JP2005041007A - クリップ及びクリップファイル - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な手法によって書類等に対する保持力を有効に高めることができるようにした新たな構造のクリップを提供する。
【解決手段】ベース2と、このベース2の対向位置に配置される押付手段4とを備え、これらベース2及び押付手段3の間に形成される挟持部に書類P等を差し込んで保持するものであり、挟持部6を、ベース2若しくは押付手段3の一方に設けた凹凸のある係止部2b1と、他方に設けた抵抗の大きい受圧面4b1とを互いに圧接させる部位を有するように構成した。
【選択図】図1
【解決手段】ベース2と、このベース2の対向位置に配置される押付手段4とを備え、これらベース2及び押付手段3の間に形成される挟持部に書類P等を差し込んで保持するものであり、挟持部6を、ベース2若しくは押付手段3の一方に設けた凹凸のある係止部2b1と、他方に設けた抵抗の大きい受圧面4b1とを互いに圧接させる部位を有するように構成した。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、書類等の被挟持物を確実に保持することができるようにしたクリップ及びクリップファイルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、書類等を挟んで保持するものとして、クリップや、このクリップを表紙体に備えたクリップファイルが種々開発されている。そのクリップ構造は、例えば特許文献1に示されるように、ベースと、このベースの対向位置に配置される押さえ片とを備え、これらベース及び押さえ片の間に形成される挟持部に書類等を差し込んで保持するように構成されているのが一般的である。
【0003】
そして、この種のクリップは、ベース及び押さえ片を含む全体が比較的硬質の樹脂素材により一体成形されているのが通例である。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−120480公報(第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の挟持部における書類等に対する保持力は、専ら押さえ片の弾性に依存している。このため、必要十分な保持力を付与するには、押さえ片の弾性を高めなければない。しかしながら、この種の押さえ片を、例えば冷却によってベースに弾接する状態で成形しようとする場合、付与できる弾性に自ずと限界があるため、それ以上の保持力を必要とする場合に実施上困難を来たすこととなる。
【0006】
上記特許文献1では、ベースや押さえ片に突起を設けて局所的に挟持力を高め、これにより保持力を向上させる工夫がなされているが、このようにしてもベースや押さえ片が比較的硬質の樹脂からなる滑り易いものである以上、保持力の向上に多くを期待することは難しい。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、簡単な手法によって書類等に対する保持力を有効に高めることができるようにした新たな構造のクリップ及びクリップファイルを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明のクリップは、ベースと、このベースの対向位置に配置される押付手段とを備え、これらベース及び押付手段の間に形成される挟持部に書類等の被挟持物を差し込んで保持するものである。そして、前記挟持部を、ベース若しくは押付手段の一方に設けた凹凸要素と、他方に設けた抵抗要素とを互いに圧接させる部位を有するものにしたことを特徴とする。
【0010】
このように構成すれば、凹凸要素の凸の部位に圧接力が集中し、この部位が、対向位置に存する抵抗要素に部分的に強く押し付けられる。このため、まんべんなく押付手段を押し付ける場合に比べて挟持力を有効に高めることができる。しかも、書類等が摺動すれば抵抗要素において引きずり抵抗が生ずるので、かかる書類等に対する保持状態をより確実なものにすることが可能となる。
【0011】
抵抗要素は、軟質樹脂から構成しておくことが効果的である。軟質樹脂の一部に凹凸要素の一部が食い込むように密着することによって、静止摩擦係数及び動摩擦係数が効果的に増大されることが期待できるからである。
【0012】
この場合、製造工程の簡素化を図るためには、凹凸要素及び抵抗要素を含めてベース及び押付手段を樹脂により一体成形することが好都合であり、軟質樹脂からなる抵抗要素と、抵抗要素以外の硬質樹脂からなる部位とを二色成形することが好適である。
【0013】
このような軟質樹脂は、必要に応じて凹凸要素の少なくとも圧接部位にも同様に適用することができる。
