JP2005029690A - 変性ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

変性ポリオレフィンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】変性ポリオレフィンの製造工程で、ポリマーロス、溶媒ロスを減らし、さらに工程数を少なくすることができ、生産性・経済性に優れた変性ポリオレフィンの製造方法を提供する。
【解決手段】α−オレフィンを均一系の金属錯体触媒の存在下、液相で重合して低結晶性又は非結晶性ポリオレフィン溶液を得る工程、得られたポリオレフィン溶液を連続的に乾燥する工程、乾燥したポリオレフィンを押出混練機に供給して変性する工程を含むことを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変性ポリオレフィンの製造方法に関し、さらに詳しくは、α−オレフィンを重合してポリオレフィンとし、得られたポリオレフィンを変性剤により変性し変性ポリオレフィンとするに当たり、ポリマーロス、溶媒ロスを減らし、さらに工程数を少なくすることができ、生産性・経済性を向上しうる変性ポリオレフィンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンは、結晶性が高いこと及び無極性であることから、他の基材、例えば、アクリル樹脂や酢酸ビニル樹脂などの極性を有する樹脂との親和性がほとんどない。そのため、塗装や接着、印刷が困難であるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するため、例えばポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を官能基含有モノマーでグラフト変性して得られた変性ポリオレフィンが用いられている。
【0004】
また、このような変性ポリオレフィンを製造する方法として、非晶質ポリオレフィンに変性剤モノマー(不飽和カルボン酸無水物など)とラジカル反応開始剤(有機過酸化物)を添加して、押出混練機中で反応させ、得られた酸変性非晶質ポリオレフィンを中和する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ところが、該ポリマーは、粘着性、自己融着性が高く、不定形なゼリー状をとることから回収・乾燥の作業性が悪いという問題がある。
【0005】
また、均一系の金属錯体触媒を使用して得られる低結晶性又は非結晶性ポリオレフィンは、溶媒に溶解若しくは分散した状態で得られるが、このポリオレフィン溶液からポリマーを単離するには、従来、例えば反応溶液を多量のポリオレフィン貧溶媒に加え、ポリオレフィンを析出させて、ろ過や遠心分離などにより回収することが多い。しかし、この方法は、多量の貧溶媒を必要とするうえ、反応溶媒と貧溶媒の分離回収が困難であり、しかも析出したポリマーを乾燥するのに多大な労力を要する。
【0006】
このポリマーも粘着性、自己融着性が高く、回収・乾燥の作業性が悪い上、輸送するのに都合のよい粉末やペレットの形態に成形するのは容易でないという問題があった。
【0007】
このため、上記のような低結晶性又は非結晶性ポリオレフィンの変性ポリオレフィンを得るまでに多くの工程が必要となることから、多量のポリマーロス、溶媒ロスが生じており、より生産性・経済性の高い変性ポリオレフィンの製造方法が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−3124号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記のような状況に鑑み、低結晶性又は非結晶性ポリオレフィン溶液(スラリーも含む。以下同じ)を乾燥させ、引き続き変性剤により変性して変性ポリオレフィンを製造する工程で、ポリマーロス、溶媒ロスを減らし、さらに工程数を少なくした、生産性・経済性を向上しうる変性ポリオレフィンの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、α−オレフィンを均一系の金属錯体触媒の存在下、液相で重合し、得られた低結晶性又は非結晶性ポリオレフィン溶液を乾燥機に移送し、連続的に乾燥して溶媒及び軽質成分を除去し、実質的に溶媒を含まない溶融状態のポリオレフィンを押出混練機に供給し、ラジカル反応開始剤の存在下で変性剤を用いて変性することにより、所望の変性ポリオレフィンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、α−オレフィンを均一系の金属錯体触媒の存在下、液相で重合して低結晶性又は非結晶性ポリオレフィン溶液を得る工程、得られたポリオレフィン溶液を連続的に乾燥する工程、乾燥したポリオレフィンを押出混練機に供給して変性する工程を含むことを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ポリオレフィン溶液を乾燥する前に、触媒成分を除去する工程を含むことを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法が提供される。
【0013】
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、ポリオレフィン溶液の乾燥を、ベント付押出乾燥機によって行なうことを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法が提供される。
【0014】
本発明は、上記した如く、変性ポリオレフィンを製造する方法であるが、その好ましい実施態様としては、次のものが包含される。
【0015】
(1)第1の発明において、均一系の金属錯体触媒が、バナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなることを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(2)第1の発明において、均一系の金属錯体触媒が、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのアルコキシ錯体と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなることを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(3)第1の発明において、均一系の金属錯体触媒が、メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物からなることを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(4)第1の発明において、乾燥を1〜700mmHgの減圧条件で行うことを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(5)第1の発明において、乾燥を30〜240℃の温度条件で行うことを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(6)第1の発明において、乾燥を1〜180分の滞留時間で行うことを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(7)第1の発明において、ポリオレフィンを変性する際、変性剤及び/又はラジカル反応開始剤を2回以上に分けて添加することを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(8)第1の発明において、ポリオレフィンを変性する際、変性剤を溶媒に溶解し、又は加熱溶融してから添加することを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(9)第1の発明において、押出混練機を60〜220℃の温度条件でポリオレフィンを変性することを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(10)第1の発明において、押出混練機でポリオレフィンを0.1〜20分滞留させて変性することを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(11)第1の発明において、ポリオレフィンを変性後に、ベント付押出乾燥機を用いて、未反応の変性剤及び/又は変性剤誘導体を除去することを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(12)第1の発明において、ポリオレフィンの重量平均分子量が2000〜600,000であることを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(13)第1の発明において、ポリオレフィンが0.12〜0.88のラセミダイアド分率[r]を有するポリプロピレンであることを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(14)上記(13)の発明において、ポリオレフィンが0.51〜0.88のラセミダイアド分率[r]を有するポリプロピレンであることを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(15)上記(13)又は(14)の発明において、ポリオレフィンが0.54〜0.84のラセミダイアド分率[r]を有するポリプロピレンであることを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(16)第2の発明において、触媒成分の除去工程で、濾過助剤を使用して濾過することを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(17)上記(16)の発明において、濾過助剤として、微小繊維状セルロース、アスベスト、セライト、パーライト、珪藻土、白土、シリカ、アルミナから選ばれた1種又は2種以上を使用することを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(18)第2の発明において、触媒成分の除去工程で、ポリオレフィン溶液に水酸基を有する化合物を添加するか、ポリオレフィン溶液を吸着剤と接触させることにより触媒成分を不溶化することを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(19)上記(18)の発明において、水酸基を有する化合物が、水、多価アルコール又はカルボン酸から選択される少なくとも1種であることを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
(20)上記(18)の発明において、吸着剤が、イオン交換樹脂、キレート樹脂又は高分子凝集剤から選択される少なくとも1種であることを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の変性ポリオレフィンの製造方法について、各項目毎に詳細に説明する。
【0017】
1.プロセスの工程フロー概要
本発明によるα−オレフィンの重合、ポリオレフィン溶液の乾燥、ポリオレフィンの変性を含む一連の工程フローを、図1を用いて概略説明する。
【0018】
本発明の方法は、α−オレフィンを均一系の金属錯体触媒の存在下、液相で重合してポリオレフィン溶液を得る工程(i)、ポリオレフィン溶液を連続的に乾燥する工程(ii)、乾燥した溶融状態のポリオレフィンを押出混練機に供給して変性する工程(iii)を含む変性ポリオレフィンの製造方法である。
そして、この方法には、ポリオレフィンを乾燥する工程の前に、触媒成分を除去する工程(iv)、ポリオレフィンを変性した後に、未反応の変性剤及び変性剤誘導体を除去する工程(v)を付加することができる。
【0019】
2.プロセスの詳細
