JP2005039013A - 多孔質金属化合物薄膜の成膜方法及び有機色素増感型太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上に、金属又は金属化合物からなる第1成分と、上記第1成分とは異なる金属化合物からなる第2成分とが互いに混合分散してなり、上記第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を成膜し、次いで上記混合薄膜中の第1成分を選択的に除去することを特徴とする多孔質金属化合物薄膜の成膜方法、及びこの方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池。
【効果】本発明によれば、透明電極が形成された基板上に多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極用の多孔質金属化合物薄膜として好適な多孔質金属化合物薄膜を成膜することができ、またこの方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池は、優れた光電変換効率を示すものである。
【選択図】 なし
【効果】本発明によれば、透明電極が形成された基板上に多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極用の多孔質金属化合物薄膜として好適な多孔質金属化合物薄膜を成膜することができ、またこの方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池は、優れた光電変換効率を示すものである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質金属化合物薄膜の成膜方法、特に、透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極の多孔質金属化合物薄膜を成膜する方法、及びこの方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属酸化物等の金属化合物の多孔質薄膜は、その比表面積の大きさから、単位容積当たりに多くの活性点(作用点)が分散されていることが求められる部材に好適である。そのため、限られた容積に多くの活性点(作用点)を必要とする電極や触媒等の部材に適用され、例えば、太陽電池の電極などに用いられている。
【0003】
太陽電池は、光電変換材料として、結晶性シリコン、アモルファスシリコンを用いたものが主流である。しかしながら、このような結晶性シリコン等を構成するには多大なエネルギーを要し、従ってシリコンの利用は、太陽光を利用する省エネルギー電池である太陽電池の本来の目的とは相反するものとなっている。また、多大なエネルギーを使用する結果として、光電変換材料としてシリコンを用いる太陽電池は高価なものとならざるを得ない。
【0004】
光電変換材料は、電極間の電気化学反応を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する材料である。例えば、光電変換材料に光を照射すると、一方の電極側で電子が発生し、対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中をイオンとして移動して一方の電極に戻る。即ち、光電変換材料は、光電エネルギーを電気エネルギーとして連続して取り出せる材料であり、このため太陽電池に利用される。
【0005】
光電変換材料として、シリコンを用いず、有機色素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池が知られている。Nature,268(1976),p.402(非特許文献1)に、酸化亜鉛粉末を圧縮成形し、1300℃で1時間焼結して形成した焼結体ディスク表面に有機色素としてローズベンガルを吸着させた金属酸化物半導体電極を用いた太陽電池が提案されている。この太陽電池の電流/電圧曲線において、0.2Vの起電圧時の電流値は約25μA程度と非常に低く、その実用化はほとんど不可能と考えられるものであった。しかしながら、前記シリコンを用いる太陽電池は異なり、使用される酸化物半導体及び有機色素はいずれも大量生産されており、かつ比較的安価なものであることから、材料の点から見ると、この太陽電池は非常に有利であることは明らかである。
【0006】
光電変換材料として、前記のように有機色素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池としては、前記のもの以外に、例えば、特開平1−220380号公報(特許文献1)に記載の、酸化物半導体の表面に遷移金属錯体などの分光増感色素層を有するもの、また、特表平5−504023号公報(特許文献2)に記載の、金属イオンでドープした酸化チタン半導体層の表面に遷移金属錯体などの分光増感色素層を有するものが知られているが、いずれも実用性のある電流/電圧曲線が得られていない。
【0007】
一方、電流/電圧曲線が実用レベルに達した分光増感色素層を有する太陽電池として、特開平10−92477号公報(特許文献3)に、酸化物半導体微粒子集合体の焼成物からなる酸化物半導体膜を用いた太陽電池が開示されている。このような半導体膜は、酸化物半導体微粉末のスラリーを透明電極上に塗布し、乾燥させ、その後、500℃、1時間程度で焼成させることにより形成している。
【0008】
この特開平10−92477号公報(特許文献3)記載の太陽電池では、いわゆるゾルゲル法により酸化物半導体微粒子集合体の焼成物の酸化物半導体を形成しているが、このような形成方法は、スラリーを塗布後、高温で長時間の加熱が必要なため、基材、透明電極にも耐熱性が要求される。従って、通常の透明電極であるITO等では、このような耐熱性を有していないため用いることができないという問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平1−220308号公報
【特許文献2】
特表平5−504023号公報
【特許文献3】
特開平10−92477号公報
【非特許文献1】
Nature,268(1976),p.402
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極用の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法などとして好適な多孔質金属化合物薄膜の成膜方法、及びこの方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
薄膜を成膜する方法としては、例えばスパッタリングにより成膜する方法があり、スパッタリングにより成膜した薄膜は、基板との密着性がよく、平滑で緻密な薄膜を形成しやすい。また、成膜時の膜厚に対する高い制御性や、広い面積での高い均一性など優れた特徴を有する。しかし、一方で薄膜の構造を大幅に変化させることは難しく、成膜条件の変更によって多少の膜密度の変更は可能であるが、スパッタリングのみでは空隙が存在するような多孔質薄膜を成膜することはできない。
【0012】
そこで、本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、基板上に、金属又は金属化合物からなる第1成分と、上記第1成分とは異なる金属化合物からなる第2成分とが互いに混合分散してなり、上記第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を成膜し、次いで上記混合薄膜中の第1成分を選択的に除去すれば、基板上に多孔質金属化合物薄膜を成膜することができ、この多孔質金属化合物膜の成膜方法が、透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極用の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法として好適であること、特に、上記混合薄膜をスパッタリングにより成膜すれば、基板との密着性が良好で、平滑かつ緻密な多孔質金属化合物薄膜を効率よく成膜することができること、更に、この方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池が、優れた光電変換効率を示すことを見出し、本発明をなすに至った。
【0013】
即ち、本発明は、以下の多孔質薄膜の形成方法を提供する。
請求項1:基板上に、金属又は金属化合物からなる第1成分と、上記第1成分とは異なる金属化合物からなる第2成分とが互いに混合分散してなり、上記第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を成膜し、次いで上記混合薄膜中の第1成分を選択的に除去することを特徴とする多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項2:上記混合薄膜の上記第2成分に対する上記第1成分の組成比が基板から離間する方向に連続的に増大することを特徴とする請求項1記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項3:上記混合薄膜が、上記第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層が交互に積層された多層膜であることを特徴とする請求項1記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項4:上記第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層が、第2成分のみからなる層と、第1成分及び第2成分からなる層とであることを特徴とする請求項3記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項5:上記第1成分の金属又は金属化合物を構成する金属がZn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMg,並びにこれらの金属の合金からなる群より選ばれる1種であり、上記第2成分の金属化合物を構成する金属が、Zn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMg,並びにこれらの金属の合金からなる群より選ばれる上記第1成分の金属又は金属化合物を構成する金属とは異なる1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項6:上記第1成分の金属化合物が、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸・窒化物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項7:上記第1成分が、Zn,Cr,Al,Cu及びInから選ばれるの1種の金属、酸化インジウム及び酸化亜鉛から選ばれる1種の金属酸化物、又は上記金属酸化物に金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)若しくは金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)化合物をドーピングした金属化合物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項8:上記第2成分の金属化合物が金属酸化物、金属窒化物又は金属酸・窒化物であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項9:上記第2成分が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