JP2005031174A - ピアノの鍵 - Google Patents
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Abstract
【課題】有害物質である鉛に代わる代替材料を用いながら、鍵本体に取り付けることが可能な重りを容易に作製でき、それにより、製造コストを削減することができるとともに、演奏に適する所望のタッチ重さを得たピアノの鍵を提供する。
【解決手段】埋設孔9を形成した揺動自在の鍵本体2と、ビスマスで構成され、鍵本体2の埋設孔9に取り付けられた重り4Aと、を備えている。また、ビスマスは、ビスマスと他の物質との化合物でもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】埋設孔9を形成した揺動自在の鍵本体2と、ビスマスで構成され、鍵本体2の埋設孔9に取り付けられた重り4Aと、を備えている。また、ビスマスは、ビスマスと他の物質との化合物でもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピアノなどの鍵に関し、特に所望のタッチ重さを得るために重りを取り付けたピアノの鍵に関する。
【0002】
【従来の技術】
鍵盤楽器、特にグランドピアノなどのアコースティックピアノでは一般に、所要のタッチ重さ(静荷重)を得るために、鍵に重りが取り付けられている。図5は、従来一般の鍵62を示しており、重り61は、鉛で構成され、所定のサイズの円柱状に成形されている。鍵62の木製の鍵本体63には、回動支点よりも手前側の所定の位置に、側方に貫通する埋設孔64が形成されている。重り61は、この埋設孔64に挿入された状態で、両側からかしめられることによって、鍵本体63に取り付けられている。このように、重り61の材料として鉛が採用されるのは、安価であることや、金属の中で比重(約11.3)が高く、また融点(約327℃)が低いこと、さらに柔軟性および延性に富むため、成形や加工を行いやすいことなどによる。しかし、鉛は有害物質であり、他の代替材料を使用することが望ましい。
【0003】
このような鉛以外の材料で構成された重りを使用した従来のピアノの鍵として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このピアノの鍵では、重りは、タングステン粉末と合成樹脂との化合物で構成されている。このタングステン粉末は主として、タングステン粉末の製造工程において発生する凝集(2次粒子)を砕くことにより得られる最小単位の粒子(1次粒子)の集合体で構成されている。合成樹脂は、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーで構成されている。このように、化合物に1次粒子から成るタングステン粉末を用いることによって、合成樹脂に対する充填性が向上し、高い割合で充填することが可能になる。そして、射出成形または押出成形することにより、高比重の重りが作製される。合成樹脂によって可塑性や弾性が付与された重りは、鍵本体の埋設孔に挿入され、かしめなどによって、鍵本体に固定される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−265793号公報(第2〜3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来のピアノの鍵では、タングステン粉末と合成樹脂との化合物で構成された重りを作製するために、硬度の高いタングステンを砕くことによって、2次粒子を作製する工程や、2次粒子をさらに砕いて1次粒子を作製する工程などが必要になる。このため、製造工程が複雑になるとともに、そのための専用設備が必要になり、その分、製造コストが増大する。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、鉛に代わる代替材料を用いながら、鍵本体に取付可能な重りを容易に作製でき、それにより、製造コストを削減することができるピアノの鍵を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係るピアノの鍵は、埋設孔を形成した揺動自在の鍵本体と、ビスマスで構成され、鍵本体の埋設孔に取り付けられた重りと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
このピアノの鍵によれば、重りの材料としてビスマスが用いられている。ビスマスは、毒性が比較的低いとともに、その単体の比重が約9.9であり、鉛の比重(約11.3)に近いため、所要のタッチ重さを付与することができる。したがって、ビスマスを鉛の代替材料として用いることができる。また、ビスマスは、融点が約271℃であり、鉛の融点(約327℃)よりも低いため、溶融しやすいので、所望の形状およびサイズの重りを容易に成形することができる。また、ビスマスは高比重金属の中でも硬度が比較的低いため、重りを成形した後、鍵本体に取り付けるための表面加工も容易に行える。したがって、タングステンの粉末を用いた従来の重りと異なり、粉末化などの工程が不要になり、その分、製造コストを削減することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係るピアノの鍵において、ビスマスは、ビスマスと他の物質との化合物であることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、重りはビスマスと他の物質との化合物で構成されている。したがって、他の物質を適当に選択し、例えばスズとすることによって、単体のビスマスで構成した場合よりも、流動性が高く、もろさを低減した重りを得ることができる。これにより、重りを鍵本体の埋設孔にかしめによって取り付けることが可能になる。その結果、既存のかしめ作業用の工場のラインをそのまま利用でき、それにより、製造コストをさらに削減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら、詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるグランドピアノの鍵(白鍵)を示している。同図に示すように、この鍵1は、鍵本体2と、鍵本体2の前部に取り付けられた白鍵カバー3と、鍵本体2の前部に取り付けられた重り4Aなどを備えている。
