(ヘキサン−1,6−ジイル)−ビス−アスパラギン酸テトラエチルエステルであり、ビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンが、ビス−(4−N−sec.−ブチルアミノシクロヘキシル)−メタンであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記第2級アミン成分中にアミノシクロヘキシル(N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン類が含まれることを特徴とする。
また、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記金属基材がサンドブラスト処理またはグリットブラスト処理のいずれかの方法で処理されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記金属基材が鋼板またはステンレス鋼であることを特徴とする。
また、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記アミン成分中に着色材が1〜30重量%含まれることを特徴とする。
さらにまた、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記金属基体をブラスト処理した後、72時間以内に前記ポリイソシアネート成分Aと前記第2級アミン成分Bを衝突混合スプレー装置により混合硬化させつつ、金属基材上にスプレー塗布することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、ポリイソシアネート成分Aと、第2級アミン成分Bを、金属基材上に衝突混合スプレー塗布してポリウレア塗膜を形成する方法において、前記金属基材の十点平均粗さが10〜100μmで、かつ凹凸の平均間隔が30〜180μmであることを特徴とする。
【0019】
[ポリイソシアネート成分A]
本発明に用いられるポリイソシアネート成分Aは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマー(下記式(A1))および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(下記式(A2))およびを主成分とし、かつ20℃における粘度[A]20が50mPa.sから2500mPa.s、好ましくは50mPa.sから1500mPa.sのものが用いられる。
【0020】
【化2】
【0021】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーはそれぞれ1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートから合成する段階で必要に応じて添加される変性剤や触媒などの添加剤および反応中に生成するダイマーやトリマー以外のウレタン結合、ビウレット結合、アロファネート結合などを含有していてもよく、またこれらのイソシアネート変性体を別途添加してもよい。イソシアネートの重合反応にはウレタン基が助触媒作用することが知られており、従って重合反応中にアルコール類を添加してウレタン基を生成させるとイソシアネートの重合中にアロファネートが生成する。
【0022】
これらの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマー成分および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートイソシアヌレート成分のウレトジオン結合/イソシアヌレート結合の存在比(重量比)は10/90から50/50であることが好ましく、衝突混合によるスプレー可能な前記粘度範囲ならばアロファネートおよび/またはビウレットおよび/またはウレタン基もポリイソシアネート成分A中に最大30重量%まで存在させることも可能である。
【0023】
なお、このポリイソシアネート成分Aは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーからなる完全無溶剤の化合物である。
【0024】
[第2級アミン成分B]
本発明に用いられる第2級アミン成分B中の炭素数6のアルキレン誘導体であるN,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステルのアルキレン基は、炭素数6のアルキレン基であればよいが、ヘキサン−1,6−ジイル基、2−メチルペンタン−1,5−ジイル基が好ましく、N,N’−(ヘキサン−1,6−ジイル)−ビス−アスパラギン酸テトラエチルエステル(下記式(1))およびN,N’−(2−メチルペンタン−1,5−ジイル)−ビス−アスパラギン酸テトラメチルエステル(下記式(2))が特に好ましい。
【0025】
【化3】
【0026】
さらにビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンはアルキル基の炭素数は3から6までが好ましく、炭素数が2以下では反応速度が早すぎてスプレー時の操作性が悪くなり、炭素数が7以上では生成するポリウレア膜が柔軟となるので本発明の目的には好ましくない。特に炭素数4のアルキル基が好ましく、その中でもsec−ブチル基が最も好ましい。(下記式(3))
【0027】
【化4】
【0028】
また、ビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンに、下記式(4)で表されるアミノシクロヘキシル(N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン類を混合して使用してもかまわない。片側のアミノ基が第1級であるアミノシクロヘキシル(N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン類はポリイソシアネート成分との反応活性がより高く、ビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンとポリイソシアネートとの架橋反応を誘発、促進するのに有効である。
【0029】
【化5】
【0030】
式中、R2、R3 、R4 、R5 およびR6 はそれぞれ水素原子および炭素数1〜5のアルキル基であり、また炭素数1〜5のアルキル基は直鎖であっても分岐していてもよい。R3 、R4 はそれぞれ水素原子またはメチル基、R5 、R6 はそれぞれ水素原子であることが好ましい。
【0031】
アミノシクロヘキシル(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類の混合割合は、ビス(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類100重量部に対し、8〜20重量部の範囲が好ましい。