【0014】
この場合は、凹凸要素及び抵抗要素を含めてベース及び押付手段を樹脂により一体成形する際に、軟質樹脂からなる抵抗要素及び凹凸要素の圧接部位と、それ以外の硬質樹脂からなる部位とを二色成形することが好適である。
【0015】
このような樹脂成形過程を通じて押付手段を適切に構成するためには、当該押付手段を、冷却によって抵抗要素に弾接した状態に成形しておくことが望ましい。
【0016】
抵抗要素は、軟質樹脂以外のものとして、しぼ面からなるものにしておいてもよい。しぼ面の粗さは簡単に調整することができ、また粗さに応じて抵抗値の調整を簡単に行なうことができる点で有利である。
【0017】
凹凸要素の好ましい実施の一態様としては、鋸歯状をなすものが挙げられる。
先端が鋭利なため局所的に押付力を高め易く、また凸部分が連続的に存在するため有効な範囲に亘って押付領域を確保できるからである。
【0018】
勿論、ベース及び押付手段の間に形成される挟持部に書類等の被狭持物を差し込んで保持する構造において、前記挟持部が、ベース及び押付手段の双方に設けた抵抗要素を互いに圧接させる部位を有し、少なくとも何れか一方の抵抗要素が面状をなしているものであってもよい。
【0019】
また、ベース及び押付手段の間に形成される挟持部に書類等の被狭持物を差し込んで保持する構造において、前記挟持部が、ベース若しくは押付手段の一方に軟質樹脂からなる抵抗要素を設けこの抵抗要素を介してそれらベース及び押付手段を互いに圧接させる部位を有するものであるものも有効である。
【0020】
一方、このようなクリップを表紙体の内面に配置してクリップファイルを構成すれば、このクリップファイルを持ち運ぶ場合等に不用意に書類等が脱落する不具合を効果的に低減することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、この実施形態に係るクリップファイルFは、中間に背表紙11を介して連なる表表紙12及び裏表紙13を備えた表紙体1と、裏表紙13の内面13aに装着されたクリップCとから構成されている。
【0023】
クリップCは、図1及び図2に示すように、ベース2と押付手段Oとを対向配置して、その間を連結片5を介して連結したもので、押付手段Oはベース2から離間した位置において対面する支持片3と、この支持片3の一側端縁部3aから折り返すように連続して延び先端をベース2に弾接させた押さえ片4とから構成されており、全体が合成樹脂にて一体成形されている。
【0024】
ベース2は、平面視長方形状をなすもので、前記クリップファイルFの裏表紙13の上下寸法と略同一の長手寸法を有するとともに、支持片3の一側端縁部3aよりもベース2の一側端縁部2aを延伸させることによって幅寸法を支持片3のそれよりも大きくとっている。そして、支持片3に対応するベース本体2bと、前記ベース本体2bの一端側に連続して延伸する延伸部2cとから構成している。
【0025】
ベース本体2bには、幅方向の中央付近より前記延伸部2c側に変位させて、前記幅寸法の約3分の1の領域に亘り、長手方向全域に及ぶ凹凸要素たる係止部2b1をその上面2b2に設けている。この係止部2b1は、凸部2b11の角が鋭角をなす側面視鋸歯状のもので、歯丈寸法の約半分の長さを前記ベース本体2bの上面2b2から突出させている。
【0026】
支持片3は、前記ベース2と同一の長手寸法を有し、幅寸法が前述したとおりベース2に比して幅狭な平面視長方形状をなすものである。
【0027】
そして、支持片3の一側端縁部3aから略30°の角度で下面3b側に屈曲する方向に向けて、当該支持片3に弾性変形可能な押さえ片4を連設している。
【0028】
押さえ片4の先端部4aにおける前記ベース2と対面する部位4a1には、軟質樹脂たるエラストマー樹脂にて成形された受圧部4bが設けられており、この受圧部4bの表層部分が抵抗要素たる受圧面4b1をなしている。
【0029】
連結片5は、ベース2の他側端縁部2dと支持片3の他側端縁部3cとの間を長手方向全域に亘って連結するように設けられている。
【0030】
このクリップCは、全体が樹脂により一体成形されるものであるが、樹脂成型後に積極的に一部を冷却することによって支持片3の一側端縁部3aをベース2側に近接させ、これにより受圧面4b1を前記係止部2b1の略中央部における凸部2b11に弾接させた状態を実現している。本実施形態において、受圧部4b以外の部位は、エラストマー樹脂からなる受圧部4bに比べて相対的に硬質の樹脂から構成されており、これら受圧部4bと、受圧部4b以外の部位とは二色成形されている。
【0031】