本発明の方法は、先ず、α−オレフィン(a)を、反応溶媒(b)と均一系の金属錯体触媒(c)の存在下、重合させてポリオレフィン(PO1)を製造する。次に、このポリオレフィン溶液を乾燥機(g)で連続的に乾燥し、引き続きポリオレフィンを押出混練機(h)に供給し、ラジカル反応開始剤(j)の存在下に変性剤(k)を添加して反応させ、変性ポリオレフィン(PO2)を製造する。ポリオレフィンを乾燥する工程の前に、触媒成分を除去する工程を含むこともできる。
変性ポリオレフィン(PO2)は、未反応の変性剤や副生物などを除去し、精製してもよい。なお、ポリオレフィン(PO1)、変性ポリオレフィン(PO2)などは、以下、単にポリマーと称する場合がある。
【0020】
(i)重合工程
(a)α−オレフィン
本発明において原料となるα−オレフィンとしては、炭素数2〜8のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、ホモポリマーの原料としては、特にプロピレンが好ましい。
また、コポリマーの原料としては、特にエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンから選択される2種以上が好ましい。
【0021】
(b)反応溶媒
反応溶媒は、重合反応に対して不活性で、かつ重合時に液状である溶媒を用いるのが望ましい。また、大気圧下、室温で液状を保つ溶媒がより好ましい。なお、以下の説明で単に溶媒といえば反応溶媒を指すものとする。
具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素、アルキル化シクロペンタン、シクロヘキサン、アルキル化シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンセン、プロピルベンセン等の芳香族炭化水素、或いはTHF及びそれらの2種類以上の混合物等が挙げられる。
【0022】
(c)均一系の金属錯体触媒
均一系の金属錯体触媒とは、有機金属化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒であるか、酸素、窒素等のヘテロ原子を含む有機化合物と遷移金属からなる金属錯体であり、例えば、
▲1▼バナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる触媒、
▲2▼チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を1つとアルコキシ基あるいはアルキルアミノ基の少なくとも1つを有する化合物と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、
▲3▼チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を2つとハロゲンまたはアルキル基を有する錯体と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、
▲4▼ニッケル、パラジウム等のジイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒、
▲5▼チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒、
▲6▼チタン等のピロールイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒、
▲7▼Ti、Zr、Hfのアルコキシ錯体及び/又はTi、Zr、Hfのアルキルアミノ錯体とアルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒、が挙げられる。
【0023】
上記▲1▼のバナジウム錯体と有機アルミニウム化合物からなる触媒において、バナジウム錯体としては、例えば、Makromol.Chem.180、57−64(1979)に記載されている触媒が挙げられ、具体的には、VOCl、VCl、V(アセチルアセトナート)、V(2−メチル−1,3−ブタンジオナト)、V(1,3−ブタンジオナト)、VO(アセチルアセトナート)、VOCl(アセチルアセトナート)、VOCl(アセチルアセトナート)、VO(OR)、等が挙げられる。その他、アルキルイミド、或いはアリールイミドなどの配位子を有する一般式(1)及び(2)のようなバナジウム化合物も挙げられる。
【0024】
有機アルミニウム化合物としては、例えばジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムハライド類;メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類が挙げられる。
一般式(1)
【0025】
【化1】
Figure 2005029690
【0026】
(式中、XはF、Cl、Br、Iまたは炭素数1〜3のアルキル基;R〜Rは、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
一般式(2)
【0027】
【化2】
Figure 2005029690
【0028】
(式中、XはF、Cl、Br、Iまたは炭素数1〜3のアルキル基;Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0029】
上記成分の使用量は、オレフィン1モル当り、バナジウム錯体が1×10−5〜0.1モル、好ましくは1×10−4〜5×10−2モルであり、有機アルミニウム化合物が1×10−4〜0.1モル、好ましくは5×10−3〜0.05モルである。
【0030】
また、▲1▼の触媒には、必要に応じて電子供与体を添加することもでき、電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸、マロン酸、有機酸もしくは無機酸のエステル類、モノエーテル、ジエーテルもしくはポリエーテル等の含酸素電子供与体や、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体を挙げることができる。電子供与体の使用量は、バナジウム錯体1モルに対して0.01〜20モルである。
【0031】
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。
【0032】
前記▲2▼の触媒において、チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を1つとアルコキシ基あるいはアルキルアミノ基の少なくとも1つを有する化合物としては、一般式(3)〜(5)に示すような化合物が挙げられる。
【0033】
例えば、一般式(3)で表される化合物としては、CpTi(OMe)、CpTi(OEt)、CpTi(O・iPr)、CpTi(O・tBu)、CpTi(OC、CpTi(2−Me−OC、CpTi(2−Et−OC、CpTi(2−Pr−OC、CpTi(2−tBu−OC、CpTi(2,6−(MeO)、CpTi(2,6−(EtO)、CpTi(2,6−(iPr−O)、CpTi(2,6−(t−Bu−O)、CpTi(2−Me−6−tBu−OC、CpTi(3−Me−6−tBu−OC、CpTi(OMe)Cl、CpTi(OMe)Cl、CpTi(OC)Cl、CpTi(OCCl、CpTi(OMe)(OC)Cl、等が挙げられる。
また、一般式(4)で表される化合物としては、(MeC)Cp(C)OTiCl、((CC)Cp(C)OTiCl、(MeC)Cp(3−Me−C)OTiCl、(MeC)Cp(5−Me−C)OTiCl、(MeC)Cp(3−tBu−C)OTiCl、(MeC)Cp(3,5−Me−C)OTiCl、(MeC)Cp(3,5−tBu−C)OTiCl、(MeC)Cp(3−Me−5−tBu−C)OTiCl、(MeC)Cp(3−tBu−5−Me−C)OTiCl、等が挙げられる。
【0034】
一般式(5)で表される化合物としては、MeNSiMe(Flu)TiCl、tBuNSiMe(Flu)TiCl、CNSiMe(Flu)TiCl、tBuNSi(C(Flu)TiCl、tBuNSiMe(Flu)TiMe、等が挙げられる。
上記の一般式(3)〜(5)の具体例において、TiをZr、Hfに代えた化合物を具体例として挙げることができる。
【0035】
一般式(3)〜(5)
【化3】
Figure 2005029690
【0036】
一般式(3)〜(5)中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムのいずれかを、X、Y、Zは、F、Cl、Br、若しくはIから選択されるハロゲン、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、そのアルコキシ基、置換基を有しても良い炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、そのアルコキシ基;R〜Rは、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、置換基を有しても良い炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を示す。R〜R及びX、Y、Zは、それぞれ同時に同じであっても、異なっていても良い。
【0037】
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、及びこれらアルミノキサン中の未反応アルミニウム化合物を除去・精製した乾燥アルミノキサン等が挙げられる。なお、アルミノキサン類の代りにトリフェニルボラン、トリスペンタフルオロフェニルボラン、トリフェニルメチルトリスペンタフルオロボレート等のホウ素化合物、さらにジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジオクチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
【0038】
チタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を1つとアルコキシ基あるいはアルキルアミノ基を少なくとも1つ有する化合物の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−8〜0.1モル、好ましくは1×10−7〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1×10−8〜0.1モル、好ましくは1×10−7〜0.05モルである。
【0039】
重合反応は、−50〜200℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは0〜150℃で1〜50時間行われる。
【0040】
前記▲3▼のチタン、ジルコニウム、ハフニウムからなる群から選ばれる金属のシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体を2つとハロゲンまたはアルキル基を有する錯体と、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒において、該錯体は、2つのシクロアルカジエニル基あるいはその誘導体が架橋されていなくても架橋されていてもよい。
【0041】
非架橋性メタロセン化合物としては、例えば、一般式(6)で示される化合物が挙げられ、具体的には、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジエチル、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド等が挙げられる。
その他、例えば、(CZr(C、(C−i−CZrCl、(C−t−CZrCl、(C−t−CZrBr、(C−t−CZrI、(C−t−CZrF、(C−t−CZr(CH、(C−t−CZr(C、[C−CH(CH)(C)]ZrCl、及びこれらのZrをTi又はHfに代えた化合物等を挙げることができる。