【0032】
また、本発明で用いられる炭素数6のアルキレン誘導体であるN,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラエチルエステル(E)とビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン(M)との重量比率(E/M)は70/30から5/95であり、炭素数6のアルキレン誘導体であるN,N’−アルキルレン−ビス−アスパラギン酸テトラエチルエステルの重量比率が70を超えると硬化塗膜の耐水性が不十分なものとなり、また5未満になると硬化塗膜が硬く脆いものとなる。この重量比率が55/45から15/85が硬化時の反応速度と硬化塗膜の硬度と靭性の関係から好ましい。
【0033】
上記配合比率の第2級アミン成分Bは、20℃における粘度[B]20が10mPa.Sから1000mPa.s、好ましくは10mPa.sから500mPa.sの範囲のものが使用される。
【0034】
ポリイソシアネート成分Aの粘度[A]20および第2級アミン成分Bの粘度[B]20ともに前記数値を上回ると、スプレー時の混合直後から粘度が高いためか基材への付着性が低下し塗膜と基材との密着性の低下をもたらす。またポリイソシアネート成分Aの粘度[A]20および第2級アミン成分Bの粘度[B]20ともに前記数値を下回ると金属基材への密着性は良好であるが、塗膜のダレが生じて好ましくない。
【0035】
本発明のポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分Bの配合割合は、ポリイソシアネート成分Aのイソシアネート基と、第2級アミン成分Bの活性水素基との当量比(NCO/NH比)が0.75から1.2になるように配合するのが好ましい。当量比が0.75よりも小さい場合には、硬化反応が十分に進まず、硬化物の機械的強度や耐薬品性が低下する傾向にある。一方、当量比が1.2を超える場合は、未反応のポリイソシアネートの影響によって、硬化物表面に粘着性(タック性)が現れて、汚れが付着しやすくなる傾向にある。また、未反応のNCOが空気中の水分と反応して、表面が白変することもある。
【0036】
なお、この第2級アミン成分Bは、N,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステルおよびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンからなる完全無溶剤の化合物である。
【0037】
本発明において、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、触媒、充填剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、滑剤、カップリング剤、反応性希釈剤、導電材、難燃材、脱水材、着色材などを添加してスプレー加工することができる。
【0038】
顔料や染料などの着色材を添加する場合は、粘度が上記範囲になるように量を調整しなければならない。また、着色材の添加量は1〜30重量%の範囲であれば、ポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分との混合性および反応性が良好であることから好ましい。また、着色材はポリイソシアネート成分Aまたは第2級アミン成分Bのいずれに添加しても構わないが、着色材に付着した水分とポリイソシアネートが事前に反応してしまい、第2級アミンとの反応が阻害されてしまう。よって、着色材は第2級アミン成分中に添加することがより好ましい。
【0039】
本発明のスプレー加工においてポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分Bとは混合後の反応に伴う増粘が極めて速いために通常の攪拌混合での加工は困難であり、衝突混合スプレー機によって基材上に塗布する。
【0040】
衝突混合機は二液型の圧力が、6から15MPa(60から150Kg/cm2 )のような高圧吹き付け装置を用い、イソシアネートとアミンとの反応のような硬化時間が極端に短いポリウレア塗装にはこのような配合機を用いるのが最適である。
【0041】
また、ポリウレア塗料は後述する基材の十点平均粗さRzの2倍以上の厚み、より好ましくは3倍以上の厚みで塗布することで、基材表面の凹凸の影響を受けずに平滑かつ均一な塗装表面が得られる。
【0042】
[金属基材]
前述したように本発明に使用するポリウレア塗料は硬化時間が速く、表面が平滑な金属基材へのしみ込みが期待できないため、高い付着力が得られない。
【0043】
接着プライマーを使用せずに金属基材に対して良好な付着力を得るためには、金属基材表面を適度に粗して、ポリウレア塗料がしみ込むようにする必要がある。本発明に使用するポリウレア塗料に対しては、金属表面をJIS B0601(1994)に規定された十点平均粗さRzを以下の範囲に調整することが好ましい。十点平均粗さRzは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から、もっとも高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、もっとも低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和で表される。十点平均粗さRzを下記の数式(1)に示す。
【0044】
図1は、上記の十点平均粗さを求める方法を説明する説明図である。
【0045】
【数1】
【0046】
金属表面の十点平均粗さRzを10μm〜100μmの範囲に粗面化することが好ましい。より高い付着力を得るためには、十点平均粗さRzを15μm〜60μmの範囲に粗面化することが好ましい。十点平均粗さRzが10μm未満の場合は、ポリウレア塗料の十分なしみ込みが得られない。一方、十点平均粗さRzが100μmを超えると、ポリウレア塗料の金属基材の凹凸へ食い付く力が少なくなるせいか、高い付着力が得られなくなる。
【0047】
また、上記の十点平均粗さRzの範囲を満たした上で、金属基材の凹凸の平均間隔Smが30〜180μmであることが好ましい。より好ましくは30〜140μmである。凹凸の平均間隔Smは、基準長さlの範囲において、平均線のところで、平均線の方向に測った山及び谷の間隔の平均値である。凹凸の平均間隔が30μm未満では塗料が基材の凹凸の中に入りにくく、凹凸の平均間隔が180μmを超えると、塗料に切り込みを入れてそこをきっかけに金属ヘラで引き剥がすようないわゆる「引き剥がし性」が悪化する。金属基材の凹凸の平均間隔Smを下記の数式(2)に示す。
【0048】
図2は、上記の金属基材の凹凸の平均間隔を求める方法を説明する説明図である。
【0049】
【数2】
【0050】