図3は本実施形態のクリップCに書類を差し込んだ状態を示すものであり、図4(a)、(b)は本実施形態の作用を説明するためのものであって、図4(a)は図2におけるI部の拡大図、図4(b)は図3におけるII部の拡大図である。このように構成されたクリップCには、前記ベース2と押さえ片4との間に書類Pを挟んで保持する狭持部6が形成され、この狭持部6は、具体的には前記係止部2b1と、前記受圧部4bとから構成されている。書類Pを挿入する前の状態の狭持部6を初期状態Xとし、挿入された書類Pを保持する狭持部6の状態を保持状態Yとする。この挟持部6に書類Pを挿入していない状態では、係止部2b1の凸部2b11は受圧面4b1に食い込むように密着している。狭持部6に書類Pを挿入する際には、延伸部2cの上面2c1をガイド面2c2とし、このガイド面2c2に沿って挿脱方向Zに書類Pをスライドさせ、必要に応じて挟持部6を指等により押し開く操作を加えながら、当該挟持部6に挿入する。そして、書類Pを挿入した際の狭持部6は、支持片3の他側端縁部3cを支点に前記押さえ片4が支持片3もろとも反発力を蓄積しながら上方へ弾性変位するとともに、係止部2b1の凸部2b11が書類Pを介して受圧面4b1に食い込む方向に作用する結果、書類Pが凸部2b11に沿って変形した状態で受圧面4b1との間に狭持された状態となる。以上により、狭持部6が、抜け落ちることのないように書類Pを保持し、保持状態Yが得られる。また、挿入された書類Pを引き抜く際には、書類Pを手で把持して挿脱方向Zにスライドさせることによって引き抜くことができる。押さえ片4は、このとき支持片3とともに当該支持片3の他側端縁部3cを支点に下方へ移動し、初期状態Xまで弾性復帰する。以上の動作を通じて、本実施形態のクリップCは、狭持部6において書類Pの挿脱移動を繰り返し行うことが可能となる。
【0032】
以上のように、本実施形態のクリップCは、ベース2と、このベース2の対向位置に配置される押付手段Oとを備え、これらベース2及び押付手段Oの間に形成される挟持部6に書類Pを差し込んで保持するものである。そして、前記挟持部6を、ベース2若しくは押さえ片4の一方に設けた凹凸のある係止部2b1と、他方に設けた抵抗の大きい受圧面4b1とを互いに圧接させる部位を有するものにしたものである。
【0033】
このため、係止部2b1の凸部2b11に圧接力が集中し、この凸部2b11が、対向位置に存する受圧面4b1に部分的に強く押し付けられて、当該受圧面4b1との間に高い挟持力を発揮することとなり、受圧面4b1において書類Pがスライドする際に有効な引きずり抵抗が生ずることも相俟って、かかる書類Pに対する保持状態を従来に比べてより確実なものにすることが可能となる。
【0034】
特に、受圧面4b1をエラストマー樹脂によって構成しており、受圧面4b1に係止部2b1の一部を食い込ませて密着させることができるので、静止摩擦係数及び動摩擦係数を確実に大きくして、書類Pに対する保持力を的確に高めることができる。
【0035】
この場合、エラストマー樹脂からなる受圧部4bと、受圧部4b以外の硬質樹脂からなる部位とを二色成形しているため、係止部2b1及び受圧部4bを含めてベース2及び支持片3に対する製造工程の簡素化を図ることが可能になる。
【0036】
その際、本実施形態は、冷却によって押さえ片4を係止部2b1に弾接した状態を実現しているが、上記のように凹凸要素たる係止部2b1及び抵抗要素たる受圧面4b1によって保持力を効果的に助勢しているため、冷却のみに頼る場合に比べてより保持力の高いクリップCを実現することができる。
【0037】
さらに、本実施形態では、係止部2b1を鋸歯状としており、凸部2b11が鋭利なため局所的に押付力を高め易く、また凸部2b11が連続的に存在するので、押付領域を必要な範囲に亘って有効に確保することができる。
【0038】
そして、このようなクリップCを表紙体1の裏表紙13の内面13aに配置してクリップファイルFを構成しているため、このクリップファイルFを持ち運ぶ場合等に不用意に書類等が脱落する不具合を効果的に低減することができ、取り扱いの便を従来に比べて確実に向上させることが可能となる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。
【0040】
例えば、上記実施形態では、凹凸要素たる係止部21bをベース2側に形成し、抵抗要素たる受圧面4b1を押さえ片4側に形成したが、図5に示すように、凹凸要素たる係止部102b1を押さえ片4側に形成し、抵抗要素たる受圧面104bをベース2側に形成しても構わない。このような構成であっても、上述した実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0041】