【0012】
鍵本体2は、スプルスなどの比較的軽量で、粘り強く、弾力性に富む木質材からなり、矩形の断面を有し、前後方向に延びている。白鍵カバー3は、アクリルなどのプラスチックによりL字形に形成されており、鍵本体2の上面前半部および前面に、これらを覆うように接着されている。鍵本体2の上面中央部には中座板5aが接着され、これらを上下方向に貫通するようにバランスピン孔5が形成されている。そして、このバランスピン孔5が、立設するバランスピン(図示せず)に係合することによって、鍵1が揺動自在に支持されている。また、鍵本体2の下面の前端部にはフロントピン孔6が形成されており、このフロントピン孔6が、立設するフロントピン(図示せず)に係合することによって、鍵1の左右の振れが防止される。
【0013】
さらに、鍵本体2の上面のバランスピン孔5よりも後ろ側の位置には、キャプスタン座板8aを介して、キャプスタンスクリュー8が取り付けられており、このキャプスタンスクリュー8上にアクション(図示せず)が載置される。以上の構成により、鍵1の前部を押鍵したときに、鍵1がバランスピンを中心として揺動するのに伴い、アクションがキャプスタンスクリュー8で突き上げられることで作動する。また、鍵1のタッチ重さは、アクションと鍵1の重さによるバランスピン回りのモーメントのバランスによって定められることになる。
【0014】
また、鍵本体2には、埋設孔9が形成されており、この埋設孔9に、本発明に係る重り4Aが取り付けられている。この埋設孔9は、鍵本体2のバランスピン孔5よりも前側の所定位置に配置されており、断面が円形で所定の径を有し、側方に貫通するように形成されている。また、埋設孔9には、めねじ(図示せず)が形成されている。
【0015】
重り4Aは、比重が約9.9の単体のビスマスで構成され、図2に示すように、所定の径および長さを有する円柱状のものであり、鋳造によって成形されている。また、成形後の切削加工によって、重り4Aの外周面には、ねじ11が形成されている。そして、重り4Aは、埋設孔9のめねじにねじ込まれることによって、鍵本体2に取り付けられている。
【0016】
以上のように、本実施形態のピアノの鍵1によれば、重り4Aが、鉛の比重(約11.3)に近い比重を有するビスマスで構成されているので、所要のタッチ重さを付与することができる。また、ビスマスは、従来の鉛と異なり、毒性が比較的低いので、鉛の代替材料として有効に用いることができる。また、ビスマスは、融点が約271℃であり、タングステンの融点(約3380℃)よりも低く、さらに鉛の融点(約327℃)よりも低いため、溶融しやすいので、重り4Aを鋳造により成形することができる。したがって、粉末化などの処理を必要とすることなく、所望の形状およびサイズの重り4Aを容易に成形することができる。
【0017】
さらに、ビスマスは、高比重金属の中でも硬度が比較的低いため、従来の硬度の高いタングステンと異なり、重り4Aを鋳造により成形した後に、その外周面にねじ11を切削加工によって容易に形成することができる。以上により、鍵本体2に取付可能な重り4Aを容易に作製することができ、その結果、製造コストを削減することができる。また、この重り4Aは、ねじ11によって鍵本体2に取り付けられているので、取り外しが可能である。したがって、長さの異なる複数の種類の重り4Aを用意し、それらを交換することによってタッチ重さを変化させることができる。
【0018】
図3は、本発明の第2実施形態による重り4Bを示している。この重り4Bは第1実施形態と同様、単体のビスマスで構成され、所定の長さを有する円柱状のものであり、鋳造によって成形されている。重り4Bの外周面には、第1実施形態のねじ11の代わりに、長さ方向に沿って延びるローレット加工部12が切削加工によって形成されており、その外径は、埋設孔9の径よりも若干大きく設定されている。そして、重り4Bは、ローレット加工部12を介して埋設孔9に圧入されることにより、埋設孔9に圧接された状態で、鍵本体2に取り付けられている。
【0019】
以上の構成の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。それに加えて、重り4Bを、埋設孔9への圧入のみによって、取り付けることができるので、取付作業を簡略化できる。
【0020】
図4は、本発明の第3実施形態による鍵1を示している。同図において、第1実施形態と同じ構成の部分については、同じ符号を用いて示している。本実施形態の重り4Cは、第1および第2実施形態の重り4Aおよび4Bが単体のビスマスで構成されているのに対し、ビスマスとスズから成る化合物で構成されている。例えば、このビスマス化合物は、ビスマスとスズ(比重:約7.3)を所定の割合、例えばビスマス80%、スズ20%で含有させたものである。重り4Cは、第1実施形態と同様、所定の長さを有する円柱状に形成され、鋳造によって成形されている。また、第1および第2実施形態と異なり、重り4Cの外周面には、格別の加工が施されておらず、その径は、埋設孔9の径よりも若干小さく設定されている。そして、重り4Cは、埋設孔9に挿入された状態で、両側からかしめられることによって、鍵本体2に取り付けられている。
