JP2005027588A - 食品用保存剤および食品の保存方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 食品の風味や香りに影響を与えることのない、安全で有効な天然由来の抗菌性物質を含有する食品用保存剤および食品の保存方法を提供すること
【解決手段】 フィンガールートから抽出された抗菌性物質と、酢酸、乳酸等の有機酸およびその塩類、グリシン、シスチン等のアミノ酸、低級脂肪酸エステル、シュガーエステル、ビタミンB1エステル、重合リン酸塩、プロタミン、ナイシン等の塩基性たん白・ペプチド、甘草抽出抗菌性物質、トウガラシ水性抽出物、糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物、香辛料もしくは植物成分、アルコール類、グルコノデルタラクトン、共役リノール酸並びにメラノイジンからなる群より選ばれた1種または2種以上を配合する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食品用保存剤および食品の保存方法に関する。
近年、消費者の間に、健康志向が強くなってきて、食品に対しては従来に比べて低塩・低糖で調理・加工することが歓迎される傾向にある。そのため、概してうす味に調味されることが多くなった結果、各種加工食品の保存性は低下してきている。また使用される保存料に対しても安全性への関心から合成保存料が好まれない傾向があり、なるべく自然に近い保存料、食品が求められるようになってきている。
かかる観点から、天然物由来の日持向上剤、特に食品素材となっている天然物由来の抗菌性物質に対して関心が寄せられているが、これらを食品保存に利用しようとすると、抗菌スペクトルが狭かったり、色や味や匂いなどの官能的な問題が発生したりして、十分に満足のいくものは得られていない。
このような天然由来の抗菌性物質として、タイ料理に香辛料として頻繁に使用されているフィンガールート(学名:Boesenbergia pandurata (Roxb.) Schltr.、タイ名:クラチャイ(Kra chai))の抽出物がある。フィンガールートは魚や海老などの料理には臭みをとり、香りを楽しむ目的で使用される食材である。近年、フィンガールート抽出物がグラム陽性細菌およびグラム陰性細菌に対して抗菌性を示し、この抗菌性物質が数種のフラボノイド化合物であることが示された。
ACGC Chemical Research Communications Vol. 10, 2000, page21)。
したがって、このフィンガールートは食材として長年使用されているものであり、その抗菌活性を利用して食品用保存剤としても安全に使用することができるが、ショウガ科植物に特有の味や匂いを有するため、様々な食品の保存性を向上させるのに必要な量を添加すると官能的な弊害が生じてしまう欠点がある。
本発明の課題は、食品の風味に影響を与えることがなく、安全で有効な天然由来の抗菌性物質を利用した食品保存剤および食品保存方法を提供することを目的とする.
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、天然由来の抗菌性物質としてフィンガールート抽出物を使用し、これと、有機酸およびその塩類;アミノ酸;低級脂肪酸エステル;シュガーエステル;ビタミンB1エステル;重合リン酸塩;塩基性たん白・ペプチド;甘草抽出抗菌性物質;トウガラシ水性抽出物;糖、糖酸及びアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物;香辛料もしくは前記以外の植物成分;アルコール類;グルコノデルタラクトン;共役リノール酸並びにメラノイジンから成る群より選ばれた1種または2種以上を同時に食品に配合すると、それらが相乗的に抗菌性を奏し、官能的な弊害を生じさせずに食品の保存性がを向上させることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