【0042】
架橋メタロセン化合物としては、例えば、エチレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(インデニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、MeSi(CZrCl、MeSi(CZrBr、MeSi(CZrI、MeSi(CZrF、MeSi(CZrMe、MeSi(CZr(C、MeSi(CMeZrCl、MeSi(CMeZrBr、MeSi(CMeZrI、MeSi(CMeZrF、MeSi(CMeZrMe、MeSi(CMeZr(C、MeSi(C−i−CZrCl、MeSi(C−i−CZrBr、MeSi(C−i−CZrI、MeSi(C−i−CZrF、MeSi(C−i−CZrMe、MeSi(C−i−CZr(C、MeSi(C−t−CZrCl、MeSi(C−t−CZrBr、MeSi(C−t−CZrI、MeSi(C−t−CZrF、MeSi(C−t−CZrMe、MeSi(C−t−CZr(C、MeSi(CTiCl、MeSi(CTiBr、MeSi(CTiI、MeSi(CTiF、MeSi(CTiMe、MeSi(CTi(C、MeSi(CMeTiCl、MeSi(CMeTiBr、MeSi(CMeTiI、MeSi(CMeTiF、MeSi(CMeTiMe、MeSi(CMeTi(C、MeSi(C−i−CTiCl、MeSi(C−i−CTiBr、MeSi(C−i−CTiI、MeSi(C−i−CTiF、MeSi(C−i−CTiMe、MeSi(C−i−CTi(C、MeSi(C−t−CTiCl、MeSi(C−t−CTiBr、MeSi(C−t−CTiI、MeSi(C−t−CTiF、MeSi(C−t−CTiMe、MeSi(C−t−CTi(C、MeSi(CHfCl、MeSi(CHfBr、MeSi(CHfI、MeSi(CHfF、MeSi(CHfMe、MeSi(CHf(C、MeSi(CMeHfCl、MeSi(CMeHfBr、MeSi(CMeHfI、MeSi(CMeHfF、MeSi(CMeHfMe、MeSi(CMeHf(C、MeSi(C−i−CHfCl、MeSi(C−i−CHfBr、MeSi(C−i−CHfI、MeSi(C−i−CHfF、MeSi(C−i−CHfMe、MeSi(C−i−CHf(C、MeSi(C−t−CHfCl、MeSi(C−t−CHfBr、MeSi(C−t−CHfI、MeSi(C−t−CHfF、MeSi(C−t−CHfMe、MeSi(C−t−CHf(C、MeSi(C)FluTiCl、MeSi(C)FluTiBr、MeSi(C)FluTiI、MeSi(C)FluTiF、MeSi(C)FluZrCl、MeSi(C)FluZrBr、MeSi(C)FluZrI、MeSi(C)FluZrF、MeSi(C)FluHfCl、MeSi(C)FluHfBr、MeSi(C)FluHfI、MeSi(C)FluHfF、MeSi(C)FluHfMe、MeSi(C)FluHf(C、PhC(C)FluTiCl、PhC(C)FluTiBr、PhC(C)FluTiI、PhC(C)FluTiF、PhC(C)FluZrCl、PhC(C)FluZrBr、PhC(C)FluZrI、PhC(C)FluZrF、PhC(C)FluHfCl、PhC(C)FluHfBr、PhC(C)FluHfI、PhC(C)FluHfF、PhC(C)FluHfMe、PhC(C)FluHf(C、PhC(CMe)FluTiCl、PhC(CMe)FluTiBr、PhC(CMe)FluTiI、PhC(CMe)FluTiF、PhC(CMe)FluZrCl、PhC(CMe)FluZrBr、PhC(CMe)FluZrI、PhC(CMe)FluZrF、PhC(CMe)FluHfCl、PhC(CMe)FluHfBr、PhC(CMe)FluHfI、PhC(CMe)FluHfF、PhC(CMe)FluHfMe、PhC(CMe)FluHf(Cが挙げられる。
【0043】
また、2架橋性メタロセンとしては、一般式(7)で示され、J.Am.Chem.Soc.、Vol.121、No.3、565(1999)に記載されている化合物が挙げられる。
具体的には、(1,2−MeSi)(η―CZrCl、(1,2−MeSi)(η―C)(η―C−3−CH)ZrCl、(1,2−MeSi)(η―C){η―C−3−CH(CH}ZrCl、(1,2−MeSi)(η―C){η―CH−3,5−(CH(CHZrCl、(1,2−MeSi)(η―C−4−CH){η―CH−3,5−(CH(CH}ZrCl、(1,2−MeSi){η―C−4−CH(CH}{η―CH−3,5−(CH(CH}ZrCl、(1,2−MeSi){η―C−4−Si(CH}{η―CH−3,5−(CH(CH}ZrCl、(1,2−(CSi){η―C−4−Si(CH}{η―CH−3,5−(CH(CH}ZrCl、(1,2−MeSi){η―C−4−Si(CH}{η―CH−3,5−(CH(CH}Zr(CH、(1,2−MeSi)(η―CHfCl、(1,2−MeSi)(η―C)(η―C−3−CH)HfCl、(1,2−MeSi)(η―CTiCl、(1,2−MeSi)(η―C)(η―C−3−CH)TiCl、等が挙げられる。
【0044】
一般式(6)
【化4】
Figure 2005029690
【0045】
一般式(7)
【化5】
Figure 2005029690
【0046】
一般式(6)、(7)中、R〜Rは、それぞれH若しくは炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を示す。R〜Rは、同時に同じであっても、異なっていても良い。Xは、ハロゲン、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、炭素数8〜10の芳香族炭化水素基を示す。Mは、Ti、Zr、Hfのいずれかの金属である。
【0047】
また、アルミノキサン類、並びにホウ素化合物単独あるいは有機アルミニウム化合物と組み合わせたものが使用できるが、これらは、▲2▼で記載したものを用いることができる。
上記成分の使用量は、モノマー使用量1モル当り、メタロセン化合物が5.0×10−7〜5.0×10−3モル、好ましくは1.0×10−6〜1.0×10−4モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1.0×10−5〜5.0モル、好ましくは1.0×10−3〜0.1モルである。
【0048】
重合反応は、−50〜200℃の温度で0.1〜100時間、好ましくは0〜150℃で1〜50時間行われる。
【0049】
前記▲4▼のニッケル、パラジウム等のジイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒において、ニッケル、パラジウム等のジイミン錯体としては、例えば、一般式(8)〜(11)で表される化合物などが挙げられる。
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられる。
【0050】
一般式(8)〜(11)
【化6】
Figure 2005029690
【0051】
一般式(8)〜(11)中、XはClまたはメチル(Me)基;Rは、メチル(Me)基またはイソプロピル(iPr)基を示し、同時に同じであっても異なっていても良い。
【0052】
ニッケル、パラジウム等のジイミン錯体の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−6〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類が1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−4〜0.05モルである。
【0053】
重合反応は、−100〜90℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは−50〜50℃で1〜50時間行われる。
【0054】
前記▲5▼のチタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒において、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体としては、例えば、一般式(12)に示すような化合物などが挙げられる。
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられる。
【0055】
一般式(12)
【化7】
Figure 2005029690
【0056】
一般式(12)中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムのいずれかを、R、R’はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基で、XはF、Cl、Br、I又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示す。
【0057】
チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のフェノキシイミン錯体の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−6〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類が1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−4〜0.05モルである。
【0058】
重合反応は、0〜200℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは50〜150℃で1〜50時間行われる。
【0059】
前記▲6▼のチタン等のピロールイミン錯体と、アルミノキサン類からなる触媒において、チタン等のピロールイミン錯体としては、例えば、一般式(13)に示すような化合物などが挙げられる。
アルミノキサン類としては、例えば、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられる。
【0060】
一般式(13)
【化8】
Figure 2005029690
【0061】
一般式(13)中、XはF、Cl、Br、I又は炭素数1〜8のアルコキシ基;Rはフェニル基又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。
【0062】
チタン等のピロールイミン錯体の使用量は、モノマー使用量1モル当り、1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−6〜5×10−2モルであり、アルミノキサン類が1×10−6〜0.1モル、好ましくは5×10−4〜0.05モルである。
【0063】
重合反応は、0〜200℃で0.5〜100時間、好ましくは50〜150℃で1〜50時間行われる。
【0064】
前記▲7▼の触媒において、Ti、Zr、Hfのアルコキシ錯体及び/又はTi、Zr、Hfのアルキルアミノ錯体とアルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物からなる触媒としては、例えばM(OR)4−a、M(NR4−a、M(acac)が挙げられる(MはTi、Zr、Hf、aは2〜4の整数、Xは、F、Cl、Br、I、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、acacはアセチルアセトン配位子、メチルブタンジオン配位子、ブタンジオン配位子、ベンゾイルアセトン配位子、ベンゾイルトリフルオロアセトン配位子、ジベンゾイルメタン配位子、フロイルアセトン配位子、トリフルオロアセチルアセトン配位子、3−フェニルアセチルアセトン配位子、2,4−ヘキサンジオン配位子、トリフルオロジメチル−2,4−ヘキサンジオン配位子等を表わす。)。