とくに本発明に用いるポリウレア塗料は硬化速度が非常に速いため、経時による基材へのしみ込みが期待できない。接着プライマーを使用せずに金属基材と接着させるためには、十点平均表面粗さおよび凹凸の平均間隔を上記範囲に調整することが、極めて重要になる。
【0051】
金属表面を粗面化する手段としては、ブラスト処理、ワイヤサンディング処理、化学エッチング処理などの表面処理方法を用いることができる。
ブラスト処理にはサンドブラスト処理、ショットブラスト処理、グリットブラスト処理などあり、表面を均一かつ緻密に粗面化するのに有効な手段である。なかでも、より高い付着力を得るためにはサンドブラスト処理またはグリットブラスト処理を用いることが好ましい。これらのブラスト処理は表面に均一な凹凸形状を形成するだけでなく、基材表面に存在する異物(錆、黒皮)、油分、水分、塩分を除去できる点からも有効な表面処理手段である。また、ブラスト処理は金属基材の腐食を極力抑えるために、乾式処理であることが好ましい。
【0052】
さらにまた、良好な付着力を得るためには金属基材の表面処理をした後、常温で72時間以内にポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分Bを衝突混合スプレー装置により混合硬化させつつ、金属基材上にスプレー塗布してポリウレア塗膜を形成することが好ましい。このメカニズムは不明であるが、空気中の酸素による金属基材表面の酸化反応が何らかの関与をしているものと推定する。
【0053】
金属基材としては、一般構造用鋼板、熱間圧延軟鋼板、冷間圧延鋼板、ステンレス鋼、アルミニウムなど、一般的な金属材料を用いることができる。
【0054】
【実施例】
以下の実施例により本発明を詳細に説明する。
【0055】
[ポリイソシアネート成分Aの調整]
商業的に入手し得るポリイソシアネートを配合し次の比率になるような混合物を得た(ポリイソシアネート成分A)。混合物の粘度は20℃で800mPa.sであった。なお、粘度はB型回転粘度計により測定した。
なお、この混合比率は13C−NMRおよび1 H−NMRの測定により特定した。
・1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマー 35重量部
・1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー 65重量部
【0056】
[第2級アミン成分Bの調整]
【0057】
【化6】
【0058】
上記混合物を攪拌、混合して20℃の粘度が120mPa.sの第2級アミン成分Bを得た。
【0059】
[硬化物の硬度測定]
ポリイソシアネート成分Aおよび第2級アミン成分Bを1対1の割合でスタティックミキサ(等容量混合タイプ)を使用して、室温で金型(キャビティ形状:縦10mm×横100mm×深さ10mm)に流し込み、ポリウレア塗料硬化物を作製した。硬化物を室温で1日放置した後、ショアD硬度計を用いて硬度を測定した。硬度は81°であった。
【0060】
実施例1
[基材の表面粗さ調整]
一般構造用圧延鋼材(SS400)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を以下の条件でサンドブラスト処理して、表面粗さを調整した。サンドブラスト処理後、処理面をエアーブローと温水洗浄を実施した。
【0061】
・研削材(砥粒):人工けい砂(4号、5号、6号)
・空気圧:0.3〜0.5MPa(3〜5Kg/cm2 )
・スプレーノズルと試験片の距離:300mm
【0062】
基材の十点平均粗さRzおよび凹凸の平均間隔Smの測定は、JISB 0601(1994)に準じ、(株)小坂研究所製、表面粗さ計「サーフコーダーSE−3400」を用い、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmで行った。
測定個所は試験片の長手方向に両端部および中央部の三点とした。
【0063】
[衝突混合スプレー装置]
基材をブラスト処理して24時間後に、以下の衝突混合スプレーを使用して、ポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分Bからなるポリウレア塗料を上記基材表面に1mmの厚みで塗布した。
【0064】
・スプレー装置:ガスマー製FF3500
・スプレーガン:ガスマー製GX−7
・スプレー時圧力:8〜10Pa(80〜100Kgf/cm2 )
・ポリイソシアネート成分A液温度:60℃
・第2級アミン成分B液温度:40℃
・ポリイソシアネート成分A:第2級アミン成分Bの配合割合(容量比)=1:1
【0065】
[指触乾燥時間の測定]
スプレー塗装時に塗膜表面を指で触って、表面の粘着性がなくなるまでの時間を測定した。本発明に用いたポリウレア塗料の指触乾燥時間は約15秒であった。
【0066】
[付着力の測定]
基材とポリウレア塗料の付着力は、付着力試験機(DeFelsko製、商品名「Posi Test Pull−Off Adhesion Tester」)を使用して測定した。まずアルミニウム製接着端子(接着部形状φ20mm)をエポキシ系接着剤(コニシ(株)、商品名「ボンド・クイックメンダー」)を用いてポリウレア塗膜表面に接着した。室温で1日放置後に接着端子の全周に専用カッターで切り込みを入れ、この接着端子を上方向に引き抜くことで付着力(単位MPa)を測定した。同時に接着端子の剥離面を目視で観察して、接着破壊状態を調べた。評価結果を次のような基準でランク分けした。
【0067】
【0068】
[引き剥がし性の評価]
ポリウレア塗膜表面にNTカッターで長さ約40mmの切り込みを2本、角度約30°で交わるように入れた。ついで、2本の切り込みの交点から金属ヘラを差し入れて塗膜を引き剥がし、塗膜および基材の剥離面を目視で観察することにより引き剥がし性を評価した。評価結果を次の基準でランク分けした。
【0069】
実施例1の検討結果を表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
(注)*は比較例を示す。
【0072】
実施例2
以下、実施例2〜6までは実施例1と同組成のポリイソシアネート成分Aおよび 第2級アミン成分Bからなるポリウレア塗料を使用した。
【0073】
[基材の表面粗さ調整]
一般構造用圧延鋼材(SS400)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を以下の条件でショットブラスト処理して、表面粗さを調整した。
・研削材:鋼球(φ0.3mm、0.8mm、1.0mm)
・テーブル式ショットブラストマシン使用
得られた試験片について実施例1と同様の評価を実施した。得られた結果を表2に示した。
【0074】
【表2】
【0075】
(注)*は比較例を示す。
【0076】
実施例3
[基材の表面粗さ調整]