1)フィンガールート(学名:Boesenbergia pandurata (Roxb.) Schltr.)から抽出された抗菌性物質と、有機酸およびその塩類;アミノ酸;低級脂肪酸エステル;シュガーエステル;ビタミンB1エステル;重合リン酸塩;塩基性たん白・ペプチド;甘草抽出抗菌性物質;トウガラシ水性抽出物;糖、糖酸及びアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物;香辛料もしくは前記以外の植物成分;アルコール類;グルコノデルタラクトン;共役リノール酸並びにメラノイジンから成る群より選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする食品用保存剤、および
2)上記1)記載の食品用保存剤を食品に添加することを特徴とする食品の保存方法である。
本発明によれば、食品の味、風味に影響を与えないで、食品の保存性を高める安全な食品用保存剤および食品の保存方法を提供することができる。
本発明においてその抗菌性抽出物が用いられるフィンガールートは、ショウガ科植物で、根茎は短く多肉質で、少数の葉を根生的に出し、東南アジアからマレーシア熱帯地域で広く栽培され、根茎は料理の香辛料や薬用(強壮、鎮咳、食欲増進など)に多く利用されている植物である。本発明において、フィンガールート抽出物としては、根茎から水性溶剤で抽出された画分を用いることができ、好ましくはエタノール、メタノール又はアセトン、さらに好ましくは30〜100%容量のエタノール、メタノール又はアセトン水溶液を溶媒とし、生のままの根茎、あるいは乾燥した根茎から抽出して得られる抽出物を挙げることができる。該抽出物としては粗抽出物のまま、好ましくは粗抽出物をろ過後、ろ液を濃縮、乾固して得られた固形物を用いることができ、さらにろ液中の溶媒を溜去した後、吸着樹脂などに吸着させ、エタノール、又はメタノール、またはアセトンで溶離させた画分を用いることができる。
得られるフィンガールート抽出物は、枯草菌、乳酸菌等のグラム陽性細菌を主体として抗菌スペクトルを示し、一部の酵母、カビに対しても抗菌作用を示すため、食品用保存剤として有効である。
食品保存剤としては、フィンガールート抽出物は、添加される食品重量に対し、通常0.005〜2%、好ましくは0.01〜1%添加するとよい。0.005%未満では食品の保存効果が十分ではなく、2%を超えるとフィンガールート抽出物特有の臭気が食品本来の味や香りを損ない、好ましくない。
本発明の食品保存剤においては、前記フィンガールート抽出物とともに、有機酸およびその塩類;アミノ酸;低級脂肪酸エステル;シュガーエステル;ビタミンB1エステル;重合リン酸塩;塩基性たん白・ペプチド;甘草抽出抗菌性物質;トウガラシ水性抽出物;糖、糖酸及びアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物;香辛料もしくは植物成分;アルコール類;グルコノデルタラクトン;共役リノール酸並びにメラノイジンから成る群より選ばれた1種または2種以上を併用すると、フィンガールート抽出物の抗菌スペクトルがさらに広くなり、その保存効果をさらに向上させることができる。
本発明のフィンガールート抽出物と併用されてさらにその保存効果を向上させることのできる有機酸およびその塩類としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマール酸、シュウ酸、アジピン酸、ピルビン酸、グルタール酸、ソルビン酸、フィチン酸、アスコルビン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩、などを挙げることができる。フィチン酸は食品に添加できるグレードのものであればよい。なかでも、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸、ソルビン酸およびそれらの塩類が好ましい。
これらの有機酸またはその塩類をともに含有させることにより、フィンガールート抽出物の抗菌作用の強くないグラム陰性の細菌類や、真菌類に対して抗菌作用を強め、同じ微生物に対するフィンガールート抽出物の抗菌作用を数倍に高めることができる。また、フィンガールート抽出物の作用が明瞭でなかったグラム陽性細菌の一部の株に対して、その作用が明瞭に現れるようになる。この理由は明らかでないが、特に乳酸、クエン酸、リンゴ酸のよう有機酸類はタンパク質類の安定性を高める作用が強いので、食品中でフィンガールート抽出物の分解や不活性化を防ぐのであろう。有機酸またはその塩類はフィンガールート抽出物1に対し、0.1〜100の割合(重量比)で配合することが好ましい。