【0065】
具体的な化合物としては、Ti(OC、Ti(O−n−C、Ti(O−i−C、Ti(O−n−C、Ti(O−i−C、Ti(O−s−C、Ti(O−t−C、Ti(O−cycloC、Ti(OC11、Ti(OC、Ti(O−cycloC11、Ti(OC13、Ti(OCCl、Ti(O−i−CCl、Ti(O−n−CBr、Ti(O−n−CCl、Ti(O−i−CBr、Ti(O−s−C、Ti(OC11Cl、Ti(O−cycloC11、Ti[N(C)]、Ti[N(n−C)]、Ti[N(i−C)]、Ti[N(n−C)]、Ti[N(i−C)]、Ti[N(s−C)]、Ti[N(t−C)]、Ti[N(cycloC)]、Ti[N(C11)]、Ti[N(C)]、Ti[N(cycloC11)]、Ti[N(C13)]、Ti[N(CCl、Ti[N(n−CCl、Ti[N(i−CBr、Ti[N(s−CCl、Ti[N(n−CBr、Ti[N(t−C、Ti[N(C11、Ti[N(C11Cl、Ti(アセチルアセトナト)Cl、Ti(メチルブタンジオナト)Cl、Ti(ブタンジオナト)Cl、Ti(ベンゾイルアセトナト)Br、Ti(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)、Ti(ジベンゾイルメタナト)、Ti(フロイルアセトナト)Br、Ti(トリフルオロアセチルアセトナト)Br、Ti(2,4−ヘキサンジオナト)Cl、Zr(OC、Zr(O−n−C、Zr(O−i−C、Zr(O−n−C、Zr(O−i−C、Zr(O−s−C、Zr(O−t−C、Zr(O−cycloC、Zr(OC11、Zr(OC、Zr(O−cycloC11、Zr(OC13、Zr(OCCl、Zr(O−i−CCl、Zr(O−n−CBr、Zr(O−n−CCl、Zr(O−i−CBr、Zr(O−s−C、Zr(OC11Cl、Zr(O−cycloC11、Zr[N(C)]、Zr[N(n−C)]、Zr[N(i−C)]、Zr[N(n−C)]、Zr[N(i−C)]、Zr[N(s−C)]、Zr[N(t−C)]、Zr[N(cycloC)]、Zr[N(C11)]、Zr[N(C)]、Zr[N(cycloC11)]、Zr[N(C13)]、Zr[N(CCl、Zr[N(n−CCl、Zr[N(i−CBr、Zr[N(s−CCl、Zr[N(n−CBr、Zr[N(t−C、Zr[N(C11、Zr[N(C11Cl、Zr(アセチルアセトナト)Cl、Zr(メチルブタンジオナト)Cl、Zr(ブタンジオナト)Cl、Zr(ベンゾイルアセトナト)Br、Zr(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)、Zr(ジベンゾイルメタナト)、Zr(フロイルアセトナト)Br、Zr(トリフルオロアセチルアセトナト)Br、Zr(2,4−ヘキサンジオナト)Cl、Hf(OC、Hf(O−n−C、Hf(O−i−C、Hf(O−n−C、Hf(O−i−C、Hf(O−s−C、Hf(O−t−C、Hf(O−cycloC、Hf(OC11、Hf(OC、Hf(O−cycloC11、Hf(OC13、Hf(OCCl、Hf(O−i−CCl、Hf(O−n−CBr、Hf(O−n−CCl、Hf(O−i−CBr、Hf(O−s−C、Hf(OC11Cl、Hf(O−cycloC11、Hf[N(C)]、Hf[N(n−C)]、Hf[N(i−C)]、Hf[N(n−C)]、Hf[N(i−C)]、Hf[N(s−C)]、Hf[N(t−C)]、Hf[N(cycloC)]、Hf[N(C11)]、Hf[N(C)]、Hf[N(cycloC11)]、Hf[N(C13)]、Hf[N(CCl、Hf[N(n−CCl、Hf[N(i−CBr、Hf[N(s−CCl、Hf[N(n−CBr、Hf[N(t−C、Hf[N(C11、Hf[N(C11Cl、Hf(アセチルアセトナト)Cl、Hf(メチルブタンジオナト)Cl、Hf(ブタンジオナト)Cl、Hf(ベンゾイルアセトナト)Br、Hf(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)、Hf(ジベンゾイルメタナト)、Hf(フロイルアセトナト)Br、Hf(トリフルオロアセチルアセトナト)Br、Hf(2,4−ヘキサンジオナト)Cl、等が挙げられる。
【0066】
アルミノキサン類、ホウ素化合物、有機アルミニウム化合物としては、前記▲2▼に例示したものを用いることができる。
上記成分の使用量は、モノマー使用量1モル当り、金属錯体が1×10−5〜0.5モル、好ましくは1×10−4〜0.1モルであり、アルミノキサン類、ホウ素化合物又は有機アルミニウム化合物が1×10−6〜0.5モル、好ましくは1×10−5〜0.1モルである。
【0067】
重合反応は、−100〜100℃の温度で0.5〜50時間、好ましくは−80〜80℃で1〜30時間行われる。
【0068】
本発明は、上記の均一系の金属錯体触媒を用いてポリオレフィンを製造するが、好ましくは▲1▼〜▲3▼、特に好ましくは▲1▼の触媒を用いることができる。▲1▼〜▲7▼の触媒を用いる場合、分子量調節剤として、水素、ジエチル亜鉛、Si−H結合含有化合物を添加することができる。また、▲1▼〜▲7▼の触媒は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の担体に担持して用いることができる。
【0069】
重合反応は、連続式、回分式及びそれらを組み合わせた方式のいずれでも行うことができる。したがって、反応器は管型、槽型の何れでもよい。反応を多段で行う際には、それらを適宜組み合わせて使用してもよい。管型反応器は、管の一方の末端からフィードして他方の末端から抜き出す形式でも、管がループ状に繋がった構造を持つ形式でも良い。
【0070】
(PO1)ポリオレフィン
本発明において、ポリオレフィンは、低結晶性又は非結晶性であり、その重量平均分子量(Mw)は、2,000〜600,000で、特に5,000〜400,000が好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は1.01〜3.0であり、特に1.01〜2.00が好ましい。
ポリオレフィンは、この段階では、溶媒に溶解若しくは分散した状態で存在している。なお、このポリオレフィンは、低結晶性又は非結晶性であることから、13C−NMRで測定したラセミダイアド分率[r]は、0.12〜0.88、好ましくは0.51〜0.88、より好ましくは0.54〜0.84である。ラセミダイアド分率[r]が0.12未満、又は0.88を超えるポリオレフィンは、結晶性であるため本発明においては好ましくない。
本発明で規定したラセミダイアド分率[r]は、当業者に周知の方法、即ち13C−NMRで測定した立体規則性の構造に起因するピーク強度の積分値から得ることができる。
【0071】
本発明の方法では、オレフィンの重合後に後述する触媒成分の除去を行なうことが望ましいが、触媒成分の除去を行なわずに、引き続きポリオレフィン溶液の乾燥を行うことも可能である。
【0072】
(ii)乾燥工程
この工程は、ポリオレフィン溶液から溶媒や軽質物などの低沸点成分を除去しポリマーを乾燥する工程である。これにより、ポリマーは溶融状態となり、次の混練変性工程に付すのに好ましいものとなる。
ポリオレフィン溶液には、溶媒のほかに重合停止剤が含まれる場合もあり、これが変性工程で使用する変性剤と反応してしまい、ポリオレフィンの変性効率を下げる場合がある。従って、変性工程前に溶媒や低沸点成分の他に重合停止剤もポリオレフィン溶液から除去しておくことが好ましい。
【0073】
乾燥方法には、熱風中に噴霧する方法、延伸薄膜蒸発器を使用する方法、ドラム乾燥法、ベント付き押出乾燥機を用いる方法が挙げられる。本発明では、このうちベント付押出乾燥機を用いる方法が最も好ましい。
【0074】
(g)乾燥機
次に、乾燥機の代表例であるベント付押出混練乾燥機(以下、ベント付押出乾燥機という)について説明する。このベント付押出乾燥機は、ケーシング(筒状シリンダー)内の一端にポリオレフィン溶液を供給し、筒状シリンダー内で回転する押出用スクリューによって攪拌しながら他端へと押出し、その間に、ポリオレフィン溶液に含まれる溶媒(低沸点成分)を気化して外部へと排出する装置である。
【0075】
ベント付押出乾燥機は、典型的には、略水平に設置されたケーシング(筒状シリンダー)と、この筒状シリンダー内で回転する押出用スクリューと、この押出用スクリューの駆動・減速機と、筒状シリンダーの一端に設けたポリオレフィン溶液投入口(ホッパ、連結部)と、シリンダー内に供給される溶液を加熱する熱媒体供給装置と、シリンダー側壁に設けた脱気用のベント開口部と、乾燥され溶融状態になったポリマーを抜き出す排出口とを主要な構成要素としている。
押出用スクリューの形式は、スクリュー軸が一本のものだけでなく、二軸、三軸以上のものがあり、二軸以上では噛み合い条件により完全噛み合い、部分噛み合い、非噛み合いのものがあり、回転方向が一方向だけでなく異方向にも回転するものがある。本発明では一軸のものより性能が高く、三軸以上のものより保守が容易であるという観点から、押出用スクリューとしては二軸のものが好ましい。
押出用スクリューは、回転軸にらせん状の羽根(フライト)を設けたものが好ましい。羽根の形状は、特に制限されないが外周の一部に切り欠きや突起を設けたものでもよい。切り欠きを設けることで滞留時間を十分に確保できるようになり、突起を設けることによって、シリンダー内壁面に固着したポリマーを掻き取ることができる。このような構造を有する装置として、例えば、スクリュー型加熱冷却装置(特開平6−23253号)を挙げることができる。
シリンダー内を高温に加熱する方式には、ケーシング外部のジャケット側から加熱する方式と、ケーシング内部に熱媒体を供給して加熱する方式があるが、後者のほうが好ましい。スクリュー回転軸が中空の筒状体(パイプ)であれば、その内部にスチームや温水などの熱媒体を供給して加熱することができる。羽根の部分も中空にして熱媒体が流通するように構成してもよい。さらに、ポリマーの過度な分解を防ぐために冷却手段を設けることもできる。
【0076】
ベント付押出乾燥機の運転条件は、ポリオレフィンの種類や、分子量、用いた反応溶媒等によって異なるが、乾燥機内温度は30℃〜240℃、乾燥機出口圧力は1〜700mmHg、滞留時間は1〜180分が好ましく、60〜170℃、10〜400mmHg、3〜60分がより好ましい。
乾燥機内温度が30℃よりも低温であると、乾燥速度が遅くなるため設備が大型化し、気化した溶媒を凝縮回収するための設備・運転コストが増大し、ポリマー溶液から溶媒等を除去後、乾燥されたポリマーの粘度が高くなるため動力がかさみ、且つ乾燥効率が低下する等の問題がある。一方、乾燥機内温度が240℃よりも高温であると、ポリオレフィンが劣化する。
また、乾燥機出口圧力が1mmHgよりも低圧であると、排気ポンプが大型化し、また、乾燥機内温度が低下するという問題が生じる。逆に700mmHgよりも高圧であると乾燥速度が遅くなる。滞留時間が1分よりも短いと乾燥が不十分となり、180分よりも長いと設備が大型化するので好ましくない。
ベント付押出乾燥機でポリオレフィン溶液を上記条件で乾燥することにより、溶媒含量を2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下にすることができる。
以上、ポリオレフィン溶液をベント付押出乾燥機で乾燥させる方法を詳述したが、ポリオレフィン溶液中のポリオレフィン濃度が低い場合は、例えば蒸留等によって予めポリオレフィン濃度を高くしてから乾燥することも可能である。
【0077】
なお、前記の先行特許は、酸変性ポリオレフィンの製造方法に関するものであるが、本発明のようにモノマーから連続的に製造するものではない。
【0078】
(iii)変性工程
変性反応は、乾燥して溶融状態にあるポリオレフィンを押出混練機(h)に供給し、これに変性剤(k)、ラジカル反応開始剤(j)を添加して行う。変性反応は、多段で行っても良く、その際には反応器となる複数の混練機及び反応形式を適宜組み合わせて使用する。