【0021】
以上のように、第3実施形態によれば、重り4Cが、ビスマスとスズとの化合物で構成されていて、この重り4Cによっても所要のタッチ重さを得ることができる。また、重り4Cは、ビスマスにスズが加えられることによって、流動性が高くなるとともに、もろさが低減されるため、かしめによって、鍵本体2の埋設孔9に取り付けることができる。その結果、既存のかしめ作業用の工場のラインをそのまま利用でき、それにより、製造コストをさらに削減することができる。
【0022】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、第3実施形態では、重り4Cをビスマスとスズとの化合物で構成したが、これに代えて、ビスマスと他の適当な物質、例えばインジウムとの化合物で構成してもよい。また、第1および第2実施形態では、重りを鍵本体2の埋設孔9に取り付けるために、外周面にねじ11やローレット加工部12が形成されているが、同じ目的を達成できるものであれば、他の形状でもよい。また、実施形態は、グランドピアノの鍵の例であるが、本発明は、アップライトピアノ、電子ピアノや鍵盤楽器玩具の鍵など、重りが取り付けられるすべての鍵に広く適用することが可能である。また、重りを、アコースティックピアノの押鍵後に止音を行うためのダンパーレバーに用いてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明のピアノの鍵によれば、鉛に代わる代替材料を用いながら、鍵本体に取付可能な重りを容易に作製でき、それにより、製造コストを削減することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したグランドピアノの鍵を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による鍵の重りを示す斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態による鍵の重りを示す斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態による鍵を示す側面図である。
【図5】従来の一般的なピアノの鍵を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 鍵本体
4A 重り
9 埋設孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピアノなどの鍵に関し、特に所望のタッチ重さを得るために重りを取り付けたピアノの鍵に関する。
【0002】
【従来の技術】
鍵盤楽器、特にグランドピアノなどのアコースティックピアノでは一般に、所要のタッチ重さ(静荷重)を得るために、鍵に重りが取り付けられている。図5は、従来一般の鍵62を示しており、重り61は、鉛で構成され、所定のサイズの円柱状に成形されている。鍵62の木製の鍵本体63には、回動支点よりも手前側の所定の位置に、側方に貫通する埋設孔64が形成されている。重り61は、この埋設孔64に挿入された状態で、両側からかしめられることによって、鍵本体63に取り付けられている。このように、重り61の材料として鉛が採用されるのは、安価であることや、金属の中で比重(約11.3)が高く、また融点(約327℃)が低いこと、さらに柔軟性および延性に富むため、成形や加工を行いやすいことなどによる。しかし、鉛は有害物質であり、他の代替材料を使用することが望ましい。
【0003】
このような鉛以外の材料で構成された重りを使用した従来のピアノの鍵として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このピアノの鍵では、重りは、タングステン粉末と合成樹脂との化合物で構成されている。このタングステン粉末は主として、タングステン粉末の製造工程において発生する凝集(2次粒子)を砕くことにより得られる最小単位の粒子(1次粒子)の集合体で構成されている。合成樹脂は、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーで構成されている。このように、化合物に1次粒子から成るタングステン粉末を用いることによって、合成樹脂に対する充填性が向上し、高い割合で充填することが可能になる。そして、射出成形または押出成形することにより、高比重の重りが作製される。合成樹脂によって可塑性や弾性が付与された重りは、鍵本体の埋設孔に挿入され、かしめなどによって、鍵本体に固定される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−265793号公報(第2〜3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来のピアノの鍵では、タングステン粉末と合成樹脂との化合物で構成された重りを作製するために、硬度の高いタングステンを砕くことによって、2次粒子を作製する工程や、2次粒子をさらに砕いて1次粒子を作製する工程などが必要になる。このため、製造工程が複雑になるとともに、そのための専用設備が必要になり、その分、製造コストが増大する。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、鉛に代わる代替材料を用いながら、鍵本体に取付可能な重りを容易に作製でき、それにより、製造コストを削減することができるピアノの鍵を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係るピアノの鍵は、埋設孔を形成した揺動自在の鍵本体と、ビスマスで構成され、鍵本体の埋設孔に取り付けられた重りと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