また、アミノ酸としては、グリシン、アラニン、シスチン、スレオニン、ヴァリン、リジンおよびアルギニン、トリメチルグリシン(ベタイン)を挙げることができるが、殊にグリシンおよびアラニンが望ましい。これらのアミノ酸類は、細菌類の細胞壁の合成阻害を起こすので、フィンガールート抽出物の細菌菌体内部への浸透が促進され、その抗菌作用が大幅に増強されるものと推定される。アミノ酸は、フィンガールート抽出物1に対し、0.1〜100の割合(重量比)で含有させると効果的である。
低級脂肪酸エステルとしては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等とグリセリンとのモノエステルおよびジエステル、さらにこれらのモノグリセリンエステルにコハク酸等の有機酸がグリセリンとエステルを形成したコハク酸モノグリセリンエステルなど、さらにこれらのグリセリンエステルが二つ以上結合したポリグリセリンエステルを挙げることができ、シュガーエステルは、食品添加物として許可されているものであれば、いずれも使用できる。
ビタミンB1エステルとしては、ビタミンB1硫酸塩、例えばラウリル硫酸塩、セチル硫酸塩などが挙げられ、重合リン酸塩としては、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等がある。これらの化合物は界面活性効果やキレート効果があり、微生物の細胞表層に何らかの影響を与えることによりフィンガールート抽出物の細胞内への侵入を容易にするものと推定される。これらの低級脂肪酸エステル、シュガーエステル、ビタミンB1エステル、重合リン酸塩は、フィンガールート抽出物1に対し、0.1〜100の割合(重量比)で含有させることが好ましい。
塩基性たん白・ペプチドとしては、プロタミン、リゾチーム、ラクトフェリン、ポリリジン、およびナイシンなどのバクテリオシン等がある。プロタミンは細菌細胞の細胞膜と結合して細胞内容物を漏出させ、リゾチームはグラム陽性細菌の細胞壁成分の分解酵素で、作用の結果細菌細胞の溶解を起こす。ポリリジンは、やはり細菌の細胞壁構造体に損傷を与えるので著しいタンパク質の合成阻害が起こるとされており、いずれの場合もフィンガールート抽出物の細菌細胞内部への侵入を高めるものと推定される。バクテリオシン類は、細菌の産生する抗菌性を有するタンパク質またはペプチドであり、基本的にはグラム陽性細菌類、特に乳酸菌に対して抗菌作用を示すと共に、ブドウ球菌、枯草菌、クロストリジウム菌、リステリア菌に対しても抗菌性を示す。
このようなバクテリオシン類としては、例えばLactococcus lactis subsp. lactisによって生産されたナイシン(Nisin)、ラクテイシン(Lacticin)481およびラクトストレプシン(Lactostrepcins)、Lactococcus lactis subsp. cremorisによって生産されたデイプロコシン(Diplococcin)、Lactococcus lactis subsp. diacetilactisによって生産されたバクテリオシン(Bacteriocin)S50などの乳酸菌ラクトコッカス・ラクテイス(Lctococcus lactis)によって生産されたもの;ペデイオシン(Pediocin)と称される乳酸菌ペデイオコッカス(Pediococcus)属により生産されるもの;Lactobacillus helveticus LP27によって生産されたラクトシン(Lactocin 27)、Lactobacillus reuteriによって生産されるロイテリン(Reuterin)などの乳酸菌ラクトバチルス(Lactobacillus)属によって生産されるもの;Leuconostoc paramesenteroidesによって生産されるロイコノシンS(Leuconocin S)等の乳酸菌ロイコノストック(Leuconostoc)属の生産するもの;Propionibacterium jensenii P126によって生産されるジェンセニンG(Jenseniinn G)などの乳酸菌プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属によって生産されるもの、を挙げることができる。
