JP2005042638A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 排気センサ(空燃比センサ)の素子割れを回避するためにヒータへの通電を遮断していた状態から、ヒータへの通電及び空燃比フィードバック制御を開始した直後における制御性を改善する。
【解決手段】 低負荷・低回転域でヒータへの通電を停止していた状態から脱した直後の運転領域で、かつ、吸入空気量Qの変化速度ΔQが所定値ΔQ1以下で、かつ、通電開始後の経過時間が所定時間未満であるときには、センサ素子が低温であるものと判断し、排気センサの出力信号を加重平均するときに用いる前回値に対する加重重みを通常よりも軽くする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関の空燃比制御装置に関し、詳しくは、ヒータ付の排気センサにより空燃比を検出して空燃比フィードバック制御信号を出力する空燃比制御装置であって、特に、2輪車等に使用される排気量の小さい機関に好適な空燃比制御装置に関する。
従来から、排気中の酸素濃度に基づいて混合気の空燃比を検出する排気センサに、該センサを活性状態に保持するためのヒータを設け、該ヒータによる加熱で活性状態に保持される排気センサの検出信号に基づいて空燃比フィードバック制御を行う空燃比制御装置が知られている(特許文献1参照)。
特開平09−088688号公報
ところで、2輪車用の内燃機関では、4輪車用の機関に比べて排気量が小さくかつ排気管の熱容量が小さいため、特に、機関のアイドル運転時や低車速走行時などの排気からの受熱量が小さいときに、排気系の温度が大きく変化して凝縮水が発生し易くなる。
このため、アイドル運転時や低車速走行時などにおいては、排気センサの素子が熱衝撃によって割れることがないように、ヒータへの通電及び空燃比フィードバックを停止させる必要が生じる場合がある。
しかし、素子割れを回避すべくヒータへの通電を停止させると、ヒータへの通電を開始して空燃比フィードバック制御を開始させるときに、センサ素子が完暖状態になるまでの間、排気センサの応答特性に対してフィードバックゲインが適合しなくなり、フィードバック制御精度が大きく低下する可能性が生じる。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、2輪車用等の排気量の小さい内燃機関において、ヒータ加熱による排気センサの素子割れを回避しつつ、空燃比フィードバック制御の精度低下を防止できる空燃比制御装置を提供することを目的とする。
そのため請求項1記載の発明では、機関運転条件に基づいてヒータへの通電を制限する一方、排気センサの温度が前記通電制限によって低い状態であるか否かに応じて、排気センサの検出信号の平滑化度合いを設定し、該平滑化度合いに基づき平滑化処理された前記検出信号に基づいて空燃比フィードバック制御信号を演算する構成とした。
かかる構成によると、ヒータへの通電が制限された結果、排気センサの温度が通常時よりも低くなっているときには、排気センサの応答性が低下するので、その分、検出信号の平滑化度合いを変更し、フィードバックゲインの不適合による制御性の低下を抑止する。
従って、ヒータへの通電を再開した直後でセンサ素子の温度が低く、応答性が低下している状態であっても、空燃比フィードバックの制御性が大きく低下することを回避できる。
請求項2記載の発明では、ヒータへの通電が停止されると共に空燃比フィードバック制御が停止される運転条件から脱した直後の所定期間において、前記平滑化度合いを小さくする構成とした。
かかる構成によると、素子割れを防止すべくヒータへの通電を停止し、空燃比フィードバック制御を停止させている状態から、ヒータへの通常通電を行って空燃比フィードバック制御を開始させるときには、定常的な通常通電時に比べて排気センサの温度が低く応答性が低いので、該応答性の低下に対応して平滑化度合いを小さくする。
請求項3記載の発明では、ヒータへの通電が機関負荷,機関回転速度に応じて制限される構成であり、機関負荷,機関回転速度及び機関負荷の変化速度に応じて、前記平滑化度合いを設定する構成とした。
