JP2005050666A - 燃料電池用ホース材料およびそれを用いてなる燃料電池用ホース - Google Patents
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Abstract
【課題】低抽出性および電気絶縁性の双方の特性に優れ、しかも機械的特性にも優れた燃料電池用ホース材料およびそれを用いてなる燃料電池用ホースを提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(D)を必須成分とする燃料電池用ホース材料である。そして、それをホース形状に形成し、燃料電池用ホースとする。
(A)エチレン−プロピレン系共重合体。
(B)疎水性シリカ。
(C)過酸化物架橋剤。
(D)カーボンブラック。
【選択図】なし
【解決手段】下記の(A)〜(D)を必須成分とする燃料電池用ホース材料である。そして、それをホース形状に形成し、燃料電池用ホースとする。
(A)エチレン−プロピレン系共重合体。
(B)疎水性シリカ。
(C)過酸化物架橋剤。
(D)カーボンブラック。
【選択図】なし
Description
本発明は、燃料電池用ホース材料およびそれを用いてなる燃料電池用ホースに関するものである。
次世代の発電方式として、燃料電池システム(特に、固体高分子型燃料電池)を用いた発電方式が有力視されている。この燃料電池システムにおける発電部位は、硫黄または金属イオン等の外的混入物により、著しく性能が低下すると言われている。したがって、これら燃料電池システムに用いられるホースまたは配管部材には、低抽出性(ホース内を流通する水等により抽出されにくい性質)で、クリーンであることが要求される。また、燃料電池システムを特に車両に用いた場合、大量に発生する熱をいかに冷却させるかが課題の一つとなっている。そのため、冷却システムの役割は極めて重要と言われているが、これら冷却水(LLC等)の導電性が上昇した場合、電気的な短絡を引き起こす懸念があり、内部流体(水やLLC)の絶縁性を保つこと、すなわちイオンの抽出を抑え、流体の導電性を上げないことが、燃料電池システム(特に冷却システム)に用いられるホースまたは配管部材に求められている。
そのため、これまではイオンの溶出が少ないSUS配管を使用したり、燃料電池システム中に脱イオン器を設置する等の複雑な冷却システムが使われることが多かった。しかしながら、SUS配管を用いた場合、成形や組み付け性等が困難となり、レイアウトおよび作業に問題がある他、振動耐久性等の難点もある。さらに、配管部材がより低抽出(クリーン)であれば、燃料電池電気自動車(FCEV)等の燃料電池システムに必要な脱イオン器内にある樹脂、活性炭等の再生間隔も延ばすことが可能である。
一方、迷走電流や漏電による感電防止の観点から、燃料電池本体や蓄電池(2次電池)等へつながる配管材料には、電気絶縁性(高電気抵抗性)も要求される。また、燃料電池システムは、内燃機関と比較して静粛であるため、これまでエンジン等の音で目立たなかった音が気になる等、周辺部品にも音や振動を吸収する材料が求められている。
以上の観点から、燃料電池システムに用いられるホースまたは配管部材としては、低抽出性や電気絶縁性(高電気抵抗性)等の機能を併せ持ち、かつ音や振動を吸収する高い振動耐久性を持つエラストマー材料(ゴム弾性を持つ材料)の開発が待望されている。
このような燃料電池用ホース材料としては、従来より、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)に、カーボンブラックを配合した材料が用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この燃料電池用ホース材料を用いて燃料電池用ホースを形成した場合、機械的特性が低く、また電気絶縁性にも劣るという難点がある。この場合、EPDMに配合するカーボンブラックを増量、すなわち、カーボンブラックを高充填にすることにより、補強性を高めることも考えられる。
特開平10−180941号公報
しかしながら、上記のようにカーボンブラックを高充填すると、カーボンブラックの粒子同士が接近するため、電気抵抗がより低下して導電性がより上昇し、電気絶縁性に著しく劣るという難点がある。また、ホースの伸び性が低下し、スコーチ性も悪化するという難点もある。そこで、カーボンブラックの高充填により補強性を高めるのではなく、カーボンブラックとともにシリカ,タルク,クレー等の充填材を併用し、補強性を高めることが考えられる。しかし、このようにすると、電気絶縁性には優れるものの、上記充填材がEPDMに対して極性が高いために、そのコンパウンドと高極性の水との親和性が向上し、EPDM中に不安定に存在するシリカ等の元素(Si元素等)およびイオンが溶出しやすくなることから、低抽出性が著しく劣るという難点がある。さらに、上記充填材は、疎水性であるEPDMに対する分散性がよくないことから、機械的特性に悪影響を与えるおそれもある。一方、上記のようにEPDMに含有したシリカ等を安定化させる手法として、シランカップリング剤を材料中に更に添加するといったことも考えられるが、そのようにすると、押出成形時の加工性が悪くなる(押出し肌が荒れる)とともに、コストアップにも繋がる。