一般構造用圧延鋼材(SS400)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を以下の条件でグリットブラスト処理して、表面粗さを調整した。
・研削材:スチールグリット(φ0.5mm、0.7mm、1.0mm)
・空気圧:0.3〜0.5MPa(3〜5kg/cm2 )
・スプレーノズルと試験片の距離 300mm
得られた試験片について実施例1と同様の評価を実施した。得られた結果を表3に示した。
【0077】
【表3】
【0078】
(注)*は比較例を示す。
【0079】
実施例4
[基材の表面粗さ調整]
ステンレス鋼(SUS304)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を実施例1と同様の方法でサンドブラスト処理して、表面粗さを調整した。
得られた試験片について実施例1と同様の評価を実施した。得られた結果を表4に示した。
【0080】
【表4】
【0081】
(注)*は比較例を示す。
【0082】
実施例5
[基材の表面粗さ調整]
ステンレス鋼(SUS304)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を実施例2と同様の方法でショットブラスト処理して、表面粗さを調整した。
得られた試験片について実施例1と同様の評価を実施した。得られた結果を表5に示した。
【0083】
【表5】
【0084】
(注)*は比較例を示す。
【0085】
実施例6
[基材の表面粗さ調整]
ステンレス鋼(SUS304)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を実施例3と同様の方法でグリットブラスト処理して、表面粗さを調整した。
得られた試験片について実施例1と同様の評価を実施した。得られた結果を表6に示した。
【0086】
【表6】
【0087】
(注)*は比較例を示す。
【0088】
実施例7
[基材の表面粗さ調整]
一般構造用圧延鋼材(SS400)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を実施例1と同様の方法でサンドブラスト処理して、表面粗さを調整した。
表面処理後、スプレー塗布するまでの時間を振って、付着力および引き剥がし性を評価した。得られた結果を表7に示した。
【0089】
【表7】
【0090】
以上の実施例では、金属基材として板材を用いた場合を説明したが、本発明はこれに限られず、丸材、角材、管材あるいは部材などを使用する場合にも適用可能である。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリウレア塗膜の形成方法によれば、被塗着材である金属基材の表面粗さに関して十点平均粗さおよび凹凸の平均間隔を最適な範囲に調整することで、上記ポリイソシアネート成分Aおよび上記第2級アミン成分Bからなるポリウレア塗料を衝突混合スプレー装置によりスプレー塗装した場合、接着プライマーを使用しなくても塗膜は金属基材と高い付着力が得られる。よって本発明は金属塗装用途に好適に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における十点平均粗さを求める方法を説明する説明図である。
【図2】本発明における金属基材の凹凸の平均間隔を求める方法を説明する説明図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属基材等の被塗着材上にポリウレア塗膜を形成する方法に関する。さらに詳しくは、接着プライマーを使用しなくても、金属基材との密着性に優れるポリウレア塗膜の形成方法に関する。
【0002】
【背景技術】
ポリウレア樹脂は以下の反応式に示すように、アミノ基(−NH2 )とイソシアネート基(−NCO)との付加反応により生成するウレア結合(−NH−CO−NH−)を骨格内に有する高分子化合物である。
【0003】
【化1】
【0004】
そして、ポリウレア樹脂は、(1)硬化反応が速い、(2)機械的強度(引張強度、曲げ強度、硬度)が高い、(3)耐久性がある、(4)耐薬品性を備えている等の特徴を持っている。
【0005】
また、ポリウレア樹脂の製造方法としては、末端にアミノ基を有する液状の芳香族ポリアミン化合物とポリイソシアネートとを反応させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ポリイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアンート(MDI)などの芳香族ポリイソシアネートとポリプロピレングリコール(PPG)からなるNCO基含有プレポリマーを用い、ポリアミンとしてポリエーテルアミンや芳香族ポリアミンを用いたポリウレア樹脂が、コンクリート防食用あるいはコンクリート防水用塗料として実用化されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
従来、ポリウレア塗料と金属基材との密着性を高める目的で、溶剤型のウレタン樹脂あるいはエポキシ樹脂を主成分とする接着プライマーが用いられていた。
【0008】
一方、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを含有するポリイソシアネート成分と、N,N’−アルキルレン−ビス−アスパラギン酸テトラエチルエステルおよびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンを含有する第2級アミン成分を、衝突混合スプレー装置により混合硬化させてポリウレア塗膜を形成する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特公昭60−32641号公報
【特許文献2】
特開平8−238453号公報
【特許文献3】
特開2002−201412号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献3に記載されている、ポリイソシアネート成分と第2級アミン成分を、衝突混合スプレー装置により混合硬化させてポリウレア塗膜を形成する方法には、以下の課題がある。
(1)硬化反応が非常に速いため、基材(被塗布物)への塗料のしみ込みが十分でなく、とくに表面が平滑な金属基材に対して高い付着力が得られない。
(2)塗膜が硬いため、金属ヘラで塗膜を引き剥がすような力に対して弱い。
【0011】
一方、接着プライマーを使用すると、溶剤の揮発による人体や環境への影響や、プライマーの可使時間内でのスプレー塗装作業が必須になるという課題がある。
【0012】
