JP2012167720A - ホース及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟で、キンクに耐えながらも材料使用量が少なく、重量の小さい、薄肉のものにも対応でき、優れた高温物性を有するとともに、優れた生産性を有するホース及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、充填剤30〜70重量部と、架橋助剤4〜8重量部を配合した組成物が、管状に成形され、電子線照射架橋が施されているホース。上記エチレン−プロピレン系のゴムエチレン含有量が60〜80重量%であり、上記充填剤がクレー及びカーボンブラックを有するホース。ポリエチレン系樹脂からなる内層の外周に、上記組成物からなる外層が形成され、電子線照射架橋が施されているホース。上記組成物をサイジング押出によって管状に成形し、電子線照射架橋を施すホースの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、温水機器排水、貯水タンク、その他給水給湯用配管等に好適に使用することが可能なホースに関するものである。
従来、温水機器排水用配管には、主に銅やステンレス等からなる金属管が用いられていたが、金属管は硬く、柔軟性に劣るため、取扱性や施工性が悪いという問題があった。そこで、最近では金属管に代わり、柔軟性に優れた高分子材料を使用したホースが配管部材として用いられるようになってきた。
このようなホースに使用される材料としては、上記のように取扱性や施工性の点より、ゴム弾性を有し柔軟なものが要求されていることから、エチレン−プロピレンゴムが使用されてきている。
尚、本発明に関連する技術として、例えば、当該出願人より特許文献1が出願されている。
特開2009−156357:クラベ
上記のエチレン−プロピレンゴムのようなゴム材料を管状に成形する際には、マンドレルの外周にゴム材料を押出成形し、後工程でマンドレルを引き抜くといった製造方法を用いることが行なわれていたが、これだと長尺のものを得ることが困難であるとともに、生産性が非常に低いものとなってしまう。そのため、マンドレルを使用することなく、エチレン−プロピレンゴムを管状に成形することが考えられるが、従来のエチレン−プロピレンゴムの製造方法では、特に薄肉のものを得ることができなかった。即ち、エチレン−プロピレンゴムは、高温物性を得るために架橋する必要があるのだが、従来は過酸化物等による化学架橋を行っているため、薄肉であると化学架橋時の熱及び外力によって変形が生じ、偏平した形状となってしまうこと、および配管で曲げた時のキンクを防止するため、材料使用量が多く、重量の大きい、厚肉のホースとなっていた。
また、同時に、高温温水の長時間の通水といった苛酷な環境での使用も検討されており、更なる高温物性の向上についても要求されている。
本発明は、このような従来技術の欠点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、柔軟で、キンクに耐えながらも材料使用量が少なく、重量の小さい、薄肉のものにも対応でき、優れた高温物性を有するとともに、優れた生産性を有するホース及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1のホースは、エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、充填剤30〜70重量部と、架橋助剤4〜8重量部を配合した組成物が、管状に成形され、電子線照射架橋が施されていることを特徴とするものである。
ここで、上記組成物におけるエチレン−プロピレン系ゴムのエチレン含有量が、60〜80重量%であることが考えられる。上記組成物における充填剤が、クレー及びカーボンブラックを有していることが考えられる。
また、ポリエチレン系樹脂からなる内層の外周に、上記の組成物からなる外層が形成され、電子線照射架橋が施されていることが考えられる。上記内層と上記外層が共押出成形により成形されていることが考えられる。
また、本発明によるホースの製造方法は、エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、充填剤30〜70重量部と、架橋助剤4〜8重量部を配合した組成物を、サイジング押出によって管状に成形し、電子線照射架橋を施すことを特徴とするものである。
また、本発明による他態様のホースの製造方法は、ポリエチレン系樹脂からなる内層と、エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、充填剤30〜70重量部と、架橋助剤4〜8重量部を配合した組成物からなる外層とを共押出成形にて管状に成形し、電子線照射架橋を施すことを特徴とするものである。