このように、低抽出性と電気絶縁性の両立を図ることができ、しかも加工性も良好で、優れた機械的特性をもつ燃料電池用ホース材料は、未だ得られていないのが実情であり、このような材料の開発が待望されている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、低抽出性および電気絶縁性の双方の特性に優れ、しかも機械的特性にも優れた燃料電池用ホース材料およびそれを用いてなる燃料電池用ホースの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)〜(D)を必須成分とする燃料電池用ホース材料を第1の要旨とし、この燃料電池用ホース材料を用い、ホース形状に形成してなる燃料電池用ホースを第2の要旨とする。
(A)エチレン−プロピレン系共重合体。
(B)疎水性シリカ。
(C)過酸化物架橋剤。
(D)カーボンブラック。
(A)エチレン−プロピレン系共重合体。
(B)疎水性シリカ。
(C)過酸化物架橋剤。
(D)カーボンブラック。
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決すべく、燃料電池用ホース材料を中心に鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、エチレン−プロピレン系共重合体を過酸化物架橋(パーオキサイド架橋)し、低抽出を図るとともに、その補強材として、カーボンブラックとシリカとを併用することを検討した。そして、エチレン−プロピレン系共重合体にシリカを用いた場合にみられるSi元素の溶出を抑えるべく、主にシリカに着目し、さらに研究を重ねた。その結果、疎水性シリカを用いると、通常のシリカのように吸水することが殆どなく、さらに疎水性であるEPDMとの親和性が改善され、EPDMへの分散性が向上するようになることから、低抽出性および電気絶縁性の双方の特性に優れるとともに、優れた機械的特性をもった燃料電池用ホースが得られるようになることを見いだし、本発明に到達した。
本発明の燃料電池用ホース材料は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)と、疎水性シリカ(B成分)と、過酸化物架橋剤(C成分)と、カーボンブラック(D成分)とを必須成分とするものであり、特に、上記疎水性シリカを含有していることから、そのコンパウンド表面上の撥水性が向上し、低抽出性および電気絶縁性の双方の特性に優れるとともに、優れた機械的特性をもった燃料電池用ホースを得ることができる。また、この材料にはシランカップリング剤が不含であることから、押出成形時の加工性も良好である。さらに、この材料によって形成された燃料電池用ホースは、流体の導電性アップに繋がるイオンの溶出も抑えられることから、燃料電池システムの短絡を防ぐことができる。そして、この材料で燃料電池用ホースを形成した場合、単層構造のホースであっても充分な強度が得られることから、製造工程の簡略化を図ることもできる。
また、上記疎水性シリカの配合割合を特定の範囲に設定すると、ホースの補強性の効果とともに、低抽出性および電気絶縁性がより向上するようになる。
さらに、上記カーボンブラックの配合割合を、特定の範囲となるよう低く設定すると、ホースの補強性の効果を良好に保持するとともに、電気絶縁性がより良好となる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の燃料電池用ホース材料は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)と、疎水性シリカ(B成分)と、過酸化物架橋剤(C成分)と、カーボンブラック(D成分)とを用いて得ることができる。ここで、疎水性シリカとは、シリカ微粒子を疎水化剤によって処理する(シリカ微粒子表面のシラノール基(SiOH)を、例えばメチル基等に置換し、疎水化する)ことにより、得られるものをいう。
上記エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)は、特に限定するものではないが、ヨウ素価が6〜30の範囲、エチレン比率が48〜70重量%の範囲のものが好ましく、特に好ましくはヨウ素価が10〜24の範囲、エチレン比率が50〜60重量%の範囲のものである。このようなものは、高温高圧下での安定性に優れている。
このEPDMに含まれるジエン系モノマー(第3成分)としては、特に限定はないが、炭素数5〜20のジエン系モノマーが好ましく、具体的には、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCP)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン等があげられる。これらジエン系モノマー(第3成分)のなかでも、ジシクロペンタジエン(DCP)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)が好ましい。