【0079】
(h)混練機
次に、ポリオレフィンの変性反応に用いる混練機は、通常用いられている押出混練機を用いることができる。
【0080】
押出混練機は、ベント付押出乾燥機の出口に連結され、溶融状態のポリオレフィンを、ケーシング(筒状シリンダー)内の一端から連続的に受け入れ、この筒状シリンダー内で回転する押出用スクリューによって混練しながら他端へと押出す間に、筒状シリンダー内に添加される変性剤、ラジカル反応開始剤と混合し、反応させて変性ポリオレフィンとする装置である。
押出混練機は、典型的には、略水平に設置されたケーシング(筒状シリンダー)と、この筒状シリンダー内で回転する押出用スクリューと、この押出用スクリューの駆動・減速機と、溶融状態のポリオレフィンを受け入れるホッパ(連結部)と、変性剤及びラジカル反応開始剤の投入口と、変性されたポリマーをホッパ(連結部)とは反対側のシリンダー端部から抜き出す排出口とを主要な構成要素としている。変性剤及びラジカル反応開始剤が、それぞれ分割供給できるように投入口を複数箇所に設けることが望ましい。脱気用のベント開口部は必須ではないが、これをシリンダー側壁に設けて、未反応の変性剤や反応副生物を除去するようにしてもよい。
押出混練機には、変性剤及びラジカル反応開始剤の供給口が設けられているが、脱気用のベント開口部を必須としないことを除けば、前記のベント付押出乾燥機と同様な構成及び構造のものを使用できる。なお、シリンダーの下流領域には、混練されて吐出されるポリマーが過剰蓄熱して分解したり、架橋反応しないよう変性ポリオレフィンを冷却するための冷却手段を設けることが望ましい。
【0081】
変性反応条件は、ポリオレフィンの種類や、分子量、変性剤及びラジカル反応開始剤の種類や量等によって異なる。反応温度は、変性反応用混練機内が60〜220℃、好ましくは90〜190℃となるようにする。60℃未満では反応速度が遅く、一方、220℃を超えるとポリオレフィンの分子鎖が切断されるので好ましくない。変性反応の反応温度は、変性反応中、同一温度に維持しても変化させてもよい。
反応時間(混練機内の滞留時間)は、0.1分〜20分が好ましく、0.2分〜10分がより好ましい。滞留時間が0.1分よりも短いと、変性反応の効率が悪い。一方、滞留時間が長いほど、ポリオレフィンへの変性剤の導入量が向上するものの、20分よりも長くなるとポリオレフィンの劣化による分子量低下や着色が著しくなる。
ラジカル変性反応を2段以上の連続型混練機を用いて行い、各段の少なくとも一部に変性剤又はラジカル反応開始剤の少なくとも1種を追加できる。混練機には、変性剤又はラジカル反応開始剤の少なくとも1種を複数の個所から分割供給することができる。
【0082】
変性剤を2種類以上使用する場合、複数の変性剤を同時にポリオレフィンに添加しても、別々に添加してもよい。例えば、相対的に変性反応速度の遅い変性剤を変性反応の初期に添加し、ある程度反応を進行させた後に相対的に変性反応速度の速い変性剤を添加すること、あるいは、変性反応条件下ではポリオレフィンヘのグラフト以外の反応が起こりにくい比較的安定な変性剤を、変性反応開始の段階で全量一度に添加し、変性反応条件下では比較的不安定で消費され易い変性剤を、連続的に又は逐次的に分割して投入することもできる。
また、ポリオレフィンを変性反応温度まで昇温する前に、どちらか一方の変性剤のみを添加しておき、所定の温度になってから他方の変性剤を添加してもよいし、ポリマーを変性反応温度まで昇温した後に両方を同時又は逐次的に添加してもよい。
【0083】
変性反応を行う際に、必要に応じて変性剤の重合度を調節するために、連鎖移動調節剤を添加してもよい。連鎖移動調節剤を添加すると、変性剤同士の重合度が低下するとともに鎖長を均一化することが出来る。
連鎖移動調節剤としては、反応条件下において該変性剤の重合度を制御出来る化合物であれば制限されないが、代表例としてはt−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、ビス−2−アミノジフェニルスルフィド等のジスルフィド類などが挙げられる。
【0084】
一方、高温で変性反応を行う際に、ポリオレフィンの分解反応を抑制する為に、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤は、反応条件下でラジカル補足剤及び/又は過酸化物分解剤として作用し、変性反応時にポリオレフィンが熱酸化して劣化することを防止する。
酸化防止剤としては、反応条件下においてポリオレフィンの分解反応を抑制できる化合物であれば制限はない。しかし、ポリオレフィン中にチタン及び/又はバナジウムのイオン及び/又は化合物が含まれる場合に、フェノール性水酸基を有する酸化防止剤を使用すると、キノン化合物のごとき発色団を形成し、変性ポリオレフィンが着色する可能性があるので注意が必要である。
好適な酸化防止剤の代表例としては、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン等のフォスファイト類、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル類などが挙げられる。
【0085】
(k)変性剤
ポリオレフィンを変性する変性剤としては、一般式(a)、(b)で示される化合物、ジカルボン酸及びジカルボン酸無水物から選ばれた1種又は2種以上が用いられる。
【0086】
一般式(a)
【化9】
Figure 2005029690
【0087】
一般式(a)中、RはH又はC1〜10のアルキル基;RはOR、Cl、Br、F若しくはIから選択されるハロゲン、N(R又はR―N(R基;RはH、又は―COR基である。ここで、RはH、又はハロゲンを有しうるC1〜10のアルキル基;C1〜10のアルキル置換基を有しうる芳香族基;−(CH)a−O−P(O)(OR、又は−(CH)a−O−P(O)(O)(O−(CH)b−N(R(a及びbは夫々1〜5の整数);Li、Na、又はKから選択されるアルカリ金属M;C5〜10の脂環式炭化水素;グリシジル基;R−COCR=CH;ROR;RSi(OR、或いはR―NCOを示し、また、RはC1〜10のアルキレン基若しくは−[(CH)q−O−]r−であり、q及びrは夫々1〜5の整数を示す。
【0088】
一般式(b)
【化10】
Figure 2005029690
【0089】
一般式(b)中、RはH、若しくはC1〜10のアルキル基、又はCl、Br、F若しくはIから選択されるハロゲン;RはAr−X’、OCO−R、CHO、COR、CN、ピリジル基、ピロリドニル基、Si(OR、C1〜10のハロゲン化アルキル、ハロゲン、OR、OSOM或いはNH−CO−Rである。ここで、X’はR、OH、COOH、NH、CN、NO、C1〜10のハロゲン化アルキル、CH=CH、又はOCO−Rのいずれか、RはH、又はC1〜10のアルキル基、Mは前記のアルカリ金属である。
【0090】
一般式(a)で表される化合物として、(メタ)アクリル酸の他に、(メタ)アクリル酸の誘導体として、例えば、次のようなものが挙げられる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、トリフェニルメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、トリフェニルメチルメタクリレートなどのアルキルエステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジルエステル;アクリル酸ナトリウム塩、アクリル酸カリウム塩、アクリル酸リチウム塩、メタクリル酸ナトリウム塩、メタクリル酸カリウム塩、メタクリル酸リチウム塩などの(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩;アクリル酸クロリド、アクリル酸ブロミド、α−クロロ−メチルアクリレート、メタクリル酸クロリド、メタクリル酸ブロミド、α−クロロ−メチルメタクリレートなど(メタ)アクリル酸のハロゲン化物;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N一ジイソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸誘導体;エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、などのジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレートなどのOH基又はアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸誘導体;2−イソシアナートエチルメタクリレート、2−イソシアナートエチルアクリレートなどのイソシアナート基含有(メタ)アクリル酸誘導体;エチレングリコールメタクリレートホスフェート、2−メタクリロイロキシエチルホスホリルコリン、等のP含有(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。さらに、他のP含有(メタ)アクリル酸誘導体としては、CH=C(CH)CO−O−CH−CH(CHCl)−O−PO(OH)、CH=C(CH)CO−O−CH−CH−O−PO(OH)−O−NH(CHCHOH)、なども挙げられる。
本発明において、一般式(a)で表される化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのアルキルエステル、グリシジルエステル、及びOH基又はアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸誘導体が好ましい。
【0091】
また、一般式(b)で表される化合物としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル化合物;塩化ビニル、臭化ビニル、ふっ化ビニル、よう化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、ビニルスルホン酸カリウム塩、ビニルスルホン酸リチウム塩、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ビニルピリジン、N−ビニルピリジン、ビニルピロリドン、アクロレイン、メチルビニルケトン、イソブチルビニルケトン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルアセトアミド、N−ビニルアセトアミド、アリルクロリドなどのビニル化合物;スチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン、ジビニルベンゼン、ビニル安息香酸、シアノスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アセトキシスチレン、p−ジメチルアミノメチルスチレンなどのスチレン誘導体。
本発明において、一般式(b)の化合物としては、スチレン誘導体が特に好ましい。
【0092】
また、ジカルボン酸として、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ビニルマレイン酸、アリルコハク酸など不飽和脂肪族ジカルボン酸、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどの不飽和脂肪族ジカルボン酸エステル等の誘導体、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロテレフタル酸などのシクロアルケンジカルボン酸、及びそれらの誘導体を用いることができる。さらに、ジカルボン酸無水物として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸等のジカルボン酸無水物を用いることができる。