化アンチモン及び酸化インジウムから選ばれる1種の金属酸化物、又は上記金属酸化物に金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)若しくは金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)化合物をドーピングした金属化合物であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項10:上記第2成分が酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項11:上記第1成分及び第2成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で上記混合薄膜中の第1成分のみを溶出させることができる組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項12:上記混合薄膜中の第1成分の除去が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で第1成分を溶出させるものであること特徴とする請求項11記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項13:上記混合薄膜をスパッタリングにより成膜することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項14:透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極の上記多孔質金属化合物薄膜を成膜する方法であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項15:請求項14の成膜方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池。
【0014】
以下、本発明につき更に詳述する。
本発明の成膜方法は、基板上に、金属又は金属化合物からなる第1成分と、上記第1成分とは異なる金属化合物からなる第2成分とが互いに混合分散してなり、上記第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を成膜し、次いで上記混合薄膜中の第1成分を選択的に除去することにより金属化合物薄膜を成膜するものである。
【0015】
本発明においては、混合薄膜の第2成分に対する第1成分の組成比が基板から離間する方向に連続的に増大するように混合薄膜を成膜することが好ましい。混合薄膜をこのように成膜すれば、第1成分を除去して得た多孔質金属化合物薄膜が、基板から離間する方向に徐々に空隙率が高くなる構造とすることができる。
【0016】
また、混合薄膜を第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層が交互に積層された多層膜として成膜することも好ましい。混合薄膜をこのように成膜すれば、第1成分を除去して得た多孔質金属化合物薄膜の骨格構造を調整することができ、特に、第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層を、第2成分のみからなる層と、第1成分及び第2成分からなる層とすれば、特に高強度の骨格構造を有する多孔質金属化合物薄膜を得ることができる。
【0017】
上記第1成分の金属又は金属化合物を構成する金属としては、Zn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMg,並びにこれらの金属の合金からなる群より選ばれる1種であることが好ましい。また、上記第2成分の金属化合物を構成する金属としては、Zn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMg,並びにこれらの金属の合金からなる群より選ばれる上記第1成分の金属又は金属化合物を構成する金属とは異なる1種であることが好ましい。一方、上記金属化合物としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸・窒化物等好ましくが挙げられる。
【0018】
また、第1成分としては、特にZn,Cr,Al,Cu及びInから選ばれるの1種の金属、酸化インジウム及び酸化亜鉛から選ばれる1種の金属酸化物、又は上記金属酸化物に金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)若しくは金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)化合物をドーピングした金属化合物が好ましく、なかでも、Zn,Cr,Al,Cu、In等の金属、とりわけZnが好適である。この第1成分の金属酸化物に金属若しくは金属化合物をドーピングした金属化合物として具体的には、AZO(ZnO:Al)、GZO(ZnO:Ga)、ITO(In2O3:Sn)、IZO(In2O3:Zn)、InTiO(In2O3:Ti)等が挙げられる。
【0019】
一方、第2成分としては、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化アンチモン及び酸化インジウムから選ばれる1種の金属酸化物、又は上記金属酸化物に金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)若しくは金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)化合物をドーピングした金属化合物が好ましく、なかでも、酸化チタンが好適である。この第2成分の金属酸化物に金属若しくは金属化合物をドーピングした金属化合物として具体的には、ATO(SnO2:Sb)、AZO(ZnO:Al)、GZO(ZnO:Ga)、ITO(In2O3:Sn)、IZO(In2O3:Zn)、InTiO(In2O3:Ti)等が挙げられる。
【0020】
なお、第1成分及び第2成分のいずれの組み合わせにおいても、第1成分及び第2成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で混合薄膜中の第1成分のみを溶出させることができる組み合わせであることが好ましい。第1成分及び第2成分がこのような組み合わせであれば、例えば、混合薄膜を形成した基板を酸水溶液又はアルカリ水溶液中に浸漬することにより第1成分を除去することができる。
【0021】
本発明の成膜方法においてはは、まず、金属又は金属化合物からなる第1成分と、上記第1成分とは異なる金属化合物からなる第2成分とが互いに混合分散してなり、上記第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を成膜する。
【0022】
本発明の成膜方法において、対象となる基板の種類は特に制限されず、多孔質薄膜の用途に合わせて適宜選択されるが、太陽電池半導体電極用の金属酸化物薄膜を形成する場合は、例えば、後述するような透明電極を形成した基板を用いることができる。
【0023】
本発明において、混合薄膜の成膜方法としては、特に限定されるものではないが、スパッタリングが好適である。スパッタリングは、第1成分と第2成分とが高分散された膜を成膜することが可能であると共に、ターゲットのへの印加電力を調整することにより第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を容易に成膜することが可能となる点で好ましく、また、第1成分を除去した後に得られる多孔質金属化合物薄膜の基板との密着性も良好であることからも好適である。
【0024】
スパッタリングにより混合薄膜を成膜する方法として具体的には、チャンバー内に第1成分からなるターゲット及び第2成分からなるターゲットを設け、これらターゲットに電力を適宜調整して印加してスパッタリングする方法が挙げられる。
【0025】
このような方法としては、例えば、図1に示されるように、チャンバー3内に、第1の成分からなるターゲット1及び第2成分からなるターゲット2を配設し、これらターゲット1,2に電力を適宜調整しながら印加することによって生じるスパッタリング雰囲気(主に、ターゲット1及びターゲット2のスパッタリング面から基板4側へに向かう空間に形成される)中、混合薄膜を形成する基板4を、その混合薄膜を形成する面をターゲット1,2のスパッタリング面に向けて回転させながらスパッタリングすることにより形成することができる。なお、図1中、5は磁石、6はターゲット電極、7はガス導入口、8はガス排気口(減圧口)、9は回転台、10はDC電源を示す。
【0026】
このような方法により、混合薄膜を形成すれば、混合薄膜は第1成分からなる微細な部分と、第2成分からなる微細な部分とが互いに高分散した状態で成膜される。また、特にこの場合は、基板を回転させているので、混合薄膜の第2成分からなる部分と第2成分からなる部分の面方向の分散状態を均一とすることができる。この場合、各々のターゲットに印加する電力を適宜調整することにより、上記第1成分と第2成分との組成比を膜厚方向に変化させることができる。
【0027】
例えば、混合薄膜の第2成分に対する第1成分の組成比が基板から離間する方向に連続的に増大するように混合薄膜を成膜する場合は、例えば、第1成分からなるターゲットの印加電力を徐々に増加する、第2成分からなるターゲットの印加電圧を徐々に減少する、又はこれらの操作を同時に行うことにより成膜が可能である。また、混合薄膜を第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層が交互に積層された多層膜として成膜する場合は、例えば、第1成分からなるターゲット及び第2成分からなるターゲットに、所定の電力比(一方のターゲットへの印加電圧が0の場合も含む)で電力を印加し、次に上記と異なる電力比(一方のターゲットへの印加電圧が0の場合も含む)で電力を印加するサイクルを繰り返すことにより成膜が可能である。
【0028】
スパッタリングガスとしては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを用いることができる。また、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物のターゲットを用いて混合薄膜を形成する場合には、金属酸化物を用いる場合は酸素ガス、金属窒化物を用いる場合は窒素ガス、金属酸化窒化物を用いる場合は酸素ガス、窒素ガス又は酸化窒素ガスを少量であれば併用することも可能である。更に、ターゲットとして金属ターゲットを用い、反応性ガスとして酸素ガス、窒素ガス等を用いる反応性スパッタリングにより、金属化合物を形成することも可能である。
【0029】
なお、ターゲットへの電力の印加方式は特に限定されず、成膜する混合薄膜の種類に応じて選定され、RF、AC、DC電源のいずれをも用いることができ、ターゲット毎に異なる電源を用いてもよい。
【0030】
次に、基板上に成膜された混合薄膜中の上記第1成分を選択的に除去することにより多孔質金属化合物薄膜を形成する。第1成分を除去する方法としては、第1成分及び第2成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で混合薄膜中の第1成分のみを溶出させることができる組み合わせである場合には、酸水溶液又はアルカリ水溶液により金属部分を溶解させる方法が採用し得、上記混合薄膜を酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬する方法が適用できる。
【0031】