上記エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)とともに用いられる疎水性シリカ(B成分)は、先にも述べたように、シリカ微粒子を処理剤によって処理することにより、得ることができる。上記処理は、例えば、シリカ微粒子をヘンシェルミキサーに入れ、所定の処理剤で150℃以下で数十分攪拌するといった条件で処理することにより行われる。また、上記疎水性シリカの平均粒径は、通常、1〜50μmの範囲に設定され、好ましくは2〜20μmの範囲内である。
上記疎水性シリカの材料であるシリカ微粒子は、特に限定されるものではなく、その粒子形状も、球状に限定されず、楕円等であってもよい。さらに、複数の微粒子からなる小さな凝塊であってもよい。
上記シリカ微粒子の処理に用いる疎水化剤としては、具体的には、ジメチルジクロロシラン,メチルトリクロロシラン,ジメチルジブロモシラン,メチルトリブロモシラン,ジエチルジクロロシラン,エチルトリクロロシラン,ジプロピルジクロロシラン,ジイソプロピルジクロロシラン,プロピルトリクロロシラン,ジブチルジクロロシラン,ブチルトリクロロシラン等のオルガノハロシラン、トリメトキシ−オクチル−シラン,ヘキサデシルシラン等のオルガノシラン、オクタメチル−シクロ−テトラ−シロキサン,ポリジメチルシロキサン等のシロキサン、ヘキサメチル−ジシラザン等のジシラザン、1以上のアルキルシロキシル部分(例えばトリメチルシロキシ部分)を含む化合物があげられる。そして、これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。これら化合物は、そのハロゲン等の活性部分がシリカ微粒子表面のシラノール基(SiOH)と反応し結合して、シリカ微粒子表面に分布する。その結果、シリカ微粒子が疎水化されると思われる。
そして、上記疎水性シリカ(B成分)は、市販のものとしては、特に、日本シリカ工業社製のニプシールSSが好ましく用いることができる。
上記疎水性シリカ(B成分)の配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して、10〜150部の範囲内が好ましく、特に好ましくは20〜100部の範囲内である。すなわち、疎水性シリカの配合割合が10部未満であると、補強性の効果が乏しく、充分な電気抵抗性が確保できず、逆に150部を超えると、ホースの柔軟性が悪くなる傾向がみられるからである。
上記A成分およびB成分とともに用いられる過酸化物架橋剤(C成分)としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類や、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類や、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類や、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類や、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、臭気の問題がない点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンが好適に用いられる。
上記過酸化物架橋剤(C成分)の配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100部に対して、1.5〜20部の範囲内が好ましい。すなわち、過酸化物架橋剤が1.5部未満であると、架橋が不充分となって、ホースの強度に劣り、逆に過酸化物架橋剤が20部を超えると、硬くなりすぎ、ホースの柔軟性に劣る傾向がみられるからである。
上記A〜C成分とともに用いられるカーボンブラック(D成分)としては、特に限定されるものではなく、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、カラーブラック等があげられる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、SRF級カーボンブラックが好適に用いられる。
上記カーボンブラック(D成分)の配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100部に対して、20〜120部の範囲内が好ましく、特に好ましくは60〜100部の範囲内である。すなわち、カーボンブラックの配合割合が20部未満であると、補強性の効果が乏しく、高硬度化が困難となり、逆に120部を超えると、電気抵抗が低くなり、電気絶縁性が悪くなる傾向がみられるからである。
本発明の燃料電池用ホース材料には、上記A〜D成分を必須成分とするものであるが、これとともに、共架橋剤、プロセスオイル、老化防止剤等を、必要に応じて配合しても差し支えない。
上記共架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好適に用いられ、これらとともに、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、p−キノンジオキシム、p,p−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