これらのバクテリオシン類をフィンガールート抽出物と併用する場合、バクテリオシンの種類によって一該にその量を規定しにくいが、フィンガールート抽出物1に対し、0.1〜20の割合(重量比)とすることが好ましい。
甘草抽出抗菌性物質に関しては、例えば、甘草から芳香族炭化水素、アセトン、エタノール、などで抽出した抗菌性物質を使用することができる。この甘草抽出抗菌性物質の実体は現在のところ不明であるが、いわゆる甘味料として用いられているグリチルリチンとは全く別の物質である。甘草抽出物は、フィンガールート抽出物1に対し、0.005〜50の割合(重量比)とすることが好ましい。
トウガラシ水性抽出物に関しては、特開平4−341169号公報に記載された製造方法を用いて製造したもの、すなわちトウガラシの果実から水性溶媒より抽出した水溶性画分を用いることができる。トウガラシ水性抽出物は、おもに酵母に対して抗菌作用を示すが、フィンガールート抽出物の酵母に対する抗菌力は比較的弱い。したがって、トウガラシ水性抽出物と併用することにより、抗菌スペクトルが広がり、様々な食品の保存に利用が可能になる。トウガラシ水性抽出物は、フィンガールート抽出物1に対し、0.01〜50の割合(重量比)とすることが好ましい。
さらに、糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類およびその部分分解物としては、ペクチン、ペクチン分解物、オリゴガラクチュロン酸、ガラクチュロン酸、キトサン、キトサン分解物をあげることができる。これらの物質を併用することによる微生物に対する阻害作用の理由についてはまだ明確でない部分が多いが、実際の食品中においては、明らかに相乗的な作用の現れることが多く、従って有用に組み合わせて使用することができる。糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類およびその部分分解物は、フィンガールート抽出物1に対し、0.1〜100の割合(重量比)で含有させることが好ましい。
また、本発明において、香辛料としては、抗菌性を有する香辛料、例えば、クローブ、シナモン、ローズマリー、メースなどを併用することができる。さらに、これらの香辛料から得られる有機溶媒抽出物および精油も併用することあできる。また、前記、甘草、トウガラシ以外の植物成分としては、例えばワサビ抽出物、ホップ抽出物、孟宗竹抽出物、ユッカ抽出物、ホッコシ抽出物、ハトムギエキス、柑橘類果皮抽出物、マンゴスチン抽出物、ウド抽出物などの抗菌性を有する植物のアルコールなどの有機溶媒による抽出物、茶タンニン、茶カテキン類、桂皮酸、フェルラ酸、コーヒー酸およびヒノキチオールなどを挙げることができる。これらの物質の作用は、フェノール性の成分による微生物の細胞膜に対する損傷が多く、従ってフィンガールート抽出物の微生物細胞への侵入を助けるものと推定される。これらの香辛料または植物成分はフィンガールート抽出物1に対し、0.01〜100の割合(重量比)で含有させることが好ましい。
さらに、アルコール類としては、プロピレングリコールとエタノールを挙げるころができる。これらのアルコール類が、微生物細胞の膜組織の損傷によって微生物を阻害または、死滅させるのはよく知られたところであるが、本発明のフィンガールート抽出物と組み合わせて使用するとき、顕著な保存効果を奏する。これはやはり微生物菌体内部へのフィンガールート抽出物の侵入を助けることがその理由であろうと推定される。特にエタノールと併用するとエタノール耐性の高いとされている黄色ブドウ球菌などに対しても強い殺菌効果を期待できる。アルコール類は、フィンガールート抽出物1に対し、0.01〜100の割合(重量比)で含有させることが効果的である。
また、本発明に用いるグルコノデルタラクトンは食品に添加できるグレードのものであればよい。グルコノデルタラクトンは溶液中でグルコン酸に変換することにより有機酸としての作用を示すようになり、フィンガールート抽出物との併用効果を示すものと推定される。グルコノデルタラクトンは、フィンガールート抽出物1に対し、0.1〜100の割合(重量比)で含有させることが好ましい。