かかる構成によると、ヒータへの通電が機関負荷,機関回転速度に応じて制限されるから、制限領域から脱したことを機関負荷・回転から判断し、また、負荷の変化速度によって排気熱によるセンサ温度上昇を判断して、センサ検出信号の平滑化度合いを設定する。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施形態における2輪車用の単気筒内燃機関のシステム構成図である。
図1において、機関1の吸気管2には、スロットルバルブ3が介装され、該スロットルバルブ3で機関1の吸入空気量が制御される。
前記スロットルバルブ3下流の吸気管2には燃料噴射弁4が設けられ、該燃料噴射弁4から噴射された燃料と、スロットルバルブ3を通過した空気とによって混合気が形成される。
前記混合気は、燃焼室5内で点火プラグ6による火花点火により着火燃焼し、燃焼排気は、途中に触媒コンバータ7が介装される排気管8を介して排出される。
前記燃料噴射弁4は、マイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニット10からの前記噴射パルス信号(空燃比フィードバック制御信号)に応じて開弁駆動され、前記噴射パルス信号のパルス幅によって燃料噴射量が制御される。
前記コントロールユニット10には、各種センサからの検出信号が入力され、該検出信号に基づく演算処理によって前記噴射パルス信号を出力する。
前記各種センサとしては、スロットルバルブ3上流側で吸入空気量を検出するエアフローメータ11,機関1の回転速度を検出する回転センサ12,前記触媒コンバータ7上流側の排気管8内の酸素濃度(特定成分濃度)に基づいて空燃比を検出する排気センサとしての空燃比センサ13、車速を検出する車速センサ14が設けられている。
前記空燃比センサ13には、センサ素子を加熱するヒータ13aが設けられている。
尚、前記空燃比センサ13は、排気中の酸素濃度から空燃比を広域に検出する広域空燃比センサであっても良いし、理論空燃比に対するリッチ・リーンのみを検出するリッチ・リーンセンサであっても良い。
ここで、前記コントロールユニット13は、前記空燃比センサ13で検出される空燃比が目標空燃比に一致するように、前記燃料噴射弁4に出力する噴射パルス信号のパルス幅、即ち、燃料噴射量をフィードバック制御する。
更に、コントロールユニット13は、前記空燃比センサ13に備えられたヒータ13aの印加電圧を制御する。
図2のフローチャートは、前記コントロールユニット10によるヒータ印加電圧の制御、及び、空燃比フィードバック制御を示す。
ステップS1では、機関回転速度Ne,機関吸入空気量Q(機関負荷)などの各種運転条件の読み込みを行う。
ステップS2では、機関回転速度Neが所定値Ne1未満で、かつ、吸入空気量Qが所定値Q1未満である所定の低負荷・低回転領域内で機関が運転されているか否かを判別する。
ここで、機関回転速度Neが所定値Ne1未満で、かつ、吸入空気量Qが所定値Q1未満であると判別されると、ステップS3へ進み、フラグFに1をセットする。
次のステップS4では、前記ヒータ13aに対する通電を遮断し、かつ、空燃比フィードバック制御を停止させる。
機関の低負荷・低回転速度域においては、排気管温度が低温側で大きく変化して凝縮水が発生し、該凝縮水がセンサ素子に当たることで熱衝撃が発生し、センサ素子が割れる可能性がある。
また、低回転・低負荷時(アイドル運転時)には、空燃比を精度良く目標空燃比に一致させる必要性が比較的低い。
従って、低負荷・低回転時には、ヒータ13aへの通電を遮断して、素子割れの発生を未然に防止するようにしてある。
尚、前記ヒータ13aに対する通電を完全に遮断する代わりに、素子割れを回避できる程度の低い電圧を印加させる構成とすることができ、また、完全遮断と低電圧の印加とを、始動後の経過時間などに応じて切り換える構成としても良い。
一方、ステップS2で、機関回転速度Neが所定値Ne1以上、及び/又は、吸入空気量Qが所定値Q1以上であると判別されたときには、ステップS5へ進む。
ステップS5では、ヒータ13aに対する通常の通電制御を行う。
前記通常の通電制御とは、例えば機関負荷・回転速度に応じて予め設定された印加電圧に基づいてヒータ13aへの通電を制御する制御や、空燃比センサ13aの温度(内部抵抗)に基づいて印加電圧をフィードバックする制御、更には、比較的高い一定の電圧を印加する制御である。