本発明は、この様な従来技術に鑑みてなされたものであり、被塗着材である金属基材の表面粗さを最適な範囲に調整することで、上記ポリイソシアネート成分および上記第2級アミン成分からなるポリウレア塗料を衝突混合スプレー装置によりスプレー塗装した場合、接着プライマーを使用しなくても塗膜と金属基材と間に高い付着力が得られるポリウレア塗膜の形成方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを含有するポリイソシアネート成分Aと、N,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステル(E)およびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン(M)を重量比率(E/M)で70/30から5/95の割合で含有する第2級アミン成分Bを、金属基材上に衝突混合スプレー塗布してポリウレア塗膜を形成する方法において、前記金属基材の十点平均粗さが10〜100μmで、かつ凹凸の平均間隔が30〜180μmであることを特徴とするポリウレア塗膜の形成方法
である。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ポリイソシアネート成分Aが1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを主成分とする混合物で、かつ該混合物の20℃における粘度[A]20が50mPa.sから2500mPa.sであり、第2級アミン成分Bが炭素数6のアルキレン誘導体であるN,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステルおよびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンとの混合物で、炭素数6のアルキレン誘導体と前記ビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンとの重量比率が70/30から5/95の混合物を主成分とし、かつ20℃における粘度[B]20が10mPa.sから1000mPa.sであり、ポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分Bを衝突混合スプレー装置により混合硬化させつつ、金属基材上にスプレー塗布してポリウレア塗膜を形成する方法において、金属基材の十点平均粗さが10〜100μmで、かつ凹凸の平均間隔が30〜180μmであることを特徴とするポリウレア塗膜の形成方法である。
【0015】
また、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記第2級アミン成分Bに含まれるN,N’−アルキルレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステルが、N,N’−(ヘキサン−1,6−ジイル)−ビス−アスパラギン酸テトラエチルエステルであり、ビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンが、ビス−(4−N−sec.−ブチルアミノシクロヘキシル)−メタンであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記第2級アミン成分中にアミノシクロヘキシル(N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン類が含まれることを特徴とする。
また、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記金属基材がサンドブラスト処理またはグリットブラスト処理のいずれかの方法で処理されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記金属基材が鋼板またはステンレス鋼であることを特徴とする。
また、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記アミン成分中に着色材が1〜30重量%含まれることを特徴とする。
さらにまた、本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、前記金属基体をブラスト処理した後、72時間以内に前記ポリイソシアネート成分Aと前記第2級アミン成分Bを衝突混合スプレー装置により混合硬化させつつ、金属基材上にスプレー塗布することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のポリウレア塗膜の形成方法は、ポリイソシアネート成分Aと、第2級アミン成分Bを、金属基材上に衝突混合スプレー塗布してポリウレア塗膜を形成する方法において、前記金属基材の十点平均粗さが10〜100μmで、かつ凹凸の平均間隔が30〜180μmであることを特徴とする。
【0019】
[ポリイソシアネート成分A]
本発明に用いられるポリイソシアネート成分Aは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマー(下記式(A1))および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(下記式(A2))およびを主成分とし、かつ20℃における粘度[A]20が50mPa.sから2500mPa.s、好ましくは50mPa.sから1500mPa.sのものが用いられる。
【0020】
【化2】
【0021】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーはそれぞれ1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートから合成する段階で必要に応じて添加される変性剤や触媒などの添加剤および反応中に生成するダイマーやトリマー以外のウレタン結合、ビウレット結合、アロファネート結合などを含有していてもよく、またこれらのイソシアネート変性体を別途添加してもよい。イソシアネートの重合反応にはウレタン基が助触媒作用することが知られており、従って重合反応中にアルコール類を添加してウレタン基を生成させるとイソシアネートの重合中にアロファネートが生成する。
【0022】
これらの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマー成分および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートイソシアヌレート成分のウレトジオン結合/イソシアヌレート結合の存在比(重量比)は10/90から50/50であることが好ましく、衝突混合によるスプレー可能な前記粘度範囲ならばアロファネートおよび/またはビウレットおよび/またはウレタン基もポリイソシアネート成分A中に最大30重量%まで存在させることも可能である。
【0023】
