JP2005036576A - ウォータージェットによる劣化コンクリートの診断方法 - Google Patents

ウォータージェットによる劣化コンクリートの診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 コンクリート構造物の劣化程度と範囲の診断において、従来の叩き点検では作業員の熟練度の影響が大きかった。本発明は、機械的手法により客観的・定量的な調査結果が期待できる、劣化診断法が必要である。
【解決手段】 道路あるいは鉄道の橋梁又はトンネル内のコンクリート表面にウォータージェットにより100MPa〜280MPaの超高圧水を8〜25リットル/分の水量で噴射し、その構造体表面のコンクリートが剥落するか否かを調査することを特徴とする、ウォータージェットのよる劣化コンクリートの診断方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、道路あるいは鉄道の橋梁又はトンネル内のコンクリート表面に、コンクリート強度別に制御された超高圧水を噴射し、コンクリートが剥落するか否かで健全度判定を行うことを特徴とするウォータージェットによる劣化コンクリートの診断方法に関する。
発明が解決しようとする課題
道路あるいは鉄道の橋梁又はトンネル内のコンクリート剥落などのコンクリート劣化が問題となっている。このようなコンクリート劣化は、構造物の経年劣化もしくは何らかの原因により進展し、コンクリート構造物内部の鉄筋腐食、コンクリート表面の亀裂等の損傷を発生させる。
従来コンクリート構造物の劣化診断は、熟練作業員がハンマー又はその他の道具を使用して、そのコンクリート構造物表面を叩くことにより音の変化を聞き分けて行われていた。これらの診断作業は熟練作業員が行わなければならず、また手動であるので非常に能率が悪く、診断結果に作業員の個人差があった。道路及び鉄道のいずれの施設であっても、これらの診断作業はその施設(橋梁あるいはトンネル等)を全面供用停止にするか道路施設であれば、1車線供用規制とするケースが多かった。又、手作業により劣化した部分が発見された際、その劣化したコンクリートをハツリ落とす作業が必要であった。
課題を解決するための手段
本発明者は、コンクリート構造物にウォータージェットで超高圧水の噴射を行うと、劣化したコンクリート片が落下することを発見し、かつ水圧水量(エネルギー)を制御することで、対象となるコンクリート構造物が必要強度を確保しているかどうかの診断(健全度評価)に使用できることを発見し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、道路あるいは鉄道の橋梁又はトンネル内のコンクリート表面に、100MPa〜280MPa、8〜25リットル/分の水量で、コンクリート強度別に制御された超高圧水を噴射し、コンクリートが剥落するか否かで健全度判定を行うことを特徴とするウォータージェットによる劣化コンクリートの診断方法に関するものである。
ウォータージェットの使用設定は、コンクリート表面の健全な箇所を除去することなく、コンクリート劣化箇所を除去できる設定とする。使用設定の設定方法は、コンクリート構造物ごとに局所的なウォータージェット試験施工を事前に実施して微調整を行い、100MPa〜280MPa、8〜25リットル/分の水量の範囲内で対象コンクリート構造物に適した設定を現場にて決定する。
ウォータージェット装置について、図1に従って説明する。
例として、トンネルの診断方法を図1に示す。図1において、トンネルの診断の現場には、水道水又は河川の水を場合により浄化し、その水を貯える車両1、回収した水を環境基準に準ずるよう処理する汚水処理装置を積んだ車両2、及び超高圧水を発生させるポンプ車両3が必要である。その他に回収した水を貯えるタンク4、給水用貯水タンク5が、現場に設置される。水道水又は河川の水を場合により浄化し(図示せず)、車両1に貯える。車両1から給水用貯水タンク5に水を送り、タンク5からポンプ車両3に水を送り、人間の操作により噴射装置6からトンネル内部表面に超高圧水を噴射し、コンクリートの劣化を診断する。噴射された水は遮水シート等を敷設して回収装置(図示せず)よりタンク4内に回収する。タンク4から補助タンク7を経て汚水処理車両2にその水を送り、水処理を行なう。環境基準に準じて処理された水は、貯水タンク5に送られ、再利用される。汚水処理装置では低減できないハツリ水に含まれるカルシウムは、カルシウム濃度低減装置8により低減する。
以下本発明の実施例を記載するが、本発明は、この実施例で限定されるものではない。
実施例1
コンクリート強度別に0.5m×0.5m(厚さ0.1m)のコンクリート板を供試体として作成し、実験施工を行った。例えば、コンクリート設計基準強度24N/mm2、18N/mm2の供試体をそれぞれ健全なコンクリート、強度低下した劣化コンクリートと仮定し、水圧150MPa、水量23リットル/分でウォータージェットを50秒間噴出した。その結果、コンクリート設計基準強度24N/mm2の健全な場合は、コンクリート表面の洗浄効果程度が認められたのに対し、コンクリート設計基準強度18N/mm2の劣化している場合は、表面から6mmのコンクリートが除去された。これらの結果を収集整理し、コンクリート強度別の基本使用設定を確認した。また、ローター式ウォータージェットをコンクリート表面に噴射して診断を行った場合、劣化コンクリートの除去を伴う健全度診断効果が得られることを確認した。
発明の効果
1.ウォータージェットを調査に使用することにより、コンクリート構造物のコンクリート劣化箇所の把握が可能となり、叩き点検を行う必要がなくなる。
2.コンクリート構造物の劣化程度と範囲の診断については機械的に行えるため、客観的・定量的な診断結果が得られ、作業員の個人差が及ぼす調査結果への影響が小さくなる。また、補修数量が調査終了時に定量的に把握できるため、補修数量の算出精度が向上する。
3.ウォータージェットにより水を噴射して診断を行うので、作業は能率的であり、例えば鉄道用トンネルの場合、列車が通行しない夜間を利用し、200m2程度のトンネルであれば一晩で診断作業を完了できる。自動車用トンネルの場合、1車線を通行止めにし、その通行止めにした車線に上記に説明した、少なくとも3台の車両を並べ、作業を行なうことができる。通行止めにする時間も少なくて済む。
4.ウォータージェットをコンクリート表面に噴射することで、トンネル内等のひび割れ調査のための洗浄(粉塵による汚れの除去)と劣化コンクリートの除去等の効果が同時に得られ、トータルコストが縮減される。
5.ウォータージェットをコンクリート表面に噴射することで、必要に応じて、コンクリート表面の下地処理(目粗し)効果、既設鉄筋洗浄効果等が得られる。
6.噴射後の水を回収かつ再利用できるので、現場から大量の水が発生することがない。また、劣化診断後のハツリ水は、環境基準に準じた水処理が行われるため環境汚染は一切発生しない。
ウォータージェットの噴射の状態を説明する概略図。

Claims (3)

  1. 道路あるいは鉄道の橋梁又はトンネル内のコンクリート表面に、100MPa〜280MPa、8〜25リットル/分の水量で、コンクリート強度別に制御された超高圧水を噴射し、コンクリートが剥落するか否かで健全度判定を行うことを特徴とするウォータージェットによる劣化コンクリートの診断方法。
  2. ウォータージェットによる劣化診断後のハツリ水は回収し、環境基準に準じた水処理後、循環して使用することからなる請求項1のウォータージェットによる劣化コンクリートの診断方法。
  3. 請求項1又は2のコンクリート診断は、ハンドガンによるウォータージェットにより実施する診断方法。
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