本発明によれば、上記組成物の配合により、柔軟性で且つ優れた高温物性を有するホースを得ることができる。また、化学架橋のように架橋時に熱及び外力がかかることがないので、キンクに耐えながらも材料使用量が少なく、重量の小さい、薄肉のものにも対応することができる。また、マンドレルを使用することがなく、押出成形によって直接成形されることになるので、生産性が大きく向上することになる。
本発明の実施の形態によって得られたホースの構成を示す一部切欠斜視図である。 本発明の他の実施の形態によって得られたホースの構成を示す一部切欠斜視図である。
以下、本発明の実施の形態1に係るホースについて説明をする。実施の形態1において用いられるホースは、ポリエチレン系樹脂を管状に成形し架橋した内層と、該内層ホースに隣接する外周に形成され、エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、充填剤30〜70重量部と、架橋助剤4〜8重量部を配合した組成物からなる外層とから構成されている。
本実施の形態1における内層に使用されるポリエチレン系樹脂としては、例えば、ポリエチレンや各種のエチレン系共重合体が挙げられる。ポリエチレン系樹脂は、従来種々のものが公知である。また、ポリエチレン系樹脂は、元来耐塩素性に優れた性質を有しているため、移送する水に殺菌のための次亜塩素酸が注入されていたとしても、塩素によるホースの劣化を防止することができる。エチレン系共重合体は、エチレンと他のコポリマー成分を共重合させたものであり、ポリエチレン系樹脂に対して、柔軟性に優れていることは良く知られている。エチレン系共重合体に使用されるコモノマー成分としては、例えば、α−オレフィン、酢酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。また、このエチレン系共重合体は、上記コモノマー成分のほかに第3成分としてジエン成分を共重合したものも考えられる。これらの中でも、エチレンとα−オレフィンを共重合させたエチレン−α−オレフィン共重合体は、特に柔軟性に優れた共重合体が得られ、無味無臭であることから移送させる水に味や臭いを移さないため、飲料水用のホースの組成物としても特に好適に使用することができる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1などが挙げられる。本発明における組成物には、これらの中でも、エチレンとオクテン−1が共重合された、エチレン−オクテン共重合体が含有されることが好ましい。このエチレン−オクテン共重合体は、特に柔軟性に優れる材料である。尚、エチレン−α−オレフィン共重合体は各種市販されているので、それらを適宜に選択して使用しても良い。これらポリエチレン系樹脂は、単独で用いても良く、複数を組合せて配合させても良いが、柔軟性、機械的強度、耐塩素性を優れたものとするため、ポリエチレン系樹脂とエチレン系共重合体を適宜配合することが好ましい。
本実施の形態1における外層に使用される組成物は、エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、充填剤30〜70重量部と、架橋助剤4〜8重量部を配合したものからなる。
エチレン−プロピレン系ゴムとしては、エチレンとプロピレンを共重合させたエチレン−プロピレン共重合体や、これに更に種々のジエン成分を共重合させたエチレン−プロピレン−ジエン共重合体が挙げられる。特に、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体を使用することで、内層を構成するポリエチレン系樹脂との良好な接着性が期待できる上に、含有するジエン成分によって架橋効率を高めることができるので、架橋助剤の配合量を必要最低限に抑えることができる。また、エチレン−プロピレン系ゴムにおけるエチレン含量が、60〜80重量%であることが好ましい。60%未満であると、電子線照射による分子鎖の切断が起こりやすくなり、ゴムの強度が低下する恐れが有り、80%を超えると、ゴムが硬くなり、柔軟性が損なわれる恐れがある。特に、エチレン含量が70〜80重量%であれば、柔軟性に優れるため好ましい。
また、エチレン−プロピレン系ゴムを使用することで、以下の点も期待できる。即ち、本発明によるホースは、優れた柔軟性を必要とするものである。ポリエチレン系樹脂を内層に使用した場合、ポリエチレン系樹脂は上記したように耐塩素性に優れるとともに、成形性にも優れているため、ホースの材料として好適なものであるが、柔軟性については十分なものではない。一方、エチレン−プロピレン系ゴムは柔軟性に優れているものであるが、成形性に劣り、管状の成形、特に、薄肉のものを成形することが難しい。本実施の形態1によるホースは、このようなポリエチレン系樹脂とエチレン−プロピレン系ゴムを積層させて成形するため、耐塩素性、成形性、柔軟性に優れたバランスを持つものを得ることができる。