酸水溶液、アルカリ水溶液は、第1及び第2成分の種類及び組み合わせに合わせて適宜選択される。使用される酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、酢酸、弗酸、クロム酸、過酸化水素、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クエン酸、シュウ酸、臭化水素等が挙げられ、これらを単体で又はこれらを混合した混酸で水溶液として用いることができる。また、溶解する第1成分の種類によっては、混酸と塩化第二鉄のような金属塩化物、金属硫化物との混合水溶液を用いることもできる。一方、アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液やアンモニア水などを用いることができる。なお、酸水溶液、アルカリ水溶液の濃度、組成は、溶解する第1成分の種類に応じて適宜選定することができる。
【0032】
なお、第1成分を除去した後、更に焼成することが好ましく、焼成することにより強度が高い多孔質金属化合物薄膜を得ることができる。
【0033】
次に、本発明の有機色素増感型太陽電池について説明する。
図2は本発明の有機色素増感型太陽電池の一実施形態を示す断面図である。図2においては、透明電極12が設けられた基板11の透明電極12上に、本発明の方法により成膜された例えば酸化チタンからなる多孔質金属酸化物薄膜に分光増感色素を吸着させた色素吸着金属酸化物半導体膜13が形成され、また、透明電極12と対向して対電極14が配設されており、更に、色素吸着金属酸化物半導体膜13と対極14との間に電解質(溶液)16が封入されて側部が封止材15により封止されている。
【0034】
多孔質金属酸化物薄膜に吸着した分光増感色素に太陽光又は可視光を含む光が照射されると、分光増感色素は可視光領域の光を吸収して励起する。この励起によって発生する電子は、半導体である多孔質金属酸化物薄膜に移動し、透明導電性電極を通じて対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中の酸化還元系を還元する。一方、半導体である多孔質金属酸化物薄膜に電子を与えた分光増感色素は、酸化体の状態になっているが、この酸化体は電解質中の酸化還元系によって還元され、元の状態に戻る。本発明の太陽電池は、このような電子の流れの原理で駆動するものであるが、本発明の成膜方法により多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池は、この電子輸送特性に優れた高い光電変換効率を示すものである。
【0035】
本発明の有機色素増感型太陽電池において、本発明の方法により成膜された多孔質金属酸化物薄膜は多孔質であり、内面に多数の空隙を有するものである。即ち、この多孔質金属酸化物薄膜には、第1成分が除去された部分に無数の空洞が形成されている。その空隙率は特に限定されるものではないが10%以上、特に20%以上であることが好ましい。空隙率の上限も有機色素の吸着量が多くなるのであれば100%近くであってもよいが、膜の形状や強度を保持する観点から30〜40%程度が好ましい。
【0036】
このように、本発明の方法により成膜された多孔質金属酸化物薄膜は、比表面積が大きいため、有機色素が吸着する面積が大きく、そのため光のエネルギー変換効率が向上する。特に、混合薄膜の第2成分に対する第1成分の組成比が基板から離間する方向に連続的に増大するようにして成膜して得たものは、基板から離間する方向に徐々に空隙率が高くなる構造となるため、有機色素の内部への侵入が容易であり、短時間に色素吸着を完遂することができる。
【0037】
なお、多孔質金属酸化物薄膜の膜厚は0.01μm以上であることが一般的であり、0.1〜100μm、特に1〜10μmが好ましい。
【0038】
上記基板11としては、透明な基板であればよく、一般にガラス板、通常珪酸塩ガラス、又はプラスチック基板である。プラスチック基板は、可視光線の透過性が確保できる限り、種々のプラスチック基板を使用することができる。基板の厚さは0.1〜10mmが一般的であり、0.1〜3mmが好ましい。ガラス板は、化学的に又は熱的に強化させたものが好ましい。
【0039】
上記プラスチック基板の材料としては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このようなものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。こららの中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが透明性、複屈折の点で優れており、好適に用いることができる。
【0040】
一方、上記透明電極12としては、In2O3やSnO2の導電性酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料か挙げられる。導電性金属酸化物の好ましい例としては、In2O3:Sn(ITO)、SnO2:Sb(ATO)、SnO2:F(FTO)、ZnO:Al(AZO)、ZnO:F、CdSnO4等を挙げることができる。
【0041】
上述したような方法で得られた多孔質金属酸化物薄膜表面には、有機色素(分光増感色素)を単分子膜として吸着させる。
【0042】
分光増感色素は、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収をもつものであり、本発明では、種々の金属錯体や有機色素の1種又は2種以上を用いることができる。分光増感色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ビドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキル基等の官能基を有するものが、多孔質金属酸化物薄膜表面への吸着が速いため好ましい。また、分光増感の効果や耐久性に優れていることから金属錯体が好ましい。金属錯体としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン、特開平1−220380号公報(特許文献1)、特表平5−504023号公報(特許文献2)に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体を用いることができる。また、有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン色素を用いることができる。シアニン系色素として具体的には、NK1194、NK3422(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。メロシアニン系色素として具体的には、NK2426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。キサンテン系色素として具体的には、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB、ジブロムフルオレセインが挙げられる。トリフェニルメタン色素として具体的には、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。
【0043】
有機色素(分光増感色素)を多孔質金属酸化物薄膜に吸着させるためには、有機色素を有機溶媒に溶解させて調製した有機色素溶液中に、常温又は加熱下に多孔質金属酸化物薄膜を成膜した基板を浸漬すればよい。有機色素を溶解させる有機溶媒としては、使用する有機色素を溶解するものであればよく、具体的には、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
【0044】
このように透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる基板、即ち有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いて有機色素増感型太陽電池を作製する。即ち、透明電極(透明性電極膜)を形成したガラス板等の基板に本発明の方法により成膜した多孔質金属化合物薄膜に有機色素を吸着させたものを電極とし、別の透明電極(透明性電極膜)を形成したガラス板等の基板を対電極として、これらの間に電解質を封入して封止材により封止することにより太陽電池を得ることができる。
【0045】
上記電解質16(レドックス電解質)としては、I−/I3−系や、Br−/Br3−系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は、従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I−/I3−系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電解質は、液体電解質又はこれを高分子物質中に含有させた固体高分子電解質でもよい。液体電解質において、その溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。また、上記対電極14としては、導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3−イオン等の酸化型のレドックスイオンの還元反応を十分な速さで行わせる触媒能をもったものを使用することが好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
【0046】
本発明において、有機色素増感型太陽電池は、図2に示した態様に限定されるものではなく、電極(対電極)及び電解質をケース内に収納して封止したものであっても、電極(対電極)及び電解質全体を封止したものであってもよい。
【0047】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
多孔質金属酸化物薄膜の形成
図1に示されるようなマグネトロンDCスパッタ装置にターゲット1としてZnターゲット、ターゲット2としてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを99sccm、O2ガスを1sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、まず、TiOxターゲットに1kWの電力を印加してスパッタすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約20nmのTiOx膜を成膜した。次に、TiOxターゲットに1kW、Znターゲットに100Wの電力を同時に20秒間印加し、次いで、TiOxターゲットのみに1kWの電力を40秒間印加する操作を60サイクル繰り返してスパッタすることにより、上記TiOx層上に約1500nmのTiOx/Zn混合薄膜を成膜した。
【0049】
次に、上記混合薄膜を成膜した基板を1N硫酸水溶液に室温で30分間浸漬することにより、混合薄膜からZnを溶出させて除去してTiOxの多孔質薄膜を得た。得られたTiOxの多孔質薄膜は、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。またこの方法で得られたTiOxの多孔質薄膜の密着性を粘着テープとしてセロテープ(登録商標)を用いた碁盤目剥離試験で評価したところ、90/100であり密着性は良好であった。
【0050】
分光増感色素の吸着