ジカルボン酸としては、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸が好ましく、特にマレイン酸が好ましい。また、ジカルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が好ましく、特に無水マレイン酸が好ましい。
【0093】
(j)ラジカル反応開始剤
ラジカル反応開始剤としては、一般にラジカル重合における開始剤として用いられているアゾ系化合物や有機過酸化物などを使用することが出来る。
【0094】
ラジカル反応開始剤の好適な代表例としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン等のパーオキシエステル、2,3−ジメチル−2,3−ジフィニルブタン等のジフェニルブタン類、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートがあげられる。
ラジカル反応開始剤は、1種類のみを使用しても2種類以上を使用しても良い。2種類以上を使用する場合、複数のラジカル反応開始剤を同時に添加しても別々に添加してもよい。例えば、半減期の長いラジカル反応開始剤を変性反応開始段階で全量一度に添加し、その後半減期の短いラジカル反応開始剤を連続的に又は逐次的に分割して投入してもよい。
ラジカル反応開始剤の添加量は、ポリオレフィンに対して、0.05〜50重量%が好ましく、0.1〜30重量%がより好ましく、1〜10重量%がより好ましい。0.05重量%未満では変性効率が低く、未反応のまま反応系に残存する変性剤量が多くなり、接着性や接着強度の耐久性が低下する原因となる。50重量%を超えると、ポリオレフィンの変性度が低下するとともに、変性反応条件下でのポリオレフィン分子の分子量低下を促進する。
【0095】
(PO2)変性ポリオレフィン
上記の変性反応によって、前記ポリオレフィン(PO1)から、前記変性剤ユニットで変性した変性ポリオレフィン(PO2)を製造することができる。すなわち、種々の用途に有用な機能性が高い変性ポリオレフィンを、効率良く簡便なプロセスで経済的に製造することができる。
【0096】
本発明により製造された変性ポリオレフィンは、変性剤がポリオレフィン主鎖に対してグラフト結合している。ポリオレフィンへの変性剤の導入量、すなわち変性量は、ポリオレフィンに対して0.01〜20重量%であり、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。
【0097】
(iv)触媒の除去工程
前記(i)の重合工程で得られたポリオレフィン溶液は、均一系の金属錯体触媒を含んでおり変性効率を低下させる場合があるので、(iii)の変性工程よりも前に、触媒を除去しておくことが望ましい。乾燥後に触媒成分を除去してポリマーを精製することは困難で、かつ手間がかかることから、(ii)の乾燥工程前に触媒を除去することが実用的である。
【0098】
触媒の除去工程には、(イ)触媒を不溶化する工程と、(ロ)不溶化した触媒を除去する工程がある。触媒の不溶化工程には、水酸基を有する特定の化合物を添加し、触媒成分のみを不溶化させる方法、又は触媒成分を吸着剤に吸着させる方法のいずれかが採用される。
【0099】
(イ)触媒の不溶化
触媒は、ポリオレフィン溶液に水酸基を有する特定の化合物を添加すれば、多価金属イオンの形で存在する触媒金属成分が不溶化して析出するので、ポリオレフィンを析出させないで固液分離により分離除去できる。
【0100】
本発明で用いる水酸基を有する化合物としては、例えば、水、アルコール、多価アルコール、カルボン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。これら水酸基を有する化合物の中でも、重合停止剤と同一の化合物を選択することが好ましい。これは同一化合物を用いることにより溶媒貯蔵タンクや溶媒精製用蒸留設備が共用でき、プロセスの簡略化に繋がるからである。
【0101】
上記アルコールとしては、炭素数1〜10の脂肪族アルコールが好ましく、より好ましくは炭素数1〜6の脂肪族アルコールであり、さらに好ましくは炭素数1〜4の脂肪族アルコールであり、特に好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール及びブタノールである。アルコールは、重合反応において触媒を失活させる反応停止剤としても用いられるが、反応溶液中に添加することで触媒を不溶化させることができる。
【0102】
また、多価アルコールとしては、炭素数1〜5のグリコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられ、3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、エリトリトール、ペンタエリトリトール等が挙げられる。
【0103】
さらに、上記カルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸、多価カルボン酸が挙げられ、具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等が挙げられる。
【0104】
水酸基を有する化合物の添加量は、水酸基を有する化合物の種類、触媒の種類、反応溶媒の種類、反応溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって変える必要があり、溶液中のポリオレフィンが析出しない量であって、溶液が2層に分離しない量が好ましい。
好ましくは溶液中のベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒量に対して、1〜100重量%、より好ましくは3〜25重量%、特に好ましくは4〜15重量%である。水酸基を有する化合物の添加量が上記範囲未満であると触媒成分の析出が十分でなく、上記範囲を超えるとポリオレフィンが析出するようになり好ましくない。
【0105】
触媒の不溶化においては、水酸基を有する化合物の他に、必要に応じて、ポリオレフィン溶液へアルカリ成分を添加することができる。アルカリ成分を添加すれば、触媒成分からハロゲンを除去することができる。
アルカリ成分としては、金属アルコラート、アルカリ金属水酸化物等を挙げることができる。具体的な化合物としては、例えば、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、カリウムメトキサイド、カリウムエトキサイド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。これらの化合物は、メタノールやエタノールの溶液として添加される。
【0106】
このアルカリ成分の添加は、ポリオレフィン溶液へ上記水酸基を有する化合物を添加する前であっても良いが、水酸基を有する化合物を添加する後又は同時が好ましく、アルカリ成分と水酸基を有する化合物とを同時に添加するのが特に好ましい。アルカリ成分の添加量は、ポリオレフィン溶液のpHが5以上になれば特に制限はない。添加量の上限は、反応溶液がpH9になるような量であり、好ましくは反応溶液がpH8になるような量であり、より好ましくは反応溶液がpH7になるような量である。
【0107】
水酸基を有する化合物を添加して、触媒成分を不溶化沈殿し析出させるには、以下の条件にするのが好ましい。
添加・混合時間は、1分以上が好ましく、より好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上である。混合時間が1分未満では、触媒成分を不溶化することができない。
混合温度は、用いる水酸基を有する化合物の種類にもよるが、室温〜120℃、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜80℃である。混合温度が室温未満では触媒成分を不溶化・析出する反応が極めて遅く、120℃を超えると触媒成分の不溶化反応が十分に進行しない。例えば、水酸基を有する化合物としてメタノールを用いた場合は、55℃以上になると蒸発が激しく、沈殿の生成が十分に進行しない。
【0108】
一方、ポリオレフィン溶液に吸着剤を接触させる方法は、ポリオレフィンを析出させないで、多価金属イオンの形で存在する触媒成分を吸着剤に吸着し、固液分離により分離除去する方法であり、固液分離操作の少なくとも一部を濾過法及び又は遠心分離法を用いて行うことができる。
【0109】
吸着剤としては、高分子凝集剤、イオン交換樹脂、キレート樹脂等が挙げられ、これらは単独でも2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0110】
上記高分子凝集剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の高分子凝集剤のいずれも使用できる。
アニオン性高分子凝集剤としては、アルギン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、アクリルアミドとアクリル酸ソーダ共重合物、ポリアクリルアミド部分加水分解物等が挙げられる。
カチオン性高分子凝集剤としては、水溶性アニリン樹脂塩酸塩、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、キトサン、ヘキサメチレンジアミン、エピクロロヒドリン重縮合物、ポリビニルイミダゾリン、ポリアルキルアミノアクリレート、ポリアルキルアミノメタクリレート、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物等が挙げられる。
ノニオン性高分子凝集剤としては、ポリアルキルアミド、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
【0111】
高分子凝集剤は、粘度が1000cp以下の水溶液の状態でポリオレフィン溶液に添加して用いるのが好ましい。その際の水溶液の濃度は、0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%である。
【0112】
高分子凝集剤はポリオレフィン溶液へ添加し、攪拌して接触させる。高分子凝集剤の添加量は、均一系の金属錯体触媒の種類、反応溶媒の種類、溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって異なるが、ポリオレフィン溶液に対して、上記水溶液として、0.2〜40体積%が好ましく、より好ましくは0.5〜20体積%、特に好ましくは0.5〜10体積%である。高分子凝集剤の水溶液添加量が上記範囲未満であると、触媒成分の吸着が十分でなく、上記範囲を超えるとポリオレフィンが析出するようになり好ましくない。
【0113】
上記イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、両性イオン交換樹脂が挙げられるが、本発明においては、陽イオン交換樹脂が好ましく、特に強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。強酸性陽イオン交換樹脂は、ポリスチレン母体構造にスルホン酸基を結合させたものであって、ポリオレフィン溶液中に存在する触媒金属多価イオンを吸着しやすい。
【0114】
イオン交換樹脂は、ポリオレフィン溶液へ添加し、攪拌して接触させる。イオン交換樹脂の添加量は、均一系の金属錯体触媒の種類、反応溶媒の種類、溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって異なるが、ポリオレフィン溶液に対して、0.2〜40体積%が好ましく、より好ましくは0.5〜35体積%、特に好ましくは0.5〜25体積%である。イオン交換樹脂の添加量が上記範囲未満であると、触媒成分の吸着が十分でなく、上記範囲を超えても吸着効果は向上せず、不経済である。
【0115】