また、外層としてエチレン−プロピレン系ゴムからなる材料を使用するのは、以下の点も期待できるためである。すなわち、ポリエチレン系樹脂は、ゴム弾性が低い材料である為、熱変形を受けた場合、クリープ現象等によって変形を維持してしまう傾向がある。一方、エチレン−プロピレン系ゴムからなる材料は、ゴム弾性に優れた材料であり、クリープ変形を受けにくいことから、内層に使用しているポリエチレン系樹脂が受ける熱変形を吸収、ホースの断面形状を保持することで、冷熱サイクルが加わった際のホース全体のクセ付き、及びキンクを防ぐことができる。
外層を構成する組成物に配合される充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム(クレー)などが挙げられる。充填剤を配合することで、特に引張強度向上等、所望の材料強度に調整することができる。これらの中でも、クレー及びカーボンブラックをともに有していることが好ましく、クレーとしては、表面処理焼成クレーが特に好ましい。表面処理焼成クレーはポリマーに対し非常に分散が良く、特に高温での材料強度補強に効果がある。また、カーボンブラックは耐候性付与の効果があり、特に導電性を有していることで、ポリマーの架橋に必要な電子線のエネルギーを小さくすることができるため、製造コストを下げることができる。
充填剤の配合量は、エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、30〜70重量部である。30重量部未満であると、補強効果が十分に得られず、材料の強度不足となり、70重量部を超えると、硬度が高くなりすぎ、柔軟性が損なわれる。
また、外層を構成する組成物に架橋助剤を配合することで、架橋効率を向上させ、高温物性、特に高温の材料強度を向上させることができる。架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)などのアリル系モノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートの何れかを示す。
架橋助剤の配合量は、エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、4〜8重量部である。4重量部未満であると、高温の材料強度が低下し、8重量部を超えると、ブリードアウトが発生する恐れがある。
また、上記した内層あるいは外層を構成する材料に、他の配合材料を加えて所望の特性を得ることも可能である。例えば、老化防止剤等を適宜に添加することによって、更に耐塩素性を向上させても良い。
本実施の形態1では、上記の構成材料を押出成形等の公知の成形手段で管状に成形することができる。内層と外層の成形は、別個に行っても良いし、共押出成形によって同時に行っても良いが、共押出成形による同時成形を行うことが好ましい。共押出成形を行うことによって、内層と外層の材料が相互に溶融状態で接触するため、それぞれの材料が強固に接着されるからである。
本実施の形態1では、上記のように成形したホースに、架橋を施す必要がある。架橋を施すことによって、耐熱変形性能(高温クリープ性能)を高める必要があるからである。架橋手段としては、例えば、硫黄架橋、過酸化物架橋、シラン架橋、電子線架橋などが挙げられるが、これらの中でも電子線架橋を採用する必要がある。この理由としては、過酸化物架橋やシラン架橋のように架橋剤等の他の材料を配合する必要がなく、自由度の高い材料の選択が可能であるためである。例えば、過酸化物架橋を選択すると、本実施の形態のように、内外層で異なる材料を使用したホースの場合では内外層で架橋温度が著しく異なることになるため、押出成形時に架橋してしまうことよるスコーチの発生が懸念されるとともに、内外層の同時架橋が非常に困難となってしまう。また、電子線架橋であれば、架橋時に加熱する必要がなく、この加熱による形状の変形のおそれがない。更には、電子線架橋は、過酸化物架橋よりも処理速度が速く、シラン架橋と違い連続的な架橋が可能であることから、製造にかかるコストを低く抑えることが可能である。
以下、本発明の実施の形態2に係るホースについて説明をする。実施の形態2において用いられるホースは、エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、充填剤30〜70重量部と、架橋助剤4〜8重量部を配合した組成物からなるものである。
上記組成物を構成する材料については、上記実施の形態1を参照することができる。このような組成物を、管状に成形し、上記実施の形態1を参照して架橋を施すことで、本実施の形態2のホースを得ることができる。