分光増感色素溶液として、3×10−4mol/lのシス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4−ジカルボキシレート−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシレート)ルテニウム(II)−エタノール溶液を調製し、この溶液に上記TiOxの多孔質薄膜を形成した基板を、室温で18時間浸漬して、分光増感色素を吸着させて金属酸化物半導体電極を得た。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの多孔質薄膜の表面積1cm2あたり7μgであった。
【0051】
太陽電池の作製
上記金属酸化物半導体電極を一方の電極とし、対電極としてフッ素をドープした酸化スズをコートし、更にその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用いた。2つの電極の間に電解質を入れ、この側面を樹脂で封止した後、リード線を取り付けて、本発明の太陽電池を作製した。なお、電解質としては、アセトニトリルの溶媒にヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ヨウ素及びt−ブチルピリジンを、それぞれの濃度が0.1mol/l、0.3mol/l、0.05mol/l、0.5mol/lとなるように溶解させたものを用いた。
【0052】
得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cm2の強度の光を照射したところ、Voc(開放端電圧)は0.61V、Jsc(短絡電流密度)は1.35mA/cm2、FF(曲線因子)は0.55、η(変換効率)は4.53%であり、太陽電池として優れていることがわかった。
【0053】
[実施例2]
多孔質金属酸化物薄膜の形成
図1に示されるようなマグネトロンDCスパッタ装置にターゲット1としてZnターゲット、ターゲット2としてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを99sccm、O2ガスを1sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、まず、TiOxターゲットに1kWの電力を印加してスパッタすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約20nmのTiOx膜を成膜した。次に、TiOxターゲットには1kW一定で、Znターゲットには30Wを初期値とし最終的に150Wとなるように連続的に増大させて電力を40分間印加してスパッタすることにより、上記TiOx層上に約1500nmのTiOx/Zn混合薄膜を成膜した。
【0054】
次に、上記混合薄膜を成膜した基板を1N硫酸水溶液に室温で30分間浸漬することにより、混合薄膜からZnを溶出させて除去してTiOxの多孔質薄膜を得た。得られたTiOxの多孔質薄膜は、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。またこの方法で得られたTiOxの多孔質薄膜の密着性を粘着テープとしてセロテープ(登録商標)を用いた碁盤目剥離試験で評価したところ、100/100であり密着性は特に良好であった。
【0055】
分光増感色素の吸着
実施例1と同様の方法で分光増感色素を吸着させた。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの多孔質薄膜の表面積1cm2あたり8.5μgであった。
【0056】
太陽電池の作製
実施例1と同様の方法で太陽電池を作製した。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cm2の強度の光を照射したところ、Voc(開放端電圧)は0.62V、Jsc(短絡電流密度)は1.37mA/cm2、FF(曲線因子)は0.56、η(変換効率)は4.75%であり、太陽電池として優れていることがわかった。
【0057】
[比較例1]
金属酸化物薄膜の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを98sccm、O2ガスを2sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、TiOxターゲットに1kWの電力を印加してスパッタすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約800nmのTiOx薄膜を成膜した。得られたTiOx薄膜は、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。
【0058】
分光増感色素の吸着
実施例1と同様の方法で分光増感色素を吸着させた。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの薄膜の表面積1cm2あたり0.5μgであった。
【0059】
太陽電池の作製
実施例1と同様の方法で太陽電池を作製した。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cm2の強度の光を照射したところ、Voc(開放端電圧)は0.58V、Jsc(短絡電流密度)は0.48mA/cm2、FF(曲線因子)は0.50、η(変換効率)は1.39%であり、実施例と比べて性能が劣るものであった。
[比較例2]
金属酸化物薄膜の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてTiターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを80sccm、O2ガスを20sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、Tiターゲットに1kWの電力を印加してスパッタすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約800nmのTiOx薄膜を成膜した。得られたTiOx薄膜は、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。
【0060】
分光増感色素の吸着
実施例1と同様の方法で分光増感色素を吸着させた。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの薄膜の表面積1cm2あたり0.5μgであった。
【0061】
太陽電池の作製
実施例1と同様の方法で太陽電池を作製した。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cm2の強度の光を照射したところ、Voc(開放端電圧)は0.56V、Jsc(短絡電流密度)は0.46mA/cm2、FF(曲線因子)は0.47、η(変換効率)は1.21%であり、実施例と比べて性能が劣るものであった。
【0062】
[比較例3]
多孔質金属酸化物薄膜の形成
図1に示されるようなマグネトロンDCスパッタ装置にターゲット1としてZnターゲット、ターゲット2としてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを99sccm、O2ガスを1sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、TiOxターゲットに1kW、Znターゲットに100Wの電力を同時に印加してスパッタすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約800nmのTiOx/Zn混合薄膜を成膜した。
【0063】
次に、上記混合薄膜を成膜した基板を1N硫酸水溶液に室温で30分間浸漬することにより、混合薄膜からZnを溶出させて除去してTiOxの多孔質薄膜を得た。得られたTiOxの多孔質薄膜は、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。またこの方法で得られたTiOxの多孔質薄膜の密着性を粘着テープとしてセロテープ(登録商標)を用いた碁盤目剥離試験で評価したところ、10/100であり、ほとんど剥離してしまった。
【0064】
分光増感色素の吸着
実施例1と同様の方法で分光増感色素を吸着させた。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの多孔質薄膜の表面積1cm2あたり5μgであった。
【0065】
太陽電池の作製
実施例1と同様の方法で太陽電池を作製した。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cm2の強度の光を照射したところ、Voc(開放端電圧)は0.60V、Jsc(短絡電流密度)は0.85mA/cm2、FF(曲線因子)は0.50、η(変換効率)は2.55%であり、実施例と比べて性能が劣るものであった。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、透明電極が形成された基板上に多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極用の多孔質金属化合物薄膜などとして好適な多孔質金属化合物薄膜を成膜することができ、特に、上記混合薄膜をスパッタリングにより成膜すれば、基板との密着性が良好で、平滑かつ緻密な多孔質金属化合物薄膜を効率よく成膜することができる。またこの方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池は、優れた光電変換効率を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において混合薄膜を成膜する一実施態様であるスパッタリングに用いられるスパッタリング装置の一例を示す概略平面図である。
【図2】本発明の有機色素増感型太陽電池の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,2 ターゲット
3 チャンバー
4 基板
11 基板
12 透明電極
13 金属酸化物半導体膜
14 対電極
15 封止材
16 電解質(溶液)
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質金属化合物薄膜の成膜方法、特に、透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極の多孔質金属化合物薄膜を成膜する方法、及びこの方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属酸化物等の金属化合物の多孔質薄膜は、その比表面積の大きさから、単位容積当たりに多くの活性点(作用点)が分散されていることが求められる部材に好適である。そのため、限られた容積に多くの活性点(作用点)を必要とする電極や触媒等の部材に適用され、例えば、太陽電池の電極などに用いられている。
【0003】
太陽電池は、光電変換材料として、結晶性シリコン、アモルファスシリコンを用いたものが主流である。しかしながら、このような結晶性シリコン等を構成するには多大なエネルギーを要し、従ってシリコンの利用は、太陽光を利用する省エネルギー電池である太陽電池の本来の目的とは相反するものとなっている。また、多大なエネルギーを使用する結果として、光電変換材料としてシリコンを用いる太陽電池は高価なものとならざるを得ない。
【0004】
光電変換材料は、電極間の電気化学反応を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する材料である。例えば、光電変換材料に光を照射すると、一方の電極側で電子が発生し、対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中をイオンとして移動して一方の電極に戻る。即ち、光電変換材料は、光電エネルギーを電気エネルギーとして連続して取り出せる材料であり、このため太陽電池に利用される。