上記キレート樹脂は、遷移金属、アルカリ土類金属などの金属イオンとキレートを形成する樹脂で、溶液中の重金属を選択的に吸着除去できる樹脂である。本発明においては、主にポリスチレン母体構造にイミノジ酢酸基、ポリアミン基を結合させたキレート樹脂を用いるのが好ましい。
【0116】
キレート樹脂は、ポリオレフィン溶液へ添加し、攪拌して接触させる。キレート樹脂の添加量は、均一系の金属錯体触媒の種類、反応溶媒の種類、溶液中に存在するポリオレフィンの濃度等によって異なるが、ポリオレフィン溶液に対して、0.2〜40体積%が好ましく、より好ましくは0.5〜20体積%、特に好ましくは0.5〜15体積%である。キレート樹脂の添加量が上記範囲未満であると、触媒成分の吸着が十分でなく、上記範囲を超えても吸着効果は向上せず、不経済である。
【0117】
吸着剤としては、上記の他に、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸架橋ビーズ等を挙げることができる。
【0118】
吸着剤を添加する際、必要に応じて、ポリオレフィン溶液へ界面活性剤を添加することができる。特に、水溶液で添加する吸着剤(例えば、高分子凝集剤)を添加する際に界面活性剤を加えると、溶液との混合が促進され、その結果速やかに触媒成分を吸着することができる。
【0119】
上記界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ノニルフェノール系、アルキルフェノール系、高級アルコール系、ポリアルキレングリコール系(EO/PO系)、脂肪酸エステル系、アルキロールアミド系、アルキルアミドEO付加体、アルキルアミンEO/PO付加体、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0120】
界面活性剤の添加量は、ポリオレフィン溶液に対して、0.001〜1体積%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.8体積%であり、特に好ましくは0.05〜0.5体積%である。界面活性剤の添加量が上記範囲未満では吸着剤含有水溶液とポリオレフィン溶液との混合を促進できず、上記範囲を超えると最終製品に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0121】
ポリオレフィン溶液へは吸着剤とともにアルカリ成分を添加できる。アルカリ成分の添加は、吸着剤を添加した後でも良いが、アルカリ成分を先に添加するのが好ましい。アルカリ成分の添加量は、ポリオレフィン溶液のpHが5以上になる量であれば特に制限はない。添加量の上限は、溶液がpH9になる量であり、好ましくは溶液がpH8になる量であり、より好ましくは溶液がpH7になる量である。
【0122】
吸着剤をポリオレフィン溶液へ添加して、溶液を攪拌して触媒成分を吸着させる場合は、以下の条件にするのが好ましい。
吸着剤の添加温度は、0〜70℃が好ましく、より好ましくは5〜60℃、特に好ましくは10〜50℃である。また、攪拌混合時の温度は、用いる吸着剤の種類にもよるが、0〜60℃、好ましくは5〜50℃、より好ましくは10〜40℃である。混合時の温度が0℃未満では触媒成分の吸着反応が極めて遅く、60℃を超えると触媒成分が充分に吸着されない。さらに、攪拌混合時間は、攪拌速度にもよるが、1分〜5時間が好ましく、より好ましくは5分〜2時間、特に好ましくは10分〜1時間である。攪拌混合時間が1分未満では吸着が進行せず、長すぎると一旦吸着した金属イオンが脱離する恐れがある。
【0123】
吸着剤として、イオン交換樹脂、キレート樹脂、ポリアクリル酸架橋ビーズ等を用いる場合は、上記吸着条件に記載したような攪拌混合処理を行うことなく、カラムに充填したイオン交換樹脂、キレート樹脂、ポリアクリル酸架橋ビーズ等に直接ポリオレフィン溶液を流通させて触媒成分を吸着させ、ポリオレフィン溶液を精製処理することができる。カラムを流通させる時の温度は、0〜70℃が好ましく、より好ましくは5〜60℃、より好ましくは10〜50℃である、また、流通時間は、空間速度にして0.01〜5h−1が好ましく、より好ましくは0.1〜4h−1であり、特に好ましくは0.5〜3h−1である。
【0124】
なお、触媒成分の不溶化は、用いる触媒によっては、例えば前記▲1▼〜▲7▼の触媒を担体に担持して使用した場合は、溶液に溶解せずに不溶化しているので省略することができる。
【0125】
(ロ)触媒成分の除去
本発明においては、上記のような条件で触媒成分を不溶化した後、これを溶液から除去する。除去方法は特に限定されず、液体と固体を分離する濾過方法、遠心分離法、デカンテーション法等の各種の分離方法を用いることができる。
【0126】
上記濾過方法としては、加圧濾過法、減圧濾過法、遠心濾過法のいずれの濾過方法も用いることができ、2種類以上の方法を組み合わせてもよい。濾材としては、濾紙、濾布、メンブランフィルター、焼結金属等を用いることができる。濾布の素材は、溶液との接触により溶解したり、大きく膨潤したり、強度が大きく低下したりしないものであれば、特に制限は無い。通常、綿製やポリエステル製のものを用いることが出来る。
また、濾過温度は、室温〜80℃、好ましくは30〜75℃、より好ましくは40〜70℃である。濾過温度が室温よりも低いと、ポリオレフィン溶液の粘度が高く、濾過効率が悪い。温度を高くすると溶液の粘度が低くなり、濾過速度が向上する。加圧下においては、溶液に用いられている溶媒の沸点以上でも濾過することができる。また、濾過圧力は、濾過器、濾紙性状などによるが、濾過の具合を見ながら、徐々に加圧していく方法が好ましい。例えば、濾紙を用いた濾過方法であれば、最終的には最高圧が400kPaG以下、好ましくは300kPaG以下となる条件が好ましい。
【0127】
さらに、濾過処理を促進させるために濾過助剤を用いることができる。濾過助剤としては、特に制限はないが、例えば、珪藻土、セルロース、アスベスト、セライト、パーライト、珪藻土、白土、シリカ、又はアルミナから選ばれた1種以上を用いることができ、セルロースであれば、例えば微小繊維状セルロースを用いることができる。濾過助剤の添加量は、ポリオレフィン溶液に対し、0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%である。
【0128】
濾過法にあっては、濾過助剤を濾過開始前に濾布上にプレコートしておくと、濾布が早期に目詰まりすることを防止できる。プレコート層の厚みは、濾布上に濾過助剤がほぼ均一な厚みに分散される量以上で、濾過速度を低下させない厚み以下であれば特に制限はないが、好ましくは0.5mm〜30mm、より好ましくは1.5〜10mmの範囲で行う。
プレコート操作は、溶媒に濾過助剤を添加し、均一に懸濁させた懸濁液を調製し、濾過器下流側を閉止して、濾液が濾過器から出ないような状態で懸濁液を、徐々に濾過器に投入するか、懸濁液を濾過器に投入し濾過器内で攪拌を行った後に濾過を行うことにより、濾過助剤が濾布上に均一な厚みに分散されるようにする。また、プレコート操作を行った場合、不溶化物を含む溶液を投入する際に、濾布上の一部の面に急激に衝突するような形式を採ると、プレコート層が局部的に剥がれてプレコート層の効果が著しく低下することから、プレコート層が局部的に剥がれないよう、設備面及び/又は作業面での注意を必要とする。
濾布上の堆積物を掻き取り操作等で連続的に除去しない場合、濾過操作の進行とともに該不溶化物の濾布上への堆積量が徐々に増加し、濾過速度が徐々に低下する。このような場合、濾過助剤を不溶化物が懸濁している溶液に予め添加し、均一に混合した後に濾過器に投入して、濾過操作を行うと、濾過速度の低下を抑制する事ができる。
【0129】
上記遠心分離法は、遠心力により分離する方法であって、例えば、1000G以上、好ましくは3000G以上、より好ましくは5000G以上の遠心力を与える方法を用いる。要する時間は、遠心力にもよるが、例えば、1分〜3時間、好ましくは5分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間である。遠心分離の温度は、ポリオレフィン溶液の溶媒の沸点以下であれば特に制限はないが、0〜70℃、好ましくは5〜60℃、より好ましくは10〜50℃である。
【0130】
上記デカンテーション法は、ポリオレフィン溶液中に不溶化して沈降した触媒成分を溶液から静置分離する方法であって、触媒成分が完全に沈降するまで静置した後、ポリオレフィン溶液の上澄み液のみを流し出して回収する方法である。なお、上澄み液側にコロイド状の沈殿物等が存在する恐れがある場合は、上澄み液を更に濾過方法、遠心分離法等で処理することにより完全に沈殿物を除去するのが好ましい。
【0131】
(v)精製
前記(iii)の変性工程で得られた変性ポリオレフィンは、未反応の変性剤や変性剤に由来する誘導体を含むことがあるので、適宜精製することが好ましい。ここで変性剤誘導体とは、主に未反応の変性剤やオリゴマーをいう。
【0132】
変性ポリオレフィンに残留している未反応の変性剤及び変性剤誘導体は、減圧下で加温し、蒸発又は昇華させることにより分離除去することができる。具体的には、例えば、変性工程で用いた二軸押出混練機の出口を、乾燥工程で用いた排気ベント付二軸押出乾燥機に直結し、好ましくは温度50〜200℃、圧力1〜700mmHg、滞留時間1〜30分、より好ましくは温度100〜180℃、圧力5〜200mmHg、滞留時間2〜15分の条件で精製することができる。
【0133】
変性反応終了後、混練機の出口を冷却してもよいし、ポリマーを容器に取り出してから水槽などに直接投入して冷却してもよい。必要に応じて容器の外部を冷媒で間接的に熱交換し、変性ポリオレフィンの温度を低下させることもできる。なお、冷却する代りに、あるいは冷却と同時に、混練機中に未変性の高結晶性のポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)などを配合し混練してもよい。
【0134】
得られた変性ポリオレフィンは、搬送や利用がしやすいようにペレタイザーにて均一な形状にカットすることもできる。
【0135】
3.変性ポリオレフィンの製造方法(具体例)
次に、本発明の変性ポリオレフィンを製造するプロセスの一例を図2で具体的に説明する。
【0136】
図2は、反応槽(A)、触媒成分析出槽(B)、触媒成分分離設備(C)、乾燥機(D)、混練機(E)からなるプロセスを示している。
反応槽(A)にて、α−オレフィンの重合反応を行い、その後、得られたポリオレフィン溶液を触媒成分析出槽(B)に移送し、水酸基を有する化合物とアルカリ成分を添加して金属成分とハロゲン成分を不溶化するか、又は吸着剤を添加して金属成分を吸着せしめるなどの操作を行い、その後、濾過器及び/又は遠心分離機を備えた触媒成分分離設備(C)へポリオレフィン溶液を移送し、触媒成分の分離を行う。
一方、得られた濾液又は遠心分離後の上澄み液は、乾燥機(D)に供給する。乾燥機(D)は、ベント付き押出乾燥機などであり、ここでポリオレフィン溶液から重合停止剤や水酸基を有する化合物、溶媒を揮発・除去し、ポリオレフィンを乾燥する。乾燥し、半溶融状態となったポリマーは、乾燥機(D)出口から混練機(E)に移送する。混練機(E)内に、変性剤とラジカル反応開始剤を添加し、必要に応じてさらに連鎖移動調整剤及び/又は酸化防止剤を添加して変性反応を行い、変性ポリオレフィンを得る。
【0137】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、本実施例、比較例中のポリマーの分析は、次に示す評価方法に基づいて行った。
【0138】
評価方法
(1)分子量の測定
分子量は、Waters社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)モデル150を用いて測定した。溶媒:o−ジクロルベンゼン、測定温度:135℃、溶媒流速:1.0ml/分。カラムは、東ソー社製のTSK−GELGMHXL−HTを使用し、単分散ポリスチレン標準試料を用い、ポリスチレンの検量線を求め、これによりユニバーサル法でポリオレフィンの検量線を作成した。