なお、このポリイソシアネート成分Aは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーからなる完全無溶剤の化合物である。
【0024】
[第2級アミン成分B]
本発明に用いられる第2級アミン成分B中の炭素数6のアルキレン誘導体であるN,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステルのアルキレン基は、炭素数6のアルキレン基であればよいが、ヘキサン−1,6−ジイル基、2−メチルペンタン−1,5−ジイル基が好ましく、N,N’−(ヘキサン−1,6−ジイル)−ビス−アスパラギン酸テトラエチルエステル(下記式(1))およびN,N’−(2−メチルペンタン−1,5−ジイル)−ビス−アスパラギン酸テトラメチルエステル(下記式(2))が特に好ましい。
【0025】
【化3】
【0026】
さらにビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンはアルキル基の炭素数は3から6までが好ましく、炭素数が2以下では反応速度が早すぎてスプレー時の操作性が悪くなり、炭素数が7以上では生成するポリウレア膜が柔軟となるので本発明の目的には好ましくない。特に炭素数4のアルキル基が好ましく、その中でもsec−ブチル基が最も好ましい。(下記式(3))
【0027】
【化4】
【0028】
また、ビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンに、下記式(4)で表されるアミノシクロヘキシル(N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン類を混合して使用してもかまわない。片側のアミノ基が第1級であるアミノシクロヘキシル(N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン類はポリイソシアネート成分との反応活性がより高く、ビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンとポリイソシアネートとの架橋反応を誘発、促進するのに有効である。
【0029】
【化5】
【0030】
式中、R2、R3 、R4 、R5 およびR6 はそれぞれ水素原子および炭素数1〜5のアルキル基であり、また炭素数1〜5のアルキル基は直鎖であっても分岐していてもよい。R3 、R4 はそれぞれ水素原子またはメチル基、R5 、R6 はそれぞれ水素原子であることが好ましい。
【0031】
アミノシクロヘキシル(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類の混合割合は、ビス(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類100重量部に対し、8〜20重量部の範囲が好ましい。
【0032】
また、本発明で用いられる炭素数6のアルキレン誘導体であるN,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラエチルエステル(E)とビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン(M)との重量比率(E/M)は70/30から5/95であり、炭素数6のアルキレン誘導体であるN,N’−アルキルレン−ビス−アスパラギン酸テトラエチルエステルの重量比率が70を超えると硬化塗膜の耐水性が不十分なものとなり、また5未満になると硬化塗膜が硬く脆いものとなる。この重量比率が55/45から15/85が硬化時の反応速度と硬化塗膜の硬度と靭性の関係から好ましい。
【0033】
上記配合比率の第2級アミン成分Bは、20℃における粘度[B]20が10mPa.Sから1000mPa.s、好ましくは10mPa.sから500mPa.sの範囲のものが使用される。
【0034】
ポリイソシアネート成分Aの粘度[A]20および第2級アミン成分Bの粘度[B]20ともに前記数値を上回ると、スプレー時の混合直後から粘度が高いためか基材への付着性が低下し塗膜と基材との密着性の低下をもたらす。またポリイソシアネート成分Aの粘度[A]20および第2級アミン成分Bの粘度[B]20ともに前記数値を下回ると金属基材への密着性は良好であるが、塗膜のダレが生じて好ましくない。
【0035】
本発明のポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分Bの配合割合は、ポリイソシアネート成分Aのイソシアネート基と、第2級アミン成分Bの活性水素基との当量比(NCO/NH比)が0.75から1.2になるように配合するのが好ましい。当量比が0.75よりも小さい場合には、硬化反応が十分に進まず、硬化物の機械的強度や耐薬品性が低下する傾向にある。一方、当量比が1.2を超える場合は、未反応のポリイソシアネートの影響によって、硬化物表面に粘着性(タック性)が現れて、汚れが付着しやすくなる傾向にある。また、未反応のNCOが空気中の水分と反応して、表面が白変することもある。
【0036】
なお、この第2級アミン成分Bは、N,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステルおよびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタンからなる完全無溶剤の化合物である。
【0037】
本発明において、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、触媒、充填剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、滑剤、カップリング剤、反応性希釈剤、導電材、難燃材、脱水材、着色材などを添加してスプレー加工することができる。
【0038】
顔料や染料などの着色材を添加する場合は、粘度が上記範囲になるように量を調整しなければならない。また、着色材の添加量は1〜30重量%の範囲であれば、ポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分との混合性および反応性が良好であることから好ましい。また、着色材はポリイソシアネート成分Aまたは第2級アミン成分Bのいずれに添加しても構わないが、着色材に付着した水分とポリイソシアネートが事前に反応してしまい、第2級アミンとの反応が阻害されてしまう。よって、着色材は第2級アミン成分中に添加することがより好ましい。
【0039】
本発明のスプレー加工においてポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分Bとは混合後の反応に伴う増粘が極めて速いために通常の攪拌混合での加工は困難であり、衝突混合スプレー機によって基材上に塗布する。
【0040】