次のステップS6では、前記フラグFに1がセットされているか否かを判別する。
前記フラグFに1がセットされているときには、ステップS7へ進む。
ステップS7では、機関回転速度NeがNe1≦Ne<Ne2(Ne1<NE2)で、かつ、機関吸入空気量Qが、Q1≦Q<Q2(Q1<Q2)であるか否かを判別する。
即ち、Ne1≦Ne<Ne2かつQ1≦Q<Q2の領域は、ステップS12に示すように、ヒータ通電及び空燃比フィードバック制御が停止される低負荷・低回転域を囲む領域であり、Ne1≦Ne<Ne2かつQ1≦Q<Q2であると判別されたときには、ヒータ通電が停止される運転領域から脱した直後の領域に該当していることになる。
ステップS7で、Ne1≦Ne<Ne2かつQ1≦Q<Q2であると判別されたときには、ステップS8へ進み、機関吸入空気量Qの変化速度ΔQが所定値ΔQ1を超えているか否か、換言すれば、吸入空気量Qが所定速度以上で増大変化しているか否かを判別する。
ステップS8で吸入空気量Qの変化速度ΔQが所定値ΔQ1以下であると判別されたときには、ステップS9へ進む。
ステップS9では、ヒータ13aへの通電が開始されてからの経過時間が所定時間以上になっているか否かを判別し、所定時間未満であるときには、ステップS10へ進む。
ステップS10では、空燃比センサ13からの出力信号(検出信号)の加重平均処理に用いる加重重み(前回値に対する重み付け)として、空燃比センサ13の素子温度が低温であるときに適合するなまし度合い(平滑度合い)の比較的小さい値を設定する。
ステップS9からステップS10へ進んだ場合には、ヒータ13aへの通電が再開された直後で、排気温度が低い運転領域であり、然も、吸入空気量の変化が小さく前記低排温領域に安定している状態で、かつ、ヒータ13aによる加熱時間も不充分である。
係る条件においては、空燃比センサ13の温度が完暖状態に達していないため、空燃比センサ13の応答性が低下しているものと推定される。
一方、空燃比フィードバック制御のゲインは、センサ素子温度が高く完暖状態になっているときの応答に適合するように設定されているので、センサ応答が低下している低温時に通常にフィードバック制御を行わせると、フィードバック制御性が低下する。
そこで、ステップS10では、空燃比センサ13の出力信号を加重平均するときの前回値に対する重み付けを、応答性の低下を補うように低下させるものである。
一方、ステップS7で、Ne1≦Ne<Ne2かつQ1≦Q<Q2ではないと判別され、ヒータ13aへの通電が停止される領域から、Ne1≦Ne<Ne2かつQ1≦Q<Q2の領域を通過して、更に、排気温度が高い領域に移行している場合には、ステップS11へ進む。
また、ステップS8で吸入空気量Qの変化速度ΔQが所定値ΔQ1を超えていると判別され、排気温度の上昇によるセンサ温度の上昇が見込まれるときにも、ステップS11へ進む。
更に、ステップS9でヒータ通電開始からの経過時間が所定時間以上になっていると判断され、ヒータ加熱によって素子温度が完暖になっていると推定されるときにも、ステップS11へ進む。
ステップS11では、前記フラグFを0にリセットし、次のステップS12では、空燃比センサ13の完暖状態に適合する加重重みを、そのときの吸入空気量Q及び機関回転速度Neに応じて設定する。
ステップS12では、Ne1≦Ne<Ne2かつQ1≦Q<Q2である領域Aに対する加重重みの設定も行うが、ステップS12で設定される加重重みは、ステップS10で設定される加重重みよりも大きく、センサ完暖時にはセンサ信号がより平滑化されるようにしてある。
また、ステップS12では、基本的に高回転・高負荷側ほど平滑化度合いが大きくなるように、加重重みを設定するが、中負荷・中回転速度の共振領域Bは、空燃比フィードバック制御の共振によって空燃比変化が大きくなってしまう領域であり、係る共振領域Bでは、空燃比の振れを抑制すべく、該共振領域Bを囲む中負荷・中回転領域Cよりも加重重みを大きくする。
ステップS10又はステップS12で加重重みを設定すると、ステップS13に進み、空燃比センサ13の出力Vinの加重平均値Voutを、下式に従い前記加重重みを用いて演算する。
Vout(n)=Vout(n-1)×加重重み+Vin×(1−加重重み)