この共架橋剤の配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100部に対して、0.1〜10部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜7.0部の範囲内である。
上記プロセスオイルの配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100部に対して、5〜100部の範囲内が好ましく、特に好ましくは20〜80部の範囲内である。
また、老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ワックス類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
この老化防止剤の配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100部に対して、0.2〜2部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜1.0部の範囲内である。
本発明の燃料電池用ホース材料は、例えば、前記A〜D成分を配合するとともに、必要に応じて、共架橋剤、プロセスオイル、老化防止剤等を配合し、これらをニーダー,バンバリーミキサー,ロール等の混練機を用いて混練することにより、調製することができる。
本発明の燃料電池用ホースは、例えば、前記のようにして調製した本発明の燃料電池用ホース材料を、ホース状に押し出し成形した後、全体を所定の条件で架橋することにより作製することができる。なお、この成形に際し、必要に応じて、マンドレルを用いても差し支えない。
このようにして得られる本発明の燃料電池用ホースは、厚みが、通常、1.5〜12mmの範囲内であり、内径が、通常、5〜50mmの範囲内である。
なお、本発明の燃料電池用ホースは、単層構造に限定されるものではなく、2層以上の多層構造であっても差し支えない。この場合、本発明の燃料電池用ホースの最内層は、低抽出性および電気絶縁性の観点から、本発明の燃料電池用ホース材料を用いて形成することが好ましい。
なお、本発明の燃料電池用ホース材料は、燃料電池車両用ホース材料に限定されるものではなく、例えば、定置式燃料電池用ホース、コンピューター冷却用ホース等に用いることができ、またこれらシステムを構成する部品(パッキン、セパレーター等)等にも用いることが可能である。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔EPDM(A成分)〕
住友化学工業社製、エスプレン501A〔ヨウ素価:12、エチレン比率:50重量%、ムーニー粘度(ML1+4 100℃):43〕
住友化学工業社製、エスプレン501A〔ヨウ素価:12、エチレン比率:50重量%、ムーニー粘度(ML1+4 100℃):43〕
〔疎水性シリカ(B成分)〕
ニプシールSS−30P(日本シリカ工業社製)
ニプシールSS−30P(日本シリカ工業社製)
〔ノーマルシリカ〕
ニプシールER(日本シリカ工業社製)
ニプシールER(日本シリカ工業社製)
〔シランカップリング剤〕
A−174(日本ユニカー社製)
A−174(日本ユニカー社製)
〔過酸化物架橋剤(C成分)〕
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日本油脂社製、パーヘキサ25B)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日本油脂社製、パーヘキサ25B)
〔カーボンブラック(D成分)〕
ショウブラックIP−200(昭和キャボット社製)
ショウブラックIP−200(昭和キャボット社製)
〔プロセスオイル〕
ダイアナプロセスPW−380(出光興産社製)
ダイアナプロセスPW−380(出光興産社製)
〔共架橋剤〕
エチレングリコールジメタクリレート(精工化学社製、ハイクロスED)
エチレングリコールジメタクリレート(精工化学社製、ハイクロスED)
〔老化防止剤〕
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMDQ)(精工化学社製、ノンフレックスRD)
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMDQ)(精工化学社製、ノンフレックスRD)
〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
後記の表1および表2に示す各成分を同表に示す割合で配合し、バンバリーミキサーおよびロールを用いて混練して、燃料電池用ホース材料を調製した。
後記の表1および表2に示す各成分を同表に示す割合で配合し、バンバリーミキサーおよびロールを用いて混練して、燃料電池用ホース材料を調製した。