【0005】
光電変換材料として、シリコンを用いず、有機色素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池が知られている。Nature,268(1976),p.402(非特許文献1)に、酸化亜鉛粉末を圧縮成形し、1300℃で1時間焼結して形成した焼結体ディスク表面に有機色素としてローズベンガルを吸着させた金属酸化物半導体電極を用いた太陽電池が提案されている。この太陽電池の電流/電圧曲線において、0.2Vの起電圧時の電流値は約25μA程度と非常に低く、その実用化はほとんど不可能と考えられるものであった。しかしながら、前記シリコンを用いる太陽電池は異なり、使用される酸化物半導体及び有機色素はいずれも大量生産されており、かつ比較的安価なものであることから、材料の点から見ると、この太陽電池は非常に有利であることは明らかである。
【0006】
光電変換材料として、前記のように有機色素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池としては、前記のもの以外に、例えば、特開平1−220380号公報(特許文献1)に記載の、酸化物半導体の表面に遷移金属錯体などの分光増感色素層を有するもの、また、特表平5−504023号公報(特許文献2)に記載の、金属イオンでドープした酸化チタン半導体層の表面に遷移金属錯体などの分光増感色素層を有するものが知られているが、いずれも実用性のある電流/電圧曲線が得られていない。
【0007】
一方、電流/電圧曲線が実用レベルに達した分光増感色素層を有する太陽電池として、特開平10−92477号公報(特許文献3)に、酸化物半導体微粒子集合体の焼成物からなる酸化物半導体膜を用いた太陽電池が開示されている。このような半導体膜は、酸化物半導体微粉末のスラリーを透明電極上に塗布し、乾燥させ、その後、500℃、1時間程度で焼成させることにより形成している。
【0008】
この特開平10−92477号公報(特許文献3)記載の太陽電池では、いわゆるゾルゲル法により酸化物半導体微粒子集合体の焼成物の酸化物半導体を形成しているが、このような形成方法は、スラリーを塗布後、高温で長時間の加熱が必要なため、基材、透明電極にも耐熱性が要求される。従って、通常の透明電極であるITO等では、このような耐熱性を有していないため用いることができないという問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平1−220308号公報
【特許文献2】
特表平5−504023号公報
【特許文献3】
特開平10−92477号公報
【非特許文献1】
Nature,268(1976),p.402
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極用の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法などとして好適な多孔質金属化合物薄膜の成膜方法、及びこの方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
薄膜を成膜する方法としては、例えばスパッタリングにより成膜する方法があり、スパッタリングにより成膜した薄膜は、基板との密着性がよく、平滑で緻密な薄膜を形成しやすい。また、成膜時の膜厚に対する高い制御性や、広い面積での高い均一性など優れた特徴を有する。しかし、一方で薄膜の構造を大幅に変化させることは難しく、成膜条件の変更によって多少の膜密度の変更は可能であるが、スパッタリングのみでは空隙が存在するような多孔質薄膜を成膜することはできない。
【0012】
そこで、本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、基板上に、金属又は金属化合物からなる第1成分と、上記第1成分とは異なる金属化合物からなる第2成分とが互いに混合分散してなり、上記第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を成膜し、次いで上記混合薄膜中の第1成分を選択的に除去すれば、基板上に多孔質金属化合物薄膜を成膜することができ、この多孔質金属化合物膜の成膜方法が、透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極用の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法として好適であること、特に、上記混合薄膜をスパッタリングにより成膜すれば、基板との密着性が良好で、平滑かつ緻密な多孔質金属化合物薄膜を効率よく成膜することができること、更に、この方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池が、優れた光電変換効率を示すことを見出し、本発明をなすに至った。
【0013】
即ち、本発明は、以下の多孔質薄膜の形成方法を提供する。
請求項1:基板上に、金属又は金属化合物からなる第1成分と、上記第1成分とは異なる金属化合物からなる第2成分とが互いに混合分散してなり、上記第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を成膜し、次いで上記混合薄膜中の第1成分を選択的に除去することを特徴とする多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項2:上記混合薄膜の上記第2成分に対する上記第1成分の組成比が基板から離間する方向に連続的に増大することを特徴とする請求項1記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項3:上記混合薄膜が、上記第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層が交互に積層された多層膜であることを特徴とする請求項1記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項4:上記第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層が、第2成分のみからなる層と、第1成分及び第2成分からなる層とであることを特徴とする請求項3記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項5:上記第1成分の金属又は金属化合物を構成する金属がZn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMg,並びにこれらの金属の合金からなる群より選ばれる1種であり、上記第2成分の金属化合物を構成する金属が、Zn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMg,並びにこれらの金属の合金からなる群より選ばれる上記第1成分の金属又は金属化合物を構成する金属とは異なる1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項6:上記第1成分の金属化合物が、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸・窒化物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項7:上記第1成分が、Zn,Cr,Al,Cu及びInから選ばれるの1種の金属、酸化インジウム及び酸化亜鉛から選ばれる1種の金属酸化物、又は上記金属酸化物に金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)若しくは金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)化合物をドーピングした金属化合物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項8:上記第2成分の金属化合物が金属酸化物、金属窒化物又は金属酸・窒化物であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項9:上記第2成分が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化アンチモン及び酸化インジウムから選ばれる1種の金属酸化物、又は上記金属酸化物に金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)若しくは金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)化合物をドーピングした金属化合物であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項10:上記第2成分が酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項11:上記第1成分及び第2成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で上記混合薄膜中の第1成分のみを溶出させることができる組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項12:上記混合薄膜中の第1成分の除去が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で第1成分を溶出させるものであること特徴とする請求項11記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項13:上記混合薄膜をスパッタリングにより成膜することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項14:透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極の上記多孔質金属化合物薄膜を成膜する方法であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
請求項15:請求項14の成膜方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池。
【0014】
以下、本発明につき更に詳述する。
本発明の成膜方法は、基板上に、金属又は金属化合物からなる第1成分と、上記第1成分とは異なる金属化合物からなる第2成分とが互いに混合分散してなり、上記第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を成膜し、次いで上記混合薄膜中の第1成分を選択的に除去することにより金属化合物薄膜を成膜するものである。
【0015】
本発明においては、混合薄膜の第2成分に対する第1成分の組成比が基板から離間する方向に連続的に増大するように混合薄膜を成膜することが好ましい。混合薄膜をこのように成膜すれば、第1成分を除去して得た多孔質金属化合物薄膜が、基板から離間する方向に徐々に空隙率が高くなる構造とすることができる。
【0016】
また、混合薄膜を第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層が交互に積層された多層膜として成膜することも好ましい。混合薄膜をこのように成膜すれば、第1成分を除去して得た多孔質金属化合物薄膜の骨格構造を調整することができ、特に、第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層を、第2成分のみからなる層と、第1成分及び第2成分からなる層とすれば、特に高強度の骨格構造を有する多孔質金属化合物薄膜を得ることができる。