そして、ステップS14では、前記加重平均値Voutに基づいて実際の空燃比を演算して、空燃比フィードバック制御信号を演算する。
上記のように、前記ヒータ13aへの通電が制限される負荷・回転領域から脱した直後において、平滑化度合い(なまし度合い)を小さくすれば、空燃比センサ13の温度が充分に上昇する前のセンサ応答が低い状態で、空燃比フィードバック制御に用いる空燃比の応答が見かけ上は完暖時と大きく異ならないことになり、フィードバックゲインの不適合による制御性の低下を防止できる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
所定の低負荷・低回転速度域でヒータへの通電を停止すると共に、空燃比フィードバック制御を停止することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
かかる構成によると、所定の低負荷・低回転速度域であるために、排気管温度が低温側で大きく変化し、凝縮水が発生する可能性があるときに、ヒータへの通電を停止させることで、熱衝撃による素子割れの発生を防止する。
(ロ)請求項2記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記ヒータへの通電が停止されると共に前記空燃比フィードバック制御が停止される運転条件から脱した後の所定時間内において、前記平滑化度合いを小さくすることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
かかる構成によると、ヒータ加熱によって排気センサが完暖状態になるまでの間、前記平滑化度合いを小さくして、センサの応答性が低い状態での制御性の悪化を抑制する。
(ハ)請求項3記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
前記機関負荷の増大変化速度が速いときに、排気センサが完暖状態であるときに対応する平滑化度合いへの復帰を早めることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
かかる構成によると、機関負荷が速い速度で増大変化する場合には、排気熱によるセンサ温度の上昇が見込まれるので、素子温が低く応答性が低下している状態に適合する平滑化度合いから通常時の平滑化度合いへ、早めに移行させる。
実施形態における内燃機関のシステム構成図。 実施形態におけるヒータ制御及び空燃比フィードバック制御を示すフローチャート。
符号の説明
1…内燃機関、2…吸気管、3…スロットルバルブ、4…燃料噴射弁、5…燃焼室、6…点火プラグ、7…触媒コンバータ、8…排気管、10…コントロールユニット、11…エアフローメータ、12…回転センサ、13…空燃比センサ(排気センサ)、13a…ヒータ、14…車速センサ

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気中の特定成分濃度を検出するヒータ付の排気センサを備え、該排気センサで検出される特定成分濃度に基づいて空燃比フィードバック制御信号を出力する内燃機関の空燃比制御装置において、
    機関運転条件に基づいて前記ヒータへの通電を制限する一方、
    前記排気センサの温度が前記通電制限によって低い状態であるか否かに応じて、前記排気センサの検出信号の平滑化度合いを設定し、該平滑化度合いに基づき平滑化処理された前記検出信号に基づいて空燃比フィードバック制御信号を演算することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記ヒータへの通電が停止されると共に前記空燃比フィードバック制御が停止される運転条件から脱した直後の所定期間において、前記平滑化度合いを小さくすることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記ヒータへの通電が機関負荷,機関回転速度に応じて制限される構成であり、機関負荷,機関回転速度及び機関負荷の変化速度に応じて、前記平滑化度合いを設定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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