JP2005041996A - 粘着テープ - Google Patents

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Midori Tanaka
みどり 田中
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Abstract

【課題】 有機揮発成分によるアウトガスの発生を抑えることができるとともに、カレンダー加工性及びフィルム基材に粘着層を形成する際の加工性がより優れた粘着テープを提供する。
【解決手段】 高溶融張力のオレフィン系樹脂を含有し有機揮発成分を含有しないオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、有機揮発成分を含有しない水系粘着剤組成物によって構成される粘着層を形成してなる。

Description

本発明は、クリーンルームなどで使用され、有機揮発成分によるアウトガスの発生が少ない粘着テープに関する。
粘着テープは、電線やケーブルによる機器配線の結束や、部品の固定のための結合用など、様々な用途に用いられている。
かかる粘着テープを、半導体や液晶などの製造工程で用いられるクリーンルームにおいて使用する場合、粘着テープから発生するガス化成分が問題となることがある。そこで、従来、クリーンルームにおいても使用することができる粘着テープとして、オレフィン系樹脂組成物で構成されるフィルム基材に、溶剤系の粘着剤を使用した粘着層を形成してなる粘着テープが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
フィルム基材を構成するオレフィン系樹脂組成物や、粘着層を構成する組成物中には、添加剤として酸化防止剤や可塑剤などが配合されている。これら酸化防止剤や可塑剤の中にはBHT(ブチルヒドロキシトルエン)やDOP(ジオクチルフタレート)などの揮発性を有するものが存在しているが、上記特許文献1に記載の粘着テープにおいてはこのようなことが具体的に考慮されていない。また、粘着層には溶剤系の粘着剤を使用している。このようなことから、本出願人は、より有機揮発成分の発生を抑えることができる粘着テープを提案している(特願2002−222624)。
特開平11−209705号公報(第3−5頁、第1図)
ところで、特願2002−222624に記載の粘着テープにおいては、フィルム基材としてオレフィン系樹脂組成物が使用されている。オレフィン系樹脂は、粘着テープを焼却廃棄処分するにあたり、燃焼の際に、有害ガスである塩化水素ガスが発生するおそれがないため、フィルム基材として用いられているが、かかるオレフィン系樹脂が使用されたフィルム基材は、カレンダー加工時や粘着層を形成する際の熱乾燥時において、熱により収縮するおそれがある。
本発明の目的は、有機揮発成分によるアウトガスの発生を抑えることができるとともに、カレンダー加工性及びフィルム基材に粘着層を形成する際の加工性がより優れた粘着テープを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、高溶融張力のオレフィン系樹脂を含有し有機揮発成分を含有しないオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、有機揮発成分を含有しない水系粘着剤組成物によって構成される粘着層を形成してなることを特徴とする。
前記オレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材の有機揮発成分は、光や熱などによって空気中で酸素によって高分子化合物が徐々に分解して酸化し、この酸化による変質、老化、腐敗などを防ぐ目的で配合する酸化防止剤(BHT)等である。
また、前記水系粘着剤組成物によって構成される粘着層の有機揮発成分は、可塑剤(DOP、DBP(フタル酸ジブチル))等である。
請求項1に記載の発明によれば、フィルム基材及び粘着層が、BHTなどの揮発性を有する酸化防止剤や、DOP、DBPなどの揮発性を有する可塑剤を使用しておらず、また、水系粘着剤組成物によって粘着層が構成されているので、有機揮発成分によるアウトガスの発生を抑えることができる。
また、フィルム基材を構成するオレフィン系樹脂組成物には、高溶融張力のオレフィン系樹脂が含有されているので、カレンダー加工時やフィルム基材に粘着層を形成する際における熱によるフィルム基材の収縮を抑制することができる。