さらに、共役リノール酸としては、9,11−オクタデカジエン酸、10,12−オクタデカジエン酸、11,13−オクタデカジエン酸、それらの各異性体、それらの塩それらの活性なエステルおよびそれらの混合物を挙げることができる。共役二重結合を分子内に持つ化合物に保存料であるソルビン酸があり、リノール酸が酸化される過程で生ずる共役リノール酸も共役二重結合を一つ持っており、弱いながらも抗菌性がある。フィンガールート抽出物とこの共役リノール酸を併用することにより、想像以上に顕著な保存効果が現れる。共役リノール酸は、フィンガールート抽出物1に対し、0.01〜100の割合(重量比)で含有させることが効果的である。
メラノイジンは糖とアミノ酸の加熱複合物である。メラノイジンはフィンガールート抽出物1に対し、0.1〜100の割合(重量比)で含有させるとよい。
本発明のフィンガールート抽出物と併用して、その保存効果を向上させることのできる各物質については、必ずしも一つだけではなく、幾つかのものを組み合わせて使用してもよい。対象となる食品の種類、組成、予想される汚染ないし変敗原因微生物、pH、水分活性、要求される保存温度、保存期間などに応じて、適宜二つないし三つ、ときにはそれ以上の物質を組み合わせて使用することができる。
本発明のフィンガールート抽出物は、熱に対して極めて安定であり、120℃、10分の加熱に耐える。従って、食品を加熱することによって生存している菌数を減らし、さらに本発明のフィンガールート抽出物を含有する保存剤を使用することによって、効果的に保存性を高めることが出来る。
本発明の食品用保存剤はフィンガールート抽出物と前記化合物群より選ばれる1種又は2種以上を混合することにより製造できる。また本発明の食品保存方法はそのようにして製造された食品用保存剤を食品に添加して達成されるが、フィンガールート抽出物と他の前記化合物群より選ばれる1種又は2種以上をそれぞれ食品に添加してもよい。
[実施例]
以下、本発明の効果を実施例によってさらに具体的に説明する。実施例中、%は特に断らないかぎり、重量%である。
なお、下記実施例に用いたフィンガールート抽出物の製法は以下のとおりである.すなわち、生のフィンガールート根茎を約1cm角に切り、天日で一週間乾燥し、約三分の一重量になったところで粉砕機で粉砕し乾燥フィンガールートとした。この乾燥フィンガールート500gを99.5vol%エタノール3500mlに浸漬し、室温で4時間攪拌後、ろ過した。ろ液を40℃でペースト状になるまで減圧濃縮し、これを少量の水に懸濁させ、凍結乾燥して乾燥物30.8gを得た。この乾燥物を下記実施例においてフィンガールート抽出物として用いた。
また、ナイシンはAPLIN & BARRETT LTD.より、プロタミン、ペクチン分解物、トウガラシ水性抽出物および甘草抽出抗菌性物質はいずれもアサマ化成(株)より、リゾチームは日本バイオコン(株)より、ポリリジンはチッソ(株)より、グルコノデルタラクトンは藤沢薬品工業(株)より販売されているものを用いた。ショ糖モノラウレートは「リョートーシュガーエステル L-1695」(三菱化学フーズ(株)製)を使用した。
(参考例1)
上記フィンガールート抽出物を用い、種々の細菌に対する抗菌力を調べた。即ち、トリプトソイ寒天培地(pH6.0)を用い、30℃、3日間培養後の下記被検菌の生育状況を調べた。結果を表1に示す。表中、+:生育、±:微生育、−:非生育を示す。なお、被検菌は次のものである。
1.Bacillus subtilis IAM 1069
2.Bacillus cereus IFO 13494
3.Staphylococcus aureus FDA 209P
4.Escherichia coli NRIC 1023
5.Salmonella typhimurium IFO 12529
6.Lactobacillus plantarum IAM 1041
7.Streptococcus lactis IAM 1249
8.Lactobacillus casei TISTR 390
9.Leuconostoc dextranicum NRIC 1539
10.Saccharomyces cerevisiea OC-2
11.Hansenula anomala IFO 0140(P)
12.Pichia membranaefaciens IFO 0128
13.Penicillium decumbens IAM 7260
Figure 2005027588
(ハンバーグ)