また、図4(a)における係止部2b1の表層部や、図5における係止部102b1の表層部をもエラストマー樹脂等からなる抵抗要素で構成することもできる。この場合は、上述した実施形態に準じて、受圧面104b及び係止部102b1をエラストマー樹脂で形成し、それ以外の部位を硬質樹脂にて二色成形することが好適となる。
【0042】
さらに、図6に示すように、抵抗要素たる受圧面204b1をしぼ面によって構成することもできる。このような構成であっても、引きずり抵抗を有効に付与することができ、しかもしぼ面の粗さは簡単に調整することができるので、抵抗値の調整を簡単に行なうことが可能となる。
【0043】
また、係止部を構成する鋸歯状の各々の幅寸法及び歯丈寸法を大きくしても構わない。
【0044】
このような場合には、上述した実施形態よりも係止部の凸部の突出が大きくなり、さらに、鋸歯形状の各々の凹凸が大きくなることで、受圧面への食い込みが大きくなる。そのため、書類を保持する際の保持力も上昇することにより、さらに安定した保持状態を保つことが可能になる。
【0045】
さらにまた、図7に示すように、ベース2及び押付手段Oの間に形成される挟持部6に書類等の被狭持物を差し込んで保持する構造において、前記挟持部6が、ベース2及び押付手段Oの双方に設けた面状をなす抵抗要素T1、T2を互いに圧接させる部位を有するものであってもよい。同図に示すものは、押さえ片の一部に二色成型によって軟質樹脂からなる抵抗要素T1を設け、前記押さえ片4の対向位置においてベース2の一部に二色成型によって軟質樹脂からなる抵抗要素T2を設けているものである。このように、必ずしも凹凸を設けない場合であっても、軟質樹脂の静止摩擦係数や動摩擦係数に起因した引きずり抵抗を紙葉類の両面に作用させることによっても、紙葉類を確実に保持することが可能である。勿論、抵抗要素T1、T2の一方或いは双方を鋸歯状その他の凹凸形状にすることを妨げるものではない。
【0046】
或いは、前記挟持部6は、抵抗要素T1、T2の何れか一方のみを採用し、採用しない方を硬質樹脂で構成しておく変形例も有効である。少なくとも採用した抵抗要素によって紙葉類に対する保持力を確実に高めることができ、しかも抜き差しの際には硬質樹脂による滑動性も期待できるからである。
【0047】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0048】
【発明の効果】
本発明のクリップは、以上説明した構成であるから、押付手段の押し付け力が作用する部位を、凹凸要素と抵抗要素による圧接構造あるいは一対の抵抗要素による圧接構造から構成することによって、従来に比べて書類等に対する保持力を確実に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るクリップを適用したクリップファイルの一部を示す斜視図。
【図2】同クリップの初期状態を示す側面図。
【図3】同クリップの保持状態を示す側面図。
【図4】同実施形態の作用説明図。
【図5】本発明の変形例を示す図。
【図6】本発明の他の変形例を示す図。
【図7】本発明の更に他の変形例を示す図。
【符号の説明】
1・・・表紙体
2・・・ベース
2b1・・・凹凸要素(係止部)
2b11・・・凸部
3・・・支持片
4・・・押さえ片
4b1・・・抵抗要素(受圧面)
6・・・狭持部
13a・・・内面
C・・・クリップ
F・・・クリップファイル
O…押付手段
P・・・書類
【発明の属する技術分野】
本発明は、書類等の被挟持物を確実に保持することができるようにしたクリップ及びクリップファイルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、書類等を挟んで保持するものとして、クリップや、このクリップを表紙体に備えたクリップファイルが種々開発されている。そのクリップ構造は、例えば特許文献1に示されるように、ベースと、このベースの対向位置に配置される押さえ片とを備え、これらベース及び押さえ片の間に形成される挟持部に書類等を差し込んで保持するように構成されているのが一般的である。
【0003】
そして、この種のクリップは、ベース及び押さえ片を含む全体が比較的硬質の樹脂素材により一体成形されているのが通例である。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−120480公報(第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の挟持部における書類等に対する保持力は、専ら押さえ片の弾性に依存している。このため、必要十分な保持力を付与するには、押さえ片の弾性を高めなければない。しかしながら、この種の押さえ片を、例えば冷却によってベースに弾接する状態で成形しようとする場合、付与できる弾性に自ずと限界があるため、それ以上の保持力を必要とする場合に実施上困難を来たすこととなる。