【0017】
上記第1成分の金属又は金属化合物を構成する金属としては、Zn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMg,並びにこれらの金属の合金からなる群より選ばれる1種であることが好ましい。また、上記第2成分の金属化合物を構成する金属としては、Zn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMg,並びにこれらの金属の合金からなる群より選ばれる上記第1成分の金属又は金属化合物を構成する金属とは異なる1種であることが好ましい。一方、上記金属化合物としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸・窒化物等好ましくが挙げられる。
【0018】
また、第1成分としては、特にZn,Cr,Al,Cu及びInから選ばれるの1種の金属、酸化インジウム及び酸化亜鉛から選ばれる1種の金属酸化物、又は上記金属酸化物に金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)若しくは金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)化合物をドーピングした金属化合物が好ましく、なかでも、Zn,Cr,Al,Cu、In等の金属、とりわけZnが好適である。この第1成分の金属酸化物に金属若しくは金属化合物をドーピングした金属化合物として具体的には、AZO(ZnO:Al)、GZO(ZnO:Ga)、ITO(In2O3:Sn)、IZO(In2O3:Zn)、InTiO(In2O3:Ti)等が挙げられる。
【0019】
一方、第2成分としては、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化アンチモン及び酸化インジウムから選ばれる1種の金属酸化物、又は上記金属酸化物に金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)若しくは金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)化合物をドーピングした金属化合物が好ましく、なかでも、酸化チタンが好適である。この第2成分の金属酸化物に金属若しくは金属化合物をドーピングした金属化合物として具体的には、ATO(SnO2:Sb)、AZO(ZnO:Al)、GZO(ZnO:Ga)、ITO(In2O3:Sn)、IZO(In2O3:Zn)、InTiO(In2O3:Ti)等が挙げられる。
【0020】
なお、第1成分及び第2成分のいずれの組み合わせにおいても、第1成分及び第2成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で混合薄膜中の第1成分のみを溶出させることができる組み合わせであることが好ましい。第1成分及び第2成分がこのような組み合わせであれば、例えば、混合薄膜を形成した基板を酸水溶液又はアルカリ水溶液中に浸漬することにより第1成分を除去することができる。
【0021】
本発明の成膜方法においてはは、まず、金属又は金属化合物からなる第1成分と、上記第1成分とは異なる金属化合物からなる第2成分とが互いに混合分散してなり、上記第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を成膜する。
【0022】
本発明の成膜方法において、対象となる基板の種類は特に制限されず、多孔質薄膜の用途に合わせて適宜選択されるが、太陽電池半導体電極用の金属酸化物薄膜を形成する場合は、例えば、後述するような透明電極を形成した基板を用いることができる。
【0023】
本発明において、混合薄膜の成膜方法としては、特に限定されるものではないが、スパッタリングが好適である。スパッタリングは、第1成分と第2成分とが高分散された膜を成膜することが可能であると共に、ターゲットのへの印加電力を調整することにより第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を容易に成膜することが可能となる点で好ましく、また、第1成分を除去した後に得られる多孔質金属化合物薄膜の基板との密着性も良好であることからも好適である。
【0024】
スパッタリングにより混合薄膜を成膜する方法として具体的には、チャンバー内に第1成分からなるターゲット及び第2成分からなるターゲットを設け、これらターゲットに電力を適宜調整して印加してスパッタリングする方法が挙げられる。
【0025】
このような方法としては、例えば、図1に示されるように、チャンバー3内に、第1の成分からなるターゲット1及び第2成分からなるターゲット2を配設し、これらターゲット1,2に電力を適宜調整しながら印加することによって生じるスパッタリング雰囲気(主に、ターゲット1及びターゲット2のスパッタリング面から基板4側へに向かう空間に形成される)中、混合薄膜を形成する基板4を、その混合薄膜を形成する面をターゲット1,2のスパッタリング面に向けて回転させながらスパッタリングすることにより形成することができる。なお、図1中、5は磁石、6はターゲット電極、7はガス導入口、8はガス排気口(減圧口)、9は回転台、10はDC電源を示す。
【0026】
このような方法により、混合薄膜を形成すれば、混合薄膜は第1成分からなる微細な部分と、第2成分からなる微細な部分とが互いに高分散した状態で成膜される。また、特にこの場合は、基板を回転させているので、混合薄膜の第2成分からなる部分と第2成分からなる部分の面方向の分散状態を均一とすることができる。この場合、各々のターゲットに印加する電力を適宜調整することにより、上記第1成分と第2成分との組成比を膜厚方向に変化させることができる。
【0027】
例えば、混合薄膜の第2成分に対する第1成分の組成比が基板から離間する方向に連続的に増大するように混合薄膜を成膜する場合は、例えば、第1成分からなるターゲットの印加電力を徐々に増加する、第2成分からなるターゲットの印加電圧を徐々に減少する、又はこれらの操作を同時に行うことにより成膜が可能である。また、混合薄膜を第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層が交互に積層された多層膜として成膜する場合は、例えば、第1成分からなるターゲット及び第2成分からなるターゲットに、所定の電力比(一方のターゲットへの印加電圧が0の場合も含む)で電力を印加し、次に上記と異なる電力比(一方のターゲットへの印加電圧が0の場合も含む)で電力を印加するサイクルを繰り返すことにより成膜が可能である。
【0028】
スパッタリングガスとしては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを用いることができる。また、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物のターゲットを用いて混合薄膜を形成する場合には、金属酸化物を用いる場合は酸素ガス、金属窒化物を用いる場合は窒素ガス、金属酸化窒化物を用いる場合は酸素ガス、窒素ガス又は酸化窒素ガスを少量であれば併用することも可能である。更に、ターゲットとして金属ターゲットを用い、反応性ガスとして酸素ガス、窒素ガス等を用いる反応性スパッタリングにより、金属化合物を形成することも可能である。
【0029】
なお、ターゲットへの電力の印加方式は特に限定されず、成膜する混合薄膜の種類に応じて選定され、RF、AC、DC電源のいずれをも用いることができ、ターゲット毎に異なる電源を用いてもよい。
【0030】
次に、基板上に成膜された混合薄膜中の上記第1成分を選択的に除去することにより多孔質金属化合物薄膜を形成する。第1成分を除去する方法としては、第1成分及び第2成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で混合薄膜中の第1成分のみを溶出させることができる組み合わせである場合には、酸水溶液又はアルカリ水溶液により金属部分を溶解させる方法が採用し得、上記混合薄膜を酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬する方法が適用できる。
【0031】
酸水溶液、アルカリ水溶液は、第1及び第2成分の種類及び組み合わせに合わせて適宜選択される。使用される酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、酢酸、弗酸、クロム酸、過酸化水素、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クエン酸、シュウ酸、臭化水素等が挙げられ、これらを単体で又はこれらを混合した混酸で水溶液として用いることができる。また、溶解する第1成分の種類によっては、混酸と塩化第二鉄のような金属塩化物、金属硫化物との混合水溶液を用いることもできる。一方、アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液やアンモニア水などを用いることができる。なお、酸水溶液、アルカリ水溶液の濃度、組成は、溶解する第1成分の種類に応じて適宜選定することができる。
【0032】
なお、第1成分を除去した後、更に焼成することが好ましく、焼成することにより強度が高い多孔質金属化合物薄膜を得ることができる。
【0033】
次に、本発明の有機色素増感型太陽電池について説明する。
図2は本発明の有機色素増感型太陽電池の一実施形態を示す断面図である。図2においては、透明電極12が設けられた基板11の透明電極12上に、本発明の方法により成膜された例えば酸化チタンからなる多孔質金属酸化物薄膜に分光増感色素を吸着させた色素吸着金属酸化物半導体膜13が形成され、また、透明電極12と対向して対電極14が配設されており、更に、色素吸着金属酸化物半導体膜13と対極14との間に電解質(溶液)16が封入されて側部が封止材15により封止されている。
【0034】
多孔質金属酸化物薄膜に吸着した分光増感色素に太陽光又は可視光を含む光が照射されると、分光増感色素は可視光領域の光を吸収して励起する。この励起によって発生する電子は、半導体である多孔質金属酸化物薄膜に移動し、透明導電性電極を通じて対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中の酸化還元系を還元する。一方、半導体である多孔質金属酸化物薄膜に電子を与えた分光増感色素は、酸化体の状態になっているが、この酸化体は電解質中の酸化還元系によって還元され、元の状態に戻る。本発明の太陽電池は、このような電子の流れの原理で駆動するものであるが、本発明の成膜方法により多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池は、この電子輸送特性に優れた高い光電変換効率を示すものである。
【0035】
本発明の有機色素増感型太陽電池において、本発明の方法により成膜された多孔質金属酸化物薄膜は多孔質であり、内面に多数の空隙を有するものである。即ち、この多孔質金属酸化物薄膜には、第1成分が除去された部分に無数の空洞が形成されている。その空隙率は特に限定されるものではないが10%以上、特に20%以上であることが好ましい。空隙率の上限も有機色素の吸着量が多くなるのであれば100%近くであってもよいが、膜の形状や強度を保持する観点から30〜40%程度が好ましい。
【0036】
このように、本発明の方法により成膜された多孔質金属酸化物薄膜は、比表面積が大きいため、有機色素が吸着する面積が大きく、そのため光のエネルギー変換効率が向上する。特に、混合薄膜の第2成分に対する第1成分の組成比が基板から離間する方向に連続的に増大するようにして成膜して得たものは、基板から離間する方向に徐々に空隙率が高くなる構造となるため、有機色素の内部への侵入が容易であり、短時間に色素吸着を完遂することができる。