このピアノの鍵によれば、重りの材料としてビスマスが用いられている。ビスマスは、毒性が比較的低いとともに、その単体の比重が約9.9であり、鉛の比重(約11.3)に近いため、所要のタッチ重さを付与することができる。したがって、ビスマスを鉛の代替材料として用いることができる。また、ビスマスは、融点が約271℃であり、鉛の融点(約327℃)よりも低いため、溶融しやすいので、所望の形状およびサイズの重りを容易に成形することができる。また、ビスマスは高比重金属の中でも硬度が比較的低いため、重りを成形した後、鍵本体に取り付けるための表面加工も容易に行える。したがって、タングステンの粉末を用いた従来の重りと異なり、粉末化などの工程が不要になり、その分、製造コストを削減することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係るピアノの鍵において、ビスマスは、ビスマスと他の物質との化合物であることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、重りはビスマスと他の物質との化合物で構成されている。したがって、他の物質を適当に選択し、例えばスズとすることによって、単体のビスマスで構成した場合よりも、流動性が高く、もろさを低減した重りを得ることができる。これにより、重りを鍵本体の埋設孔にかしめによって取り付けることが可能になる。その結果、既存のかしめ作業用の工場のラインをそのまま利用でき、それにより、製造コストをさらに削減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら、詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるグランドピアノの鍵(白鍵)を示している。同図に示すように、この鍵1は、鍵本体2と、鍵本体2の前部に取り付けられた白鍵カバー3と、鍵本体2の前部に取り付けられた重り4Aなどを備えている。
【0012】
鍵本体2は、スプルスなどの比較的軽量で、粘り強く、弾力性に富む木質材からなり、矩形の断面を有し、前後方向に延びている。白鍵カバー3は、アクリルなどのプラスチックによりL字形に形成されており、鍵本体2の上面前半部および前面に、これらを覆うように接着されている。鍵本体2の上面中央部には中座板5aが接着され、これらを上下方向に貫通するようにバランスピン孔5が形成されている。そして、このバランスピン孔5が、立設するバランスピン(図示せず)に係合することによって、鍵1が揺動自在に支持されている。また、鍵本体2の下面の前端部にはフロントピン孔6が形成されており、このフロントピン孔6が、立設するフロントピン(図示せず)に係合することによって、鍵1の左右の振れが防止される。
【0013】
さらに、鍵本体2の上面のバランスピン孔5よりも後ろ側の位置には、キャプスタン座板8aを介して、キャプスタンスクリュー8が取り付けられており、このキャプスタンスクリュー8上にアクション(図示せず)が載置される。以上の構成により、鍵1の前部を押鍵したときに、鍵1がバランスピンを中心として揺動するのに伴い、アクションがキャプスタンスクリュー8で突き上げられることで作動する。また、鍵1のタッチ重さは、アクションと鍵1の重さによるバランスピン回りのモーメントのバランスによって定められることになる。
【0014】
また、鍵本体2には、埋設孔9が形成されており、この埋設孔9に、本発明に係る重り4Aが取り付けられている。この埋設孔9は、鍵本体2のバランスピン孔5よりも前側の所定位置に配置されており、断面が円形で所定の径を有し、側方に貫通するように形成されている。また、埋設孔9には、めねじ(図示せず)が形成されている。
【0015】
重り4Aは、比重が約9.9の単体のビスマスで構成され、図2に示すように、所定の径および長さを有する円柱状のものであり、鋳造によって成形されている。また、成形後の切削加工によって、重り4Aの外周面には、ねじ11が形成されている。そして、重り4Aは、埋設孔9のめねじにねじ込まれることによって、鍵本体2に取り付けられている。
【0016】
以上のように、本実施形態のピアノの鍵1によれば、重り4Aが、鉛の比重(約11.3)に近い比重を有するビスマスで構成されているので、所要のタッチ重さを付与することができる。また、ビスマスは、従来の鉛と異なり、毒性が比較的低いので、鉛の代替材料として有効に用いることができる。また、ビスマスは、融点が約271℃であり、タングステンの融点(約3380℃)よりも低く、さらに鉛の融点(約327℃)よりも低いため、溶融しやすいので、重り4Aを鋳造により成形することができる。したがって、粉末化などの処理を必要とすることなく、所望の形状およびサイズの重り4Aを容易に成形することができる。
【0017】
さらに、ビスマスは、高比重金属の中でも硬度が比較的低いため、従来の硬度の高いタングステンと異なり、重り4Aを鋳造により成形した後に、その外周面にねじ11を切削加工によって容易に形成することができる。以上により、鍵本体2に取付可能な重り4Aを容易に作製することができ、その結果、製造コストを削減することができる。また、この重り4Aは、ねじ11によって鍵本体2に取り付けられているので、取り外しが可能である。したがって、長さの異なる複数の種類の重り4Aを用意し、それらを交換することによってタッチ重さを変化させることができる。
【0018】