合い挽肉1,000g、玉ねぎ300g、小麦粉60g、水50gを配合したハンバーグの基本組成に対し、表2左欄に示す各種の保存剤成分を表2に示す割合になるように添加し、塩酸または苛性ソーダでpHを5.8に調整した後、30gづつ成型して、25分間蒸し上げし、冷却した.これを一試験区あたり5個づつ作り、25℃に保存して、外観と臭いを調べることによる保存試験を行った。腐敗臭の発生又は表面に菌体コロニーやネトが認められるまでの日数を調べ、5個の平均値を保存日数として試験結果を表2右欄に示す。
Figure 2005027588
(タクアン)
塩蔵大根(タクアン)を食塩含量が3%になるまで流水下で脱塩し、下記処方の調味液に3日間冷蔵庫中で調味漬けした。次に、該調味液に、表3左欄の保存剤を4倍の濃度で添加し、このもの100mlに対して調味漬けしたタクアン300gを加えて袋詰めした。同様の方法で各種の試験群を調製し、20℃に保存して、タクアン液部の濁り、袋の膨れなどが発生するまでの日数を観察により調べた。その結果を表3右欄に示す。
(タクアン調味液の処方)
成分 濃度(重量%)
醤油 1.0
食塩 3.0
食酢 0.5
グリチルリチン 0.02
みりん 0.5
酵母エキス 0.5
HAP 1.0
水 93.48
(pH4.9)
Figure 2005027588
(コロッケ)
下記に示したコロッケ種原料200gをよく混合し、表4左欄に示す各種の保存剤成分を表4に示す割合になるように添加し、さらに混合した。また、下記に示したバッター原料100gをよく混合し、表4左欄に示す各種の保存剤成分を表4に示す割合になるように添加し、さらによく混合した。コロッケ種原料から、一個あたり25gを分取してコロッケ種を成形し、バッター液をくぐらせた後、パン粉を付着させた。これを180℃で3分間油ちょう後、室温で冷却した。一試験区あたり5個づつ作り、30℃に保存して、外観と臭い調べることによる保存試験を行った。一試験区中で1個以上に腐敗臭が認められるまでの日数を保存日数として試験結果を表4右欄に示す.
(コロッケ種の処方)
成分 配合量(g)
マッシュポテト 173.4
豚ひき肉(ソテー済み) 10
玉ねぎ(ソテー済み) 10
食塩 1.4
コショウ 0.2
合計 200
(バッターの処方)
成分 配合量(g)
薄力粉 21
コーンスターチ 21
サラダ油 5
水 53
合計 100
Figure 2005027588
(焼肉のタレ)
下記に示した焼肉のタレ原料をミキサーでよく粉砕・混合し、表5左欄に示す各種の保存剤成分を表5に示す割合になるように添加し、さらに混合した.一試験区あたり50gをフタつきカップに入れ、30℃に保存して、外観と臭い調べることによる保存試験を行った。腐敗臭の発生又は変色するまでの日数を保存日数とし、その試験結果を表5右欄に示す.
(焼肉のタレの処方)
成分 配合量(g)
醤油 12.5
玉ねぎ 5.0
ショウガ 1.5
リンゴ(紅玉) 5.0
ニンニク 0.5
砂糖 6.5
グルタミン酸ナトリウム 0.5
みりん 4.5
食塩 3.0
トウガラシ 0.1
水 11.0
合計 50.1
Figure 2005027588
本発明品の保存剤を添加した試験区は、保存試験前、色、味、臭い、形態等については対照区と差がなく、添加による品質上の悪影響は認められなかった。

Claims (2)

  1. フィンガールート(学名:Boesenbergia pandurata (Roxb.) Schltr.)から抽出された抗菌性物質と、有機酸およびその塩類;アミノ酸;低級脂肪酸エステル;シュガーエステル;ビタミンB1エステル;重合リン酸塩;塩基性たん白・ペプチド;甘草抽出抗菌性物質;トウガラシ水性抽出物;糖、糖酸及びアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物;香辛料もしくは前記以外の植物成分;アルコール類;グルコノデルタラクトン;共役リノール酸並びにメラノイジンから成る群より選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする食品用保存剤。
  2. 請求項1記載の食品用保存剤を食品に添加することを特徴とする食品の保存方法。

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