このようにして得られた実施の形態1又は実施の形態2によるホースの外周には、耐圧性を付与する目的や、押圧、磨耗などによる損傷を防止する目的で、補強層を形成しても良い。補強層としては、例えば、樹脂や金属帯を蛇腹状に成形し可撓性を持たせた構造のもの、軟質ステンレス線や硬質ステンレス線などの金属細線を用い、これを編組または横巻きすることにより形成したもの、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等の合成繊維を用い、これを編組または横巻きすることにより形成したもの、高分子材料などを押出成形等の公知の成形手段によって形成したものなどが挙げられる。これらは、一種類を単独で用いても良いし、複数種類を組合せて用いても良い。要は、ホースの使用形態に応じて適宜に形成すれば良い。例えば、ホースの外周にナイロン繊維を編組し、その外周に高分子材料を押出成形によって被覆し、更にその外周に金属帯を蛇腹状に成形したものを形成して補強層とすることも考えられる。
上記の補強層に用いられる高分子材料としては、例えば、オレフィン系樹脂、ナイロン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ナイロン系エラストマー、スチレン系エラストマーなど、特に限定はなく、柔軟性に優れる材料を適宜選定すれば良い。補強層はそのまま露出した状態であっても良いが、その上に更にシースを形成しても良い。シースを形成することにより、ホースの表面にゴミや汚れが付きにくくなるとともに、表面を簡単に清掃することができる。シースの構成材料としては、例えば、ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂及びそれらの熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
このようにして得られたホースの多くは、その両端に相手部材に接続するための接続継手が取り付けられて実使用に供される。接続継手としては、金属や樹脂などにより加工されたものが公知である。
以下、本発明の実施の形態1に対応した実施例1〜12と比較例1〜4を説明する。説明に際しては、適宜図1を参照する。
内層2として、ポリエチレンとエチレン系共重合体の混合物を0.2mmの厚さとし、外層3として、表1〜表3に示す配合を行った配合物を1.05mmの厚さとして、内径12.5mmの管状に共押出成形した後、内層2、外層3同時に吸収線量100kGyの電子線を照射して架橋を施し、試料となるホース1とした。
このようにして得られた各ホース1を試料として、ホース硬さを比較する為に、キンク半径測定及び曲げ応力測定を行い、材料強度を比較する為に高温耐圧試験を行った。試験結果については表1及び表2に併せて示す。
キンク半径測定は、ホースを円状にした状態で円の半径を徐々に小さくしていき、ホースがキンク(座屈)しない最小の半径を測定した。曲げ応力測定は、ホースを半径100mmに曲げたときに加わる応力を測定した。
高温耐圧試験は、JIS−K6330−2(1998)に準拠し、破裂圧力を測定した。尚、試験温度は90℃とした。
Figure 2012167720
Figure 2012167720
Figure 2012167720
実施例1〜12、比較例1〜4のいずれも、製造工程の途中において変形、扁平が発生することが無く、優れた成形性を有していることを確認した。
充填材の添加量について、比較例1のように上限の70重量部を超えると、材料強度は向上するが、材料が硬くなってしまうため、キンク半径及び曲げ応力の値が大きくなってしまうように、ホースとしての柔軟性が失われることがわかった。また、比較例2のように下限の30重量部を下回った場合には、ホースとしての柔軟性を保つことはできるが、高温耐圧の値が小さくなってしまうように、必要な材料強度を得ることができなくなる。架橋助剤の添加量に関して、比較例3のように上限の8重量部を超えても強度や硬度などの材料物性には悪影響を与えないが、比較例3はブリードアウトが発生する可能性があり、また材料コストの観点から、配合量の上限は8重量部が妥当と判断できる。また、比較例4のように下限の4重量部を下回った場合には、高温耐圧の値が小さくなってしまうように、材料強度が低下している。これは、架橋効率が低下していると考えられる。
また、実施例1,6,7と実施例8との比較であるが、エチレン−プロピレン系ゴムにおけるエチレン含量が60〜80重量%の範囲の実施例1,6,7は、柔軟性、材料強度に優れた、成形性の良好なホースを得ることができることがわかった。これに対して実施例8の場合、エチレン−プロピレン系ゴムにおけるエチレン含量が50重量%と、本発明の好ましい範囲に満たないため、実使用上問題のない程度であったが、高温耐圧の値が小さくなっており、実施例1,6,7よりも材料強度が低いことがわかった。また、実施例1と実施例9〜12について、種々の架橋助剤を使用したものであっても、十分な柔軟性及び材料強度を有していることがわかった。また、実施例13は、充填材としてカーボンブラックを含まないものであったため、本実施例の電子線照射では架橋が十分でなく、材料強度が低いものとなってしまった。実施例13について、吸収線量200kGyの電子線を照射した場合は、0.31MPaという高温耐圧の値となり、十分な材料強度が得られたが、電子線のエネルギーが大きくなったことからコストは上昇してしまった。