【0006】
上記特許文献1では、ベースや押さえ片に突起を設けて局所的に挟持力を高め、これにより保持力を向上させる工夫がなされているが、このようにしてもベースや押さえ片が比較的硬質の樹脂からなる滑り易いものである以上、保持力の向上に多くを期待することは難しい。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、簡単な手法によって書類等に対する保持力を有効に高めることができるようにした新たな構造のクリップ及びクリップファイルを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明のクリップは、ベースと、このベースの対向位置に配置される押付手段とを備え、これらベース及び押付手段の間に形成される挟持部に書類等の被挟持物を差し込んで保持するものである。そして、前記挟持部を、ベース若しくは押付手段の一方に設けた凹凸要素と、他方に設けた抵抗要素とを互いに圧接させる部位を有するものにしたことを特徴とする。
【0010】
このように構成すれば、凹凸要素の凸の部位に圧接力が集中し、この部位が、対向位置に存する抵抗要素に部分的に強く押し付けられる。このため、まんべんなく押付手段を押し付ける場合に比べて挟持力を有効に高めることができる。しかも、書類等が摺動すれば抵抗要素において引きずり抵抗が生ずるので、かかる書類等に対する保持状態をより確実なものにすることが可能となる。
【0011】
抵抗要素は、軟質樹脂から構成しておくことが効果的である。軟質樹脂の一部に凹凸要素の一部が食い込むように密着することによって、静止摩擦係数及び動摩擦係数が効果的に増大されることが期待できるからである。
【0012】
この場合、製造工程の簡素化を図るためには、凹凸要素及び抵抗要素を含めてベース及び押付手段を樹脂により一体成形することが好都合であり、軟質樹脂からなる抵抗要素と、抵抗要素以外の硬質樹脂からなる部位とを二色成形することが好適である。
【0013】
このような軟質樹脂は、必要に応じて凹凸要素の少なくとも圧接部位にも同様に適用することができる。
【0014】
この場合は、凹凸要素及び抵抗要素を含めてベース及び押付手段を樹脂により一体成形する際に、軟質樹脂からなる抵抗要素及び凹凸要素の圧接部位と、それ以外の硬質樹脂からなる部位とを二色成形することが好適である。
【0015】
このような樹脂成形過程を通じて押付手段を適切に構成するためには、当該押付手段を、冷却によって抵抗要素に弾接した状態に成形しておくことが望ましい。
【0016】
抵抗要素は、軟質樹脂以外のものとして、しぼ面からなるものにしておいてもよい。しぼ面の粗さは簡単に調整することができ、また粗さに応じて抵抗値の調整を簡単に行なうことができる点で有利である。
【0017】
凹凸要素の好ましい実施の一態様としては、鋸歯状をなすものが挙げられる。
先端が鋭利なため局所的に押付力を高め易く、また凸部分が連続的に存在するため有効な範囲に亘って押付領域を確保できるからである。
【0018】
勿論、ベース及び押付手段の間に形成される挟持部に書類等の被狭持物を差し込んで保持する構造において、前記挟持部が、ベース及び押付手段の双方に設けた抵抗要素を互いに圧接させる部位を有し、少なくとも何れか一方の抵抗要素が面状をなしているものであってもよい。
【0019】
また、ベース及び押付手段の間に形成される挟持部に書類等の被狭持物を差し込んで保持する構造において、前記挟持部が、ベース若しくは押付手段の一方に軟質樹脂からなる抵抗要素を設けこの抵抗要素を介してそれらベース及び押付手段を互いに圧接させる部位を有するものであるものも有効である。
【0020】
一方、このようなクリップを表紙体の内面に配置してクリップファイルを構成すれば、このクリップファイルを持ち運ぶ場合等に不用意に書類等が脱落する不具合を効果的に低減することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、この実施形態に係るクリップファイルFは、中間に背表紙11を介して連なる表表紙12及び裏表紙13を備えた表紙体1と、裏表紙13の内面13aに装着されたクリップCとから構成されている。
【0023】
クリップCは、図1及び図2に示すように、ベース2と押付手段Oとを対向配置して、その間を連結片5を介して連結したもので、押付手段Oはベース2から離間した位置において対面する支持片3と、この支持片3の一側端縁部3aから折り返すように連続して延び先端をベース2に弾接させた押さえ片4とから構成されており、全体が合成樹脂にて一体成形されている。
【0024】