本発明に係る粘着テープによれば、フィルム基材及び粘着層が、BHTなどの揮発性を有する酸化防止剤や、DOP、DBPなどの揮発性を有する可塑剤を使用しておらず、また、水系粘着剤組成物によって粘着層が構成されているので、有機揮発成分によるアウトガスの発生を抑えることができ、したがって、特にクリーンルームでの使用に最適である。
また、フィルム基材を構成するオレフィン系樹脂組成物には、高溶融張力のオレフィン系樹脂が含有されているので、カレンダー加工時やフィルム基材に粘着層を形成する際における熱によるフィルム基材の収縮を抑制することができる。
以下、本発明に係る粘着テープの実施の形態の一例について説明する。
本例の粘着テープは、フィルム基材に、粘着層を形成してなるものである。以下、フィルム基材を構成する組成物と粘着層を構成する組成物について、それぞれ具体的に説明する。
フィルム基材は、1種又は2種以上のオレフィン系樹脂に、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、滑剤等を配合したオレフィン系樹脂組成物で構成されている。配合量は、オレフィン系樹脂100重量部に対し、難燃剤を30〜150重量部とし、難燃助剤、酸化防止剤、滑剤等は適量とすることが望ましい。かかるオレフィン系樹脂組成物には、有機揮発成分が含有されていない。
前記オレフィン系樹脂としては、1種又は2種以上を配合するが、少なくとも、高溶融張力のオレフィン系樹脂を配合することが必須である。かかる高溶融張力のオレフィン系樹脂としては、例えば、高溶融張力ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、高溶融張力ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
かかる高溶融張力のオレフィン系樹脂以外のオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(PE)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などが好ましい。その場合、樹脂製造時にBHTなど比較的揮発性の高いとされる酸化防止剤を使用しておらず、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や低密度ポリエチレン(LDPE)のように低分子ポリマ分量を極力抑えたものの使用が望まれる。
前記難燃剤としては、無機系の水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどを用いることができる。これらの金属水和物を配合することにより、オレフィン系樹脂組成物が燃焼した場合でも、金属水和物に含まれる結晶水が噴出して消火作用を行うために燃焼し難くなる。
難燃剤の配合量は、前記のようにオレフィン系樹脂100重量部に対し、30〜150重量部とすることが望ましい。その理由は、難燃剤の配合量が30重量部未満では、所望の難燃性を得ることができず、また、難燃剤の配合量が150重量部を超えると、機械的強度が低下して所望の強度を得ることができないからである。
前記酸化防止剤は、光や熱などによって空気中で酸素によって高分子化合物が徐々に分解して酸化し、この酸化による変質、老化、腐敗などを防ぐ目的で合成樹脂などの高分子化合物に添加するものである。そして、本例では、かかる酸化防止剤として、BHT等の揮発性を有する酸化防止剤を使用していない。
また、本例においては、フィルム基材を構成するオレフィン系樹脂組成物に、揮発性を有する物質であるシリコーン化合物を配合していない。
次に前記粘着層の組成物について説明する。
粘着層は、アクリル系、天然ゴム系、スチレン−ブタジエンゴム等の水系粘着剤100重量部に、タッキファイヤエマルジョン等の粘着付与剤を100重量部配合し、その他、軟化剤、酸化防止剤を適量配合する。このような配合からなる粘着剤組成物としては、BHT、DOP、DBP等の有機揮発成分を含有しない水系粘着剤組成物とする。
このような本例の粘着テープによれば、フィルム基材及び粘着層が、BHTなどの揮発性を有する酸化防止剤や、DOP、DBPなどの揮発性を有する可塑剤を使用しておらず、また、水系粘着剤組成物によって粘着層が構成されているので、有機揮発成分によるアウトガスの発生を抑えることができる。
また、フィルム基材を構成するオレフィン系樹脂組成物には、高溶融張力のオレフィン系樹脂が含有されているので、カレンダー加工時やフィルム基材に粘着層を形成する際における熱によるフィルム基材の収縮を抑制することができる。
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