【0139】
(2)立体規則性の測定
立体規則性は、PFTパルスフーリエ変換装置付きVarian社製XL−200型を用い、50MHz、120℃、パルス幅8.2μs π/3、パルス間隔4秒、積算回数5000の条件で13C−NMRを測定した。試料は、トリクロルベンゼンとベンゼン(2:1)の混合溶液に溶解して調製した。
【0140】
(3)変性剤導入量の測定(ポリオレフィン1分子あたりの分子数)
変性ポリオレフィン1分子あたりの変性剤の導入量は、IR測定により得られた変性剤の官能基含有量とGPC曲線より得られた数平均分子量の値から算出した。IR測定には、日本分光社製のFT/IR−470を用いて、フィルム状にしたポリマーを使用した。
【0141】
(4)ポリマー溶液の触媒成分の含有量は、蛍光X線分析により定量した。
【0142】
(実施例1)
プロピレンの重合
窒素ガスで十分に置換した50Lの撹拌機付きオートクレーブにトルエンを25L入れ、21℃に保った。同温度で2mol/Lのエチルアルミニウムセスキクロライドのトルエン溶液750mLを加えた。次に、1mol/Lのテトラブトキシチタンのトルエン溶液を125mL加え、撹拌しながらプロピレンを導入した。プロピレンの圧力は重合中、常時3気圧になるようにセットした。プロピレンの導入をもって重合開始とした。重合は8時間行った。
その後、メタノールを0.2L加えて重合を停止させ、その後、未反応プロピレンを気化させた結果、25kgの反応溶液が得られた。得られたポリマー溶液の一部を分取し、組成を分析したところ反応溶液中のPP含有量は3.4重量%、チタン含有量は240重量ppm、アルミニウム含有量は3275重量ppmであった。
得られたポリマーのGPC曲線は単峰性であり、重量平均分子量Mwは25,000、Mw/Mnの値は1.9、ラセミダイアド分率[r]の値は0.32であった。
触媒成分の除去
上記反応溶液16.5kgに、高分子凝集剤(三洋化成株式会社製サンフロックN−500の0.5%水溶液)535mlと、界面活性剤(アデカ株式会社製プルロニック)41mlを加え、30分間激しく撹拌した。撹拌後、室温下において、この溶液を遠心力5000Gで1時間遠心分離を行った。遠心分離後、無色透明の上層と沈殿した高分子凝集剤に分かれ、無色透明の上澄み液として、精製されたポリマー溶液15.7kgが得られた。この上澄み液のチタン及びアルミニウム含有量は、それぞれ4重量ppm、7重量ppmであった。
乾燥(溶媒等の除去)
触媒成分を除去して精製されたポリマー溶液9kgを、5kg/hの流速で有効容積2Lの排気ベント付二軸押出乾燥機に投入した。排気ベント付二軸押出乾燥機は、乾燥機に供給される熱媒温度140℃、圧力50mmHg、回転数70rpm、滞留時間22分で運転することにより、ポリマー溶液からトルエン及びメタノール等の軽質物を除去した。このポリマーを一部取出し、溶媒含量を調べたところ、0.1重量%であった。
変性
該ベント付二軸押出乾燥機の出口を二軸押出混練機に直結して、溶媒が除去されたポリマーを溶融状態のまま、120℃の熱媒で加温した二軸押出混練機に投入した。その後、該二軸押出混練機にメタクリル酸54g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート50g、t−ドデシルメルカプタン50gを添加し、回転数200rpm、5分間の滞留時間で混練を行うことにより、ポリマーの変性を行った。
得られた変性ポリプロピレン中のメタクリル酸の含有量は、9.5重量%であった。
【0143】
(比較例1)
メタノール(13L)を20LのSUS製容器に入れ、撹拌しながら実施例1で得られた重合後の反応溶液1kgを注ぎ入れて、ポリマーを析出させた。析出したポリマーは、粘着性が高い水飴状の不定形固体であり、容器の底部に付着して回収が困難であったことから、以下の抽出作業は、引き続き同一の容器を用いて行った。得られたポリマーを塩酸メタノール2.5Lと混合することにより、触媒成分を塩酸メタノール層に抽出し、塩酸メタノール層を捨てた。ポリマーが水飴状の不定形固体の為、塩酸メタノールを添加して撹拌しても、ポリマーは容器底部に付着したままで、液相と混ざり合うことが無かった。そのため、SUS製の棒を容器底部のポリマー層に差し込んで掻き回すことにより、ポリマーと塩酸メタノールの接触効率を上げるよう努めた。
この塩酸メタノールによる抽出操作を5回繰り返した後、底部に付着しているポリマーを容器から掻き取り、減圧オーブンに入れ、120℃で減圧乾燥した。ポリマーを容器から掻き取る際、器壁に付着しているポリマーを全量回収することは困難であった。また、ポリマーからメタノール臭が抜けるまでに20時間以上を要した。
得られたポリマーをトルエンに溶解させ、実施例1で触媒成分を除去して得たポリマー溶液と同一のポリマー濃度のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液のチタン及びアルミニウム含有量を定量したところ、それぞれ7ppm、12ppmであった。実施例1に示した方法よりも、大量の溶媒を使用し、作業性が悪く、且つ触媒成分の除去率も低い結果となった。
減圧乾燥後に得られたポリマーも粘着性が高い不定形固体であった。カッターで切断して小片にしても、小片同士が接触すると互いに強固に付着し、積み重ねたり、軽く圧縮するだけで融着して塊状になってしまった。そのため、次工程の変性反応を行う為に押出混練機に投入する際に、短冊上に切り出したポリマーを手投入せざるを得なかった。
【0144】
(実施例2)
プロピレンの重合
窒素ガスで十分置換したジャケットクーラー及び撹拌機付きSUS製反応釜に、トルエン(90L)と12molのAl(C1.5Cl1.5のトルエン溶液を入れ、−60℃に冷却した。次にプロピレンを210L加えて、トルエンに液化溶解した。内温が−60℃に安定したところで、0.14molのバナジウムトリスアセチルアセトナトのトルエン溶液を加えて重合を開始した。重合開始後、30分毎に0.14molのバナジウムトリスアセチルアセトナトのトルエン溶液を加え、総量として0.56molのバナジウムトリスアセチルアセトナトのトルエン溶液を添加した後、−60℃で2時間反応した。その後、トルエンで4倍に希釈したメタノールを10L添加して、重合を停止した。次いで、系を徐々に昇温して未反応のプロピレンをパージし、トルエンを50L加えて希釈し、ポリマー溶液を抜き出した。
得られたポリマー溶液の一部を分取し、生成ポリマーの解析を行ったところ、そのGPC曲線は単峰性であり、重量平均分子量Mwは13万、Mw/Mnの値は1.8、13C−NMRで測定したプロピレン連鎖のラセミダイアド分率[r]の値は0.80であった。
触媒成分の除去
得られたポリマー溶液140kgとトルエン60kgを、ジャケットヒーター及び撹拌機付きSUS製反応釜に投入し、撹拌しながら50℃に加温し、ナトリウムメトキサイドの28重量%メタノール溶液5.8kgと、メタノール8.5kgを混合した液を添加した。50℃で1時間撹拌した後、60℃に加温し、濾過助剤(昭和化学工業製ラジオライト#700)を13.5kg加えて撹拌し、均一なスラリーとした。
ジャケットヒーター付き水平濾過加圧濾過器に保留粒子径1μmの濾布をセットし、3mm厚のラジオライト#700のプレコート層を形成し、60℃に加温した後、このスラリー液を投入した。濾過器を密閉後、濾過器内を窒素で50kPaGに加圧し、濾過を開始した。濾過開始初期の濾液は白濁していたが、その後無色透明になったことから、白濁液を再び濾過器に投入する事により、無色透明の濾液を回収した。濾過器内圧力を200kPaGまで徐々に増加しつつ濾過を継続することにより、約3時間で濾過器に投入した全てのポリマー溶液の濾過を終了した。その後、トルエン20kgを濾過器に投入し、濾布上に捕捉された残渣中に含まれるポリマー液を洗い流すことにより、濾液として全量で210kgの精製されたポリマー溶液を得た。
この精製されたポリマー溶液の一部を分取し、分析したところ、ポリマー含有率は7.5重量%、アルミニウム、バナジウム、塩素の含有率は、何れも10ppm未満であった。
乾燥(溶媒等の除去)
上記で精製されたポリマー溶液200kgを90℃に加温し、25kg/hの流速で有効容積6Lの排気ベント付き二軸押出乾燥機に投入した。排気ベント付き二軸押出乾燥機は、乾燥機に供給される熱媒温度150℃、圧力50mmHg、回転数70rpm、滞留時間13分で運転することにより、ポリマー溶液からトルエン及びメタノール等の軽質物を除去した。このポリマーの一部を取出し、溶媒の含量を調べたところ、0.2重量%であった。
変性
該ベント付二軸押出乾燥機の出口を二軸押出混練機に直結して、溶媒が除去されたポリマーを溶融状態のまま、150℃の熱媒で加温した二軸押出混練機に投入した。その後、該二軸押出混練機にさらに無水マレイン酸を2.1kg、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサンを450g、酸化防止剤(チバガイギー製「イルガフォス168」)を750g添加し、4分間の滞留時間で混練を行うことによりポリマーの変性を行った。
精製
変性に用いた二軸押出混練機の出口を排気ベント付き二軸押出乾燥機に直結し、乾燥機に供給される熱媒温度170℃、圧力10mmHg、回転数100rpm、滞留時間3分の条件で排気ベント付き二軸押出乾燥機を運転することにより、変性されたポリマーから未反応の無水マレイン酸、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、酸化防止剤(1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン)、及び/又はそれらの誘導体を除去した。
得られた変性ポリプロピレン中の無水マレイン酸の含有量を測定したところ、1.8重量%であった。
【0145】
【発明の効果】
本発明は、ポリオレフィン溶液から溶媒や軽質物を除去して、ポリオレフィンを乾燥し、実質的に溶媒を含まない状態にして、溶融混練にて変性剤モノマーで変性し、変性ポリオレフィンを製造するプロセスの発明であり、各工程でのポリマーロスや溶媒のロスが少なく、作業性・経済性のよいプロセスである。また、設備コストの低減等の利点があり、廃液量の低減等により環境負荷低減にも寄与できる。
さらに、得られた変性ポリオレフィンは、塗料、表面改質剤、プライマー、コーティング剤、インク、接着剤、相溶化剤及びそれらの中間原料として使用することが出来ることから、工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により変性ポリオレフィンを製造する場合の代表的な工程を示す概略図である。
【図2】本発明により変性ポリオレフィンを製造する場合の具体的工程の説明図である。
【符号の説明】
(i) 重合工程
(ii) 乾燥工程
(iii) 変性工程
(iv) 触媒除去工程
(イ) 触媒の不溶化
(ロ) 触媒の除去
(v) 精製工程
A 反応槽
B 触媒成分析出槽
C 触媒成分分離設備
D 乾燥機
E 混練機

Claims (3)

  1. α−オレフィンを均一系の金属錯体触媒の存在下、液相で重合して低結晶性又は非結晶性ポリオレフィン溶液を得る工程、得られたポリオレフィン溶液を連続的に乾燥する工程、乾燥したポリオレフィンを押出混練機に供給して変性する工程を含むことを特徴とする変性ポリオレフィンの製造方法。
  2. ポリオレフィン溶液を乾燥する前に、触媒成分を除去する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
  3. ポリオレフィン溶液の乾燥を、ベント付押出乾燥機によって行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の変性ポリオレフィンの製造方法。
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