ベース2は、平面視長方形状をなすもので、前記クリップファイルFの裏表紙13の上下寸法と略同一の長手寸法を有するとともに、支持片3の一側端縁部3aよりもベース2の一側端縁部2aを延伸させることによって幅寸法を支持片3のそれよりも大きくとっている。そして、支持片3に対応するベース本体2bと、前記ベース本体2bの一端側に連続して延伸する延伸部2cとから構成している。
【0025】
ベース本体2bには、幅方向の中央付近より前記延伸部2c側に変位させて、前記幅寸法の約3分の1の領域に亘り、長手方向全域に及ぶ凹凸要素たる係止部2b1をその上面2b2に設けている。この係止部2b1は、凸部2b11の角が鋭角をなす側面視鋸歯状のもので、歯丈寸法の約半分の長さを前記ベース本体2bの上面2b2から突出させている。
【0026】
支持片3は、前記ベース2と同一の長手寸法を有し、幅寸法が前述したとおりベース2に比して幅狭な平面視長方形状をなすものである。
【0027】
そして、支持片3の一側端縁部3aから略30°の角度で下面3b側に屈曲する方向に向けて、当該支持片3に弾性変形可能な押さえ片4を連設している。
【0028】
押さえ片4の先端部4aにおける前記ベース2と対面する部位4a1には、軟質樹脂たるエラストマー樹脂にて成形された受圧部4bが設けられており、この受圧部4bの表層部分が抵抗要素たる受圧面4b1をなしている。
【0029】
連結片5は、ベース2の他側端縁部2dと支持片3の他側端縁部3cとの間を長手方向全域に亘って連結するように設けられている。
【0030】
このクリップCは、全体が樹脂により一体成形されるものであるが、樹脂成型後に積極的に一部を冷却することによって支持片3の一側端縁部3aをベース2側に近接させ、これにより受圧面4b1を前記係止部2b1の略中央部における凸部2b11に弾接させた状態を実現している。本実施形態において、受圧部4b以外の部位は、エラストマー樹脂からなる受圧部4bに比べて相対的に硬質の樹脂から構成されており、これら受圧部4bと、受圧部4b以外の部位とは二色成形されている。
【0031】
図3は本実施形態のクリップCに書類を差し込んだ状態を示すものであり、図4(a)、(b)は本実施形態の作用を説明するためのものであって、図4(a)は図2におけるI部の拡大図、図4(b)は図3におけるII部の拡大図である。このように構成されたクリップCには、前記ベース2と押さえ片4との間に書類Pを挟んで保持する狭持部6が形成され、この狭持部6は、具体的には前記係止部2b1と、前記受圧部4bとから構成されている。書類Pを挿入する前の状態の狭持部6を初期状態Xとし、挿入された書類Pを保持する狭持部6の状態を保持状態Yとする。この挟持部6に書類Pを挿入していない状態では、係止部2b1の凸部2b11は受圧面4b1に食い込むように密着している。狭持部6に書類Pを挿入する際には、延伸部2cの上面2c1をガイド面2c2とし、このガイド面2c2に沿って挿脱方向Zに書類Pをスライドさせ、必要に応じて挟持部6を指等により押し開く操作を加えながら、当該挟持部6に挿入する。そして、書類Pを挿入した際の狭持部6は、支持片3の他側端縁部3cを支点に前記押さえ片4が支持片3もろとも反発力を蓄積しながら上方へ弾性変位するとともに、係止部2b1の凸部2b11が書類Pを介して受圧面4b1に食い込む方向に作用する結果、書類Pが凸部2b11に沿って変形した状態で受圧面4b1との間に狭持された状態となる。以上により、狭持部6が、抜け落ちることのないように書類Pを保持し、保持状態Yが得られる。また、挿入された書類Pを引き抜く際には、書類Pを手で把持して挿脱方向Zにスライドさせることによって引き抜くことができる。押さえ片4は、このとき支持片3とともに当該支持片3の他側端縁部3cを支点に下方へ移動し、初期状態Xまで弾性復帰する。以上の動作を通じて、本実施形態のクリップCは、狭持部6において書類Pの挿脱移動を繰り返し行うことが可能となる。
【0032】
以上のように、本実施形態のクリップCは、ベース2と、このベース2の対向位置に配置される押付手段Oとを備え、これらベース2及び押付手段Oの間に形成される挟持部6に書類Pを差し込んで保持するものである。そして、前記挟持部6を、ベース2若しくは押さえ片4の一方に設けた凹凸のある係止部2b1と、他方に設けた抵抗の大きい受圧面4b1とを互いに圧接させる部位を有するものにしたものである。
【0033】
このため、係止部2b1の凸部2b11に圧接力が集中し、この凸部2b11が、対向位置に存する受圧面4b1に部分的に強く押し付けられて、当該受圧面4b1との間に高い挟持力を発揮することとなり、受圧面4b1において書類Pがスライドする際に有効な引きずり抵抗が生ずることも相俟って、かかる書類Pに対する保持状態を従来に比べてより確実なものにすることが可能となる。
【0034】