図3は、本発明の第2実施形態による重り4Bを示している。この重り4Bは第1実施形態と同様、単体のビスマスで構成され、所定の長さを有する円柱状のものであり、鋳造によって成形されている。重り4Bの外周面には、第1実施形態のねじ11の代わりに、長さ方向に沿って延びるローレット加工部12が切削加工によって形成されており、その外径は、埋設孔9の径よりも若干大きく設定されている。そして、重り4Bは、ローレット加工部12を介して埋設孔9に圧入されることにより、埋設孔9に圧接された状態で、鍵本体2に取り付けられている。
【0019】
以上の構成の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。それに加えて、重り4Bを、埋設孔9への圧入のみによって、取り付けることができるので、取付作業を簡略化できる。
【0020】
図4は、本発明の第3実施形態による鍵1を示している。同図において、第1実施形態と同じ構成の部分については、同じ符号を用いて示している。本実施形態の重り4Cは、第1および第2実施形態の重り4Aおよび4Bが単体のビスマスで構成されているのに対し、ビスマスとスズから成る化合物で構成されている。例えば、このビスマス化合物は、ビスマスとスズ(比重:約7.3)を所定の割合、例えばビスマス80%、スズ20%で含有させたものである。重り4Cは、第1実施形態と同様、所定の長さを有する円柱状に形成され、鋳造によって成形されている。また、第1および第2実施形態と異なり、重り4Cの外周面には、格別の加工が施されておらず、その径は、埋設孔9の径よりも若干小さく設定されている。そして、重り4Cは、埋設孔9に挿入された状態で、両側からかしめられることによって、鍵本体2に取り付けられている。
【0021】
以上のように、第3実施形態によれば、重り4Cが、ビスマスとスズとの化合物で構成されていて、この重り4Cによっても所要のタッチ重さを得ることができる。また、重り4Cは、ビスマスにスズが加えられることによって、流動性が高くなるとともに、もろさが低減されるため、かしめによって、鍵本体2の埋設孔9に取り付けることができる。その結果、既存のかしめ作業用の工場のラインをそのまま利用でき、それにより、製造コストをさらに削減することができる。
【0022】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、第3実施形態では、重り4Cをビスマスとスズとの化合物で構成したが、これに代えて、ビスマスと他の適当な物質、例えばインジウムとの化合物で構成してもよい。また、第1および第2実施形態では、重りを鍵本体2の埋設孔9に取り付けるために、外周面にねじ11やローレット加工部12が形成されているが、同じ目的を達成できるものであれば、他の形状でもよい。また、実施形態は、グランドピアノの鍵の例であるが、本発明は、アップライトピアノ、電子ピアノや鍵盤楽器玩具の鍵など、重りが取り付けられるすべての鍵に広く適用することが可能である。また、重りを、アコースティックピアノの押鍵後に止音を行うためのダンパーレバーに用いてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明のピアノの鍵によれば、鉛に代わる代替材料を用いながら、鍵本体に取付可能な重りを容易に作製でき、それにより、製造コストを削減することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したグランドピアノの鍵を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による鍵の重りを示す斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態による鍵の重りを示す斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態による鍵を示す側面図である。
【図5】従来の一般的なピアノの鍵を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 鍵本体
4A 重り
9 埋設孔
Claims (2)
- 埋設孔を形成した揺動自在の鍵本体と、
ビスマスで構成され、前記鍵本体の前記埋設孔に取り付けられた重りと、
を備えていることを特徴とするピアノの鍵。 - 前記ビスマスは、ビスマスと他の物質との化合物であることを特徴とする請求項1に記載のピアノの鍵。
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JP2003193450A JP2005031174A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | ピアノの鍵 |
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JP (1) | JP2005031174A (ja) |
WO (1) | WO2005004106A1 (ja) |
Cited By (3)
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JP2006267760A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Yamaha Corp | 可動部材の重りおよび可動部材 |
KR100711179B1 (ko) | 2005-03-15 | 2007-04-24 | 야마하 가부시키가이샤 | 균형 중량부가 견고하게 설치된 가동부, 악기 및 균형중량부를 내부에 조립하는 방법 |
JP2009109601A (ja) * | 2007-10-29 | 2009-05-21 | Yamaha Corp | 鍵盤装置 |
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