【0037】
なお、多孔質金属酸化物薄膜の膜厚は0.01μm以上であることが一般的であり、0.1〜100μm、特に1〜10μmが好ましい。
【0038】
上記基板11としては、透明な基板であればよく、一般にガラス板、通常珪酸塩ガラス、又はプラスチック基板である。プラスチック基板は、可視光線の透過性が確保できる限り、種々のプラスチック基板を使用することができる。基板の厚さは0.1〜10mmが一般的であり、0.1〜3mmが好ましい。ガラス板は、化学的に又は熱的に強化させたものが好ましい。
【0039】
上記プラスチック基板の材料としては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このようなものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。こららの中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが透明性、複屈折の点で優れており、好適に用いることができる。
【0040】
一方、上記透明電極12としては、In2O3やSnO2の導電性酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料か挙げられる。導電性金属酸化物の好ましい例としては、In2O3:Sn(ITO)、SnO2:Sb(ATO)、SnO2:F(FTO)、ZnO:Al(AZO)、ZnO:F、CdSnO4等を挙げることができる。
【0041】
上述したような方法で得られた多孔質金属酸化物薄膜表面には、有機色素(分光増感色素)を単分子膜として吸着させる。
【0042】
分光増感色素は、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収をもつものであり、本発明では、種々の金属錯体や有機色素の1種又は2種以上を用いることができる。分光増感色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ビドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキル基等の官能基を有するものが、多孔質金属酸化物薄膜表面への吸着が速いため好ましい。また、分光増感の効果や耐久性に優れていることから金属錯体が好ましい。金属錯体としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン、特開平1−220380号公報(特許文献1)、特表平5−504023号公報(特許文献2)に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体を用いることができる。また、有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン色素を用いることができる。シアニン系色素として具体的には、NK1194、NK3422(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。メロシアニン系色素として具体的には、NK2426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。キサンテン系色素として具体的には、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB、ジブロムフルオレセインが挙げられる。トリフェニルメタン色素として具体的には、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。
【0043】
有機色素(分光増感色素)を多孔質金属酸化物薄膜に吸着させるためには、有機色素を有機溶媒に溶解させて調製した有機色素溶液中に、常温又は加熱下に多孔質金属酸化物薄膜を成膜した基板を浸漬すればよい。有機色素を溶解させる有機溶媒としては、使用する有機色素を溶解するものであればよく、具体的には、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
【0044】
このように透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる基板、即ち有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いて有機色素増感型太陽電池を作製する。即ち、透明電極(透明性電極膜)を形成したガラス板等の基板に本発明の方法により成膜した多孔質金属化合物薄膜に有機色素を吸着させたものを電極とし、別の透明電極(透明性電極膜)を形成したガラス板等の基板を対電極として、これらの間に電解質を封入して封止材により封止することにより太陽電池を得ることができる。
【0045】
上記電解質16(レドックス電解質)としては、I−/I3−系や、Br−/Br3−系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は、従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I−/I3−系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電解質は、液体電解質又はこれを高分子物質中に含有させた固体高分子電解質でもよい。液体電解質において、その溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。また、上記対電極14としては、導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3−イオン等の酸化型のレドックスイオンの還元反応を十分な速さで行わせる触媒能をもったものを使用することが好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
【0046】
本発明において、有機色素増感型太陽電池は、図2に示した態様に限定されるものではなく、電極(対電極)及び電解質をケース内に収納して封止したものであっても、電極(対電極)及び電解質全体を封止したものであってもよい。
【0047】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
多孔質金属酸化物薄膜の形成
図1に示されるようなマグネトロンDCスパッタ装置にターゲット1としてZnターゲット、ターゲット2としてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを99sccm、O2ガスを1sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、まず、TiOxターゲットに1kWの電力を印加してスパッタすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約20nmのTiOx膜を成膜した。次に、TiOxターゲットに1kW、Znターゲットに100Wの電力を同時に20秒間印加し、次いで、TiOxターゲットのみに1kWの電力を40秒間印加する操作を60サイクル繰り返してスパッタすることにより、上記TiOx層上に約1500nmのTiOx/Zn混合薄膜を成膜した。
【0049】
次に、上記混合薄膜を成膜した基板を1N硫酸水溶液に室温で30分間浸漬することにより、混合薄膜からZnを溶出させて除去してTiOxの多孔質薄膜を得た。得られたTiOxの多孔質薄膜は、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。またこの方法で得られたTiOxの多孔質薄膜の密着性を粘着テープとしてセロテープ(登録商標)を用いた碁盤目剥離試験で評価したところ、90/100であり密着性は良好であった。
【0050】
分光増感色素の吸着
分光増感色素溶液として、3×10−4mol/lのシス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4−ジカルボキシレート−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシレート)ルテニウム(II)−エタノール溶液を調製し、この溶液に上記TiOxの多孔質薄膜を形成した基板を、室温で18時間浸漬して、分光増感色素を吸着させて金属酸化物半導体電極を得た。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの多孔質薄膜の表面積1cm2あたり7μgであった。
【0051】
太陽電池の作製
上記金属酸化物半導体電極を一方の電極とし、対電極としてフッ素をドープした酸化スズをコートし、更にその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用いた。2つの電極の間に電解質を入れ、この側面を樹脂で封止した後、リード線を取り付けて、本発明の太陽電池を作製した。なお、電解質としては、アセトニトリルの溶媒にヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ヨウ素及びt−ブチルピリジンを、それぞれの濃度が0.1mol/l、0.3mol/l、0.05mol/l、0.5mol/lとなるように溶解させたものを用いた。
【0052】
得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cm2の強度の光を照射したところ、Voc(開放端電圧)は0.61V、Jsc(短絡電流密度)は1.35mA/cm2、FF(曲線因子)は0.55、η(変換効率)は4.53%であり、太陽電池として優れていることがわかった。
【0053】
[実施例2]
多孔質金属酸化物薄膜の形成
図1に示されるようなマグネトロンDCスパッタ装置にターゲット1としてZnターゲット、ターゲット2としてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを99sccm、O2ガスを1sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、まず、TiOxターゲットに1kWの電力を印加してスパッタすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約20nmのTiOx膜を成膜した。次に、TiOxターゲットには1kW一定で、Znターゲットには30Wを初期値とし最終的に150Wとなるように連続的に増大させて電力を40分間印加してスパッタすることにより、上記TiOx層上に約1500nmのTiOx/Zn混合薄膜を成膜した。
【0054】
次に、上記混合薄膜を成膜した基板を1N硫酸水溶液に室温で30分間浸漬することにより、混合薄膜からZnを溶出させて除去してTiOxの多孔質薄膜を得た。得られたTiOxの多孔質薄膜は、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。またこの方法で得られたTiOxの多孔質薄膜の密着性を粘着テープとしてセロテープ(登録商標)を用いた碁盤目剥離試験で評価したところ、100/100であり密着性は特に良好であった。
【0055】
分光増感色素の吸着
実施例1と同様の方法で分光増感色素を吸着させた。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの多孔質薄膜の表面積1cm2あたり8.5μgであった。
【0056】
太陽電池の作製