特に、受圧面4b1をエラストマー樹脂によって構成しており、受圧面4b1に係止部2b1の一部を食い込ませて密着させることができるので、静止摩擦係数及び動摩擦係数を確実に大きくして、書類Pに対する保持力を的確に高めることができる。
【0035】
この場合、エラストマー樹脂からなる受圧部4bと、受圧部4b以外の硬質樹脂からなる部位とを二色成形しているため、係止部2b1及び受圧部4bを含めてベース2及び支持片3に対する製造工程の簡素化を図ることが可能になる。
【0036】
その際、本実施形態は、冷却によって押さえ片4を係止部2b1に弾接した状態を実現しているが、上記のように凹凸要素たる係止部2b1及び抵抗要素たる受圧面4b1によって保持力を効果的に助勢しているため、冷却のみに頼る場合に比べてより保持力の高いクリップCを実現することができる。
【0037】
さらに、本実施形態では、係止部2b1を鋸歯状としており、凸部2b11が鋭利なため局所的に押付力を高め易く、また凸部2b11が連続的に存在するので、押付領域を必要な範囲に亘って有効に確保することができる。
【0038】
そして、このようなクリップCを表紙体1の裏表紙13の内面13aに配置してクリップファイルFを構成しているため、このクリップファイルFを持ち運ぶ場合等に不用意に書類等が脱落する不具合を効果的に低減することができ、取り扱いの便を従来に比べて確実に向上させることが可能となる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。
【0040】
例えば、上記実施形態では、凹凸要素たる係止部21bをベース2側に形成し、抵抗要素たる受圧面4b1を押さえ片4側に形成したが、図5に示すように、凹凸要素たる係止部102b1を押さえ片4側に形成し、抵抗要素たる受圧面104bをベース2側に形成しても構わない。このような構成であっても、上述した実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0041】
また、図4(a)における係止部2b1の表層部や、図5における係止部102b1の表層部をもエラストマー樹脂等からなる抵抗要素で構成することもできる。この場合は、上述した実施形態に準じて、受圧面104b及び係止部102b1をエラストマー樹脂で形成し、それ以外の部位を硬質樹脂にて二色成形することが好適となる。
【0042】
さらに、図6に示すように、抵抗要素たる受圧面204b1をしぼ面によって構成することもできる。このような構成であっても、引きずり抵抗を有効に付与することができ、しかもしぼ面の粗さは簡単に調整することができるので、抵抗値の調整を簡単に行なうことが可能となる。
【0043】
また、係止部を構成する鋸歯状の各々の幅寸法及び歯丈寸法を大きくしても構わない。
【0044】
このような場合には、上述した実施形態よりも係止部の凸部の突出が大きくなり、さらに、鋸歯形状の各々の凹凸が大きくなることで、受圧面への食い込みが大きくなる。そのため、書類を保持する際の保持力も上昇することにより、さらに安定した保持状態を保つことが可能になる。
【0045】
さらにまた、図7に示すように、ベース2及び押付手段Oの間に形成される挟持部6に書類等の被狭持物を差し込んで保持する構造において、前記挟持部6が、ベース2及び押付手段Oの双方に設けた面状をなす抵抗要素T1、T2を互いに圧接させる部位を有するものであってもよい。同図に示すものは、押さえ片の一部に二色成型によって軟質樹脂からなる抵抗要素T1を設け、前記押さえ片4の対向位置においてベース2の一部に二色成型によって軟質樹脂からなる抵抗要素T2を設けているものである。このように、必ずしも凹凸を設けない場合であっても、軟質樹脂の静止摩擦係数や動摩擦係数に起因した引きずり抵抗を紙葉類の両面に作用させることによっても、紙葉類を確実に保持することが可能である。勿論、抵抗要素T1、T2の一方或いは双方を鋸歯状その他の凹凸形状にすることを妨げるものではない。
【0046】
或いは、前記挟持部6は、抵抗要素T1、T2の何れか一方のみを採用し、採用しない方を硬質樹脂で構成しておく変形例も有効である。少なくとも採用した抵抗要素によって紙葉類に対する保持力を確実に高めることができ、しかも抜き差しの際には硬質樹脂による滑動性も期待できるからである。
【0047】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0048】
【発明の効果】
本発明のクリップは、以上説明した構成であるから、押付手段の押し付け力が作用する部位を、凹凸要素と抵抗要素による圧接構造あるいは一対の抵抗要素による圧接構造から構成することによって、従来に比べて書類等に対する保持力を確実に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るクリップを適用したクリップファイルの一部を示す斜視図。