次いで、本発明の実施の形態2に対応した実施例14〜18、比較例5〜8及び参考例1を説明する。説明に際しては、適宜図2を参照する。
表3及び表4に示す配合を行った配合物を1.25mmの厚さとして、内径12.5mmの管状押出成形した後、100kGyの線量の電子線を照射して架橋を施し、試料となるホース1とした。参考例1に関しては、ホースの寸法を、1.5mmの厚さ、内径12.5mmの管状とした。
このようにして得られた各ホース1を試料として、ホース硬さを比較する為に、キンク半径測定及び曲げ応力測定を行い、材料強度を比較する為に高温耐圧試験を行った。試験結果については表4に併せて示す。
キンク半径測定は、ホースを円状にした状態で円の半径を徐々に小さくしていき、ホースがキンク(座屈)しない最小の半径を測定した。曲げ応力測定は、ホースを半径100mmに曲げたときに加わる応力を測定した。
高温耐圧試験は、JIS−K6330−2(1998)に準拠し、破裂圧力を測定した。尚、試験温度は90℃とした。
Figure 2012167720
実施例14〜18、比較例5〜8のいずれも、製造工程の途中において変形、扁平が発生することが無く、優れた成形性を有していることを確認した。
充填材の添加量について、比較例5のように上限の70重量部を超えると、材料強度は向上するが、材料が硬くなってしまうため、キンク半径及び曲げ応力の値が大きくなってしまうように、ホースとしての柔軟性が失われることがわかった。また、比較例6のように下限の30重量部を下回った場合には、ホースとしての柔軟性を保つことはできるが、高温耐圧の値が小さくなってしまうように、必要な材料強度を得ることができなくなる。架橋助剤の添加量に関して、比較例7のように上限の8重量部を超えても強度や硬度などの材料物性には悪影響を与えないが、比較例7はブリードアウトが発生する可能性があり、また材料コストの観点から、配合量の上限は8重量部が妥当と判断できる。また、比較例8のように下限の4重量部を下回った場合には、高温耐圧の値が小さくなってしまうように、材料強度が低下することが確認された。
また、参考例1について、ホースとしての性能は問題ないのだが、厚肉構造となっていることにより、実施例13と比較すると、単位長さ当りのホース重量が約1.2倍となってしまう。このことは、材料コストの上昇だけでなく、輸送コストの上昇、及び最終製品の重量増につながるため、好ましくない。過酸化物架橋などの加熱を要する架橋を行う場合、この参考例1の肉厚が製造限界に近く、各実施例や比較例のような薄い肉厚のものは、架橋時の加熱によって変形して、製造が非常に困難となる。
以上説明したとおり、本発明によるホースは、柔軟で、キンクに耐えながらも材料使用量が少なく、重量の小さい、薄肉のものにも対応でき、優れた高温物性を有するとともに、優れた生産性で製造することができる。従って、例えば、温水機器排水、貯水タンク、その他給水給湯用配管等に好適に使用することができる。
1 ホース
2 内層
3 外層

Claims (7)

  1. エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、充填剤30〜70重量部と、架橋助剤4〜8重量部を配合した組成物が、管状に成形され、電子線照射架橋が施されていることを特徴とするホース。
  2. 上記組成物におけるエチレン−プロピレン系ゴムのエチレン含有量が、60〜80重量%であることを特徴とする請求項1記載のホース。
  3. 上記組成物における充填剤が、クレー及びカーボンブラックを有していることを特徴とする請求項2記載のホース。
  4. ポリエチレン系樹脂からなる内層の外周に、請求項1〜3何れか記載のホースを構成する組成物からなる外層が形成され、電子線照射架橋が施されていることを特徴とするホース。
  5. 上記内層と上記外層が共押出成形により成形されていることを特徴とする請求項4記載のホース。
  6. エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、充填剤30〜70重量部と、架橋助剤4〜8重量部を配合した組成物を、サイジング押出によって管状に成形し、電子線照射架橋を施すことを特徴とするホースの製造方法。
  7. ポリエチレン系樹脂からなる内層と、エチレン−プロピレン系ゴム100重量部に対し、充填剤30〜70重量部と、架橋助剤4〜8重量部を配合した組成物からなる外層とを共押出成形にて管状に成形し、電子線照射架橋を施すことを特徴とするホースの製造方法。
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