実施例1と同様の方法で太陽電池を作製した。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cm2の強度の光を照射したところ、Voc(開放端電圧)は0.62V、Jsc(短絡電流密度)は1.37mA/cm2、FF(曲線因子)は0.56、η(変換効率)は4.75%であり、太陽電池として優れていることがわかった。
【0057】
[比較例1]
金属酸化物薄膜の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを98sccm、O2ガスを2sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、TiOxターゲットに1kWの電力を印加してスパッタすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約800nmのTiOx薄膜を成膜した。得られたTiOx薄膜は、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。
【0058】
分光増感色素の吸着
実施例1と同様の方法で分光増感色素を吸着させた。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの薄膜の表面積1cm2あたり0.5μgであった。
【0059】
太陽電池の作製
実施例1と同様の方法で太陽電池を作製した。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cm2の強度の光を照射したところ、Voc(開放端電圧)は0.58V、Jsc(短絡電流密度)は0.48mA/cm2、FF(曲線因子)は0.50、η(変換効率)は1.39%であり、実施例と比べて性能が劣るものであった。
[比較例2]
金属酸化物薄膜の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてTiターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを80sccm、O2ガスを20sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、Tiターゲットに1kWの電力を印加してスパッタすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約800nmのTiOx薄膜を成膜した。得られたTiOx薄膜は、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。
【0060】
分光増感色素の吸着
実施例1と同様の方法で分光増感色素を吸着させた。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの薄膜の表面積1cm2あたり0.5μgであった。
【0061】
太陽電池の作製
実施例1と同様の方法で太陽電池を作製した。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cm2の強度の光を照射したところ、Voc(開放端電圧)は0.56V、Jsc(短絡電流密度)は0.46mA/cm2、FF(曲線因子)は0.47、η(変換効率)は1.21%であり、実施例と比べて性能が劣るものであった。
【0062】
[比較例3]
多孔質金属酸化物薄膜の形成
図1に示されるようなマグネトロンDCスパッタ装置にターゲット1としてZnターゲット、ターゲット2としてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを99sccm、O2ガスを1sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、TiOxターゲットに1kW、Znターゲットに100Wの電力を同時に印加してスパッタすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約800nmのTiOx/Zn混合薄膜を成膜した。
【0063】
次に、上記混合薄膜を成膜した基板を1N硫酸水溶液に室温で30分間浸漬することにより、混合薄膜からZnを溶出させて除去してTiOxの多孔質薄膜を得た。得られたTiOxの多孔質薄膜は、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。またこの方法で得られたTiOxの多孔質薄膜の密着性を粘着テープとしてセロテープ(登録商標)を用いた碁盤目剥離試験で評価したところ、10/100であり、ほとんど剥離してしまった。
【0064】
分光増感色素の吸着
実施例1と同様の方法で分光増感色素を吸着させた。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの多孔質薄膜の表面積1cm2あたり5μgであった。
【0065】
太陽電池の作製
実施例1と同様の方法で太陽電池を作製した。得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cm2の強度の光を照射したところ、Voc(開放端電圧)は0.60V、Jsc(短絡電流密度)は0.85mA/cm2、FF(曲線因子)は0.50、η(変換効率)は2.55%であり、実施例と比べて性能が劣るものであった。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、透明電極が形成された基板上に多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極用の多孔質金属化合物薄膜などとして好適な多孔質金属化合物薄膜を成膜することができ、特に、上記混合薄膜をスパッタリングにより成膜すれば、基板との密着性が良好で、平滑かつ緻密な多孔質金属化合物薄膜を効率よく成膜することができる。またこの方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池は、優れた光電変換効率を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において混合薄膜を成膜する一実施態様であるスパッタリングに用いられるスパッタリング装置の一例を示す概略平面図である。
【図2】本発明の有機色素増感型太陽電池の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,2 ターゲット
3 チャンバー
4 基板
11 基板
12 透明電極
13 金属酸化物半導体膜
14 対電極
15 封止材
16 電解質(溶液)
Claims (15)
- 基板上に、金属又は金属化合物からなる第1成分と、上記第1成分とは異なる金属化合物からなる第2成分とが互いに混合分散してなり、上記第1成分と第2成分との組成比が膜厚方向に変化する混合薄膜を成膜し、次いで上記混合薄膜中の第1成分を選択的に除去することを特徴とする多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記混合薄膜の上記第2成分に対する上記第1成分の組成比が基板から離間する方向に連続的に増大することを特徴とする請求項1記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記混合薄膜が、上記第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層が交互に積層された多層膜であることを特徴とする請求項1記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記第1成分と第2成分との組成比が互いに異なる2つの層が、第2成分のみからなる層と、第1成分及び第2成分からなる層とであることを特徴とする請求項3記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記第1成分の金属又は金属化合物を構成する金属がZn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMg,並びにこれらの金属の合金からなる群より選ばれる1種であり、上記第2成分の金属化合物を構成する金属が、Zn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMg,並びにこれらの金属の合金からなる群より選ばれる上記第1成分の金属又は金属化合物を構成する金属とは異なる1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記第1成分の金属化合物が、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸・窒化物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記第1成分が、Zn,Cr,Al,Cu及びInから選ばれるの1種の金属、酸化インジウム及び酸化亜鉛から選ばれる1種の金属酸化物、又は上記金属酸化物に金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)若しくは金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)化合物をドーピングした金属化合物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記第2成分の金属化合物が金属酸化物、金属窒化物又は金属酸・窒化物であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記第2成分が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化アンチモン及び酸化インジウムから選ばれる1種の金属酸化物、又は上記金属酸化物に金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)若しくは金属(ドーピングされる金属酸化物を構成する金属を除く)化合物をドーピングした金属化合物であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記第2成分が酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記第1成分及び第2成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で上記混合薄膜中の第1成分のみを溶出させることができる組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記混合薄膜中の第1成分の除去が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で第1成分を溶出させるものであること特徴とする請求項11記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 上記混合薄膜をスパッタリングにより成膜することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 透明電極が形成された基板上に有機色素を吸着させた多孔質金属化合物薄膜が成膜されてなる有機色素増感型太陽電池用半導体電極の上記多孔質金属化合物薄膜を成膜する方法であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載の多孔質金属化合物薄膜の成膜方法。
- 請求項14の成膜方法により上記多孔質金属化合物薄膜を成膜した有機色素増感型太陽電池用半導体電極を用いた有機色素増感型太陽電池。
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