【図2】同クリップの初期状態を示す側面図。
【図3】同クリップの保持状態を示す側面図。
【図4】同実施形態の作用説明図。
【図5】本発明の変形例を示す図。
【図6】本発明の他の変形例を示す図。
【図7】本発明の更に他の変形例を示す図。
【符号の説明】
1・・・表紙体
2・・・ベース
2b1・・・凹凸要素(係止部)
2b11・・・凸部
3・・・支持片
4・・・押さえ片
4b1・・・抵抗要素(受圧面)
6・・・狭持部
13a・・・内面
C・・・クリップ
F・・・クリップファイル
O…押付手段
P・・・書類
Claims (11)
- ベースと、このベースの対向位置に配置される押付手段とを備え、これらベース及び押付手段の間に形成される挟持部に書類等の被狭持物を差し込んで保持するものであって、
前記挟持部が、ベース若しくは押付手段の一方に設けた凹凸要素と、他方に設けた抵抗要素とを互いに圧接させる部位を有することを特徴とするクリップ。 - 抵抗要素が軟質樹脂からなる請求項1記載のクリップ。
- 凹凸要素の少なくとも圧接部位が同じく軟質樹脂からなる請求項2記載のクリップ。
- 凹凸要素及び抵抗要素を含めてベース及び押付手段が樹脂により一体成形されるものであって、軟質樹脂からなる抵抗要素と、抵抗要素以外の硬質樹脂からなる部位とが二色成形されている請求項2記載のクリップ。
- 凹凸要素及び抵抗要素を含めてベース及び押付手段が樹脂により一体成形されるものであって、軟質樹脂からなる抵抗要素及び凹凸要素の圧接部位と、それ以外の硬質樹脂からなる部位とが二色成形されている請求項3記載のクリップ。
- 押付手段が、冷却によって抵抗要素に弾接した状態で成形されている請求項4又は5記載のクリップ。
- 抵抗要素がしぼ面からなる請求項1記載のクリップ。
- 凹凸要素が鋸歯状のものである請求項1〜7記載のクリップ。
- ベースと、このベースの対向位置に配置される押付手段とを備え、これらベース及び押付手段の間に形成される挟持部に書類等の被狭持物を差し込んで保持するものであって、
前記挟持部が、ベース及び押付手段の双方に設けた抵抗要素を互いに圧接させる部位を有し、少なくとも何れか一方の抵抗要素が面状をなしていることを特徴とするクリップ。 - ベースと、このベースの対向位置に配置される押付手段とを備え、これらベース及び押付手段の間に形成される挟持部に書類等の被狭持物を差し込んで保持するものであって、
前記挟持部が、ベース若しくは押付手段の一方に軟質樹脂からなる抵抗要素を設けこの抵抗要素を介してそれらベース及び押付手段を互いに圧接させる部位を有することを特徴とするクリップ。 - 請求項1〜10記載のクリップを表紙体の内面に配置して構成されることを特徴とするクリップファイル。
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JP2003200598A JP2005041007A (ja) | 2003-07-23 | 2003-07-23 | クリップ及びクリップファイル |
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JP2003200598A JP2005041007A (ja) | 2003-07-23 | 2003-07-23 | クリップ及びクリップファイル |
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ID=34260958
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010137479A (ja) * | 2008-12-12 | 2010-06-24 | Mitsuhiko Yamaka | クリップボード |
JP2011224816A (ja) * | 2010-04-16 | 2011-11-10 | Yazaki Corp | クリップ |
CN104608522A (zh) * | 2014-11-03 | 2015-05-13 | 马洪斌 | 一种纸张夹纸器 |
EP3734085A1 (de) * | 2019-05-02 | 2020-11-04 | Supair-Tel AG | Beduftungsvorrichtung und spreizklemme für eine beduftungsvorrichtung |
-
2003
- 2003-07-23 JP JP2003200598A patent/JP2005041007A/ja active Pending
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