衝突混合機は二液型の圧力が、6から15MPa(60から150Kg/cm2 )のような高圧吹き付け装置を用い、イソシアネートとアミンとの反応のような硬化時間が極端に短いポリウレア塗装にはこのような配合機を用いるのが最適である。
【0041】
また、ポリウレア塗料は後述する基材の十点平均粗さRzの2倍以上の厚み、より好ましくは3倍以上の厚みで塗布することで、基材表面の凹凸の影響を受けずに平滑かつ均一な塗装表面が得られる。
【0042】
[金属基材]
前述したように本発明に使用するポリウレア塗料は硬化時間が速く、表面が平滑な金属基材へのしみ込みが期待できないため、高い付着力が得られない。
【0043】
接着プライマーを使用せずに金属基材に対して良好な付着力を得るためには、金属基材表面を適度に粗して、ポリウレア塗料がしみ込むようにする必要がある。本発明に使用するポリウレア塗料に対しては、金属表面をJIS B0601(1994)に規定された十点平均粗さRzを以下の範囲に調整することが好ましい。十点平均粗さRzは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から、もっとも高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、もっとも低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和で表される。十点平均粗さRzを下記の数式(1)に示す。
【0044】
図1は、上記の十点平均粗さを求める方法を説明する説明図である。
【0045】
【数1】
【0046】
金属表面の十点平均粗さRzを10μm〜100μmの範囲に粗面化することが好ましい。より高い付着力を得るためには、十点平均粗さRzを15μm〜60μmの範囲に粗面化することが好ましい。十点平均粗さRzが10μm未満の場合は、ポリウレア塗料の十分なしみ込みが得られない。一方、十点平均粗さRzが100μmを超えると、ポリウレア塗料の金属基材の凹凸へ食い付く力が少なくなるせいか、高い付着力が得られなくなる。
【0047】
また、上記の十点平均粗さRzの範囲を満たした上で、金属基材の凹凸の平均間隔Smが30〜180μmであることが好ましい。より好ましくは30〜140μmである。凹凸の平均間隔Smは、基準長さlの範囲において、平均線のところで、平均線の方向に測った山及び谷の間隔の平均値である。凹凸の平均間隔が30μm未満では塗料が基材の凹凸の中に入りにくく、凹凸の平均間隔が180μmを超えると、塗料に切り込みを入れてそこをきっかけに金属ヘラで引き剥がすようないわゆる「引き剥がし性」が悪化する。金属基材の凹凸の平均間隔Smを下記の数式(2)に示す。
【0048】
図2は、上記の金属基材の凹凸の平均間隔を求める方法を説明する説明図である。
【0049】
【数2】
【0050】
とくに本発明に用いるポリウレア塗料は硬化速度が非常に速いため、経時による基材へのしみ込みが期待できない。接着プライマーを使用せずに金属基材と接着させるためには、十点平均表面粗さおよび凹凸の平均間隔を上記範囲に調整することが、極めて重要になる。
【0051】
金属表面を粗面化する手段としては、ブラスト処理、ワイヤサンディング処理、化学エッチング処理などの表面処理方法を用いることができる。
ブラスト処理にはサンドブラスト処理、ショットブラスト処理、グリットブラスト処理などあり、表面を均一かつ緻密に粗面化するのに有効な手段である。なかでも、より高い付着力を得るためにはサンドブラスト処理またはグリットブラスト処理を用いることが好ましい。これらのブラスト処理は表面に均一な凹凸形状を形成するだけでなく、基材表面に存在する異物(錆、黒皮)、油分、水分、塩分を除去できる点からも有効な表面処理手段である。また、ブラスト処理は金属基材の腐食を極力抑えるために、乾式処理であることが好ましい。
【0052】
さらにまた、良好な付着力を得るためには金属基材の表面処理をした後、常温で72時間以内にポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分Bを衝突混合スプレー装置により混合硬化させつつ、金属基材上にスプレー塗布してポリウレア塗膜を形成することが好ましい。このメカニズムは不明であるが、空気中の酸素による金属基材表面の酸化反応が何らかの関与をしているものと推定する。
【0053】
金属基材としては、一般構造用鋼板、熱間圧延軟鋼板、冷間圧延鋼板、ステンレス鋼、アルミニウムなど、一般的な金属材料を用いることができる。
【0054】
【実施例】
以下の実施例により本発明を詳細に説明する。
【0055】
[ポリイソシアネート成分Aの調整]
商業的に入手し得るポリイソシアネートを配合し次の比率になるような混合物を得た(ポリイソシアネート成分A)。混合物の粘度は20℃で800mPa.sであった。なお、粘度はB型回転粘度計により測定した。
なお、この混合比率は13C−NMRおよび1 H−NMRの測定により特定した。
・1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマー 35重量部
・1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー 65重量部
【0056】
[第2級アミン成分Bの調整]
【0057】
【化6】
【0058】
上記混合物を攪拌、混合して20℃の粘度が120mPa.sの第2級アミン成分Bを得た。
【0059】
[硬化物の硬度測定]
ポリイソシアネート成分Aおよび第2級アミン成分Bを1対1の割合でスタティックミキサ(等容量混合タイプ)を使用して、室温で金型(キャビティ形状:縦10mm×横100mm×深さ10mm)に流し込み、ポリウレア塗料硬化物を作製した。硬化物を室温で1日放置した後、ショアD硬度計を用いて硬度を測定した。硬度は81°であった。
【0060】
実施例1
[基材の表面粗さ調整]
一般構造用圧延鋼材(SS400)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を以下の条件でサンドブラスト処理して、表面粗さを調整した。サンドブラスト処理後、処理面をエアーブローと温水洗浄を実施した。
【0061】
・研削材(砥粒):人工けい砂(4号、5号、6号)
・空気圧:0.3〜0.5MPa(3〜5Kg/cm2 )
・スプレーノズルと試験片の距離:300mm
【0062】
基材の十点平均粗さRzおよび凹凸の平均間隔Smの測定は、JISB 0601(1994)に準じ、(株)小坂研究所製、表面粗さ計「サーフコーダーSE−3400」を用い、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmで行った。
測定個所は試験片の長手方向に両端部および中央部の三点とした。
【0063】
[衝突混合スプレー装置]