このようにして得られた実施例品および比較例品の燃料電池用ホース材料を用い、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1および表2に併せて示した。
〔引張強さ(TB)、伸び(EB)〕
各燃料電池用ホース材料を160℃で45分間プレス架橋して、厚み2mmの架橋ゴムシートを作製した。ついで、JIS 5号ダンベルを打ち抜き、JIS K 6251に準じて、引張強さ(TB)および伸び(EB)を評価した。なお、引張強さ(TB)および伸び(EB)については、値が大きい程良好といえる。
各燃料電池用ホース材料を160℃で45分間プレス架橋して、厚み2mmの架橋ゴムシートを作製した。ついで、JIS 5号ダンベルを打ち抜き、JIS K 6251に準じて、引張強さ(TB)および伸び(EB)を評価した。なお、引張強さ(TB)および伸び(EB)については、値が大きい程良好といえる。
〔押出し肌〕
ガーベダイを用い、押出し成形して得られた成形物の肌表面の粗さを、目視により評価し、表面肌が平滑である順に○、△、×で評価した。
ガーベダイを用い、押出し成形して得られた成形物の肌表面の粗さを、目視により評価し、表面肌が平滑である順に○、△、×で評価した。
〔体積抵抗率〕
各燃料電池用ホース材料を用いて、JIS K 6911に準じて、体積抵抗率を測定した。体積抵抗率については、値が高い程、電気絶縁性に優れているといえる。
各燃料電池用ホース材料を用いて、JIS K 6911に準じて、体積抵抗率を測定した。体積抵抗率については、値が高い程、電気絶縁性に優れているといえる。
〔抽出溶液の導電率〕
上記のようにして作製した架橋ゴムシートを打ち抜き(サンプル)、これを、1.0μS/cm以下の純水とともに、比液率〔封入する純水の量(ml)/サンプルの表面積(cm2 )〕が2.80となるよう、プロピレン製容器に封入し、100℃で168時間熱処理した。これにより得られた抽出溶液の、25℃における導電率を、導電率計(堀場製作所社製、CONDUCTIVITYMETER D−24)を用いて測定した。一方、低抽出性の評価は、コントロールとしてポリプロピレン製容器に純水のみを封入し、同条件で熱処理し得られた溶液の導電率を差し引き、この導電率が3.0μS/cm未満の場合を◎、導電率が3.0μS/cm以上で4.0μS/cm未満の場合を○、導電率が4.0μS/cm以上で6.0μS/cm未満の場合を△、導電率が6.0μS/cm以上の場合を×とした。
上記のようにして作製した架橋ゴムシートを打ち抜き(サンプル)、これを、1.0μS/cm以下の純水とともに、比液率〔封入する純水の量(ml)/サンプルの表面積(cm2 )〕が2.80となるよう、プロピレン製容器に封入し、100℃で168時間熱処理した。これにより得られた抽出溶液の、25℃における導電率を、導電率計(堀場製作所社製、CONDUCTIVITYMETER D−24)を用いて測定した。一方、低抽出性の評価は、コントロールとしてポリプロピレン製容器に純水のみを封入し、同条件で熱処理し得られた溶液の導電率を差し引き、この導電率が3.0μS/cm未満の場合を◎、導電率が3.0μS/cm以上で4.0μS/cm未満の場合を○、導電率が4.0μS/cm以上で6.0μS/cm未満の場合を△、導電率が6.0μS/cm以上の場合を×とした。
これに対して、比較例1品は、実施例品のように疎水性シリカを用いずに、ノーマルシリカを用いているため、低抽出性が悪化していることがわかる。比較例2品は、ノーマルシリカとともにシランカップリング剤を併用していることから、低抽出性の悪化は解消されているものの、伸びや押出し肌に悪影響が出ており、本発明に要求される品質を満たしていないことがわかる。比較例3品は、カーボンブラックの高充填により補強性を確保しているものの、特に電気絶縁性への悪影響が顕著であり、これも、本発明に要求される品質を満たしていないことがわかる。
本発明の燃料電池用ホース材料は、燃料電池車両用ホース材料に限定されるものではなく、例えば、定置式燃料電池用ホース、コンピューター冷却用ホース等に用いることができ、またこれらシステムを構成する部品(パッキン、セパレーター等)等にも用いることが可能である。
Claims (4)
- 下記の(A)〜(D)を必須成分とすることを特徴とする燃料電池用ホース材料。
(A)エチレン−プロピレン系共重合体。
(B)疎水性シリカ。
(C)過酸化物架橋剤。
(D)カーボンブラック。 - 上記(B)の疎水性シリカの配合割合が、(A)のエチレン−プロピレン系共重合体100重量部に対して、10〜150重量部の範囲内である請求項1記載の燃料電池用ホース材料。
- 上記(D)のカーボンブラックの配合割合が、(A)のエチレン−プロピレン系共重合体100重量部に対して、20〜120重量部の範囲内である請求項1または2記載の燃料電池用ホース材料。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池用ホース材料を用い、ホース形状に形成してなることを特徴とする燃料電池用ホース。
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