実施例1は、EEA(具体的には日本ユニカー社製 商品名NUCコポリマー)80重量部と高溶融張力ポリプロピレン(高溶融張力PP、具体的にはチッソ社製 商品名ニューストレン)20重量部に対し、水酸化マグネシウム(具体的には協和化学工業社製 商品名キスマ5A)を100重量部、酸化防止剤(具体的にはチバスペシャルティケミカルズ社製 商品名イルガノックス1010)を0.5重量部配合したオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、天然ゴム100重量部に対し、アクリル系ポリマー150重量部、スチレンブタジエン系ポリマー50重量部、タッキファイヤエマルジョン150重量部、軟化剤40重量部、酸化防止剤9重量部を配合して成り有機揮発成分を含有しない水系粘着剤組成物によって構成される粘着層を形成したものである。
実施例2
実施例2は、EEA(具体的には日本ユニカー社製 商品名NUCコポリマー)80重量部と高溶融張力PP(具体的にはチッソ社製 商品名ニューストレン)20重量部に対し、水酸化マグネシウム(具体的には協和化学工業社製 商品名キスマ5A)を150重量部、酸化防止剤(具体的にはチバスペシャルティケミカルズ社製 商品名イルガノックス1010)を0.5重量部配合したオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、天然ゴム100重量部に対し、アクリル系ポリマー150重量部、スチレンブタジエン系ポリマー50重量部、タッキファイヤエマルジョン150重量部、軟化剤40重量部、酸化防止剤9重量部を配合して成り有機揮発成分を含有しない水系粘着剤組成物によって構成される粘着層を形成したものである。
実施例3
実施例3は、EEA(具体的には日本ユニカー社製 商品名NUCコポリマー)80重量部と高溶融張力PP(具体的にはチッソ社製 商品名ニューストレン)20重量部に対し、水酸化マグネシウム(具体的には協和化学工業社製 商品名キスマ5A)を60重量部、酸化防止剤(具体的にはチバスペシャルティケミカルズ社製 商品名イルガノックス1010)を0.5重量部配合したオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、天然ゴム100重量部に対し、アクリル系ポリマー150重量部、スチレンブタジエン系ポリマー50重量部、タッキファイヤエマルジョン150重量部、軟化剤40重量部、酸化防止剤9重量部を配合して成り有機揮発成分を含有しない水系粘着剤組成物によって構成される粘着層を形成したものである。
比較例1
比較例1は、EEA(具体的には日本ユニカー社製 商品名NUCコポリマー)80重量部とLLDPE(具体的には日本ユニカー社製 商品名NUCポリエチレン−LL)20重量部に対し、水酸化マグネシウム(具体的には協和化学工業社製 商品名キスマ5A)を100重量部、酸化防止剤(具体的にはチバスペシャルティケミカルズ社製 商品名イルガノックス1010)を0.5重量部配合したオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、溶剤系粘着剤組成物によって構成される粘着層を形成したものである。
これら実施例1〜3、比較例1の組成に基づくフィルム基材に粘着層を形成して粘着テープを製造した。このように製造した実施例1〜3、比較例1の粘着テープについて、120℃で1時間加熱したときの揮発性有機化合物(アウトガス)の発生量(単位:μg/m)と、120℃で10分加熱したときの加熱収縮率(単位:%)の測定を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2005041996
表1から明らかなように、実施例1のアウトガス量が380μg/m、実施例2のアウトガス量が300μg/m、実施例3のアウトガス量が450μg/mとなっている。これに対し、比較例1のアウトガス量は3500μg/mとなっている。
また、実施例1から実施例3の加熱収縮率は、いずれも1〜0.5%となっているのに対し、比較例1の加熱収縮率は、4〜5%となっている。
以上のように、本発明の実施例として製造された粘着テープは、アウトガスの発生が抑制されているとともに、熱による収縮率が低いことが顕著である。

Claims (1)

  1. 高溶融張力のオレフィン系樹脂を含有し有機揮発成分を含有しないオレフィン系樹脂組成物によって構成されるフィルム基材に、有機揮発成分を含有しない水系粘着剤組成物によって構成される粘着層を形成してなることを特徴とする粘着テープ。
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