基材をブラスト処理して24時間後に、以下の衝突混合スプレーを使用して、ポリイソシアネート成分Aと第2級アミン成分Bからなるポリウレア塗料を上記基材表面に1mmの厚みで塗布した。
【0064】
・スプレー装置:ガスマー製FF3500
・スプレーガン:ガスマー製GX−7
・スプレー時圧力:8〜10Pa(80〜100Kgf/cm2 )
・ポリイソシアネート成分A液温度:60℃
・第2級アミン成分B液温度:40℃
・ポリイソシアネート成分A:第2級アミン成分Bの配合割合(容量比)=1:1
【0065】
[指触乾燥時間の測定]
スプレー塗装時に塗膜表面を指で触って、表面の粘着性がなくなるまでの時間を測定した。本発明に用いたポリウレア塗料の指触乾燥時間は約15秒であった。
【0066】
[付着力の測定]
基材とポリウレア塗料の付着力は、付着力試験機(DeFelsko製、商品名「Posi Test Pull−Off Adhesion Tester」)を使用して測定した。まずアルミニウム製接着端子(接着部形状φ20mm)をエポキシ系接着剤(コニシ(株)、商品名「ボンド・クイックメンダー」)を用いてポリウレア塗膜表面に接着した。室温で1日放置後に接着端子の全周に専用カッターで切り込みを入れ、この接着端子を上方向に引き抜くことで付着力(単位MPa)を測定した。同時に接着端子の剥離面を目視で観察して、接着破壊状態を調べた。評価結果を次のような基準でランク分けした。
【0067】
【0068】
[引き剥がし性の評価]
ポリウレア塗膜表面にNTカッターで長さ約40mmの切り込みを2本、角度約30°で交わるように入れた。ついで、2本の切り込みの交点から金属ヘラを差し入れて塗膜を引き剥がし、塗膜および基材の剥離面を目視で観察することにより引き剥がし性を評価した。評価結果を次の基準でランク分けした。
【0069】
実施例1の検討結果を表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
(注)*は比較例を示す。
【0072】
実施例2
以下、実施例2〜6までは実施例1と同組成のポリイソシアネート成分Aおよび 第2級アミン成分Bからなるポリウレア塗料を使用した。
【0073】
[基材の表面粗さ調整]
一般構造用圧延鋼材(SS400)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を以下の条件でショットブラスト処理して、表面粗さを調整した。
・研削材:鋼球(φ0.3mm、0.8mm、1.0mm)
・テーブル式ショットブラストマシン使用
得られた試験片について実施例1と同様の評価を実施した。得られた結果を表2に示した。
【0074】
【表2】
【0075】
(注)*は比較例を示す。
【0076】
実施例3
[基材の表面粗さ調整]
一般構造用圧延鋼材(SS400)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を以下の条件でグリットブラスト処理して、表面粗さを調整した。
・研削材:スチールグリット(φ0.5mm、0.7mm、1.0mm)
・空気圧:0.3〜0.5MPa(3〜5kg/cm2 )
・スプレーノズルと試験片の距離 300mm
得られた試験片について実施例1と同様の評価を実施した。得られた結果を表3に示した。
【0077】
【表3】
【0078】
(注)*は比較例を示す。
【0079】
実施例4
[基材の表面粗さ調整]
ステンレス鋼(SUS304)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を実施例1と同様の方法でサンドブラスト処理して、表面粗さを調整した。
得られた試験片について実施例1と同様の評価を実施した。得られた結果を表4に示した。
【0080】
【表4】
【0081】
(注)*は比較例を示す。
【0082】
実施例5
[基材の表面粗さ調整]
ステンレス鋼(SUS304)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を実施例2と同様の方法でショットブラスト処理して、表面粗さを調整した。
得られた試験片について実施例1と同様の評価を実施した。得られた結果を表5に示した。
【0083】
【表5】
【0084】
(注)*は比較例を示す。
【0085】
実施例6
[基材の表面粗さ調整]
ステンレス鋼(SUS304)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を実施例3と同様の方法でグリットブラスト処理して、表面粗さを調整した。
得られた試験片について実施例1と同様の評価を実施した。得られた結果を表6に示した。
【0086】
【表6】
【0087】
(注)*は比較例を示す。
【0088】
実施例7
[基材の表面粗さ調整]
一般構造用圧延鋼材(SS400)製の試験片(寸法200×100×2mm)を脱脂した後、試験片の片面を実施例1と同様の方法でサンドブラスト処理して、表面粗さを調整した。
表面処理後、スプレー塗布するまでの時間を振って、付着力および引き剥がし性を評価した。得られた結果を表7に示した。
【0089】
【表7】
【0090】
以上の実施例では、金属基材として板材を用いた場合を説明したが、本発明はこれに限られず、丸材、角材、管材あるいは部材などを使用する場合にも適用可能である。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリウレア塗膜の形成方法によれば、被塗着材である金属基材の表面粗さに関して十点平均粗さおよび凹凸の平均間隔を最適な範囲に調整することで、上記ポリイソシアネート成分Aおよび上記第2級アミン成分Bからなるポリウレア塗料を衝突混合スプレー装置によりスプレー塗装した場合、接着プライマーを使用しなくても塗膜は金属基材と高い付着力が得られる。よって本発明は金属塗装用途に好適に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における十点平均粗さを求める方法を説明する説明図である。
【図2】本発明における金属基材の凹凸の平均間隔を求める方法を説明する説明図である。
Claims (1)
- 1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを含有するポリイソシアネート成分Aと、N,N’−アルキレン−ビス−アスパラギン酸テトラアルキルエステル(E)およびビス−(4−N−アルキルアミノシクロヘキシル)−メタン(M)を重量比率(E/M)で70/30から5/95の割合で含有する第2級アミン成分Bを、金属基材上に衝突混合スプレー塗布してポリウレア塗膜を形成する方法において、前記金属基材の十点平均粗さが10〜100μmで、かつ凹凸の平均間隔が30〜180μmであることを特徴とするポリウレア塗膜の形成方法。
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